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2015年7月31日 (金)

参議院安全保障法制特委など

 石破 茂 です。
 29日水曜日、参議院安全保障法制特別委員会に呼ばれて答弁をする機会がありました。
 反対派定番の「集団的自衛権の解釈が変更されるなら、いずれ徴兵制も採用になるのではないか」という趣旨のご質問で、衆議院では民主党の寺田学議員が、参議院では社民党の吉田党首がこれを取り上げられ、過去の経緯からか私が答弁に立つことになりました。
 この答えは既に昭和55年、56年の政府答弁書ですべて明らかです。政府は稲葉誠一衆議院議員、森清衆議院議員の質問書に対し、以下のように述べています。

 「一般に徴兵制度とは、国民として兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であって、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練して新陳交代させ、戦時編成の要員として備えるものと理解している」
 「このような徴兵制度は、わが憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものではないのに、兵役といわれる役務の提供を義務として課せられるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条、第18条などの規定の趣旨からみて許容されるものではないと考えている」  (昭和55年8月15日政府答弁書)

 「…憲法18条に規定する『その意に反する苦役』とは、その性質が苛酷なるものとか苦痛を伴うもののみに限られず、広く本人の意思に反して強制される役務をいうものと解してしている。」
 「政府は徴兵制度によって一定の役務に強制的に従事させることが憲法18条に規定する『奴隷的拘束』に当たるとは毛頭考えていない。政府が徴兵制度を違憲とする論拠の一つとして憲法18条を引用しているのは、徴兵制度によって一定の役務に従事することが本人の意思に反して強制されるものであることに着目して…『その意に反する苦役』に当たると考えているからである」  (昭和56年3月10日政府答弁書)  

 このように、憲法第13条のみならず第18条を用いたことで、もはや解釈変更の余地は無いと言わねばなりません。にもかかわらず、一部反対のご主張をお持ちの方々が「徴兵制復活の危惧」を唱えられるのは、過去の答弁書をご存じないか、理解できないか、若しくはためにする謬説を意図的に展開しておられるか、そのいずれかではないでしょうか。

 なお、たびたび記していますが、私は過去「徴兵制は合憲である」と申し上げたことは一度もありません。「『意に反した奴隷的苦役』であるので憲法違反、とすることには違和感を覚える」と何度か申し上げたことはあります。政府が55年答弁書で「政府としてはそのようなことは毛頭考えていない」と述べているのはまさしくその趣旨かと思います。

 今週は岡山での全国知事会、東京での全国都道府県議長会など地方の皆様との意見交換の機会が多い一週間でした。
 講演はどんなに長くても90分、短ければ30分のこともあり、とても全部を語ることはできませんので、資料作りや参考文献紹介にはスタッフ諸兄姉が大変な努力をしてくれています。講演終了後にどれだけの方が目を通してくださっているのかわかりませんが、一人でも多くの方が読んで下さることを願うばかりです。
 既に何回かご紹介したかもしれませんが「離島発 生き残るための10の戦略」(山内道雄・島根県海士町長著・NHK出版)、「ローマ法王に米を食べさせた男」(高野誠鮮著・講談社新書)、「地方消滅と東京老化」(増田寛也・河合雅司著・ビジネス社)、「新・観光立国論」(デービッド・アトキンソン著・東洋経済)は、地方創生を語る上で好適の書と思います。
 藻谷浩介氏の「里山資本主義」、富山和彦氏の「なぜローカル経済から日本は甦るのか」等の一連の著作もお勧めであることは言うまでもありません。

 週末は本日31日金曜日が長坂康正代議士の政経セミナーにて講演、自民党県連役員との懇談会(名古屋市)。
 8月1日土曜日が田中英之代議士の「共に語る集い」で講演(京都市)。
 2日日曜日は花貫ほおずき生産者・都市農村交流事業参加児童との懇談、高萩市役所訪問、駅前商店街視察(茨城県高萩市)、北茨城市長・議長との懇談会、市民病院視察、近隣首長・議長との懇談会、茨城県北地域活性化研究会で講演(茨城県北茨城市)という日程です。

