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2011年3月30日 (水)

もう四月です

 石破 茂 です。
 
 震災発災から三週間近くなります。
 本日四時から、谷垣総裁と共に菅総理、玄葉国務相・民主党政調会長に当面の緊急対策について申し入れを行ってきました。
 昼夜兼行で、現場の切実な声を反映させながら、申し入れの提言を作成してくれた、小里代議士、片山参院議員をはじめとするチームのメンバーの努力に感謝しています。

 当ブログコメント欄にも連立の可否について様々なご意見が寄せられています。どちらも筋の通ったものであり、連立してもしなくても、評価と批判は二分されます。
 すべての方に評価されるような結論はあり得ず、決断した政治家が一切の責任を負って後世の歴史に評価を委ねる他ないのですが、被災者の悲痛な思いに応えるため、また原発被害のこれ以上の拡大を防ぎ、被災者の生活に目途を立て、短期・中期・長期のエネルギー政策を早期に確立するため、議論の停滞は許されません。
 不急の政策は直ちに撤回して復興予算に廻す、財政再建に極力配意しつつ、財源を確保し経済の活性化を図るという、抽象的な言葉ではなく具体的な考えで一致をみるべく努力してゆかねばなりません。
 仮に連立を組むとすれば当然「何をするための連立か」がまず先に定められなくてはならず、外交や安全保障政策で混乱が生じないために「国家のためにこれだけは守ること、これだけは譲れないこと」も明確にしておかなくてはなりません。日本が震災対策に集中している間も、国際情勢は日々動いているのですから。
 国民の信任をどの時点で、何を区切りとして仰ぐのかについても一定の考えを示す必要があるものと信じます。国民の信任を得ない連立の組み替えなど本来あってよいものではありません。それらを一切捨象して、単に「自民党総裁に副総理として入ってもらいたい」などという提案はもっての外であったことを、政府・与党にはよく認識してもらいたいのです。

 明日夕刻から、長崎県への選挙支援、青森・岩手・宮城三県の被災地実情把握と、地方へ出る日程が続きます。
 支援物資を積んだトラックに乗って行きたかったのですが、それよりも一カ所でも多く廻って実態を把握すべきとの判断で、この計画は断念するに至りました。
 政策責任者という立場からは、あまり自分の思いを前面に出してはいけないのかもしれませんね…。
 私の選挙区でも知事選、県議選があるのですが、ほとんど地元には帰れません。立場上これもやむを得ないのですが、私の選挙の時には随分と助けてもらったのに、ほとんどお返しができないことを申し訳なく思っています。

 もう四月です。日本の再生を信じて、それぞれが努力してまいりましょう。

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2011年3月27日 (日)

新幹線で

 石破 茂 です。

 今日の共同通信世論調査では、「大連立」に賛成・反対が共にほぼ四割で拮抗している、との結果でした。
 政策協議もないままに谷垣総裁が副総理として入っても、復興財源をどこに求めるかでたちまち与党内で不一致が生じ、政治の対処がさらに混乱することは確実です。
 マニフェスト修正派と絶対堅持派で真っ二つに割れている民主党をマニフェスト修正で一本にまとめるか、修正に応じられない議員は離党もやむを得ない、という決断ができるのは、民主党代表たる菅総理の他に誰もおりません。
 「とにかく谷垣氏が入ればいいのだ、自民党は責任を被るのを避けているのか」との論はあまりに短絡的であると言わざるを得ません。
 自民党から連立の条件を出すべきだ、との論は確かにありましょうが、意思決定をなしうるのは与党であり、呼びかける側しかそれは行いえません。
 そして、連立するかどうかは党全体での判断であり、最後は総裁の決断です。

 しかし、財源を含めた震災復興法案や今後のエネルギー政策など、自民党としての考えも纏めておかなくてはなりません。今週はこの作業を加速させていきます。

 子ども手当廃止は、経済的に困難な方々に対する現金支給をやめることを意味しません。
 特別法による子ども手当が廃止となることによって一般法による本来の児童手当が復活しますが、そのような方々への支援は更に厚くしていきます。
 子ども手当の創設に伴う年少扶養控除の廃止で、子供の多い世帯がかえって増税になるというような事態は解消しなくてはなりませんし、どんなに資産のある家庭であっても一律に子ども手当が支給されるという今の仕組みを改めたいと考えているのであって、一層のご理解をいただけるように更に努めていきます。

