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2009年9月30日 (水)

政調会長就任

谷垣新体制の発足に伴い、自由民主党政務調査会長を命ぜられました。どうかよろしくお願い申し上げます。
総裁選挙の結果はまず順当と言うべきでしょう。今後の党運営において、河野氏、西村氏、特に河野氏に投票した方々の思いを出来る限り反映することが必要です。河野氏の戦術は、個人を名指しした批判など、やや穏当を欠いた形ではありましたが、彼に集まった地方票はそれだけ現在の党に対する党員の批判が強いことを物語っています。これを等閑視してはなりません。
「谷垣では何も変わらず、期待できない」「『全員野球』では派閥の領袖がまた幅をきかせる」などなど、批判的な論調も多く見かけられますが、物事すべて実際にやってみなければわかりませんよ。

自民党再生のためには、自民党内の論理を排して国民の論理に立つこと、年功序列や温情主義を捨てて実力主義に徹することが絶対に必要です。
自分の頭で政策を考え、自分の言葉で語り、政府とのディベートに勝ち、国民の共感を得ることが出来なくては野党議員の存在意義などありません。
与党の機能は「利害の調整」がどうしても中心になり、「あるべき理想の姿」を追求することをともすれば怠りがちになったことは否めません。そして日々押し寄せる仕事に忙殺されて、体系立てた勉強をきちんとする暇もありませんでした。野党である今こそ、現場の実情を踏まえた上で、体系的な理論に裏打ちされた理想のあるべき姿を追求できるのであり、その鍛練の成果が次に与党になったときに大きく花開くのではないでしょうか。
官僚のレクチャーなどなくても、国会議員最大の「特権」である国立国会図書館をフルに使えば国内外のありとあらゆる資料が手に入りますし、政策秘書制度も国会議員の政策能力をサポートするために設けられたものです。
これらを充分に生かせば、野党だって恐れるものは何も無いはずなのです。

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2009年9月18日 (金)

太田総理出演

 事務局です。
 本日19:58~ 日本テレビ「太田総理…秘書田中」に出演します!

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2009年9月17日 (木)

ありがとうございました&またよろしくお願いいたします

 事務局です。
 昨日の大臣退任の様子です。
 本日、無事引き継ぎをすませました。農林水産省の皆様、関係各位の皆様、またブログにコメントしてくださった皆様、本当にありがとうございました。

 これからは、一衆議院議員として、事務局も思いも新たにまたがんばって参ります。
 ブログも続けてまいりますので、引き続きご愛顧のほど、お願い申し上げます!

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2009年9月16日 (水)

退任と感謝、総裁選不出馬について

 石破 茂 です。

 本日、麻生内閣の総辞職に伴い、農林水産大臣を退任いたしました。
 幾多の困難はありましたが、とても充実した、自分なりに納得できる仕事が出来たことに心より満足し、支えてくださった多くの方々に心より御礼申し上げます。また、退任会見におきまして、九月二十八日に行われる自民党総裁選挙には立候補しないこと、私個人としては谷垣元財務大臣を支持したい旨を表明いたしました。会見録を掲載しましたので、ご覧いただければと思います。

 今回、私に対し多くの方から立候補のお勧めを頂き、本当に有り難いことだったと思っております。
 しかし、今の自民党には、党内抗争に費やす時間も、余裕も全くありません。私自らの至らなさもあるのですが、国会議員生活二十三年の間、「仲間を増やし、敵を作らない」ことを敢えて一切やってきませんでした。そんな暇があるなら知識を増やしたい、反対勢力が居たほうがむしろこちらの主張が鮮明になってよい、などと思ってきたのですが、「石破だけには絶対に総裁をやらせたくない」という方々の多さも今回改めて実感いたしました。

 「谷垣氏の周りには所謂実力者の影が透けて見える」「従来型の派閥主導の党運営になってしまう」との危惧があるようですが、仮にそのようなことをすれば、その時点でもう自民党は終わってしまうのです。
 総裁選挙がどう展開するのか、新総裁がどのような党運営をされるのか、今回はこれを冷静に見定めたいと思っています。

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農林水産大臣 退任記者会見

 事務局です。
 本日午前中に、農林水産省において、退任記者会見が行われましたので、その様子を(またちょっと長いのですが)お届けします。

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(政策報道官)
 それでは、大変お待たせをいたしました。ただ今から、石破農林水産大臣のご退任の記者会見をやらせていただきます。最初に、大臣の方から、お言葉を述べていただきました上で、質疑に入らせていただきますけれども、冒頭、幹事社の方からご質問をいただいた後に、フリーの質疑を、「どうぞ」、という形でやらせていただきます。その際、挙手をいただきまして、指名された方は、社名とお名前を述べていただいた上でご質問をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、大臣、よろしくお願いいたします。

(大臣より)
 おはようございます。お待たせをいたしました。退任にあたりましてということですが、昨日、もうやっちゃったような話なので、繰り返しの話になったら申し訳ないが、と思いますが、一年の間、本当にありがとうございました。農水省職員、そして、報道関係の皆様、農林水産業に携われる皆様、あるいは、フードシステムの中におられる方々、全国民の方々に、心から厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
 私として、一年を終えてみて、本当に満足感を持って退任できるということは、大臣として、また、政治に携わる者として、この上ない幸せなことだと思っております。もちろん、「もっと、あれもやりたかった」、「これもやりたかった」ということはございますが、しかし、自分として、これ以上のことはできなかったという満足感はございます。いたらなかったところは、時間的にも、あるいは能力的にも全て私の責任であります。多くの方に本当に全力で支えていただきながら、まだこんなことを言っていてはいかんのですが、それは、全て私の責任に帰するところであります。
 昨年、就任をいたしました時は、事故米問題の渦中でありました。前々大臣がお辞めになり、太田大臣のことですね、町村大臣(官房長官)が代行(兼務)を務められたと承知しており、そういう言い方をしますが、また、次官もお替わりになりというような、本当に、そういう渦中であったと思いますけれども、省を挙げて、誠心誠意対応してきたと思っております。
 被害に遭われた方、そしてまた、お酒、食品等々、そういうような被害に遭われた方々に対して、私として、誠心誠意全力で対応してきたと思っております。
 改めまして、事故米問題については、退任にあたって、被害を受けられた方々、いろいろな傷を負われた方々、そして国民の皆様方に、深くお詫びを申し上げるしだいであります。
 今後、このようなことが起こらないようにということで、システムというものも見直し、米三法(「米穀の新用途への利用の促進に関する法律」、「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律」)というものも作り、トレサ法(?)というものも改めて国会にお願いをし、成立をしたところでありますが、併せて、省内の機構改革ということも行っているところであります。「二度と起きないように」という言葉が、通り一遍のものにならないように、全力は尽くしてまいりました。今後も、それが継続され、食の信頼というものが確立する、そして、安心も安全も共に確保されるということに、省も今後とも努力していくでしょうし、私も可能な限りの力を尽くしたいと思っております。
 また、そういうような耳目を集めるという意味では、ヤミ専従問題というものがございました。このことは会見で申し上げましたから、もうこれ以上繰り返すことはいたしませんが、「告発しない」ということも含めて、全て私が責任を負うべきものであります。本当に立場の違いこそあれ、全国民の奉仕者であるという基本的な理念を深く胸に刻んで職務に邁進をしていただきたい。
 もちろん、省の組織というものも、改める方針を示しておりますし、新政権の下で更に議論が尽くされることを望みますが、要は、国民の方々全てが、「農林水産省は親切で、正直で、丁寧な役所である」。「役所である」という言い方が悪ければ、「組織である」という認識をしていただける、そのための努力を、今後ともしていかねばならないと思っております。自分たちがしている仕事が、本当に、その向こうで苦しんでいる人、そういう人たちの顔を常に思い浮かべながら、そして、成した仕事が、その人たちの笑顔を呼ぶような、そういう意識で、24時間、365日、省内にいない時であっても、常にそのことを忘れないでいただきたいと思っております。
 省改革にあたって、多くの職員たちが懸命の努力をしてくれました。いろいろな意見が交わされました。私は、これで、「事成れり」と思っているわけではありません。まだ、省改革も、意識改革も半ばであります。
 しかし、もう戻ることがないという不可逆性は、私は、担保できたのだと思っております。今後も、私も大臣の任を離れましても、それが更に加速するように努力をしていきたいと思っております。
 WTOにつきましては、今後また議論が加速をしていくことだというふうに承知をいたしております。国内においても、国外においても、持続可能性のある農業というものが、あるいは多様な農業というものが、きちんと確保されるように、そして、国内においては、納税者、消費者の利益が共に満たされるように、いろいろな仕組みも変えていかねばなりません。
 そして、国際交渉において、日本の発言が多くの国の共感を得るような、日本だけが、「こういうことを言っているね」ということではなくて、多くの国が、共感を得るような、そういう主張をし、日本に賛同する国々を増やしていかなければなりません。「いつも、日本だけがこんなことを言っている」というような国際交渉であってはならないことであります。
 そして、広く国民の皆様方にも理解していただける、そういう交渉でなければいけません。「こういう結果が出っちゃった」と、その後、バタバタといろいろな対策を講じて、「何とか、これで我慢してくださいな」というようなことがあるべきだとは、私は思いません。WTOに道筋を付けることはできませんでしたが、今後も、側面から努力をしていきたいと思っております。
 自給率、自給力という議論もいたしました。私は、自給率ということと共に、自給力というものも向上させていかねばならない。そして自給率も、もちろん国民の命をつなぐという意味では、カロリーベースというものがベースになるわけですが、それだけではないだろうと、金額ベース、いろいろな議論があるだろうと思っております。
 いずれにいたしましても、農業が持続可能性を持つためには、人、金、モノ、この3つが持続可能性を持っていかねばなりません。結果の数字だけ追い求めていても、それは、あまり実りのある議論だと思っておりません。人、金、モノ、その3つにおいて、これが、持続可能性がきちんと確保されるべく、道筋は示したつもりでおりますが、今後とも、それを更に確実なものにしてまいりたいと思っておるしだいでございます。
 水産につきましても、この恵まれた条件をどう活かすかということについて努力をいたしました。燃油対策、そしてまた、それに変わるべきもの、道筋も提示をしてきたつもりであります。
 この水産については、漁家の経営、あるいは漁業共同組合の経営というものをどうするかということについて、私として、十分な将来的な方向性が示せたとは、思っておりません。このことは反省をしておりますが、新大臣の下で、これも漁家の皆様、あるいは、それに関係される方々に、ご納得いただけるような深い議論が必要だと思っております。
 林業につきましては、この、コストが高いということを、どう考えるか、国産材で家を建てたいという人が、あれだけ多くおられるのに、なぜ、それが実現しないのか、それは、インターネット上のサイトを設けるとか、いろいろなことをやってまいりました。あるいは、林道の開設を容易にするような、作業道の開設を容易にするような、そういう措置も講じてまいりました。
 ただ、これもきちんとした方向性が確立したとは、思っておりません。ただ、他の国は、木を切りすぎて困っているわけで、我が国は、木を切らなすぎて、という言い方、必ずしも適切ではないかも知れませんが、そういう状況にございます。努力をすれば、日本の林業は必ずよみがえる、国内のみならず、世界にも貢献をするものになると確信してやみません。このことも努力してまいりたいと思っているしだいでございます。
 きちんと全部申し上げることはできませんでしたが、以上、概括的に申し上げました。本当にいい仕事をさせていただいたと思っております。心から感謝をし、自分として満足をいたしております。
 重ねて、皆様方に厚く御礼を申し上げ、足らざるところは、どうぞお許しをいただきたいと思います。この一年間、本当に皆様方と、いろいろなお話をさせていただいて、とても幸せでした。ぶっきらぼうなものの言い方をしたり、あるいは、木で鼻を括ったような言い方をして、ご不快な思いをされた方も大勢おられると思いますが、どうかお許しをいただきたいと思います。私からは以上です。

