事務局です。
本日午前中に、農林水産省において、退任記者会見が行われましたので、その様子を(またちょっと長いのですが)お届けします。
(政策報道官)
それでは、大変お待たせをいたしました。ただ今から、石破農林水産大臣のご退任の記者会見をやらせていただきます。最初に、大臣の方から、お言葉を述べていただきました上で、質疑に入らせていただきますけれども、冒頭、幹事社の方からご質問をいただいた後に、フリーの質疑を、「どうぞ」、という形でやらせていただきます。その際、挙手をいただきまして、指名された方は、社名とお名前を述べていただいた上でご質問をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、大臣、よろしくお願いいたします。
(大臣より)
おはようございます。お待たせをいたしました。退任にあたりましてということですが、昨日、もうやっちゃったような話なので、繰り返しの話になったら申し訳ないが、と思いますが、一年の間、本当にありがとうございました。農水省職員、そして、報道関係の皆様、農林水産業に携われる皆様、あるいは、フードシステムの中におられる方々、全国民の方々に、心から厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
私として、一年を終えてみて、本当に満足感を持って退任できるということは、大臣として、また、政治に携わる者として、この上ない幸せなことだと思っております。もちろん、「もっと、あれもやりたかった」、「これもやりたかった」ということはございますが、しかし、自分として、これ以上のことはできなかったという満足感はございます。いたらなかったところは、時間的にも、あるいは能力的にも全て私の責任であります。多くの方に本当に全力で支えていただきながら、まだこんなことを言っていてはいかんのですが、それは、全て私の責任に帰するところであります。
昨年、就任をいたしました時は、事故米問題の渦中でありました。前々大臣がお辞めになり、太田大臣のことですね、町村大臣(官房長官)が代行(兼務)を務められたと承知しており、そういう言い方をしますが、また、次官もお替わりになりというような、本当に、そういう渦中であったと思いますけれども、省を挙げて、誠心誠意対応してきたと思っております。
被害に遭われた方、そしてまた、お酒、食品等々、そういうような被害に遭われた方々に対して、私として、誠心誠意全力で対応してきたと思っております。
改めまして、事故米問題については、退任にあたって、被害を受けられた方々、いろいろな傷を負われた方々、そして国民の皆様方に、深くお詫びを申し上げるしだいであります。
今後、このようなことが起こらないようにということで、システムというものも見直し、米三法(「米穀の新用途への利用の促進に関する法律」、「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律」)というものも作り、トレサ法(?)というものも改めて国会にお願いをし、成立をしたところでありますが、併せて、省内の機構改革ということも行っているところであります。「二度と起きないように」という言葉が、通り一遍のものにならないように、全力は尽くしてまいりました。今後も、それが継続され、食の信頼というものが確立する、そして、安心も安全も共に確保されるということに、省も今後とも努力していくでしょうし、私も可能な限りの力を尽くしたいと思っております。
また、そういうような耳目を集めるという意味では、ヤミ専従問題というものがございました。このことは会見で申し上げましたから、もうこれ以上繰り返すことはいたしませんが、「告発しない」ということも含めて、全て私が責任を負うべきものであります。本当に立場の違いこそあれ、全国民の奉仕者であるという基本的な理念を深く胸に刻んで職務に邁進をしていただきたい。
もちろん、省の組織というものも、改める方針を示しておりますし、新政権の下で更に議論が尽くされることを望みますが、要は、国民の方々全てが、「農林水産省は親切で、正直で、丁寧な役所である」。「役所である」という言い方が悪ければ、「組織である」という認識をしていただける、そのための努力を、今後ともしていかねばならないと思っております。自分たちがしている仕事が、本当に、その向こうで苦しんでいる人、そういう人たちの顔を常に思い浮かべながら、そして、成した仕事が、その人たちの笑顔を呼ぶような、そういう意識で、24時間、365日、省内にいない時であっても、常にそのことを忘れないでいただきたいと思っております。