 今日、議員会館の駐車場で、いわき市を選挙区とする吉野正芳議員が、「いわき市というだけで仕立てた洋服も買ってもらえず洋服屋さんも廃業に追い込まれた。自動車整備業もガイガーカウンターで安全性が確認されなければ部品も納入してもらえない」と涙ながらに話していました。
 これは安全性重視なのか、それとももはやいじめに近いものなのか。日本人はこんな民族だったのでしょうか。 国民みんなで福島県をはじめとする原子力災害被災地を救おうという大運動はできないのでしょうか。自民党としてできるプランを考えなくてはなりません。

 一方で、一昨日、小牧市、春日井市に出張する新幹線の往復の車中で、本当に素晴らしい日本人の姿を見せてもらいました。
 往路の車中では、ある大学の先生から、芸術系の大学生たちが、ボタン電池とLED小型電球を組み合わせた簡易型ライトを卸の業者さんや電球メーカーの協力を得て安価に手作りで春休み返上で生産し、被災地に送っているというお話を聞きました。
 復路では、海外旅行用の大型スーツケース二個にぎっしりと薬や必要な機器を詰めて(少し運ぶお手伝いをしましたが、とても重かった)被災地へ向かう薬剤師の先生から、「こんな時に助けに行かなくてどうしますか」とのお話を聞きました。日本は必ず蘇る、そう思ったことでした。

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2011年3月24日 (木)

出荷停止など

 石破 茂 です。

 震災や原発事故に関する多くのコメント、本当に感謝いたします。
 気づかなかったこと、配慮の行き届かなかったことなど、ご指摘いただいたものは毎日取り纏めて党の会議にかけ、直接政府に伝えています。一つ一つ回答が出来ませんが、すべてに目を通させていただき対応しておりますので今後ともどうかよろしくお願いいたします。
 徐々にではありますが、こちらからの提案がいくつも実現しつつありますことをご報告しておきます。

 自民党の体制も整いつつあり、私も現地に早く一度行かなくてはなりません。総裁、幹事長など党役員が手分けをして、自民党に届けられた支援物資を送るトラックにでも乗って、来週早々にでも実現したいと思っています。
 被災地に赴くときはいつもそうなのですが、とにかく現地に一切ご迷惑を掛けないように、自己完結型を心掛けなくてはなりません。東京にいて議論ばかりしていてどうするのだ、というご指摘は真摯に承りました。

 野菜や牛乳の出荷停止、水の制限は極めて深刻です。
 「健康に影響はない」といいながら「念のため出荷停止した」「摂取しないことが望ましい」とは一体どういうことなのか、全く理解ができません。
 早晩マスコミが放射性物質の値を調べて「政府は隠していた!」と大々的に報道したでしょうが、その時に「水でよく洗ったホウレンソウを毎日○○グラム食べても、牛乳を○○リットル飲んでも健康に何の影響もない」と言えばいいことではないのか。若しくは最初の発表の時にそう言うか、どちらにしても今回の発表の仕方は極めて不適切です。
 官房長官は政治的なメッセージだけを発して、あとは放射線医学や原子力の専門家が一元的に会見するべきだと何度も指摘しているのですが、一向に改善されないのはどうしてなのでしょうか。海外向けにも専門家が英語で逐次会見すべきなのです。

 本日党本部で放射線医学の専門家の先生のお話を聞いたのですが、専門用語がちりばめられており、当方の基礎知識不足もあってほとんど理解できませんでした。
 食品安全法に定められた「暫定基準値」の根拠を聞いてみると、「安全の観点から、影響の予想される国際的な数値より相当に厳しくしている」とのお答えで、現在起こっているパニックとも言うべき状況からはどうにも釈然としません。「とにかく健康には影響がない」とは仰るのですが「全くないとは言い切れないので食べない方が安全には違いない」と続けられると首を捻ってしまうのは私だけではないように思います。
 該当する農家や関係業者にとっては死活問題ですし、暫定基準値はあくまで国内で独自に定めたものなのですから、今からでもなんとかならないのでしょうか。
 政府にいくら要請しても埒があきそうもないので、自民党として、わかりやすく、かつ正確な広報を至急に行なわなくてはならないと考えています。

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2011年3月21日 (月)

