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2013年3月29日 (金)

田中美智太郎氏、選挙制度など

石破 茂 です。

 昨日国会内において、高校生たちによる政治に関する討論会が行われ、他党の代表とともに冒頭挨拶をしてまいりました。
 私の高校生時代は70年安保も終わって政治の季節も過ぎ去った頃で、このような催しに参加することなど考えられなかったことでしたが、全国から集まった多くの高校生たちに接し、時代の変化を強く感じたことでした。
 
 挨拶の中で私は田中美知太郎氏の講演集「人間であること」(文芸春秋刊)の中の次の一節を紹介しました。
 「日本では主権在民などと言いますが、一向に主権在民ではない。いわゆる市民というものは主権者になり、国家全体のことを考え、みんなのために政治を本当に考える立場にあるのに、『こうしてくれ』とか『ああしてくれ』とかわあわあ騒ぐだけです。『生活が苦しい』とか『月給を上げろ』とかそんなことばかり言っている。こんなことを言うのは決して主権者ではない。これは…してもらう方ですから、臣下臣民、サブジェクト、家来の立場です。人民が主権者であるならば、自分がもし国家の立場に立ったらどうするか、ということを絶えず考えなければならない」
 相当に刺激的な言葉ですし、強い反発を買うことも必至ですが、ことの本質を突いていることもまた確かです。「自分の考えだけが正しい」「それが容れられないのは○○が悪い」などという議論が最近あまりにも多く、結果結論が何も見出されないままに時間だけが無為に過ぎていくように思われます。特に選挙制度とか、選挙協力とか、個々の利害が鮮明に出る場合にこれが顕著です。

 各地の高裁で先の総選挙の違憲、或いはいくつかの無効判決が出されています。
 憲法上の要請は「一票の格差を二倍以内に収めよ」ということにあるのであって、何にもましてこの違憲状態の解消が最優先されなくてはなりません。
 みのもんた氏風に「とにかく議員を減らしさえすればよいのだ!」というような議論は極めて危ういものを含んでおり、議員を減らすことと憲法の要請を満たすことは全く別の議論であるにも拘らず、世論受けを狙ってか、この二つを混同していることが最大の問題です。「こんなことも決められないのか」という批判をされる向きには、まず優先順位が何であるのかについてよくお考えいただきたいものです。

 週末は、土曜日が神奈川県内遊説。
 日曜日はNHK「日曜討論」に出演した後、滋賀、兵庫を廻ります。
 とにかくゆっくり物事を考えたり、少しだけでいいから自分の自由になる時間が欲しいと思います。
 たまに労いのコメントを頂くと、とても嬉しいのはやはり甘えというものなのでしょうか。

 お元気でお過ごしくださいませ。

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2013年3月22日 (金)

屋台村、党大会など

 石破 茂 です。
 去る16日の党本部における政策セミナー、全国青年局・女性局会議、全国幹事長会議、17日の新高輪プリンスホテルにおける第80回党大会など、一連の行事が無事終了いたしました。
 従来の党大会はともすれば形式に堕し、「長い、つまらない、眠い」などというご批判を頂くことがありました。アメリカの共和党、民主党大会とまではいかなくても、何とかもう少しお祭り的な要素を加味して「行ってよかった!」という気持ちを参加して下さった党員に持って頂くことは出来ないものか、という思いが私にはあったのですが、運営責任者の小此木八郎筆頭副幹事長はじめ副幹事長各位や多くの党職員にご努力頂いたおかげで、都議会議員選挙や参議院議員選挙に向けて近年にない高揚感と緊張感に満ちた党大会になったのではないかと思います。

 例年ですと、党大会は国歌斉唱、党歌斉唱で始まるのですが、今年は党歌斉唱を大会のラストに持ってきました。自民党歌「われら」は岩谷時子作詞、山本直純作曲の歌詞、メロディー共に実に素晴らしい名曲なのですが(是非you tubeでご覧ください)、少しキーが高くて特に男性には後半部分が歌いづらいのが難点でした。この度少しキーを下げてみたところ、もの凄く歌いやすくなり、四千人による大合唱は壇上から聞いていて感動的ですらありました。

