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2010年7月30日 (金)

臨時国会開会

 石破 茂 です。

 明日で七月も終わり。物事が何も進まず、何も決まらないまま、時だけが恐ろしい速さで過ぎ去っていくようで、焦燥感ばかりが募ります。

 今日から臨時国会が開会、週明け月曜日から予算委員会が始まります。
 私は初日午後、谷垣総裁に続いて、主に憲法、外交、安全保障をテーマとして質問に立つ予定です。
 今まで二回、鳩山総理、菅総理に質問する予定が「幻の質問」に終わった経緯がありますので、今度こそきちんと民主党政権の虚構性、欺瞞性を明らかにするとともに、自民党が目指す方向性を示したいと考えています。

 それにしても、昨日の両院議員総会における挨拶といい、今日の記者会見といい、参議院選挙後の菅総理は、それまでとは全く別人のような、まるで魂の抜け殻のように見えてなりません。
 昨日の挨拶はすべてメモを見ながらのものでしたし、今日の会見では「誰が総理でも、どの党の政権でも財政再建は必要だ」と言いながら、「消費税を代表選挙の争点としない」と言ってみたり、整合性が全然とれていません。
 鳩山総理辞任後の代表選挙では「小沢さんには暫く静かにしていて貰いたい」と言って、それが支持率回復の決め手であったのに、今は「会ってお詫びしたい」とは一体どういうことなのか。
 野党の私が言うことでもありませんが、一国の総理たる者、もっと毅然としていて貰いたい。
 たとえ民主党政府の提案であっても、いい法案や予算なら我々は全力で支えます。しかし、それが政権延命や自己保身目的のものであるならば、断固これを阻止しなくてはなりません。
 
 そして前国会に提出して廃案となった、特措法に代わる自衛隊海外派遣の一般法や、緊急時の在外邦人救出法案など、国家国民にとって必要な法案の成立と、経済成長を支え、医療・福祉の持続性を確保するための税制改正の詳細な具体案の設計などを急がなくてはなりません。

 参議院選挙の結果は「勝った」というより、「自民党は有権者からラストチャンスを与えられた」と捉えるべきものです。
 参院選の結果に驕って、また旧来の自民党的な派閥の影響力が強化されたりするようでは、このラストチャンスを無にすることにもなりかねません。いつも申し上げるように、日本に残された時間は極めて短く、政策選択の幅は限りなく狭いのです。

 多くの方から「大丈夫か、少し休め」とお気遣いいただき、有り難うございました。お陰様で体調も少しずつ戻ってきました。
 週末はすべて予算委員会の準備に費やす予定です。
 酷暑の折、ご自愛のうえ、よい週末をお過ごしください。  

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2010年7月23日 (金)

代表選、キム氏来日

 石破 茂 です。
 梅雨明けの猛暑が続いています。
 参院選挙の投票日は当初7月25日説も有力だったのですが、「とにかくご祝儀相場が冷めないうちに!」との民主党の思惑で11日になりました。今だからこそ言えることですが、投票日が11日で本当によかった!2年続けて真夏の選挙などやっていたら、有権者も大迷惑ですし、候補者をはじめとする関係者の中に相当の犠牲(?)が出ていたに違いありません。

 永田町はエアポケットにでも入ったような静寂状態が続いています。三年前の安倍政権下での参院選惨敗時は自民党内大騒ぎでしたが、民主党は9月に代表選挙を控えているからでしょうか。
 もっとも水面下では、代表選挙に向けた党員やサポーター集めなど、様々な動きがあるのでしょう。
 新進党時代に「小沢一郎対羽田孜」という代表選挙があり、私は選挙管理委員を務めていたのですが、同じ筆跡で「イチロー」とだけ書かれた投票用紙がダンボール箱一杯に詰められて送られてきたのを鮮明に覚えています。
 選挙管理委員の一部から、筆跡鑑定の必要があるのでは、との意見も出ましたが、投票用紙はすべて焼却されたとのことで、そのままうやむやになってしまいました。
 過去のことはどうでもいいかもしれませんが、憲法に何の定めもないとはいえ、実質的に政治の中心である政党の代表選挙や幹事長など幹部人事のあり方、意思決定方法、経理の公開基準などを定めた政党法を制定する必要性が痛感されてなりません。

