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2012年7月27日 (金)

オリンピック、オスプレイなど

 石破 茂 です。
 
 世の中ロンドンオリンピック一色の雰囲気になってきました。男女サッカーの好発進は日本人として嬉しいことですし、今後の活躍を期待します。
 「ニッポン!ニッポン!」と日の丸を振りながら連呼し、歓喜する若い人たちを見ていると、愛国心もまだあるのかなと、ふと思ったりも致します。愛国心は決して法で強制するものではなく、それが醸成されるように日々努めるべきだ、と以前述べたことがあり、今もそう思うのですが、その醸成がなかなか難しいこともまた事実です。

 試合に勝つことも大切ですが、小学生のころ読んだ「本当にあった世界の美しい話」という本の中にあった(と記憶しているのですが、あるいは別の本だったかもしれません)、「友情のメダル」というお話は今も強く記憶に残っています。
 ベルリンオリンピック(1936年)棒高跳び競技決勝において、日本人選手同士が同じ高さを跳び、先にその高さを跳んだ選手が二位の銀メダル、二番目に跳んだ選手が三位の銅メダルとされたのですが、銀の選手は自分が上がるべき二位の表彰台を三位の選手に譲り、帰国後、銀と銅のメダルを分割して繋ぎ合わせてお互いが持つようにした…確かそんな話だったと思います(ウィキベディアによると、西田修平選手、大江季雄選手の話のようです)。
 ロンドンオリンピックが、フェアプレーや友情を大切にする日本国民、日本国であることを世界に示し、後世に伝える機会であってほしいと願っています。

 国会では解散時期を巡って今週も神経戦が続いています。
 谷垣総裁が「(消費税法案と解散という)二兎を追うことが不可能となれば(解散という)一兎を追う決断をしなくてはならない」と言っておられる以上、自民党として一致してその方針で突き進むべきだと私は思っています。
 「衆議院で可決しておきながら参議院で否決するのは筋が通らない」「三党合意をした公党間の信義に反する」とのご批判を浴びることは必至ですが、三党合意をした時点と衆議院で法案を可決した以降では状況が全く異なっています。
 「後期高齢者医療制度廃止」だの「最低保障年金七万円」だのという実現不可能な政策は国民に謝罪の上撤回する、政府・与党として自民党や公明党などの野党の賛同を求める以上、与党は法案の成立に向けて一致して行動する、この二つの前提条件はその後大きく崩れています。この期に及んでなお、マニフェストの旗は降ろしていないと強弁し、離党者が続出して「国民の生活が第一」「みどりの風」などという、新党が相次いで誕生するという有様こそ、信義に反するものといえます。
 いまや日本はどこで誰が何を決めているのかわからない「無政府状態」であり、このような事態は一日でも早く打開しなくてはなりません。
 解散・総選挙を9月に行ったとしても、自民党が第一党となり、心ある勢力と過半数の議席を確保すれば消費税法案は成立させるのですし、特例公債法案も補正予算もより迅速に、より実効性のある形で成立させるのですから何の問題もありません。一日も早くこの政権を終わらせることが国家国民のためと信じるのであれば、批判は覚悟の上で臨むべきだと思うのです。

 …などと言うと、過半数が取れるなどと考えるのは甘い、とのご指摘を受けますが、だからこそ一つ一つの選挙区で確実に勝利を得ることができるように党として全力を尽くさなくてはならないのです。
 自民党が未だに国民の信頼を回復できていないという事実を直視し、中央のみならず各地域において死力を尽くす戦いを展開しなくてはなりません。

 オスプレイ問題は、今週になってやっと政府として、私がこの問題が顕在化して以来指摘してきた対応をするようになりました。日米合同委員会の場で飛行の安全性を協議する、ということです。しかし、こんなことは日米地位協定を読めばすぐに考え付くことなのに、なぜこのように対応が遅れるのか、私には全く理解できません。「どうせアメリカは協議に応じてくれない」などと最初から決めてかかって、合同委員会開催の申し入れさえしないというのでは、何のための地位協定なのかわかりません。
 日本への配備そのものは、他に輸送機機種の選択肢がなく、日本に代替する能力がない以上、否定はできませんが、オスプレイの運用について日本側の意見を伝え、可能な限りそれを反映させることは日本国政府として当然の責務です。飛行ルート、パイロットの熟練度、機体整備の在り方など、これが軍用機であることを前提としつつも、日本側の考えを伝え、米側を説得しなくてはなりません。
 これはオスプレイ問題であると同時に普天間基地問題そのものでもあるのですから、「国外、最低でも県外」などと愚かなことを言って問題をここまで混乱させた民主党政府としてもっと責任感を持ってもらわなくては困ります。配備の必要性とリスクの極小化について、決して自分の言葉で語ろうとしない野田総理の姿勢は大いに不満です。この政権を一日も早く終わらせなくてはならないと、今週更に確信した所以です。