会議の合間に

 石破 茂 です。
 全力で震災・原発事故対応にあたっておられる国内外すべての方々のご労苦、留守を守っておられるご家族の皆様に心より感謝いたします。
 また、当コメント欄や直接の電子メール、お手紙などでお寄せいただいておりますご意見・ご提言にも厚く御礼申し上げます。政府も、我々も気づいていなかった情報が多く寄せられており、本当に有難いことです。

 これらのご提言はその都度自民党の対策本部事務局に上げるとともに、政府にも伝達しておりますが、個人の事務所での対応にはおのずと限界がありますため、何とか迅速・的確に反映できるためのシステム作りを急いでおります。
 回答がない、とのお怒りも重々承知しておりますが、すべてのご意見に目を通し、対応できるよう努めておりますので何卒ご理解ください。

 菅総理からの連立要請に応じなかったことへのご批判を多く頂いております。その反応は当然想定いたしておりましたし、あらゆるご批判も覚悟の上での党の決定です。
 国難に立ち向かい、一人でも多くの方の人命を救うために自民党は最大の努力をしております(自民党ホームページに活動状況をご報告するようにしております)。
 
 しかし、政策の合意に向けての努力が一切ないままの連立打診などあり得ません。
 コメントの中でご指摘がありました通り、そのようなものが一切ないままに連立を組めば、たちどころに閣内不一致となってかえって混乱が増すばかりです。
 子ども手当などの政策は直ちに廃止し、すべて災害支援に廻す、それだけでは資金が足りないことは自明であり、財源について早急に成案を得る、などが民主党から提案されなければ、折角わが党が対策を立案してもすべて覆ってしまうことになりかねません。
 副総理兼震災対策特命大臣にはいかなる権限が与えられるのかも全く分からないままでは、単に混乱が拡大するだけです。国民の信任がないまま長期の連立はあり得ず、選挙の時期についても合意が必要です。中東情勢の推移によっては、自衛隊の海外での活動も予想されますが、その時にどのように対応するかについても予め了解が必要でしょう。
 これらのことはその気になりさえすればすぐにできることであるにも拘らず、一切それらが行われないままに連立を要請する、というのでは、最初から拒絶を見越していたか、責任だけを負わせるつもりだったか、どちらかとしか言いようがありません。
 手順を踏んで欲しい、と私が申し上げたのは形式に拘ったからではなく、本当に実効性のあるものにするために必要だと信じるからなのです。
 わが党の議員の多くが、当然のことですがこの三連休ずっと党本部に詰めて対策を立案し、政府への申し入れ事項を精査し、また一部の議員は自ら支援物資を被災地に届けています。その真摯さだけはどうかご理解ください。わが党のこの姿勢を生かすための提案は与党からしかできないのです。

 我が国の体制も根本から見直さなくてはなりません。このようなことでは武力攻撃事態やNBCテロなどにとても対応できません。有事法制の際に相当詰めたつもりでいましたが、詰め切れていなかった予備自衛官の動員体制、民間防衛組織(民間人を戦場に動員する、というのではなく自衛隊や警察、消防の任務の中で民間に出来る分野を臨時に活用するもの)の編成など、悔やまれることは数多くあります。随分と声を大にして叫んだのですが、ほとんど誰も聞いてくれなかったのは私の努力が足りなかったのでしょう。本当に悔いております。志願したのに何の反応もなく、切歯扼腕しておられる方々にお詫び申し上げます。
 米軍をはじめとして支援を申し入れている国への誠実・迅速な対応など、早期に解決せねばならない課題が多くあります。政府を責めても始まりません。自民党は全力で頑張ります。

 会議の合間の時間をなんとか見つけて書いているため、纏まりのない文章になってしまいましたことをご容赦ください。

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2011年3月18日 (金)

ご提案への御礼

 石破 茂 です。
 
 多くのご提案、ご意見有り難うございます。
 朝から晩まで対策会議や打ち合わせに追われておりますが、必ずすべてに目を通させていただいております。

 「自民党は何をしている!」とのお叱りや「押しかけてでも救国大連立内閣を組織せよ」とのご提案も数多くいただいており、そのお気持ちは痛いほどわかります。
 救国大連立はともかく、自民党として本当に可能な限りの力を尽くしております。
 早朝から深夜までの会議、具体的な対策の立案と提言、全国の党組織を通じた救援支援活動、それらは一つ一つ着実に結実しつつあり、皆様から各議員に寄せられたご提言も、我が党の提案の中に多く盛り込まれています。
 わが党の提言は政府・各党合同対策会議にかけられ、政府からの回答の速度も確実に速くなりつつあります。こんな時、政党を越えて誰が本当に真剣に取り組んでいるかが良くわかります。

