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2014年5月30日 (金)

デジャヴ、中曽根元総理お誕生日など

 石破 茂 です。
 今国会会期は6月22日までなのですが、22日は日曜日のため、実質は6月20日までです。五月も明日で終わり、もうあと三週間しか残っておりません。
 参議院に多くのご負担をお掛けしますが、残っている法案を何とか残り会期中に出来るだけ仕上げ、会期を予定通り閉じることを目指して参ります。

 集団的自衛権をめぐって昨日予算委員会で議論が交わされました。
 総理と岡田克也氏との質疑を聞きながら、丁度20年前の新進党の安全保障調査会において集団的自衛権容認派の私と否定派の岡田氏との間で繰り広げられた論争を思い出しました。
 
 当時私は当選三回、岡田氏は当選二回でしたが、その内容は昨日の予算委員会でのものとほとんど同じであったように記憶しており、デジャブ(既視感)を強く持ちました。
 議論はどこまで行っても交わらず平行線を辿り、結局結論を得ることなく総選挙に突入、「集団的自衛権行使を認めない」との内容を含む公約がファックス一枚で所属議員に送付され、それを見た私は結局離党し、無所属で選挙に臨む決意をしたのでした。

 「自分の考えと全く異なる公約を掲げる党から出馬することは自らを偽ることになるだけではなく、有権者に対する詐欺でもある」、そう思って小選挙区制初の選挙に無所属で出馬し、何とか当選四回を果たしましたが、「個人だけではなく、政党・政権を選ぶための小選挙区制度の導入」を目指してきた私が無所属で戦うことは自己矛盾の極みとも言うべきであり、幾晩も眠れない夜が続き、有権者の反応もかつてないほどに冷たく、私が戦った9回の選挙の中で最も厳しい戦いでした。

 私にとって議員であることはあくまで何かを成し遂げるための手段なのであって、議員であることそれ自体が目的なのではありません。
 私にとっての目的とは、突き詰めればライフワークである「日本が真の独立国家となるための集団的自衛権の行使容認」と「第一次産業の持続力の回復」の二つであり、この二つのテーマで自分の考えに反する政策を認めることは自己否定にも等しいのです(自己矛盾と自己否定の相克の中で戦ったのが四回目の選挙でした)。
 そこまで拘ることはないだろう、とのご忠告も時折頂きますが、そのように融通無碍な政治家になるぐらいなら、さっさと辞めた方がよほどましだと今でも私は思っております。

 佐瀬先生の著書「集団的自衛権」の中に出てくる話ですが、かつて「日本は集団的自衛権を保有しているが行使できない、とはどういうことか」と繰り返し追及された当時の角田法制局長官が「保有している、ということは国際法上独立の主権国家であるという意味しかない。一切行使できないのだから、持っていようが持っていまいが同じことである」という「売り言葉に買い言葉」的な発言をしています。
 主権独立国家固有の権利である集団的自衛権を行使できず、国家主権の中核である領土を基地として提供する義務を負った国家は本当の独立国家と言えるのか、というのが私の根本的な問題意識なのですが、あまりこのような議論は世間の関心を呼びません。
 今はともかく、一歩でも問題解決に向けた前進が図られるべく、微力を尽くす他はありません。

 夜行寝台特急「トワイライト・エキスプレス」の廃止が発表されました。
 ごくごくたまに大阪駅で出発前の「トワイライト・エキスプレス」を見る度に、一度でいいから大阪から札幌まで乗って、その名のとおり、日本海の黄昏を心ゆくまで眺めてみたいと願っていたのですが、叶わぬ夢に終わってしまいそうです。
 クルーズトレイン「ななつ星」的な発想はJR九州以外にはないのでしょうか。最も仮に実現したとしても、もうあの「昭和テイスト」的な列車ではないのですから、ノスタルジーを味わうことはできないのですけれど。

 昨晩は大勲位・中曽根康弘元総理の96歳(!!)の誕生パーティがありました。
 私たちが初当選した昭和61年はまさしく中曽根政権下で、28年前の今頃もやはり誕生会がありました。
 当選したばかりの私たちを前に中曽根総理は「君たち一期生にとって一番重要なことは」と切り出され、「それは二期生になることだ」と仰り、憲法かな、安全保障かな、教育かなと予想していた私は正直、強い違和感を覚えたものでした。しかし今、一期生を指導する立場になってみて、その言葉の意味をしみじみと感じています。