 もう8月、まだまだ酷暑の日々が続きます。皆様ご自愛のうえ、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2015年7月29日 (水)

イシバチャンネル第五十六弾

 イシバチャンネル第五十六弾をアップロードしました。元総理を語るシリーズその4として橋本龍太郎先生との思い出を語ります。



 ぜひご覧ください

 追伸:質問は随時受付中です。

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2015年7月24日 (金)

一票の格差など

 石破 茂 です。

 参議院の鳥取・島根、徳島・高知の合区を含む「10増10減」案が成立の見込みとなってきました。参議院で自民党単独では過半数を有しておらず、経緯の詳細は承知していませんが、公明党との共同歩調がとれなかったという事情の下では我が党にとって緊急避難的措置と位置付ける他はありません。あくまで緊急避難である以上、違法性阻却事由的なものとして「各県から参議院議員が一名必ず確保されること」「来夏の参議院選挙において自民党が『参議院は地域代表ならびに職能代表によって構成される』的な内容の憲法改正案を公約に掲げる」ことが必要であると考えます。
 選挙区と比例区の組み合わせ、というほとんど同じ選挙制度で選出され、一部を除きこれまたほとんど同じ権能を有する二つの院(衆議院・参議院)が存在することが、二院制の妙味を発揮することにとって相応しくない場合もあり、今回の問題を契機として今こそこれに取り組まなくては、今後「合区の連鎖」が起こることは確実です。
 
 一票の格差の問題は、地方分権と、政党がその国民に対する責任を明定する政党法の制定と三点セットのはずであり、20年以上前からこれを訴えてきたのですが、未だに形になっていません。小選挙区制も比例代表制も、所属議員に対する政党中枢の力を極めて強いものとする以上、政党法の制定により健全な運営を担保しなくてはならないと考えています。政党助成金を受け取る、という権利だけを政党が有することはあってはならず、「議員の定数変更」という具体の形になるまでは誰も振り向きもしなかった地味ではあるが重要なこの問題に何としても答えを出したいと思っております。
 
前回の「強制労働」について記したことに充分ではない点がありましたので、一部補足させていただきます。「強制労働に関する条約」(1930年。日本は1932年批准)の中で「強制労働」に含まれないものの例として、第2条第2項(a)「純然たる軍事的性質の作業に対し強制兵役法により強制せらるる労務」などを挙げましたが、「など」としたのは本条第2項(d)「緊急の場合即ち戦争の場合又は火災、洪水、飢饉、地震、猛烈なる流行病、若しくは家畜流行病、獣類、虫類若しくは植物の害物の侵入の如き災厄若しくはその虞ある場合及び一般に住民の全部または一部の生存または幸福を危殆ならしむる一切の事情において強要せらるる労務」のことを指します。今回議論となっている徴用が「純然たる軍事的性質の作業」でないことは明らかで、正確を欠く書き方であったことをお詫び致します。それにしても、昔の条約文を正確に読むのは相当に難儀な作業ですね。 

週末は25日土曜日が小浜温泉バイナリー発電所視察、地元市長、議員との懇談会(雲仙市)、八斗木白ネギ共同育苗施設視察(国見町)、雲仙市地方創生大会にて講演(雲仙市)、長崎大学リレー講座にて講演(長崎市)、26日日曜日が「時事放談」出演(午前6時・収録・TBS系列)、新日本海新聞社地方創生座談会、常田元農林水産副大臣叙勲祝賀会(以上鳥取市)、佐藤ゆかり衆議院議員激励会で講演(大阪市)という日程です。
 酷暑の日々が続きます。皆様ご自愛くださいませ。


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2015年7月17日 (金)

