« 農林水産省改革チーム 第一回 | トップページ | 事故米→バイオエタノール、について »

2008年10月 3日 (金)

農本国

石破 茂 です。 

 農林水産大臣になって一週間が経ちましたが、なんだかもう一年以上やっているような気がするのは何故でしょう…って、なって2日目にも書きましたね。

 主に事故米問題の対応に忙殺されていますが、これは農林水産行政の象徴的な事例として捉えるべきものなのだ、との感を深くしています。
 外国から米が入ってこないようにするため、高い関税率を設定する代わりに、ミニマムアクセス米を国内産米が余っているにもかかわらず輸入せざるを得ない。しかし、これによって減反を強化することはしない。従ってMA米は、食用以外の用途や援助米に使わざるを得ないのですが、この仕組みを一体どれだけの人が知っているのでしょう。そしてこの間、日本の稲作の生産性はどれほど上がり、どれほどコストが下がり、生産者と消費者にどれほどの利益がもたらされたのでしょう。
 このような「そもそも論」はえてして嫌われますが、本質的な「そもそも論」を避け、その場しのぎの対策を立てて結果が思わしくなかったときには、責任者は既にいなくなってしまっているのが今までの通例であったように思われます。
  
 与野党を問わず、一部の政治家や政党、或いは官僚が、選挙目当ての党利党略や組織防衛、個利個略に走り、商業ジャーナリズムもこれまた一部を除いて農政には無関心、結局納税者や正直な生産者、消費者が馬鹿を見るようなことはやめにしなくてはなりません…なんて言うと、また「一体それは誰のことだ!何の根拠があって言っているのだ!立場をわきまえて発言しろ!」と吊るし上げられそうですが…
 日本農業にとって一番深刻な問題は農業者の極端な高齢化です。ずっと昭和一桁生まれの方々が一貫して日本農業を担っていたのですが、これが一体いつまで続くのか。ある時突然に日本から農業を担う人がいなくなってから慌てても遅いのです。農政改革は本当に今がラストチャンスなのだという強い意識をもって臨んでいます。

Sdscn0322

(鳥取の20世紀梨。そろそろシーズンも終わりです。)


 昭和56年に亡くなった父が、鳥取県知事在任中、色紙によく「農本国」と書いていました。
 めったに酔わない人でしたが、たまに酔うと「お前は百姓の倅ではないからろくな者ではない」などと言っていたのを覚えています。
 「あなたが内務省なんかに入ったからそうなったんでしょ」と言いたくもなりましたが、とにかく農業には強烈な思い入れを持った父でした。

 今日は参議院本会議。
 田中康夫議員から私に質問がありましたが、田中議員一流の演説で私のことを「プラモデルの大家」「下から目線(勿論誉めていっているのではありません)」などと表現され、不徳の致すところとはいえ、ちょっと寂しい気がしたことは事実です(涙)。

 明日は選挙区と徳島、明後日は選挙区と東京で月曜日の予算委員会に備えての答弁検討会。
 やはりなかなか休めませんね・・・・・。

|

« 農林水産省改革チーム 第一回 | トップページ | 事故米→バイオエタノール、について »

コメント

好きを我慢するのは体に毒。
自分の責任でするならば、別に構わないじゃないですか。

従って「聞き流す」これが正解です。

でも政策のヒントになりそうなことがあれば
聞き流さずにアイディアを頂くと吉
・・・と言えば釈迦に説法になってしまいますね(笑)

投稿: 脂肪遊戯 | 2008年10月 3日 (金) 18時27分

私の実家もお米を作っています。

現在は80を超える祖父・祖母と定年を迎えた父母とがやっています。私はひとり離れて東京で働いています。なので農業者の高齢化問題は決して他人事ではありません。

たまにふと田んぼのことを考えます。今後どうしていくのが一番いいのかと。父母もいずれは老います。いずれは私が今の仕事を辞め、田舎に帰るべきなのかと。もしそうなった場合、収入はどうなるのか。ちなみに私はひとりっ子です。

日本の農業の問題は農業者の高齢化だけでなく、少子化、職業間・地域間収入の格差など様々なことが絡んでいるとても難しい問題だと思います。結婚もしてなければ子供もいない私には言えないことかもしれませんが。