 金賢姫の来日は、民主党の政権浮揚策の一つなのでしょうが、いかにも酷いと言わざるを得ません。
 目的を全否定するつもりはありませんが、どこから出たのかはいざ知らず、膨大な国費を遣い、超法規的にやることではありません。拉致被害者のご家族がソウルに行かれて面会すればすべて事足りる話ではなかったのでしょうか。
 菅総理や中井担当大臣は、これが大韓航空機爆破事件の遺族や海外からどのように見えるのか、考えてみたことがあるのでしょうか。何故鳩山前総理の別荘を使うのかも、全然理解できません。鳩山氏の政界引退の決意も翻意の可能性ありと伝えられており、懲りない人だなあと思わずにはいられません。

 拉致問題の解決、とはそんなに生易しい話ではありません。今回の政府の対応は論外ですが、断固たる措置を!と叫ぶ人たちも、具体的な中身についての言及はほとんどありません。
 体制を変換させるためにはどうすべきかを真剣に考えるべきです。
 北朝鮮の「北による朝鮮半島の統一と米軍の撤退」との野望は今でも全く変わっていないし、一番のキープレイヤーたる中国が災厄を恐れて北の体制延命に結果的に力を貸していることが最大の問題です。
 日・米・韓が意思を統一し、当然軍事面まで含めた協議を中国と行わない限り、問題の解決はありないと私は考えています。

 週末は、予想される予算委員会に向けた準備と、ご挨拶回りに費やす予定です。
 猛暑が続きます。何卒ご自愛の上、よい週末をお過ごしください。

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2010年7月22日 (木)

新議員会館へ

 石破 茂 です。
 三連休(特にお休みがあったわけではありませんが)明けの昨日から、新議員会館に移転。
 24年も使った部屋からの引越しが2日や3日で完了するはずもなく、何とか機能するまでにはもう数日かかりそうです。
 スペースは従来の2.5倍とかで、上手くレイアウトすればそれなりに有効に活用できそうですが、今日の段階ではまだとてもそんな展望は持てません。
 「こんな議員たちにこのような立派な部屋は勿体無い」とのお定まりの批判も予想されますが、むしろ国民の財産であるこの部屋に見合うような議員となるように、我々が努力を重ねなければなりません。
 それにしても、いらしていただければわかりますが、建物全体の空間の使い方がいかにも非効率に思われてなりません。特に一階など、運動会ができそうなほどにだだっ広いスペースがあって、一体あれは何なのでしょう。昨朝初めて入ったときに呆然としてしまいました。今後相当に改善の余地がありそうです。

 参院選挙後、新しい方からも随分とコメントを頂くようになり、有り難いことだと感謝いたしております。できる限りその日のうちにすべて目を通すようにしています。
 そういう見方もあるのか、と気づかされることも多いですし、どうすればご理解いただけるのか、という気持ちを失ってはならないと常に思っております。

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2010年7月16日 (金)

選挙後雑感

 石破 茂 です。
 選挙後の慌しい一週間が終わろうとしています。
 マスコミの関心は、九月の代表選挙を睨んだ民主党内の主導権争いがどうなるかに集中しているようですが、いい加減小沢一郎氏を巡る政界の混乱には終止符を打たなければなりません。
 平成元年に海部政権が発足し、小沢氏が自民党幹事長に就任して以来二十年余、常に彼が政局の中心にあり、その間日本の政治は混乱を続けました。私自身、小選挙区制導入を争点とした自民党内抗争の中で、当時の小沢氏に共鳴し、その後宮澤内閣不信任案賛成、自民党離党、新生党・新進党への参加という経験を持っています。小沢氏の本質が見抜けなかった若気の至りと不明を恥じています。