 学生たちの夏休みも中盤となりました。七月のうちは「まだまだ休みはあとひと月あるさ」と余裕の構えで遊び呆けていたものですが、八月の声を聞くと段々と不安になり、それでも花火大会だ、お盆だと浮かれているうちに八月も後半。海にはクラゲが出るようになって海水浴にも行けず、急に秋風が立ち、宿題の山を前に呆然としつつも、去りゆく夏を追いかけたいような気持ちになった子供のころの日々を思い出します。

 以前も書いたかもしれませんが、夏休みを題材とした小説では、柏原兵三の「夏休みの絵」、これを短編に改作した「短い夏」が秀逸です。この季節になると無性に読み返したくなる作品です。

 週末は本日金曜日が亀岡偉民前代議士の後援会「桜亀会」で講演(午後6時半・伊達市ふるさと会館・伊達市前河原)。
 28日土曜日が伊藤信太郎前代議士の後援会「いとう会」総会(午後3時半・松島町中央公民館・宮城県松島町礒﨑字浜)と自民党宮城県第一区支部(午後6時・JA仙台宮城支店・仙台市青葉区愛子中央)で講演。合間に被災地を訪問させていただきます。
 29日日曜日はフジテレビ「報道2001」で森本防衛大臣と討論(午前7時半)、あとは原稿執筆の時間に充てたいと思っております。

 酷暑の日々、お体ご自愛の上、お元気にお過ごしくださいませ。

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2012年7月26日 (木)

イシバチャンネル第二十弾

事務局です。

イシバチャンネル第二十弾をアップロードしました。


是非ご覧ください。

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2012年7月20日 (金)

オスプレイなど

 石破 茂 です。

 米軍の新型輸送機MV-22オスプレイ(オスプレイは鷹の一種。日本名「ミサゴ」)の沖縄・普天間基地への配備と岩国基地への事前搬入を巡って、事態は混迷の度を深めています。
 普天間のみならず、世界の米軍基地に配備されていた従来機CH-46シーナイトは1960年の初飛行から半世紀以上を経過した老朽機のため、すでに自衛隊では全機退役済みで、米軍でもオスプレイへの転換が進んでいます。

 昨夜のBS番組でも申し上げたのですが、日本政府の対応ぶりが実に不誠実かつ杜撰で、国民の不信が高まる原因となっています。民主党だけのせいにするつもりはありませんが、後継機の選択肢がオスプレイしかないことは以前からわかっていたことです。そして岩国基地の所在する山口県知事選挙がこの時期に行われることもかなり前から確定していました。
 鳩山元総理の「国外、最低でも県外」発言で日米同盟の根幹を揺るがし、信頼失墜の原因を作ってしまったという認識も反省も実は全く無いため、このような無神経な対応となるのだとしか思われません。鳩山総理の愚かな発言が無く、辺野古への移設が着実に進捗していればまた別の展開があったに違いない、と思うと残念でたまりません。

 ここまで事態が複雑になってしまっては、これが解決策だ、という明快なものを私も持ち合わせていません。岩国への搬入は政府としての安全性の検証方針が明確になるまで差し控えるべきです。
 これには野田総理自身による正式な説明が必要で、防衛大臣や官房長官任せにしてはなりません。「日本政府として米国にどうしろ、こうしろという立場にない」などと、誰から教えられたのかは知りませんが、昭和35年の岸・ハーター交換公文の重要な装備品の変更に関する政府見解をそのまま平然と述べるようでは当事者意識の欠如を疑われても仕方ありません。

