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2013年9月27日 (金)

税の議論、人事など

 石破 茂 です。

 税を巡る議論は「これが正しい」という明確な解があるわけではなく、「やってみなければわからない」という面も多分にあるように思われます。それぞれの立場からの主張もポジショントークク的なものが感じられて、そのまま鵜呑みにすることは避けなくてはなりません。
 「消費税を上げて庶民を苦しめ、法人税を下げて大企業を優遇するなどもっての外である」といういかにも世間受けしそうな議論がありますが、ことはそう単純なものではありません。日本国内に企業を留め、設備投資を慫慂し、外国企業の立地を促進し、雇用を増やし、労働者の所得を上げるためには法人の負担を減らしていかなくてはなりません。
 「内部留保が増えるだけ」「賃金上昇につながらない」「経営の苦しい中小・零細企業には恩恵がない」との反対論は、「だから法人の負担は重いままでよい」という結論をストレートに導き出すことにはなりません。
 多くの国において、消費税的な税の引き上げと法人税の減税はセットで行われていると承知いたしております。法人税も、結局消費者や労働者の負担によって賄われるのであって、「個人」と「法人」を対立する概念として捉えるべきではないように思います。

 負担軽減が行われた場合、企業が当然行うべき設備投資や労働者所得の向上、雇用者能力の向上に対しては、政府・与党が強い姿勢で臨まなくてはなりません。「賃金や設備投資はそれぞれの企業の経営判断であり、政府としては強く要請することしかできない」というのは確かにその通りですが、それぞれの企業がどのように反応するかについてはよくよく注意する必要があります。

 デフレからの脱却、経済成長、財政規律の回復という三つの命題を実現するためには、政府も、企業も、国民も今までの惰性から脱却し、甘えを払拭し、敢然とこれに立ち向かっていかなくてはなりません。今後政府と与党の間で徹底した議論を戦わせ、結論を得たのちには一体となって取り組みたいと思っております。

 以上の見解についてはまた多くのご意見が寄せられるのでしょうが、来週以降、党税調と政府の税制に通暁したメンバーで、その内容や時期について更なる議論が行われます。
 党の責任者として私が断定的な言動を差し控えるべきなのもまた当然であり、議論の推移を注視して参ります。

 臨時国会が来月半ばには開会される見通しです。それまでに政府・国会・党の人事を了し、態勢を整えておかなくてはなりません。
 有能な人をそれぞれ最適のポストで働いてもらうように工夫を凝らさなくてはならないのですが、花形ポストには希望者殺到、地味なポストには希望者がほとんどいないというのはいつものこと、地味なポストを黙々とこなし、自分を磨き、成果を挙げることもまた極めて重要なことだと今にしてつくづく思います。

 人事の季節は悲喜こもごもで、私自身、もっと続けたかった役職を離れた経験が何度かあります。いくつかの手掛けてきた案件を半ばで他の人に引き継ぐのはとても心残りでしたが、資料を整えて次の人に引き継いだかというと、決してそうではありませんでした。
 内閣改造の際、大臣引継ぎの儀式の光景が時々テレビで放映されますが、事務方が用意した、中身が何なのかよくわからない、しかし量だけは膨大な資料を横において、引き継ぎ書類に新旧大臣が署名するだけのわずか数分のものであることが多いようです。
 麻生内閣が総選挙敗北で退陣し、鳩山内閣に引き継ぐ際、農水大臣であった私は二週間かけて引き継ぎ事項を整理し、書類を作成し、民主党の新大臣に引き継いだものでした(もっともその効果はほとんどありませんでしたが…)。
 引継ぎ資料をどう作り、どのように間断なく政策を遂行させるかも、大臣・副大臣・政務官を問わず政府の任にある者の大切な仕事だと思うのです。

 日曜日は久しぶりに報道2001(フジテレビ系・午前七時半)に出演致します。
 朝夕がめっきり涼しくなってまいりました。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2013年9月20日 (金)

9月など

 石破 茂 です。豪雨災害に遭われた地域の皆様にお見舞いを申し上げます。

 9月は私にとっていろいろな意味で転機となる出来事の起こる月で、平穏無事で9月が終わったことがあまりありません。毎年「今年の9月には何が起こるのか?」という怖れにも似た気持ちで迎えております。
 父親が亡くなったのが昭和56年の9月16日、母親が亡くなったのが平成3年の9月14日。
 結婚したのが昭和58年の9月22日。
 初めての選挙に出馬表明したのも、防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣、自民党政調会長、幹事長になったのも、過去2回総裁選挙に出馬したのもすべて9月。とにかく9月にはいろいろなことが起こります。
 今年の9月は今のところ比較的平穏に過ぎつつあります。一昨日の自民党役員会、総務会で主要な党役員はあと1年その任を務めることとなりましたが、既定路線の確認でもあり、そう驚くことでもありません。
 新聞は「官邸主導の政高党低、党内に不満」とお決まりのパターンで報じますが、小沢幹事長が党を牛耳り、政府がその言いなりになって失敗した鳩山政権、与党内で皆が勝手なことを言い散らかして失敗した菅政権、野田政権のように「党高政低」で党が政府に優越して崩壊・自滅した民主党政権の愚を我々は決して繰り返してはならないのです。内閣支持率も党の支持率も高い、この状態を維持するのが私の役目なのであって、マスコミの報道ぶりには本当に辟易します。

