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2014年10月31日 (金)

宮中晩餐会など

 石破 茂 です。
 国会審議も正常に復し、審議が少しずつ進んでいます。
 今国会は「地方創生国会」のはずであったのが、いつの間にか「政治とカネ」国会の様相を呈していますが、野党側にもさまざまな問題が発覚し、さながら消耗戦のようにもなりつつあります。
 内閣支持率・自民党支持率は微減、朝日新聞などでは微増となっており、国民・有権者は極めて冷静に物事を判断しているように思われます。
 これらの問題の背景には、公職選挙法の解釈・運用が各地の選挙管理委員会によってかなり曖昧になされており、何がセーフで何がアウトなのか判然としない、ということがあるように思われます。
 本質は「票をカネで買ってはならない」「政策決定がカネで左右されてはならない」「政治を利用して私財を蓄えてはならない」という点にあるのであって、その観点から統一的な見解が示されるのが望ましいのでしょう。

 今週あるBS番組に出演していた際、「あなたは政治資金報告書を全部チェックしていますか?」と言う問いを受けたのですが、領収書の一枚一枚に至るまですべて子細に議員本人が見ることは相当に困難なのであって、信頼するスタッフに細かい作業は任せる、というのが実態なのではないでしょうか。
 勿論できる限りの努力はすべきですし、スタッフは政治家と一体なのですから、何らかの疑義を持たれた時には政治家自らが説明責任を果たすべき、ということなのだと思います。

 地方創生のために様々な手法が講ぜられなくてはなりませんが、その一つが海外からの地方への投資促進です。日本に対する海外からの対内直接投資GDP比は世界199か国中196位、197位以下はネパール、アンゴラ、ブルンジという状況で、そのうちの七割が東京に偏在しています。
 医療、介護、観光など地方には外資誘致の潜在的なニーズがあるものと考えており、病床規制の緩和など国家戦略特区を活用して地方への投資を促進したいと思います。

 衆議院での創生法案審議は、地方公聴会、参考人質疑も終えて最終段階に入っています。
 質問者の方からの質問通告があるのが前日夕刻、ほぼ徹夜で官僚諸兄姉が答弁を書き、仕上がるのが早暁、その後議員宿舎に答弁案が届き、閣僚がそれに目を通して朝七時ごろから確認作業を行い、九時から委員会、というのがどの委員会においても共通の流れのようですが、せめてもう一日早く質問が出るようになればもっと充実した審議が出来るようになるのではないかと思われてなりません。
 これは十二年前に防衛庁長官を拝命した時からずっと思っていることであり、与野党の申し合わせにもなっていたはずで、私が野党時代に質問に立つときにはそのように心掛けていたつもりですが、なかなか全部は改まりません。国会における質疑が重要であればこそ、もう一度考えてみる必要があります。

 ウィレム・アレキサンダー オランダ国王・王妃両陛下が来日され、29日宮中において歓迎式典、宮中晩餐会が開催されました。皇室・王室を戴く国家の有り難さをしみじみと思ったことでした。
 宮中晩餐会は年に数回、国賓をお迎えした際に開催されるもので、衆参正副議長、閣僚、その国に縁の深い人などが百五十人前後招かれます。
 私も今まで数回お招きに預かったのですが、出席者の間でその都度話題になるのがドレスコードです。
 前回は確か麻生内閣のとき、スペイン国王・王妃両陛下をお迎えした際だったと思うのですが、その時は「タキシード着用のこと」、それが今回は「燕尾服着用のこと」となっていて、「タキシードと燕尾服は一体何が違うのか?」「どんな基準でドレスコードは決められるのか?」「貸衣装とオーダーするのとどちらが良いか?」などという会話があちこちで交わされることとなりました。
 日頃縁のない世界とは、ことほど左様に難しいものですね。

 週末は、11月1日土曜日は日米知的交流共同研究プログラム事業である「富士山会合」にて講演と座談会。
 2日日曜日は札幌市で開催されるNPO法人北海道グラウンドワーク主催の講演・対談の後、旭川市での市長選挙支援のための街頭演説、選挙関係の諸集会に出席、という日程となっております。

 もう今日で十月も終わりですね。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2014年10月24日 (金)

