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2016年9月30日 (金)

臨時国会開会など

 石破 茂 です。
 臨時国会が開会され、本日から予算委員会での質疑が始まりました。
 本会議もそうだったのですが、政府も野党も言いっ放し、聞きっ放しのやり取りが多く、あまり建設的な議論がなされているとは言い難い印象です。
 この国会では4年ぶりに予算委員会に所属しています。前回は野党の筆頭理事という立場だったのですが、今回は一般の委員として質疑を聴いています。あまり答弁の機会もないのに終日閣僚席に座っているよりは遥かにいいのですが、内容のある建設的な議論を期待しています。
 
 これまた久しぶりに自民党の総務として週二回、総務会に出席しています。党大会、党大会に代わる両院議員総会に次ぐ党の意思決定機関である総務会は自民党独特の組織で、ここで賛成が得られない限りは法案も、予算も、党の方針も決まりません。
 「石破氏、総務に就任で党内の議論活性化か」などと新聞には書かれますが、総務会は北海道、東北などといった地区を代表する総務と総裁が指名する総務で構成されており、偶々各県廻り持ちの中国地区選出総務が鳥取県の番に廻ってきただけのことで、別に図ってこうなったわけではありません。
 以前は「K点(小泉純一郎・加藤紘一・亀井静香の各総務のイニシャルだったと思いますが)越え」という言葉があり、確固たる意見を持つベテラン議員がそれぞれの見解を開陳して相当の緊迫感が漂っていました。
 前回本欄で申し上げた天皇陛下の譲位についての自民党の姿勢はどうあるべきなのか、何故今国会にテロ対策の実効性を高める国際犯罪予防条約を批准するために必要な法案が提出されないのか(構成要件を明確化し、対象を限定したのに加え、「共謀罪」という語感の持つイメージも払拭していると私は認識しています)、憲法改正草案起草に全く携わっていない当選期数の少ない議員たちにも改正の意義や内容を丁寧に説明しなければ憲法改正の機運は高まらないのではないか、自衛官や海上保安官に国会議員が敬意を表すのは当然だが、必要な法整備こそ国会の任務ではないか等々、はっきりしておかなければならない点は多々あると思い、今週の総務会で発言した次第です。
 本来の自民党とは、議員各々が侃侃諤諤の議論を闘わせ、正しい手続きを踏んで決まったからには粛々と従うというものであるはずです。もの言えば唇寒し、雉も鳴かずば撃たれまい、寄らば大樹の陰などという言葉は本来自民党には似つかわしくないものであり、単なるクレイマーに堕することなく、古(いにしえ)を知る者として責任を果たしたいと思っています。
 国民は自民党の政策と、その立ち居振る舞いを見ていることを忘れてはなりません。

 政務調査会での役職には就かないつもりだったのですが、来年3月が水産基本計画の改定(閣議決定)ということもあって、水産基本政策委員会委員長というポストを受けることになりました。
 農林水産政策には長く携わってきたのですが、この機会にもう一度漁業権の在り方や水産流通にまで踏み込んだ「そもそも論」から議論を始め、明確な政策を示したいと思っています。
 我が国の国土面積は世界第61位である一方、排他的経済水域の広さは世界第6位、その海水の体積では第4位であり、漁獲量も漁獲高もピークの半分以下になったのには資源管理のみに留まらない相当多くの背景があるに違いありません。いい機会と思い、最善の努力を致して参ります。

 週末は、本日30日金曜日が愛知県商工会連合会豊田支部・豊田商工会議所役員合同研修会で講演と懇親会(午後6時・ホテルトヨタキャッスル)。
 10月1日土曜日が「富山県石破茂を護る会」総会で講演と懇親会(午前11時・ア・ミューホール・富山県南砺市)、「ウェークアップ!ぷらす×日大」危機管理シンポジウムで講演とパネルディスカッション(午後6時・ホテルオークラ・東京都港区)。
 10月2日日曜日が有田青年会議所創立45周年記念「地方創生の規範となれ!有田創生会議」で講演(午後1時・炎の博記念堂・佐賀県有田町)、有田町まちづくり団体との意見交換会(午後2時・同)という日程です。
 
