参議院選挙スタートなど
石破 茂です。
参院選が公示となりました。
鳥取・島根合区という広大な選挙区(鳥取県の東端から島根県の西端までは東京・名古屋間に匹敵し、隠岐諸島という離島まで含みます)となった中で、我が鳥取県は自県候補を持たないという実に戦いにくい状況です。
それに加えて「候補者の出せない県(今回は鳥取・高知)は、全国比例から立候補し、日本中から票を集めて当選せよ」などという無理難題を抱えており、今回は私が今まで戦った参院選の中でもっとも難しい選挙となりました。
この合区の不合理性は党の会議で何度も訴えたのですが、決定当時、奇しくも鳥取・高知には自民党現職が居なかったうえに、当該四県のすべてから閣僚が出ていた(鳥取・石破、島根・竹下復興相、徳島・山口国務相、高知・中谷防衛相)という事情もあって、このようなことになってしまいました。
決まってしまったものはどうしようもなく、いかなる事情があったにせよ一議員としてこの法案に賛成した以上は、合区の中で全力を尽くす他はありません。全国遊説の合間を縫って、出来るだけ選挙区に帰ってこまめに訴えて参ります。
一昨年暮れは総選挙、今年は参院選挙。来年には総選挙が取り沙汰されていますが、ほぼ毎年のように国政選挙が行われることは日本にとって本当に有益なことなのでしょうか。それでも衆院・参院の選出方法や果たす機能が異なっていれば頻繁に国政選挙を行う意味もあるのでしょうが、二院制を採りながら議員の選出方法も酷似し、機能もほとんど同じ両院の選挙が頻繁に行われることで、政策の一貫性や継続性が損なわれている面もありはしないでしょうか。一度詳しく調べてみますが、恐らくこんな国は世界の中で日本だけだと思われます。
議院内閣制を採用する国における二院制の意義は「閣僚など政府の役職を出さず、権力に隷属しないもう一つの院を持つことによって権力分立の果たす機能をより確実なものとする」という点にあるものと思われ、私は従来その観点から、憲法を改正して一院制へ移行する論に慎重な立場を採ってきましたが、このままの状態が続くとするならば考えを改めなくてはならないのかもしれません。
選挙後、合区解消と併せて、二院制の在り方をこの際徹底的に論じ、方向性を見出す機会を是非とも作りたいと思います。
一週間に少なくとも30冊ほどの書籍や雑誌が送られてきますが、とてもそのすべてに目を通すことはできません。そんな中、今週目にとまり、かなり興味をひかれたうちの一冊は「18歳からの格差論」(井手英策慶大教授著・東洋経済新報社刊)でした。高校生向けに敢えて細かな理論を用いることなく、平易に書かれたものであり、他の著書や論文を読んでみようと思わせるものでした。
少し前のことになり恐縮なのですが、13日月曜日、神戸市での講演のため東京から新神戸までの新幹線に乗ったとき、いつもなら前席の背面のシートポケットに揃えられているJR東海の雑誌「ひととき」と情報誌「ウェッジ」のうち、「ウェッジ」が入っていませんでした。
他の席のものを持ってくればそれでよいのですが、今まではいつも全席に完璧に揃えられていたので妙に気になりました。アテンダントさんにお願いしたところ、新品ではなくかなり読み込まれたものを持ってこられたので二度吃驚。周りの席を見てみると、片方か、両方とも入っていない席がいくつかあり、一体何が起こっているのかと思ったことでした。
今月号が好評で、既に在庫が無くなってしまったのかもしれませんが、まだ月半ばでそのような事態が起こるとは考えにくいことです(折り返しのため清掃・車内整備時間が極めて短い所為なのかとも思いましたが、先日乗った早朝の東京始発電車でも同じでしたので、清掃時間の短さが理由ではなさそうです)。
新幹線の誇る一分の隙もないサービスはどこへ行ってしまったのでしょうか。
似たようなことを以前、某航空会社の国際線機内販売でも体験しました。CAさんにカタログに載っている品の在庫を尋ねたところ「月末なので在庫がありません」と、表向きとても恐縮しながらも当たり前のように言われてしまいました。
私たちのように国際線に乗る機会の比較的多い者はともかく、機内販売を大きな楽しみとして乗った乗客の方にとっては、同じ運賃を払いながらも希望の品が無い、ということになります。勿論多くの売れ残りが発生しては困るのでしょうが、売れ残ったものは後日通販で売るなどの工夫があってよいようにも思われ、客の気持ちをどのように考えているのか、少しく違和感を覚えました。
日本社会において「お客様第一」「完璧を目指す」との気持ちがどこか根本的なところで揺らぎ始めているのではないかと一抹の危惧を感じた次第です。
コメント欄に厳しいご意見を頂戴し、足らざることを申し訳なく思います。
学生時代に読んだ井上靖の小説「欅の木」の中で、主人公の財界人が新聞に連載していたコラムに対して投書欄で辛辣な批判がなされ、真意が理解されないことに憤激した主人公が投書の主を探し出すという場面があり、妙に印象的でした。井上靖の作品群の中ではかなりマイナーな作品ですが、ご興味のある方はご一読ください。
参議院選挙に入りましたので、しばらく更新が不定期となります。そのようなわけで、いつにもまして思いつくままの散漫な文章内容になってしまいましたことをご容赦くださいませ。
皆様ご健勝にてお過ごしください。
| 固定リンク
| コメント (62)
| トラックバック (0)