 消費税率を上げるにあたって、法人税の取り扱いが一つの焦点となっています。
 党においてはこれを専門的に取り扱う税制調査会の議論に委ねることが至当と思われますが、「消費税を上げながら片方で法人税を減税するのでは首尾一貫せず、整合性がとれない」「消費税を上げて法人税を下げるのは企業優遇、庶民圧迫だ」との見方はあまりに一面的ではないでしょうか。
 法人が納付する、という点において消費税は「第二の法人税」的な性格を持っており、赤字であっても納付しなければならないことを考慮すれば、企業経営の圧迫要因になっているように思えます。
 少子高齢化で内需の拡大には自ずと限界があり、企業は海外に出て稼がなくてはならず、海外の税負担とあまりに差があるのでは、国際競争に勝ち抜くことも難しい。加えて海外企業の日本への進出の妨げにもなっています。
 消費税率引き上げに伴う税制改正や景気対策は「景気の腰折れを防ぐ」というだけではなく「不可逆的な経済成長に寄与する」ものでなくてはなりません。

 副大臣・政務官の人事とそれに伴う党の人事を進めているのですが、人事というものは本当に難しいものです。「適材適所」と言いますが、選に漏れた人は「自分は適材ではないのか」と不満に思うに決まっています。
 人気のあるポストの数は限られているのに希望者はその何倍もいて、当然のことながら喜ぶ人より不平不満に思う人の方が多くなりますし、過去の自分もまたそうでした。
 今になって思うのですが、ポストに就いていないときにどれだけ勉強し、自分を高めるかが極めて重要なのですが、若い時はなかなかそういう境地に達することはできません。自民党政務調査会の部会は、議歴・期数に関係なく誰でも自由に発言できるところが特長で、ポストに就いていなくても、見識の高い優れた発言をする人の評価は必ず正当になされ、次のポストに繋がっていくのです。
 私自身、傍から見れば常に陽の当たるポストにあるように見えるのかもしれませんが、無役の時期も結構多くあり、その時にした勉強がその後大きく役に立っています。

 先週、今週と三連休が続きます。一週間が実質四日しかないと、仕事が全く捗らず、新しい知識を仕入れることも出来ず、未解決案件がどんどんと溜まっていくばかりで、能力の無さが悲しくなります。
 臨時国会も間近で、それまでに何とかしなくてはなりません。

 週末は21日土曜日が地元で諸行事に出席。
 22日日曜日は岡山からNHK「日曜討論」(午前9時、直前収録)に出演した後、岡山市長選挙告示に伴う出陣式や街頭演説。
 23日秋分の日は東京で諸案件の処理にあたります。

 皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

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2013年9月17日 (火)

総務会にて執行部の再任が決定しました

 事務局です。

本日の総務会で、自民党執行部の再任が決まりました。
引き続きよろしくお願い致します。

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2013年9月13日 (金)

オリンピックなど

 石破 茂 です。

 昭和39年、前回の東京オリンピックの年、皆様はどのような思い出をお持ちでしょうか?
 49年も前のことですから(!)、「まだ生まれていなかった」という方も多いのでしょうけれど、我々の世代以上の者はそれぞれが強烈な思い出を持っています。「あの時どこで何をしていた?」という会話が急に増えました。

 あの時私は鳥取の小学二年生でした。聖火リレーが鳥取県庁前を通る、というので沿道から一生懸命日の丸の小旗を振ったことをよく覚えています。
 ようやく普及し始めた白黒テレビで重量挙げやバレーボールの日本選手の活躍に声援を送ったものでした。中でもマラソンの円谷選手の劇的な最終の場面は鮮烈に印象に残っています。当時は三波春夫の「東京五輪音頭」が街中に溢れていました(今聴いてみると、これは相当に難しい唄ですね)。

 前回の東京五輪が戦後の復興の象徴であったとすれば、2020年大会は長く続いた日本の低迷と震災からの復活・復興の象徴となるべく、国を挙げて取り組んでいかなくてはなりません。
 七年という時限設定の中で、それぞれの組織が、個人が何をすべきなのか、工程表を作って邁進していくべきものでしょう。私自身も何をなすべきか、きちんと己を律していかなくてはなりません。
 前回、誘致に失敗した時は、国民の関心も低くて「東京都が何かやっているな」くらいの認識でしたが、今回は様相を全く異にしていました。政官界も、民間も、一人一人の個人もそれぞれの立場で力を尽くしたように思います。「日本はロビー活動が下手だ」という定説は、単に取り組みが不足していたというだけのことであって、今後明確な方針のもとに体制を整備し、予算の手当てをすれば相当の成果があがるものと思われます。

