在職25周年
石破 茂 です。
昨日の衆議院本会議で在職25年の表彰を受けました。
昭和61年7月の中曽根内閣のもとで行われた衆参ダブル選挙(世にいう「死んだふり解散」)で初当選した自民党議員は46人いたのですが、今回表彰を受けるのは私も含めて僅か6人です。
新井将敬氏のように、卓越した才能を持ちながら志半ばでこの世を去った人、政治改革の流れに翻弄されて議席を失い、再起を果たせないまま政界を引退した人、様々な人の顔が脳裏に去来します。
その中で私のような者が25年も勤めることが出来たことは、本当に有難いことであり、支えてくださったすべての方に感謝の気持ちで一杯になります。
永年勤続表彰を受け、数度にわたって閣僚も務め、党三役までやらせていただいた。しかし、では一体この国をどのように変え、何を残したのかと自問する時、内心極めて忸怩たるものがあります。
こんなに議員を長く務めながら、日本はほとんど変わっていない、それどころかこの間に相当悪くなったのではないか、その責任を痛感し、残された期間すべての力を注いで、一つでも何かを残さなければという焦燥感にかられます。
本会議では、被表彰者の中で年長議員が代表して謝辞を述べ、他の者は原稿を議事録に乗せるという慣例となっております。原稿を載せておきますのでご笑覧くださいませ。字数が制限されているため、思いを全て伝えることはできませんでしたが…。
〔永年在職表彰 御挨拶文〕
本日院議をもって永年在職表彰の栄誉を賜りました。
昭和六十一年七月、全国最年少議員として初当選して以来二十五年の長きにわたり、私のような至らぬ者を国政に送って下さった郷里鳥取県の皆様、後援会の皆様、今は亡き田中角栄先生、渡辺美智雄先生、竹下登先生をはじめとするご指導くださった大先輩の皆様、支えてくれた秘書ならびに事務所職員各位、そして家族に対し心より感謝いたします。
当選一・二回の頃、政治改革の嵐が吹き荒れました。政党がその主張を国民に問い、国民が政権を選択する小選挙区制は私にとってどうしても導入すべきもののように思われ、その実現に向けて全力を傾けました。
その結果として確かに政権交代は実現しましたが、小選挙区制度がその機能を発揮するために必要不可欠であった地方分権も、政党法も、政界再編も、何一つ実現することなく、選挙制度だけを変えたため、その欠点が強調される結果となりました。導入を強く訴えてきた者として大きな責任を感じております。
憲法観など、基本的な理念の一致による政界再編は何としても実現しなくてはなりません。
政党助成金という権利を享受する以上、民主的な党運営や資金管理の透明性確保などにつき、政党は国民に対して厳格な義務を負うべきであり、政党法の制定も是非とも実現すべきです。
議員であることも、閣僚であることも、あくまで何かを実現するための手段なのであり、それ自体が目的ではありません。日本国が真の独立国家となるために、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障基本法の制定と日米安全保障条約の改定は国会議員としてどうしても成し遂げたいことであります。
政治家の使命とは、国家のためにどうしても必要なこと、しかし国民が必ずしもそれを歓迎していないことを説得し、納得いただき、実現することであり、それをなさないのなら、このような仕事に就くべきではないと信じております。
我が国はまさに危機的な状況にあります。安全保障も、食糧も、エネルギーも海外に依存する体制から脱却しなくてはなりません。日本に残された時間は極めて短く、そして選択肢の幅は恐ろしく狭い。
今、政治が国民に対して果たすべき責任は、長く直視することを避けてきたこのような問題に明確な解決策を示すことであります。東日本大震災は、日本国に対し、覚醒を促しているように思われてなりません。
その思いのもと、今後も更に力を尽くすことを申し上げて御礼のご挨拶といたします。
以上です。
内閣不信任案提出を巡って神経戦が続いていますが、復興基本法をその道具に使うことには違和感を覚えます。
自民党が来週早々に求めている原子力災害についての集中審議に政府・与党はきちんと応じるべきですし、これが実現した後は早急に修正協議に入り、一刻も早く基本法を成立させるのが政治の責任であるように私は思います。
不信任案提出の時期については総裁をはじめとする最高幹部の高度な政治判断に委ねるべきものであり、我々政務調査会が口を挟むべきではありませんが、国民の意識とあまりに乖離した判断は厳に慎まなくてはなりません。
不信任の理由や提出時期につき、国民が納得するに足るものが必要ですし、仮に否決されたとしても、否決した方に批判が集まるようにしなくてはならず、これには相当の努力が必要です。
海水注入の中断について政府の説明が二転三転しています。情報の伝達や共有についてのメカニズムが全く機能していないことに強い危機感を感じています。
「不確かな情報に基づいて谷垣総裁が総理を攻撃したことは許せない」と民主党国対委員長が発言したそうですが、海水注入が継続していたことを政府が知らなかった方がよほど問題ではないか。それにしても「言った、言わない」で国会が混乱する様は実に異様です。
週末は、土曜日が自民党三重県連大会にて講演(午後二時・ホテルグリーンパーク津)。
日曜日は慶応義塾大学法学部新田ゼミナール0B会で講演の後、新田教授の喜寿をお祝いする会に出席する予定です。新田敏先生は所謂スター教授ではありませんでしたが、12人のゼミ生のレポートに毎週丁寧な講評をしていただき、法律的なものの考え方を徹底的に叩き込んでくださった(その割に私は出来がよくありませんね、自覚と反省。)本当に有り難い恩師でした。
地元で当日党務もあるのですが、半年前から依頼されてもいましたし、教授に対する感謝の意味もあって、何卒私用をお許しくださいませ。
皆様、よい週末をお過ごしください。
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