2016年9月23日 (金)

民進党新体制など

 石破 茂 です。
 先週末から今週末にかけて、休日が多かったせいもあって全国各地や地元に往復が続く日々が続きました。新しい出会いや気づきの点も多くあり、とても有意義な日々ではありましたが、移動距離に比例して疲れも溜まってしまい、思考もいつにもまして散漫気味になっておりますので、週末は披露宴出席などの私的な日程を除いて少し纏まった時間を頂き、態勢を整えたいと思います。
 25日日曜日には「時事放談」に出演致します(蓮舫民主党代表との対談・TBS系列・午前6時・収録)。国会での質疑を除いて、蓮舫女史との対談は初めてです。どのような展開となるのか予想もつきませんが、内容のあるやり取りとなることを期待しています。

 野田佳彦元総理の幹事長就任について様々なご見解を頂いております。概して否定的なご意見が多いように見受けられますが、私は民進党の中では野田氏は極めて真っ当な保守政治家であると認識しています。
 私が小泉内閣で防衛庁長官在任中、新年恒例の陸上自衛隊習志野駐屯地第一空挺団の「初降下」(パラシュート降下)行事に臨席したのですが、当時落選中であった野田氏がたった一人で出席していたことに深い感銘を受けました。
 いかに自身の選挙区である船橋市にその多くが所在の部隊とはいえ、議席が無い立場で出席するのは随分と複雑な感情があったことだと思いました。その時以来、制服自衛官を父君に持つが故の、自衛官やそれを支えるご家族に対する深い愛情に基づく現実的な安全保障論を彼と戦わせることが出来る日が来ることを期待していました。それだけに、野田内閣の防衛大臣に、全くの門外漢である一川保夫氏、続いて田中直紀氏が就任した時には心底驚愕したものです。当然のこととして両氏とも中途で更迭されましたが、野田氏の人を見る目に大きな疑問を持ったことでした。4年の雌伏の時を経た野田氏の手腕に敢えて期待したいと思います。

 民進党はその成り立ちから言って二大政党の一翼を担い得ないのかも知れませんし、小選挙区制度がその理想とした「政権交代可能な二大政党の実現」「地域の利益ではなく、国家の利益を語る国会議員を作る」ことからは未だに遠いのが現状であることは否定しえない事実です。
 しかしあの鳩山政権誕生が示すように、野党(当時の民主党)が素晴らしいからというよりも、自民党の立ち居振る舞いが国民の感情と乖離した時、これからも「政権交代」が実際に起こらないとは断言出来ないのです。
 民進党がそのままでは蘇生し得ないのなら、主義信条や政策で分裂して政界再編の端緒を作った方が国のためなのかも知れませんが、他党のことにこれ以上言及する前に、自民党の一員としてより一層の研鑚に努めたいと思っております。

 政府が「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を設置し、経団連の今井名誉会長など6人の方々が構成員となることが発表されました。そのこと自体を否定はしませんが、前回も記しましたようにこれは日本国の在り方そのものに関わる国家の最重要課題です。
 この問題について我々国会議員、就中自民党議員として、有識者会議の意見の取り纏めを待つのではなく、徹底的に議論し、見解を明らかにすべきものです。
 陛下のご地位は「主権の存する日本国民の総意に基づく」(日本国憲法第1条)となっていますが、国民投票に付すべき性格のものではないと考えられる以上、「全国民を代表する選挙された議員」(同第43条)がこれに解を示す責任を有しているものと考えます。
 陛下が述べられたお気持ちに沿うべきであることは論を俟ちません。しかし、大日本帝国憲法ならびに日本国憲法の制定時、幾多の議論の結果としてご生前のご退位(譲位)は否定されていたという事実をどのように考えるべきなのか。「国政の総攬(総覧ではなく)者」として位置づけられていた旧憲法下の天皇陛下と、「日本国民統合の象徴」として位置づけられている現行憲法の下での陛下のお立場は全く異なるのではないか。たとえ「天皇機関説」に立つとしても、建前として権力を一手に掌握されていたお立場と「権威」としてそのご存在がある今のお立場の相違を考えるとき、「権力の代行者」としての摂政はあり得ても、「権威の代行者」という概念はそもそもあり得るのか。されば「日本国憲法に定められた国事行為のみを為して頂けばよい」という、一種極論的に突き詰めた考え方は妥当なのか…等々、誠に申し訳ありませんが迂闊にも今まで私が考えてこなかった難問に直面して、呻吟しているのが現状です。
 陛下はすべてをご承知の上でお気持ちを述べられました。その中に政治的なご意図は全くないものと畏れながら拝察しております。保守政党たる自民党は最優先でこれに取り組むべきです。
 週末はこの問題についてもよく考えたいと思っています。

