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2009年9月 8日 (火)

WTO非公式閣僚会合に出席しなかったことについて

 石破 茂 です。

 9月3日、4日にインドのニューデリーでWTO非公式閣僚会合が開催されました。
 この会合に私が出席しなかったことについて、「出席すべきだったのではないか」とのご批判を多くいただいております。
 ご意見に感謝しますとともに、私が出席をしないと判断した理由について、見解を述べさせていただきます。

 先般の総選挙の結果、現在の政府・与党と政策を全く異にする民主党への政権交代が確実となりました。これが、私が会合に出席することは適切ではないと判断した最大の理由です。

 民主党はそのマニフェストにおいて、「日米FTAを締結する(後で「交渉を促進」と修正しましたが、基本的には同じことです。締結するべく交渉を促進する、とするのが日本語としてはより正しいのでしょう)」と公約しております。
 FTAとは、原則として関税を撤廃することであり、これを日米間で締結するという方針はこれまでの政府の通商政策の方針とは本質的に異なります。
 こうした考えを持つ政党が政権に就くことが確実な状況下で、私がWTO非公式閣僚会議に出席したとしても、今後の日本国政府の方針を責任を持って打ち出すことはできませんし、すること自体が一種の越権行為であると考えました。

 また、今回の非公式会合の内容に鑑みれば、今時会合は、例えば農業分野の個別論点について具体的に交渉・決定したりするものではなく、今後の交渉の全体的な進め方について議論する場として設けられるものであることが事前に開催国であるインド政府から各国に伝達されておりました。
 敢えて平易に申し上げれば、今後とも交渉を加速するため、互いに協力しようとの意思を再確認する場であったということです。

 なお、他国の例においても、政権移行期には(閣僚が出席する会合と政権移行期が重なったという事例はあまり多くありませんが)閣僚が出席せずにこれに代わる者が代理を務めることが通例となっております。
 昨年12月に開催された気候変動枠組条約第14回締約国会議(COP14)に、ブッシュ政権からオバマ政権への移行期にあった米国は、閣僚ではなく、国務省のドブリアンスキー次官を出席させました。
 また、WTOの閣僚会合についても、本年1月31日にスイスのダボスで開催された非公式閣僚会合には、担当閣僚が承認される前の米国は、アルガイヤ在ジュネーブ大使を出席させています。
 
 今回の会合には、私と二階経済産業大臣に代えて、山田農林水産審議官(副大臣級)と石毛経済産業審議官がそれぞれ出席しました。
 WTOのドーハ・ラウンド交渉は2001年に始まり、足かけ8年にわたり交渉を積み重ねているものであり、その内容は、関税率をはじめ非常に専門的・技術的な事項が含まれるものです。
 こうした会合の歴史・性格を踏まえた上で、今回私が出席することが適当でない以上、次善の策として、専門的な事項や交渉の経緯に精通する事務方トップを代理で出席させることとしたものです。

 両名は、国益を踏まえ、我が国として、
・交渉プロセスを明確化すべきこと
・閣僚会合の開催には内容の十分な進展が必要であること
などを適切に主張しました。ですので、本会合において我が国に不利な事項が決定されたというような事実は全くありません。

 「出席すべきであった」とのご議論を正面から否定するつもりは全くありませんが、「異なる政策を掲げた政権への移行期であること」や「具体的な交渉・決定の場ではないこと」などの情勢判断を踏まえ、私は「民意を反映しない立場で責任の持てないことはいささかなりともすべきではない」との自らの判断に基づき、このたびのWTO非公式閣僚会議に出席しないこととした次第です。

 重ねて、お寄せいただきましたご意見に厚く御礼申し上げます。

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コメント

そんな小さな事よりも、

自民党、もう捨てちゃいましょうよぉ。こんな危機的な状況なのに、自民党のお年寄り連中は何にも考えてないんですね。
今回の負けはマスコミのネガキャンに対して無策だったから。そういう事に対する意識さえないんだから。
今の時代の戦い方もわからないお年寄り連中を叩き出すか、自民党を捨てるか、どっちかしかないですよ!

ああ、いっそ自分がコマーシャル担当にでもなってマスコミ対策やっちゃいたいくらいです!