 安全性の検証は、日米地位協定第25条(「この協定の実施に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府の間の協議機関として合同委員会を設置する」「合同委員会は日本国政府または合衆国政府のいずれか一方の代表者の要請がある時はいつでも直ちに会合できるように組織する」)に基づく公式の合議体においてなされるべきです。

 米国の立場は「他に後継機は存在しない。このままCH-46を使用することもあり得ない」「直近の事故の原因については現在調査中であるが、安全性は既に確認済みであり、事故発生率は他の飛行機に比べて低い」「安全性について最も注意しているのはその機体に乗って飛行する米兵であり米軍であることは当然である」「飛行速度、積載量、航続距離などにおいて遥かに優れた機体であり、抑止力や災害対処能力が格段に向上する」というものなのでしょう。
 事実、この回転翼機、固定翼機双方の機能を併せ持ったティルト・ローター機は最近になって開発が始まったものではなく、1980年代から営々と研究が続けられ、幾度も失敗を繰り返し、多くの犠牲を払いながらようやく今日の実戦配備を迎えたものです。何の努力もせず、何の犠牲も払わない国が、最終的にその恩恵を享受し、配備にあたっては反対運動を繰り返す様は米国にとってはとても理解しがたいものなのでしょう。ましてやそれが同盟国ともなれば尚更のことです。
 このような米国の考え方と、日本をはじめとする他の国の考え方との間には実に大きな乖離があり、平時は明らかにならなくても、なにかトラブルが起これば埋め難い溝として突如としてその姿を現します。

 オスプレイと原発の構図は実に酷似していて、「人間の作る技術である以上、絶対の安全はあり得ない。リスクは常に存在し、いかにそれを極小化し、万一事故が起こった時にどう被害を最小化するかに全力を尽くすべきだ」という考え方がなかなか理解されにくく、いつしか実はあり得ない「絶対神話」が作り出され、かえって悲惨で過酷な結果を招くのです。
 「そもそもそんなものはやめてしまえばよいのだ」というのは簡単ですし、格好もよくウケもするのでしょうが、日本は日本だけでこの世界に生きているのではありません。人命の価値が日本や米国よりも尊ばれない国、あるいは優先順位の低い国は明らかに存在し、その国はリスクがあっても原発を推進し、オスプレイの配備の遅延や中止を歓迎しているであろうことは容易に予測されることです。

 だからこそリスクを最小化するために辺野古移設を進めていたのです。現政権で進捗が期待できない以上、日本政府として「米国がこう言っている」ではなく「日本政府として安全性を確認した。万一の時は当然責任を負う」と言い切るように全力を尽くして検証するしかないでしょうし、それが言えるまでは飛行を認めるべきではないと考えます。日本政府として責任が持てないものを国民が許容することなどありえないことを政府は知るべきですし、オスプレイ配備まで空白が生ずる場合の抑止力の低下についての対応も当然考えてしかるべきです。

 大津の「いじめ事件」も日本国のあり方を改めて考えさせられる事案です。加害生徒の両親も、学校も、教育委員会も、警察も、市当局もどうしてこんなに責任回避と責任転嫁しか考えないのか、根本のところで大きく病んでいるとしか言いようがありません。
 こんな時、日教組は何かコメントを出したのでしょうか。少なくとも私は寡聞にして知りません。教師は聖職者だ、などとは言いませんが、子供たちは教師を選ぶことはできず、その一生に大きな影響を与える存在であるのですから、一般の労働者とは当然異なるはずです。
 そんな意識を持った人だけが教師になるべきですし、教育委員会などこれに関わる組織の人もまた同じです。責任転嫁と責任回避は最も恥ずべき行為だ、ということをよく認識させなくてはなりませんし、政治家もまた同じです。自重自戒。

 週末は21日土曜日が日本青年会議所自主憲法制定フォーラムで講演、その後日大の百地章先生との対談(午後1時半・パシフィコ横浜会議センター・横浜市みなとみらい)。
 22日日曜日が鳥取県母子寡婦福祉研修大会、どんどろけの会7月例会、税理士会での国政報告会などの地元日程となっています。

 昨日までの猛暑から一転、今日は涼しい一日となっています。涼しいのは有り難いのですが、子どもの頃、せっかく夏休みになったのに雨降りや涼しい日が続いてとても悲しい思いをしたことなどを思い出します。
 皆様お元気で週末をお過ごしくださいませ。

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2012年7月13日 (金)