「霞が関文学」など

 石破 茂 です。

 仕事柄、毎朝全紙に目を通すのですが、本論を展開した上で、「ただ」と繋いで別の論を紹介し、「成り行きが注目される」「今後議論を呼ぶ可能性がある」と締め括る構成が多く見られます。
 公平・公正を期すため両論を紹介するのは当然だ、ということなのでしょうが、この「ただ」という言い方が気になって仕方がありません。
 なるべく自分は使わないように気を付けているのですが、時々使ってしまい、反省することがあります。政治家であれ、マスコミであれ、自分は何を言いたいのかをもっと明確にする話法が必要ですね。

 久しぶりに政府に入って、委員会のための想定応答要領を読むようになったのですが、官僚諸氏の作成する文章の中には、何が言いたいのか「よくわからないように」委曲を尽くしてあるようなものが見受けられます。このような「霞が関文学」ばかりだと、委員会質疑を充実させるに資するとは言い難くなってしまいます。

 防衛省や農水省に居た時も、「答弁は裁判の判決文と同じように、まず結論を先に書いて、その後論理を展開する構成にして貰いたい」と随分言ったものですが、なかなか文化は変わらないようです。
 それでもまだ委員会であれば、その場での多少のアドリブが効くのですが、これが本会議となると、時間の制約もあって書かれたものをそのまま読むという誠につまらないことになってしまいます。
 本会議で答弁書を読んでいると、時折野党席から「よくわからないぞ!」との野次が飛んできますが、よくわからないのは民主党政権時代も同様でした。
 「霞が関文学」から脱した「永田町文学(?)」を作るのは与野党共通の政治家の責任です。決して容易なことではありませんが、これを真剣に考えなければ国会論戦の形骸化が進み、政策以外の「わかりやすいネタ」ばかりがクローズアップされることになってしまうのではないかと危惧しています。

 経済産業、法務の女性二閣僚が辞任し、国会は変則的な運営となっています。
 政党同士で競い、有権者が政権を選択する、という小選挙区制の導入により、選挙や日常活動にかかる資金は中選挙区制の時よりも格段に少なくなりました。
 中選挙区制の下では「五当四落(五億円使えば当選するが四億円では落選)」ということがまことしやかに言われ、実際の感覚もそれに近かったように思います。小選挙区制、公費助成、公職選挙法の改正という三点セットの導入・施行により、選挙のスタイルも、資金のかけ方も劇的に変化したと感じています。
 団扇問題や観劇問題の真相は知る立場にもありませんが、そのような手段によらなくとも議席を獲得できたはずなのであり、残念かつ不可解な思いが致します。

 週末は久しぶりに選挙区に帰り、行事参加、街頭演説などの政務をこなします。
 26日日曜日、「時事放談」(TBS系・午前六時・収録)に出演の予定です。

 朝晩には寒さを感じるようになりました。お元気でお過ごしくださいませ。

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2014年10月17日 (金)

「まーご」の他界など

 石破 茂 です。
 地方創生を担当するようになって以来、毎日(本当に毎日、です)多くのご提案をお寄せ頂いております。このテーマに関心を持ち、それぞれの現場で懸命に取り組んでおられる方がいかに多いかを実感致しております。
 これが永田町や霞が関を動かす大きな力になれば世の中は随分と変わるはずです。
 
 所謂「ローカル・アベノミクス」なるものは対語である「グローバル・アベノミクス」とは全く趣の異なったものであって、言葉のみが先行することなく、その概念をまず提示することが先決です。
 地域経済がいかに公共依存体質を脱し、「自ら考え、自ら行う」体質に変貌しうるかが問われています。
 そう言うと必ず「格差が更に拡大するのではないか」との定型的な反論がありますが、なぜそのように決めつけるのでしょうか。「バラマキは駄目だ」と言いながら、一方で「『選択と集中』はまかりならん」と言うのでは、一体何が言いたいのか、さっぱりわかりません。
 地方には、具体的な計画を自ら立案した上で政府に対し要望を行い、自らその効果を検証して有権者・住民にこれを提供することが求められます。中央政府の側は、その地方の努力を効果あらしめるためのデータやノウハウを提供し、人材を派遣するとともに(これは官僚に限りません)、これに相応しいよう補助金や交付税のシステムを改変することが求められます。
 田中角栄内閣の「日本列島改造」、竹下登内閣の「ふるさと創生」はそれぞれ優れた理念を持ちながらも、オイルショック、プラザ合意という外的要因によって完成することなく終わりました。
 更にその度を高めるグローバル経済の中にあって、極力外的要因に影響されることのない経済を作ることはどれほど可能なのか、藻谷浩介氏の「里山資本主義」を読みながら、そんなことを考えました。

