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2010年4月28日 (水)

起訴相当

 石破 茂 です。

 昨日の検察審査会で、民主党小沢幹事長が「起訴相当」とされました。
 一昨日、鳩山総理が「不起訴相当」と判断され、政治的判断ではないかとも言われたのですが、検察審査会にそのような配慮があるとはとても考えられず、結局「限りなく疑わしいが、公判維持が難しい」との判断が働いたのではないでしょうか。そうでなければ「鳩山氏の説明は一般人には理解しがたい」などという見解が示されるはずがありません。
 七月の参院選挙を控え、検察が今後どう判断するのか、情勢の見通しは極めて難しくなってきました。
 鳩山首相はこれ幸いとばかりに小沢氏辞任の実現に向けて動くのでしょうが、彼にそのような資格があるとはとても思えません。世間の常識も、人としての情も無い人ですから、どう動くのかはわかりませんが。

 鳩山氏にしても、小沢氏にしても、大嘘をついて政権を獲ったことの報いは必ず来る、ということです。
 あの二人が「国民の生活が第一」というスローガンをバックに会見しているのを見る度に、私はそう思い続けてきました。権力慾、夢想癖、自民党への怨念、がその本質であるにもかかわらず、それを美しい言葉で糊塗し、国民を愚弄しきった彼らは本当に許し難いし、ひたすら盲従する多くの自浄能力無き民主党議員も同罪です。
 
 しかし、今まさしく問われるのは我が自民党です。
 民主はもう厭だ、でも元のままの自民党に戻るのも厭だ、この国民の思いになんとしても誠実に応える責任を我々は負っています。

 これから数ヶ月、本当に激動の時期が到来します。極限まで心を引き締めて臨まねばなりません。

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2010年4月23日 (金)

あまりにも酷すぎる

 石破 茂 です。

 水曜日の党首討論、聞いているうちになんともいえない虚しさがこみ上げてきました。
 テレビの画面で部分的にしかご覧になれない皆様には、あの異様さが今ひとつ伝わりにくかったかもしれませんが、実際間近で見ていると、今の日本政治の現状に対する恐怖やおぞましさがありありと感じられました。

 こんな人が日本の総理なのか。
 出鱈目かつ無責任極まりない答弁にパチパチと拍手している民主党議員は一体どうなっているのか。
 有権者の多くに「Anyone but LDP(自民党以外なら誰でもいい)」という気分を与えてこんな政権の出現を招いてしまった我々の責任は、誠に重いどころか、敢えて言えば万死に値すると痛感したことでした。

 「私は愚かな総理かもしれない」との言葉には、また謙虚を装うポーズが始まったのかと思いましたが、それを「愚直」という肯定的な言葉にすりかえて答弁を展開し始めたのを聞いて、なんという不誠実で狡猾な総理かと憤りに震えました。
 「昨年の12月に現行案(辺野古沿岸埋立て案)に決めておけばどんなに楽だったか。しかしそれで一時的に日米関係が良くなったように見えても、(結局それは完成せず)かえって日米の信頼を損なうことになる。」
 この答弁は一体何なのでしょう。
 よく考えもせず、経緯についてもほとんど理解しないままに、選挙の際「国外、最低でも県外」などと勝手に口走って沖縄県民の期待を自ら煽っておきながら、「どんなに楽だったか」などとどうして言えるのか。
 「公約違反!」と罵られるのがそんなに楽なことでしょうか。そして「現行案では結局完成しない」などと、何を根拠に言うのでしょうか。何故完成しないのかも全く説明しないまま、現行案を否定した自分を正当化するこの卑劣さは、断じて許しがたいものです。

 「沖縄海兵隊は日本防衛のために必要なことは承知している」と発言したものの、総理は日米安全保障条約第6条をまだ理解していないと言わざるを得ません。
 「日本国の安全に寄与し、ならびに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国はその陸軍、空軍及び海軍(註:海兵隊を含む)が日本国において施設及び区域を使用することを許される」。
 アメリカ軍は日本のためだけに居るのではありません。
 その緊急展開能力をもって、極東にいる米国人を救出し、紛争を初期の段階で極小化することも、彼らに与えられた大きなミッションであり、これにより抑止力が維持されているのです。
 そのことが全く理解できていないからこのような答弁になり、米国から全く相手にされない結果となるのです。

