G8農相会合に行ってきます
石破 茂 です。
イタリアのチソン・ディ・バルマリーノ(もちろん行ったこともありませんが、ベネチアから北へ車で一時間程度のところらしいです)で開催されるG8農相会合出席のため、本日夕刻の便で立ち、20日月曜日午後帰国します。
これを「一泊4日の日程」(出張は足掛け4日間だが、ちゃんとした宿舎で寝るのは一晩だけ)と称するらしいのです。年がら年中こんな強行日程で海外出張している総理や外相に比べればラクなものでしょうから、不平を言うつもりはありませんが、それにしても…。
要は「国会審議に影響を与えてはいけない」ということで、それはそれで大事なのですが、閣僚は国家国益を代表して海外と充分に意思疎通を図るべきであり、そのために閣僚級を副大臣として登用して国会にもきちんと対応する、確かそんな趣旨で副大臣制度を作ったはず、というのはこの前、ダボス会議の時にも書きましたね。
でも、国際会議に出るたびに思うのですが、主要国の閣僚は普通何年かはその任にありますので、互いに顔なじみ。個人的にも親しくなり、信頼関係も生まれます。国際交渉は通常何年も継続しますので、過去の経緯も充分に熟知しており、適切に国益も反映できるのですが、日本の閣僚はまず初対面。次の年はもう交代。加えて国会審議との関係で全日程出席することもまず不可能(今回の私も最終日は欠席で、農林水産審議官が代役を務めます)。これで本当にいいのでしょうか。
国家体制が違うので単純に比較はできませんが、中国の閣僚(他にも「閣僚級」というのが何人もいます)は頻繁に海外を訪れ、あちこちで影響力を強めています。正直、羨ましく思ったりもするのです。
G8の議題は「食糧安全保障に関する次の危機に対応するための国際戦略の探求」です。
日本では「フードセキュリティ」を「食糧安全保障」と訳していますが、FAOの定義では「フードセキュリティ」とは「すべての人がいつでも必要とする食糧を入手できるよう保障すること」となっており、随分とニュアンスが異なります。
世界66億の人口のうち、9億人が飢餓・栄養不良状態にあり、1日に2万4千人が餓死しているのが現実です。日本は世界に何を主張し、そして如何なる責任を果たすべきか。
防衛の世界においても「一国平和主義」は断固排されるべきですが、農業の世界でも同じ事が言えるのではないでしょうか。
| 固定リンク
コメント
海外の官僚と信頼関係が築けていない…
石破さんが言うとおり、日本は毎年と言っていいほど政府の中心の人が変わっています。
アメリカの大統領は誰ですか?アメリカの国務長官はだれですか?っと聞かれたとき日本人のほとんどの人が答えられると思います。
しかし、アメリカ人に日本の首相は誰かと聞いたときはほとんどの人が答えられませんでした!
規模が違うのかもしれませんが、日本も発展国として世界で少なからず活躍しているのに、誰も首相の顔すら知らないのです。
アンケートに答えたアメリカ人はこう言っています。
「日本はころころ変わるから覚えられないよ。」
首相ですら知らないのに、他の人まで覚えられますか?
これでは、信頼関係など上辺だけになってしまうと私は思います。
これからこの不況の中で必要なことはコミュニケーションを今まで以上に取り合うことだと思います。
投稿: 学生 | 2009年4月17日 (金) 20時48分
石破大臣さま
国際会議ご出席ご苦労様です。日本の大臣には珍しい論客としての石破先生ですから日本国としての充分な主張をしてインパクトを与えて無事にご帰国なされますよう祈念しております。ところで:
今回の5年ぶりの農政改革のポイントは6項目あるそうですが、そのひとつ「農業担い手の確保」は一番大切な項目だと考えます。
その中の「新規参入の促進」という意味が他業種からの転職組みだけに眼が向きがちなことを非常に心配してる者の1人です。マスコミがどの会社も一律にここだけに着目して大騒ぎをしているからです。新規参入者には農家の子である後継ぎも(たとえ数が少なくても)該当することを決して忘れてはなりません。農家に生まれても殆どの子供たちは高校卒業後、都会に逃げて行ってしまいますし、親も農業の現状と将来にみぎりをつけ、それを止めようとはしません。
