« 2015年5月 | トップページ | 2015年7月 »

2015年6月26日 (金)

大幅会期延長など

 石破 茂 です。

 国会会期は史上最長の延長幅となり、9月27日までとなりました。
 法律案を参議院に送付して60日を経てもなお議決されないときは、否決されたものとみなして、衆議院の3分の2の議決をもって成立させることができる(憲法第59条第4項)、という所謂「60日ルール」の適用を視野に入れたものだ、との憶測がありますが、最終の対応は政府・与党の最高幹部が決めることであるにせよ、最初からそのようなことを視野に入れているとはとても思えません。
 党執行部が述べているように「あくまで慎重審議を尽くして国民の理解を得るために会期を延長する」という言葉は額面通りに受け止めるべきですし、世論調査の数字が「国民の理解が深まった」ことを示すようになるために、我々政府・与党はさらなる努力を重ねなくてはなりません。

 報道によれば、昨日自民党有志議員が集まって勉強会を開き、「マスコミを懲らしめるためには経済界に圧力をかけるべき」「沖縄の新聞は潰さなくてはならない」などの発言があったとか。他方「ハト派」と称される議員たちの勉強会は、講師の選定に時期的に問題があったとかで中止になった、とも報ぜられています。

 党内における言論は自由であり、それを弾圧すべきではありませんし、決まったからにはそれに従うのが自民党です。自分の今までの議員生活を振り返ってみて、特に若い頃は党に逆らっていたことのほうが多かったようにも思います。「元気があってよろしい、俺も若い頃はさんざんやったものだ」と梶山静六先生から言われた昔のことをふと思い出しました。

 一方で、いかなる言論も自由であるのが自民党の良いところだとしても、権力をお預かりしている政権党である以上、国民に「傲慢だ」「驕りだ」と受け取られるような姿勢を報道に発信されてしまうことには、報道が「切り取り」をすることも含めて、極力気をつけなくてはならないのでしょう。
 すべては、安保法制の国民の理解を促進することに少しでもプラスになるように、との思いで、政権も与党もあたっていくべきものだと考えます。「権力は努めて抑制的に使わなくてはならない」という教えを、私自身噛みしめています。

 
 移住政策に対する「姥捨て山反対!」的な過剰反応は少し収まったようにも思いますが、「大都市近郊に今持っている住宅をどう活用するのか」「地方においてどのように収入を得るのか」等々、解決策を提示しなくてはこの先、前には進みません。
 特に住宅政策は「リフォームよりも新築奨励」「住宅は恒久財ではなく耐久消費財で、築三十年を経たらほとんど無価値」という日本的な在り方を見直す必要があります。
 今週、増田寛也氏、森富山市長と出演したBSフジの「プライムニュース」はとても良い勉強になりました。

 週末は、本日これから空路富山まで移動し、地元関係者の方々との夕食会。
 27日土曜日が「ささ郷ほたる交流館」での地区住民・移住者との意見交換会、「富山県石破茂を護る会」総会(富山県下新川郡朝日町)、富山県知事・県議との意見交換会、富山県西部首長、商工会議所会頭との懇談、富山県西部産業開発協議会講演会にて講演(富山県高岡市)、富山スマートアグリ次世代施設園芸拠点視察(富山市内)。
 28日日曜日が自民党鳥取県連総務会(10時・米子市)、八頭町地方創生フォーラムにて講演(14時・八頭町)、石破茂中私都後援会総会(17時・同)、という日程です。

 もう来週は七月なのですね。一学期の期末試験の準備に追われていた小・中学生の頃の七月初頭を懐かしく思い出します。
 「これが終わればプール開きだ!臨海学校だ!夏休みだ!」本当にあの頃は楽しかったですね…最近は夏休みのプール解放も、臨海学校もめっきり少なくなってしまったようですが。
 
 今回も懐古調となってしまいました。皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

| | コメント (66) | トラックバック (0)

2015年6月19日 (金)

会期延長など

 石破 茂 です。

 地方創生関連法案のうち、地域再生法の改正案、地方分権関連法案は昨日の参議院消費者・地方特別委員会にて可決され、本日の本会議にて成立致しました。
 参議院においては特区関連法を内閣委員会で審議することになっているため、会期内にすべて成立するかどうか微妙な情勢となっています。恐らく会期は延長となるのでしょうが、早期成立のためもう少し努力が必要です。
 
 参議院における私が所掌する法案の審議は比較的平穏で、有り難いことだと思っております。
 会派が多いため、質問者一人あたりの時間が短くて議論が深まらないままに終わってしまうことがあるのは残念ですが、まだまだ今後議論の機会はあるのですから、こちらも十分に準備を重ねたいと思います。
 特に地域における公共交通のあり方は、コンパクトビレッジやコンパクトシティを成功させるための重要な鍵となるもので、ドイツやフランスの例もよく研究して解を出したいと思っています(この点につき、「地域再生の戦略 交通まちづくりというアプローチ」宇都宮浄人著・ちくま新書 は示唆に富んだ書です)。