 もう9月も終わってしまいました。私にとって毎年9月は「激動の月」であることが多いのですが、今年は「激動」が8月に前倒しになりましたため、比較的平穏な9月を過ごすことが出来ました。   
 私たちの世代にとっては「9月の雨」(太田裕美・1977年)や「9月の色」(久保田早紀・1980年・全く流行りませんでしたが名曲だと思います)など、9月にのみ歌うに相応しい歌もありました。来年の9月に世の中が少しでも良くなっているよう、努めていかなくてはなりません。

 皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2016年9月26日 (月)

衆議院在職30年にあたり 石破茂君を囲む会のお知らせ

 事務局です。

 いつも当欄をご覧いただき、誠にありがとうございます。

 この度「衆議院議員在職30年にあたり 石破茂君を囲む会」を開催させていただくこととなりました。
 もし、ご興味のある方がおられましたら、件名に「参加希望」とご記載の上、お名前、ご住所、お電話番号、ご職業を明記され、メールg00505@shugiin.go.jpにて、ご連絡ください。ご案内状を郵送にて発送致します。
 ご検討賜れれば幸いです。よろしくお願い致します。

【開催要領】
日時:平成28年10月31日(月) 18:30~
場所:ホテルニューオータニ東京 本館宴会場会「芙蓉の間」(千代田区紀尾井町4-1)
会費:20,000円

 なお、この催しは、政治資金規正法第八条の二に規定する政治資金パーティです。


石破茂事務所
(TEL:03-3508-7525/FAX:03-3502-5174)

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2016年9月23日 (金)

民進党新体制など

 石破 茂 です。
 先週末から今週末にかけて、休日が多かったせいもあって全国各地や地元に往復が続く日々が続きました。新しい出会いや気づきの点も多くあり、とても有意義な日々ではありましたが、移動距離に比例して疲れも溜まってしまい、思考もいつにもまして散漫気味になっておりますので、週末は披露宴出席などの私的な日程を除いて少し纏まった時間を頂き、態勢を整えたいと思います。
 25日日曜日には「時事放談」に出演致します(蓮舫民新党代表との対談・TBS系列・午前6時・収録)。国会での質疑を除いて、蓮舫女史との対談は初めてです。どのような展開となるのか予想もつきませんが、内容のあるやり取りとなることを期待しています。

 野田佳彦元総理の幹事長就任について様々なご見解を頂いております。概して否定的なご意見が多いように見受けられますが、私は民進党の中では野田氏は極めて真っ当な保守政治家であると認識しています。
 私が小泉内閣で防衛庁長官在任中、新年恒例の陸上自衛隊習志野駐屯地第一空挺団の「初降下」(パラシュート降下)行事に臨席したのですが、当時落選中であった野田氏がたった一人で出席していたことに深い感銘を受けました。
 いかに自身の選挙区である船橋市にその多くが所在の部隊とはいえ、議席が無い立場で出席するのは随分と複雑な感情があったことだと思いました。その時以来、制服自衛官を父君に持つが故の、自衛官やそれを支えるご家族に対する深い愛情に基づく現実的な安全保障論を彼と戦わせることが出来る日が来ることを期待していました。それだけに、野田内閣の防衛大臣に、全くの門外漢である一川保夫氏、続いて田中直紀氏が就任した時には心底驚愕したものです。当然のこととして両氏とも中途で更迭されましたが、野田氏の人を見る目に大きな疑問を持ったことでした。4年の雌伏の時を経た野田氏の手腕に敢えて期待したいと思います。

 民進党はその成り立ちから言って二大政党の一翼を担い得ないのかも知れませんし、小選挙区制度がその理想とした「政権交代可能な二大政党の実現」「地域の利益ではなく、国家の利益を語る国会議員を作る」ことからは未だに遠いのが現状であることは否定しえない事実です。
 しかしあの鳩山政権誕生が示すように、野党(当時の民主党)が素晴らしいからというよりも、自民党の立ち居振る舞いが国民の感情と乖離した時、これからも「政権交代」が実際に起こらないとは断言出来ないのです。
 民進党がそのままでは蘇生し得ないのなら、主義信条や政策で分裂して政界再編の端緒を作った方が国のためなのかも知れませんが、他党のことにこれ以上言及する前に、自民党の一員としてより一層の研鑚に努めたいと思っております。