(政策報道官)
 それではまず、幹事社の方から、よろしくお願いいたします。

(時事)
Q: 最初に質問させていただきますが、今、大臣から、これまでのお仕事の統括というところについては、いろいろお話がありましたので、ちょっと時間も限られておりますから、いきなり、こちらのほうも不躾な質問で恐縮なのですけれども・・・。

A: 農政に関して、まずやってね。

(時事)
Q: 農政に関して。では、まず農政についてお伺いしますが、1問目は。
   今、いろいろお話がありましたけれども、内外の環境が大きく変わる中で、農林水産業に関する行政の課題というか、直面するもの、求められるものもいろいろ変化していると思います。この1年を大きな流れの中で振り返ると、大臣がお務めになられたこの1年、日本の農林水産業というのは、大きな流れの中でどういう状況にあると位置付けられる1年だったのか。
   そして、大臣が取り組まれてきたこと、実際に行ってきたことが、将来にどのように意味を持ってくるとお考えであるのかというところを、漠然とした質問で恐縮ですが、まず、お願いします。

A: 言葉はきついかも知れませんが、「惰性からの転換」ということだったと思っております。今まで、恵まれた条件にありながら、もちろんその時のいろいろな状況がございました、その時はそれしか選択はなかったということもあるでしょう。
   しかしながら、「今までこうだったから、これからもこうだ」というところがあったのではないか、あるいはパッチワーク的に、あるいは、いろいろな、増築に増築を重ねるみたいな形で、従来の方針を基本的に変えることなく、その時の状況、状況に応じて対応するということではなかったかと思っております。それをきつい言葉で言えば「惰性」、きつかったらごめんなさい、そう思っております。それからの転換ということだったと思います。
   併せて、生産者だけではない、広く国民の皆様方に向けて発信をすることであり、多くの外国に向けて発信をすることであり、状況対応型ではない、自ら考え、自ら発信をし、自ら実行をし、そして、共感を得ながらやっていくという従来のスタイルから転じるという1年だったと思っております。それができたかどうかは、皆様方のご評価に任せます。そういうつもりでやってきましたし、私は、そういうことが、国民の皆様方にも、少しなりにもご理解をいただければ、いただいたとすれば、これは(すごい幸いがございます?)。

(時事)
Q: それではもう一点。今後の話について、お尋ねいたしますけれども、大臣、先ほどのお話の中でも、これからも農林水産業に関して、いろいろ、議論だとか、ご提言とか、関わっていかれる姿勢をお示しになられまして、農林水産業の、あるいは、もっと広く国政のいろいろな分野で、大臣のこれからのご意見とか、ご見識、問われるところが出てくると思うのですが、それに関して、お尋ねいたしますけれども、もう、この質問もうんざりかと思いますが、自民党の総裁選近づいておりますけれども、そちらについて、どのように対応なさるおつもりか、率直なところを教えてください。

A: 農政に関して、他にございませんか。

(時事)
Q: 個々に皆さん方から、また、あるのではないでしょうか。

A: そうですか、分かりました。
   それでは、今日は16日でございます。従来からのお約束で、「農林水産大臣の任にある限り全力を尽くす」ということを申し上げました。今朝、総辞職の閣議が開かれましたので、それは、お約束どおり自分の考えを申し述べたいと存じます。
   私は、自由民主党総裁選には出馬をいたしません。
   私が、今回の総選挙において、私の有権者の皆様方に公約をしましたのは、自民党を立て直す、国を立て直す、地域を立て直す、私が立て直す、というお約束をいたしました。そのお約束は、与えられた任期の間に、きちんと果たさねばならないことだと考えております。
   総裁選につきまして、私は、8回目の任期をいただきました直後から、ずっと考えてまいりました。「16日の首班指名までに党の総裁を決めるべきである」ということを申し上げてまいりました。「10日間の総裁選を行うことよりも、多くの地方の方々の意見も踏まえて、投票という形によって総裁を決め、首班指名に臨むべきだ」ということを申し上げてまいりました。多くのご理解をいただけなかったのは、極めて残念なことであります。
   そういう状況の中で、多くの方から「出馬をするべし」というような、お勧めをいただいてまいりました。いわゆる形式的なお話なのかも知れませんが、20人要るものが、私は、一つ一つ確認をしたわけではありません。
   ただ、おいでになる方、そういう方々のお話を総合すれば、それは、私のような者にでも、20人の方々が推薦人になっていただけるというような、ある程度、自信、という言い方はおかしいですね、思いというかな、そういうものもございました。その上でどうすべきかということをずっと考えたのですが、今、我々がやらねばならないことは、野党に転じたという思いを、どれだけきちんと持つことができるか、今までの与党のような思いであっては、決して今後の選挙に勝つこともできないし、国民の皆様方のために働くこともできないし、8割近い方々が思っておられる自民党の再生ということもあり得ないと思っております。
   その中にあって、本当に党内で亀裂を深めるということがいいことなのだろうか、むしろ、我が党は、そういうようなことではなくて、あるいは、従来のようにポストを求めていくということではなくて、本当に、皆が心を一つにして、政策も、党運営も、そして国民の方々に対する発信も、そしてそれを総合した選挙というものも、本当の皆が心を一(いつ)にして、もう参議院選挙まで日がないのです。党内抗争に明け暮れておるような暇はどこにも我が党にはないのであります。主導権争いなぞをやっておる、やっていくことも、そんな暇は、私どもにはないのであります。
   早急に新総裁の下で一致して、国民のために党を再生するためには、ここで一致してやっていける体制を作ることが優先すべきであると判断をいたしました。
   私自身、谷垣禎一元財務大臣を、一緒に閣内でも仕事をさせていただきました。あるいは、プライベートな「日本そばを愛好する会」何かでも、よくお話をしてまいりました。谷垣さんが国会議員に当選される前から、私は、勝手に私の方が存じ上げているのであります。いろいろな会見等々のお話を聞いて、本当に、党再生にかける覚悟、捨て石となってやっていかれるというお気持ち、そして、草の根の政党であらねばならないというお気持ち、そして、地方というものを本当に大切にしようというお気持ち、共感するものが多くございます。
   私個人といたしましては、谷垣候補を支援をいたしたい。そして、いかなる立場であれ、有権者にお約束をした、党を立て直すということに、それは、生やさしいことではありません。まだ、その恐ろしさ、大変さ、を分かってない人が大勢いるように思います。それが、どんなに大変ことである、党所属国会議員の一人として、全力を尽くすことが、今、私が為すべきことであると、このように判断をいたしたしだいであります。

