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2010年5月28日 (金)

自民党の責任

 石破 茂 です。
 
 普天間問題も、口蹄疫も、結局は危機管理についての意識の問題です。鳩山内閣の対応はもはや論評する気にもなりません。
 人間万能ではなく、無謬の存在などありえませんが、本当に沖縄の痛みを、日本防衛のために生命を賭す米軍人の辛さを、牛や豚を家族同様に慈しんできた人の悲しみを、思いやる気持ちがあるならば、あのような対応にはならなかったはずです。言葉だけいくら「思い」を連発しても何ら人の心に響かないのは、その気持ちが欠片もないからです。
 高校生の頃に読んだ三浦綾子の「氷点」のなかに、「包帯を巻いてあげられないのなら、その人の傷に触れてはいけない」というとても印象的な台詞がありましたが、鳩山氏はそれを平気でやっている。
 そのような人物と知りながら鳩山氏を首相に、赤松氏を農水相に、中井氏を国家公安委員長に、福島氏を国務相に起用したのは、形式上はともかくも実際は小沢幹事長に違いありません。
 「国民の生活が第一」ではなく「連立政権の維持と己の保身が第一」の内閣やそれを操る小沢民主党に対して国民がどのような審判を降すか、それにすべてがかかっています。

 このような政権を作った責任は間違いなく我が自民党にあります。
 自民党が国民に愛想をつかされた昨夏、民主党が掲げた「政権交代」とのフレーズはまさしく悪魔的な魅力に満ちていました。
 国民は政権交代は手段であると信じたのに、小沢幹事長にとってはそれ自体が目的だったのです。
 小沢氏に阿諛追従する人たちは「やがて来るべき大再編への布石」などと言いますが、その前に日本が崩壊してしまいかねません。そのようなことは絶対に許されませんし、歯を食いしばって参議院選に勝利することが自民党が天から与えられた使命と思わねばなりません。
 長きにわたって政権を与えられていながら、いつのまにかそれに対する感謝と怖れを忘れ、真実を語る勇気も、真心も失ってしまったのではないでしょうか。安全保障や財政の危機を招いた責任も、専ら我が党が負うべきです。
 国民が審判を降すに当たって問われているのは民主党ではなく、我が自民党なのだと強く思っています。

 今日金曜日は大阪(午後六時半・とかしきなおみ君を育てる会・ホテル阪急エキスポパーク、午後七時半・西村康稔議員出版記念会)。
 土曜日は「サタデーずばっと」に出演の後、地元で十箇所の街頭演説会。
 日曜日は報道2001に出演の後、石川(午後二時・自民党金沢支部講演会・金沢エクセルホテル)。
 月曜日は国会・党用務の後、佐賀(午後七時・福岡たかまろと語る会・武雄市文化会館)と日程が続きます。

 番記者さんから「政調会長、相当疲れてますね」と同情(?)して頂いておりますが、ここを何とか乗り切らねばなりません。
 皆様、よい週末をお過ごしくださいませ。

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2010年5月26日 (水)

口蹄疫特措法案

 石破 茂 です。
 
 本日、口蹄疫特措法案が衆議院農林水産委員会で採決され、明日にも参議院に送られることとなりました。
 とにかく、できるだけのことを、なるべく早くやらなければ、との思いです。

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2010年5月21日 (金)

韓国哨戒艦沈没事件

 石破 茂 です。

 韓国哨戒艦沈没事件については、とにかく謎が多すぎて軽々な論評は差し控えなくてはなりません。
 韓国の発表は「魚雷」が北朝鮮製であることは断定したものの、北朝鮮が実行したとは断定していません(北朝鮮の小型潜水艇から発射されたとしか説明できない)。
 朝鮮戦争は未だ休戦状態であって終結してはいませんし、自衛権行使を巡っても相当に複雑な法的状態にあります。

 ただ、これは決して偶発的なものではなく、北朝鮮の明確な意志に基づくものに違いありません。
 何を利益として得ようとしているかを見定めなくてはなりませんし、それを与えないためには相当に強固な覚悟と能力を有していなければなりません。
 北の狙いはあくまで「体制の維持」と「北主導による朝鮮半島の統一」なのであり、「制裁の強化」だけ言っていても、事態の決定的な解決は見られません。
 韓国も中国も、北の暴発を恐れているのであり、たとえそうなったとしてもその被害を極小化する手立てにつき、意思の一致をみなくてはならないのです。