 政府が「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を設置し、経団連の今井名誉会長など6人の方々が構成員となることが発表されました。そのこと自体を否定はしませんが、前回も記しましたようにこれは日本国の在り方そのものに関わる国家の最重要課題です。
 この問題について我々国会議員、就中自民党議員として、有識者会議の意見の取り纏めを待つのではなく、徹底的に議論し、見解を明らかにすべきものです。
 陛下のご地位は「主権の存する日本国民の総意に基づく」(日本国憲法第1条)となっていますが、国民投票に付すべき性格のものではないと考えられる以上、「全国民を代表する選挙された議員」(同第43条)がこれに解を示す責任を有しているものと考えます。
 陛下が述べられたお気持ちに沿うべきであることは論を俟ちません。しかし、大日本帝国憲法ならびに日本国憲法の制定時、幾多の議論の結果としてご生前のご退位(譲位)は否定されていたという事実をどのように考えるべきなのか。「国政の総攬(総覧ではなく)者」として位置づけられていた旧憲法下の天皇陛下と、「日本国民統合の象徴」として位置づけられている現行憲法の下での陛下のお立場は全く異なるのではないか。たとえ「天皇機関説」に立つとしても、建前として権力を一手に掌握されていたお立場と「権威」としてそのご存在がある今のお立場の相違を考えるとき、「権力の代行者」としての摂政はあり得ても、「権威の代行者」という概念はそもそもあり得るのか。されば「日本国憲法に定められた国事行為のみを為して頂けばよい」という、一種極論的に突き詰めた考え方は妥当なのか…等々、誠に申し訳ありませんが迂闊にも今まで私が考えてこなかった難問に直面して、呻吟しているのが現状です。
 陛下はすべてをご承知の上でお気持ちを述べられました。その中に政治的なご意図は全くないものと畏れながら拝察しております。保守政党たる自民党は最優先でこれに取り組むべきです。
 週末はこの問題についてもよく考えたいと思っています。

 日本銀行が金融政策決定会合で長短期金利を誘導目標とする新しい金融緩和の枠組みの導入を決定しました。確かに世界でも稀な政策ですが、企業と金融機関の双方の思惑をバランスさせた厳しい選択であったように思います。
 2%の物価上昇の達成、名目3%・実質2%の成長、そしてその後に展開する経済とは何か、日銀のメッセージをどのように我々政治が受け止め、官民多くが共にする多くの既得権益を打破して構造改革に取り組むのか、まさしく正念場が来ているように感じます。

 「まんがでわかる田中角栄の人を動かす力」と題する本(画・葉月 編著・別冊宝島編集部 宝島社刊)が発売されています。田中先生の人間像を表現するのにこのような方法もあるのかと思わされました。巻末に「角栄のリーダーシップ」と題する元AKB総監督の高橋みなみさんと私との対談が収録されています。ご紹介まで。

 都心は肌寒いような天候となっています。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2016年9月16日 (金)

父命日、加藤元幹事長ご逝去など

 石破 茂 です。

 今日9月16日は、昭和56年に73歳で没した父石破二朗の祥月命日です。もうあれから35年も経ったのかと思うと、とても感慨深いものがあります。
 当時24歳の私は旧三井銀行(現在の三井住友銀行)に入行して3年目、東京都中央区にあった本町(ほんちょう)支店で個人向け融資を担当しておりました。
 その頃は9月15日が敬老の日で休日であったため、鳥取に帰省して県立中央病院に入院していた父を見舞ったのですが、その日は比較的意識もはっきりしていて「仕事はちゃんとやっているのか?」と問われ、「何とかやっている」と答えると「こんなところにいないで、早く帰れ」。これが私と父との最後の会話となりました。
 寝台特急で東京駅に降り立った時に危篤を知らされ、羽田からプロペラ機でとんぼ返りをしたのですが、2時間余をかけて鳥取に着いた時には既に息を引き取った後でした。
 倅の私が言うのも変かも知れませんが、間違いなく私よりも遥かに立派な人であったと思います。昭和30年、建設省官房長在任中に東京都知事選への出馬を田中角栄先生から打診された時、「東京都知事にはならない。請われれば鳥取県知事になる意志がある。私は鳥取県人である。鳥取に生まれ、育ち、そして死ぬのである。小さくとも鳥取県はわが県である」と答えたと田中先生は弔辞の中で述べておられましたが、まさにそういう人でした。
 父は鳥取県知事15年参議院議員7年と、政治家としては通算22年在任で、私は既にそれを超えてしまったのですが、遠く及ばないことを日々認識しています。一生かけても決して越えられない父を持ったことは、ある意味とても幸せなことであると思います。