 週末は明日14日(土)800~読売テレビ「ウェークアップ!ぷらす」に出演し、その後は鳥取および東京で政務をこなします。

 皆様、よい週末をお過ごしくださいませ。


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地球深部探査船「ちきゅう」視察の様子です。

 事務局です。

昨日(9/12)、地球深部探査船「ちきゅう」の視察に行ってまいりました。
その時の様子です。

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2013年9月 9日 (月)

北海道出張の様子です。

 事務局です。
北海道出張の様子です。


根室市より北方領土を望む。

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2013年9月 6日 (金)

集団的自衛権の説明など

 石破 茂 です。

 当欄に対する皆様のコメントには、丁寧に目を通しているつもりですが、時折、困惑、落胆、驚愕することがあることもまた事実です。
 集団的自衛権行使容認につき積極的な議論を展開した際に出てくる「自分の子供を自衛隊に入れてから言え!」という類の無思考的感情論がその典型で、何処からこのような発想が出てくるのか、私には全く理解が出来ません。

 私自身、今まで集団的自衛権を専ら日米同盟の観点から論じてきたのですが、これまた無思考的感情論である「アメリカと一緒に地球の果てまで行って戦争をするのか!」という論を唱える方々が登場し、これに同調する人が多いのにも辟易させられます。当方の論法を変えていかなくては現状を打破することは難しいのかもしれません。

 要は「国連とは決して万能の組織ではない」ということです。
 二次大戦後、戦争は違法化され、仮に不正な武力攻撃を加える国家が出現した場合には国連が加盟国から参加を募って国連軍を組織し、この排除にあたることとなったのですが、常任理事国が拒否権を行使すれば国連軍は組織されず、これを後ろ盾とする侵略国の意図が遂げられることとなってしまいます。
 それではいくらなんでもまずかろうということで、わざわざ国連憲章は第五十一条を設けて「国連が適切な措置をとるまでの間、加盟国はその固有の個別的、集団的自衛権の行使を妨げられない」と定めたのです。
 常日頃国連を礼賛してやまない人々がなぜこの51条だけには目を瞑るのか。
 集団的自衛権行使不可を唱える人は、是非「国連は万能である」ことと、「日米安保条約があるのだから、日本は個別的自衛権の行使のみで国を防衛し得る」ことを明らかにしていただきたいものです。
 前者がそうでないことは歴史の証明するところですし、そもそも国連自体がそのようなことを前提として作られているわけではありません。後者はアメリカ合衆国がいかなる場合でも日本を防衛してくれるという思い込みによるものではないでしょうか。それは危険な幻想以外の何物でもありません。

 「それはそうかもしれないが、憲法第9条が集団的自衛権の行使を禁じているのであり、憲法を改正するのが筋ではないか」という反論もあるでしょう。しかし憲法第9条のどの部分がそれを禁じているのか、論理的に説明出来た人はいまだかつて誰一人としていません。
 今の憲法解釈が正しい、つまり憲法第9条が論理的に行使を禁じているというのなら憲法改正が必要ですが、解釈が誤っているのならそれを変えればよいだけの話で、憲法そのものを変えるという結論にはなりません。

 現実的な安全保障論と、難解至極の憲法論とが混濁しているため、世の中の人には何が何だかわからない状態が続いているように思います。
 国民に分かりやすく語るための手法について、私自身懊悩する日々が続いております。

 ネット上には様々な情報が氾濫し、それを鵜呑みにして感情的なご意見を述べられる方もたまに居られますが、よく原典にあたらねばならない、と自戒しております。
 「軍隊とは何か」については特にそうで、このテーマを深く考えてこなかったことこそが戦後日本の最大の病理のひとつだと思っております。
 「命令違反は軍法会議で死刑に処すべきである」などと私は一度も言っておりませんし、「徴兵制を採用すべきだ」と主張したこともありません。国の独立を守るための軍隊の規律維持を目的とし、専門性と迅速性を重視する軍法会議の存在がなぜ必要ないと主張されるのか。ためにする批判とは知りつつも、あまり誤解や曲解が拡散するのも困りますので、敢えて申し上げておきます。

 安倍総裁が昨夜、外遊先の内政懇談会で、内閣・自民党人事の骨格は変えない旨発言されました。
 組織人である以上、人事権者の命に従うのは当然のことであり、改めて命あるまで今の職に留まることになります。
 「待て暫し、やがて汝もまた憩わん」いつもゲーテのこの言葉を思います。そのような時が果たしてくるのかどうかはわかりませんが、たとえいつその任を終わろうとも、当然周りからは多くのご批判があろうとも、自分としてはこれ以上のことは出来なかった、と言って終わりたいものです。
 防衛庁長官、防衛大臣、農水大臣、政調会長は、幸いなことにそう言って退任することが出来ました。今回もそうでありたいと願っております。

 週末は釧路、根室に出張いたします。
 三十年前の今頃新婚旅行で行った地ですが、今回はすべて党務です。北の地はもう秋が訪れているのでしょうね。
 
 季節の変わり目、皆様ご自愛くださいませ。

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2013年9月 3日 (火)

イシバチャンネル第三十六弾

事務局です。

イシバチャンネル第三十六弾をアップロードしました。



ぜひご覧ください

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