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2010年8月27日 (金)

今週。

 石破 茂 です。
 
 何しろ慌ただしい一週間でした。
 二十六年前、私が初めて立候補する時に後援会長を務めていただいた方が急逝されたため、弔問とご葬儀に出席すべく、火曜・木曜に地元と東京を二往復。
 今日金曜日は読売テレビの「そこまで言って委員会」の収録で大阪往復。
 明日も自民党豊中支部の総会での講演(午前十一時半・ホテルアイボリー)と関西鳥取県人会出席のため大阪往復。
 結構疲れます。
 先週は私の後援会の青年部長を務めていただいた県議が亡くなり、二週連続の弔辞となりました。
 弔辞を読ませていただくのは、少し妙な表現かもしれませんが、ある意味とても名誉なことです。ただ、これを書くには全知全能を使わなくてはならないので、相当の時間を要します。
 日曜日は九時からNHKの日曜討論、その後は月曜日の「北京・東京フォーラム」でのスピーチとパネルの準備に費やす予定です。

 ・・・などとバタバタしている間に、小沢氏民主党代表選出馬で永田町は異様な雰囲気に包まれることになりました。
 小沢氏出馬など、とても正気の沙汰ではありません。ましてや鳩山氏がこれを全面的に支援するなど、常識を大きく超えています。天をも恐れぬ、とはまさしくこのことで、マスコミ、特にテレビがこれを指摘しない様は何とも面妖です。
 どうせここまで来たのなら、小沢・鳩山陣営はマニフェスト回帰も、国連絶対主義も、心ゆくまでやればよろしい。
 菅総理の陣営も、決して妥協的な政策や政治手法を提示してはなりません。マニフェストの修正、税制改革の断行、普天間基地の辺野古への移転、小沢詩的手法の徹底排除など、明確に示すべきです。そうでなければ何のための代表選挙なのか、わけが分かりません。

 何があっても不思議ではないこれからの二十日余り。わが党はきちんと立ち位置を決め、「いかなる日本を目指すのか」を明らかにすればよいのです。
 その意味で九月三日の自民党全国代表者会議は大きな意義を持つのであり、周到な準備をしなくてはなりません。
 
 残暑が続きます。皆様、よい週末をお過ごしくださいませ。

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2010年8月20日 (金)

民主党代表選を前に?

 石破 茂 です。
 お盆休みも終わり、世の中が平常に復しつつあります。
 国会が閉じているとはいえ、円高、株安、猛暑による熱中症死者の激増に対して政府からほとんどメッセージらしきものが発せられないのは一体どうしたわけでしょう。

 熱中症による死者は東京都だけで既に100人を超えており、これはもう災害以外の何物でもないにもかかわらず、政府が対策本部を設けたという話を寡聞にして聞きません。
 対策マニュアルを作成するとか、被害者の特に多い独居の高齢者に対して見回りを強化すべく自治体に指示するとか、非常事態的な宣言を発令するとか、それぞれの効き目はともかくとして、やり方はいくらでもありそうなものですが、「どうせ秋になれば収まる。それよりは代表選挙だ!」ということなのでしょうか。

 民主党の各グループがあちこちで「研修会」なる催しを開き、互いを牽制し合っているようですが、誰もが鳩山前総理のように軽井沢に別荘を持ち、避暑に行けるわけでもないでしょうに、どうにも危機管理のマインドが決定的に欠けているように思えてなりません。

 昨日の鳩山氏別荘でのパーティに小沢氏も出席し、「鳩山!小沢!気合いだ!気合いだ!」コールが沸き起こった光景を見て、この人たちには何の反省もないのだな、と思わざるを得ませんでした。
 あの鳩山氏が、辞任から二か月余りしか経っていないのに平気で人前に出て「国民の皆様のお暮らしが・・・」などと心にもないことを言い、それに集う輩が大勢いること自体信じられない。
 小沢・鳩山連合でもなんでも心ゆくまでやればよい、と思います。それは日本の終わりであり、何としても粉砕しなくてはなりません。

 菅総理が四幕僚長と初めての会合を持ち、新聞によれば「石破の提言を受け入れ、野党に一定の配慮を見せた」ことになっています。
 こんな会合は実にあたりまえのことで、野党に一定の配慮とかそういう性質の問題ではありません。定期的に開くべきですし、総理は常に制服組の意見を真摯に聞くマインドを持つべきです。
 そもそも防衛局長、事務次官、大臣の了承がなければ制服トップが総理に会うこともできないこと自体がおかしい。それでは伝達が遅くなるし、生の情報が伝わりません。「軍の暴走」が不安なのであれば彼らも同席し、見解が異なるのであればそれを述べればいいだけの話です。
 それにしても、総理が「昨日勉強してみて、防衛大臣は自衛官ではないこと、内閣総理大臣は自衛隊の最高指揮官であることが法で定められていることを知った」と発言したというのは、会合後折木統合幕僚長がコメントしていたように「単なる冗談」であったと信じたいものです。もしそうでないとしたら!!!・・・絶句するしかありません。
 それでもきちんと会っただけ、鳩山前総理よりは遥かにマシで、誠実だと評価します。
 願わくは、夏休みに猪瀬直樹氏の「昭和十六年夏の敗戦」を読んでくれていますように・・・