省改革にあたって、多くの職員たちが懸命の努力をしてくれました。いろいろな意見が交わされました。私は、これで、「事成れり」と思っているわけではありません。まだ、省改革も、意識改革も半ばであります。
しかし、もう戻ることがないという不可逆性は、私は、担保できたのだと思っております。今後も、私も大臣の任を離れましても、それが更に加速するように努力をしていきたいと思っております。
WTOにつきましては、今後また議論が加速をしていくことだというふうに承知をいたしております。国内においても、国外においても、持続可能性のある農業というものが、あるいは多様な農業というものが、きちんと確保されるように、そして、国内においては、納税者、消費者の利益が共に満たされるように、いろいろな仕組みも変えていかねばなりません。
そして、国際交渉において、日本の発言が多くの国の共感を得るような、日本だけが、「こういうことを言っているね」ということではなくて、多くの国が、共感を得るような、そういう主張をし、日本に賛同する国々を増やしていかなければなりません。「いつも、日本だけがこんなことを言っている」というような国際交渉であってはならないことであります。
そして、広く国民の皆様方にも理解していただける、そういう交渉でなければいけません。「こういう結果が出っちゃった」と、その後、バタバタといろいろな対策を講じて、「何とか、これで我慢してくださいな」というようなことがあるべきだとは、私は思いません。WTOに道筋を付けることはできませんでしたが、今後も、側面から努力をしていきたいと思っております。
自給率、自給力という議論もいたしました。私は、自給率ということと共に、自給力というものも向上させていかねばならない。そして自給率も、もちろん国民の命をつなぐという意味では、カロリーベースというものがベースになるわけですが、それだけではないだろうと、金額ベース、いろいろな議論があるだろうと思っております。
いずれにいたしましても、農業が持続可能性を持つためには、人、金、モノ、この3つが持続可能性を持っていかねばなりません。結果の数字だけ追い求めていても、それは、あまり実りのある議論だと思っておりません。人、金、モノ、その3つにおいて、これが、持続可能性がきちんと確保されるべく、道筋は示したつもりでおりますが、今後とも、それを更に確実なものにしてまいりたいと思っておるしだいでございます。
水産につきましても、この恵まれた条件をどう活かすかということについて努力をいたしました。燃油対策、そしてまた、それに変わるべきもの、道筋も提示をしてきたつもりであります。
この水産については、漁家の経営、あるいは漁業共同組合の経営というものをどうするかということについて、私として、十分な将来的な方向性が示せたとは、思っておりません。このことは反省をしておりますが、新大臣の下で、これも漁家の皆様、あるいは、それに関係される方々に、ご納得いただけるような深い議論が必要だと思っております。
林業につきましては、この、コストが高いということを、どう考えるか、国産材で家を建てたいという人が、あれだけ多くおられるのに、なぜ、それが実現しないのか、それは、インターネット上のサイトを設けるとか、いろいろなことをやってまいりました。あるいは、林道の開設を容易にするような、作業道の開設を容易にするような、そういう措置も講じてまいりました。
ただ、これもきちんとした方向性が確立したとは、思っておりません。ただ、他の国は、木を切りすぎて困っているわけで、我が国は、木を切らなすぎて、という言い方、必ずしも適切ではないかも知れませんが、そういう状況にございます。努力をすれば、日本の林業は必ずよみがえる、国内のみならず、世界にも貢献をするものになると確信してやみません。このことも努力してまいりたいと思っているしだいでございます。
きちんと全部申し上げることはできませんでしたが、以上、概括的に申し上げました。本当にいい仕事をさせていただいたと思っております。心から感謝をし、自分として満足をいたしております。
重ねて、皆様方に厚く御礼を申し上げ、足らざるところは、どうぞお許しをいただきたいと思います。この一年間、本当に皆様方と、いろいろなお話をさせていただいて、とても幸せでした。ぶっきらぼうなものの言い方をしたり、あるいは、木で鼻を括ったような言い方をして、ご不快な思いをされた方も大勢おられると思いますが、どうかお許しをいただきたいと思います。私からは以上です。