 「(有罪判決の出た)勝場元秘書とは、解雇した後、全く連絡をとっていない。完全に独立した個人の話で、証人喚問を働きかけるつもりはない」
 総理には、彼に連絡する手段もないのでしょうか。勝場氏は、いったい何の罪に問われて有罪判決が下されたのでしょう。すべて総理のためにやったことであり、それを個人の責めに帰すとは、血の通った人間、政治に大きな責任を有する人間が言うことでしょうか。

 「個人のプライバシーに関わる資料を国会に提出したことは過去にもない。検察が判断して結果を出したのだから資料は提出しない」
 今まで提出すると言ってきたのは何だったのでしょう。母親から受け取った金を一体何に使ったのか、それが問題の核心ではないですか。プライバシーの秘匿が政治の信頼より優るとでも言うのでしょうか。

 このように悪罵の限りを尽くすのは本意ではありませんし、決して楽しいことでもありません。
 しかし、いくらなんでも酷すぎる。
 我々はこのような総理を一日も早く退陣させるべく、全力を尽くすことを誓います。

 舛添議員の離党について、特にコメントはありません。
 逸材であるだけに、その行動は不可思議であり、顔ぶれを見ると「我々は政策を同じくする者の集団だ!」などと言われてもほとんど説得力をもたないようにも思われ、ご本人のためにも非常に良くなかったという一語に尽きます。

 土曜、日曜は久々に講演やテレビ出演もなく、中学生の国会見学の挨拶と地元日程で東京~地元を往復します。
 皆様、よい週末を。

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2010年4月16日 (金)

市長選など

 石破 茂 です。

 さる日曜日に投開票が行われた鳥取市長選挙におきまして、自民党・公明党が推薦した現職の竹内功氏が、大差で三選を果たしました。皆様、誠にありがとうございました。

 本来は国政の対立図式をストレートに地方選挙に持ち込むべきではないのですが、昨年10月に民主党県連が「参院選挙の前哨戦だ!」と位置付け、民主・社民・国民新党推薦、あろうことか共産党までが支持するというなんとも面妖な図式を構築して挑んできた以上、「売られた喧嘩は買わねばならない」。
 相手候補は県外出身の方で、「給食費完全無料化」などという公約を掲げていましたので、「鳥取のことは鳥取人が決める!財源の裏づけなきバラマキ政策反対!中央のわけのわからない政治を鳥取に持ち込むな!」と訴え、支持を得ました。
 我が陣営は危機感を背景に県議・市議もよくまとまり、一体感のある気持ちのいい選挙が出来たのではないかと思いますが、これを参院選での勝利に結びつけるためには相当の努力が必要です。

 自民党の候補予定者である国際政治学者の浜田和幸氏は実にいい人材なのですが、とにかく圧倒的に知名度が低い。
 投票の際、知らない名前は書きようがないのですから、まずは知名度アップに総力を注がなくてはなりません。
 相手候補が敗戦の弁の中で、「政策作りに一所懸命になってしまい、充分に有権者に訴えることが出来なかった」と述べていましたが、これは誠に示唆的で、理屈をくだくだ述べる前にとにかく動かなければならない、という選挙の鉄則を改めて再認識したことでした。

 舛添参院議員の動向が大きく報じられています。
 二十年来の知己であり、共にいくつかの仕事をしてきた私は、彼の能力・識見、そして実はとても親切な人柄を尊敬しているのですが、今回の行動にはどうにも違和感をおぼえます。
 世論調査で常に「首相にしたい人ランキング第一位」だからといって、彼ほどの人が舞い上がってしまうとも思えないのですが、一体どうしたことなのか。東国原宮崎県知事と会う時間があるのであれば、自民党の会議に出席して意見を述べるべきなのではないでしょうか。

 昭和61年同期当選組の中で、最も才能があり、輝けるスターであった故・新井将敬議員がその死の直前、私に対して、
「石破、マスコミには気をつけろよ。俺はマスコミに持ち上げられてどんどん過激なことを言っているうちに、引っ込みがつかなくなってしまった。持ち上げるだけ持ち上げて、その後落とせるだけ落とすのがマスコミなのだ」
となんとも寂しそうに言っていたのを思い出します。あれは新井議員の私に対する遺言であったように思えてならないのですが、舛添議員がそうでないことを願うばかりです。