(報道官)
 それでは、そのほかの方々からご質問をいただきたいと思いますが、時間の関係もありますので、恐縮ですが、一社一問ということで、よろしくお願いいたします。それでは、ご質問される方、挙手をお願いいたします。

(食品産業新聞)
Q: 1点だけお尋ねしたいと思うのですけれども、昨日、減反の第2次のシミュレーションの、大臣のメッセージが、この時期に出されたわけなのですけれども、特に、それに関して、特別な思いというのがあったのでしょうか。

A: 特別な思いはございました。それは、先ほど「惰性からの・・・」という、やや穏当を欠く言葉かも知れませんが申し上げました。それは、やはり私の選挙区に限らず、日本全国、農業の現場において、閉塞感とか、不公平感とか、そういうものが横溢(おういつ)をいたしております。どんなに理屈をつけても、生産額が減少し、所得が減少し、農地の面積が減少し、後継者ができてこないということは、歴然たる事実であります。生産調整政策は農政の大きな根幹を成すものでございまして、そこに問題が、肯定的とか否定的という意味ではなくて、問題がなかったとは、私は思っておりません。
   これは、農林水産大臣に就任する、ずっと以前から、私が思っておったことでございます。したがいまして、昨日の公表には、私の特別な思い入れがございます。

(共同)
Q: 今後、新大臣への引継ぎについて、やり方ですとか、日程ですとか、決まっていること、またお考えになっていること、また、特にどのような点を強調して、後任の方に引き継がれたいか、そこをお聞かせください。

A: 新大臣になられる方が確定したと、私は承知をいたしておりません。こういうのは新聞辞令というものだということの理解でよろしいですか、よろしいですか、これは何新聞かな、読売新聞さんの1面に内定した顔ぶれというものがありますが、これは新聞辞令であって、まだ確定したものではないという理解でよろしいですか、よろしいですか?
   はい。ですから、どなたかは分かりません。どなたかが分からないという前提で申し上げます。
   これは、新大臣がお決まりになりました後、私の方から、あるいは農林水産省の方からですね、「農林水産省の方から」と言った方が適切でしょう、引継ぎですから。私個人ということではないと思っております。
   明日、午前中に事務引き継ぎを行いたいというふうに考えております。だから、これは、先様のご了解があった場合のお話でございます。私といたしましては、これも、かねてから申し上げていることでございますが、時間を取って、きちんと引き継ぎをしたいと思っております。つまり、現状をどのように認識をし、課題がどのようなものであり、そのことに1年どのように取り組んできたかということを、もちろん、後ほど所管ごとに新大臣への説明がなされるものだと思っておりますが、私として認識をしている、例えば、今の米政策の問題、農林水産省の組織改革の問題、あるいは、食の安全の確保の問題、WTOへの対応、あるいは大きなテーマになるでありましょう、中山間地の対策を、この後どのように進めていくか、継続は当然だと思っておりますが、私自身は、形を大きく変えていくべきだというふうに考えております。
   そのようなことについて、できるだけ詳細にご説明をしたいと思っております。新大臣が、就任されたその日から、120パーセントの能力を発揮されて、農政に邁進していただけるべく、前大臣として可能な限りの、口はばったい言い方かも知れませんが、お手伝いを含めて、そしてまた、行政の連続性、もちろん政権は交代をしているわけですが、行政の連続性というものを踏まえまして、きちんとした引き継ぎをいたしたいと考えております。

(産経)
Q: 派閥の件なのですが、昨日、菅選対副委員長が、自身の派閥を離脱されたのですが、大臣はこれまで派閥に関しても様々な発言をされているのですが、ご自身のことを含めて、派閥に対する考え方を、もう一度お願いしたいのですが。

A: 人様のことについては、論評すべきだとは思っておりません。
   私は、小選挙区になれば、派閥の機能である資金、あるいはポスト、選挙応援、その3つは当然解消をすべきであると思っております。
   各派閥が候補者を立て、争っていた中選挙区制と、党首を総理大臣に、ということで、投票をお願いする政権選択型の小選挙区制は本質的に異なるものでございます。
   したがいまして、「人間が3人いれば、派閥ができる」と言われるように、グループがあることは、当然でございます。そのことがないなぞということは、人間の本質に反するものだと、私は思っております。そういうグループの存在を私は全く否定するつもりはございません。
   ただ、それが本当にそういう集団が、「ポストちょうだい」とか、「お金を配分してちょうだい」とか、そういうことは、私は自民党の一つの病の一形態だという理解をいたしております。本当に志を同じくする者が、あるいは平たい言葉で言えば、気の合う者たちが集まるということは、むしろあるべきだと思っております。それが、そういう集団であるのかどうかということが、問われているのだということだと考えております。

(毎日)
Q: 一つ確認なのですけれども、総裁選に関して、20人という推薦人は集まっていたというご認識だったのでしょうか。
   あと、いつ出馬をされないというものをお決めになったのか。

A: 言葉が足りなかったかも知れません。私は、1、2、3、4、5、6、7、8、というふうに数えたことはございません。数えるべきだったとも思っておりません。
   しかし、いらっしゃる方々が、これは、「20人必ずいるのだ」、あるいは「30人もいるよ」ということで、その言葉はありがたく承ったということでございます。私は昨年と違って、「この人はどうなの」、「あの人はどうなの」、「この人はお願いすればどうなるの」、というようなことはいたしておりません。ただ、いろいろな方々のありがたいお話を総合すれば、20人は揃うだろうな、という感じは持っておりました。
   もう一つは、「いつ決めたか」ということでございますが、最終的には、今日の未明ということになろうかと思います。昨日、シミュレーションの公表を行いまして、その後、本当に、一人でいろいろなことを考えてまいりました。あるいは、本当に、心から信頼する人たちとお話もしてまいりました。そこにおいて話されたのは、本当にどうすることがこの党の再生につながるのか、ということでありました。誰がどうとか、そんなことではなくて、どうすることがこの再生につながるのかということを、己の利益を一切捨てて議論する方々と、議論をいたしました。ですから、今日の未明ということになる、というふうな答えに相成ります。

(時事)
Q: 今後、大臣個人として、農政への関わり方はどうされるのでしょうかということです。つまり、もし政調会長とかになられるのならともかくとして、実際、常任委員会とかにでも入らないと、なかなか農政に関わりづらいのではないかと思われるのですけれども、どのような形でなさるのでしょうか。

A: それは、何になるのかなんて、全く今から考えるべきことでもありませんし、それは、全て新総裁がお決めになることであります。
   私は、猟官運動というのは、今まで一度もしたこともありませんし、これから先もしようとは思ってはおりません。
   ただ、私は、自由民主党というのは開かれた党ですから、平場でいくらでも議論ができる、昨日もお話をしたことですが、例えば、「一、二の三で、生産調整やめたらどうなりますか」という発言を私がした時は、私は、単なる農林部会の一部会員であって、農林幹部と言われる者でもなんでもありませんでした。
   それは、一人一人の国会議員、我が党は、自由で開かれた党ですから、それは役に就く就かないと関わらず、いくらでもそれは言えることであると思っております。
   仮に、農林水産委員会で委員の席をいただければ、そこで発言することもございましょう。私は思うのですが、自分の意見を申し上げる時は、可能な限り現場の意見を反映をすると共に、世の識者という者が何を言っておられるかというものを、全て見た上でなければ、発言をするべきではないと思っております。私も、全ての論文に目を通したわけではありません。例えば、荏開津(えがいつ)先生であるとか、生源寺先生であるとか、あるいは鈴木先生であるとか、古くは中嶋千尋先生であるとか、そういう先生方のものには、全て目を通したつもりでございますが、それぞれの大学の紀要の論文何かをみると、「こんなこと私は知らなかったのだ」ということがたくさんあります。ましてや、外国の文献については、ほとんど知らないも同然であります。
   だとすれば、そういうことをきちんと踏まえた上で発言をしなければ、それは、農政を変えることにはならないのだというふうに思っておりまして、この一年間、やはり、その場その場の対応というものも、当然していくのが任務でございますから、そういうような、いろいろな考え方に通暁しているわけではございません。
   ただ、農林水産大臣として、あるいは選挙の応援で、あちらこちら回らせていただいて、そこの農業というものは、子細に勉強して臨んだつもりです。
   ですから、現場の声というのは、ある程度踏まえているつもりですが、これまだ十分ではありませんので、それを、きちんと総合した上で、どんな立場であれ、農政に関わるということはしていかねばならないと思っております。