(政策報道官)
それではまず、幹事社の方から、よろしくお願いいたします。
(時事)
Q: 最初に質問させていただきますが、今、大臣から、これまでのお仕事の統括というところについては、いろいろお話がありましたので、ちょっと時間も限られておりますから、いきなり、こちらのほうも不躾な質問で恐縮なのですけれども・・・。
A: 農政に関して、まずやってね。
(時事)
Q: 農政に関して。では、まず農政についてお伺いしますが、1問目は。
今、いろいろお話がありましたけれども、内外の環境が大きく変わる中で、農林水産業に関する行政の課題というか、直面するもの、求められるものもいろいろ変化していると思います。この1年を大きな流れの中で振り返ると、大臣がお務めになられたこの1年、日本の農林水産業というのは、大きな流れの中でどういう状況にあると位置付けられる1年だったのか。
そして、大臣が取り組まれてきたこと、実際に行ってきたことが、将来にどのように意味を持ってくるとお考えであるのかというところを、漠然とした質問で恐縮ですが、まず、お願いします。
A: 言葉はきついかも知れませんが、「惰性からの転換」ということだったと思っております。今まで、恵まれた条件にありながら、もちろんその時のいろいろな状況がございました、その時はそれしか選択はなかったということもあるでしょう。
しかしながら、「今までこうだったから、これからもこうだ」というところがあったのではないか、あるいはパッチワーク的に、あるいは、いろいろな、増築に増築を重ねるみたいな形で、従来の方針を基本的に変えることなく、その時の状況、状況に応じて対応するということではなかったかと思っております。それをきつい言葉で言えば「惰性」、きつかったらごめんなさい、そう思っております。それからの転換ということだったと思います。
併せて、生産者だけではない、広く国民の皆様方に向けて発信をすることであり、多くの外国に向けて発信をすることであり、状況対応型ではない、自ら考え、自ら発信をし、自ら実行をし、そして、共感を得ながらやっていくという従来のスタイルから転じるという1年だったと思っております。それができたかどうかは、皆様方のご評価に任せます。そういうつもりでやってきましたし、私は、そういうことが、国民の皆様方にも、少しなりにもご理解をいただければ、いただいたとすれば、これは(すごい幸いがございます?)。
(時事)
Q: それではもう一点。今後の話について、お尋ねいたしますけれども、大臣、先ほどのお話の中でも、これからも農林水産業に関して、いろいろ、議論だとか、ご提言とか、関わっていかれる姿勢をお示しになられまして、農林水産業の、あるいは、もっと広く国政のいろいろな分野で、大臣のこれからのご意見とか、ご見識、問われるところが出てくると思うのですが、それに関して、お尋ねいたしますけれども、もう、この質問もうんざりかと思いますが、自民党の総裁選近づいておりますけれども、そちらについて、どのように対応なさるおつもりか、率直なところを教えてください。
A: 農政に関して、他にございませんか。
(時事)
Q: 個々に皆さん方から、また、あるのではないでしょうか。
A: そうですか、分かりました。
それでは、今日は16日でございます。従来からのお約束で、「農林水産大臣の任にある限り全力を尽くす」ということを申し上げました。今朝、総辞職の閣議が開かれましたので、それは、お約束どおり自分の考えを申し述べたいと存じます。
私は、自由民主党総裁選には出馬をいたしません。
私が、今回の総選挙において、私の有権者の皆様方に公約をしましたのは、自民党を立て直す、国を立て直す、地域を立て直す、私が立て直す、というお約束をいたしました。そのお約束は、与えられた任期の間に、きちんと果たさねばならないことだと考えております。
総裁選につきまして、私は、8回目の任期をいただきました直後から、ずっと考えてまいりました。「16日の首班指名までに党の総裁を決めるべきである」ということを申し上げてまいりました。「10日間の総裁選を行うことよりも、多くの地方の方々の意見も踏まえて、投票という形によって総裁を決め、首班指名に臨むべきだ」ということを申し上げてまいりました。多くのご理解をいただけなかったのは、極めて残念なことであります。
そういう状況の中で、多くの方から「出馬をするべし」というような、お勧めをいただいてまいりました。いわゆる形式的なお話なのかも知れませんが、20人要るものが、私は、一つ一つ確認をしたわけではありません。