 与野党間に政策的な対立点が無く、国会の政策論戦は今一つ精彩を欠いているように思われる半面、それ以外の要因によって国会に波風が立ちつつあります。
 政府・与党として真摯な説明責任を果たす努力をなお一層心しなければならないと自重自戒しています。
 
 不気味な広がりを見せているエボラ出血熱に日本はどのような働きを為すべきなのか、現在の所管とはかかわりがありませんが、良く考えねばなりません。

 田勢康弘氏の「週刊ニュース新書」(テレビ東京系)に出演していたアイドル猫の「まーご」が他界しました。飼育係の人がお世話をしていた時に急性心不全で急逝したとか。享年八歳、人間でいえば五十歳前後なのだそうで、随分と早く亡くなってしまったなと、残念でなりません。
 共演(?)回数は私が一番多かったそうで、テレビ東京の方からご連絡を頂いて、弔電を手配致しました。
 政治に関する討論が交わされているスタジオ内を、われ関せず、といった感じで悠然と歩き廻り、時には爆睡してしまう様はあたかも「冷徹な観察者(猫)」のようでしたが、猫にとってテレビ出演は大きなストレスだったのかも知れませんね。御霊の安らかならんことを祈ります。

 週末は18日土曜日に広島市、尾道市においていくつかの政務日程が入っております。それぞれの地域において懸命に努力しておられる方々の思いには出来るだけお応えしたいと考えております。

 日一日と秋が深まります。寒さの到来も間近、皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2014年10月13日 (月)

10月11日中野区にお伺いした時の様子です。

 事務局です。
10月11日(土)、「中野北口にぎわい祭り 地方創生大物産展」 (東京都中野区)にお伺いした時の様子です。

鳥取県のゆるキャラ、トリピーと一緒に。

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2014年10月10日 (金)

予算委質疑など

 石破 茂 です。

 昭和39年の東京オリンピックから丁度50年。「あれから半世紀が経ったのか!」、あの時を体感された方はそれぞれの感慨を抱かれていることと思います。
 昭和32年生まれの私は鳥取の小学2年生、聖火ランナーが走る県庁近くの沿道で日の丸の小旗を懸命に振ったときのことを鮮明に覚えています。白黒テレビで観た女子バレーや円谷選手が最後にヒートリー選手に抜かれて銅メダルとなった男子マラソン、そして何故か閉会式の場面が妙にカジュアルであったことが強く印象に残っています。

 「東京タワー、東海道新幹線、東京五輪」という高度経済成長三点セットは、五十年の時を経て「東京スカイツリー、リニアモーターカー、二度目の東京五輪」に姿を変えましたが、これでは発想的にあまり変わっていないのではないか、との批判は、ある意味当たっているのかも知れません。
 日本を取り巻く内外の情勢が全く変わってしまっている今、地方創生をテーマとして国の在り方そのものを見直していくことが必要であり、そうでなければ総理の言う「異次元の取り組み」にはなりません。
 国と地方の関係も、「縦割り排除」「バラマキ阻止」などとあれこれ批判はあるものの、それなりにカンファタブルな面も多々あったので連綿と続いてきたような気もしています。
 今はまだ総論段階ですのでそれほどの抵抗はありませんが、各論になれば異論続出となることが容易に想像され、こちらも相当の理論を身に着けなければなりませんし、国民世論の後押し無くしてとても成就するものではありません。

 衆・参両院で予算委員会での質疑が終わりましたが、「団扇問題」「懇ろ発言」ばかりがクローズアップされ、いまひとつ盛り上がりに欠けたような印象を受けたのは私だけでしょうか。
 所謂「地方創生」の具体策については設置された特別委員会で議論されることになるのでしょうし、地方創生法案をこれから審議していただく政府の立場からは、政府部内の調整もあってあまり具体的な発言は出来ませんが、特に野党側から思い切った斬新な提案があればもっとよかったのではないかと思われます。
 もともとこのテーマに与野党対立があるとも思えませんし、委員会に於ける闊達な議論を期待しております。