(山陰中央)
Q: 政策課題で、日韓の漁業の関係ですが、EEZ(排他的経済水域)の境界確定とか、暫定水域の漁労秩序の確立とか、他省庁にまたがることで、必ずしも農林水産省、一省庁の問題ではないですが、関係される国会議員たる大臣として、この一年何ができて、何が課題として残ったかというのを、ちょっと簡単に総括をお願いします。

A: 韓国側との理解は相当に進んだというふうに思っております。あるいは、違法漁具の問題をどうするか、それを回収した後どうするかということについても、現場のご意見を踏まえながら対応いたしてまいりました。
   ただ、大きく前進をしたという認識は持っておりません。それは、「やはり現場同士でやるのはおかしいではないか」、「もっと政府が出るべきである」というようなご指摘もいただいてまいりました。そこはうまくコンビネーションを取りながらやっていくべきものだと、国柄が異なりますので、政府と政府が全力でぶつかるということは、必ずしも問題の解決につながるとは思ってまいりませんでした。
   ただ、政府の関与の度合いがもう少し強くても良かったかな、という思いはありまして、私は、この一年間、この日韓漁業の問題について韓国を訪問することもできませんでしたし、向こうの担当者と話をすることもできませんでした。心残りであったことの一つですが、山陰の漁民の方々のお気持ちというものが、一日も早く晴れるように、今後も努力をしたいと思っております。

(日経)
Q: 今、お話にもありましたけれども、コメの話も、やっぱり、自民党農林族であり、農協であり、そういうのを「農政トライアングル」と、農水省と(・・・?)ですね、というように指摘する方もいますけれども、その現状を改革できなかったことも踏まえて、現状がどうで、これが民主党政権になった時に、どういうふうに変わって行くということが望ましいか、期待されているか、ということはありますか。

A: それは、誰のための農政なのかということだと思います。例えば、団体の皆様にしても、農林水産省にしても、農業がなくなったら、何が団体ですか、何が農林水産省ですか、ということなのです。
   その危機意識というものの共有は、少なくとも、団体との間では相当に進んだいう思いを持っております。虚心坦懐に団体の方々とお話する機会というものをずいぶん得ました。
   ですから、団体の方々とのいろいろなパーティー何かでも、私は、挨拶だけして退席ということをいたしませんでした。そして、それぞれの現場にお訪ねをした時も、全中会長のご地元をはじめとして、本当に腹蔵ない意見の交換をしてきたつもりでございます。
   ですから、本当に農業このまま衰退していっていいですかという認識を共有した時に、私は、そういうトライアングルというものは、変質をするものだと思っておりますし、しなければなりません。
   民主党政権になった時に、「おまえは、民主党に塩を送るのか」とか、「民主党の考え方を代弁しているのか」とか、そういうご指摘もいただきますが、そうではない、どうして農業を発展させていくか、この衰退に歯止めをかけるか、それは党の利益を大きく超えたものです。そこにおいて、党の利益というものが、いささかも考えられることがあってはならない。それは、自民党政権であり、民主党政権でも同じであって、仮に民主党政権が、農業というよりも党の利益を考えるようであれば、私は全力を挙げてそれと戦うつもりであります。
   以上です。ありがとうございました。

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2009年9月14日 (月)

ヤミ専従関係者に対する刑事告発の見送りについて

 石破 茂 です。

 農林水産省の「ヤミ専従関係者に対する刑事告発の見送り」につき、ご意見を多く頂いております。もちろんすべての責任は、大臣たる私が負うべきものです。
 ただ、これは私からのお願いなのですが、「新聞にこう書いてあった、官僚の言いなりで実に怪しからん、見損なった」というだけではなく、もう一呼吸おいたご自身のお考えをいただければなお有り難いと存じます。発表当日の記者会見全文を掲載いたしますので(事務局注:本投稿の一番下に入れました)、ご覧いただければ幸いです。

 本問題につきましては、私なりに持っている法律的な知識を可能な限り用い、最新の判例・学説を精査し、有識者とも、省内でも長時間侃侃諤諤の議論を重ねた末に、くどいようですが私の責任において判断を下したものです。
 単に世論受けを狙うなら、「とにかく告発だ!」との結論ありきで臨むべきだったのでしょう。
 しかし、告発が単なる「アリバイ作り」に終わってしまうのでは意味がありません。告発の主体が同じ政府部内の行政庁であることを勘案すれば尚更のことです。
 もっと本質的な問題は、「法治国家とは何か」「公務員と民間人の人権は同じように保護されるべきか」という点にあります。私は公務員であることだけで、基本的な人権が過度に保護されることは断じてあってはならないが、公務員であるから民間人よりも侵されてよいとは思いません。

 随分前にも書いたと思うのですが、ロッキード事件で世間が騒然としていた大学一年生の頃(昭和51年)、田中派参院議員であった父に「いくらお父さんが尊敬する田中さんでもこれはよくないと思う」と言った私に、父は恐ろしく静かな口調で「お前は田中に会ったことがあるか。会ったことも無く『新聞にそう書いてあったから』というだけで批判することは許さん。俺は田中と三十年来の友人だ。お前よりもずっと田中を知っている。その田中が貰っていないと言うからには貰っていないのだ。いいか、人を信じるというのはそういうことだ。お前がどう考えようとお前の勝手だが、自分の頭で考えてからものを言え」と答えたのです。
 「人を信じるとはそういうことだ」、今回の主題とは異なりますが、それは単なる無条件な肯定とはどこかが決定的に違うのでしょう。その言葉の持つ意味を今も私は考えつづけているのですが。


○石破大臣記者会見概要(9月11日(金)10:47~11:35 於:本省会見室)