  「本来保守的な社会にあっては、悲痛や憤怒の念が強い主張よりも、抑制された、静かな主張のほうがより説得力を持つのである」
 情緒的・条件反射的なご主張に接するたび、高校生の頃に読んだ故・フルブライト元米国上院外交委員長のこの言葉を思い出します。
 「安全保障法案は戦争法案だ!」「CCRC構想は地方に『姥捨て山』をつくるものだ!」「農地課税の見直しは許せない!」などという論は、当方の説明不足もあるのかもしれませんが、制度や構想の本来の趣旨をよくご理解されたうえでご発言いただきたいものです。
 反対の結論は同じでも、よくよくお考えの上でのご議論には当方も啓発されることが多く、とても参考になるのですが、ただ罵詈雑言を投げつけられただけではどうしようもありません。

 新聞紙上には「政府・与党9月まで会期を延長」などという観測記事が載っていますが、見通しがよくわかりません。世論的にも、学説的にも「憲法違反の安全保障法制」というような流れが形成されつつあるようで、会期を延長したとして、これを挽回するにはどうすればよいのか、担当大臣ならずとも思案せざるをえません。
 わが党所属の議員が、積極的に街頭に出て、竹下登総理が消費税導入の時に述べられた先人の言葉「もし聞く人なくば、たとひ辻立ちして成(なり)とも吾(われ)志を述べん」のごとくに努めねばならないのかもしれません。

 一昨日の党首討論は、やや議論にすれ違いがみられ、少し残念に思いました。岡田氏が「徴兵制は違憲だと言っているが、これも総理が変われば合憲に変わりうるのか」と質問しましたが、これは朝日新聞や東京新聞によれば、かつての私の発言を念頭に置いたものだそうです。
 その流れで今日は珍しく、衆議院の特別委員会に呼ばれて答弁することになりました。
 内閣の一員として政府の見解に従うことは当然のことであり、また私自身が日本において現在も将来も徴兵制をとるべきではないと思っていることは、2010年に当欄にも記しましたし、著書でも述べました。
 一方で、これまた以前にも述べたことですが、かつてNATOの現状視察でドイツを訪問した際、なぜドイツは徴兵制を維持しているのかを議論した時の光景を今も私は強烈に覚えています(今はドイツにおいて徴兵制は「停止」されています)。 
 与野党問わず、参加したすべてのドイツの国会議員から「軍隊は市民とともにあらねばならず、軍人は軍人である前に市民であらねばならない。軍が市民社会と隔絶した存在であったからこそナチスが台頭したのであり、あのようなことを二度と繰り返さないためにこそ徴兵制は必要なのだ」との論が展開されたことに、強い衝撃を受けました。
 最近まで徴兵制を維持していたフランスにおいては、市民による国家を市民が守ることは当然の義務である、との論を多く聞きましたし、永世中立国・平和国家として多くの日本人の憧憬の的であるスイスにおいては、いまでも憲法に国民皆兵が明記され、2013年には徴兵制廃止の提案が国民投票で否決されています。
 日本と欧米では、近代市民社会の成り立ちが根本から異なっていることを改めて痛感させられます。
 集団的自衛権の議論も、「世界の中の日本」という意味ではその構図に似たものがあるように思います。

 選挙権が18歳に引き下げられることとなり、我々もこれに見合った対応をしなくてはなりません。
 「日本はちっとも国民主権の国ではない。あれもしてくれ、これもしてくれ、と要求だけしているのは(主権者である君主に対する)臣民、サブジェクトの立場なのであって、決して主権者ではない」と喝破されたのは故・田中美知太郎先生ですが、主権者としての在り方を正しく学ばせる教育の在り方も同時に求められています。

 週末は、20日土曜日が鳥取県東部医師連盟にて講演(鳥取市内)。
 21日日曜日が大分県豊後大野市市制施行10周年記念特別講演会で講演、地方自治体関係者、自民党関係者との懇談会、佐伯市市制施行10周年記念特別講演会で講演、佐伯市内防災施設視察(豊後高田市・佐伯市内)という日程です。

 もう6月も後半なのですね。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

| | コメント (46) | トラックバック (0)

2015年6月16日 (火)

イシバチャンネル第五十五弾

 イシバチャンネル第五十五弾をアップロードしました。元総理を語るシリーズその3として小泉純一郎先生との思い出の続きを語ります。



 ぜひご覧ください

 追伸:質問は随時受付中です。

| | コメント (22) | トラックバック (0)

2015年6月12日 (金)