 党大会前日の諸会議に合わせて設営した「屋台村」も、好天にも恵まれて盛況のうちに終わることが出来ました。カレーなどの煮込み料理はどう間違ってもそう変なものになるはずはありません。被災地の食材を多く使い、鳥取産のラッキョウのみじん切りと梨ワインを隠し味にし、少し硬めに炊いたサフランライスとともに供するのが特徴と言えば特徴ですが、私はレシピ(などと言えるほど大層なものではありません)をお渡しし、最後の味の調整をしたぐらいで、ほとんどの作業は党本部の厨房のスタッフにお願い致しました。
 「お手製の秘伝・石破カレー」などと紹介されるととても気恥ずかしい思いが致します。お越し下さった方、厨房の皆様、お手伝いいただいた皆様、本当に有り難うございました。

 党大会に合わせて「自民党ゆるキャラグランプリ」の授賞式が行われ、札幌市の高橋玲香さんの作品が最優秀賞に決定いたしました。
 昨年安倍新体制が発足した際に当時の高市早苗広報委員長が発案して全国から募集していたもので、なかなかに可愛い仕上がりとなっており(勿論「可愛くなんかない!」とのご批判はありますよ)、クリアファイルになって党大会の資料とともに参加した方々に差し上げました。近々、優秀賞の作品を使ったエコバッグとともに党本部一階の売店で販売されるそうです。
 「何を浮かれているんだ」とのご意見も当然ありますが、いろいろと試行錯誤してみるのもまたいいのではないでしょうか。政権運営も、選挙対策も、党運営も最高の緊張感を持って臨んでおり、それらが浮かれさえしなければいいのだと思っております。

 サイバーテロ対策も、防衛庁長官や防衛大臣在任中にいくつか手がけてはきたのですが、現状はまだまだ十分とは言えません。私自身知識がかなり古くなっているので、もう一度勉強をし直さなくてはならないと思っております。「ディフェンス」誌第50号(隊友会発行)に掲載されているいくつかの論考は示唆に富んだもので、関心のある方は是非お読みくださいませ。市販はされておりませんが、隊友会の連絡先は03-5362-4871です。

 来月28日には自民党の公約であった政府主催の「主権回復祈念式典」が開催されます。沖縄、奄美、小笠原の思いにも十分配意しつつ、国家主権の意味と戦後の歴史を問い直す機会となることを願っております。

 今週は各地の首長選挙への対応や、参議院選挙の調整に追われた一週間でした。
 現場が国会議員、地方議員ともに一致している所はいいのですが、それぞれの思惑が錯綜して、バラバラに党本部に直談判にお越しになる所もあり、対応には相当に神経を使います。これに他党が絡むと様相はさらに複雑となり、結果誰からも恨まれることにもなりかねないのですが、これも役目柄致し方ありません。
 中京圏、近畿圏などを中心として我が党が困難な状況にある地域で頑張っている地方組織を党本部として全面的に支援していかなくてはなりません。近く行なわれる名古屋、さいたま両市長選挙にも、精一杯取り組んでまいります。

 世の中例年よりも早い桜の季節ともなりました。楽しそうな人々を見るにつけ、いつものことながら「待て暫し、やがて汝もまた憩わん」(ゲーテ)との言葉を思い出します。
 もうお花見なんて二十数年していないのですが、いつの日かゆっくりと自然を愛で、心許せる友と杯を交わしながら語りあうことのできる機会が来ることを夢見ております。

 週末23日土曜日は、鳥取自動車道の開通式や参議院選挙関連会合に出席のため地元。
 24日日曜日は時事放談出演(藤井裕久元財務相との対談・収録・TBS系列・午前6時)、参議院群馬選挙区山本一太大臣の決起集会などに出席の予定です。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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3月16日の様子