ただ、おいでになる方、そういう方々のお話を総合すれば、それは、私のような者にでも、20人の方々が推薦人になっていただけるというような、ある程度、自信、という言い方はおかしいですね、思いというかな、そういうものもございました。その上でどうすべきかということをずっと考えたのですが、今、我々がやらねばならないことは、野党に転じたという思いを、どれだけきちんと持つことができるか、今までの与党のような思いであっては、決して今後の選挙に勝つこともできないし、国民の皆様方のために働くこともできないし、8割近い方々が思っておられる自民党の再生ということもあり得ないと思っております。
その中にあって、本当に党内で亀裂を深めるということがいいことなのだろうか、むしろ、我が党は、そういうようなことではなくて、あるいは、従来のようにポストを求めていくということではなくて、本当に、皆が心を一つにして、政策も、党運営も、そして国民の方々に対する発信も、そしてそれを総合した選挙というものも、本当の皆が心を一(いつ)にして、もう参議院選挙まで日がないのです。党内抗争に明け暮れておるような暇はどこにも我が党にはないのであります。主導権争いなぞをやっておる、やっていくことも、そんな暇は、私どもにはないのであります。
早急に新総裁の下で一致して、国民のために党を再生するためには、ここで一致してやっていける体制を作ることが優先すべきであると判断をいたしました。
私自身、谷垣禎一元財務大臣を、一緒に閣内でも仕事をさせていただきました。あるいは、プライベートな「日本そばを愛好する会」何かでも、よくお話をしてまいりました。谷垣さんが国会議員に当選される前から、私は、勝手に私の方が存じ上げているのであります。いろいろな会見等々のお話を聞いて、本当に、党再生にかける覚悟、捨て石となってやっていかれるというお気持ち、そして、草の根の政党であらねばならないというお気持ち、そして、地方というものを本当に大切にしようというお気持ち、共感するものが多くございます。
私個人といたしましては、谷垣候補を支援をいたしたい。そして、いかなる立場であれ、有権者にお約束をした、党を立て直すということに、それは、生やさしいことではありません。まだ、その恐ろしさ、大変さ、を分かってない人が大勢いるように思います。それが、どんなに大変ことである、党所属国会議員の一人として、全力を尽くすことが、今、私が為すべきことであると、このように判断をいたしたしだいであります。
(報道官)
それでは、そのほかの方々からご質問をいただきたいと思いますが、時間の関係もありますので、恐縮ですが、一社一問ということで、よろしくお願いいたします。それでは、ご質問される方、挙手をお願いいたします。
(食品産業新聞)
Q: 1点だけお尋ねしたいと思うのですけれども、昨日、減反の第2次のシミュレーションの、大臣のメッセージが、この時期に出されたわけなのですけれども、特に、それに関して、特別な思いというのがあったのでしょうか。
A: 特別な思いはございました。それは、先ほど「惰性からの・・・」という、やや穏当を欠く言葉かも知れませんが申し上げました。それは、やはり私の選挙区に限らず、日本全国、農業の現場において、閉塞感とか、不公平感とか、そういうものが横溢(おういつ)をいたしております。どんなに理屈をつけても、生産額が減少し、所得が減少し、農地の面積が減少し、後継者ができてこないということは、歴然たる事実であります。生産調整政策は農政の大きな根幹を成すものでございまして、そこに問題が、肯定的とか否定的という意味ではなくて、問題がなかったとは、私は思っておりません。
これは、農林水産大臣に就任する、ずっと以前から、私が思っておったことでございます。したがいまして、昨日の公表には、私の特別な思い入れがございます。
(共同)
Q: 今後、新大臣への引継ぎについて、やり方ですとか、日程ですとか、決まっていること、またお考えになっていること、また、特にどのような点を強調して、後任の方に引き継がれたいか、そこをお聞かせください。
A: 新大臣になられる方が確定したと、私は承知をいたしておりません。こういうのは新聞辞令というものだということの理解でよろしいですか、よろしいですか、これは何新聞かな、読売新聞さんの1面に内定した顔ぶれというものがありますが、これは新聞辞令であって、まだ確定したものではないという理解でよろしいですか、よろしいですか?