 自民党の活動をメディアはほとんど取り上げませんが、自民党ホームページの会見録や動画を見てくださったのでしょうか、本日のいくつかのコメントには、涙の出る思いが致します。ほんとうにありがとうございます。

 中国人民解放軍の派遣についても多くのコメントをいただきました。
 外国の軍隊の派遣は、受け入れ国の要請がなければ決して行われることがありません。現時点で、唯一の同盟国であるアメリカ以外の軍隊を受け入れてもおりません(日本国内で輸送支援を行っているオーストラリア空軍機C-17を除く)。
 単に「中国政府が派遣の意思があることを表明した」だけであって、日本政府として、中国に限らず、軍隊の受け入れを現在要請する予定はないはずです。
 中国四川大震災の際、我が国として航空自衛隊のC-130輸送機の派遣を検討したことがありました。
 当時私は防衛大臣でしたが、様々な経緯で結局中国政府からの要請は無く、空自機の派遣は見送りとなりました。
 このように、軍隊の受け入れにはどの被災国も極めて慎重であり、中国が我が国に自衛隊の派遣を要請しなかったのも、中国の国民感情に配意した結果ではなかったかと推測しております。

 週末は広島、地元、北海道、長崎での選挙応援をキャンセルしてほぼ東京におります。
 本当は選挙応援にも行きたかったのですが、このような事態となればやむを得ません。結果として多くの方にご迷惑をおかけしてしまったことをお詫びいたします。

 被災地では寒さがつのっています。疲労と心労が重なっている方々の御苦労はとても言葉では言い表せないものに違いありません。
 わが党からの提言の一つでもあります、被災者の方々の温かで心休まる施設への移動が一刻も早く実現しますため、連休期間中もできる限りの努力をいたします。

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2011年3月14日 (月)

焦燥

 石破 茂 です。

 今日も終日、自民党では震災対策の会議が開催されていましたが、政府からはほとんど情報が入らず、政府側の説明者もほとんどが当事者能力のない人たちで「ご提言は必ず伝えます」で終わってしまい、「野党にも協力してもらいたい」という菅総理の呼びかけは一体どこまでが本心なのか、口だけで「協力してほしい」というだけではなく政府全体として具体的な提案をして貰いたい。

 現政権はそもそも経験が足りないのに加え、役所との信頼関係も希薄なため、政府の対応が不十分であることは否めません。
 総理以下、閣僚たちもおそらく不眠不休で疲労困憊、判断能力も相当に落ちているのでしょうが、このような状態が最も危険です。「下手に自民党の提案に応じればこの機に乗じて政権を乗っ取られるのではないか」との疑心暗鬼があるのかもしれませんが、我々はそのようなことは全く考えておりません。早急に政府の能力を上げなくてはなりません。

 予備自衛官の招集も、会見に手話を導入したのも自民党の提案です。どちらの手柄、などということはどうでもよいのですが、このようなことをいちいち総裁や幹事長が総理に直接伝えていたのでは全くスピード感に欠け、一向に埒があきません。突如として自衛隊の派遣規模を五万人から十万人に引き上げるなど、自衛隊の運用を全く知らない素人の思い付きです。
 「計画停電」という名の需給調整も、情報発信が不十分で混乱が増すばかりです。東京電力は原子力発電所を含めた現場対応で手一杯なのですから、記者会見など広報くらいは政府が責任を持って代わって行うべきではないのでしょうか。
 人命救助と共に一刻も早く行わねばならないのは、心身ともに限界に達している被災者を放置しないことです。全国のホテル・旅館などで受け入れていただけるところを募り、体調不良の方や高齢者・幼児を優先して自衛隊の輸送ヘリなどで搬送しなくてはなりません。
 混乱を恐れていても始まらない。日本人の英知、規律、思いやりを信じるべきです。国土の多くが廃墟と化した戦災から立ち上がった日本なのですから。


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大震災

 石破 茂です。

(13日に書きました)