私はいわゆる無党派ですが、石破さんがおっしゃてることはとてもわかりやすく、選挙ではなく、国民のために働いてる方だという印象があるので、いつも応援しています。

国民には自分たちが選んだ政治家の言葉を信じるしかありません。私たちのためにこれからのご活躍期待しております。

もちろん、たまにはご家族とゆっくりなさってくださいね。

投稿: az | 2008年10月 3日 (金) 20時15分

こんばんは。

本日の「代表質問」をお昼は携帯ラジオで、帰社後はインターネット中継で拝見致しました。
これから、ムダな農地改良や農道建設についても議論されるでしょう。
更に申せば、農協による都市部の住宅建設や非農業従事者への融資など、どこが農業協同組合と呼べるのか疑問です。
エンドユーザーと、「農家」の立場に立った改革をお願い致します。

PS 代表質問での国会議員の出席者って少ないものですね。
出欠を公表できるシステムも大切かと思います。

投稿: マイスター | 2008年10月 3日 (金) 20時17分

参議院本会議での田中議員の質問をハウス内で除草しながら聞いていました。石破さんへの質問の時、田中議員はやや躊躇しているような雰囲気がありました。田中議員の心の中では「がんばれ」と応援しているのではないかとさえ感じられるほど、声のトーンが下がっていました。野党の議員の中にも心の中では応援している人(例えば菅さん)もいると思います。

 毎日大変だとは思いますが、農水省と農協系統のなれ合い(癒着)を多少でもチェックしてもらえたらありがたいです。全国連、特に全農と共済連は存在意義より弊害のほうが大きいです。農水省は省益のために系統への指導を故意に手抜きしているように思えてなりません。
 MAFFにしても系統にしても、これ以上農業をねたにして私腹を肥やすのはやめて欲しいです。

投稿: 鈴木主幸 | 2008年10月 3日 (金) 20時28分

今日の参議院本会議、酷かったですね。あまりの酷さに
途中でTVの電源を切りました。目的はどうあれ、他人を
中傷する言葉は、聴いていてとても不愉快です。
中傷しなくても、意見を述べるのになんら不都合は
ないのですから。あれを見た子供達はどう思うでしょう。
品位を疑います。
ネガティブ・キャンペーンも戦術の一つと言う方がいるかも
しれませんが、日本人には馴染まないと思いますし、
ネガティブ・キャンペーンのようなことをしないのが
日本人の美徳だと思うのですが。

投稿: htomo | 2008年10月 3日 (金) 20時41分

石破大臣。

そんなことはありません。

「そもそも論」は是非欲しいところだと思います。農政は、あなたがおっしゃる通り、根本からの改革が必要で、そのためには「そもそも論」は絶対に必要です。

今までの農政、その全ての象徴たる汚染米問題ではありますけど、どうか、是非、他の農業分野、特に、いつもみんなに食される特別でない、また、特別な価格で無い、必要とされるものを誠心誠意作っている他の分野にも目を向けて下さい。

全てを大きく変えていく必要は間違いなくあります。

けれど、私の場合、純粋に自身の立場で話をするなら、今、本当に、滅びてしまいそうな酪農家を金でなく力で助けて欲しいのです。
これも、本質は構造的問題と国際的問題。
また、「小売り最大権力強し」の構造、そう言った売り買いの問題。
海外に原料を依存するというよりそれが推奨されたが為に出てきた、今の状況の問題に発端を持つ餌高。
意図しない法律の規制でやむなく規模や条件を鑑みることなく全ての農家が負った負債の返還を含めて史上最大のピンチに陥っています。

私達が望むのは、正当な価格に対する権利をメーカーや小売り業者に堂々と主張すること、また、正当な価格を勝ち取る事です。
良心がある農家であればあるほど、このままでは滅びます。後は、変にすれば良心の無い殺伐とした砂漠になります。

国も、国民も、安全が欲しいのであるなら、その対価を持って、自身の安全を保証して欲しいと思います。特別なものでなくても日本の農家はそれをしてきました。ただ、外国製品の安さは細やかな日本の農業を易々と超越してしまうのです。外国製品が危険なのでなく、危険な外国製品もあるというのが本当です。
日本の農業は、国家としての規制、また、農家自身のプライドと良心が伴った生産が売りなはずです。農家はそう言うものなんです。