国連憲章など

 石破 茂 です。

 明治産業革命遺産の世界遺産登録は日韓の間に微妙な擦れ違いが生じ、今後に課題を残すものとなりました。世界遺産登録までは主に総理官邸と外交当局がハンドリングしてきましたが、今後は内閣官房が事務の取りまとめを担って関係省庁、地方公共団体などとともに管理方法などを定めていくこととなり、私が所掌閣僚となります。
 日本政府代表団が forced to work という語を用いたことが、韓国側から「日本が強制労働を認めた」と意図的に宣伝されたことにより軋轢が生じているのですが、徴用は国際労働機関(ILO・第一次世界大戦後の1919年設立)において1930年に採択された「強制労働条約」に反するものでは全くない、という事実を歪曲することは、決して認められるものではありません。
 この条約において、強制労働とは「処罰の脅威によって強制され、また、自らが申し出たものではないすべての労働」を指すのですが、「軍事的性質の作業に対し強制兵役法によって強制される労務などはこれに含まれない」旨が明記されています。
 「意に反した労役」と「ILOによって認められない労役」とは明らかに異なるものであるにもかかわらず、あたかも日本国が国際規約に反したような行為を行ったかのごとく喧伝する手法は誤りです。

 この議論は日韓併合の合法性にまで遡る部分があるような気もしますが、形式的にも実質的にも日韓併合は合法的になされた、というのが、当時の国際法・慣例に照らして、通説的見解と言わざると得ないと思われます。この論点につき、「日韓間の諸条約の問題 国際法学の観点から」(坂元茂樹・日韓歴史共同研究報告書・2005年)は精緻かつ示唆に富んだ論考です。
 この論考の末尾のコメントで同教授は、「国際法の立場から、日韓の旧条約の有効性を肯定することと、韓国に対する植民地支配を反省なしに肯定することは別個の問題である。植民地支配について反省するのであれば、それをもたらした法的措置について断罪すべきだという主張もあろうが、そのような主張は、歴史認識と法的議論を不可分なものとみる立場に他ならない。正しい歴史認識の必要性を否定するものではないが、歴史認識が法的議論を規定すべきだという考えに立つことはできない。仮に両者は同一でなければならないというのであれば、そこには法的議論の成立する余地は存在しないことになるからである」と述べておられますが、まさしく然りと思います。このような真っ当な考えに接すると本当にほっとします。 

 一昨日の特別委員会における混乱ぶりはこれと対極をなすものでした。浜田靖一委員長のご労苦はいかばかりであったろうかと思います。
 政府とてもちろん無謬ではなく、今後の参議院における審議では更なる工夫がなされることかと思いますが、手に手に紙を持って委員長席に詰め寄るあの姿を見ていて、実に暗澹たる思いが致しました。
 維新の対案が出てきたのは審議も大詰めに近づいてからでしたし、民主党に至っては領域警備以外の対案すら出さない有り様で、これで政党や国会議員の職責を果たしていると本当に思っているのでしょうか。

 念のために再度申し上げておきますが、国連憲章では基本的に「戦争」はすべて違法化されており、反対派の方が「戦争法案」と叫ぶのは根本から間違っています。
 国連憲章第2条が「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。」「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全または政治的独立に対するものも、また国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」と定めるとおりです。
 一方、憲章第51条は、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的または集団的自衛の権利を害するものではない。」とも定め、自分の国を自分で守る個別的自衛権、密接な関係を有する国同士が互いに守りあう集団的自衛権を認めていますが、これが安全保障理事会における米・英・仏・中・露の常任理事国が持つ拒否権の発動により、国連の集団安全保障が機能しない場合を念頭に置いたものであることは言うまでもありません。
 国連憲章においてこの「集団的自衛権」という概念が創設されたのは、大国の横暴を恐れた中南米諸国の発案によるものであり、そもそも「米国と共に世界中で戦争する権利」ではないことはその歴史的経緯からも明白です。
 もし本気で「集団的自衛権は戦争につながる邪悪なものだ」と信じているのならば、岡田民主党代表は外相在任時に国連総会に行ってそのようなご主張をなさるべきでしたし、今後の民主党の選挙公約にそのようにお書きになるべきでしょう。