投稿: ふぁんくらぶ一号 | 2009年9月 8日 (火) 21時01分

お疲れ様でした。
納得できる、ご説明ありがとうございます。
逆風?のなかですが、頑張ってください。

投稿: DAGGER | 2009年9月 8日 (火) 23時03分

要は日本国としてきちんとぶれない方針を海外に示すことが重要であると私も思います。

たしかに、まだ大臣でいらっしゃるので国の代表として出席すべしというのもあります。が、失礼ながらもうすぐ大臣も変わるかの可能性が高いので、逆に出ても意味がないのでは?と思います。政権交代のことは当然、国外でも報道されていますから。

私は正直、政権交代してよかったと思っています。しかしながら、石破氏のような退くとわかってなお、日本のことを思う。そういう政治家が好きです。

投稿: がっつ | 2009年9月 8日 (火) 23時53分

この話題を聞いたときとても残念に思いましたが、理由をこの場で知ることができ安心しました。

投稿: dashima | 2009年9月 9日 (水) 00時36分

私は自民党は嫌いですが、石破さんには好感を持っております。ぜひこれからも理想論ではなく現実的な政策の提案を期待しております。

投稿: さぼ | 2009年9月 9日 (水) 02時19分

ものすごく共感できました。自民党が早く与党に戻ることを切に願っております。

投稿: アビ | 2009年9月 9日 (水) 02時44分

言いたいことはわかるのですが、それでも出席するべきだったと思います。
政権の移行期であることは、あくまで日本国内の問題です。
もちろん、政権が移行することで具体的な協議を進める事ができないというのはありますが、だからと言って出席しないというのは出席した他国に対して失礼です。
国内がどんな状態であろうと、外交で礼を失するような真似をすることは許されないと考えます。
それは国益に反することです。
今回の会合が開催された時点において、出席する資格のある人間があなたであった以上、あなたは出席するべきでした。
あなた方は、自分が政党の一員である前に日本の政治家である自覚に欠けているのではないですか?
他国がどう対応したかなんて関係ありません。

投稿: 狛犬 | 2009年9月 9日 (水) 10時55分

石破さんのお考えはよく理解できました。
しかしながら、でも! という気持ちを持つ一農家です。

今月16日まで石破さんは農水大臣です。次官級の事務方を送り込むと仰っていますが、非公式会談の、それも担当閣僚級の会談では官僚は追い出されているのが国際会議の通例ではありませんか?。
歴史上、様々な国際会談・条約締結において、公式な調印式は一種のセレモニーであり、本質的な会談は水面下で行われていたではありませんか。賢明な石破さんが知らないとは到底思えません。
次期政権の農水大臣への引継ぎという意味で、是非ともご出席していただきたかった。

農業・食料の問題は日本国の問題であり、党の事情を差し挟む石破さんのお考えは非常に残念です。

投稿: 農家マン | 2009年9月 9日 (水) 11時49分

ありがとうございました。
小さな意見にも心にとめ、耳を傾けることのできる方なのだ、と再認識させていただきました。
日本に石破さんのような議員がいてくださることを誇りに思います。自民党を建て直してください。待っています。

投稿: ら | 2009年9月 9日 (水) 12時28分

僕もWTO非公式閣僚会合になぜ石破さんが出席されないのか疑問に思っていましたが、丁寧な説明で、理解できました。

マスコミが報道しないだけかもしれませんが、政治家には、このぐらいの丁寧な説明をしてもらいたいと思います。

投稿: ヨッシー | 2009年9月 9日 (水) 12時47分

石破氏のご判断には全面的に賛成します。個人的には自民党の再建に注力することが今後の日本のためになると思っています。

>他国がどう対応したかなんて関係ありません。

そういう意見もあるでしょうが、多国間の外交の場で我が道をひたすら通すのもどうかと思いますが。

投稿: なぎくん | 2009年9月 9日 (水) 14時05分

内向きの説明はいいとしよう。しかし、世界に通用する政治家を目指すなら、ちゃんと外に出かけて「選挙で負けました」と言ってきなさい。

投稿: ぎじぇ | 2009年9月 9日 (水) 17時39分

民主党のネクストキャビネットの方と一緒に向かうことは出来なかったのでしょうか?
確かにそれは難しいことかもしれませんが、私は民主党との合意をした上でそれを行うべきだったのではないかと考えております。
なぜならばそれによって、政権交代を円滑に行うに当っての一つの前例が出来るからです。
そのような前例があれば、次回やその次の政権交代を今回よりもスムーズに行うことが出来るのではないでしょうか。
石破氏の判断も致し方ないとは思いますが、どうかそのような考え方もあると捉えてくださると嬉しく思います。