解散、社会保障、中国、パンダ

 石破 茂 です。

 解散時期を巡って神経戦が続いています。自民党は私も含めて早期の解散を求めています。
 支持率が民主党とたいして変わらないのに、解散ばかり声高に叫ぶな、とのご批判は十分承知しておりますが、とにかく歴史の歯車を早く回し、政界再編へのきっかけを作らなくては本当に日本は危うい状況に立たされてしまいます。税と社会保障の議論に時間をとられている間に世界の状況は大きく変わりつつあります。

 社会保障の改革は、いかに社会保障の選択と集中を行うかの一点にかかっていることは、良識ある人ならすべてわかっていることです。年金が破綻する、という実際ありもしないことをふれまわって政権を獲得したような人たちに社会保障の改革を語る資格などありません。
 人口構成が変化するからこそ年金には公費が投入され、積立金を準備し、再計算を定期的に行っているのです。年金は老後の生活のために支給しているのであって、経済的に余裕のある層がこれを消費することなく貯蓄に回し、「老々相続」が行われる、相続でお金持ちになる、ということをこそ変えなくてはなりません。相続を受ける人のわずか5パーセントしか相続税を払っていないという現状はどう考えてもおかしいでしょう。

 医療も、介護も、どうせ保険に入っているのだから受けなくては損だ、という意識が蔓延すれば、それはもはや保険ではなく贈与の世界であり、本当に困っている人には十分な手当てが行き届かず、財政が破綻することは目に見えています。
 累進的な要素は当然加味しつつも、一律10パーセント程度の基本的な遺産税の導入は必要です。社会保障の改革は早急に成し遂げなくてはなりません。
 こんな話は嫌われることも、受けないこともよく知っています。しかしこれを放置する限り、社会保障目的に限定したことがかえって仇になって、消費税率がどこまで上がってしまうかわかりません。

 日本国内の課題にばかり目が奪われていますが、アメリカの大きな戦略転換、中国の経済と社会の不安定性、ユーロ圏の危機的要素への対応など、日本が正面から国を挙げて取り組まねばならない課題は山積しているのです。
 小沢氏のグループのようなポピュリスト集団も、イリュージョン的な理想論を唱える人たちも退場してもらわなくてはならず、我々は主権者たる国民に賢明な判断を求めるべく、妥協することなく信じる道を訴え、審判の一日も早からんことを期すため、全力を尽くさねばならないのです。

 
 今週火曜日に一日だけ北京を訪問し、中国国際戦略学会の幹部と数時間にわたり議論をしてまいりました。
 中には現役、退役の人民解放軍の高級幹部も入っていましたが、こちらが私一人だけであったこともあり、従来とは違った議論が出来たと思います。
 中国社会の危うさは党の共産党幹部が一番熟知しているはずです。資本主義社会は富める者とそうでない者との格差が拡大する弱肉強食性と、富める者と権力側の癒着という構造的欠陥を有しており、さればこそ所得再分配のシステムと透明性を持った民主的監視体制が必要となるのですが、一党独裁の中国ではそれが構造的に確立しません。格差は開くばかりで、不平不満の捌け口に利用しようとした反日運動や愛国主義が、それに形を借りた反政府運動として爆発した時には、中国共産党の権力維持を第一目的とした人民解放軍ですら抑えきれない可能性があり、一歩対応を誤るととんでもないことが起こりかねません。
 四面環海の日本とは異なり、中国は14の国と国境を接しており、周辺国は中国の脆弱性を熟知したうえで虎視眈々と中国の状況を伺っています。威勢のいい掛け声とは裏腹の彼らの不安が垣間見えたような気がしたことでした。

 中国の軍事的拡大を過小評価するつもりはありませんし、その危険性は認識しておかなくてはなりません。領土に関する事案については菅政権のような愚かな対応をしてはなりませんし、従来のハブ・スポーク型同盟からネットワーク型同盟へと変化する米国の戦略に主体的に対応するための法整備や装備体系の転換も急務です。
 それと同時に、中国の意図と能力を冷静かつ適切に分析する必要性を改めて痛感いたしました。