 こんな時、日本の情報力不足が残念でなりません。
 力の弱い兎が長い耳を持つように、専守防衛を掲げ、その能力すら充分ではない日本は、正に情報力において優らなければならないのですが、我々が政権にあったとき、インテリジェンス強化のための構想を纏めるところまではいきながら、実現をみるまでには至らなかった責任を感じます。

 昨夕はCS(日テレニュース24)で普天間問題についての討論番組でした。
 ものの見方が全く違う人には、何を言ってもわからないのだ、と嘆息したくなる一時間でした。

 選挙応援のための地方講演がやたらと多く、落ち着いてものを考えたり書いたりする時間が極端に足りません。土日はそのためにもあるはずなのですが、平日にもまして忙しい。
 今日も千葉県旭市で講演してきて、これから夜行で鳥取です。
 明日は地元で十数か所の街頭演説と県連大会。
 明後日は岩国市で講演(午後一時・宇部国際観光ホテル)、来週もほとんど地方出張です。

 口蹄疫、哨戒艦問題については、週明けにもう少し詳しく論じようと思っています。
 ご容赦のほどお願いいたします。

 皆様、よい週末をお過ごしくださいませ。

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2010年5月14日 (金)

国会見学

 事務局です。大変ご無沙汰してすみません。
 このブログにて17日のセミナーのお話を代議士が書きましたところ、「出席したいのですが」とのお問い合わせをいくつかいただきました。本当にありがとうございます。当日お目にかかれますのを、楽しみにお待ちさせていただきます。

 鳥取県の中学校さんは、春の時期が修学旅行のシーズンです。出来る限りみなさんにご挨拶させていただいてます。

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マニフェスト原案

 石破 茂 です。

 ようやく自民党参議院選挙公約(マニフェスト)原案が出来上がり、本日の政務調査会、政権政策委員会、総務会の議を経て、報道発表、自民党ホームページ上で公開してパブリックコメントを五月中に頂くところまで漕ぎ着けました。
 2月から4ヶ月かけてようやくここまできたか、というのが実感です。
 新聞報道やホームページをご覧になった方からは、「政策を羅列した総花的な印象」「ストーリー性がない」「具体的な数字が入っていない」というようなご批判が寄せられることが予想されますが、現段階ではこの程度でやむをえないものと考えています。
 「原案」はあくまで原案で、これに今後アクセントをつけて、ストーリー性を持たせて、初めて公約は完成するのです。まだこの中には入っていませんが、これは面白い!と思っていただける実現可能な政策もいくつか用意してあります。

 正直言って、今までの自民党の政策は、党が方向性だけ示して、後は霞ヶ関が具体的な政策を書き、これに自民党のラベルを貼っていたようなところがありました。
 野党で国政選挙を迎えるのも政策を作るのも、すべて初めての経験で、試行錯誤の連続ですが、ここまで努力してくださった林芳正・鴨下一郎両政調会長代理、西村康稔事務局長、はじめ政務調査会の各位に心から御礼を申し上げます。

 今(5月14日午後7時半)、これを記している議員会館の外では、「沖縄に基地は要らない!」という人々が大音量で演説しながら蝋燭集会を開いています。
 断片的にその内容が聞こえてくるのですが、「日米安全保障体制の根本を議論すべきだ」という主張には全面的に賛成です。
 彼らの考えは結論的には恐らく私と正反対なのでしょうが、議論を根本から行うことを避けてきた結果が今日の混乱を招いていることだけは間違いありません。

 以前「海兵隊だけが議会の決議なく大統領の承認のみで出動できる米国唯一の軍隊」と書いたことにご注意をいくつかいただきました。
 「合衆国軍隊はすべて議会承認を経ずに大統領の命令によって行動できるが、実際の運用を考えれば、議会との調整を必要とするほどに長期間の準備を必要とする陸軍とは異なり、海兵隊は命令後直ちに行動に移ることが出来る事実上唯一の軍種」というのが正確のようです。
 今回改めて合衆国憲法、戦争権限法の条文に当たってみた限りそのようなことで、空軍・海軍との整合性も含めてもう少し精査をしてみなければなりません。孫引きは絶対に避けねばならないのですが、注意が足りなかったことをお詫びいたします。