 日本銀行が金融政策決定会合で長短期金利を誘導目標とする新しい金融緩和の枠組みの導入を決定しました。確かに世界でも稀な政策ですが、企業と金融機関の双方の思惑をバランスさせた厳しい選択であったように思います。
 2%の物価上昇の達成、名目3%・実質2%の成長、そしてその後に展開する経済とは何か、日銀のメッセージをどのように我々政治が受け止め、官民多くが共にする多くの既得権益を打破して構造改革に取り組むのか、まさしく正念場が来ているように感じます。

 「まんがでわかる田中角栄の人を動かす力」と題する本(画・葉月 編著・別冊宝島編集部 宝島社刊)が発売されています。田中先生の人間像を表現するのにこのような方法もあるのかと思わされました。巻末に「角栄のリーダーシップ」と題する元AKB総監督の高橋みなみさんと私との対談が収録されています。ご紹介まで。

 都心は肌寒いような天候となっています。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2016年9月16日 (金)

父命日、加藤元幹事長ご逝去など

 石破 茂 です。

 今日9月16日は、昭和56年に73歳で没した父石破二朗の祥月命日です。もうあれから35年も経ったのかと思うと、とても感慨深いものがあります。
 当時24歳の私は旧三井銀行(現在の三井住友銀行)に入行して3年目、東京都中央区にあった本町(ほんちょう)支店で個人向け融資を担当しておりました。
 その頃は9月15日が敬老の日で休日であったため、鳥取に帰省して県立中央病院に入院していた父を見舞ったのですが、その日は比較的意識もはっきりしていて「仕事はちゃんとやっているのか?」と問われ、「何とかやっている」と答えると「こんなところにいないで、早く帰れ」。これが私と父との最後の会話となりました。
 寝台特急で東京駅に降り立った時に危篤を知らされ、羽田からプロペラ機でとんぼ返りをしたのですが、2時間余をかけて鳥取に着いた時には既に息を引き取った後でした。
 倅の私が言うのも変かも知れませんが、間違いなく私よりも遥かに立派な人であったと思います。昭和30年、建設省官房長在任中に東京都知事選への出馬を田中角栄先生から打診された時、「東京都知事にはならない。請われれば鳥取県知事になる意志がある。私は鳥取県人である。鳥取に生まれ、育ち、そして死ぬのである。小さくとも鳥取県はわが県である」と答えたと田中先生は弔辞の中で述べておられましたが、まさにそういう人でした。
 父は鳥取県知事15年参議院議員7年と、政治家としては通算22年在任で、私は既にそれを超えてしまったのですが、遠く及ばないことを日々認識しています。一生かけても決して越えられない父を持ったことは、ある意味とても幸せなことであると思います。