 大震災に対しては、政府・与党、自民党、公明党、みんなの党など、主要な政党が一致して対応できる体制を早急に構築するべきです。
 
 今日の「NHK日曜討論」に出演していた民主党幹部の発言に見られるように、「このような非常時であるから平成23年度予算や関連法案を速やかに可決・成立させるべき」などという政府・与党の姿勢にはどうしても不信感が募り、とてもこのまま放ってはおけないという気がします。
 我々も「政府の足を引っ張っている」「揚げ足取りに終始している」との悪評を恐れるあまり、政府批判を控えるべきではありません。足を引っ張ってはなりませんが、暴走は止めなくてはなりません。

 この期に及んで所得制限なしの子ども手当や高校無償化、高速道路無料の社会実験など必要だと思う人がどれだけいるのか。
 そのようなバラマキを含む23年度予算案はすぐに撤回し、災害復旧に充てるのが当然なのです。
 本来であれば政府は現在参議院において審議中の平成23年度本予算を撤回し、災害対策を中心に据えた予算に組みなおして再提出すべきなのです。
 このままバラマキを温存しつつ、特例公債、建設国債を膨大に発行すれば、電力、鉄道、鉄道、港湾などのインフラに甚大なダメージを受けている日本国の海外マーケットの評価は一体どうなるのか。

 そもそも「コンクリートから人へ」という世迷言をまだ口にするつもりなのか。
 千年に一度の大災害が間違いなくこういう形で日本を襲い、人の命が万人単位で失われたのです。「命を守りたい」という鳩山氏の絶叫がいかに空疎なものであったか、ダムやスーパー堤防の予算を安易に削減した愚挙を政府・与党は謙虚に反省すべきです。

 このような罵詈雑言をかかる非常時に言いたくはありませんが、「協力してほしい」ということと、「政府の提案を無条件で受け入れよ」ということは明らかに違うのであって、「予算の早期成立に野党が協力しない」的な言辞を弄されるのは心外です。
 一昨日以来、自民党はほとんど不眠不休状態で対策を立案し、政府に申し入れてきましたが、それが反映された形跡はほとんどありません。
 政府は人命救助と原発対策で手一杯なのでしょうが、このような時こそあらゆる方面への目配りが必要なのであり、危機管理に経験を持つ自民党の知恵を最大限活用すべきなのです。
 自衛隊を十万人体制で動員する、との菅総理の発言がありましたが、持てる兵力の半分弱を投入して本来の防衛任務はどうなるのか。予備自衛官の招集を含めて、思い付きではない対策が必要です。
 
 私がF-2を生産中止にしたことへのご批判のコメントがありましたが、投稿者のご都合なのか、返信ができませんのでここにお答えいたしておきます。そのことと今回の松島基地の被災とは何の関係もありません。もっとF-2を量産しておくべきだったとの御趣旨なのでしょうが、シングルエンジンで拡張性に乏しく、要撃機であるF-15よりも高価な機体を、長期間にわたって使い続けることについて異を唱えたことには、今なお確信を持っています。今はただ、被災した航空自衛官の無事を祈るばかりです。

 震災時刻は名古屋での市議会議員選挙の応援が終わったばかりでした。
 その後新潟での県会議員・市会議員の集合決起集会に出席のため、セントレア中部空港から新潟に着いた時点で急遽東京に引き返すことにいたしましたが、上越新幹線も関越道も不通となっていたため、大阪まで空路で出て、翌日の伊丹空港七時十五分発の始発便でなんとか帰京することが出来ました。
 昨日、今日と党本部での対策会議が連続しておりますが、現地被災者の方や復興・救出の任に当たっておられる方の御苦労に比べれば何でもありません。
 皆様からもご提案をお寄せいただきますようお願いいたします。
              

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2011年3月11日 (金)

最近のこと

 石破 茂 です。

 随分と以前のことになりますが、前原前外相が偽メール事件の責任を取って民主党代表を辞任した際、私は「好漢、再起を祈る」と記したように記憶しています。
 年齢で六歳、当選期数では二期私の方が上なのですが、彼のご両親が鳥取県出身、互いに外交・安全保障畑が長く、「集団的自衛権行使は合憲であるし、この行使を可能としなければならない」が持論で、鉄道好きという共通の趣味もあり親近感を感じてきました。有事法制審議の際、法案修正の共同提出者として並んで答弁に立ったことや、雑誌の対談で意気投合したことも懐かしい思い出です。近年は、彼も私も党や政府でそれなりの立場にあったため、すれ違った際に言葉を交わす程度の関係なのですが、いつも気になる存在ではあるのです。

