石破 茂です。
今朝の「朝ズバッ」は相当に疲れました。「自民党も大人になって特例公債法案や定数是正を通すべきだ。その上でなお総理が解散、総選挙に踏み切らないのなら世論の非難は総理に向かい、とても民主党は持ちこたえられないはずだ」というのがみの氏やコメンテーター諸氏のご意見です。常識的には確かにその通りで、そんなことは百も承知ですが、現民主党政権が常識から大きく外れた政権であるからこそ我々は対応に苦慮しているのです。谷垣執行部で政調会長を務めた経験からしても、すべての対応は無為無策、最後は見かねて自民党が何とかしてくれるだろうと甘えきった人々で、そのことは普天間移設問題や東日本大震災、更には尖閣問題の際にイヤというほどに思い知らされ、今回の内閣改造の顔ぶれを見て、今日に至ってもなお国家国民より民主党のことしか考えていないことを確信するに至りました。
自分たちは無為無策でありながら、うまくいかなければ自民党や官僚に責任を転嫁して恬として恥じない人々です。常識と非常識が戦えば非常識が勝ってしまうことが往々にしてあるのがこの世の中ではないでしょうか。何が何でも解散に追い込め!としばしば叱咤激励を頂きますが、解散権を持っているのはあくまで向こう側であり、支持率が一桁になろうが、国民生活がどうなろうが、絶対に解散しないとなれば後は不信任を可決する以外にありません。しかしそこで首尾よく解散となればよいのですが、早期の解散を嫌がっている勢力は実は野党の側にもいるのですし、これが否決されてしまえば内閣は信任されたことになってしまい、「信任されたのだから解散などはしない」と開き直ることは十分に予想されますし、あるいは「定数が違憲状態のままで解散は出来ない、総辞職して新たな民主党首班のもとで当面政権を運営する」などと言い出しかねません。
コメンテーター諸氏はそれらを十分に知っていながら敢えて「どっちもどっち」という世論を形成し、国民の政治不信を作り出そうとしているのではないでしょうか。どっちもどっち、などということはありません。明らかに間違っているのは言を左右にして責任を回避・転嫁し、延命を図ろうとしている彼らの側なのです。
「近いうちに国民に信を問う」と言いながら解散を回避する、ということは主権者たる国民の権利の行使を妨げることなのです。どのような政権を選ぶかはあくまで主権者たる国民の権利なのであり、国民はもっとそのことに思いを致して頂きたいと切に思います。
民主党の議員すべてが己のことしか考えていないとは思いません。実際、誰とは言いませんが「今回は総理の方が間違っていると思う」と言っている民主党議員も確かにいるのです。彼らが勇気をもって党内で発言する環境を作るのは世論以外にありません。
日本維新の会の橋下代表が「石原慎太郎氏とは一緒にやりたいが、たちあがれ日本とはやりたくない」と発言したことは、とても理解ができません。そこまで言うのなら、石原氏とも一緒にはやれない、と言わなくてはならないはずなのに、人気のある(と言われている)石原氏とだけ一緒にやるというのは極めて身勝手な言い分ではないでしょうか。何だか世の中身勝手な主張が横行しているようで、何ともやりきれない思いが致します。
東京都知事選挙への自民党の対応は、相当に注意しなくてはなりません。古くは東京都の自民党が推した鈴木俊一都知事に対抗して党本部が磯村尚徳氏を立てて惨敗し、その後も明石康氏、石原信雄氏を立てて敗れました。人格識見立派な人を擁立したからと言って必ずしも勝てるとは限らないのが選挙の怖いところです。今私の立場でどなたがどうこうということは決して申し上げられませんし、あくまで東京都自民党の意向を聞くことが第一なのですが、もうあまり日にちが無いこともあり、よくよく考えたいと思っております。
週末は2日金曜日が西日本政経懇話会例会にて講演、その後大阪でとかしきなおみ前衆院議員、鶴保庸介参院議員のパーティで講演、挨拶、3日土曜日は神戸市内で自民党街頭演説の後、公明党赤羽前衆院議員の会合に出席します。4日日曜日は早稲田祭で三反園氏のゼミ主催の会での講演、対談の予定となっています。
前回は「最近当欄をお読みいただいている方々との一体感が無くなってしまったようで寂しい」「あまり体調がよくない」とつい愚痴ってしまったら多くの方々からご心配、お気遣いを頂きました。本当に有り難うございます。体調は相変わらずあまりよくないのですが、日曜日は少しだけ休む時間がとれそうです。
十一月に入り、晩秋から初冬へと季節が移ります。皆様お元気でお過ごしくださいませ。