北朝鮮の「飛翔体」発射
石破 茂 です。
北朝鮮の「飛翔体」発射で、安保理決議や制裁の議論が盛んに行われています。
これらもそれなりに重要で、担当の人たちは実現に向け努力を重ねていると思います。
しかし、日本国として今後いったい何をなすべきなのか。私自身は今は直接の担当ではありませんので、あるいは的はずれなことを言っているのかもしれませんが、さらに深い議論を重ね、中長期的な戦略論を早急に構築する必要があるように思われます。
1 弾道ミサイル防衛の精度をいかに高めるか。
以前とは異なり、宇宙基本法の制定によって、宇宙の安全保障分野での利用が可能となった今、我が国も早期警戒衛星を保有し独自性を高めるべきか否か。
そのために必要なのは技術か、予算か、時間か。
2 北朝鮮が、やがて米国まで飛翔しうるミサイルを保有することが予想される中、これをもイージス艦から迎撃できるミサイルの日米の技術開発を加速させるべきではないか。
将来的な集団的自衛権行使に関する議論の入り口は、まさしくここにあるはず。
3 米国の「核の傘」の実効性・信頼性を高めるために必要な日米間における議論とはなにか。
少なくとも以上の3点につき、議論を詰めておかなくては、今後に大きな禍根を残すことになりましょう。
これらは当然、研究者や官僚の一部ではすでに行われている議論なのですが、政治が正面からこれを受け止め、政策として採り上げなければ、ことは全く前に進みません。
今回何も被害がなくて良かった、北朝鮮は誠にけしからん、毅然たる姿勢を示し断固制裁だ!・・・と、それはそれでいいのですが、それだけで終わることがあってはならない、と考えています。
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コメント
石破先生、1~3にコメントをさせていただきます。
1 日本も独自に保有するべきでしょう。MDに関して言えば、アメリカの都合で日本の安全保障が左右されるようなことがあってはなりません。
将来的に日本で自己完結したMD体制を築くために、MDに必要な装備は全て自前で揃える必要があると思います。
2 弾道弾を迎撃する手段としては、海上発射型のABMだけでなく、地上発射型のABM、地上発射型のABL、空中発射型のABL、衛星発射型のABL、点だけでなく線や面での迎撃が可能な弾道ミサイル迎撃システムなどの研究も少しずつやっていくべきでしょう。
アメリカは過去に、日本に向けて核兵器を使用したことがあります。将来仮に、アメリカに向けて核ミサイルが発射されたとき、何故日本がそれを迎撃してやる必要があるのでしょうか?
日本に対して核兵器を使用したならずもの国家を助ける義理はないでしょう。
3 米国の核の傘の様な不確実な手段だけでなく、日本独自の核武装についての議論や研究も進めていくべきでしょう。
これらの議論ですが、今からでも既に遅いくらいです。
こうしたことを議論することすら許さないと言う考えを持った一部の政治勢力によって、
議論が妨げられるようなことはあってはならないと思います。
投稿: 佐藤 | 2009年4月 6日 (月) 22時23分
日米が共同開発を行っているMDの真の目的は、
北朝鮮の弾道ミサイルの無力化などではなく、
将来的にロシアや中国の弾道ミサイルを無力化することでしょう。
ロシアや中国は北朝鮮とは比べ物にならない弾道ミサイル戦力や核戦力を持っているし、
アメリカや日本の本土に核ミサイルの照準を合わせているでしょう。
アメリカからしてみれば、MDでロシアや中国の弾道ミサイルを無力化することにより外交上優位に立てる。
日本からしてみれば、ロシアに北方領土を不法占拠されていること、中国にアジアの覇者や大国の面をされるのはおもしろくないでしょう。
北朝鮮の脅威の様なおまけではなく、真の目的であるロシアや中国の弾道ミサイルの無力化と言う真の目的をもう少し宣伝してもいいのではないでしょうか?
将来日本が、ロシアや中国のICBMやSLBMを迎撃できる能力を獲得することを祈っております。
投稿: 飯塚太郎 | 2009年4月 6日 (月) 22時35分
なぜ石破さんのような方が首相になれないのでしょうか?どうすれば石破さんを本質的な意味での政治の中枢に入れるようにすることができるのでしょうか?自民党に投票するだけでなく,ピンポイントである人物を支持したいと思った場合,我々庶民はどのような行動をとるべきなのでしょうか?もちろん直接民主制を完全に肯定するわけではありませんが,私はどうすればいいかわからず,結局なにもしないままです.