 週末は参議院の浜田候補支援のため、二日間とも地元です。
 月曜は静岡県の自民党県連大会に出席した後、私のセミナーを開催します。
 皆様、よい週末をお過ごしくださいませ。

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2010年5月11日 (火)

口蹄疫など

 石破 茂 です。

 「大型連休」なるものが終わり、世間は日常を取り戻しつつあります。
 マニフェスト作り、参議院選挙に向けての活動に加えて、鳩山総理沖縄訪問、普天間基地を巡っての迷走などが重なり、一日中お休みの日は結局一日しかなく、それも議員宿舎の片づけで終わってしまったような有様でした。
 振り返ってみれば銀行員時代も「上司が休んでいる連休中こそ余計なことを言われずに仕事が出来る」なぞと言って暦どおりに出勤していましたから、社会に出てから長期の纏まったお休みというものを取ったことは一度もないように思います。やるべき仕事があるだけありがたいことだ、と諦めにも似た気持ちです。

 普天間問題に隠れてあまり大きく報道されていませんが、宮崎県を中心とする口蹄疫は相当深刻な状態になりつつあることを、我々自民党としても強く認識しております。
 谷垣総裁を長とする対策本部を十日ほど前に立ち上げ、総裁も現地入りし、連休中も農林幹部や九州選出議員が現地での状況把握や政府に対する要請などを行いました。
 ヒトに感染することがないため、報道が小さいのでしょうが、それにしても鳥インフルエンザや新型インフルエンザの時と比べて本件の報道過少さには相当奇異なものを感じています。
 下手をすると、空気感染の蔓延力によって、日本の畜産そのものが壊滅の危機に瀕しかねません。
 防衛庁長官在任中に近畿地方で鳥インフルエンザが発生し、自衛隊を災害派遣などで出動させましたが、あの際は与野党挙げて取り組んだように記憶しています。
 このような問題は、初期のうちにたとえやり過ぎと言われようとも最大限の対処をしなくてはならないのですが、どうも政府の対応は後手に廻っているように思えてなりません。現地からの報告によれば、対処方針を質した自民党議員に対して、外遊から帰国して現地を視察した赤松農林水産大臣が「選挙を意識したパフォーマンスはやめてもらいたい」などと発言したようですが、これはそういう問題ではありません。
 今後とも自民党として出来る限りの対応をしてまいります。

 与野党とも、スポーツ選手をはじめとする著名人を参議院候補に擁立する動きが目立っています。
 その道を極めるというのは大変なことで、到底私などの及ぶところではありませんが、谷亮子さんのように「現役を続けてロンドンオリンピックでもメダルを目指したい」とあっさりと言われると、柔道も政治もそんなに甘いものではないだろうと思わざるを得ません。出馬会見において、普天間問題や財政再建、景気対策などについてその見解を質す質問がマスコミから出なかったのも、とても不思議に思いました。
 他の「著名人候補」の方も、与野党問わず知名度という点は確かに優れているのですが、参院議員として何をなさりたいのか今ひとつよくわからない、というのが実感です。
 6年の任期が保障されている参議院であればこそ、やりたいこと、そしてそれを実現させるための手法を明確に定めて有権者に選択を仰ぐべきですし、少なくとも我が党はそうあるべきです。
 また、衆参問わず「著名人」の方々を含めた議員たちが、任期中にどのような活動をしてきたのか、きちんとした情報公開の仕組みを作らねばなりません。「政党離れが進み、無党派層が増大しているのだからとにかく知名度が第一だ」との姿勢には、なんとなく釈然としないものを感じています。