 産経新聞の前ソウル支局長が在宅起訴された件を巡り、「言論の自由の弾圧は許せない」といった論評が多くみられます。従軍慰安婦についての韓国最高裁の判決の際にも思ったのですが、民主主義の発展段階にある韓国においては、権力の相互監視機能や権力と言論との関係がいまだによく整理・理解されていないように感じられます。産経記者の在宅起訴というのは明らかに行き過ぎであり、日本政府の立場は既に明らかになっている通りです。
 「新聞なき政府か、政府なき新聞かと言われれば私は躊躇なく後者を選ぶ」と述べたのはトーマス・ジェファソンだそうですが(もっとも彼は後に「新聞を読まない人は読む人より真実に近い」とも述べています)、そのような二者択一的な極端な話ではなく、政府であれ報道であれ、強い権力や影響力を持つ立場にある者は、その立場にあるからこそ「報道の自由の保障」を大前提とした上で、すべからく己を顧みる姿勢で事に当たるべきと考えております。
 このテーマは、「権力対報道」という図式で語られることが多いのですが、主権者たる国民の視点が加味されてしかるべきです。透明性・公正性を持った政府の情報公開の徹底、政府を選択する国民に対する報道の情報提供のあり方、仮に誤った情報であっても提供そのものはあくまで保障されるべきですが、誤りが明らかとなった場合、その訂正の手法など、「健全な民主主義に健全な報道は欠かせない」ということの持つ意味を、私自身もう一度熟慮したいと思っています。

 週末は本日金曜日夕刻に大阪での公明党・伊佐進一衆議院議員の会で挨拶。
 11日土曜日は「ウェークアップ!ぶらす」(午前8時・読売テレビ)に出演した後、東京・中野駅前で開かれる「地方創生物産展」開会式に出席。
 13日は徳島新聞のシンポジウムに東京から参加する予定です。

 連休の方も、連休にも拘らずお仕事の方も、どうかお元気でお過ごしくださいませ。

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2014年10月 3日 (金)

「地方創生国会」など

 石破 茂 です。

 臨時国会が始まり、衆参本会議、予算委員会の質疑が続いています。
 地方創生国会、とも言われていますが、このテーマに与野党の別はなく、闊達かつ建設的な議論を期待したいところです。野党のご提案でも、参考にすべきものは充分に取り上げさせていただきたいと思っています。
 連綿と続いてきた補助金や地方交付税という仕組みを見直すのは決して容易なことではありませんし、かつての国土庁的官庁を行革で整理統合したことは、行革の理念自体は正しかったとしても、ノウハウの伝承的見地からも将来再検討の余地があるのかも知れません。これは防災行政についても同様のような気がしております。

 御岳山噴火で亡くなられた方々の御霊の安らかならんことと、負傷された方々のご回復を祈ります。
 活火山である富士山は、この3200年間で百回噴火しており、三十年に一回の計算になるそうです。宝永噴火以来300年以上噴火していないのですから、いつ何があってもおかしくありません。研究・対策に万全を期す必要がありそうです。

 朝日新聞「証人喚問」について言及されるご意見がありますが、幹事長在任時に「朝日新聞幹部を国会に証人喚問すべし」との発言をした事実はありません。どうぞご確認ください。
 招致するとすれば証人ではなく参考人としてですし、この種のことはまず現場の国会の委員会(予算委員会、外務委員会、議院運営委員会など)で提起され、与野党の議論を経て決定されるものであって、民間人を対象とする場合には尚更厳格な手続きが求められます。
 朝日新聞の姿勢については、私自身どうにも釈然としないところが多々あります。「お詫び」が読者に対してだけというのも、いかがなものかと思われてなりませんが、民主主義の手続きは常に厳正に踏まれなくてはならないと思っております。

 今週は国会日程の合間でしたが、「今野党を問う」をメインとした中央公論の十月号はなかなか面白く読みました。この雑誌にしては珍しい「50代男性のここが気になる!」と題した壇蜜女史と酒井順子氏の対談は出色の出来であるように思います。同年代の諸兄、ご一読を。

 週末は四日土曜日に自民党徳島県支部連合会定期大会で講演、その後同県連政経文化パーティに出席します。
 季節の変わり目で、私も少し体調を崩したかもしれません。皆様ご自愛の上、お元気でお過ごしくださいませ。

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