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2014年7月25日 (金)

「三四郎」など

 石破 茂 です。
 滋賀県知事選挙敗戦の総括、福島・沖縄知事選挙への対応、概算要求基準の決定、各省庁幹部人事異動の挨拶受け、党本部で開催される各種研修会での講演など、国会閉会中もその日その日の日程に追われる毎日が続きます。
 一・二期生の頃は国会が閉幕するとひたすら地元での挨拶回りや国会報告会をこなすとともに、自民党青年局や議員連盟の海外視察に何度か出かけたものですが、今は全くそのような余裕がありません。
 党本部に設置されている「幹部在室表示灯」に「幹事長」の在室ランプだけが灯っている時は、この仕事は一体何なんだろうね、と思ってしまいますが、休会中は党所属議員たちが心おきなく各地での仕事に集中できるための留守居役に徹するのも、与えられた役割の一つなのでしょうね。

 世界各地で航空機の事故や事件が頻発しています。
 マレーシア航空機の事件はいかに冷静に、客観的に真相を究明するかにかかっており、取り扱いを一歩間違えると極めて深刻な事態になりかねません。昭和58年、中曽根内閣時に発生した大韓航空機撃墜事件は、日本がリスク覚悟で電波情報を開示したことによりソ連は言い訳の効かない立場に追い込まれたのですが、高性能地対空ミサイルが使用された今回、そのようなことは期待できそうにもありません。
 種類にもよりますが、地対空ミサイルはそう簡単に入手できるものでも使いこなせるものでもない代物なのですから、その特定が一つのカギとなるようにも思われます。

 夏になると、戦争や軍事に関する議論があちらこちらで交わされ、特集番組やドラマが放映される機会も多くなります。
 私は見逃してしまったのですが、2009年8月に放映されたNHKスペシャル「日本海軍400時間の証言」は秀逸な番組であったようです(NHKの報道姿勢には時折「?」と思わされるものもありますが、視聴率にとらわれない優れた番組を作る局でもあります)。
 これを単行本化したものが2011年に新潮社から出版されており、この夏暇を作って是非読んでみたいと思っています。「陸軍は暴力犯。海軍は知能犯。いずれも国あるを忘れていた。開戦へと突き進んだ舞台裏、特攻作戦が生み出された真相、東京裁判での隠蔽工作の実態。門外不出を条件に密かに行われていた大戦の検証」、表現の妥当性はともかくも、帯にはそう書かれています。
 国家の命により戦地に赴き散華されたことの尊さは、戦争の勝ち負けや是非に関わらず決して変わるべきではありません。しかし同時に、何故敗戦必至と最初からわかっていた戦争に突入し、大勢の命が失われる結果となったのかについての検証も怠ってはならず、これを次代に引き継いでいかなくてはなりません。

 集団的自衛権行使容認を含む法制整備に限らず、安全保障論議においては戦史についての幅広い知識が不可欠です。不覚にも私はこれを読んでもいなかったのですが、一年間で11刷になっているところをみると相当に多くの人々が読んでいるのでしょう。活字離れ、と言われる現代にあって、そのことに一種の安堵感を感じるとともに、世の中には自分の知らないことがいかに多いかを思い知らされます。

 先日、「週刊文春」から「40歳にして読む夏目漱石」という特集記事の取材を受けました。
 多くの漱石の著作の中から一冊だけを挙げるのはとても難しく、「こころ」にしようか、「草枕」にしようか、はたまた「虞美人草」もいいかな…と悩んだのですが、結局「三四郎」をお勧めの一冊としました。
 勿論、成年日本人のほとんどが一度は読んでいる作品でしょうが、何度読み返してもその都度新鮮な思いがする名作です。廣田先生の口を借りて語られる漱石の社会批評、文明論、日本論は今の時代にもそのまま通用する不滅のもので、「坊ちゃん」で論じられている教育論もまた同様です。
 亡父が生前「漱石と鴎外さえ読めばあとは何も読まなくてよい」と言っていたことをふと思い出しました。