 小選挙区制がその機能を発揮するためには、
「国会が地域の利益に直接関わることなく国家の基本が議論できるようにするための地方分権の徹底」
「党の中枢、特に幹事長に権限が集中することを避け、政党助成金という国民の血税による利益を享受するに相応しく政党内の経理や意思決定システムを明確にする義務を政党に負わせる政党法の制定」
「主義主張による政界の再編」
の三つが不可欠であり、これがないまま小選挙区制だけスタートさせれば混乱が増すだけだ、との考えは当時の自民党内でのコンセンサスでもありました。
 小選挙区制を強く主導した小沢氏はそのどれも全く実行していません。
 それに加えて、選挙さえ勝てば国家財政がどうなろうと(恒久財源なき子ども手当てが典型)、その産業がどうなろうと(農家戸別所得補償が典型)構わないという選挙至上主義、そして幻想・妄想とも言うべき国連至上主義には絶対に賛成できません。今に至っても小沢氏を信奉する議員がいるのが私には不思議でなりません。

 このような時期には様々な噂が飛び交うもので、今日まことしやかに語られているのは「民主党が再可決に必要な衆議院での三分の二を確保するため自民党衆院議員の一本釣りに着手した」という話です。
 ポストに目が眩む者が皆無とは言い切れませんが、仮にそれが成功しても国民の猛烈な反発を買い、決して長続きはしないでしょう。そして民主党サイドに走った者は間違いなく次の選挙で落選するでしょう。
 この噂がもし事実だとすれば、随分とつまらないことを考えるもので、もはや末期症状としか言いようがありません。

 今回の自民党の「勝利」は、かなりの部分が敵失によるものであり、自民党が比例区で獲得した票が過去最低であった事実を直視しなくてはなりません。
 候補者の若返りを進め、派閥支配を完全に払拭し、政策を更に洗練されたものに仕上げなくては今後の展望は開けません。

 特に税制改正は今度こそ失敗は許されず、誰にもその必要性がわかるよう、余程丁寧にわかりやすく説明できるようにしなければなりません。
 みんなの党のように、「国債を日銀が買い支えれば金利も上昇しない」との説を唱える向きもありますが、一時的には有効でも永久に続くことはありません。あたかも「麻薬は禁止する必要はなく、中毒になる一歩手前でやめればよいのだ」と言っているようなもので、1930年代の教訓をよく想起すべきでしょう。

 新人の頃、先輩から「当選のバンザイの瞬間から次の選挙だ」と教わりましたがまさしくそのとおりで、ご挨拶廻りも、夏祭りのハシゴも、徹底してやらねばなりません。選挙が終わったからといってホッとしているようでは駄目なのです。
 我が国に残された時間は極めて短く、政策選択の幅は恐ろしく狭い。新しく再生した自民党が核になってこの国難を乗り切るために、全身全霊を尽くす覚悟です。

 自民党に関するマスコミの関心事は秋の党役員人事のようです。総裁を代える理由は何もなく、谷垣総裁続投は既定路線ですが、他はどうなるのか。
 こんな時は猟官運動などは一切控え、すべて総裁に一任して、どのような人事であっても不満を言わないことが大切です。
 大島幹事長について「顔が怖い」などとよく言われますし、怖いことなら私だって似たようなものですが、今回北海道、宮城、徳島、福岡、佐賀などで若手を公募によって思い切って登用し、勝利に結びつけたのは幹事長の大きな功績ではないでしょうか。評価は公正かつ公平になされるべきものと思います。