 週末は31日土曜日は埼玉県東松山市で講演。
 6月1日日曜日は新宿駅西口、中野駅北口、国分寺駅西口での自民党全国一斉街頭演説会・中野区長選挙の街頭演説会に参加します。時間などは自民党ホームページをご覧ください。

 もう6月、本格的な夏も間近です。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2014年5月23日 (金)

北斗星、安保法制、パーティ、猫など

 石破 茂 です。
 日曜日の函館での前田一男代議士の諸会合からの帰途は、願いが天に通じたのか、夜行寝台特急「北斗星」を使うことが出来ました。

 山陰直通の特急「出雲」が走っていた当選四回までは多い時で週四回これに乗っていたのですが、今から思い返すと、最も選挙が厳しかった当時に何とか当選し続けることが出来たのには、この列車の存在が大きかったように思います。
 東京での夜の会合を終えて十時発の静岡行き新幹線「こだま」に乗って、一時間前に東京駅を出た「出雲」に静岡で乗り換え、朝八時ごろに鳥取着、夜八時過ぎの「出雲」に乗って翌朝七時に東京着、という日程を可能とするダイヤは実に便利でしたし、これに飛行機や大阪行きの夜行急行、夜行バスを組み合わせると、昼間の本会議や委員会、党の会合などに支障をきたさずに、大概の日程を欠かすことなくこなすことが出来たのです。
 上りの朝方には車窓から真鶴付近の朝の海、下りの朝方には山陰海岸を眺めることが出来、随分と心癒されたものでした。
 当時二往復走っていた京都経由の「出雲」は伯備線経由の「サンライズ出雲」に置き換えられてしまい、我々鳥取県東・中部に住む者には極めて使いにくくなりましたし、兵庫県北部の人々には全く使えないものとなってしまいました。時代の流れとはこんなものなのかもしれませんね。
 ブルートレインにはいかにも昭和らしい雰囲気に浸ってノスタルジーを感じたりもするのですが、それだけこちらも年齢を重ねたということなのでしょう。「降る雪や明治は遠くなりにけり」という中村草田男の句は昭和六年の作だそうですが、平成の御代ももう二十六年、昭和もどんどんと遠くなりつつあるようです。

 今週は安全保障法制整備の議論に追われた一週間でした。
 いわゆる「グレーゾーン」の法制整備から議論に入ることで自民・公明の協議では一致をしたのですが、出口についてはまだ明確に見えてはきません。
 警察権では対応できないが、さりとて自衛権そのものでもない態様を「グレーゾーン」と呼ぶのですが、警察権と自衛権の本質的な違いは何か、装備や運用はどのように異なるか、この議論も相当に複雑かつ難解なもので、事前の準備を周到に行っていく必要があります。
 この議論の必要性は十年以上前から指摘されていたのですが、長く放置されたままでした。「今ならまだ間に合う」との思いで取り組んでまいります。
 本件については山田吉彦氏と潮匡人氏の対談「尖閣激突」(扶桑社)がとても参考になります。

 先週末から今週初めにかけて、いくつかのテレビに出演して集団的自衛権についてお話ししたのですが、「そもそも集団的自衛権とは何か」という根本論を抜きにして番組が進んでいくことに危惧の念を持たざるを得ませんでした。
 時間や紙幅に制限がある以上やむを得ないことかも知れませんし、さりとて専門書は難解すぎて一般の方には不向きです。自分の本を宣伝するつもりはないのですが、「日本人のための集団的自衛権入門」(新潮新書)をお読みいただければとても幸いです。
 防衛庁長官を退任してから防衛大臣になるまでの間に、自民党防衛基本問題小委員長として党内勉強会向けに作ったレジュメを基に書いたものですが、更に深くお知りになりたい方には佐瀬昌盛防衛大名誉教授の「集団的自衛権 更なる論争のために」(一藝社)、坂元一哉阪大教授の「日米同盟の難問」(PHP)をお勧めいたします。