 「国連」というリアリズムの極致のようなシステム( United Nations は「第2次世界大戦に勝利した連合国の連盟」がその本質であるのに、これを「国際連合」と訳したところから誤解が始まったようにも思いますが)が、個別的自衛権と、集団安全保障と補完関係に立つ集団的自衛権によって維持されてきたものであることを、我々は直視しなくてはなりません。
 国連は決して「理想が体現されたお花畑」のような世界ではないのですが、これを直視することを意図的に避けているとすれば、それはためにする誤った議論であり、これを知らないとすれば、恐ろしく不勉強という他はありません。

 「今回の法制は立憲主義の破壊である」という主張も似たようなもので、立憲主義とは「憲法が権力を拘束するもの」であると共に「三権分立が機能すること」も不可欠の要素です。
 この議論を意図的に回避し、ひたすら立憲主義の破壊を叫ぶ光景も、何やら異様な感じが致します。日本における民主主義は市民が専制君主から戦って勝ち取ったものではないから、このようなことになるのだ、とは思いたくはありませんが。

 なお、日米同盟の現状と課題について「『無極化』時代の日米同盟 アメリカの対中融和政策は日本の『危機の20年』の始まりか」(川上高司著・ミネルヴァ書房)は極めて参考になる著作です。川上教授の論考からは、いつも貴重な示唆をいただきます。

 小型全国時刻表(交通新聞社刊)の8月号の巻頭エッセー「いとしの路線」に、古(いにしえ)の山陰本線の花形列車「特急まつかぜ」と「特急出雲」の思い出を記しておきました。
 鉄道にご興味・ご関心のある方はどうぞご覧下さいませ。

 週末は、18日土曜日が年に1度の地元における大集会「どうする日本2015」(10時・JA鳥取中央本所(倉吉市)、13時半とりぎん文化会館(鳥取市))。
 19日日曜日は「新報道2001」出演、日本青年会議所サマーコンファレンス「地域再興政策コンテスト」表彰式(横浜市)、NPO法人「養生の郷」設立10周年記念地方創生フォーラム(倉吉市)。
 20日月曜日(海の日)は道の駅「きなんせ岩美」竣工記念式典(鳥取県岩美町)、斉木正一鳥取県議会議長就任祝賀会(米子市)、という日程です。

 梅雨が明けたかのような猛暑の続いた一週間でしたが、台風で大変な思いをされた方もおられることと存じます。心よりお見舞い申し上げます。
 皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

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2015年7月10日 (金)

特区法案成立など

 石破 茂 です。
 地方創生関連の国家戦略特区法改正案は、本日の参議院本会議で可決され、今国会に提出した私の所掌する法律案はすべて成立致しました。
 尽力いただいた関係委員会、国対をはじめとする皆様、政府のスタッフの皆様に心より感謝いたします。
 

 この7月7日で議員生活30年目となりました。
 昭和61年、中曽根内閣の「死んだふり解散」と言われた衆・参同時選挙で、7月6日投票、翌7月7日開票という変則的な日程でした。
 当時私は29歳、まだ中選挙区制度下で得票は56534票、鳥取全権区での当選者4名中最下位という「疑似落選体験」を味わいました。上位3人の当選が決まり、残る一議席をめぐって自民党の私、社会党の武部氏、公明党の熊谷氏の3人でデッドヒートが展開され、ようやく午後2時過ぎに当確が出た時の感激は今も忘れません。
 先帝陛下の崩御、リクルート事件に端を発する政治不信の高まりに伴う激しい政治改革議論、竹下・宇野・海部と目まぐるしく変わった政権、消費税の導入と、様々なことがあった当選一回の頃が、遠い過去のようにも、つい昨日のことのようにも思い出されます。