はい。ですから、どなたかは分かりません。どなたかが分からないという前提で申し上げます。
これは、新大臣がお決まりになりました後、私の方から、あるいは農林水産省の方からですね、「農林水産省の方から」と言った方が適切でしょう、引継ぎですから。私個人ということではないと思っております。
明日、午前中に事務引き継ぎを行いたいというふうに考えております。だから、これは、先様のご了解があった場合のお話でございます。私といたしましては、これも、かねてから申し上げていることでございますが、時間を取って、きちんと引き継ぎをしたいと思っております。つまり、現状をどのように認識をし、課題がどのようなものであり、そのことに1年どのように取り組んできたかということを、もちろん、後ほど所管ごとに新大臣への説明がなされるものだと思っておりますが、私として認識をしている、例えば、今の米政策の問題、農林水産省の組織改革の問題、あるいは、食の安全の確保の問題、WTOへの対応、あるいは大きなテーマになるでありましょう、中山間地の対策を、この後どのように進めていくか、継続は当然だと思っておりますが、私自身は、形を大きく変えていくべきだというふうに考えております。
そのようなことについて、できるだけ詳細にご説明をしたいと思っております。新大臣が、就任されたその日から、120パーセントの能力を発揮されて、農政に邁進していただけるべく、前大臣として可能な限りの、口はばったい言い方かも知れませんが、お手伝いを含めて、そしてまた、行政の連続性、もちろん政権は交代をしているわけですが、行政の連続性というものを踏まえまして、きちんとした引き継ぎをいたしたいと考えております。
(産経)
Q: 派閥の件なのですが、昨日、菅選対副委員長が、自身の派閥を離脱されたのですが、大臣はこれまで派閥に関しても様々な発言をされているのですが、ご自身のことを含めて、派閥に対する考え方を、もう一度お願いしたいのですが。
A: 人様のことについては、論評すべきだとは思っておりません。
私は、小選挙区になれば、派閥の機能である資金、あるいはポスト、選挙応援、その3つは当然解消をすべきであると思っております。
各派閥が候補者を立て、争っていた中選挙区制と、党首を総理大臣に、ということで、投票をお願いする政権選択型の小選挙区制は本質的に異なるものでございます。
したがいまして、「人間が3人いれば、派閥ができる」と言われるように、グループがあることは、当然でございます。そのことがないなぞということは、人間の本質に反するものだと、私は思っております。そういうグループの存在を私は全く否定するつもりはございません。
ただ、それが本当にそういう集団が、「ポストちょうだい」とか、「お金を配分してちょうだい」とか、そういうことは、私は自民党の一つの病の一形態だという理解をいたしております。本当に志を同じくする者が、あるいは平たい言葉で言えば、気の合う者たちが集まるということは、むしろあるべきだと思っております。それが、そういう集団であるのかどうかということが、問われているのだということだと考えております。
(毎日)
Q: 一つ確認なのですけれども、総裁選に関して、20人という推薦人は集まっていたというご認識だったのでしょうか。
あと、いつ出馬をされないというものをお決めになったのか。
A: 言葉が足りなかったかも知れません。私は、1、2、3、4、5、6、7、8、というふうに数えたことはございません。数えるべきだったとも思っておりません。
しかし、いらっしゃる方々が、これは、「20人必ずいるのだ」、あるいは「30人もいるよ」ということで、その言葉はありがたく承ったということでございます。私は昨年と違って、「この人はどうなの」、「あの人はどうなの」、「この人はお願いすればどうなるの」、というようなことはいたしておりません。ただ、いろいろな方々のありがたいお話を総合すれば、20人は揃うだろうな、という感じは持っておりました。
もう一つは、「いつ決めたか」ということでございますが、最終的には、今日の未明ということになろうかと思います。昨日、シミュレーションの公表を行いまして、その後、本当に、一人でいろいろなことを考えてまいりました。あるいは、本当に、心から信頼する人たちとお話もしてまいりました。そこにおいて話されたのは、本当にどうすることがこの党の再生につながるのか、ということでありました。誰がどうとか、そんなことではなくて、どうすることがこの再生につながるのかということを、己の利益を一切捨てて議論する方々と、議論をいたしました。ですから、今日の未明ということになる、というふうな答えに相成ります。
(時事)
Q: 今後、大臣個人として、農政への関わり方はどうされるのでしょうかということです。つまり、もし政調会長とかになられるのならともかくとして、実際、常任委員会とかにでも入らないと、なかなか農政に関わりづらいのではないかと思われるのですけれども、どのような形でなさるのでしょうか。
A: それは、何になるのかなんて、全く今から考えるべきことでもありませんし、それは、全て新総裁がお決めになることであります。
私は、猟官運動というのは、今まで一度もしたこともありませんし、これから先もしようとは思ってはおりません。