(冒頭発言)
 無許可専従法令遵守委員会の関係でございます。先ほど先生方の方から皆様方に対してご説明があったというふうに承知をいたしておりますが、それを受けてどのようにするか、ということについて申し上げます。少し長くなりますが、ご了承をいただきたいと思います。
 お手元に日本国憲法並びに民法、刑事訴訟法をお配りをいたしておろうかと思います(後掲)。何であれば、お手元に持っていただいた方が、ご理解の助けにはなろうかと思ってお配りをしたものでございます。それでは申し上げます。少し長くなりますがご容赦ください。
 無許可専従問題及び記者の皆様方に対して提出をいたしました資料改ざん問題、この関係者を刑事告発するか否かにつきましては、弁護士4名、公認会計士1名からなります計5名の専門家による「農林水産省法令遵守委員会」に検討をお願いをしてきたところであります。
 本日、第5回目の法令遵守委員会が開かれまして、いずれの問題につきましても「告発の必要はない」旨の意見が、全会一致した見解として提示をされたということは、皆様方、ご案内のとおりでございます。
 法令遵守委員会の意見書におきましては、無許可専従者等について、詐欺罪又は背任罪のいずれかが、記者の皆様方に対しまして提出されました資料の改ざんにつきましては、虚偽公文書作成並びにこの行使罪の成立が考えられるとされておるわけでございますが、告発の是非については、諸事情を総合的に考慮し、「告発の要はない」というふうにされておるわけでございます。
 このような専門家のご見解も踏まえ、私といたしましては、以下に述べます理由により、「刑事告発は行わないことが適当である」と判断をいたしました。犯罪が成立するか否かということと、告発することが適当かどうかということは、分けて考えなければならないということでございます。
 無許可専従問題につきましては、「労使関係問題特別調査チーム」におきまして、弁護士等の専門家からなります第三者委員会の指揮・監督の下で真相の解明のための調査を進め、去る7月15日に「無許可専従問題に関する調査報告書」として調査結果を公表いたしました。
 無許可専従は、憲法第15条に定められました「全体の奉仕者である」という公務員の理念を蹂躙(じゅうりん)する行為であり、厳正に措置をするという方針で対処してまいりました。
 具体的には、無許可専従者など198名、退職者1名を除いておりますが、これにつきまして、1日7時間以上無許可で職員団体業務を行っていた者23名につき「停職1か月」、1日4時間以上7時間未満の者75名につき「減給2か月・10分の2」、1日2時間以上4時間未満の者34名につき「減給1か月・10分の1」、1日2時間未満の者66名につき「戒告」といたしております。これら行為者とその上司・指導監督者を含め、全体で約900名に及ぶ職員に対して処分を行いました。
 農林水産省の無許可専従につきましては、社会保険庁のように勤務の実態が全くなかったケースとは異なりまして、一定の勤務を行っております。その意味で、法令遵守委員会からも「犯情は軽い」とされておるわけでございますが、当省におきます処分としては、特に悪質であった23名の者については、最も重い「免職」に次ぎます「停職」といたしております。無許可専従に関する処分としては、「減給」で留まっておりました社会保険庁の前例よりも、極めて重い処分を行ったということでございます。
 次に、給与についてであります。無許可専従者などの行為者に支払われておりました給与につきましては、これも条文をご参照いただきたいのですが、民法第704条、不当利得における悪意の受益者の返還義務がございます。これに基づきまして、返納を求めました。根拠条文は、民法第704条でございます。その際、返納すべき額の全てについて、民法第404条、法定利息でございますが、給与支払時点から年利5パーセントの利息を付しまして請求を行ったところであります。
 この結果、不当に支払われました給与相当額27億円に、利息相当額7億円を加えまして、総額34億円となるわけでございますが、その全額につきまして、9月7日までに国への納付手続が終了しております。これによりまして、国、すなわち納税者の皆様方の財産的被害は、回復されたということであります。
 社保庁(社会保険庁)の事案を、ちなみに申し上げますと、時効が成立しました元本及び利息相当分については、全額が返納されておりませんが、農林水産省におきましては、これにつきましても、全額返納がなされているということであります。
 また、全農林労働組合は8月1日の定期大会におきまして、中央本部の委員長、副委員長及び書記長の3役の引責辞任を決定しております。8月23日には新委員長を選出し、法令遵守を徹底した組織運営の確立というものを目指して努力が行われているというところであります。
 農林水産省におきましては、これは、あえて労使と言えば、「使」の方でありますが、農林水産省におきましては、新たな労使関係の構築に向け、無許可専従問題の再発防止策を着実に実施をしているところであります。
 去る7月16日に労使間の徹底した話合いの下で、「新たな労使関係の構築に関する基本方針」を決定し、従来の労使間の取決め、交渉慣行、これを全て廃止をいたしました。
 この「基本方針」を踏まえまして、全農林労働組合においては、専従許可者のいない「組合事務室」、これを全て明け渡すこととなりまして、昨日、9月10日、本省庁舎にございます10分会の「組合事務室」の明渡し作業が完了いたしたところであります。地方組織は108分会ございますが、地方組織の108分会の「組合事務室」につきましても、今月中には、明渡し作業が全て完了する予定というふうに報告を受けております。
 刑事告発についてでございますが、社会保険庁のケースで、これは告発を行っております。このことはよく承知をいたしております。東京地検は、この告発を受けまして、不起訴としておるわけであります。この理由についても精査をいたしました。東京地検が、この告発を受けて不起訴とした理由は3つ、主なものとして、3つ承知をいたしております。第1に、給与を返納していること。第2に、懲戒処分を受けていること。第3に、無許可専従なるものが、事実上慣習化していたということがあり、不起訴ということになっておるわけでございます。私として、このことは指摘を申し上げ、どうなっているかということについて、相当に議論を行い、勘案をいたしたところでございます。
 また、資料改ざん問題についてでありますが、これも繰り返しになって恐縮ですが、前秘書課長に対する懲戒処分は、「減給3か月・10分の2」となっております、これは、過去10年間、農林水産省の課長以上が受けました処分としては、最も重い処分を行っております。
 3月26日には、前秘書課長を更迭をし、6か月近くにわたり、役職が解かれたままの状態が継続をいたしております。
 大きく実名報道がなされ、厳しく社会的な制裁を受けたということだという認識を、私自身強く持っております。法令遵守委員会におきましては、このような事由のほか、昨年4月の調査が不十分であったとはいえ、従来、手がつけられることのなかった無許可専従問題に前秘書課長が取り組んだという意味で、一定の評価もしうると、本人自らが深く反省をいたし改悛の情を示しているということが考慮され、告発の必要はないというふうに、法定遵守委員会においては判断がなされております。
 このように、改ざんを行いました本人に対する措置は厳しく、つまり、10年間、過去10年間で最も厳しい処分を行ったということもございまして、厳しい措置を講じてまいりました。専門家のご意見も踏まえ、「告発を行わないということが適当である」と判断をしたものでございます。
 もう一つ、私がかなりこだわった点でございますが、刑事訴訟法第239条第2項に、公務員の告発義務に関する規定がございます。これも条文をご覧いただければと思います。この239条第2項では、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」というふうに条文に定められております。これをストレートに読むと、犯罪があると思料しておるわけでありまして、告発をしなければならない、こうストレートに読めば、そういうことになるわけで、一体ここはどうなのか、という議論は相当行いました。刑事訴訟法についてお詳しい方には、繰り返しになって恐縮なのでございますが、この条文については、2つの考え方がございます。法的な義務規定ではなく訓示規定であるという考え方。もう一つは、単なる訓示規定ではなく法的義務であると、こういう2つの考え方が、当然ございます。
 仮に、訓示規定とは解さず、法的義務であるという考え方に立ちました場合でも、「告発を行うか否かについては公務員に裁量がある」とされております。これ、刑事訴訟法のコメンタール、解説書をずいぶん私も読んでみましたが、「義務がある」と解する立場に立ちましても、公務員に裁量があるというふうに書かれており、この考え方が一般的でございます。
 「総合的かつ慎重に検討」して判断すべきという考え方が一般的だと、一体何のことだということになるわけですが、法令遵守委員会の意見書の中にも、この旨の記述があるわけでございます。慎重に検討するのは、当たり前のことなのですが、総合的に考える、そこは、告発を行わないということについて、国民の皆様方のお考えに沿うものなのかどうなのか、ということが一つあります。
 もう一つは、事実関係をよくよく精査をし、農林水産省の関係者ではなく、この法令遵守委員会に、なぜ専門家をたくさん入れたかということは、農林水産省の中の恣意が入らない、世の中に言う「身内に甘い」ということを、国民の方々が思われないようにということで、この法令遵守委員会のメンバーというものを改めたところでございます。そういう方々から、「告発を行わないことが適当である」ということが出ました。さらに、社保庁は告発をしておるわけでございますが、それが不起訴になっているという一つの前例がございます。同じ政府の中で、もちろん、社保庁と農林水産省は違う組織でございますが、実際に勤務の実態がある、それから犯情が軽い、更に、重い処分を行っているということ、検察当局において、不起訴とされた理由というものを考えた時に、今回、告発を行っても、あえて言えば、より軽い社保庁の場合もこうであったにも関わらず、同じことを行うということの意味は一体何なのか、ということであります。
 「それを判断するのが検察ではないの」というお考え方も当然あるわけでございますが、過去のケースとして、より軽かった社保庁において、不起訴となっている。軽かったといいますか、より重かったというべきかな、ごめんなさい。それよりも犯情が軽い農林水産省が告発をしたとして、社保庁と比べてどうなのだということは、当然、判断の要素としてございました。そういうことが、「総合的」という意味の中身でございます。
 実際に、財産的損害は回復をされている、利息も付与されている、そして、極めて重い処分を行っている、そういう、今まで縷々(るる)申し上げましたことが、「総合的」の中身でございます。
 刑事告発を行うことが適当であるということは、私自らの責任において判断をいたしたところでございます。重要なことは、今後、二度とこのような無許可専従、あるいは提出資料の改ざんのような問題が発生をいたしませんように、ごめんなさいね、言い間違えたかも知れません。「総合的かつ慎重に検討をし、告発を行わないことが適当である」と、自らの責任において判断をしたということでございます。
 繰り返しますが、重要なことは、今後、このような無許可専従、あるいは報道の関係の方々に提出する資料、これを改ざんするような問題が発生をしないように、職員の勤務管理や法令遵守を厳格化し、再発防止に万全を期すということが、極めて重要であります。
 農林水産省改革というものは、単に二度と行わないという反省をするということだけでは足りませんので、新たな監察を行う組織の創設も含めまして、これが組織的にワークをするものでなければならない、みんなが深く反省をし、自覚をするということだけで済むのであれば、誰も苦労しないのであって、これを、監察組織の新設も含めまして、新たな省の組織の改革というものを、現在、議論を進捗させておるところでございますが、今後とも、農林水産省改革を徹底をし、国民の皆様方が納得していただける、国民視点に立ったというのは、そういうことだと、私は思っておりまして、農林水産行政が展開をされるということが重要であると、私は思っておるところでございます。私からは、以上です。