日本創成会議提言など

 石破 茂 です。

 地方創生関連法案は今週から参議院の地方・消費者問題特別委員会での審議が始まりました。
 民主党の藤末議員の議論など、私としてもとても啓発された指摘も多く、国会の議論がいつもこうあるといいなと思ったことでした。これを「言いっぱなし、聞きっぱなし」にすることの無いよう心掛けなくてはなりません。ご関心のおありの方はどうか議事録をご覧くださいませ。

 日本創成会議の提言について、「地方を姥捨て山にするのか」などという的外れの批判が一部で展開されていますが、提言をきちんと読むことなく条件反射的に反応されるのはいかがなものかと思います。
 都市の住民の方に移住のご希望があり、地方に受け入れの意思がある以上、それを阻害している要因を除去して希望実現の環境を整備すべきだと言っているのであり、強制するものでも何でもありません。
 提言のエッセンスは発売中の中央公論七月号「2025年、東京介護破綻」と題した論文に掲載されておりますので、ご参照くださいませ。
  「地方に格差をつけるとはもっての外」とのご批判も同様です。ナショナル・ミニマムの保障は大前提ですが、首長などの能力や努力がほとんど反映されず、結果平等のみが制度的に指向されることはあってはならないと考えます。「誰が首長になっても大して変わらない」と住民の皆様に思わせてしまっているということも、最近の投票率低下の一因なのではないでしょうか。
 県によっては、既に県版総合戦略の策定を終えたところもいくつか出てきました。知事たちのお話を聞く限り、今回全面的に計画の見直しを行い、新たな戦略を策定したことには、やはり大きな意義があった、とのことでした。

 憲法をめぐっては、「大学の講義をもう一度受けるべき」「憲法の番人は最終的には最高裁」といった政府・与党と野党との応酬が続き、議論の見通しがいささか視界不良気味となっています。
 憲法解釈の余地についてもコメント欄に様々なご意見が寄せられているように見解が分かれています。数学や物理などと異なり「これが正解」というものが無い以上、当然のことなのでしょうが、前回も記したとおり「必要最小限度」というむしろ政策判断によるべきものを、当時の諸事情からやむを得なかった面があるとはいえ、法律判断としてしまったことに、そもそもの混乱の淵源があったように思います。
 集団的自衛権を「憲法上行使できない」としてきたのは世界の中で日本だけであり、集団的自衛権行使の是非につき議論になっている国を私は寡聞にして他に知りません。
 仮に日本が国連総会で、「集団的自衛権の行使を可能とすることは戦争への道を開くものであるから、国連憲章を改正し、加盟国すべてにこの行使を禁ずるべきだ」と提案したら、一体どういう光景が展開するのか、私には想像もつきません。

 米国の力が相対的に低下している中において、抑止力はどのように維持されるべきなのか。米国に盲従することのない国家のあり方とは何か。
 ベストではないにしても決してワーストではない国連の今日までの歩みと、その中核概念である集団安全保障と集団的自衛権との関係とは何か等々、国家存立のためのさらに深い議論を期待したいものです。

 忙中閑あり、というわけでもないのですが、10日水曜日の深夜、何故かニッポン放送の「ミッツ・マングローブのオールナイトニッポンゴールド」なる番組に呼ばれ、ドラァグクイーンのミッツさんと一時間ほど対談してまいりました。とても奥が深くて面白い方で、楽しい時間を過ごすことができました。ご関心のある方はネットをご覧くださいませ。

 週末は13日土曜日が大阪における講演会、岡山県真庭市にてバイオマス発電所、バイオマス集積基地、CLT三階建て住宅などの視察、岡山県知事・真庭市長・地元関係者の方々との意見交換会。
 14日日曜日は真庭市にて勝山町まちなみ保存地区、山林現場、市役所バイオマス冷暖房、懐かしの学校給食などの視察、美作市にて美作市長・地元関係者の方々との意見交換会、ジビエ処理施設、レーシングアカデミー、国際サーキットなどの視察、その後西宮市にて自民党兵庫県第七支部時局講演会(山田賢司代議士、18時・ホテルノボテル甲子園)という日程です。
 地方創生三昧の週末となりそうです。

 東京都心はいかにも梅雨らしい天気が続いた一週間でした。これが明ければもう真夏、皆様お元気でお過ごしくださいませ。

| | コメント (39) | トラックバック (0)

2015年6月11日 (木)

ラジオ出演の様子です。

 事務局です。
 昨日、ニッポン放送「ミッツ・マングローブのオールナイトニッポンGOLD」にラジオ出演した時の様子です。

Img_0913


| | コメント (5) | トラックバック (0)

2015年6月 5日 (金)