 月曜、木曜と予算委員会が開かれ、都合14時間の審議が行われました。
 新党「国民の生活が第一」が初登場、なんだかよくわからない議論を展開していましたが、筆頭理事席の私の表情が彼らに対して侮蔑的であった、あれではテレビ映りの印象があまり良くない、とのご指摘をいただきました。それは誠にその通りで、以後よく気を付けることにいたします。

 報道はあまり取り上げませんでしたが、中国との農産物貿易を巡る農林水産省の対応は聞けば聞くほど大問題で、国家的詐欺ともいうべき重大問題ではないかと考えます。対中農産物の輸出拡大は必要ですが、だからと言って何をやってもよいというものではありません。ご関心のある方は昨日の平沢議員の質疑をご覧ください。この件は近々もう一度集中質疑を行うべく、野党一致した対応をとってまいります。

 所謂「三党合意」の履行について、民主党の不誠実な姿勢が目立ちます。党内向けの説明では、後期高齢者医療制度の廃止(名称はともかくとして)や最低保障年金などはまだ「旗を降ろしておらず」「取り組み中」となっており、往生際の悪いこと甚だしい。そのような姿勢であれば、参議院において協力を拒む選択肢も排除すべきではありません。
 もともと民主党は選挙において「やらない」と言ったことをやろうとしているのであり、本来は自民党政権において成し遂げるべきものであるところ、民主党が公約違反を真摯に認めるという前提で法案修正のうえで敢えて協力しているのであり、その態度を覆すようであれば話は全然別のものとなってきます。

 上野動物園のパンダの赤ちゃん死亡のニュースは、多くの国民に深い悲しみを与えたと思います。明るい話題が何もない中にあって、唯一誰もが喜び、ほのぼのとした気持ちにさせられる話題であっただけにとても残念です。
 私のようにどちらかと言えば感性の鈍い者でも「いつ白黒がはっきりするのだろう」「よちよち歩き出したらさぞ可愛いだろうな」などと心ひそかに期待していたぐらいですから、子供たちの受けたショックはさぞ大きいのだろうと思います(「二歳になったらなぜ中国に送るのか」などというご意見があったことは承知しております)。
 子供たちに「生きるものは必ず死ぬのだ」という冷厳な事実を実感させるのは辛いことですが、同時に極めて重要なことだと思うのです。
 子供の頃、子犬を拾ってきて親に頼み込んで飼ったことがあるのですが、この犬が死んでしまった時の悲しさは今もありありと覚えています(それからもう生き物を飼うのはやめたのですが)。
 日本再生のために少しだけ光明が見えかけたときに、もちろん何の関係もないのですが、何かとても暗い気持ちにさせられたのは私だけでしょうか。

 週末は14日土曜日が「オヤノコトネットエキスポ2012 今みんなで考えよう。親子の絆 社会の絆」(午前10時半・東京国際フォーラム・東京都千代田区丸の内)と舞鶴市有志経営者の会(午後6時・「あかつき」・舞鶴市字上東)で講演。
 15、16両日は地元政務日程と東京での原稿執筆に充てる予定です。

 豪雨災害に見舞われた地域の皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2012年7月 6日 (金)

国家安全保障基本法 党議決定など

 石破 茂 です。

 「国民の生活が第一」と名乗る、小沢氏を中心とする会派が結成されました。
 この会派名を聞いただけで言いようのない嫌悪感を感じるのは私だけなのでしょうか。
 言うまでもなく、国民の生活を守るのは国家しかありえないのであって、「消費税反対、原発反対とさえ言っていれば票は取れる」と嘯き、「在日米軍は第七艦隊だけでよい」「自衛隊のインド洋派遣もイラク派遣も憲法違反だ」「自衛隊を『ご親兵』として国連に差し出せば国家主権の行使ではなくなり、武力行使も可能だ」などという小沢氏は、国家の存続についていかなる認識を持っているのか。国民の生活は国家の存続あってこそのものなのです。「国民の生活が第一」というあまりにも当たり前で誰も反対できないスローガンを掲げ、その前提たる国家存立の持続可能性について一切の思考を封じる手法には怒りを禁じえません。
 社民党の又市幹事長に「目指す方向性は一緒だ、一緒にやろう」と持ちかけたとの報道を見ると、それではいっそのこと「新党きづな」だけではなく社民党とも統一会派を組むなり合併するなりすればよいのだと言いたくなります。それがたとえいかに荒唐無稽であろうとも、一部の人に受け入れられ、一定の議席が取れればよいという考え方は、いやしくも政権党たらんとする政党には決してあり得なかった発想です。それを平然と打ち捨てて恥じることなく、自分の議席さえ維持されればよいという愚かな議員をその都度都度一定数確保するところが小沢氏の恐ろしさです。