 事務局です。

3/16(土)の様子です。


テレビ東京「田勢康弘の週刊ニュース新書」にお邪魔した時の写真です。
まーごと一緒に。

Photo


自民党の屋台村にて。

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2013年3月15日 (金)

TPP、定数削減・選挙制度改革案、追悼式典、党大会など

 石破 茂 です。
 今週は平素の業務に加えて、TPP交渉参加についての自民党の対応方針決定、定数削減と選挙制度改革についての自民党案取りまとめ、週末の党大会関連行事の準備などに忙殺された一週間でした。
 どれも非常に重く、かつ時限性のある話で、これらが一週間に集中してしまったために、作業は相当に困難を極めましたが、各課題ともその分野に精通した議員たちが全力で誠心誠意対応してくださったお蔭で、何とか期限内に方針を提示することが出来、本当に有り難いことであったと感謝しております。

 TPPについて、賛成、反対両方のお立場からのご意見を多く頂戴いたしておりますが、中央公論の三月号に掲載されている遠藤乾・北大教授の「TPP賛否両極論を排す」という論文はなかなかに興味深いもので、ご一読をお勧めいたします。
 断定的な論説というものはそうであるだけに小気味よいものではありますが、私などは「どうしてそのように絶対の自信をもって自説だけが正しいと言い切れるのか」と思ってしまいます。人間は知識においても判断力においても決して万能ではなく、いつも「果たしてこれで正しいのだろうか」との思いを持つべきものだと考えております。
 
 震災から二年目にあたる11日月曜日は、天皇皇后両陛下ご臨席のもと、追悼式典が挙行されました。
 天皇陛下の真摯なお姿には、いつもながら粛然とした気持ちにさせられます。
 民主党政権下で挙行された昨年は、国歌吹奏、両陛下ご臨席の際も一同着席のままであったのが、本年は国歌斉唱、全員起立に変更され、当然のことではあるものの、日本国が少しずつ真っ当になっていく様が実感されました。

 選挙制度改革と定数削減について、三月中旬までに自民党案が提示できたことに安堵しています。
 マスコミや各野党は一斉に批判のトーンを高めていますが、では自分たちはどのような案が望ましいものと考え、それをどのようにして実現させようとしているのか、全く示していません。このような勢力は無責任の極みというべきものであり、国政を論ずるに値しないとしか思われません。批判するなら自分たちの案を示してからにするのは当然というべきでしょう。

 明日は党大会前日の各種会議、明後日は党大会が行われます。実行委員長として、有意義な大会となりますよう、力を尽くしていかなくてはなりません。

 皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

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2013年3月 8日 (金)

多忙につき

 石破 茂です。

 一昨日は名古屋、昨日は宮古島、明日は地元で自由民主党鳥取県参議院第一選挙区支部長の舞立昇治(まいたち・しょうじ)氏お披露目集会七カ所、明後日は宮城と日程がびっしりと詰まってしまい、とても本欄を落ち着いて書く暇(いとま)がありません。夜も会合が三~六会場重なり(これを当業界では「三階建て」とか「六階建て」と称します)、何が何だかわからない状況で、「とにかく顔出しだけでもして下さい」と言われるままに何とかこなしているのですが、まさか顔出しだけというわけにもいかず、結局帰宅は毎晩午前零時過ぎ、翌朝も大抵は午前七時宿舎発(そういえば明日は午前六時発でした)というような毎日を過ごしていると、本当に自分がどんどん愚かになり、他人様に対する対応も心の籠ったものにならず、自己嫌悪に駆られる日々が続いております。私の一番いけないところは、「他人に任せたらきっとその人に負担がかかるだろうな」と思って何でも抱え込んでしまうところにあり、ここは何としても改めなくては結局党全体にご迷惑をかけることになってしまいます。

 時間のある方はいろいろと深い思慮をなされ、或いは様々な策謀を巡らしておられるのでしょうし、こちらが今のままの状態でいればどうしても隙が生じてしまうことになりかねません。この週末に数時間の余裕がありそうなので、何とか態勢を立て直したく思っています。