投稿: 露 です。 | 2008年10月 3日 (金) 20時43分

参議院本会議、お疲れ様でした。
テレビで少しだけ、拝見させて頂きました。大丈夫ですか?顔に疲れが出ているように感じられました。休める時に休んでくださいね。

それにしても、田中議員の「下から目線」発言は、あんまりですね。私自身は、石破さんの事を、野党の人間からもマスコミからも、突かれにくい人だと思っています。何か、粗を探して言うのは、政界には付きものなのですね。石破さんは、上から目線でも、下から目線でもありません。ちゃんと、国民の立場に立っています。強いて言うなら「横から目線」です。自信を持ち続けてください。

私も、国民を守る仕事をめざして、今、頑張っている最中です。総裁戦以来、石破さんに興味を持っています。そして、石破さんのおかげで、政治にやっと興味が持てるようになったのです。すごく、感謝しています。これからも、もっと、石破さんの考えを知りたいし、色々教えて欲しいのです。だから、ちょっとやそっとの事で、めげないで下さいね。世界は違うけど、私も荒波に揉まれに揉まれています。頑張りましょう。

投稿: ネネ | 2008年10月 3日 (金) 21時11分

食欲の秋ですね。石破さん、ちゃんと食事とってますか?毎日忙しくて、味わって食べてますか?農家の人が苦労して作ったんだから美味しく頂きたいですね。ボチボチ実家の福島から新米送られてくるんですが、悲しい事に父親の代で米は終わりだと言ってます。そんな両親も70になろうとしてます。米作りは難しいし大変です。減反減反で自分の田んぼなのに米作れないし。なんとかならないのかな…。

投稿: ユウコ | 2008年10月 3日 (金) 22時17分

大変な時に一所懸命頑張っている人の姿が
わからなくなるほど、国民の目は弱って
いませんよ(^_^)
一度は組織の長になられたお方にしては、
また言葉のプロだった方にしては、言葉を
大事にされていないなあという感じがして
少々残念に思いました。<田中氏

私の伯父は米作りをしています。
台風が直撃したときに心配になって、
「稲は大丈夫?」と尋ねたことがあるの
ですが、それがとても嬉しかったそうで、
あうたびに
「あの言葉は涙がでるほど嬉しかった」
と言われます。
自分の作る米の品質に誇りと自信を持って
いて、実際とてもおいしいです。
でも、減反やら高齢による作業の辛さやら
後継者の問題など、現実は厳しく、誇り
だけではやっていけない状態です。
どうか、農家の方たちの仕事が日本を支え
ているということを、決して忘れていない
ということを、これからも伝えていっていただけ
たらと切に願っております。

毎日お疲れかとは思いますが、どうぞお体はお大事に
なさってください。

投稿: ももんが | 2008年10月 4日 (土) 00時49分

石破さん、こんにちは。初めて書き込みさせて頂きます。
毎日の激務、本当にお疲れさまです。
私達の代表として日々闘ってくださること、本当に頭の下がる思いです。
さて、件の議員の発言ですが、政治家を糾弾したり評するのに政策面や政治的能力でなく外見や趣味のことをあげつらうような輩のことなど、お気になさる必要はないかと存じます。……とはいいましても、気分の良いものではないですよね。まったく失礼なことで、まるで自分のことのように腹が立ちます。
私は、いち国民として石破さんのご活躍を期待しております。
石破さんが行う政治を、楽しみに拝見させて頂きます。
どうぞこれからも日本を、どうぞよろしくお願い致します。
陰ながら応援しております。
乱文、失礼致しました。

投稿: ゆりえ | 2008年10月 4日 (土) 02時52分

何を言われても、石破さんの後ろには深い信頼を持った国民が大勢います。
今の真摯な姿勢が貫かれていけば、支持する国民は増えこそすれ減ることはありませんから^^v
くだらない揶揄をする人は、国民からドン引きされて眼を向けられなくなるのがオチです。
どうかお体に気をつけて頑張ってください。
体調を崩されたら元も子もありませんから・・・(TT)