質問ばかりで恐縮ですが,上記の質問は,日本国民(特に私のような若者です)が皆やきもきしている点だと思います.これに関して石破さんなりのご回答を,このblog上でいただければ非常にうれしいです.よろしくお願いいたします.
投稿: Kohei Ogawa | 2009年4月 6日 (月) 22時49分
3について、大臣はアメリカの核兵器には期待しておられる。
つまり核兵器そのものを否定するわけではなく
核兵器がこの世に存在することを認識したうえで
核兵器を「誰がもつか」を重視しておられるとお見受けします。
さて、日本に自衛隊が存在するのはそれを「使う」ためではなく
「使わずに済む」ために存在する、そして使わずに済むためにも
日ごろの整備や訓練といった「使わないためにいつでも使えるようにする」
というのも一見矛盾するようだけれども必要な事だと思う。
大臣は自衛隊を、日本国を、日本人を信頼していると思いたい。
ならばなぜアメリカの核兵器は信頼するが日本が核兵器を持つことには
消極的なのか。そこまで日本人は信頼できない国民でしょうか。
総裁選の頃にも書いたが日本は戦後一貫して他国の主権を侵すようなことはしていない。
またその興味もない。日本が本当に右傾化してるならまず台湾、フィリピンなどを
支配しようとかいう言論があるはずだがそんな話は聞いたことがないし
言う者もいない。北方領土、尖閣諸島、竹島、沖ノ鳥島についての話は
よく聞くがそれはあくまで「日本」の話であって日本を越えて他国に及ぶ話ではない。
拉致被害者奪還のため自衛隊を送れという者はいるがその場合でも
拉致被害者の救出ができればそれでいいのであって別に北朝鮮を支配しよう
などとは誰も思っちゃいません。つまり、日本人は侵害に対し怒っているのであって
野望なんか持っちゃいない。だから日本は核兵器を持つ権利も資格もあります。
日本の周辺国が非核国で平和的国家ばかりであるならその中で核兵器を持とうというのは
野望の現れと見られても仕方ない、が残念なことに日本の周辺国には
日本に対し悪意を持ちなおかつ核兵器を持ち、軍事力を拡大させてる国が多すぎる。
国際世論というのに訴えようとしてもチベットだったりパレスチナだったり、
結局国際世論というのは実際の力の前に無力です。
日本で世界地図を買うと日本が中心に描かれてますが欧米では
「極東」というように日本の位置は世界のはじっこです。
日本が不幸に見舞われても傍観される可能性がある。
よって自分の身は極力自分で守らないとどうにもならない。
そうしないと誰も味方についてくれない、わざわざ日本のために
日本に代わり最前線たってくれるようなに物好きな国などありゃしません。
石破大臣だってイラク戦争の時にアメリカから「僕らは後ろでゆっくりしてるから
自衛隊さんが最前線で戦ってきてね!」など言われたらどうしたでしょう。
国防を他国に全面的に依存するのはその分他国に大きな負担をかけていると言える。
今、石破さんは農水大臣の立場におられる、食糧を他国に依存するのは
危険なことで自給力を高めなければという認識を持たれてると思う。
国防もそれと同じで自給力を高めなければならない。
よって私は核保有にもいわゆる策源地攻撃能力も持つべきだ、
いや持たなきゃならないと思っている。
自衛隊はそのあり方を大改革する時期がきた。
戦争をしたくないからこそ戦争をせずに済むよう
他国による挑発、侵害を抑止する軍事力と体制が必要です。
投稿: 推薦人の選挙区住人 | 2009年4月 7日 (火) 00時14分
こんばんは、はじめまして
万一、日本に着弾しそうになっても迎撃できる。政府がこのように言った時、絶対にこいつらの言うことは信用ならんと、よけいに不安になりました。
飛翔体が北朝鮮の予告通り無事日本上空を通過したと聞き、快晴の空を見て平和のありがたみを感じました。しかし、ご指摘のように、これで一件落着とはとても言い切れないことは理解できます。
ミサイル防衛を機に緊張は高まり、一部の自衛隊を正式に軍とする意見や核武装により弱腰外交に終止符を打つ...このような意見は私のような世代には実に聞こえがよいものです。緊張を強いられながらも平和が保てるのであれば、その方がよいのかもしれません。ひょっとすると、平和にはこのような緊張がつきもので、慣れてしまう性質のものなのでは?とも想像します。
経済制裁を強化することが盛んに論じられていますが、かつて日本が経済制裁の苦境から戦争を選んでしまった魔性の歴史を北朝鮮は繰り返さないでしょうか、心配しつつ今の平和をかみしめています。
農水大臣なのでその任にあらずなのかもしれませんが
「国防」の執筆者でもあられますので、「日本の平和」をお願いしておきたいと思いキーをたたく決心をしました。
ご担当
投稿: まっち49才 | 2009年4月 7日 (火) 01時37分
この件に関しては、石破さんに同意です。
“毅然たる態度で”とか、“さらなる制裁を”という言葉が多く語られているようですが、それだけで済む問題ではない。
今後に生かしていくべき問題だと思います。
投稿: 神竜 | 2009年4月 7日 (火) 02時26分
石破大臣 こんにちは(^^)
1と2は共感致します。
日本は、石破大臣のおっしゃるとおり「独自性を高める」ことが大事だと思います。
これは防衛だけでなく、農林水産にも同じことが言えると思うのですがいかがでしょうか。
話はそれますが、アメリカとの同盟国としての、今までのあり方も、このご時勢を見れば考えものです。仕方なかった・・と言ってしまえばそれまでですが、そこを冷静沈着に、いかにバランスをとるかが、政治家の皆さんの役目なのではないですか?