 定数削減と選挙制度改革については、自民党は必ずこれについての案を示します。民主党の諸君や一部マスコミのこの件に対する態度には、「では貴方方はどのように考えているのか」と言いたくなる気持ちがしてなりませんが、与党として果たすべき責任はきちんと果たして参ります。

 昨日は講演と現地視察のため、宮古島市に日帰りをしてまいりましたが、いつの日か、一日でいいから仕事一切抜きで行ってみたいな、と思ったことでした。同じような思いをしておられる方はさぞ多いことでしょうね。参院選勝利の日まで自分自身の時間は全くありませんが、ほんの少しだけ、夢を見たひと時でした。
お元気で週末をお過ごしくださいませ。

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2013年3月 1日 (金)

TPPなど

 石破 茂 です。
 はやくも三月となりました。党本部の随所に掲示してある「参議院の任期満了まであと○○日」という表示も150日となりました。

 今週はTPP交渉参加を巡って大きく揺れた一週間でした。
 日本国憲法上、外交交渉は内閣の専権事項ではありますが、議院内閣制を採り、昨年の総選挙において公約を掲げて政権を担当している以上、これに違背する決定をしてはならないこともまた当然のことであり、そのことは安倍総理も十分すぎるほどに理解されていることです。
 総理ご自身がオバマ大統領と直接会談し、「聖域なき関税撤廃を前提とするものではない」との確証を得た以上、自民党としては意見を十分に申し述べたうえで、あとは総理の決断に従い、全力で支えるべきなのだと私は信じます。
 
 このような時期に、民主党ではあるまいし「与党内で異論が続出し、混乱に陥っている」などという光景は絶対に避けなくてはなりません。決めるまでは徹底的に議論する、しかし決めたからには一致してこれを支えるというのが自民党のあるべき姿であり、そのために職責を果たすのが私に与えられた役割です。

 時期は未だに定かではありませんが、総理が決断する日がやがて来ます。その時にはきちんと国民に対して説明する義務を政府とともに自民党は負っているのであり、それもまた私の役割であるのでしょう。
 たとえば「TPPは関税自主権の放棄だ」という反対論もありますが、ガットであれ、WTOであれ、参加国すべてが関税削減や撤廃につき同じ義務を負うのであって、日本だけが一方的にそれを行うのではありませんし、そもそもそれを関税自主権の放棄とは言わないのではないでしょうか。
 「農業・農村が壊滅する」との反対論もありますが、今のままでも農業者の高齢化と農地の減少には歯止めがかからない状況なのであり、抜本的な農政改革はTPPとはまた別に進めて行かなくてはなりません。
 関税だけが農業保護の手段ではないのであり、ウルグアイラウンド交渉の時のように、交渉妥結後に対策を講じるような愚は避けなくてはならず、農政改革を進めればすぐに「やはりTPPに加盟することが前提なのだ」などと批判するのは決して農業・農村のためにはなりません。 
 
 今日はこれから富山、明日は地元で七カ所の集会に出席します。
 参議院の任期満了日が近づけばとても地元に帰る日程など取れなくなるので、今のうちに可能な限り効率的にやっておかなくてはなりません。
 自由民主党鳥取県参議院第一選挙区支部長の舞立昇治(まいたち・しょうじ)氏は若くて優秀な人材ですが、相手の民主党の現職は、六年前は小沢氏、つい最近までは輿石氏の側近であったにもかかわらず、今はそれを極力表に出さずに活動しており、なかなかの強敵です。
 政権が不安定では、まともな国際交渉など出来るはずもなく、そのためにも参院選に向けて全力を尽くさなくてはなりません。

 日曜日は帰京の後NHKの「日曜討論」に出演、その後は愛知県でまた講演や集会に出席します。
 季節の変わり目、皆様どうかご自愛くださいませ。

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