 二大政党についての彼の持論は、「憲法、外交、安全保障で共通の認識を持つ者が二大政党の双方に居ることが政治の安定に不可欠である」というものであり、これに対して私は「同じ認識を持つ者だけではなく、全く違う認識を持つ者も双方に居れば、結局党内路線闘争に明け暮れるか、互いが妥協して何を言っているのかわからない抽象的・曖昧な政策しか出せないか、どちらにしても政治の前進には何ら寄与しない。憲法観の異なる者が一つの政党に居ることなど本来あるまじきことであり、日本の危機的状況から考えれば、基本的価値観による政界再編が必要だ」との持論を持っています。

 他人を非難することも、「あんな人だとは思わなかった、見損なった」「化けの皮が剥がれた」とマスコミの論調に乗ることも簡単です。しかしそれだけでその人をすべて否定し、葬り去るべきではないでしょう。
 公人たる者は常に厳しい批判にさらされますし、互いを庇い合うようなことは戒められなくてはなりません。ただ私はいつも、「自分は人を批判する資格があるような立派な人間なのだろうか」との思いを持っています。

 人権擁護法案について、多くのコメントをお寄せいただいています。
 私の立場は、すでに多く指摘されている問題点がすべて解決された場合に限り、人権侵害に迅速・適切に対応する機関を設立するための法案は制定されるべきというものであり、無条件に、ましてや現在政府・与党が検討していると伝えられている法案などには絶対に反対するというものであることを申し上げておきます。
 何が「国が救済すべき人権侵害」に当たるのかを明確にすること、それを認定する組織が公正なものであること、その構成員に不適切性が認められる場合はそれを排除しうるるシステムとすること、異議・不服の申し立ての扱いが適切になされること。そしてこのような議論を国民の前に、透明性をもって行うことも必要です。
 当然ながら、人権擁護の名を借りた不当な圧力を容認することは許されません。ただ、不当な圧力などの病理現象を除去する仕組みにつき、十分な議論もしないままに「絶対反対だ!人権擁護法案に少しでも肯定的な姿勢を示す者はすべて非愛国的な思想の持ち主であり、保守の顔をした左翼なのだ!」的な決めつけだけには与することが出来ません。
 「人権思想そのものが危険なのだ」との中川八洋先生をはじめとする論説も随分読んではみましたが、いまだに十分納得しかねているのが現状です。
 TPP参加の是非もそうなのですが、賛成にせよ反対にせよ、学者でも思想家でもない私たち政治に携わる者は、決して思考停止に陥ってはなりません。単純な賛成のみ、単純な反対のみでは、それは政策とはなりえないのではないでしょうか。
 どちらの立場にせよピュアな方々からは厳しいご批判を頂くことになりますが、政治とはそういう仕事なのだと思っております。

 国旗損壊罪について。
 国会が混乱していることに加え、統一地方選を控えて慌ただしくなってきた今週は、議論する時間がなく、いまだに継続扱いのままとなっています。
 「国旗は尊重すべきであり、それを辱めるような行為があってはならない」という点では党内一致しているのですが、刑罰をもって臨むべきか否かについて見解は割れたままで、一致点を見出す努力中です。
 かつて教育基本法改正の議論の中で愛国心についての論争があり、私は「愛国心は法をもって強制するべきではない」との立場でした。「愛国心」という抽象的な概念と、「国旗損壊」という具体的な行為とは自ずから性格が異なるのではないかと思うのですが、もう少しよく考えてみたいと思います。

 米国メア日本部長の発言は看過できるものではなく、更迭は当然というべきですが、発言全文を読んでみると米国の一部(あくまで全体ではありません)の本音がよくわかる気がします。
 特に「日本国憲法改正は米国の利益にならない」という部分は、我々日本人が今後米国と向き合ううえで最も関心を持つべきことでしょう。
 私は日米同盟は強化すべきとの立場で一貫していますが、憲法改正を忌避する限り、この同盟は真に信頼性のある同盟にはなりえないものと考えており、この点についての議論が決定的に欠けていることに強い危機感を感じています。