投稿: 小宮 | 2008年10月 4日 (土) 16時20分

市ヶ谷時代に石破さんがトライをしようとしていた件について、永田町の方に何故賛同してくれないのか?と伺ったところ、「先生方が自分の金や数字にならない事に手を出す訳がない。国民のためとは言え、石破さんは甘いよ」と返答されて絶句した事があります。
あなたも日本国民のひとりではないのか、と。

永田町はそんな世界なのかもしれませんが…石破さん、日々のご活躍とご健勝をお祈りしております。


あと、疲れにはアミノ酸も良い様です。蛇足にて失礼を。

投稿: カヒカ | 2008年10月 4日 (土) 20時17分

代表質問は衆参全て録画して見ました。言いたい事を言いっぱなしで大荒れでしたね。昨年頃からやっと苦しい酪農家の現状が、国会中継の中で聞かれるようになってきました。自分はその現場の人間ですので、期待をして見ているところです。しかし残念ながら出てくる言葉の中には、なかなか光るものが無く遅すぎると言ったのが実感で、手応えがありません。田中義剛さんの様なやり方もあります。ありますが、全国的にみるとそれをみんながする訳にもいけませんし、多くの酪農家が交渉力を持てないのはおかしい限りです。まず酪農界は構造を変える必要があると思います。もうすぐ寒くなります。すると乳価は下がり、その上に購入の海外乾草の価格が上昇する流れになっていて、穀物畑増加のぶん慢性的と予想します。さらにBSEの時並みの子牛価格・・・。このままでは酪農家の離農は更に更に確実に進んでいくでしょう。失礼な質問で恐縮ですが、石破さんあなたに酪農家を救う事ができますか期待してます。

投稿: アスカ | 2008年10月 4日 (土) 21時04分

お疲れじゃないんですか。「日曜日もありません」などと仰らず、休みは取って下さいね。
何をするにも体が資本ですから。
二十世紀梨おいしいですね。
私は梨の方が好きなんですけどね。
昨日スーパーで鳥取産のらっきょうを買いました。
中国産に比べるといささか値は張るのですが、
安全性を考えると、やはり国産になってしまいます。
らっきょうに限らず、口に入る物はなるべく国産を選ぶようにしています。どんどん消費する事で、生産者さんに安心して作って頂いて、そして食糧自給率を少しでも高めていきたいですね。

投稿: ちねん | 2008年10月 5日 (日) 00時53分

下から目線って・・誰が上で誰が下なんでしょうね・・
国民目線のことを言っているのでしたら
国民をバカにするにも程があると思います。

みのMさんの番組に石破さんがご出演された際、
「末端」という言葉を何度も使って事態を憂うMもんたさん。
しかし石破さんは「私は末端という言葉は嫌いなので使いませんが」と
静かに、しかし毅然と仰ったのを思い出しました。

投稿: はるみ | 2008年10月 5日 (日) 15時40分

石破さん、お疲れ様です。
「一週間が一年に感じた」とは、さぞや心身ともに激務であることとお察しします。どうかお身体を大切になさってください。
私は石破さんの農政に期待しております。私は今、秋田に住んでいるのですが、そこかしこに田んぼがあり、とりわけ今は稲刈りの時期。黄金色に輝く稲穂を見ると、「減反」など考えられない状況です。これは、東京に住んでいたときには思い付かないことでした。
石破さんのお父様と比べるのは大変不遜ですが、昨年他界した祖父も、もともと農民でした。稲を愛し、山を愛し、趣味である短歌集を自費出版したときの本の名前は「稲の花」でした。
地方のこと、農業のことは都会に住んでいるとまったく見えません。(私自身そうでしたから。)
それと、「下から目線」発言は、失礼甚だしいと思います。そういった場で人を馬鹿にするような発言をする人がいるということが残念でなりません。
私は、石破さんは、非常によい意味での「下から目線」だと思います。仰っていることひとつひとつが丁寧で国民の視線に立っておられると思います。

投稿: まみ | 2008年10月 5日 (日) 22時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 農本国:

« 農林水産省改革チーム 第一回 | トップページ | 事故米→バイオエタノール、について »