 週末は選挙区に帰って各種行事にいくつか顔を出す予定です。
 関東地方も梅雨明けし、昼は酷暑、夕方は雷雨という日々が続いています。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2014年7月19日 (土)

イシバチャンネル第四十六弾

 事務局です。

 イシバチャンネル第四十六弾をアップロードしました。


 ぜひご覧ください。

 追伸:質問は随時受付中です。

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2014年7月18日 (金)

滋賀県知事選の反省など

 石破 茂 です。

 滋賀県知事選挙は本当に大勢の皆様のお世話様になりながら、勝利を得ることが出来ませんでした。ご支援いただいた皆様に、厚く御礼を申し上げますとともに、深くお詫び致します。
 当方候補者の知名度不足と選挙巧者の相手陣営、都議会や衆議院総務委員会における自民党議員の不規則発言、閣僚の失言、集団的自衛権行使容認の閣議決定に対する批判などなど、不利な要素は山積していたのですが、そのようなことを言い訳にしてもどうにもなりません。それらを承知の上で、それでもなお勝つのが選挙責任者たる私に与えられたミッションなのであって、僅差とは言え敗北の事実を真摯に、厳粛に受け止めて今後の糧にしていかなくてはなりません。

 議員になって二十八年、様々な選挙を手掛けてきましたが、告示前の相当のリードを選挙中に逆転されたのはこれが初めてです。
 「選挙は告示の時には事実上終わっているのであって、告示前にあらゆる努力を傾注しなくてはならない」、多分に戒めの要素があるとはいえ、我々はそう教わってきたのですが、今回はその例外の選挙でした。告示前、告示当日、選挙終盤と私も計四回滋賀県に入り、考えられる限りのことを自分なりに尽くしたつもりですが、どこかに足らざるところがあったとしか言いようがありません。今後の福島、沖縄の知事選挙、統一地方選挙を控えて態勢を早急に立て直さなくてはならないと思っております。

 集団的自衛権をめぐって様々な議論がありますが、どうにもよく理解できないのは、「閣議決定をするなら国会で議論を尽くした後にすべき」「憲法の番人である内閣法制局を蔑にすることは許せない」「内閣が憲法解釈を変えることは立憲主義に反する」などという、三権分立を理解していないとしか思えない摩訶不思議な議論です。「日本国憲法を護れ!」と強く主張される方々にこのような議論をされる方が多いのはどういうわけなのでしょうか。
 立法府たる国会の役割は提出された法律案を審議することなのであって、その法案作成の前段階たる閣議決定の内容を国会で議論するというのはあり得ないことです。具体的な法律案審議になって初めて、政府は明快な答弁が出来る立場に立てるものです。
 内閣法制局はその設置法にある通り「内閣に意見する」ことがその役割であり、あくまで政府の一部局でしかありません。強いて言うなら「内閣の弁護士」とでも言うべき存在であり、「憲法の番人」は最高裁の役割です。
 最高裁が統治行為論で憲法判断を回避することがあったとしても、それを内閣の一部局に求めることは誤りであると考えます。

 立憲主義とは内閣の憲法解釈の変更を否定するものではなく(もちろん憲法遵守義務を前提としますが)、三権分立において、主権者たる国民のもと、司法、立法、行政がそれぞれにチェック機能を有効に働かせることをも、その内容とするものだと考えております。

 さらには、日頃「国連中心主義」を主張される方々がこの問題を語るときに「国連創設時に国連憲章に何故集団的自衛権がわざわざ明文で定められたのか」について一切触れないのも誠に妙に感じられます。

 いずれにせよ、集団的自衛権についてはもっと根本論から丁寧に説明し、これが抑止力の維持向上に寄与するものであることをよくご理解いただかなくてはなりません。そのために自民党として努力を惜しむことが決してあってはならないと痛感しています。