 土肥隆一議員の行動は軽率の一語に尽きます。
 ただ、日本国民、そして国会議員のどれほどが「何故竹島は国際法的にも歴史的にもゆるぎない日本固有の領土なのか」という認識を持っているかは甚だ疑問であり、自民党として今一度、国民に積極的に訴える努力が必要だと痛感しています。以前、党内で竹島問題についてまとめたことがありますが、それをベースとしてより多くの国民の皆様にわかりやすく、かつ広く訴えて参りたいと思います。

 今週はとてもバタバタしていたので、少しずつ書き足したため、纏まりの無いものになってしまいました。お詫びいたします。

 今日11日(金)は名古屋市議会議員選挙の応援が七カ所、その後新潟で自民党新潟第一選挙区支部総会で講演(午後六時半、新潟県民会館)。
 12日(土)は地元で鳥取県議会議員候補者の支援集会が四カ所、その後地区支部総会など。
 13日(日)は熊本県自民党人吉支部大会で講演(午後2時、ホテルサン人吉)、熊本県議選候補者応援が二か所、林田前代議士春の親睦会で講演(午後5時半、熊本ニュースカイホテル)。
 14日(月)は自民党埼玉県連統一地方選挙出陣式(午後2時、埼玉県民健康センター)という日程です。

 政権奪還、という目的を達するためには、一つ一つの選挙区を丁寧に支援していかなくてはなりません。口で威勢のいいことを唱えているだけでは、目的は決して達成されないのだ、と自戒いたしております。

 皆様お元気で週末をお過ごしくださいませ。

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2011年3月 7日 (月)

佐賀へ

 石破 茂 です。
 本日は、1830~自民党佐賀県多久市支部にて講演(南多久市公民館)です。
 前原大臣の辞任について色々思うところはありますが、そんなわけで本日は時間がなくなってしまいました。明日以降またコメントしようと思います。

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2011年3月 4日 (金)

予算案をめぐって

 石破 茂 です。

 予算案は、自民党、みんなの党、共産党などから予算案組み替え動議が出されたにもかかわらず、これらをまともに審議もせず否決し、予算案は政府原案通りに採決して参議院に送付され、本日から予算委員会の審議が始まりました。
 しかしこの予算を執行するために必要な特例公債法案をはじめとする予算関連法案はいまだに衆議院に残ったまま、という異様な状況です。予算を実行する関連法案を伴わない予算審議とは一体何なのか。

 参院予算委員会での審議開始が遅れた背景には、「衆議院の優越により、予算は年度内に自然成立するのだから、野党が多数の参議院でまともに審議などして政府与党の駄目振りがさらに明らかになるよりも、できるだけ審議時間を短くしておくにこしたことはない」との政府与党の姿勢が露骨に見られます。政府与党が審議入りを遅らせるなど前代未聞で、所詮この程度の人たちなのか、と思わざるを得ません。
 どんなに困難であっても予算委員会には真摯に臨むのが政府として当然なのですが、良識、とか常識、とかが通用しないのには困ったものです。
 
 そうこうしているうちに、(少なくとも私は)今まで顔も名前も知らなかった佐藤夕子なる衆院議員が民主党を離党し、国政進出を目指す河村名古屋市長の「減税日本」に加わるとの新たな展開がありました。
 この流れは組織的・計画的に進められているものであり、今後さらに拡大するに違いありません。そして総選挙は、自民党、公明党、民主党のマニフェスト見直し派、民主党のマニフェスト絶対遵守派、減税日本、みんなの党、社民党、国民新党、共産党などが入り乱れて戦うことになるのでしょう。
 自民党の中にも小沢氏と組んででも政権に復帰したいというような勢力が今後現れるのかもしれませんし、一体どんな展開になるのやら現時点では予測もつきません。

 こんな時に自民党内が割れるのは一番よくありません。
 時々「今国会で解散に追い込めなかったら総裁は責任を取って交代すべきだ」とのご意見を聞きますが、解散権はあくまで総理が持っているのですし、ましてや「石に噛りついてでも辞めない、どんなに支持率が下がろうとも、支持率にマイナスはないのだ」などという認識の持ち主が総理なのですから、衆議院で内閣不信任案を可決し、総辞職か解散に追い込む以外にはありません。
 何かやり遂げたいことがあってそれを実現するために総理になった人は、それが成就されれば潔く総理の職を辞しますが、とにかく総理になりたいだけでなってしまった人や、たまたま巡り合わせでなってしまった人は、そうであるが故に地位に執着するもののようで、菅総理などはその典型ということなのでしょうか。
 解散に追い込むには、不信任案を可決するに足るだけの造反が民主党から出なくては難しい。
 こんな時に野党内で争いなどしていても、何の意味もありません。
 