 前にも同じことを書きましたし、もうこれで終わりにしたいのですが、初めて本欄をお読みになる方のためにもう一度だけ書いておきますと、19年前、一度私も政治改革法案に賛成の立場から自民党を離党して無所属となり、18年前に小沢氏の新生党、新進党に参加した時期がありました。
 小沢氏の本質が見抜けなかった不明を恥じますが、当時税制改革と憲法改正を唱える小沢氏こそ自民党が失いつつある真の保守政治を体現する人だと思ったのです。
 あの時自民党の当選二回の同期生のうち、約三分の二が党を離れました。あれから20年近くの時が流れ、同期の離党組で今でも議席を維持しているのは二人だけ(もう一人は民主党の鳩山由紀夫議員!)です。
 新井将敬議員のように自ら命を絶った人、議席を失ったまま失意のうちに逝去した人、引退を余儀なくされた人、今も議席を回復すべく必死で戦っている人…自分の決断であり自己責任だ、と言ってしまえばそれまでですが、幸運にして今もなお議席を持っている私には、その人たち、またその支持者たちの無念の思いをいつかは晴らしたいという気持ちがあるのです。

 月曜日には、今年は東京で開かれた「第八回東京・北京フォーラム」の安全保障分野会議に参加しました。
 中国側から「なぜ冷戦終結後も日米同盟を強化するのか」「なぜ中国を仮想敵国視するのか」「なぜ中国が空母を保有してはいけないのか」という発言が目立った昨年とはうって変わって、今年は妙に余裕のある態度が感じられました。
 中国人民解放軍(の中の海軍部署)の理論家である海軍少将に至っては「これまでは米国がこの地域の海洋航行の安全を守っていたが、今後は中国が守るのだから日本にとっても有り難いことではないか」とまて発言する有り様。どこまで本気なのかは測りかねますが「航行の自由はあくまで国際法によって守られるべきなのであり、中国の存在によって守られるのではない」と反論せずにはおられませんでした。
 公表されている中国国内の文書を見ても、中国の自信と日本に対する侮りにも近い分析が感じられます。米国のアジア回帰は政策としては確かなものですが、トータルのバランス・オブ・パワーがこのままでは近い将来崩れかねない懸念を持っており、法制、装備、運用各面にわたる自衛隊の早急な能力向上が必要です。

 その意味で、オスプレイ配備をめぐる今回の混乱は極めて深刻であると認識しています。新鋭機に事故が起こることはある程度避けられず、オスプレイの事故はティルトローター機能に起因するものではないとの説明がなされていますが、その安全性について日本が主体的に検証しない限り、配備に至ることは困難です。
 その際は臨時の措置ではなく、あくまで日米地位協定上のメカニズムを活用すべきものと考えており、これがなされない限り次の段階に無理やり進むべきではありません。この地域における米軍のプレゼンスが重要であると考えるからこそ、丁寧かつ主体的な取り組みを政府に対して求めてまいります。

 本日の自民党総務会において、宿願である「国家安全保障基本法」が承認され、正式な党議決定となりました。ここまで議論に議論を重ねること約七年、ようやくここまで辿り着いた、という感慨もありますが、まだまだ今後様々な紆余曲折があることは必至です。記者会見で「登山に例えればまだ二合目」とお答えしたのはそのような意味です。
 日本国のあり方そのものを問うこの法案は、国民の意識と政党のあり方を問うものでもあります。気持ちを新たに今後とも臨んでまいります。

 週末は、7日土曜日が赤間二郎前代議士の後援会が主体となって開催される「あじさいの会女性のつどい」(午後1時・けやき会館・相模原市中央区富士見)、鳥取県立鳥取東高校同窓会「東雲会」(午後4時半・法曹会館・千代田区霞が関)にて講演。
 8日日曜日は地元で披露宴などいくつかの会に出席いたします。

 明日は七夕です。よい天気になるといいのですが、皆様の地域はどうでしょうか。
 どうぞお元気でお過ごしくださいませ。

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