 民進党の新代表となった蓮舫女史について私はあまり詳しく存じませんが、予算委員会での質問を聴く限り相当に頭の回転が速く、キャスター出身らしい切れ味の鋭さを持ち、教条主義的ではない有能な議員だと認識しています。しかし、その国家観や憲法観について語るのを聞いたことはなく、今後どのような主張をするのかよく見ていきたいと思っています。
 集団的自衛権行使の限定的な容認(私個人は憲法上も、全面的に行使は容認され、その限定は安全保障基本法によってすべきとの立場ですが)が何故憲法違反なのか、何故立憲主義に反するのか(その立場に立つなら個別的自衛権の行使も否定されなくてはなりません)、これが「他国との戦争に巻き込まれる邪悪な権利」であるとするなら、政権獲得の暁には日本政府として国連総会において集団的自衛権条項の削除を求めるのか、など、明らかにして貰いたい点は多々あります。
 二重国籍の問題について、国籍法第16条は日本国籍を取得した場合の他国の国籍離脱を努力義務として定めており、少なくともこれに抵触していることは明らかでしょう。この点について説明責任を果たしているかどうかが問われるのであり、真摯に履行されることを望みます。

 小選挙区制下においては、政権交代可能な二大政党の存在が強く求められるのであり、過半数の候補者を擁立しているという点において唯一その可能性がある民進党が今のような混乱・停滞状況であること自体、日本の健全な民主主義の阻害要因と言わねばなりません。
 幹事長になられる野田佳彦元総理や前原氏、玉木氏も含めて、現実路線に向けてより一層力を発揮されることを強く期待しています。

 誠に畏れ多いことながら、今上陛下の生前ご退位のご意向をどのように受け止め、対処するかは「その地位は国民の総意に基づく」と定める日本国憲法の趣旨から考えても、第一義的に国会議員の責任です。「畏れ多いことである」ということと「国会議員がその責務を果たす責任と覚悟を持つ」というのは全く別の問題で、有識者会議に意見を求めることはあっても決してこれに委ねるべきものではありません。私自身、膨大な文献を何とか読破・理解し、己の考えを明確にしなくてはならないと思っています。

 加藤紘一元自民党幹事長がご逝去になりました。私が自民党に復党した時の幹事長であり、共和事件や不発に終わった「加藤の乱」以後の時代になられてから、何度か直接ご指導を頂いたり、選挙区に伺って先生の後援会でお話をさせていただく機会がありました。
 農政や外交・安全保障で考えを異にする面も多々ありましたが、もっとお話を伺いたかった方でした。御霊の安らかならんことをお祈りいたします。

 今週、移動中に読んだ本の中では「ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢」(佐藤伸行著 文春新書)をかなりの驚きを持って(適切な表現ではないかもしれませんが)読みました。
 彼を知る者が日本には全くと言っていいほど居りませんし、旧知の共和党系アメリカ人にもその実像を知る人は私の聞いた範囲では皆無でした。トランプ候補がこの本に描かれているような人物だとすれば極めて由々しきことですが、むしろ彼を大統領候補にまで押し上げたアメリカ社会の変容にこそ、我々は目を向けなくてはなりません。是非ご一読くださいませ。

 週末は彼岸の墓参りで帰郷する17日土曜日に福田俊史鳥取県議の県政報告会で国政報告(17時30分・郡家コミュニティセンター・八頭郡八頭町郡家)、どんどろけの会総会・懇親会(19時・ジャパンズ・鳥取市弥生町)。
 18日日曜日は週刊報道LIFE出演(午後9時・BS-TBS・収録)。
 19日敬老の日は日本青年会議所栃木ブロック協議会「とちぎフォーラム2016」で講演(15時30分・足利市民会館・足利市)、という日程です。

 都心は不順な天候が続いています。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2016年9月 9日 (金)

いすみ市、幌加内町など

 石破 茂 です。

 6日火曜日にテレビ朝日の「橋下×羽鳥の番組」なる、バラエティなのか報道なのかよくわからない番組の収録がありました(放映は12日月曜日午後11時15分)。2時間の収録でしたが、実際にオンエアされるのは40分くらいのものだと思われます。2時間のほとんどは橋下前大阪市長と私との、バラエティとはおよそ程遠い硬い内容のやり取りでしたが、これをどのようにバラエティらしく編集するのでしょうか。

