解散後など
石破 茂 です。
解散から一週間。突然の解散であったため、候補者たちは挨拶回り、事務所探し、ポスター撮影、政見放送制作、スタッフ確保などに忙殺されているようです。
この週末から動きが本格化し、投票日前日まで全国遊説が続きます。告示を来週火曜日に控え、国会周辺は議事堂も、議員会館も閑散としてきました。前議員たちも、秘書さんたちもほとんどが選挙区入りしているのでしょう、閉めてしまった事務所も多く、食堂もガラガラ状態です。
ここ何回か、解散後も公務や党務、東京近隣の応援などで在京の時間が多いのですが、なんだかとても妙な気分です。
期数が少なかったころのように、解散後直ちに選挙区へ帰って、告示までは一軒一軒回って、自らマイクを持って広報車を走らせ、聴衆が誰も居なくても街頭演説を繰り返す。あのような丁寧な運動を本来するべきですし、私自身今もそうしたくてたまらないのですが、なかなかそうもいきません。
これも留守を預かってくれている家族やスタッフ、「地元のことは私らがちゃんとやるけえ(やるので)、国の仕事や他の人の応援をしっかりやりんさいよ(やりなさいよ)」と言って下さる、有り難い鳥取の後援者の皆様のお蔭です。本当に心から感謝しております。
一昨年暮れの総選挙、昨年の参院選挙に続く今回の総選挙で、二年の間に三回の国政選挙を国民にお願いすることになりました。
一昨年に政権交代を果たし、昨年に衆参の捩れを解消して、「今後三年間は国政選挙の無い『黄金の三年間』を安倍首相は手に入れた」とマスコミはこぞって書いていました。そして「今回の解散に大義は無い」と批判しているマスコミの多くは、政府が集団的自衛権の行使を限定的に容認した際に、「このような重大な変更をするなら国民に信を問うべきだ」と主張していたとも記憶します。
しかしながら世論に疑問の声があるのであればなおさら、解散の意義を有権者に丁寧に説明するのは我々政権与党を構成する一人一人の責任です。
アベノミクスの重要な要素である「大胆な金融緩和」は「健全な財政の持続可能性」が前提条件なのであり、消費税率引き上げの先送りとこれをどう整合させるのか、社会保障の改革をどのように行うのかを、すべての責任を総裁や党執行部に押し付けることなく、候補者は自分の言葉で述べなくてはなりません。
社会保障の多くは保険で成り立っており、リスクを回避した人にまで手当てが及ぶのはもはや保険ではなく贈与の世界であって、財政の悪化は避けられません。自民党が野党時代に改定した党綱領で示した「自助・共助・公助のバランスのとれた国を目指す」というのはそういう意味であったと私は思います。
多くの議論があることはよく承知をしていますが、先日、ある私の講演後の質疑応答で、子沢山で長寿の町である鹿児島県徳之島・伊仙町の町長さんが語っておられた「高齢者対策の費用の一部を子育て対策に廻すことを率直に語り、多くの町民が理解してくれた」との言葉の深さと重さに、深い感銘を受けたことでした。
国政選挙はあらゆる政策につき国民に信を問うのであり、候補者は外交や安全保障についても、きちんと自分の言葉で語るべきです。その研鑽をこの二年、どれほど積んできたかも問われます。
前回の総選挙直後から感じていることですが、小選挙区制度の特性により、自民党は小選挙区において、43%の得票率で約8割の議席を得、全国平均の投票率が全国で約60%であったことを勘案すると、全有権者の四分の一の支持しか受けていないというのが実態です。我々はこのことを等閑視すべきではありません。
いかにして投票率を上げ、我が党の得票率を伸ばすか。困難な状況の中で、この目標に向けて努力を重ねていきたいと思っております。
今週の週刊文春に漫画家・瀧波ユカリ女史と私との「オヤジかるた発売記念異色対談」なるものが掲載されています。どうもよくわからない世界ですが、「可愛いオヤジ代表」と言われても…なんだかなあ…という感じです。世の中いろいろ、ですね。
来週火曜日より選挙に入りますので、本欄の更新時期が不定期となりますことをご容赦ください。
週末は29日土曜日が栃木県と宮城県、30日日曜日は埼玉県各地を回ります。
師走も間近、急に寒さが増してきました。皆様お元気でお過ごしくださいませ。
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