 5月17日、久々にセミナーを開催します(午後6時半・ホテルニューオータニ東京「鳳凰の間」にて)。
 悪名高い所謂「政治資金パーティ」ですが、「大臣在任中は開催を自粛せよ」との閣僚申し合わせもあって、昨年・一昨年と開催を見送ってきたため、財政事情はかなり厳しく、万やむを得ないといったところです。
 政治家は簡単にお金が集まっていいね、などとよく言われますが、このご時世に一枚二万円もするパーティ券をお願いするのはなかなか大変なことで、誠に心苦しい限りです。
 何のご利益もないのに買ってくださる方にはただただ感謝の他はありません。本当に有り難うございます。

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2010年5月 7日 (金)

日米同盟の在り方

 石破 茂 です。

 何故沖縄に米国海兵隊が必要か、について問われたあるアメリカ政府高官は、「ロケーション!ロケーション!ロケーション!」と繰り返した、と伝えられます。私自身、似たような話を多くの米国政府関係者から聞いたことがありますが、アメリカの国益実現のための軍事合理性から言えばまさしくこれに尽きるのでしょう。
 世界には190余の国がありますが、良かれ悪しかれ全世界、地球の裏側まで自国の軍隊を長期間展開できる国はアメリカだけであり、これがアメリカの国益を支えています。
 この展開を可能にするためには、兵站補給・修理修復・休養・訓練のための根拠地が必要不可欠です。
 良好な治安と比較的良好な対米感情、高度な工業技術力、輸送手段など、すべてを兼ね備えた国はアジア地域には日本しかありません。原子力空母ジョージ・ワシントンが米国外で唯一、横須賀を事実上の母港としているのもこのためです(正確には第7艦隊は在日米軍ではありませんが)。

 米国海兵隊は、出動にあたって連邦議会の決議を必要とする陸・海・空軍と異なり、大統領の承認だけで出動できる唯一の軍隊であり、その本質は「自己完結的な緊急展開性」にあります。
 米国企業や米国民は世界各地に存在していますが、いざ情勢が緊迫した時、彼らを早期に救出するのが海兵隊に与えられた第一の任務です。
 また、紛争が勃発した際にいち早く駆けつけ、陸・海・空軍がそれぞれ必要とする陣地・港湾・滑走路を確保し、その展開を可能にするのが海兵隊の第二の任務です。
 市民救出も、陣地・港湾・滑走路の確保も、分単位の遅れが取り返しのつかない事態を招きかねないため、紛争やテロの発生が予想される朝鮮半島、台湾海峡、フィリピンをはじめとする東南アジアに、空路で数時間、海路で二日以内に到着し得ることが必要とされています。
 そして、緊急展開性が命であるということは、常に最高の錬度が要求されます。
 徳之島移設案のように、航続距離の短いヘリ部隊と陸上部隊が距離的に離れることを米国が忌避するのはこのためだと思われます。

 我が国は海兵隊を持っていないのでイメージが湧きにくいのかもしれませんが、主要国で島国国家や海岸線の長い国家は、そのほとんどが自国民保護と共に島嶼防衛を任務とする海兵隊を保有しています(韓国1万人、英国8千人など)。
 日本は自衛隊法により「輸送の安全が確保されない限り」避難する日本人を輸送することは出来ず、また7千近く存在する離島を防衛する能力(装備)をほとんど有しません。
 法改正や海兵隊創設の必要性を大臣在任中にも訴えたのですが、私の説得力が足りなかった所為もあって実現を見なかったことが悔やまれます。

 つまり、在沖縄米国海兵隊は、米国の国益のみならず、日本国の主権の構成要素である国民の生命・身体、領土の保全のためにも必要不可欠のものなのです。

 以上述べたことに対し、「それはアメリカの論理そのものではないか」との思いを持たれた方もおられましょう。
 しかし、同盟国の論理が理解できなくて、何のための軍事同盟か。
 理解もせず、自衛隊による代替案も示さず、ただ反対論や夢想論ばかり唱えているから事態は日増しに悪化し、結果的に世界一危険な普天間基地が残るという最悪の事態が起きつつあるのではないでしょうか。
 そして日本もまた、日米同盟でどれほど利益を受けてきたか、よく認識すべきでしょう。