 参議院の一票の格差について、鳥取・島根、徳島・高知を合区する案が具体化しつつあります。
 日本国憲法上、衆議院と参議院に異なる位置づけはなされておらず、第43条に「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定められているだけですが、最高裁判決などに鑑みれば、両院ともに格差は二倍以内、というのが憲法上の要請でしょう。
 米国やスペインの例がよく採り上げられますが、国家の成り立ちや憲法上の位置づけが異なるため単純に比較することは困難ですし、我が国においては「選挙制度や権能が酷似している二つの院が存在していることをどのように考えるか」という議論を決して避けてはならないと思います。

 二十年以上前、政治改革や選挙制度を議論していた時に、「国会議員の定数削減と地方分権は一体で進めなくてはならない。外交、防衛、通貨、財政、教育の基本以外の分権を徹底することにより、地方の発展は地方の権能において図られるべき」ということを党でも国会でも訴えた覚えがありますが、未だそれが明確な形とはなっていません。
 権限とともに財源も当然委譲しなくてはならないのですが、税源の偏在や交付税制度の在り方など困難な問題があり、議論の進捗がはかばかしくないというのが実態で、今奇しくも地方創生とともに分権担当相でもある私に課せられた課題は重大です。

 40年以上前、小学生6年生の社会科の試験で、「国会議員Aは、ある法案の採決に当たり悩んでいる。その法案は日本全体のためにはなるが、彼の選挙区には不利益となるものである。国会議員Aのとるべき投票行動について論ぜよ」という問題が出されました。
 そのとき、「国会議員は全国民の代表者なのだから、たとえ選挙区の利益に反しても当然賛成すべき、というのが正解なのだろうけれど、この議員は選挙区で厳しい立場におかれるだろうな」と思ったものでした。
 たとえば「参議院は地域並びに職能の代表者によって組織する」のような形で憲法を改正する、といった議論にも、正面から取り組むべきでしょう。その際には、衆議院との権能の違いも明確にすべきです。
 「議論には時間がかかるし、自民党は衆・参両院とも改正発議に必要な三分の二の議席を持っていないのだから、どうせ無理に決まっている」と最初から諦めてしまうのは敗北主義というものではないでしょうか。

 いずれにせよ、「今回は4県の合区と幾県かの定数増減だけでなんとか済ませ、根本的な議論は先送りにしよう」という姿勢は決して取るべきではありません。選挙区や政党の利害を超えて民主主義と国家の在り方を真剣に考えている議員は他党にも少なからずいるはずであって、この議論は自民党こそがリードすべきものと考えます。

 「明治日本の産業革命遺産」の登録については、いずれ回を改めて論じたいと思います。
 ここまでの議論は外務省を中心に進められてきましたが、指定された以降の所掌は内閣府となり、この担当大臣も私となっております。ジャーナリスティックな議論ではなく、ことの本質をよく見極めたいと思っております。

 本日夕刻、19日午後9よりTBS系で放映される「ナポレオンの村」の披露試写会に行って参りました。この原作本「ローマ法王に米を食べさせた男」(高野誠鮮著・講談社新書)は、実に痛快で面白い本でした。あっという間に読めるものですが、お勧めです。

 週末は、11日土曜日が稚内市長、商工会議所会頭をはじめとする皆様との懇談会、自衛隊稚内分屯基地訪問、北海道グラウンドワーク「地方創生を語る会」で講演・パネルディスカッション、宗谷管内市町村長との意見交換会、稚内市内視察、市長村長・地方議員・経済人との交流会(稚内市内)。1600から「地方創生でニッポンが変わる」(テレビ東京系、収録)の放映があります。
 12日日曜日はおといねっぷ美術工芸高校視察(音威子府村)、夕張市内を市役所はじめ10か所視察、市長・経済人・農協関係者との懇談会(夕張市内)、という日程です。

 都心は梅雨の晴れ間の覗いた一日でした。
 台風接近中の地域の皆様、お気をつけてお過ごしくださいませ。

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2015年7月 3日 (金)