 民進党の新代表となった蓮舫女史について私はあまり詳しく存じませんが、予算委員会での質問を聴く限り相当に頭の回転が速く、キャスター出身らしい切れ味の鋭さを持ち、教条主義的ではない有能な議員だと認識しています。しかし、その国家観や憲法観について語るのを聞いたことはなく、今後どのような主張をするのかよく見ていきたいと思っています。
 集団的自衛権行使の限定的な容認(私個人は憲法上も、全面的に行使は容認され、その限定は安全保障基本法によってすべきとの立場ですが)が何故憲法違反なのか、何故立憲主義に反するのか(その立場に立つなら個別的自衛権の行使も否定されなくてはなりません)、これが「他国との戦争に巻き込まれる邪悪な権利」であるとするなら、政権獲得の暁には日本政府として国連総会において集団的自衛権条項の削除を求めるのか、など、明らかにして貰いたい点は多々あります。
 二重国籍の問題について、国籍法第16条は日本国籍を取得した場合の他国の国籍離脱を努力義務として定めており、少なくともこれに抵触していることは明らかでしょう。この点について説明責任を果たしているかどうかが問われるのであり、真摯に履行されることを望みます。

 小選挙区制下においては、政権交代可能な二大政党の存在が強く求められるのであり、過半数の候補者を擁立しているという点において唯一その可能性がある民進党が今のような混乱・停滞状況であること自体、日本の健全な民主主義の阻害要因と言わねばなりません。
 幹事長になられる野田佳彦元総理や前原氏、玉木氏も含めて、現実路線に向けてより一層力を発揮されることを強く期待しています。

 誠に畏れ多いことながら、今上陛下の生前ご退位のご意向をどのように受け止め、対処するかは「その地位は国民の総意に基づく」と定める日本国憲法の趣旨から考えても、第一義的に国会議員の責任です。「畏れ多いことである」ということと「国会議員がその責務を果たす責任と覚悟を持つ」というのは全く別の問題で、有識者会議に意見を求めることはあっても決してこれに委ねるべきものではありません。私自身、膨大な文献を何とか読破・理解し、己の考えを明確にしなくてはならないと思っています。

 加藤紘一元自民党幹事長がご逝去になりました。私が自民党に復党した時の幹事長であり、共和事件や不発に終わった「加藤の乱」以後の時代になられてから、何度か直接ご指導を頂いたり、選挙区に伺って先生の後援会でお話をさせていただく機会がありました。
 農政や外交・安全保障で考えを異にする面も多々ありましたが、もっとお話を伺いたかった方でした。御霊の安らかならんことをお祈りいたします。

 今週、移動中に読んだ本の中では「ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢」(佐藤伸行著 文春新書)をかなりの驚きを持って(適切な表現ではないかもしれませんが)読みました。
 彼を知る者が日本には全くと言っていいほど居りませんし、旧知の共和党系アメリカ人にもその実像を知る人は私の聞いた範囲では皆無でした。トランプ候補がこの本に描かれているような人物だとすれば極めて由々しきことですが、むしろ彼を大統領候補にまで押し上げたアメリカ社会の変容にこそ、我々は目を向けなくてはなりません。是非ご一読くださいませ。

 週末は彼岸の墓参りで帰郷する17日土曜日に福田俊史鳥取県議の県政報告会で国政報告(17時30分・郡家コミュニティセンター・八頭郡八頭町郡家)、どんどろけの会総会・懇親会(19時・ジャパンズ・鳥取市弥生町)。
 18日日曜日は週刊報道LIFE出演(午後9時・BS-TBS・収録)。
 19日敬老の日は日本青年会議所栃木ブロック協議会「とちぎフォーラム2016」で講演(15時30分・足利市民会館・足利市)、という日程です。

 都心は不順な天候が続いています。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2016年9月 9日 (金)

いすみ市、幌加内町など

 石破 茂 です。

 6日火曜日にテレビ朝日の「橋下×羽鳥の番組」なる、バラエティなのか報道なのかよくわからない番組の収録がありました(放映は12日月曜日午後11時15分)。2時間の収録でしたが、実際にオンエアされるのは40分くらいのものだと思われます。2時間のほとんどは橋下前大阪市長と私との、バラエティとはおよそ程遠い硬い内容のやり取りでしたが、これをどのようにバラエティらしく編集するのでしょうか。