(配布資料)
○日本国憲法(昭和21年憲法)

第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

○民法(明治29年法律第89号)

 (法定利率)
第404条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。

 (悪意の受益者の返還義務等)
第704条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

○刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)

第239条 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
② 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

(記者との質疑応答)
Q: 無許可専従問題についてなのですけれども、大臣から、縷々(るる)説明がございましたけれども、やはり、素朴な国民感情というか、ところからすると、やっぱり、すっきりしないものが残ると思うのですよね。
   法律の話であるとか、あるいは、今、縷々ご説明になったような解釈は、確かに、そのとおりかも知れないのですけれども、やっぱり、悪いことをしていたではないかと、それで、「中でも処分されているし、財産も返納があったからいいではないか」というのは、立場、身分も、処分はありましたけれども、身分もそのまま守られているようなところがあるわけで、やはり、ちょっと納得しない部分があるのではないかと思いますけれども、その辺り、今のご説明で国民の皆さんもすっきり理解していただけるであろうと、国民感情にもそぐう判断であろうと、大臣失礼ですが、お考えでしょうか。

A: これは、本当に長い時間かけて議論しました。私の大臣室でも、全部で、十数時間にわたる議論をしております。私は、そのことはそのこととして、きちんと申し上げておきたいと思います。つまり、事実関係というものを、最も知りうる立場の者、知っている者が、このことはどうなのだということを議論をし、そして、この国は法治国家ですから、それは、今ある条文と、そしてまた、今までに行われた判断の積み重ね、そういうものによって、法というものは動いています。個人の権利というもの、人権というもの、それは公務員であれ、公務員でないものであれ、それは守られねばならないということは、当然のことでございます。
   それは、公務員だから守られるとか、公務員でないから守られないとか、そういうことは、あってはなりません。そういうことは、あってはならないのですが、公務員であれ、そうでなくても、人権というものは、きちんと法によって守られるべきものだというふうに思っています。事実を本当に知った者たちが議論をし、そして過去、社会保険庁の事案、そして今回の事案も併せて、経験豊かな、見識ある専門家の方々が、長い時間議論をして出された結論というものがある、それが、「いや、国民感情が納得しませんからね、とにかく告発しましょうか、それで不起訴でも仕方がないですね。」、先ほど申し上げた、なぜ社保庁のケースが不起訴になったかということを、詳しく申し上げたのはそういうことです。
   私は、告発をすることによって、国民感情が満足をする、満足をするという言い方が、よくないとすれば、「にかなうもの」という判断がなされて、でも、「結果として、不起訴になりました。」、農林水産省として、過去の前例からいって、それは不起訴になるということは、ほとんど確実なことでございます。でも、「一応告発はしました」、私は、そのことはどうなのだということは、併せて考えなければなりません。
   よくいただくご質問に、「最初から結論ありきではないか」というふうに言われますが、私自身、この農林水産大臣という立場は、この農林水産省という組織の代表者であるとともに、主権者、納税者の代表という二つの立場を持っているという自覚は、常に持っているつもりであります。
   ですから、これは本当に、実際に私の乏しい法律知識からいっても、これは、犯罪成立するでしょうと、大学の論文で、これはどっちか論ぜよと言われたら、これは、「成立する」と書かないとバツですよ、たぶんね。
   しかし、成立するかどうかということと、告発するかどうかは、別の問題であるというふうに冒頭申し上げました。それは、実際に私として、「では、告発しました、不起訴になりました。でも、これで責任を果たしました。」ということが本当に正しいのかどうかというギリギリの判断でございます。この責任は、全て私が負います。

Q: もう一点、無許可専従問題であるとか、他の問題がいくつか出た時に、大臣、春頃だと思うのですが、「組織文化」という表現を使われた記憶があるのですけれども、以来、大臣、筆頭に立って農水省の改革であるとか、意識の面も含めて進めてこられたわけですけれども、組織文化の刷新というか、いい方向に変わっているというのは、今の時点で、どのくらいのところまできたと、大臣、実感がありますか。

A: これは、不可逆性、「もう戻らないよ」ということが、担保されたという実感を持つには至っておりません。それは、他の省の大臣も務めましたが、戻ってきてみると「あらあら、全然変わってないじゃないの」という経験が、私にはございます。
   それは、組織文化というものが、1年で変わるほど、そんなに、あえて言えば、「ヤワなものじゃない」ということだという実体験みたいなものは持っています。
   しかし、この省改革を論じる際に、通り一遍の省改革の手法というものは用いなかったつもりです。本当に、省内多くから意見も求め、そして多くの時間を費やし議論をし、そこにおいて、従来の幹部の方々の意向というものが入るということを排除してきたつもりです。改革チームと私との間で議論をしてきた、という今までにないやり方をやってまいりました。
   私は、一人一人の自覚の問題に帰するつもりはありませんが、要は自分達がやっていることが、納税者から見ればどう見えているのか、自分がやっていることが、本当に納税者の納得が得られるのか、ということを常に自ら問いかけるというマインドは、多くの人が持つようになったと思っています。
   新政権、新大臣の下で、それが、更に徹底される。私ども野党という立場にあっても、この組織文化の変革というものが、不可逆的に一つの流れとなるように、野党としての立場としても努力をしたい。
   したがって、もし相手が受けていただければの話ですが、大臣引き継ぎの時に、このことは、相当、力点をおいて申し上げたい。事実関係も全てご説明をし、大臣が変わったから、それが途切れるということがないようにしておかないと、それは、私自身が過去味わった苦い経験を繰り返すことになりかねない。それは、決して国民、納税者のためにならないと思っております。

Q: もうちょっと広い立場でお話をお伺いしますが、事故米問題から始まって、それから無許可専従問題があり、それから職務怠慢問題があったと。
   この流れの中で、クビになった人は誰もいない、刑事告発はしない、それから事務方の最高責任者の当時の白須前次官は、好条件で天下る。「やっぱり、現政権は、公務員に優しいな」と、こういう感情を持たれるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

A: それは、例えば、私、先ほど「人権」という言葉を使いました。それは、公務員である、公務員でない、ということによって、人権が守られるということに差があってはならないと思っております。
   例えば、皆様方は、民間報道機関に属しておられると、いろいろな問題があった、それで、本当に、では、そういう方々が、全て免職になったか。私は、全ての例を承知しているわけではありません。財産的損害が回復をされ、そして、過去10年間例のない処分がなされた、そして実名で大きく報道がなされたということで、「なお、足りない、なお、公務員に優しい」ということになるのだろうか。それは、公務員であるから、特に過度に人権が擁護されているかと言えば、私は、そうは思っていないのです。
   白須さんの問題と、この問題は分けて考えなければいけないと思っておりまして、私は、全て、日本国民である以上、同じように人権が守られねばならない、ですから、今のご質問、私は全ての例を存じておりませんので、お答えとして必ずしも適切だとは思っていませんが、もし、民間人に比べて過度に人権が守られているということであれば、そのご指摘は、きちんと受けなければいけないし、そういうことであるとすれば、いささかもそういうことがあってはならないと思っております。

Q: 大臣室で長時間の議論が行われているのは、すみません、存じ上げなかったのですが、ところが、残念ながら、法令遵守委員会の議論は、大臣室に比べると、あまり十分に行われたというふうに見えないというのが、私個人の感想でして。
   なぜかと申しますと、初回、第1回です、終わった直後に、委員長が、「もう結論は決まった」と、「もう来週には提出します」と言ってみたり、2回目、3回目も同様の趣旨の発言がございました。「もう論点はないのだ」と、「これ以上開く、あまり意義が感じられないのだ」という感じの発言がございまして、3回目に至っては、確かに、私どもとして、当然報道機関の立場から、「これで十分なのか」という質問をしましたが、そうしたところ、突然、意見書提出の予定が延期になった、更に2回開かれたという、これはもう客観的な事実としてございます。
   そうすると、先ほど大臣がご説明になった、「恣意が入らないように、身内に甘いというふうに思われないように、こういう法令委員会を、専門家で、外部専門家で作ったのだ」という、必ずしもちょっと説得力を持たないような気がするのですが、その点については、どのように思われますか。