投稿: 大学生 | 2009年9月 9日 (水) 17時48分

さすが石破さんですね。
WTO非公式閣僚会議欠席の件では、石破さんにとって耳の痛い厳しい意見が出ていたのも事実です。
しかし、逃げずにこの場で丁寧に説明されていますよね。
これを読めば誰でも納得しますし、石破さんの真面目な政治姿勢に改めて共感しています。

この誠意のある説明を読んで、益々石破総裁~総理大臣誕生を期待します。
大丈夫!ブログに加えて読売や産経など保守系のメディアも上手く駆使して様々な場面で真面目なメッセージを送り続ければ、見せ金で小沢民主に騙された国民も目を覚ますと思います。
是非、新総裁になって党内の若手をリードして下さい。
そして、一日も早く民主政権を叩き潰してマトモな保守政治を担って下さい。
深刻な被害が出る前に!慎重かつスピーディーにお願い致します。

投稿: 憂国の鉄チャン | 2009年9月 9日 (水) 18時39分

>そういう意見もあるでしょうが、多国間の外交の場で我が道を
>ひたすら通すのもどうかと思いますが。

他国の前例を持ち出して、それを言い訳にするような真似はしないで欲しいという意味で書きました。
他国を無視して外交を進めろという意味ではありません。
文章の稚拙さ故に誤解を与えてしまったとしたら、申し訳ありませんでした。

投稿: 狛犬 | 2009年9月10日 (木) 14時44分

日米FTA対する政策が違うことが、
WTOに欠席しなければならないという
理由にはならないと思います。
また他国の例にならうことも
理由にならないと思います。

G20も閣僚が欠席していたようですが、
同様の理由でしょうか。?
違いますよね。

新政権になったとしても、
閣僚に指名されない可能性は全くないと
言い切れないので、最後まで職務を
全うしてほしかったです。

サミットも同様の扱いになりますか?
出席しますよね。

投稿: 有権者のひとり | 2009年9月10日 (木) 20時26分

いつもながら迅速、論理的かつ分かりやすい記事で、ご事情察し申しあげます。
他の政治家にもここまでの丁寧さ、真摯さを見習ってほしいものです。

これまで積み上げてきたものをまるで無視して、「コメなどの関税は残すFTA」などというワケの分からない政策を打ち出すのが次期政権であり、その過渡期にある以上大臣の欠席は止むを得ないと思います。

次期政権の主張するワケのわからない政策を現大臣が理解できず、説明も出来ない状況で参加できるわけがない。

そしてネクストキャビネットと一緒に、という意見も、肝心の民主党が誰をも出してこない上に、政策自体もワケがわからないのだから致し方ないと思います。
また、代理出席が通例になっている以上、さほど礼を失したとも思いません。

ただ、今の状態で農政はどうなっていくのでしょうか。それだけが心配です。

民主党に期待をかけて投票した農業従事者もいらっしゃることでしょう。
その期待に答えることが果たしてできるのか。
また、どうにも「ワケがわからない」と言わしめる関税つきFTAって何なのかをきちんと論理的に説明していってほしいものですね。

投稿: 八郎 | 2009年9月11日 (金) 11時29分


>失礼ながらもうすぐ大臣も変わるかの可能性が高いので、逆に出ても意味がないのでは?と思います。政権交代のことは当然、国外でも報道されていますから。

がっつさんへ それは違います。
政権交代といっても、まだ碌に閣僚も決まっていない段階で、彼がそんな事をするのは明らかに職務怠慢です。そして、自分が出る資格がないと仰るのであれば、閣僚ではなくても、民主党の中から農業政策に通じている人間を緊急的に派遣をして、現地へ一緒に行き、引き継ぎをするべきだと思います。

