消費税関連法案 衆議院採決など
石破 茂 です。
さる26日の衆議院本会議の様子、ならびにその後の展開は皆様ご承知の通りです。
本会議場の自席から法案に反対の青票(せいひょう、と読みます。賛成の場合は白票、はくひょうを使います)を投じている小沢系、鳩山系の議員たちを見ていてなんともやりきれない思いが致しました。
総選挙で国民に約束していないことをやるのは許せない、というのはそれなりに筋は通っており、反対するなら反対するで一向に構わないのですが、だったらさっさと離党して新党でもなんでも立ち上げればよいのです。「分党手続きを経ないで離党すれば政党助成金が貰えないので、それまで引き延ばす」などという話は彼らの勝手な都合であって、その間政治がまた混乱・停滞するのは迷惑極まりありません。「選挙にはカネがいる」などと言いますが彼・彼女らのうちの相当数は単に民主党の比例名簿に名を載せて、開票したら当選していたなどという輩であり、なんでそんな人たちの選挙にカネがかかるのか私にはまったく理解できません。
「増税反対、原発反対と言っていれば票は取れる」と小沢氏が言うのなら、今日からでも街頭に出てそう叫んでいればよいのです。増税をせずにどのようにして社会保障費を賄い、持続性を維持するのか、経済成長すればよいのだというのならその方策を示し、無駄を省けばカネは出るのだというのなら、なぜ政権にいた三年をかけても出せなかったものが出せるようになるのか、原発に代わるエネルギーはどうするのか、それらにつき具体的な説明も同時にすべきは当然です。スローガンだけを叫んで当選しようなどという魂胆を有権者はどう見るのか。
「小沢氏に離党届を提出し、身柄を預けた」?政治家の出処進退はすべて自分の責任において有権者に対して示すべきものだ、と少なくとも私は考えております。一体誰の方を向いて議員の職責を果たそうとしているのか、考え違いも甚だしいでしょう。
鳩山由紀夫氏に至っては、記名採決となった三法案のうち消費税法案だけに反対し、後の二法案には賛成という誠に奇怪な投票行動をとりました。「三法案のうち反対したのは一法案だけなのだから処分は軽くしてもらえるだろう」という考えだとすれば、浅ましいと言わざるをえません。卑劣、と言われても仕方ないのではないでしょうか。
民主党執行部も執行部で、「厳正に対処する」との総理の言葉通りさっさと処分してしまえばいいものを、分裂回避を唯一至上の価値とする輿石幹事長に対応を任せる無責任ぶりは一体何なのか。「税制改革に政治生命を賭ける」と言った覚悟すら怪しく思えてきます。
自民党も、公明党もここまで来るには多くの党内論議があり、相当の批判覚悟で決定に至ったのです。野党の協力なくして法案は成立しないのに、当の与党のこの有り様は一体何か。これもまた、一体どちらを向いて政治をしているのかと言いたくなります。
我々は党利党略で解散を求めているのではありません。自民党が勝つことそれ自体が解散を求める目的なのであればまさしく党利党略ですし、そう受け取られることのないよう私たちは説明を尽くしていかねばなりません。
我々は、消費税率引き上げが可能となる環境とは何か、そのためには供給サイドの改革と、政府・日銀の更なる連携の強化による適切な金融緩和、各種規制緩和の具体策を提示するとともに、負担力に応じた社会保障の改革などを具体的に提示する必要があります。
その他エネルギー政策、TPPの必須前提条件農政改革、日本にできることは日本が行うことを基本とする安全保障政策などを、解散・総選挙を訴えるからにはもうそろそろ纏める時期となっています。
造反者に対する処分が決まらなければ参議院における審議には応じられない、というのが本筋ですが、あの民主党のことですからこれを悪用して「倫理委員会などで慎重に手続きを進めるためには時間がかかる」などと言ってわざと時間を引き延ばし、会期末を迎えて審議未了、廃案にしてしまうことを狙っている勢力もあることは十分に予測されます。
処分もウヤムヤ、法案は廃案、会期を閉じてしまえば不信任案も出ず、総理は法案が成立しなかったのだから引責辞任、党の分裂も回避できた、めでたし、めでたし。まさかとは思いますが、本気でそんなことを考えかねないのが民主党の一部のような気がしています。
本日の小沢・輿石会談でも結論は出ず週明けに先送り、と報ぜられています。そのような術中に我が党が嵌ってはなりません。通常国会は一回しか延長できないので、時間切れ、ゲームセットという事態は何としても回避すべきです。
来週はこれと解散の時期についての思惑が複雑に交錯する一週間となりそうです。
週末は6月30日土曜日が地元の各種会合。
7月1日日曜日がJFN(ジャパンFMネットワーク、FM放送)「ザ・ニュースペーパーの日曜日の朝刊 世界を笑え!」(午前5時・収録)、TBSテレビ系列「時事放談」(午前6時・一部地域は別時間・前原議員との対談・収録)、自民党鳥取県連青年局・女性局合同大会(午後1時・米子全日空ホテル・米子市久米町)、鳥取県看護連盟通常総会(午後4時・鳥取県看護研修センター)、第8回東京・北京フォーラム晩餐会(午後8時・ホテルオークラ)という日程です。
明後日からもう7月!七夕、とか海の日、とか夏休み、とか楽しそうな活字が目に入ります。
「待て暫し。やがて汝もまた憩わん」
随分前にも書いたように思うのですが、高校生の頃に読んだ五木寛之の「樹氷」という小説の中でアメリカ人実業家が口にしたこの台詞を最近妙に思い出します。
皆様お元気で週末をお過ごしくださいませ。
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