石破 茂 です。
昨日の党首討論、とにかく鳩山首相の異様さが際立っていたように私には思えました。
眼は宙を泳ぎ、答弁は質問には全くと言っていいほどに答えることなく、無内容な美辞麗句を連ねるばかり。「大切なことは」をやたらと連発するも、一体何がどうして大切なのか、さっぱり理解できませんでした。
詳しくはネットで議事録をご覧頂きたいのですが、谷垣総裁が問うたのは、大きく次の三点でした。
①危機管理の責任者としての意識を全く欠き、雑誌に報道された後も反省の色が無い中井国家公安委員長・防災担当相は即刻解任すべきではないか。
②元秘書である勝場被告の裁判は結審したのだから、検察に押収されていた資料を国会に提出し、母親から受けていた12億円の使途を明らかにすべきではないか。
③普天間基地の代替施設として政府が示す案は、抑止力の維持と沖縄の負担軽減の両面において、現行案と同等かそれ以上のものであると言えるのか。
その答えは以下の通りでした。
①中井大臣があのような行動をとったのには何か理由があったのではないか。本人も大いに反省しており、二度とさせない。
②資料の公表には、プライバシーの問題もあるので、自分の弁護士に調査させたい。
③政府が示す案は、現行案と少なくとも同等か、それ以上に効果がある。
聞いていて、思わずのけぞりそうになりましたね。
この人は本気でそう言っているのか。自分の頭の中で独自の空想世界を構築し、それを自分自身に信じ込ませようとしているのではないか。いままで何度も党首討論を聞いてきましたが、ここまで酷いのは初めてでした。
①について
中井大臣のあのような行動には、そりゃあ何か理由があったでしょうよ。それが一体何であったのかが問題なのです。そして本人は何の反省もしていない。見ていればわかります。
中井氏は小沢系とも言われていますが、こんな人を罷免もせず任用し続けるのも、小沢幹事長への配慮ゆえなのでしょうか。
②について
政治倫理綱領には「われわれ(国会議員)は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれた場合には、自ら真摯な態度を持って疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう務めなければならない」とあるのですが、そんな気持ちは欠片も無いらしい。
プライバシーって一体何のことですか。疑惑の解明よりも、贅沢三昧の生活の実態を秘匿するほうが優先すると考えているのでしょうかね。
弁護士は依頼人の利益のために働くのが仕事なのであって、高額の報酬で鳩山家に雇われているお抱え弁護士の調査が公正なはずはありません。
③について
現行の沿岸埋め立て案は、米国との国際約束(グアム協定。いわゆる「狭義の条約」にあたる。憲法第98条「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」)に沿って、2014年までに世界一危険な基地とも言われる普天間基地の危険性を除去し、同時に日本ならびに極東地域における紛争抑止力の維持を実現する唯一の案でした。
鳩山氏の「腹案」がどのようなものなのか知りませんが、報道にあるように現在の基地機能をこれ以上あちこちに分散させれば(現行案でも抑止力を損なわない限りにおいて相当分散させている)、抑止力は低下するに決まっていますし、新しい案を、分散候補地となるそれぞれの地域に納得してもらい、環境アセスメントを実施するのには大変な困難と時間が必要となります。
どう考えても現行案より後退するはずなのに、それでも「抑止力も、普天間基地の危険性除去の時期も、現行案と同等かそれ以上」と断言できる根拠が私には全くわからない。鳩山氏の夢想癖、虚言癖、自己陶酔の代償はあまりにも大きいと言わねばなりません。
それにしても、鳩山総理がかくも出鱈目な答弁をしても、パチパチと拍手している民主党議員の存在が私には不気味に映りました。この人たちは鳩山総理の異様さに気がつかないのか、それとも本当に何も知らないのか、一体どちらなのでしょう。
それが所謂小沢ボーイズ、ガールズと言われている議員だけでなく、中堅・ベテランにまで及んでいるのを現実に見ると、強い焦燥感と危機感にかられます。
苦い顔をしている閣僚や議員も何人かはいたのですが、それはごく少数でした。
与謝野・園田両議員をはじめとする何人かが自民党を離党し、新党を結成する、との報道があります。
党内には、「党内で批判せず、外に向かって批判するような奴は出て行けばいい」的な雰囲気が強いのですが、果たしてそうでしょうか。
他はともかく、お二人とも単に目立とうとか、自分の選挙に有利になるようにとか、そんなことを考える人たちではありません。仮にそのようなことになれば、打撃は深刻であり、事態を招来した私を含む執行部の責任は重いと考えています。
昨日、今日と、自民党両院議員懇談会が開催されました。
テレビカメラに向かって目立ちたい奴が発言してかえって混乱するだけだ、と開催に否定的な人もいましたが、私はやってよかったのだと思います。
あのような場でこそ議員の真価が問われるのであり、やるべきこともやらず単に批判だけしている者、目立ちたいだけの者がほとんどいなかったことに安堵さえしています。
ここで出た多様な意見をどう反映するかがこれからの仕事です。単なるガス抜きの場として終わらせるようなことは絶対にいたしません。
週末の土曜日は午後一時から旭川ロワジールホテルで講演、日曜日は鳥取市の市長選挙が告示となりますため地元に帰ります。
春の嵐、桜が散らなければよいのですが……ここ何年もお花見なんかしてはいないのですが、やはりそう思いますね。
皆様よい週末をお過ごしくださいませ。