 十九日月曜日に東京で開催いたしましたパーティには多くの方にお出かけいただき、誠に有り難うございました。会費とお時間を拠出頂いたことに対して、十分にお応えしなくてはなりません。
 企業・団体関係の方以外の一般のお客様の比率が少し高いのが私の会の特徴で、その方々に「行ってよかった」と思って頂けたかどうかがいつも気になります。
 歌舞音曲があるわけではなし、素晴らしいご馳走がふんだんにあるわけでもなし、さりとてすべての方とお話したり写真を撮ったりもできませんでしたため、「折角行ったのに」という思いを持たれた方もあろうかと思います。いつも申し訳なく思っております。

 「君の知らない猫」なる雑誌がワールドフォトプレス社から発刊され、何故か私が猫と一緒にいる写真が掲載されております。
 鉄道、プラモデル、70年代アイドルからさらに趣味のジャンルを拡大したわけでは勿論ありませんが、ひと時の心和む取材ではありました。
 
 週末は、24日土曜日が自民党長野県連大会、25日日曜日が自民党佐賀県連政経セミナーでそれぞれ講演です。
 来週で五月も終わりです。皆様お元気でお過ごしくださいませ。 

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2014年5月16日 (金)

安保法制懇報告、渡辺淳一氏ご逝去など

 石破 茂 です。
 安全保障法制整備、TPP交渉、JA改革、参議院選挙制度改革等々、案件山積みのまま一週間が過ぎました。

 「安倍政権は安全保障政策よりも経済政策を優先すべきだ」とのご主張をよく聞くのですが、安全保障政策が危機管理をその内容とする以上、経済政策と並行して一日も早く前進をさせなくてはなりません。
 グレーゾーンの法整備にしても、集団的自衛権行使容認にしても、法律が成立すればそれでよいというものではなく、ミッションに対応した装備を整え、訓練を積み重ね、実際に運用が十分に可能となるためには法成立後、相当の期間を要します。「あの時これをやっておけばよかった」と後悔しても既に遅いのです。

 安保法制懇談会の報告を受けて安倍総理の会見が行われました。
 厄介なのは、法整備は抑止力の強化を目的に行なうものなのですが、抑止力、就中拒否的抑止力は目に見えないものであり、国民になかなか実感を持ってその必要性が認識して頂けないことです。
 そこへもって「立憲主義に反する」などといういかにもアカデミックで恰好よさそうな反対論や「アメリカの戦争に巻き込まれる」との論拠不明な反対論があるわけですが、最終的な憲法解釈を行う最高裁判所の砂川判決においても自衛権は集団的・個別的に限定することなく認められていますし、田中耕太郎長官の補足意見は極めて説得的です。

 「集団的自衛権を認めるとアメリカの戦争に巻き込まれる」というのなら、日本以外のアメリカの同盟国は全て「巻き込まれた」のでしょうか。
 どうしても「巻き込まれる」という日本中心の考え方しかできない人が多いのですが、日本有事の際にいかにしてアメリカを「巻き込むか」という発想もまた必要なのであって、そうであってこそ初めて抑止力は確実なものになるはずです。「同盟のジレンマ」をよく認識しながら信頼性の向上に努めていくべきなのです。

 今後憲法の解釈変更が必要か否か、政府・与党内の議論が始まります。全身全霊を傾けてこの議論を進めていきたいと考えております。どうか皆様のご意見をお寄せ下さい。

 話は変わりますが、作家、渡辺淳一氏が逝去されました。
 20年ほど前、偶然お見知りおきを頂く機会を得、その後ご著書などもお贈り下さり、そんなご縁で3年ほど前に週刊文春に「天上紅蓮」の書評を書かせても頂きました。
 好きな作家は?と尋ねられると、一応「漱石と鴎外」と答えることにしており、それはそれで嘘ではありませんが、未だに岩波から出ている全集のすべてを読破してはおりません(「漱石と鴎外はすべて読め。他は読まなくてよい」というのが亡父の教えでした)。
 実はこの他に井上靖、五木寛之、渡辺淳一の作品が大好きで、高校生の頃から読み始めて、これらはほとんどすべてを読んでおります。決して代表作というわけではありませんが、井上靖では「大洗の月」「星と祭」「化石」「欅の木」、五木寛之では「樹氷」「恋歌」「内灘夫人」、渡辺淳一では「無影灯」「雲の階段」「風の岬」「何処へ」などが好きでした。
 