ただ、私は、自由民主党というのは開かれた党ですから、平場でいくらでも議論ができる、昨日もお話をしたことですが、例えば、「一、二の三で、生産調整やめたらどうなりますか」という発言を私がした時は、私は、単なる農林部会の一部会員であって、農林幹部と言われる者でもなんでもありませんでした。
それは、一人一人の国会議員、我が党は、自由で開かれた党ですから、それは役に就く就かないと関わらず、いくらでもそれは言えることであると思っております。
仮に、農林水産委員会で委員の席をいただければ、そこで発言することもございましょう。私は思うのですが、自分の意見を申し上げる時は、可能な限り現場の意見を反映をすると共に、世の識者という者が何を言っておられるかというものを、全て見た上でなければ、発言をするべきではないと思っております。私も、全ての論文に目を通したわけではありません。例えば、荏開津(えがいつ)先生であるとか、生源寺先生であるとか、あるいは鈴木先生であるとか、古くは中嶋千尋先生であるとか、そういう先生方のものには、全て目を通したつもりでございますが、それぞれの大学の紀要の論文何かをみると、「こんなこと私は知らなかったのだ」ということがたくさんあります。ましてや、外国の文献については、ほとんど知らないも同然であります。
だとすれば、そういうことをきちんと踏まえた上で発言をしなければ、それは、農政を変えることにはならないのだというふうに思っておりまして、この一年間、やはり、その場その場の対応というものも、当然していくのが任務でございますから、そういうような、いろいろな考え方に通暁しているわけではございません。
ただ、農林水産大臣として、あるいは選挙の応援で、あちらこちら回らせていただいて、そこの農業というものは、子細に勉強して臨んだつもりです。
ですから、現場の声というのは、ある程度踏まえているつもりですが、これまだ十分ではありませんので、それを、きちんと総合した上で、どんな立場であれ、農政に関わるということはしていかねばならないと思っております。
(山陰中央)
Q: 政策課題で、日韓の漁業の関係ですが、EEZ(排他的経済水域)の境界確定とか、暫定水域の漁労秩序の確立とか、他省庁にまたがることで、必ずしも農林水産省、一省庁の問題ではないですが、関係される国会議員たる大臣として、この一年何ができて、何が課題として残ったかというのを、ちょっと簡単に総括をお願いします。
A: 韓国側との理解は相当に進んだというふうに思っております。あるいは、違法漁具の問題をどうするか、それを回収した後どうするかということについても、現場のご意見を踏まえながら対応いたしてまいりました。
ただ、大きく前進をしたという認識は持っておりません。それは、「やはり現場同士でやるのはおかしいではないか」、「もっと政府が出るべきである」というようなご指摘もいただいてまいりました。そこはうまくコンビネーションを取りながらやっていくべきものだと、国柄が異なりますので、政府と政府が全力でぶつかるということは、必ずしも問題の解決につながるとは思ってまいりませんでした。
ただ、政府の関与の度合いがもう少し強くても良かったかな、という思いはありまして、私は、この一年間、この日韓漁業の問題について韓国を訪問することもできませんでしたし、向こうの担当者と話をすることもできませんでした。心残りであったことの一つですが、山陰の漁民の方々のお気持ちというものが、一日も早く晴れるように、今後も努力をしたいと思っております。
(日経)
Q: 今、お話にもありましたけれども、コメの話も、やっぱり、自民党農林族であり、農協であり、そういうのを「農政トライアングル」と、農水省と(・・・?)ですね、というように指摘する方もいますけれども、その現状を改革できなかったことも踏まえて、現状がどうで、これが民主党政権になった時に、どういうふうに変わって行くということが望ましいか、期待されているか、ということはありますか。
A: それは、誰のための農政なのかということだと思います。例えば、団体の皆様にしても、農林水産省にしても、農業がなくなったら、何が団体ですか、何が農林水産省ですか、ということなのです。
その危機意識というものの共有は、少なくとも、団体との間では相当に進んだいう思いを持っております。虚心坦懐に団体の方々とお話する機会というものをずいぶん得ました。
ですから、団体の方々とのいろいろなパーティー何かでも、私は、挨拶だけして退席ということをいたしませんでした。そして、それぞれの現場にお訪ねをした時も、全中会長のご地元をはじめとして、本当に腹蔵ない意見の交換をしてきたつもりでございます。
ですから、本当に農業このまま衰退していっていいですかという認識を共有した時に、私は、そういうトライアングルというものは、変質をするものだと思っておりますし、しなければなりません。
民主党政権になった時に、「おまえは、民主党に塩を送るのか」とか、「民主党の考え方を代弁しているのか」とか、そういうご指摘もいただきますが、そうではない、どうして農業を発展させていくか、この衰退に歯止めをかけるか、それは党の利益を大きく超えたものです。そこにおいて、党の利益というものが、いささかも考えられることがあってはならない。それは、自民党政権であり、民主党政権でも同じであって、仮に民主党政権が、農業というよりも党の利益を考えるようであれば、私は全力を挙げてそれと戦うつもりであります。
以上です。ありがとうございました。