2020年1月17日 (金)

阪神淡路大震災から25年など

 石破 茂 です。  阪神淡路大震災から四半世紀が過ぎました。発災した時、私は地元の自宅で就寝中でしたが、鳥取も経験したことの無い揺れに見舞われ、妻や当時まだ小さかった娘たちの無事を確認した後、慌ててテレビをつけ、神戸の惨状に呆然としたことをよく覚えています。  京都大学防災研究所の矢守克也教授は「大震災と名の付く三つの災害の死亡原因は、関東大震災では9割が火災、阪神淡路では8割が建物倒壊、東日本では9割が津波によるものと、それぞれが全く異なるのであり、次はどのような災害なのかという想像力が非常に大事である」と述べておられますが(本日付毎日新聞朝刊)、まさしく然りと思います。その意味からも防災省(仮称)の創設は喫緊の課題ですが、神戸市や兵庫県がこれを強く主張しても一顧だにされない現状には憤りに近いものを覚えます。  何故か日本ではあまり報道されませんが、トランプ米国大統領は13日、イラン革命防衛隊司令官殺害の理由について,「米国に差し迫った脅威があったかどうかは、彼の忌まわしい過去を見ればどうでもいい」とツイッターに投稿しました。しかしこれは前回も触れたポンペオ国務長官の「司令官殺害の法的正当性について、政権内で徹底的に議論した」という発言とは根本的に齟齬があるとしか思われません。  アメリカなら何でも許される、というのはあり得ないことであり、その論理立ての当否はともかくも、アフガニスタンやイラク攻撃の際はそれなりの国際法的な正当性を主張したはずで、今回のような乱暴な発言が当時の米ブッシュ(子)政権から出たことはありませんでした。  国際法の解釈はそれぞれの国に委ねられており、他国が論評することは適当ではない、と言ってしまえばそれまでですが、唯一の同盟国であり中東地域の安定が死活的に重要である我が国としてこの攻撃の法的正当性について思考停止に陥ることがあってはなりません。これはアメリカのみならずイランの報復攻撃についても同様です。

 河井克行前法務大臣と配偶者たる河合案里参院議員が15日夜それぞれ会見し、「国会に出席せず説明もしなかったのは、捜査や国会審議に支障をきたすことを避けるためだった」と述べたことには少なからず違和感を覚えました。自身の潔白を国会の場で説明することがどうして捜査や国会審議に支障をきたすのか、私にはよく理解が出来ません。捜査や国会審議を促進することになりこそすれ、阻害するとは本末転倒なのではないか。会見するなら直前に通知するのではなく、もっと早くに告知し、しかるべき場所を設けて丁寧に時間をかけて潔白を明らかにした方がご自身のためであったはずです。

 かつてリクルート事件や東京佐川急便事件の際、中曽根元総理や竹下元総理のような方々は、証人喚問に応じてでも説明責任を果たそうと努力されたと記憶しますが、あのような自民党の気風は何処へ行ってしまったのでしょう。  地元に多くの反対がある中で敢えて河合案里氏を参議院公認候補として擁立し、二議席独占を目指した背景には、元自民党参議院会長でもある現職の溝手議員が、第一次安倍内閣で国家公安委員長在任中に安倍総理を批判したことが根底にあると一部で報道されています(結果は野党系候補と河合氏が当選し、溝手氏は落選)。一国の総理たる方やその周辺によもやそのようなことはないと思いますが、厳しい選挙の遺恨は地域に長く残るのであり、公認候補の選定に当たっては今後更に公正・公平を期すことが、自民党の有権者に対して果たすべき責任です。  13日成人の日にはBS日テレの番組収録で京都の叡山電車「きらら」「ひえい」に乗って鞍馬山まで行って参りましたが、オフシーズンにも拘らず世界各国や全国からのお客様で大変な賑わいでした(放映は1月24日と31日、午後10時から)。  全国には多くの観光列車の取り組みがありますが、そこにある素晴らしい観光資源に甘んじることなく、地域の魅力を最大限に磨いて付加価値を高めている取り組みには学ぶべき点が多くあると感じました。「出発地型」ではなく「着地型」観光の好事例と思います。京都観光の機会があれば是非一度お出かけになってみてください。  週末は18日土曜日が「細川珠生のモーニングトーク」出演(午前7時5分・ラジオ日本・収録)、鳥取県看護連盟新年会(正午・米子市内)、鳥取県歯科医師会新年祝賀会(午後4時半・鳥取市内)、鳥取県自動車整備振興会中部支部新年互例会(午後6時半・倉吉市内)。  19日日曜日は「NIKKEI日曜サロン」出演(午前9時半・BSテレ東・収録)、鳥取県保育推進研究大会(午前10時・倉吉市内)、吟道翔風流日本吟翔会新春雅詠の集い(午前11時半・鳥取市内)、自民党湯梨浜町東郷支部新年会(午後1時・湯梨浜町内)、岩崎元孝氏藍綬褒章受章祝賀会(午後1時・倉吉市内)という日程です。  今週も慌ただしい一週間でした。来週20日月曜日には通常国会が召集されます。  皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2020年1月10日 (金)