それどころか出て行った子が「帰って農業を継ぎたい」と言うと、親は「生活が厳しいから継がないほうがいい。ほかの仕事をしなさい」と反対さえします。農業者の収入があまりにも低いのが現状だからです。そこで私の提案ですが:
農業を継いだ者には定着できるまで(親から仕事のノウハウを伝授してもらい、それらが一通り身に付くまでの少なくとも5年間位)は応分の手当てを与える位の思い切った農業後継者対策を考えて欲しいと大臣にお願いしたいのです。
現に国、県、市などの行政機関が行政委員報酬として支出している多大な金額を考えれば、今後の国家的戦略として十分に対応できるはずです。因みに上毛新聞21.4.15の第1面によると群馬県教育委員長、選挙管理委員長の月額報酬が活動日数1日で人事委員長、労働委員会長が2日でいづれも20万1000円、監査委員のそれが活動日数3日程度で34万7000円などと公表されました。彼らのような膨大な数の爺さんに対する こんなべらぼうな報酬は10分の1でも多すぎるはずで、これらを削って農業後継者対策に使ったとしても誰も文句は言わないだろうし、それによって農業定着者がグンと増えることになるのであれば将来の農業者確保に多大な好影響を生むことにまちがいありません。過酷な労働と劣悪な労働環境に嫌気が刺すなどの心変わりもなく、安心して技能教育を受けられるよう、さらに農業に従事することに使命感と誇りを持てるまで補償してやる後継者対策が必要だと考えます。先生が農水大臣の今、是非解決してください。それにつけても石破先生がこのブログで述べられているようにこのまま農水大臣を5年ぐらいは続けて欲しいものです。やれる大臣、できる大臣の石破先生のご尽力をよろしくお願いいたします。
投稿: 敏ちゃん | 2009年4月17日 (金) 23時29分
コンビニでバイトしてた時、賞味期限が1分でも過ぎたら廃棄してた食べ物。
せっかく用意してくれた食事もダイエットだっていって食べない。
餓死なんて考えもしないんだろうな・・・。
まず何を始めたらいいのだろうか?
1泊4日(--;)
気を付けて行ってらっしゃいませ!
投稿: ひなこ | 2009年4月18日 (土) 00時43分
でも食料自給率を高めることは必要だとおもうな~。
そのためにはある程度の規制は仕方がないかと思いますが。日本に限らず。
それが農水省に臨むスタンス。
農業に関しては「一国平和主義」を実現:戦略的に国民の「兵站の確保」優先ってことで経済的利潤追求ではない-が優先されるのでは?
「彼の国」の(輸出)食材の安全性が地に堕ちた今においては。
投稿: マッキー | 2009年4月18日 (土) 01時33分
大臣、お疲れ様です~イタリアでのG8農相会合、お気をつけていってらっしゃいませ。
日本の食の安全対策を世界にPR出来るいい機会だと思います。日本国内でもお米問題とかいろいろあったからこそ、苦い経験で農林水産省の職員の人達も、安全の対策を真剣に考慮する実感が沸くのだと期待しています。
大臣方の大事な世界的会議も、もっと日程的に余裕のある策を講じるべきですよね。幾ら『閣僚級を副大臣として登用して国会にもきちんと対応する副大臣制度を』を作っててもその制度を政治家達みんなが、理解し運用しなければ意味がありませんね。
G8農相会合の御成果を願って居ります。
投稿: makomako | 2009年4月18日 (土) 18時29分
比較は出来ないとは思いますが一般企業でも割と聞く日程です。
かなりお辛いでしょうが喜びも大きいはず。お早いお帰りをお待ちしています。
さてさて定額給付金ですがお陰様でこちら港区も申請書が届きました。とにかく一番の趣旨の景気対策効果が早く出るように、タンス貯金に行きそうな周囲には煩く消費を呼びかけてます(笑)
そんな私は石破大臣の著者を是非とも購入したいと思います。今からとても楽しみです。
私なりに一番有意義な使い道です。余りはどうしましょうねぇ、振り込まれる迄の宿題です。
投稿: ママ | 2009年4月18日 (土) 19時23分
頑張ってください!!応援しています!!