安全保障の話しをする時に、自民安部氏は民主党前原氏が訪米する時に隠密に同行し、政権交代しても日米同盟は変わらないという引き継ぎをしようとしました。
石破氏にはそれがかけています。

WTOの大事な事を話すティータイムは、官僚は除外されるという事は、ご存じのはずです。それは何を意味するか?日本の農業を左右する事を日本がいない席で勝手に決められるのを指をくわえて見てるだけになってしまいます。
これは、大臣以前に公僕たる資格をないと思います。
あまつさえ、ポンポンとワイドショーなどにのほほんと出席しているとはどういう了見か!!
見せかけだけのコメントに右往左往する程度の低い国民だったという事を自分で再認識するだけです。というかWTOの一件の事まで私も石破氏を信じていました。

ワイドショーなどで総裁になるならないの話しを聴いてもやる気のなさを感じざるをえません。

何を弁明しても、彼のやる気のなさを露呈したといわざるをえません。

はっきりいって、桝添氏と五十歩百歩です。あなたは逃げたのです。

正直失望しました。
民主党が政権とったあと、また自民党に仮に政権が戻ったとしても、「マトモな保守政治を担って下さい。」というのは、あなたには無理でしょう。

ついでに、あなたは軍事オタクで自衛隊を見目を変えたかもしれません。
それは評価に値するかもしれませんが、命をはって仕事をしている人達にとっては、目障りなだけですよ。


投稿: 通りがかり | 2009年9月12日 (土) 07時20分

自民党でまともと思えるのは石破さんぐらいしかいないと思ってます。 私自身は自民党支持者ではありませんが、かといって民主党支持でもありません。
真に日本の将来を考えている人を応援したいです。
ぜひぜひ総裁選に出馬し、日本を考える党として再建してください!

投稿: 憂国者 | 2009年9月12日 (土) 16時08分

なるほど。閣僚会議を欠席なさった理由は分かりました。確かに一理あります。特に外交上の慣例というものはある程度の尊重を要しますから、むしろ政権交代より「外交上の慣例である」との説明を国民にするべきだったかと思います。
今回の自民大敗は「国民が自民政権に呆れ、見限る決意」をした結果と言うべきでありますから、敗者となった内閣の一員が(石破閣下の発言のごとく)負けたのを理由にして国際会議を欠席すれば、国民の一部は反射的に「だから負けるんだよ、この無責任大臣が!」と考えてしまいかねず、結果として自民は無能無責任とする説を補強しかねん訳です。
外交上の慣例であると言われたら、それは納得すべきであり、これを叩くのは視野の狭さを露呈するものですから、むしろ笑われるべきは外交慣例を無視せよといふ野蛮な輩であります。
端的に「政権を明渡す側の大臣は国際会議を遠慮するのが国際社会の慣例だから、外交上のマナー違反をして日本が侮蔑されるのを承知で大臣風を吹かすのは国益に反する。我々は良識ある敗者として政権を去り、手強い野党にならせていただく」とでも言えば、グゥの音も無かったでしょう。
ま、最後の下りは今の迷走する自民じゃ恥ずかしくて言えませんか。
時に。農水省の駆込み天下り…何とか出来なかったのですか?負けたから「後は野となれ山となれ」を内政でやらかしたように見えますよ、大臣?

投稿: 図書 | 2009年9月12日 (土) 18時48分

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さすがだ!石破さん...WTOに出席しなかったことに民主サイドからの批判にたいする反論WTO非公式閣僚会合に出席しなかったことについて: 石破茂(いしばしげる)ブログまず神なのは、このスピードでのこの切り替えし...最近の敗軍自民の恨み辛みのあいかわらず上から目線のクソコメントに辟易してたところにこの表明...すごいです...ふつーの議員さんなら体面気にしてスルーするところ加えて敗軍中のモチベーションダウン状態ならなおさらだけどこの方は死んではいません...まぁね〜WTOにいってたら「死に体」のくせ... [続きを読む]

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