 週末は三連休の方も多いかと思います。
 私はこの数カ月、処理できなかった内部の案件処理や資料の読み込みにこの三日間を充てたいと思っております。

 天候不順の折、お休みの方も、お休みなく働かれる方も、どうかお元気でお過ごしくださいませ。
 

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2014年7月11日 (金)

滋賀入りなど

 石破 茂 です。

 只今、明後日に投票が迫った滋賀県知事選挙の支援で、三回目の滋賀県入りをしています。
 街頭演説はこやり候補本人に任せて、私はただひたすら支持拡大のため、滋賀県内の知人など一人でも多くの方にお会いしてお願いをしております。
 考えられるあらゆることをやり尽くして結果を待つのが選挙というものだと思っております。

 発売中の文藝春秋の8月号に「選挙の神様・角栄が挑んだ史上最大の作戦」という記事が載っていますが、改めて選挙のあり方を考えさせられます。

 今日は滋賀からそのまま夕方に香川に入り、自民党香川県連政経セミナーで講演。
 明日は新潟県連、明後日は東京都新宿支部の政経セミナーに出席します。

 台風等による被災地の皆様にお見舞いを申し上げ、今回は簡略にて失礼致します。
 良い週末をお過ごし下さいませ。

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2014年7月 8日 (火)

マンガで読む国防入門 [Kindle版]

 事務局です

 インプレスさんから「マンガで読む国防入門 [Kindle版]」 をリリースさせていただきました。

 是非ご一読ください



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マンガで読む国防入門 (impress QuickBooks) [Kindle版]

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2014年7月 4日 (金)

滋賀県知事選、弘兼憲史作品など

 石破 茂 です。

 通常国会が会期通りに閉幕した後は、集団的自衛権行使容認の閣議決定、7月13日投票の滋賀県知事選挙対策、11月に予定されている沖縄県知事対応に加えて、今日は名古屋、明日は青森、岩手、明後日は香川、月曜日は北海道、と各地の党支部や議員の催しでの講演等に追われて、国会開会中以上の過密なスケジュールとなっております。
 特に滋賀県は、相手候補のパフォーマンスに有権者が反応する可能性があること、都議会や閣僚の発言によるダメージがあること、閣議決定に対する一部報道の強い批判があることなどが懸念され、当方としてはこれらに対する誠意ある対応を地道にしていかなくてはなりません。いかなる困難な条件であったとしても、それを乗り越えていかなくては本当の選挙とは言えません。厳しい戦いに勝ってこそ真の力なのだと言い聞かせつつ、残り期間全力を尽くします。

 集団的自衛権についてのご意見を多く頂いております。これまでの私の著作、ブログ、新聞・雑誌記事などお読みいただければと思います。早めに「Q&A」方式のものを作成したいと思ってはいますが、この問題をそう簡単にそのような形式でまとめてしまうことには少し無理があるのかも知れません。移動時間にでも精一杯考えてみます。

 「島耕作シリーズ」で有名な漫画家、弘兼憲史氏が漫画家生活40周年を迎えられたとのことで先日雑誌社からインタビューを受けました。これを受けるに当たり、久しぶりに弘兼氏のもう一つの代表作である「加治隆介の議」をざっと読み返してみたのですが、10数年前の作品でありながら今日に通じるテーマが数多くあり、改めて共感を持って読んだことでした。ラストでは総理大臣となった加治隆介が初の施政方針演説で集団的自衛権行使の必要性を訴えるのですが、その他にも政治改革、警察権と自衛権、核抑止力、北朝鮮問題、文民統制、マスコミ報道のあり方など、今でも学ばされることの多い作品です。全20巻、中古本でも比較的容易に入手可能かと思います。ご一読をお勧めいたします。

 週末日程は冒頭書いた通りです。日曜日午前9時から日曜討論(NHK)に出演の予定です。与党二党対野党八党、というよくわからない混乱した討論になることを懸念しますが、心して臨みます。

 各地で豪雨災害が報ぜられています。お気をつけて、お元気でお過ごしくださいませ。

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