投稿: 大阪人 | 2009年4月19日 (日) 01時29分
学生さん偉いです。全く貴方の言うとうり密なるコミュニケーションです。
上毛新聞の記事のお話は大変響きました。なにを隠そう同郷人です。その教育委員会のお爺さん達の報酬?よくもその歳まで社会貢献の気持ちも育たず生きてこられた奇特な環境に同情申し上げます。
教育問題も根が深いですね、思えば私が登校していた小学校の隣にある教育学部から来る教育実習生の質には子供ながらに疑問がありましたね。
自給率ですが、石破大臣の櫻井よしこさんとの対談記事読みました。消費者が何を食べるか内容によって数字が変わってくるとのこと。私自身はかなり自給率高い選択をしています。
日本の食品が世界基準で安全かに対しては大きな?マークが付きます。有機認定もかなり甘いし添加物に化学塩に化学砂糖に農薬に、、、。デトックス食品を併用摂取しなければ、身体は悲鳴をあげます。
資本主義が優先されるゆえに安心して食べるものは本当に少ない現実だと思います。
大きい食品メーカーほど利益優先で内容怖いので私は避けます(笑)。
昔々かれこれ17年前頃のバブル崩壊の少し後頃、ある国連の方が景気を良くするには戦争と人材の流動と言ってました。今は正に人材の大流動時。未来にはかなり期待出来るでしょう。残る人消える人、残る企業消える企業。
日々様々な変化がありますが、勿体ないの物の大切にする精神が私自身含め世論に育ちつつあるって本当に素敵な成長だと感じます。
でも見ました。あるタワーマンションに住むお年寄りがスーパーのレジで一円のお釣りを塵の様に扱っていた姿を、不健康そうな腰の曲がったお婆さんだったけど素晴らしい反面教師でした。
投稿: ママ | 2009年4月20日 (月) 21時00分
日本の閣僚制度の問題により、対外的な場における日本のプレゼンスをパワフルに、長期的に発揮できないことに対して「これで本当にいいのでしょうか」と問題視するのであれば、変えていってください。
それが政治家の存在する意義です。
投稿: hiro | 2009年4月21日 (火) 02時13分
御久し振りです 我が身の不摂生から糖尿病になり減量をするため教育入院をしています病棟の中でいろんな人間模様を見る事ができ少し身体をやすめて脳を鍛えたいと思います閣僚に限らず内閣総理大臣がコロコロかわるのは今に始まったわけでは在りませんが議院在職期間25年定年制など衆議院完全小選挙区制150人参議院は完全比例代表制をとり300人とする案件が出ておりますがこれについて如何思われますか 大臣の御所見を御聞かせください
太田誠一議院が中心となっている議院会だと思います
投稿: 西村宏之 | 2009年4月22日 (水) 06時32分
お邪魔しております
食べ物を粗末にできる者達がいれば、一方では飢えに苦しむ人達がいて、日本国民の倍の人達が命を落としている。ここら辺は資本主義の限界なのでしょうか。冷たい現実ですね
投稿: ひこ | 2009年4月24日 (金) 16時49分
以前から不思議だったのですが、各省の副大臣が大臣の代行で国会答弁をするということは認められていないのでしょうか?
国際的な会合(G7やG8のような特に重要なもの)は国会審議よりも優先してもらうのが当然、という感覚は浸透してもらいたいと思っています。
そうでないと首相や外相(現状の兼務だと財相もそうでしょうか)は過労死してしまいかねませんし、後に続く人も摩耗するだけになってしまうのではないか、と見ていて良い心持ちがしません。
「アメリカではこうだ」などと外国の事例をあげる人は多いですが、サイボーグが政治家になっているわけではないのだし、今後何らかの改善がなされなくてはまずいのではないかな、と感じています。
※あまり知識がないので事実誤認もあるかと思います。ご了承くださいませ。
投稿: asa | 2009年4月25日 (土) 16時27分
深刻なお話なのに、識字ミスすいせんでした。
世界で一日に餓死する方の人口は、日本の人口の5000分の1でした。私が住んでいる田舎街の人口は24万人なのですが、それがたった10日で全滅すると考えると、ぞっとします。でも、世界の飢餓の現状など、日本国民にとってはリアリティ無い話なんですよねぇ。日本が資源乏しい貿易大国であるにも関わらず、安全保障政策や外交政策に対する国民の理解が乏しいのは、国境を持たない国ならではの島国根性というやつなのでしょうか。
低成長期に入った日本において、それらの政策を無視しては持続性ある経済活性も無いし、社会保障政策にまで悪影響を及ぼすというのに。石破さんとは考え方が比較的近いようですから、応援しております。
投稿: ひこ | 2009年4月26日 (日) 01時47分
初めて書き込みさせていただきます。今日、たまたま見ていたテレビに大臣が出てらして自給率についてお話されていたのを見ました。
前から気になっていたのですが自給率っていつもお米の話ばかりが中心ですよね。でも、お米はとりあえず大丈夫に見えるのですが大豆はどうなんでしょうか。
毎日、ご飯を作っている主婦としては肉や魚が入手困難になってしまうよりも醤油や味噌がないと困ってしまいます。
肉、魚、野菜が少しでも醤油や味噌があればある程度工夫でそれなりに豊かな食卓が出来ると思います。実際に我が家の給料日前の食卓はそれに近いときもあります。
大臣や農水省の方は大豆についてどう考えていらっしゃるのか教えていただければと思います。
色々お忙しいでしょうがお体ご自愛下さい。
投稿: ゆうこ | 2009年5月 4日 (月) 19時31分