A: 先ほどのお答えの中で、私は注意して申し上げたつもりなのですが、私は、この省の代表者であると同時に、納税者、主権者の代表としてここにいる、という自覚は常に持っております。
   ですから、法令遵守委員会でいろいろなことがあった。本当にそれはそうなのかということは、大臣室において、本当に相当の議論をいたしました。
   私は、こういう専門家の方々を選ぶ時に、農林水産省寄りの方を選ぶとか、そういう考え方を持ったことは一切ございません。こういうことに通暁せられた方、そして、厳正な措置を講じてこられた実績のある方、そういう方々にお願いをしてまいりました。ですから、彼ら、そういう先生方は、もう今まで経験もあるし、法律的にも、当然、知見の高い方々ですから、そこの議論というのは、「社保庁の時もこうだったね」と、「だけれども、農林水産省はここは違うね」ということであれば、議論の時間は短いことはあり得るんだと思います。
   ただ、今ご指摘のように、最初から結論があって、それから理屈をつけていくということがやられたとは、私は思っていません、私の実感として。私から、「ここはどうなんですか」、「あそこは一体どうなんですか」ということは、私自身、いかばかりかの、幾ばくかの法律的知識は持っておるつもりでございますので、もっとも二十数年前の、30年ぐらい前かな、学生時代の知識ですから、それは、今のとはずれているのかも知れません。私の法律的な知識から言って、そして、国民感情からいって、「ここはどうなんですか」と、このことについてどうおっしゃっておられるかということの議論は、本当に十数時間行いました。
   ですから、最終的な私の判断としての議論の時間というのは、法令遵守委員会でなされた議論、プラス大臣室で行った議論、それを全部足したものとして、ご理解をいただきたいと思っております。

Q: おっしゃることは分かるのですが、専門家ゆえの、専門家なので結論が先に見えてしまうというのはあるのは分かるのですが、例えば、社保庁の例を引けば、仮に告発をしたとしても、不起訴になるのであろう、起訴猶予になるであろう、というのは、専門家ゆえにすぐに見えてしまうというのは分かるのですが、しかし、ここは、検察庁ではなくて、行政機関の中の諮問委員会ですので、専門家は、当然、パッと結論が分かったとしても、それは、精緻に議論の整理をして、国民に説明をするというのが、農水省なりの法令遵守委員会としたら、そちらの方があるべきであったのではないかと思うのですけれども、その辺りはいかがでしょうか。

A: それは、位置付けとして、法令遵守委員から大臣に対して意見書を出す。国民に対して説明をする義務を有している者は、私なのです。その意見を受けて、私がどう判断したかですから、現政権の大臣として、国民の皆様方に説明する義務を負っている者は、それは、私なのです。ですから、私の責任において、ということを、注意して申し上げました。

Q: 話は変わるのですけれども・・・。

A: 変わっていいの、もし、関連のご質問があれば、どうぞ。

Q: 大臣、説明責任を負われるとおっしゃいましたし、法理の面から見ても、ご説明はそのとおりだろうと思われます。ただし、松島さんの処分以降、後任の方も、我々に対して、過程において虚偽の説明をされたり、結果的にそれは記者団が追及したことによって、より上席の方が出てきて、それは間違いであることが判明するというようなことを、やはりやっているわけですよね。
   要するに、記者の取材に対して、不適切な回答を行ったりだとか、ということが今だに行われています。そういう現状において、やはり今回の処分というのは、いささか、本当に反省しているのだろうかと、農水省は、という疑念をどうしても抱かざるを得ないのですね。
   いつも明晰なお答えをされる大臣のご所見であるので、それなりに納得はいくのですけれども、それだけに、やはり、逆に納得がいかないということをどうしても感じます。その点いかがでしょうか。

A: それは、新政権がどういう運営をなさるかは、私は存じません。私は、記者会見というものには、常に誠心誠意臨んできたつもりです。もちろん、皆様方に十分ご理解、ご納得いただけない点は、多々あったと思いますが、私は、本当に、最終的な場はこういう場だと思うのです。
   仮に担当者たちが、皆様方にご不信を抱かれるような対応をした時には、こういう場で、「こういうことがあるのだけれど、どうなんだ」というふうに聞いていただければ、それでいいことなのだと思う、そうあるべきものなのだと思っております。
   つまり、もちろん、国会議員でない大臣という者もおりますが、国民に、国会議員であれなかれ、国会において選ばれた内閣総理大臣によって任命された国務大臣という者が、国民の、一つの、何て言うのだろうな、その信任というものを得て、この場に立っているわけですね。国民の代表たる国務大臣、ある意味で、国民の意見を代表されるというのか、国民のいろいろな声を、その背に背負っておられる皆様方との議論というのが、ともに、何て言うのでしょう、我々、直接国民の負託を受けているということですね、皆様方は、国民に直接伝達する手段を持っておられるということですね。そういう意味で、全ての議論というのは、この場に集約されるべきものではないのだろうか、というふうに思っております。
   これから先、新政権がどういうふうなお考え、記者クラブがどうなるのかということも含めて、私にはよく分かりません、申し上げるべきことでもありませんが、私は、事務方の会見というものもあるのですけれど、最終的には、大臣と報道との真剣勝負、「勝負」という言い方はおかしいかな、真剣な議論の場という認識を持って、今後もあって欲しいなと思っております。
   仮に、事務方に、そういうような、今ご指摘のような不行届きがあるとすれば、またご指摘ください。
   ただ、全責任は私が負うべきものでございます。

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2009年9月12日 (土)

自民党、派閥

石破 茂 です。

 自民党の衆院選挙の敗因は、「自民党中央が国民に正面から向き合う真剣かつ真摯な姿勢を持っていなかったこと」に尽きます。「民主の突風が吹いた」「風どころか地殻変動が起こった」「マスコミの偏向報道に負けた」などとまだ言っているようでは、現状認識が根本から誤っているとしか思えません。それはもちろん麻生総裁だけの責任ではなく、自民党全体の責任であり、政権の中心にいた私も含めて、選んだ者、支えきれなかった者すべてが負うべきものです。

 自民党の衰退は、実は八年前(2001年)の小泉政権の誕生から始まっていた、というのが私の認識です。
 低支持率に喘ぐ森政権ではとても参院選は戦えない、との危機感から、愛媛県の水産高校実習船と米国原潜の衝突事故の対応の不適切さへの国民世論の批判の高まりを直接のきっかけとして森総理が辞意を表明、後継総裁選に橋本龍太郎元総理、小泉氏、亀井静香氏の三名が立候補、多くの派閥と所属国会議員が推す橋本優勢との当初の予測を覆し、「自民党をぶっ壊す」と主張した小泉氏が圧勝し、小泉政権が誕生したのでした。
 この総裁選では京都、鳥取、島根、岡山、広島、沖縄の僅か一府五県を除く四十一都道府県で小泉氏が勝利、それまで小泉氏を批判していた議員達もあっさりと小泉支持に転向し、直後の参院選では小泉氏のツーショット写真を掲げた殆どの自民党候補の大半が当選、党は大勝したのですが、そのときに感じた「一体これは何なのか」との違和感を私は今も強烈に記憶しています。

  「人気者をトップに据えることで選挙に勝利し、政権を維持する」「勝ち馬である人気者につくことで自分のポストを獲得する」「派閥で勝ち馬に乗り、ポスト配分に関与することで、派閥を維持する」…「派閥や自己の論理が優先し、国民の論理が大きく劣後していた」という自民党中央の病はすべてここから始まったのではなかったでしょうか。

 トップである党首に人気があることはもちろん大切です。人気がなければそもそも当選すらしません。しかし、「人気さえあればいい」わけでは決してありません。「その人が何をするか」も併せて論じられなければ大変に危険です。
 「自民党をぶっ壊す!」との小泉氏を熱狂して支持した自民党は、まさしくその言葉のとおりになりつつあるというべきでしょう。
 政治改革の議論盛んなりし頃、小泉氏は徹底した小選挙区制反対・中選挙区制維持論者でした。その彼が小選挙区制の特性を最大限利用して政権を得、郵政民営化を唯一の争点として選挙に大勝し、今回全く逆の形で自民党が大敗したのは歴史の皮肉という他ありません。
 
 私はかつて小選挙区制の強烈な推進論者でした。
 中選挙区制を維持する限り、自民党は決定的に敗北することはない(東京都議選の結果を見るとこれももう一度検証の要がありますが)、どんなに民意と乖離した政治を行っても政権が交代しないことは民主主義に反するものであり、政治の堕落、ひいては国家の衰退に繋がる、だから、不適格な党首を選んだり、民意に反する政治を行った政党は、主権者たる国民の審判により政権を失う、との緊張感のある小選挙区制に移行することこそが必要だと考えましたし、今もそれは変わりません。
 小選挙区制になれば、党首選びも、政策の決定も、党の運営も、全て国民視点に立ち、慎重の上にも慎重になるに違いない、当時の私はそう信じて疑いませんでした。しかし、果たしてその後の自民党はそうであったでしょうか。議歴を重ねた自分自身の責任をよく自覚した上で、残念ながらそうではなかったと言わざるを得ません。