昭和女子大での講演など

 石破 茂 です。

 29日月曜日、世田谷区三軒茶屋にある昭和女子大学で「地方創生と女性」というテーマで講義を致しました。グローバルビジネス学部の「日本経済論」と一般教養科目「時事経済論」の合同講義として約二百人の学生を相手に講義60分、質疑応答30分というものでしたが、少し疲れました。
 学生時代の下級生を対象とした刑法ゼミをはじめ、議員になってからも大学での講演や講義も何度となくこなしてきたのですが、女子大なるところで、当然のことながら女子学生だけを相手に講義をしたのは初めてで、人間、やはり初体験というのは緊張するものですね。
 講義後の質疑応答では、「移民政策を採るのか」「農林水産業に今後発展の可能性はあるのか」「ローカル経済とグローバル経済の関係は」等々、なかなかレベルの高い質問が出され、国会答弁のような感じになりましたが、「答弁が長い!」などという批判は出ないので、結構楽しみながら答えることができたように思います。
 議員を辞めたら女子大の先生になれたらいいな、などと考えていたのですが、かなり大変そうですね。著書「女性の品格」がベストセラーになった坂東眞理子学長は「是非どうぞ」と親切に仰って下さいましたが、世の中に楽な仕事は無いものです。

 「地方創生もの」が随分と出版されていますが、増田寛也・日本創成会議座長と河合雅司・産経新聞論説委員の共著「地方消滅と東京老化」(ビジネス社刊)は問題の所在や今後の方向性を明快に示した好著です。ご一読をお勧めします。「人口蒸発『5000万人国家』日本の衝撃」(人口問題民間臨調調査報告書・新潮社刊)は読み始めたばかりですが、これも相当精緻かつ内容の濃い分析がなされているようです。

 自民党議員によるマスコミに対する発言について、今週もなお波紋が広がり続けています。
 国民が自民党に対して持つ「なんとなく嫌な感じ」が、民主党に対する「忌避感」を万が一にも上回るようなことがあれば、政権再交代もまったくありえないことではないでしょう。政策レベルや政権担当能力さえ高ければよい、というものでは決してないことを、我々はあの野党時代に学んだはずであり、あの三年半は「思い出したくもないが、忘れたら自民党は再び国民の支持を失う」ものであったことを、もう一度肝に銘じなくてはなりません。
 「なんとなく嫌な感じ」について閣僚が言及するのは決してプラスではない、という考えもあるようですが、現実を直視せずに糊塗するようなことがあれば、よほど自民党のためになりません。
 「なんとなくいい感じ」というイメージを構築する努力をこそ、より重ねていかなくてはならないと思います。

 東海道新幹線内での焼身自殺は「やはりこのようなことが起こったか」という思いで受け止めています。
 事件の構図は、1980(昭和55)年、新宿駅西口で起きた京王バス放火事件と同じですが、航空機とは異なり基本的に運行頻度の高い鉄道やバスにおいて「手荷物検査」を厳格に実施することは相当に困難を伴い、社会活動自体が機能麻痺に陥ってしまいます。これといった解決策の無い、頭の痛い問題です。
 しかし、自らも煙を吸いながら、列車を小田原まで運行し、乗客の安全を確保した当該列車の乗務員の行動はもっと賞賛されてしかるべきものでしょう。「鉄道魂」が生きている現場はまだ多くあるのだと思いました。

 週末は、四日土曜日が「これからの地方創生を考える会IN花巻」で講演、花巻市長他との懇談(岩手県花巻市)、オガール紫波施設視察(岩手県紫波町)、紫波・矢巾町長との懇談、「地方創生フォーラムIN紫波・矢巾」で講演(岩手県紫波町、矢巾町)。
 五日日曜日が玉川温泉地方創生特区関連施設視察、生ハム工場視察、消防訓練大会にて挨拶、地元関係者との懇談(秋田県仙北市)、秋田魁新報社訪問、秋田県知事他との要望・懇談会、「冨樫博之代議士を励ます会」にて講演(秋田市)、という日程です。

 不順な天候が続きます。どうかご自愛くださいませ。

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