 自民党としての経済対策を早急に取りまとめ、発表すべく現在作業中です。
 政府が検討している予備費の活用もそれなりに意味のないことではありませんが、内容を見なければ何とも言いようがありません。しかし、日本政府として日本経済をどのような方向に改めるのか、その明確なメッセージが伝わらない限り、結局弥縫策に終わってしまうのではないでしょうか。

 菅総理は、「法人税は大幅に引き下げる、消費税はアップさせるが、医療・介護目的へ効果的に使用し、安心感を醸成し、個人消費の拡大を図る、経済の緊急事態に鑑み乗数効果に乏しいばら撒き政策は凍結する、小沢氏の影響力は徹底して排除する、普天間基地の辺野古への移設は責任を持って断行する、国会議員の定数削減は必ず実現し、それを可能にする選挙制度の見直しを併せて行う」等を掲げて代表選を堂々と戦うべきなのです。そうであれば、必ず勝機は訪れる。
 野党の私が言うのもおかしいのですが、本当に天にも祈るような気持ちです。

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2010年8月11日 (水)

自民党参議院議員会長選挙

 本日谷川秀善自民党参議院幹事長と中曽根元外相の一騎討ちの形で投票が行われた自民党参議院議員会長選挙は、なんと40票対40票の同数となり、籤引きの結果中曽根氏が当選しました。
 中曽根氏の推薦人になっていた議員が中国出張中で、不在者投票制度がないため、仮に籤引きの結果谷川氏が当選していれば泣くに泣けない状態になっていたのでしょうが、とにかく中曽根新体制が所謂ねじれ状態の参議院において、大きな成果を得られることができるよう、心より念願しています。
 中にいないので本当のことはよくわからないのですが、報道で知る限り、町村・古賀・額賀の三派閥が谷川氏の支持を決め、幹事長や国対委員長などのポストも三派で分け合うことも話し合われたとか。
 今どき本当にそんなことがあるとしたら、いかにも時代錯誤的のように思われます。
 派閥によるトップの決定とかポスト配分とか締め付けとか、すべてがすべて悪かったとは言いませんが、そのような体質が自民党から民心を離反させ、党が衰退して行く大きな要因となったのではなかったでしょうか。
 いやしくも選挙なのに、候補者の識見を聞く立会演説会も開かれないというのはどう考えてもおかしい。
 「規則にないから」などというのは理由にもなりませんし、不在者投票制度だって、不備があればその都度直せばいいだけの話です。
 参議院のことに党三役が口出しするな、と叱られそうですが、派閥や院の独自性の前に、党がどうなるかが大事でしょう。
 その意味でも、若手や中堅の参議院議員たちが、圧力に屈することなく戦ったことに対しては、率直に敬意を表したいと思います。

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2010年8月 5日 (木)

予算委員会の質問を終えて

 石破 茂 です。
 予算委員会の質問も終わり、一息つけるかと思ったのですが、世の中はそう甘くはありません。委員会翌日も朝の自民党役員会、役員連絡会(役員会の拡大版のようなものです)に始まって政務調査会政権政策委員会、総務会、記者会見、午後は参議院新人議員研修会での基調講演、日刊労働通信社主催の夏季トップセミナーで藤井裕久元財務大臣、古賀伸明連合会長とのパネルディスカッション、その後の懇親会、それらの合間に陳情のお客様の応対など、昼食をとる暇も無い一日でした。
 仕事があって忙しいのはとても幸せなことで、文句を言っては罰が当たるというものですが、それにしてももう少し何とかならないものだろうか、とつい思ってしまいます。

 高校生の頃に読んだ五木寛之の「樹氷」という小説(もう40年も前の作品です。五木寛之の小説の中では「蒼ざめた馬を見よ」「青年は荒野をめざす」などの初期の作品が好きなのですが、「樹氷」や「恋歌」など企業人を主人公にした娯楽的作品も肩が凝らなくて好きでした)の中に登場するアメリカ人実業家のセリフに「俺が休む時は俺が死んだ時さ」という一節があってこれが妙に印象に残っており、議員になってからも「健康法は休まないことだ、自転車だって独楽だって廻らなくなれば倒れてしまう」などと粋がって言っていたのですが、どうも最近少し自信が無くなってきました。
 自分一人の人生ではないのだし、周りの迷惑も考えなくてはなりません。この夏は久しぶりに少し纏まったお休みでも取れたらいいな、と思っています。

 先日の予算委員会質疑、菅総理のあまりに自信のなさそうな、逃げに徹した答弁を聞きながら、本当に不安になってしまいました。
 野党が「総理、もっとしっかりして下さい、もっと毅然としていて下さい」などと言うのも妙なことですが、そう言わずにはいられませんでした。