 かつて田中角栄元総理は、「何故自民党に派閥が五つあるか、それは中選挙区の最大定員が五名であるからだ」と喝破されました。自民党の各派閥はそれぞれ選挙区に三名から五名の候補者を立て、互いが激しく競い合いました。「自民党の敵は自民党」であり、候補者は現総理総裁ではなく、自分の派閥の領袖を総理総裁にするべく戦い、派閥はその武器である資金、ポスト、選挙応援を最大限に駆使しました。派閥領袖は、それなりに、間接的ではあるにせよ有権者の信任を受けていたのです。
 田中角栄理論に従えば、小選挙区制になれば、資金、ポスト、選挙応援を構成要素とする派閥は当然無くなるべきものでした。
 確かに公的助成の導入もあって資金も党から配分されるようになり、選挙応援も派閥横断的になりましたが、小泉政権以来、派閥の推薦を原則として受け付けず、所謂「一本釣り」が行われるようになった大臣ポストを除いて、政府・議会・党の役職配分機能だけは派閥が維持し続けました(「適材適所」の人事も確かにありましたが、どんなに適材であってもその人が副大臣や常任委員長を継続して勤める例はまずありませんでした)。
 「政策集団」を名乗ってはいるものの「政策研究」が行われることは一部の例外を除いてほとんどなく、派閥に忠勤を励み、よいポストを獲得することが活動の中心になってしまった議員がいたことも否定し得ないのではないでしょうか。

 よく「三人いれば派閥が出来る」と言われるように、人間の集団である政党に派閥が無くなることなど絶対にあり得ません。自民党で過去に何度も派閥解消が唱えられながら実質一度も実現したことがないのはむしろ当然ですし、民主党にも小沢グループ、鳩山グループなどが存在しています。派閥の存在それ自体ではなく、それが如何なる機能を果たすべきなのかが問われているのです。
 派閥から資金とポスト配分の機能の要素を取り去り、純粋に政策集団として存続すべき、というのならそれでよいし、自らが政策すべてを作っていかなくてはならない野党となるこれからは、そうなっていくことが望ましいと考えています。
 要は、「政党が国民に真剣・真摯に向き合う」ことを阻害するものをこの際一切排するべきとの覚悟が持てるかどうか、それ無くして自民党の再生などありえないと思うのです。

 今回の総裁選のキーワードは「世代交代」などという上っ面のものではありません。年配でも立派な方はおられるし、若くても駄目な人がいるのはどの社会でも同じことです。
 危機認識、現状認識をどれだけの人が共有しているか。誰が総裁に相応しいかを議論する前に、まずこれをよく見定めるべきなのです。

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2009年9月 8日 (火)

両院議員総会を受けて

 石破 茂 です。
 
 本日の両院議員総会で、9月16日の首班指名選挙には若林正俊両院議員総会長の名前を書くことが決定されました。
 本来であれば、投票日であった8月30日以降、速やかに両院議員総会を開き、総裁選の前倒し日程を作成し、新総裁の下、一致して首班指名に臨むべきでした。そのことをずっと訴えてきましたが、「惨敗を踏まえ、地方の党員の意見を充分に反映させるべく本格的な総裁選挙を行う。そのためには事務作業が間に合わないので、9月18日告示、28日投票の総裁選日程はやむを得ない」との論理が優先されました。
 今回の総裁選は、総理を選ぶものではなく、あくまで「野党の党首」を選ぶものであり、地方票を大幅に増やした上で、手続は多少簡略化しても新総裁の下で望むべきであったと私は今も思いますが、決まったことには党員として従わねばなりません。
 少なくとも、如何なる理屈をつけても職場放棄とも言うべき「白紙投票」や、首班指名前の総裁辞任を明言しておられる麻生現総裁への投票よりはベターな選択であったと思います。

  「麻生氏に投票することは民意に反すると言うが、現議員は麻生政権を信任してくれと有権者に訴えて当選したのだから、麻生氏に投票すべきだ」との論理はそれなりに成り立ちます。
 若林氏であれ、麻生氏であれ、どちらも自民党再生のメッセージ性に乏しいという意味では本質的には同じなのでしょう。「党が一致して臨む」ことが敢えて優先された結果であり、最初から国民に対して大きな重荷を背負ってのスタートとなることを我々は深く自覚すべきです。

 今回の総裁選は、「誰を選べば次の選挙に勝てるか」だけが優先されてはなりません。
 「自民党は何を訴えるか」そして「誰なら党の一致結束が保たれるのか」の二つが両立されねばなりません。
 憲法、消費税、財政再建、自衛隊の国際活動、年金、医療・・・「国家の将来のため、国民に負担をお願いできる勇気と真心が持てるか、そしてそれをお願いできる資格を持っているか」それこそがまさしく問われるのだと思っております。

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WTO非公式閣僚会合に出席しなかったことについて

 石破 茂 です。

 9月3日、4日にインドのニューデリーでWTO非公式閣僚会合が開催されました。
 この会合に私が出席しなかったことについて、「出席すべきだったのではないか」とのご批判を多くいただいております。
 ご意見に感謝しますとともに、私が出席をしないと判断した理由について、見解を述べさせていただきます。

 先般の総選挙の結果、現在の政府・与党と政策を全く異にする民主党への政権交代が確実となりました。これが、私が会合に出席することは適切ではないと判断した最大の理由です。

 民主党はそのマニフェストにおいて、「日米FTAを締結する(後で「交渉を促進」と修正しましたが、基本的には同じことです。締結するべく交渉を促進する、とするのが日本語としてはより正しいのでしょう)」と公約しております。
 FTAとは、原則として関税を撤廃することであり、これを日米間で締結するという方針はこれまでの政府の通商政策の方針とは本質的に異なります。
 こうした考えを持つ政党が政権に就くことが確実な状況下で、私がWTO非公式閣僚会議に出席したとしても、今後の日本国政府の方針を責任を持って打ち出すことはできませんし、すること自体が一種の越権行為であると考えました。

 また、今回の非公式会合の内容に鑑みれば、今時会合は、例えば農業分野の個別論点について具体的に交渉・決定したりするものではなく、今後の交渉の全体的な進め方について議論する場として設けられるものであることが事前に開催国であるインド政府から各国に伝達されておりました。
 敢えて平易に申し上げれば、今後とも交渉を加速するため、互いに協力しようとの意思を再確認する場であったということです。

 なお、他国の例においても、政権移行期には(閣僚が出席する会合と政権移行期が重なったという事例はあまり多くありませんが)閣僚が出席せずにこれに代わる者が代理を務めることが通例となっております。
 昨年12月に開催された気候変動枠組条約第14回締約国会議(COP14)に、ブッシュ政権からオバマ政権への移行期にあった米国は、閣僚ではなく、国務省のドブリアンスキー次官を出席させました。
 また、WTOの閣僚会合についても、本年1月31日にスイスのダボスで開催された非公式閣僚会合には、担当閣僚が承認される前の米国は、アルガイヤ在ジュネーブ大使を出席させています。
 
 今回の会合には、私と二階経済産業大臣に代えて、山田農林水産審議官(副大臣級)と石毛経済産業審議官がそれぞれ出席しました。
 WTOのドーハ・ラウンド交渉は2001年に始まり、足かけ8年にわたり交渉を積み重ねているものであり、その内容は、関税率をはじめ非常に専門的・技術的な事項が含まれるものです。
 こうした会合の歴史・性格を踏まえた上で、今回私が出席することが適当でない以上、次善の策として、専門的な事項や交渉の経緯に精通する事務方トップを代理で出席させることとしたものです。

 両名は、国益を踏まえ、我が国として、
・交渉プロセスを明確化すべきこと
・閣僚会合の開催には内容の十分な進展が必要であること
などを適切に主張しました。ですので、本会合において我が国に不利な事項が決定されたというような事実は全くありません。

 「出席すべきであった」とのご議論を正面から否定するつもりは全くありませんが、「異なる政策を掲げた政権への移行期であること」や「具体的な交渉・決定の場ではないこと」などの情勢判断を踏まえ、私は「民意を反映しない立場で責任の持てないことはいささかなりともすべきではない」との自らの判断に基づき、このたびのWTO非公式閣僚会議に出席しないこととした次第です。

 重ねて、お寄せいただきましたご意見に厚く御礼申し上げます。

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2009年9月 1日 (火)

ご無沙汰いたしました

 石破 茂 です。
 
 お陰様で八回目の当選をさせていただきました。
 このたびの総選挙は民主党の勝利というより、自民党の大敗北がその本質です。
 このような結果になった原因を徹底的に分析し、ゼロからの出直しをしない限り、自民党の再生はありえません。そして自民党が、本来あるべき保守政党として再生しない限り、日本国の未来もありません。
 頂いたご支持に応える重責を痛感しております。
 「当選御礼」にあたると思われることは、公職選挙法で禁止されているので、満足にお礼の言葉も申し上げられませんが、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
 

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