 「汗は自分でかきましょう、手柄は人にあげましょう」
故竹下元首相の名言ですが、自重自戒、ひたすら愚直にやるしかありません。

 週末は、今日(金曜日)が参院比例区候補予定者・角田宏子氏の後援会で講演(午後6時半・横浜市栄区栄公会堂)。
 土曜日が地元で浜田和幸候補予定者の集会(午後2時・ホテルニューオータニ鳥取)ならびに街頭演説(午後4時・鳥取駅前)。
 日曜日は午前9時よりNHK「日曜討論」、10時よりテレビ朝日「サンデーフロントライン」。
 週が明けて月曜日は午前10時から関西経済同友会(大阪市北区中之島・関西経済同友会会議室)、正午から共同通信社の「きさらぎ会」(同北区梅田・ヒルトンホテル)でそれぞれ講演の予定です。

 金曜夜、土曜夜と、二晩連続で夜行特急による移動になります。
 夜行特急もかつてのように直通ならよいのですが、今は深夜・早朝に岡山乗換えで、いくら鉄道好きの私でもこれは結構辛いものです。
 参院選挙までは何とか持ちこたえさせなくてはなりませんが…。

 皆様、よい週末を。

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2010年4月 9日 (金)

新党についてなど

 石破 茂 です。

 与謝野・平沼新党「立ち上がれ日本」が発足しました。
 政策がわからない、とかシルバー新党、とか世評はあまり芳しくないようですが、与謝野元財務相も、平沼元経済産業相も、園田前幹事長代理も、尊敬すべき立派な方々であり、今回の件は誠に残念ですが、それなりのお考えがあってのことだと思います。
 単純に考えれば、新党乱立は結果的に民主党を利するだけとも思われますが、そんなことはやってみなければわかりません。
 私心を捨てて行動したのであれば、必ず一定の有権者の支持は得られるはずです。一部には「囲碁仲間である小沢氏と与謝野氏は連携しているのではないか」との見方もありますが、私はそうではないと信じます。仮に裏切られるようなことがあれば、それはそれで仕方がありません。信じた自分がいけなかったのだと思えばよいことです。

 「石破さんは与謝野さんや園田さんとも近かったのだから、いずれは合流されるのですか」などという質問をしてくる報道関係者もおられますが、自民党を船にたとえれば船長は総裁であり、政調会長は航海士或いは機関長的な役割でしょう。その任を担っている者が船を捨てるような真似はできません。浸水を防ぎ、航路を正すことに全力を尽くすのが当然で、そうでなければ乗客たる国民はたまったものではありません。
 全力を尽くした後に船が沈むのなら、最後の一人まで脱出を見届けた上で船と運命を共にすべきなのだと私は思います。自民党に在籍していたからこそ、閣僚も務め、それなりの仕事も出来たのです。
 日本国のために、自民党内でまだまだ能力を発揮すべき人たちのために、参院選挙での勝利のみを考えて行動することが私の仕事だと心得ます。
 いい政策を出そう、「本当に自民党は己を捨てて国民のために尽くしている」と実感していただくまで頑張ろう、そう己を鼓舞する以外にありません。

 日本テレビ系列で11日午後9時から「たけしの今まで見たことないテレビ」なる番組がオンエアされます。
 「あんな番組に出てどうするのだ」とのお叱りも殺到しそうですが、北野武さんという方はやはり天才ですね。今までいくつかの番組でご一緒しましたが、今回はたけしさんから特にご指名の光栄に浴しましたので、お叱り覚悟で出てみた次第です。

 週末は、土曜日は鳥取市長選挙最終日で終日遊説カー、日曜日は午後2時半から名古屋市公会堂で自民党主催の講演会の予定です。
 皆様、よい週末をお過ごしくださいませ。

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2010年4月 2日 (金)

党首討論

 石破 茂 です。

 昨日の党首討論、とにかく鳩山首相の異様さが際立っていたように私には思えました。
 眼は宙を泳ぎ、答弁は質問には全くと言っていいほどに答えることなく、無内容な美辞麗句を連ねるばかり。「大切なことは」をやたらと連発するも、一体何がどうして大切なのか、さっぱり理解できませんでした。

 詳しくはネットで議事録をご覧頂きたいのですが、谷垣総裁が問うたのは、大きく次の三点でした。
 ①危機管理の責任者としての意識を全く欠き、雑誌に報道された後も反省の色が無い中井国家公安委員長・防災担当相は即刻解任すべきではないか。
 ②元秘書である勝場被告の裁判は結審したのだから、検察に押収されていた資料を国会に提出し、母親から受けていた12億円の使途を明らかにすべきではないか。
 ③普天間基地の代替施設として政府が示す案は、抑止力の維持と沖縄の負担軽減の両面において、現行案と同等かそれ以上のものであると言えるのか。