年末年始など

 石破 茂 です。
 新年おめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
 
 昨年末のゴーン被告のレバノンへの逃亡、新春早々のアメリカのイラクにおけるイラン革命防衛隊コッズ部隊ソレイマニ司令官殺害など、何かと我が国の対応を問われる事案が発生した年末年始でした。
 報道はほとんどゴーン批判一色でしたし、一時期「日産の救世主」とも謳われたゴーン被告にも様々な顔があったようです。彼の主張を否定も肯定もする材料を何ら持ち合わせませんが、国外逃亡を易々と許してしまった責任は何処にあるのかを誰も追及しないし、説明もないことはどうも釈然としません。出入国管理関係者が「プライベート・ジェットはどうしても検査が甘くなりがち」などと平然とテレビで語っている映像を見ると、日本のテロ対策は大丈夫かという大きな不安を感じます。この改善は何にもまして急務です。
 15年ほど前、地方空港や港湾のCIQ(税関Customs、出入国管理Immigration、検疫Quarantine)体制の充実を図り、インバウンドを加速させるべく、私が会長となって自民党内で「CIQ体制整備推進議員連盟」を発足させたのですが、この問題についても併せて取り組まねばならないと考えております。何故、品川駅から新大阪駅まで衆人環視の中、新幹線で移動が出来たのか。犯罪捜査の際、防犯カメラに写された映像が放映される機会も多いのですが、今回はこれが一切ないこともとても不思議に思われます。「痛快大逃亡劇」などと興味本位で取り上げるようなものでは決してありません。

 

 アメリカ軍によるイラン革命防衛隊部隊司令官の殺害は、「自衛権の行使」として評価しうるものなのでしょうか。殺害はイラク国内で行われたのであり、主権国家である他国の領域内でその承諾なしに自衛権による武力行使が可能なのでしょうか。
 アメリカはイラン革命防衛隊を「テロ組織」として認定していますが、これは国際紛争の主体たり得るのでしょうか。ポンペオ米国国務長官は「この軍事力行使については、事前に政権内で法的な正当性について徹底的に検討した」と述べていますが、それがいかなるものであるのか、唯一の同盟国である我が国はそれを質すべきですし、報復攻撃を行ったイランもその国際法的正当性を国連安保理の場できちんと述べるべきです。
 近年、国連は紛争予防や解決に対する力を急速に失いつつあるように見えますが、国際的なシステムが国連しか存在しない以上、日本としてその機能の回復に向けた努力を最大限に為さなくてはなりません。中東地域の安定は我が国にとっても死活的に重要であり、北東アジアの安全保障環境の不安定化は、我が国にとって国連を活用する必要性がより一層高まったと認識すべきものです。
 創設の提唱国であった米国が加盟しなかったことによって国際連盟はその役割を果たせず、第二次世界大戦を防ぐことが出来ませんでした。国際連合がその轍を踏まないためには、不断の努力が必要です。国連の実態をある程度知ったうえでも、敢えてそのように思っております。

 

 週末は11日土曜日が岩美町新年挨拶交歓会(午前10時・岩美町中央公民館)、藤井一博鳥取県議会議員新年互例会(午前11時・鳥取県湯梨浜町内)、鳥取県東部歯科医師会新年祝賀会(午後5時半・鳥取市内)、中部歯科医師会新年祝賀会(午後6時・倉吉市内)。
 12日日曜日は「あいサポートとっとりフォーラム20」で野沢和弘・毎日新聞論説委員と対談(午後1時・米子市文化ホール)。
 13日月曜日成人の日はBS日テレ「深層NEWS・政界鉄ちゃん与野党あいのり旅」収録(午後1時・京都市内・放映は1月24・31日午後10時~)という日程です。

 また、16日木曜日午後9時からの読売テレビ「秘密のケンミンShow」にも出演しています(収録済み)。お時間が許す方は、どうぞご覧ください。

 あっという間に平常モードに戻った一週間でした。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

 

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2019年12月27日 (金)

地元の教育など

 石破 茂 です。
 統合型リゾート(IR)にカジノを併設する本来の目的は、その収益を国際会議場や展示場の利用料低減のために充てて国際競争力を確保するというものであり、カジノそのものが自己目的ではなかったはずなのですが、そのあたりの議論が不十分であったように感じています。
 逮捕された秋元司議員については論じる知識を持ちませんし、今後の捜査や裁判の進展を注視する他はありませんが、統合型リゾートについての国民の理解を十分に求める努力が更に必要です。