 昨日の総務会で、日本国を侮辱する目的を持って国旗を損壊、汚損などした者を処罰することを可能とする刑法改正案が継続扱いとなりました。
 総務会の前の政策会議ではほとんど異論なく了承されただけにやや意外の感もありましたが、「このような行為に刑罰をもって臨むべきなのか」「党議拘束をかけるべきなのか」「シャドウ・キャビネットで異論が出た場合、政府における閣議のようにどうしても賛同しない『閣僚』がいた場合は罷免するのか」などなど、内容、手続きともに更なる検討が必要であるとの判断から、保留扱いとなりました。
 確かに、刑罰で臨む前に、国旗尊重義務を定めるべきだとの意見にも一理あるようです。この件と、いくつかご指摘を頂いている相続税についての考え方については来週また記します。

 週末は、5日土曜日が鳥取。お世話になっている行政書士会長の叙勲受賞記念祝賀会に出た後、1130~鳥取県歯科衛生専門学校の卒業式、そして1400~東部さつき会(私の後援会女性部です)の新春懇談会(ホテルニューオータニ鳥取鶴の間)。
 6日日曜日は帰京してから埼玉県に、大塚拓前衆議院議員の選挙区に伺います。
 日高市のサイボクハムにお邪魔し、その後1330~高萩地区芸能団体連合会の発表会でご挨拶。1400~飯能駅南ロータリー(飯能市)にて街頭演説、1500~丸広百貨店ファミリー日高店(日高市)にて街頭演説、1600~ヤオコウ狭山店(狭山市)にて街頭演説、1645~入間市駅南ロータリー(入間市)にて街頭演説、1750~航空自衛隊入間基地正面前(狭山市)にて街頭演説。
 7日月曜日は、福岡資麿参議院議員の選挙区、佐賀県多久市にお邪魔します。1830~自民党佐賀県多久市支部研修会にて講演です。

 皆様、お元気で週末をお過ごしくださいませ。


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2011年3月 1日 (火)

深夜国会

 石破 茂 です。

 ただいま3月1日午前1時。
 平成23年度政府予算案採決のための本会議は午前2時再開、終了は午前4時ごろの予定です。
 このようなことに一体何の意味があるのか、全く理解に苦しみます。
 午後9時から予算委員会の締めくくり総括質疑に立ったのですが、答弁は相も変わらず無内容、無反省の極み。熟議、と言いながら野党の案を一顧だにせず、財政をさらに危機的にしてバラマキを続ける予算案のどこがベストなのか。
 
 菅総理は本心ではマニフェストを見直し、予算の修正もしたいのでしょうが、そんなことをしようものなら小沢一派の猛反撃を喰らって自身の地位が危なくなることを怖れているとしか思われません。もはや選挙互助会にしかすぎない民主党の維持がそんなに大事なのか。
 主義主張、政策の一致による政界再編しか道は無く、自民党こそがその中核にならなくてはと改めて痛感させられますが、マニフェスト絶対を叫ぶ小沢一派と一緒にやれないことは当然として、そうでないグループの中も玉石混交という気がしてなりません。答弁や野次の内容を聞いていると、一緒にはとてもやれない人が明らかになってきます。

 昨日は石垣島に日帰りで出張して参りました。
 石垣島から高速船で約30分の黒島で開催されていた「牛祭り」を覗いてみたのですが、そこには前回自民党現職に勝って議席を得た民主党議員もいたらしいのに、誰も彼に振り向かない光景は異様に感じました。
 結局Anyone but LDP、「自民党以外なら誰でもいい現象」が起こっていたのだ、と改めて思ったことでした。
 有権者にこのような選択をさせてしまった我が党の責任は私を含めて極めて重く、さればこそ政権奪還に向けて党の立て直しに全力を尽くさねばならないのです。

 もう3月です。気を引き締めてやっていきたいと思います。

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