自民党、派閥など
石破 茂 です。
「自民党は変わった」と目に見える形で示さなくては、党の再生はありえません。
自民党がどうなろうと自業自得、と言ってしまえばそれまでですが、民主・社民・国民新党の連立政権の内政・外交すべてにわたる無責任ぶり、迷走ぶりを見ていると、自民党が再生しなければ日本が潰れるとの危機感を抱かずにはいられません。
参議院選挙の投票日まであと四ヶ月しかないのです。学生の頃、「試験まであと○○日」というカレンダーを作って自ら焦燥感を煽り、自分を追い込んだものですが、そのカレンダーを作って党本部に掲示せよと命じても全然やろうとしない。今日が明日になり、明日が明後日になればいいと能天気な気分でいる者が多いとしか思われない。
はっきり言えば、自民党は顧客に見放された倒産会社のようなものなのです。民間であれば、大リストラを断行し、組織を一新し、経営方針を改め、本社でもなんでも売れるものは売ってしまうのが当然です。それに比べて自民党は一体何をしたというのか、執行部の一員として大きな責任を感じています。
選挙対策機能の党への一本化の議論に対して、派閥の領袖から一斉に批判の声があがっているようですが、小選挙区制度に移行した今、自民党における派閥とは一体如何なる役割を果たしているのか、私は理解に苦しみます。
中選挙区制時代は、各派閥はその領袖を総理候補として戴く一種の擬似政党であり、定数3ないし5の選挙区にそれぞれ候補者を立てて競い合い、その緩やかな連合体が自民党でした。
機能は選挙応援、資金の配分、大臣・党三役から委員会の委員までにわたるポストの配分の三つでしたが、今や選挙応援は派閥横断、資金は党を経由したものであり、ポスト自体ほとんどない有様で、一体何の意味があるのか。よかれ悪しかれ、民主党では選挙対策は党に一本化され、冷徹に選挙対策を行っているのに、自民党がいつまでも義理や人情で選挙を戦っていいはずがないと私は思うのです。
人が三人寄れば派閥ができる、それはそのとおりです。政策で一致し、この人を総裁、やがては総理にしたいというグループは当然あっていい。しかしそれは自民党が選挙に勝って、初めて言えることなのです。
今の自民党に、資金的にも、人的にもそんな余裕はないのではないか。すべての力を選挙に集中すべきだ、との私の考えは変わりませんし、それを言わないのであれば、自分が党に対する責任を果たしたことにはなりません。
あいつも派閥に散々世話になっておきながら今更なんだ、との批判もあるでしょう。中選挙区制時代はごく一部を除いてみんなそうでしたし、擬似政党の一員であったのですから、それはむしろ当然です。時代も制度も変わったのに、それが認識できないほうが余程おかしい。
私は防衛庁長官も、防衛大臣も、農林水産大臣も、政調会長も、派閥の枠でなったわけではありません。もし派閥の推薦であったとすれば、同期で最年少の、ましてや新進党からの「出戻り組」の私など、あらゆる役職に就くのは一番最後だったはずです。党もポストも、国家国民のためにあるのであって、個人のためにあるのではありません。
派閥領袖が、苦心惨憺して資金を集め、派閥を維持してきたことはそれなりに評価されるべきでしょう。とても私などにできることではありません。
しかし、今必要なのは、旧来美徳とされてきたこと、しかし今の時代に合わないものと訣別することなのです。
今日は3月12日、19日の朝9時から放送されるラジオ日本の番組収録がありました。
ラジオはテレビと違って、少し余裕を持って話せるので大好きです。大学時代の先輩が対談相手であったこともあり、久々に少し楽しい時間を過ごせました。
土曜日は午後一時から千代田区一ツ橋の日本教育会館で農政についての講演、日曜日は午前十一時から青森市のホテル青森で開かれる自民党政経セミナーで講演の予定です。
皆様よい週末をお過ごしくださいませ。
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