3について、核の傘についてオバマ大統領はどのようにお考えか、ぜひ知りたいです。ここはぬかりなく議論して頂きたいです。
オバマ大統領から「核兵器のない世界に向けて・・核兵器を使用した唯一の核保有国として行動する道義的責任がある。」との発言がありました。私は涙が出るほど嬉しかったです。オバマ氏の、人の心を感じたからです。純粋な愛国心でお国に命を捧げた沢山の方達の礎があることを、日本の政治家の皆さんが忘れなければ、政治と金の問題もなくなると思うのです。知識だけでは、本当の政治はできない。要は、まず人の心だと信じる私は甘いでしょうか?では何を信じればよいのでしょうか?政治家の皆さん、教えてください。
私は自民党の政治を、世界に誇れる素晴らしいものだと言いたいです。どうか民主党には政権を渡さないでください!
辛口な発言、失礼致しました。石破大臣は大好きです。
自民党の皆様のご健闘を、心よりお祈り致しております。
投稿: かもめ | 2009年4月 7日 (火) 11時45分
何もしないと、「やっぱり何もできないんだ。」と無気力で無責任な国民が増えてしまいます。特に草食男子(この話題には関係ないかもしれませんが・・・)なる生き物が増殖しはじめているこの国は、なめられていることすら自覚できない人があまりにも多いです。
戦いを望んでいる人はいないとはいいませんが、ごく少数です。戦わないために戦わずに済ませるために、今、日本国は何を議論し何を準備し何を犠牲にしなくてはいけないのか・・・。
特に犠牲(何をガマンし何を切り捨てるのか)について覚悟を決めて議論し政策に盛り込まないといけないときがきています。
民主でも自民でもかまいません。きっちりと政策(マニュフェスト)に掲げてもらいたいです。
投稿: 昇龍飛玉 | 2009年4月 7日 (火) 11時49分
いつもながら、国防について、現状の問題点をわかりやすく指摘、その上で何を考えなければならないのかを明瞭に発信していらっしゃる姿勢が素晴らしいと思います。
毒米問題で被害者に真摯に謝罪なさったのに、実は・・・という美少年酒造の事件ではモラル崩壊に心底厭きれ、心を痛められたことでしょうとお察しします。
その中で「日本の国防」という大きな目線で論議を活発にすることも忘れない石破大臣を応援しております。
しかしこの「飛翔体」というどうにもドッチラケな単語はどなたがひねり出したんでしょうね(笑)
いや、衛星だ!と主張されてるから仕方ないのでしょうが・・・いっそ「未確認飛行物体」としたほうが面白(以下略)
投稿: 八郎 | 2009年4月 7日 (火) 15時36分
おっしゃる通りですね。けしからんといって聞いてくれるような国ではないのですから。
来るべき時に向けて、法整備・装備を整える時ですね。
投稿: みやみや | 2009年4月 8日 (水) 00時04分
石破さん、頑張れ☆
投稿: さの | 2009年4月 8日 (水) 01時40分
平和は無料で得ることは不可能と改めて思いました。
投稿: 21歳の男 | 2009年4月 8日 (水) 13時48分
2ちゃんからきました
今回の件についての意見にも納得ですが、それ以上にコメント欄を開放してることに驚きました
今から日記の過去ログ見させてもらいます
政治家としてはまだお若いですし、不祥事だけは気をつけて頑張ってください
陰ながら応援していますヾ(*´∀`*)ノ
投稿: 通りすがり | 2009年4月 8日 (水) 14時02分
民主党支持、左派二十代男性です。
文民統制の項で掲載して頂いた者でもあります。
例の北朝鮮の飛翔体発射の件に関して、まず第一に感ずる事は、多くの国民が「冷静」ではないという事。平々凡々な日常に刺激が欲しい、という表現がよくありますが、今回のはそれに近く、平穏に対する反動でしょう。
メディアの対応も、国民の反応も、昨今の若年層の安直な右傾化に加え、政局不安定とも相まって、善と悪、正義と不義という単純明快な構図に、皆との一体感を感じていたいだけだとも思う。
北朝鮮が発射した飛翔体とされる物体が、客観的に判断して紛れもなくミサイルだと断定できるのであれば、これは全くの反社会的行為であり、厳しく対応していかねばならぬ、という点で異存はない。
しかし、「ならず者国家北朝鮮のやった事だから、有無を言わさずの制裁」ありきではなく、国際規範に則って、あくまでも「冷静」に対応するよう、政治家と、そして国民にお願いしたいところであります。
投稿: 古林多喜寺 | 2009年4月 8日 (水) 16時11分
石破さんは、何故法曹にならなかったのですか??