 予算委員会に限らず、委員会は基本的にディベートの場であり、「私のほうがよく知っている、教えてやろう」的な質疑は本来やってはならないのですが、相手方がこれに応ずる姿勢や知識を持たないか、あるいは逃げに徹してしまえばそもそもディベート自体が成立しません。
 事前に細部にわたる質問通告をすればよいのかもしれませんが、そうすると官僚が周到に準備した答弁の棒読みになってしまう可能性が高い(本会議における代表質問に対する総理や閣僚の答弁が全く無味乾燥なのは、予め質問全文を政府側に知らせるのがルールとなっているからです。なぜ本会議だけそうなのかはよくわかりませんが)。やはり、どの分野を聞かれても一通り答えられるだけの広範な知識あるいは意欲の有無の問題に帰着するのでしょう。
 
 予算委員会には全閣僚が出席し、私が閣内に居た時は「各大臣は委員長の指名がなくとも積極的に挙手のうえ答弁されたい」などというメモが回ったものですが、各閣僚に対してはそれぞれの委員会で質問する機会があり、総理に質問できるのは基本的に予算委員会だけなので、総論的な部分は総理がまず答えるべきものでしょう。
 意欲はあっても基礎的な知識がなければどうにもならないのであり、内閣総理大臣たる者は、すべての分野に通暁することは不可能にしても「この分野は苦手だ」ということがいくつもあってはならないように思います。私など、まだまだそういう分野が多く、政調会長としてもさらに勉強していかねばならないと痛感しています。

 残念なのは、菅総理に「何とか無事にこの予算委員会を乗り切りたい、代表選挙も争点を設けてことを荒立てることなく、再選に持ち込みたい」との思惑がありありと見られたことです。
 一体何のための政権なのか、政権維持が自己目的化しており、目的と手段が完全に逆転しています。
 他党のことではありますが、代表選を控えて民主党内の政策グループがあちこちで会合を開き、新しい勉強会が次々と設立され、会の目的を問われた出席した議員からは「いかなる国家を目指す会なのか」との見解は全く聞かれず、「とにかくどんな時も仲良くやる、ということだ」などという、訳のわからないコメントばかり。仲良しを目的とする政治集団になど、何の意味もありません。

 昭和50年代後半、「一致団結箱弁当」と呼ばれた田中派は鉄の結束を誇っており、当時私は派閥秘書の末席にいたのですが、あれは田中角栄先生という、政策構想力や人心収攬術において他の政治家の遠く及ばない、魔神としか形容の仕様のない統率者(その評価はいろいろあるにせよ、間近で二年間接した私の率直な印象です。皆田中先生を恐れてはいましたが、それ以上に先生を好きで堪らなかったのです)の存在があってこそのものでした。
 自民党にせよ、民主党にせよ、今の集団は単に権力の獲得だけが目的のものばかりで、どうにも展望が開けません。
 
 田中角栄先生のような人物が出ることは今後恐らくないでしょう。
 小沢一郎氏は正月の私邸での大新年会や地元でのご両親の大法要、「選挙は川上から」との選挙手法等々、外見的には田中先生の手法を忠実に踏襲しているように見えますが、その本質は「政策を捨てた選挙至上主義、政局至上主義の壊し屋」でしかありません。
 小沢氏の「国民は愚かなのであり、子ども手当や農家戸別所得補償などで現金をばら撒けば一票を入れるはずだ、後のことは勝って権力を掌握すればどうにでもなる」というポピュリズムというより、ニヒリズムにも似た考え方にはどうしても賛同できません。
 民主党代表選で菅氏が小沢グループに政策を曲げてでも膝を屈し、再選されるようなら、自民党は徹底した対決姿勢をとらざるを得ませんし、ましてや大連立など論外です。税制改革、普天間問題、医療・介護問題などの解決が、選挙至上主義者と一緒にできるはずがありません。


 「自民党があまりに駄目なので民主党が勝った」「民主党があまりに駄目なので自民党が勝った」過去二回のようなネガティブな選挙を繰り返してはなりません。
 次回総選挙こそ「有権者はこの党のこの政策を選択した」ことが明らかになるポジティブな選挙にせねばならず、そのために何よりも必要なのは「議員一人一人の政策や選挙における自立」であるはずです。
 「自分自身の確固たる政策は持っていない」「党と自分の政策は違うが選挙に勝つためなら政策を曲げることも厭わない」などという議員がいくらいても、政治も政党もどうにもなりません。
 自民党が自立した議員の集団となるべく、自分自身一層の研鑽を積まねばならないと考えています。

 朝鮮学校無償化や終戦記念日総理談話など、とても看過できない事態が想定されており、これらについては、また改めて記させていただきます。予算委員会で何度も申しあげたとおり、日本に残された時間は極めて短く、選択肢の幅は恐ろしく狭いのです。

 多くのご感想、ご意見誠に有り難うございました。今後とも、どうかよろしくお願いいたします。
 お盆休みも間近です。よい週末、お休みをお過ごしください。

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