 先週23日土曜日の鳥取市青翔開智中・高等学校での「真の教育改革は地方から」というテーマでの講演は、私にとっても勉強になる有り難い機会でした。内閣府の調査によれば、小・中学校で学年が上がるごとに「地元に愛着を感じる」度合いが低下するのだそうで、高校生となれば尚更のことと思われます。「東京をはじめとする都会で勉強するのは、そこで得た知識を地元で生かすため」という教育の価値観は、昨今あまり見受けられません。
 エネルギーと食料を生産し、出生率の高い地方が衰退し、政治・経済・文化の中心地ではあってもエネルギー・食料はほとんど生産せず、出生率が全国最低の東京だけが残る、というような国家は持続可能性を持たないのであり、地方の潜在力を最大限に伸ばすとともに、東京が抱える災害に対する脆弱性や歴史に例を見ない高齢化などの負荷を低減し、国の在り方を根本的に変えるのが「地方創生」だったはずなのですが、時間と共にその認識が薄れつつあるようです。
 首都一極集中が進み、地方が衰退するという現象は先進成熟国家に共通の現象ではなく、明治以降、そのような国を設計し、ここまでの成功を収めたことが限界に達した今こそ、一度原点に立ち返り「地元を愛し、発展の可能性を見出し、目的意識を持って学ぶ」教育を実現することが必要です。
 ほとんどの都道府県立高校の入試で地元に関する出題はなされておらず、当然それを学ぶ機会もあまりないと思われますが、学習指導要領はあくまで「その範囲を逸脱しなければよい」という性格のものであり、地域によって独自の教育を施すことは十分に可能なはずです。

 地方創生のみならず、歴史を将来の糧とするためにも地方との繋がりは重要です。戦艦武蔵の最後の艦長を務め、レイテ沖海戦で艦と運命を共にした猪口敏平海軍少将、神風特攻隊の命名者で特攻隊の先任参謀であった猪口力平海軍大佐の兄弟(鳥取市賀露町出身)や、ただ一人で戦時国際法を論じて戦犯裁判を戦い、自分が罪をすべて負って部下を守り抜いた東海軍管区司令官の岡田資陸軍中将(鳥取市江崎町出身)の生き様を学ぶことは、太平洋戦争の教訓を得るにあたってとても有益です。
 猪口艦長については吉村昭の「戦艦武蔵」(新潮文庫)、岡田中将については大岡昇平の「ながい旅」(新潮文庫)をお読みいただければと思います。なお藤田まこと主演の映画「明日への遺言」(アスミック・エース配給・2007年)は岡田中将の「法戦」を客観的かつ淡々と抑えた表現でリアルに描いた作品です。

 報道は「来年は政局の年」と煽り、その中には必ず私の名前が登場するのですが、自分の持つ内容の薄さを少しでも克服し、政治に誠実さと真摯さを取り戻すべく、日々精進努力する他はありません。来年も皆様のご教導をお願いする次第です。何卒よろしくお願い申し上げます。
 年末年始は、28日土曜日が鳥取中央農協役職員・青年部・女性部幹部との忘年懇親会「第27回ミッキー会」(午後6時・倉吉市内)。
 31日大晦日は「列島縦断Live景気満開テレビ」生出演(午前7時・フジテレビ系列)、年末恒例の「どんどろけの会」行く年来る年の会(午後11時・東部事務所・鳥取市戎町)。
 元旦は実践倫理宏正会鳥取会場元朝式(午前5時・鳥取卸センター)、自民党国府町支部因幡一の宮宇倍神社参拝(午前8時・同神社)、自民党国府町支部新年会(午前8時半・同神社参集殿)、という日程です。
 「景気満開テレビ」出演も今年で確か10回目となります。忙しい大晦日の朝7時からテレビを観ている人もそう多くはないと思うのですが、伝統の技術を生かして世界でも高く評価されるブランド鋳物メーカーとなった「能作」の能作克治さん(富山県高岡市)、手巻き寿司で二兆円を売り上げる「マイスター工房八千代」の藤原たか子さん(兵庫県多可町)、金沢の金箔加工現場で働く女性の美肌作りの工夫を生かした商品「まかないこすめ」を開発した「ディーフィット」の立川真由美さん(新宿区神楽坂)など、全国の素晴らしい方々とお知り合いになることができ、地方創生について多くの学びを得たことには心より感謝しております。
 当選前年の昭和60年より三十数年来、大晦日から元旦にかけて事務所前で「お茶配り」を行ってきたのですが、鳥取駅前でのカウントダウン行事が無くなったこともあって事務所のある商店街の人通りがほとんどなくなってしまいましたため、今年から「行く年来る年の会」として事務所内で行うこととなりました。どなたでも出入りご自由ですので、もしお通りがかりになることがあれば、是非お立ち寄りください。

 今年の当欄は本日が最後となります。
 皆様ご健勝にてどうかよい年をお迎えくださいませ。

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