 来週から新議員会館への引越しが始まります。
 スペースが倍になるのはとても有り難く、お客様を廊下でお待たせすることもなくなり、書類や書籍の収納も楽になって仕事の効率は随分と上がるのではないかと期待しています。
 本来は議員の数を半減してスペースを倍にすべきだったのでしょうが、なかなかそう上手くはいきません。
 しかし、執務机や応接セットなど、まだまだ使えるものもすべて廃棄処分というのはどうにも納得がいきません。せめてリサイクルに出すとか、そのような発想はなかったのでしょうか。
 我が第二会館で言えば、重宝していたお鮨屋さんと理髪店が閉店となってしまい、困ったなと思っています。
 有志議員で存続運動でも起こそうかと思ったのですが、何でも新会館の運営は民間に委託するとかで、利用者の意見は聞く余地がないとのこと。どうもお役所のやることはよくわかりません。
 実は一番納税者の視点を欠いているのは国会で、この改革に手をつけることが絶対に必要だと思っております。

 週末は土曜、日曜と地元のご挨拶回り、月曜の海の日は「太田総理・秘書田中」の収録のため上京します。
 お休みが欲しいな、と思いますが、選挙に負けることを思えば夢のような話で、贅沢を言ってはなりません。
 皆様、よい週末をお過ごしくださいませ。

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2010年7月13日 (火)

参院選を終えて

 石破 茂 です。

 参議院選挙にご支援いただいた全国の多くの皆様に心から感謝申し上げたいのですが、選挙のお礼は公選法の規定で禁止されているので、なにとぞご理解いただきますよう、お願い致します。

 党役員として戦う初めての国政選挙でしたが、私としてはほとんどパーフェクトといってもいいほどの結果でした。好事魔多し、余程気を引き締めていかねばならないと思っております。
 自民党の勝利、野党の過半数確保、鳥取選挙区における浜田候補の勝利、大切な友人である小坂憲次元文部科学大臣の比例区当選などなど、慾を言えばきりがありませんが、まずこれ以上の結果は望めません。
 この勝利に浮かれることなく、直ちに臨時国会論戦、来年の統一地方選挙、来るべき総選挙に備えるモードに切り替えてまいります。

 勝因については今後様々な分析がなされるのでしょうが、やはり党の組織力の差が出たのだと思います。
 国政においてこそ野党であるものの、地方まで含めれば自民党はいまなお我が国最大の政党です。
 地方議員、首長の数や人的な繋がりは民主党を遥かに上回り、これがフル回転すれば、なおまだこのような結果が出せるのです。
 
 民主党の、特に様々な理由で自民党から移籍した議員たちが、「我々が与党なのだ、言うことを聞かないと痛い目にあわせるぞ」的な恫喝発言を繰り返したのも、彼らの大きな敗因です。自民党だってやっていたではないか、と開き直っていましたが、一部にそのようなことがなかったとは言いませんが、自民党ですらあそこまで酷くはなかった。

 政策においても、自画自賛に聞こえたらお許しいただきたいのですが、官僚集団に一切頼ることなく自分達で一から立案し、国会議員のみならず地方組織まで広げた侃侃諤諤の議論の末にかなり早い時点で纏めたのも、統一地方選挙を視野に入れて全都道府県ごとの選挙公約ローカル版を出したのも、一定の効果があったように思います。
 「消費税当面10%アップも含めた経済成長に資する税制改革」も、早めに打ち出したことが菅総理の「自民党案を参考に」発言、それに続く迷走を呼ぶ結果になりました。
 消費税を含む抜本税制改革と集団的自衛権についての議論を避けたことが自民党の大きな問題点だったとの認識から敢えてこの二つを明示したのですが、仮に菅総理が「消費税率引き上げは自分の政治家としての使命であり信念だ」と最後まで貫けば、また結果は違っていたのかも知れません。

 とにかく正直、かなり疲れました。
 自分の選挙のほうが余程楽だ、と言いたくなったこともありましたが、私の選挙の時に後援会の地方議員の皆さんたちはきっと同じ思いをしているのでしょうね。
 なにしろ今日は思考回路がほとんど停止状態で、近日中にもう少しきちんとした分析と今後の展望を記します。何卒お許しくださいませ。

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