 渡辺氏の作品の中では、後期の「不倫ドロドロ恋愛系」よりは初期の「医療系・青春系」の方が好きで、初期のエッセイ集「私の女神たち」や短編小説集「七つの恋の物語」なども印象に残っています。
 最近体調を崩しておられる、と聞いてはいたのですが、もう一度ゆっくりとお話ししたい方でした。御霊の安らかならんことをお祈りいたします。

 週末17日土曜日は大阪にて「ウェークアップ!ぷらす」(よみうりテレビ系列、午前8時)に出演後、徳島市で行われる福山守自民党代議士のパーティにて講演。
 18日日曜日は「時事放談」(TBS系列、午前6時、収録)、「報道2001」(フジテレビ系列、午前7時半)、「日曜討論」(NHK、午前9時)に出演の後、全国特定郵便局長会総会、自民党衆議院第8区総会での講演(函館市)と続きます。

 函館からの復路はなんとか寝台特急「北斗星」に乗れないものかと画策しております。寝台車内の自由な時間を有効に活用して、いくつかの論説に目を通したいと思っています。
 「北斗星」も「カシオペア」も「トワイライトエキスプレス」も新幹線開業に備えて近々廃止されるとの噂もあり、何とか今のうちに乗っておきたいのですが…。
 
 「あなたは忙しさを吹聴している」とのコメントを頂きました。そのようなつもりは毛頭ありませんし、世間がお休みの時に働いておられる方々が我々以外にも多く居られることも勿論承知しており、よく注意はしているつもりですが、言動は一つ一つ難しいものですね。

 皆様、お元気でお過ごしください。

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2014年5月15日 (木)

イシバチャンネル特別篇「ニコニコ超会議3」

 事務局です。

 イシバチャンネル特別篇「ニコニコ超会議」をアップロードしました。

 ぜひご覧ください。

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2014年5月 9日 (金)

米議会との会談など

 石破 茂 です。
 黄金週間を利用して4月30日から5月5日まで訪米致しました。
 日本国の議会・政党の役職にあるものとして、会談すべき相手は、米国民主党、共和党の院内総務、院内幹事、委員会委員長などであるべきなのですが、ともすれば議会人・政党人も「とにかく政府要人に会いたい」という意向が強く、政党間・議会間の関係構築がここ数年やや疎かになっていたように思います。
 総理と大統領、外務大臣と国務長官、防衛大臣と国防長官といった政府のラインと並行して、議会・政党のラインも確立しておくことが必要と考えた次第です。
 多くの方々のご協力を頂き、カーディン上院外交委東アジア太平洋小委員長、ベイナー下院議長、カンター下院共和党院内総務、ホイヤー下院民主党院内幹事をはじめとする多くの議会要人と20件以上の会談をすることが出来ましたのに加え、バイデン副大統領、ヘーゲル国防長官などの政府関係者とも会談して参りました。
 最後の二日間はボストンに移動し、海軍大学の教官やエズラ・ヴォーゲル教授など多くの有識者および日米協会の関係者の方々と意見交換の機会を持ち、極めて有意義な日々を過ごすことが出来ました。
 関係して下さったすべての皆様に厚く御礼申し上げます。

 連休も終わり、いよいよ集団的自衛権行使容認に向けた本格的な議論が始まります。
 個別的自衛権や警察権で対応可能、との見解には傾聴すべき点も多々ありますが、今後国際法的な観点も含め、詳細な協議、調整が必要です。

 連休明けで、一度に多くの案件が押し寄せてしまい、今回は本欄を十分かつ推敲を重ねて書く時間がとれません。何卒ご容赦くださいませ。

 土曜日は地元、日曜日は自民党茨城県連の政経セミナーに出席の予定です。
 皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

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