 その答えは以下の通りでした。
 ①中井大臣があのような行動をとったのには何か理由があったのではないか。本人も大いに反省しており、二度とさせない。
 ②資料の公表には、プライバシーの問題もあるので、自分の弁護士に調査させたい。
 ③政府が示す案は、現行案と少なくとも同等か、それ以上に効果がある。

 聞いていて、思わずのけぞりそうになりましたね。
 この人は本気でそう言っているのか。自分の頭の中で独自の空想世界を構築し、それを自分自身に信じ込ませようとしているのではないか。いままで何度も党首討論を聞いてきましたが、ここまで酷いのは初めてでした。

 ①について
 中井大臣のあのような行動には、そりゃあ何か理由があったでしょうよ。それが一体何であったのかが問題なのです。そして本人は何の反省もしていない。見ていればわかります。
 中井氏は小沢系とも言われていますが、こんな人を罷免もせず任用し続けるのも、小沢幹事長への配慮ゆえなのでしょうか。

 ②について
 政治倫理綱領には「われわれ(国会議員)は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれた場合には、自ら真摯な態度を持って疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう務めなければならない」とあるのですが、そんな気持ちは欠片も無いらしい。
 プライバシーって一体何のことですか。疑惑の解明よりも、贅沢三昧の生活の実態を秘匿するほうが優先すると考えているのでしょうかね。
 弁護士は依頼人の利益のために働くのが仕事なのであって、高額の報酬で鳩山家に雇われているお抱え弁護士の調査が公正なはずはありません。

 ③について
 現行の沿岸埋め立て案は、米国との国際約束(グアム協定。いわゆる「狭義の条約」にあたる。憲法第98条「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」)に沿って、2014年までに世界一危険な基地とも言われる普天間基地の危険性を除去し、同時に日本ならびに極東地域における紛争抑止力の維持を実現する唯一の案でした。
 鳩山氏の「腹案」がどのようなものなのか知りませんが、報道にあるように現在の基地機能をこれ以上あちこちに分散させれば(現行案でも抑止力を損なわない限りにおいて相当分散させている)、抑止力は低下するに決まっていますし、新しい案を、分散候補地となるそれぞれの地域に納得してもらい、環境アセスメントを実施するのには大変な困難と時間が必要となります。
 どう考えても現行案より後退するはずなのに、それでも「抑止力も、普天間基地の危険性除去の時期も、現行案と同等かそれ以上」と断言できる根拠が私には全くわからない。鳩山氏の夢想癖、虚言癖、自己陶酔の代償はあまりにも大きいと言わねばなりません。

 それにしても、鳩山総理がかくも出鱈目な答弁をしても、パチパチと拍手している民主党議員の存在が私には不気味に映りました。この人たちは鳩山総理の異様さに気がつかないのか、それとも本当に何も知らないのか、一体どちらなのでしょう。
 それが所謂小沢ボーイズ、ガールズと言われている議員だけでなく、中堅・ベテランにまで及んでいるのを現実に見ると、強い焦燥感と危機感にかられます。
 苦い顔をしている閣僚や議員も何人かはいたのですが、それはごく少数でした。

 与謝野・園田両議員をはじめとする何人かが自民党を離党し、新党を結成する、との報道があります。
 党内には、「党内で批判せず、外に向かって批判するような奴は出て行けばいい」的な雰囲気が強いのですが、果たしてそうでしょうか。
 他はともかく、お二人とも単に目立とうとか、自分の選挙に有利になるようにとか、そんなことを考える人たちではありません。仮にそのようなことになれば、打撃は深刻であり、事態を招来した私を含む執行部の責任は重いと考えています。

 昨日、今日と、自民党両院議員懇談会が開催されました。
 テレビカメラに向かって目立ちたい奴が発言してかえって混乱するだけだ、と開催に否定的な人もいましたが、私はやってよかったのだと思います。
 あのような場でこそ議員の真価が問われるのであり、やるべきこともやらず単に批判だけしている者、目立ちたいだけの者がほとんどいなかったことに安堵さえしています。
 ここで出た多様な意見をどう反映するかがこれからの仕事です。単なるガス抜きの場として終わらせるようなことは絶対にいたしません。

 週末の土曜日は午後一時から旭川ロワジールホテルで講演、日曜日は鳥取市の市長選挙が告示となりますため地元に帰ります。
 春の嵐、桜が散らなければよいのですが……ここ何年もお花見なんかしてはいないのですが、やはりそう思いますね。
 皆様よい週末をお過ごしくださいませ。


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