オリンピック、オスプレイなど
石破 茂 です。
世の中ロンドンオリンピック一色の雰囲気になってきました。男女サッカーの好発進は日本人として嬉しいことですし、今後の活躍を期待します。
「ニッポン!ニッポン!」と日の丸を振りながら連呼し、歓喜する若い人たちを見ていると、愛国心もまだあるのかなと、ふと思ったりも致します。愛国心は決して法で強制するものではなく、それが醸成されるように日々努めるべきだ、と以前述べたことがあり、今もそう思うのですが、その醸成がなかなか難しいこともまた事実です。
試合に勝つことも大切ですが、小学生のころ読んだ「本当にあった世界の美しい話」という本の中にあった(と記憶しているのですが、あるいは別の本だったかもしれません)、「友情のメダル」というお話は今も強く記憶に残っています。
ベルリンオリンピック(1936年)棒高跳び競技決勝において、日本人選手同士が同じ高さを跳び、先にその高さを跳んだ選手が二位の銀メダル、二番目に跳んだ選手が三位の銅メダルとされたのですが、銀の選手は自分が上がるべき二位の表彰台を三位の選手に譲り、帰国後、銀と銅のメダルを分割して繋ぎ合わせてお互いが持つようにした…確かそんな話だったと思います(ウィキベディアによると、西田修平選手、大江季雄選手の話のようです)。
ロンドンオリンピックが、フェアプレーや友情を大切にする日本国民、日本国であることを世界に示し、後世に伝える機会であってほしいと願っています。
国会では解散時期を巡って今週も神経戦が続いています。
谷垣総裁が「(消費税法案と解散という)二兎を追うことが不可能となれば(解散という)一兎を追う決断をしなくてはならない」と言っておられる以上、自民党として一致してその方針で突き進むべきだと私は思っています。
「衆議院で可決しておきながら参議院で否決するのは筋が通らない」「三党合意をした公党間の信義に反する」とのご批判を浴びることは必至ですが、三党合意をした時点と衆議院で法案を可決した以降では状況が全く異なっています。
「後期高齢者医療制度廃止」だの「最低保障年金七万円」だのという実現不可能な政策は国民に謝罪の上撤回する、政府・与党として自民党や公明党などの野党の賛同を求める以上、与党は法案の成立に向けて一致して行動する、この二つの前提条件はその後大きく崩れています。この期に及んでなお、マニフェストの旗は降ろしていないと強弁し、離党者が続出して「国民の生活が第一」「みどりの風」などという、新党が相次いで誕生するという有様こそ、信義に反するものといえます。
いまや日本はどこで誰が何を決めているのかわからない「無政府状態」であり、このような事態は一日でも早く打開しなくてはなりません。
解散・総選挙を9月に行ったとしても、自民党が第一党となり、心ある勢力と過半数の議席を確保すれば消費税法案は成立させるのですし、特例公債法案も補正予算もより迅速に、より実効性のある形で成立させるのですから何の問題もありません。一日も早くこの政権を終わらせることが国家国民のためと信じるのであれば、批判は覚悟の上で臨むべきだと思うのです。
…などと言うと、過半数が取れるなどと考えるのは甘い、とのご指摘を受けますが、だからこそ一つ一つの選挙区で確実に勝利を得ることができるように党として全力を尽くさなくてはならないのです。
自民党が未だに国民の信頼を回復できていないという事実を直視し、中央のみならず各地域において死力を尽くす戦いを展開しなくてはなりません。
オスプレイ問題は、今週になってやっと政府として、私がこの問題が顕在化して以来指摘してきた対応をするようになりました。日米合同委員会の場で飛行の安全性を協議する、ということです。しかし、こんなことは日米地位協定を読めばすぐに考え付くことなのに、なぜこのように対応が遅れるのか、私には全く理解できません。「どうせアメリカは協議に応じてくれない」などと最初から決めてかかって、合同委員会開催の申し入れさえしないというのでは、何のための地位協定なのかわかりません。
日本への配備そのものは、他に輸送機機種の選択肢がなく、日本に代替する能力がない以上、否定はできませんが、オスプレイの運用について日本側の意見を伝え、可能な限りそれを反映させることは日本国政府として当然の責務です。飛行ルート、パイロットの熟練度、機体整備の在り方など、これが軍用機であることを前提としつつも、日本側の考えを伝え、米側を説得しなくてはなりません。
これはオスプレイ問題であると同時に普天間基地問題そのものでもあるのですから、「国外、最低でも県外」などと愚かなことを言って問題をここまで混乱させた民主党政府としてもっと責任感を持ってもらわなくては困ります。配備の必要性とリスクの極小化について、決して自分の言葉で語ろうとしない野田総理の姿勢は大いに不満です。この政権を一日も早く終わらせなくてはならないと、今週更に確信した所以です。
学生たちの夏休みも中盤となりました。七月のうちは「まだまだ休みはあとひと月あるさ」と余裕の構えで遊び呆けていたものですが、八月の声を聞くと段々と不安になり、それでも花火大会だ、お盆だと浮かれているうちに八月も後半。海にはクラゲが出るようになって海水浴にも行けず、急に秋風が立ち、宿題の山を前に呆然としつつも、去りゆく夏を追いかけたいような気持ちになった子供のころの日々を思い出します。
以前も書いたかもしれませんが、夏休みを題材とした小説では、柏原兵三の「夏休みの絵」、これを短編に改作した「短い夏」が秀逸です。この季節になると無性に読み返したくなる作品です。
週末は本日金曜日が亀岡偉民前代議士の後援会「桜亀会」で講演(午後6時半・伊達市ふるさと会館・伊達市前河原)。
28日土曜日が伊藤信太郎前代議士の後援会「いとう会」総会(午後3時半・松島町中央公民館・宮城県松島町礒﨑字浜)と自民党宮城県第一区支部(午後6時・JA仙台宮城支店・仙台市青葉区愛子中央)で講演。合間に被災地を訪問させていただきます。
29日日曜日はフジテレビ「報道2001」で森本防衛大臣と討論(午前7時半)、あとは原稿執筆の時間に充てたいと思っております。
酷暑の日々、お体ご自愛の上、お元気にお過ごしくださいませ。
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