 この事態をどう解決するか、私にも妙案があるわけではありません。
 しかしただ鳩山総理を非難するだけでは無責任というものでしょう。
 十数年にわたって営々と築いてきたものを破壊してしまったのですから、その修復には想像を絶する努力が必要とされます。
 いかなる案にせよ、沖縄県との信頼関係を少しでも回復し、「話を聞いてみようか」との気持ちになって頂かなければ何も始まりませんし、その間も、普天間基地の危険性除去のため、出来る限りのことをせねばなりません。

 根本的な解決策は、もう一度日米同盟の在り方を見直す以外になく、そのためには憲法の解釈変更や自衛隊法の全面改正、そして日米安保条約の改訂も必要となるでしょう。
 それには日本人が今まで安住してきたカンファタブルな世界と訣別する覚悟が求められます。

 鳩山総理の不勉強・不見識は、結果的に日本が今まで享受してきた安逸な世界を根本から崩すことになるのかもしれません。
 いつかは迎えなければならなかった時であるようにも思いますし、まさしく政治の見識と勇気が問われています。

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2010年5月 6日 (木)

本質論

 石破 茂 です。

 総理の訪沖について、論評すること自体、私にはあまりに虚しく思えます。
 「学べば学ぶほど、沖縄の海兵隊が果たす抑止力について認識するに至った」「(考えが)浅かったといわれればそうかも知れない」などという発言に至っては、一国の安全保障に責任を持つ総理大臣として絶対に許されるものではありません。正直に謝ったのだから許してあげよう、などという次元の問題では到底ない。

 長く安全保障に携わった者としてつくづく反省せざるを得ないのは、我々自民党も、日米安全保障体制の意義とその非対称性(アメリカは日本防衛の義務を負い、日本は憲法の制約上アメリカを守れない代わりに、日本のみならず極東地域の平和と安定のために基地提供の義務を負う)、在沖海兵隊の果たしている役割、沖縄が本土に復帰した後に本土の基地が相当返還されたのに対して、沖縄の基地はほとんど減らず、多くの負担を「押し付けた」形になってしまっていることへの認識などについて、ほとんど正面から語ってこなかったことです。
 
 いろいろな報道番組に出演しても、これらについて触れるものはほとんどありません。
 鳩山総理の責任論とか、社民党の政権離脱とか、それなりに耳目は引くのでしょうが、本質論は今の日本周辺の脅威をどのように捉え、それに対して海兵隊が果たしている役割とは何なのかということに尽きるのです。が、「難しくてよくわからない」といわれておしまいになってしまうケースがほとんどです。
 テレビは視聴率がすべてですし、わかりにくい話は敬遠されてしまうのも仕方のないことかもしれませんが、このような状況をまさしく「平和『ボケ』」と言うのでしょう。
 こんな意識にしてしまったのも、我々の責任と言わざるを得ません。

 なぜこの時期に金総書記が訪中したか、それは韓国の哨戒艦沈没事案こそが最大のテーマだったはずです。
 中国艦船が我が国の海自・海保に対して大胆な行動をとるのも、それなりの理由があってのことでしょう。
 日本周辺の緊張はかつてないレベルであるのに、我が自衛隊は領土や在外邦人を守るための法制面・装備面での能力すら十分ではないのが現状です。
 冷戦期の、脅威の存在を前提としない「基盤的防衛力整備構想」は、冷戦後に改訂する必要があったにもかかわらず、充分に果たせないままに政権交代となってしまったことが悔やまれてなりません。
 
 現行憲法の範囲内でも、日本に出来ることは多くあります。
 それもやらず、「米海兵隊は出て行け」というのでは、とても米国の理解を得られるものではない、という認識をもつべきなのです。
 次回にまた詳説しますが、「沖縄の負担を日本全体で負う」というのは単に普天間基地移設の問題ではなく、実はそういうことなのではないかと思っております。

 それにしても、鳩山総理はどこかが決定的におかしい。常識を大きく超えています。
 18世紀に実在した人物の実話を基に作られた「ほら吹き男爵の冒険」という小説がありますが、このお話は「ミュンヒハウゼン症候群」という「周囲の関心を自分にひきつけるために嘘の話をしたり、周囲の関心や同情を集めることで本人の心が満たされ、繰り返し行うことで自己暗示にかかり、本人も虚偽なのか本当なのかわからなくなる病気」の名前の由来ともなっています。まさかね…。

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