僕は、石破さんの冷静沈着かつ、説得力のある口調が好きです!!
投稿: 司法試験受験生 | 2009年4月 8日 (水) 18時17分
個人的には、MDそのものが、どれほど技術を
向上させようと、確実というレベルにまで
精度を上げるのは難しいだろうと思っています。
その観点から、やはり核議論はもはや
避けては通れないのではないのかな、とも。
ただ、単純に「日本も核を持てばいい」というのは
思考の短絡だと思っています。
特亜の感情もさることながら、恐らく核保有で
もっとも強く揺さぶられるのは日本国民では
ないでしょうか?
現実的な議論として、核保有の議論は
なされるべきです。
その上で、核保有をしないという選択肢を
選択することになるのだろうと思いますが、
そうなって初めて日本は米国の
「核の傘」をどのように使うかを
まっとうに議論できるようになるのだと
思っています。
投稿: 7 | 2009年4月 8日 (水) 22時04分
今の日本に必要なのは、やはりお金だと思います。
技術は日本には昔から培ってきたものがありますし、時間もそれによってどうとでもなる。
でも、やはりお金だけはそうはなりません。
そのお金も、北朝鮮に渡すのではなく、日本が自分の国を守るために使うべきです。
北朝鮮にはいくらお金を差し出しても仕方がありません。
それなら、自分たちの装備を固めて「日本に攻撃しても返り討ちにされるだけだぞ」ということを分からせるしかないのでしょうか。
北朝鮮をとめるためには、核を用意するのも選択肢のうちにはいるのではないのでしょうか。
いくらアメリカが守ってくれても、それは「反撃」であり「防衛」にはならなと思います。
それなら最初から攻撃をする気をおこさせなければよいのではないのでしょうか?
駄文ですいませんでした。
投稿: Shaoran | 2009年4月 8日 (水) 22時51分
こんにちわ
「今回何も被害がなくて良かった・・・」から始まる最後の段落部分には、特に同意です。そもそも、北朝鮮問題は、日本国民の安全保障に対する理解の欠如も一因してると、俺は分析しております。国家の安全保障政策とは、PCのファイアーウォールソフト同じで、常時不可欠なものであり、また随時最適化されるべきものだと思うのですが。日本の皆さんはミーハーというか、喉元過ぎれば熱さ忘れるというか、困ったものですw
3について・・・、米国がどのような回答をするかわかりませんが、議論は必要だとは思います。ただ、個人的な見解を申し上げれば、「なるべく核は使いたくない」というのが歴代米国大統領や軍関係者の本音だと思います。この事は、ブッシュ前大統領による「我々は『使える』核の開発をするべきだ」的なご発言にも表れているのではないでしょうか。
お邪魔しました(最敬礼)
投稿: ひこ | 2009年4月 9日 (木) 14時57分
こんにちは、三浦介です。
北朝鮮非難決議に反対・棄権した共産党と社民党にはほとほと呆れています…今回の一件、日本のMD強化はアメリカの防衛に繋がると主張できるようにも思います。アメリカと、シリアイランミャンマーベネズエラキューバらとの和平を支援し、北の孤立化と包囲強化を図るべきと考えます。
投稿: 三浦介 | 2009年4月 9日 (木) 18時04分
初めまして。
いつも応援していますよ~。
お仕事頑張ってくださいね!
また遊びにきますね。
投稿: いずみ | 2009年4月10日 (金) 14時01分