地方創生関連法案、議員連盟など

 石破 茂 です。
 
地方創生関連法案は衆議院で可決し、一昨日参議院本会議で提案理由説明と質疑が行われました。
 今後委員会において審議されることとなりますが、会期延長がどうなるかはともかくとして、会期内に成立させるべく、答弁には万全を期したいと思います。
 昨日は日本創生会議の提言もなされ、地方創生に向けての流れがさらに加速されていくことを期待しています。
 

 自民党には政務調査会の各部会とは別に「議員連盟」なるものが数多く存在し、政策の実現に一定の役割を果たしています。私も「賃貸住宅対策議員連盟」「建築板金業振興議員連盟」「左官業振興議員連盟」「グラウンド・ゴルフ振興議員連盟」「ライブ・エンタテインメント振興議員連盟」「地域廃棄物適正処理推進議員連盟」「ユニバーサル社会推進議員連盟」「CIQ体制の抜本的強化を図る議員の会」等々、いくつかの議員連盟の会長を務めていますが、昨日「農業高校を応援する議員連盟」が発足し、過去の経歴や議歴から、こちらも会長職をお預かりすることとなりました。
 農業高校にもっと多くの生徒が集まり、卒業後農学部に進学したり、実際に就農したりする子たちが増えなければ、農業の振興をいくら口にしてもあまり説得力がありません。幸い多くの議員の参加が得られ、今後積極的に活動したいと思っています。

 安全保障法制、厚労省の提出法案などの審議が、やや停滞気味となっています。
 安全保障法制については、政府として過去のすべての答弁や、最上位法である憲法をはじめとする全法体系との整合性を検証したうえで審議に臨んでいるはずであり、これらをどうわかりやすく発信するかが今後のポイントかと思います。
 昨日の衆議院憲法審査会において、すべての参考人が今回の法改正を憲法違反であると断じたことが波紋を広げています。
 「憲法解釈を変えるのなら憲法改正が必要」との主張は一見もっともらしいのですが、そもそもこれは日本語として論理的に成り立ちません。明文で明らかに「集団的自衛権はこれを行使できない」と定めてあれば解釈の余地は全く無く、行使を可能とするためには憲法を改正する他はありませんが、第9条第1項・第2項にはそのような明文規定はありません。さればこそ解釈の余地があるのですが、「必要最小限」という基本的な論理は新三要件においても維持されています。本来政策判断であるべきものを法律判断に持ち込んだところにそもそも無理があったとの指摘もありますが、当時の政治情勢からはこれもやむを得ない選択だったのかもしれません。
 第2項の交戦権否認を論拠とする立場については、交戦権は個別的自衛権にも当然適用されるのであって、この立場からは個別的自衛権も否定されることになりますが、果たしてそこまでのご主張なのかどうか、私にはよくわかりません。
 もちろん安全保障は究極のリアリズムに基づいて判断されるべきものですから、法律だけですべてが片付くような問題ではなく、運用、装備と一体となった国民的な理解を更に促進しなくてはなりません。
 

 町村信孝前衆院議長が急逝され、本日ご葬儀が執り行われました。数々の要職を歴任され、派閥を率い、総裁選にも出馬され、心身ともに多くの負担を負っておられたのでしょう。福田内閣では、インド洋での補給継続という困難な仕事を共にさせていただきました。総理・総裁という悲願は成就しなかったものの、三権の長として今後おやりになりたいことが随分とあったのだろうと思います。時には立場や意見を異にすることもありましたが、官房長官時代、記者会見で「個人的にはUFOは絶対に存在すると思う」と発言されるなど、茶目っ気のある面白い方でもありました。今はひたすら御霊の安らかならんことをお祈り申し上げます。

 週末は6日土曜日が6月、7月のうちで一日だけのオフ、諸資料の整理と読まねばならない資料や書籍に目を通すだけで終わりそうです。
 7日日曜日は静岡県経済界との昼食会、静岡新聞主催「静岡ものづくり未来プロジェクト」での講演、静岡新聞とSBSのインタビュー受け(すべて静岡市内)という日程です。

 不安定な天候が続いています。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

| | コメント (43) | トラックバック (0)

2015年6月 2日 (火)

地方創生フォーラム「地方で 暮らす、日本が変わる」の様子です。

 事務局です。
 5月31日に開催された、地方創生フォーラム「地方で 暮らす、日本が変わる」(東京ミッドタウン・ホール)にお伺いした時の様子です。


くまモンと一緒に。
P1040967

弘兼憲史氏との対談の様子。
5_2


当日のフォーラムの動画が以下のサイトにてアップされました。
是非ご覧ください。
動画


平将明副大臣のfacebookページに投稿された、石破代議士とくまモンとの名刺交換の様子です。
動画


地方創生フォーラム「地方で 暮らす、日本が変わる」にお越しいただいた皆様、ありがとうございました。

| | コメント (23) | トラックバック (0)

« 2015年5月 | トップページ | 2015年7月 »