 今から27年も前、当選1回生の頃に「朝まで生テレビ!」に出始めて以来、テレビには随分と出演してきました。勿論生放送は生放送なりの、収録は収録なりの多大なリスクを承知の上ですが、いつも「どのように話せば解ってもらえるのか」という試行錯誤の連続です。
 当選同期の畏友 故・新井将敬代議士が自死の前日、本会議場で隣席であった私に「メディアに受けようとしてどんどんと発言が過激になってしまった。持ち上げるだけ持ち上げて、その後に落とすだけ落とすのが報道のやり方であることをもっと知るべきだった。お前も気を付けろよ」と遺言のように言っていたことをいつも思い出し、自戒してはいるのですが。
 安全保障や地方創生、農林水産などはそれなりに理解しているつもりですが、外交などのテーマからはしばらく遠ざかっていたため、ここ数年の論説を可能な限り読んで理解するのがかなり大変で、結局睡眠時間を削る他はありません。世の中には自分の知らないことがなんと多くあることか、いつも思い知らされます。

 4日日曜日に開催した政策グループ「水月会」の研修会はフェルドマン博士の講演など、とても充実した内容でした。かつて渡辺美智雄先生が「確信犯が20人いれば世の中は変わる」と仰っていたことを思い出します。
 「自民一強」は、人口や財政、社会保障の持続可能性の回復、安全保障の法制や装備・人員の整備など、今やらなくては日本の将来が危ういことに対して、たとえ強い批判があってもその解を見出すためにあるものです。
 1868年の明治維新以来、日本人は半世紀に一度、「グレート・リセット」を行って国家を再生・発展させてきた、との見方があります。再来年は明治維新から150年。1968年の明治100年以降、日本はグレート・リセットを怠ってきたのではないでしょうか。己の責任を痛感しつつ、今こそもう一度それが必要な時であると考えています。
 研修会では私も40分ほど話し、その8割を政策論に割いたのですが、報道は「石破氏 総裁選に意欲」というものばかりで、どうせそんなものだとわかってはいるものの、とても残念な思いがしたことでした。
 健全な民主主義は健全な報道があってこそ成り立つものなのですが、政局偏重の報道ぶりには危惧の念を感じずにはいられません。

 現時点で直近の詳細な状況はわかりませんが、北朝鮮の度重なる核実験については、その意図、就中金正恩体制移行後のそれを多角的に、詳細・精密に分析しなくてはなりません。北朝鮮は「瀬戸際外交」を企図するというより、アメリカの大統領選を睨んで冷徹に核抑止力の保持を志向している可能性も決して否定できません。
 この春36年ぶりに行われた労働党大会、その後の最高会議における憲法改正の意味、中国の北朝鮮に対する対応と同じく隣国で核実験を行ったパキスタンに対する対応との類似点など、論ずべき点は多々あります。

 先週末は千葉県いすみ市、今週水曜日・木曜日には北海道幌加内町に行って参りました。
 派手ではなくとも、今地元にある魅力を最大限に生かし、発信していくという地方創生の理念に共感し、呼応して頂いている自治体や民間の方々は確実に多くなりつつあることを実感しています。
 いすみ市の鉄道を生かしたまちづくり、幌加内町の町立高校の独自の教育(そば打ちが必修科目)による人づくりなど、それぞれの地域の素晴らしさに大きな感動を覚えた1週間でした。

 週末は、10日土曜日が自民党「とちぎ未来塾」中央研修会で講演(午前10時・党本部)。
 11日日曜日は「今枝宗一郎衆院議員を育てる会」「同君の自民党国土建設委員長就任祝賀会」で講演・挨拶(午後6時・ゲストハウス プリエール・愛知県豊川市)という日程です。

 夏はいつもあっという間に過ぎ去ってしまい、気がつけばもう秋の中にいるというのが昭和54年の就職以来37年間ずっと続いていますが、今更ながらに自分のオンとオフの切り替えの下手さ加減が嫌になります。いつも書く「待て暫し。やがて汝もまた憩わん」(ゲーテ)というのは本当かな…。

 9月も半ば近くになりましたが、残暑厳しい日々が続きます。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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