 今から27年も前、当選1回生の頃に「朝まで生テレビ!」に出始めて以来、テレビには随分と出演してきました。勿論生放送は生放送なりの、収録は収録なりの多大なリスクを承知の上ですが、いつも「どのように話せば解ってもらえるのか」という試行錯誤の連続です。
 当選同期の畏友 故・新井将敬代議士が自死の前日、本会議場で隣席であった私に「メディアに受けようとしてどんどんと発言が過激になってしまった。持ち上げるだけ持ち上げて、その後に落とすだけ落とすのが報道のやり方であることをもっと知るべきだった。お前も気を付けろよ」と遺言のように言っていたことをいつも思い出し、自戒してはいるのですが。
 安全保障や地方創生、農林水産などはそれなりに理解しているつもりですが、外交などのテーマからはしばらく遠ざかっていたため、ここ数年の論説を可能な限り読んで理解するのがかなり大変で、結局睡眠時間を削る他はありません。世の中には自分の知らないことがなんと多くあることか、いつも思い知らされます。

 4日日曜日に開催した政策グループ「水月会」の研修会はフェルドマン博士の講演など、とても充実した内容でした。かつて渡辺美智雄先生が「確信犯が20人いれば世の中は変わる」と仰っていたことを思い出します。
 「自民一強」は、人口や財政、社会保障の持続可能性の回復、安全保障の法制や装備・人員の整備など、今やらなくては日本の将来が危ういことに対して、たとえ強い批判があってもその解を見出すためにあるものです。
 1868年の明治維新以来、日本人は半世紀に一度、「グレート・リセット」を行って国家を再生・発展させてきた、との見方があります。再来年は明治維新から150年。1968年の明治100年以降、日本はグレート・リセットを怠ってきたのではないでしょうか。己の責任を痛感しつつ、今こそもう一度それが必要な時であると考えています。
 研修会では私も40分ほど話し、その8割を政策論に割いたのですが、報道は「石破氏 総裁選に意欲」というものばかりで、どうせそんなものだとわかってはいるものの、とても残念な思いがしたことでした。
 健全な民主主義は健全な報道があってこそ成り立つものなのですが、政局偏重の報道ぶりには危惧の念を感じずにはいられません。

 現時点で直近の詳細な状況はわかりませんが、北朝鮮の度重なる核実験については、その意図、就中金正恩体制移行後のそれを多角的に、詳細・精密に分析しなくてはなりません。北朝鮮は「瀬戸際外交」を企図するというより、アメリカの大統領選を睨んで冷徹に核抑止力の保持を志向している可能性も決して否定できません。
 この春36年ぶりに行われた労働党大会、その後の最高会議における憲法改正の意味、中国の北朝鮮に対する対応と同じく隣国で核実験を行ったパキスタンに対する対応との類似点など、論ずべき点は多々あります。

 先週末は千葉県いすみ市、今週水曜日・木曜日には北海道幌加内町に行って参りました。
 派手ではなくとも、今地元にある魅力を最大限に生かし、発信していくという地方創生の理念に共感し、呼応して頂いている自治体や民間の方々は確実に多くなりつつあることを実感しています。
 いすみ市の鉄道を生かしたまちづくり、幌加内町の町立高校の独自の教育(そば打ちが必修科目)による人づくりなど、それぞれの地域の素晴らしさに大きな感動を覚えた1週間でした。

 週末は、10日土曜日が自民党「とちぎ未来塾」中央研修会で講演(午前10時・党本部)。
 11日日曜日は「今枝宗一郎衆院議員を育てる会」「同君の自民党国土建設委員長就任祝賀会」で講演・挨拶(午後6時・ゲストハウス プリエール・愛知県豊川市)という日程です。

 夏はいつもあっという間に過ぎ去ってしまい、気がつけばもう秋の中にいるというのが昭和54年の就職以来37年間ずっと続いていますが、今更ながらに自分のオンとオフの切り替えの下手さ加減が嫌になります。いつも書く「待て暫し。やがて汝もまた憩わん」(ゲーテ)というのは本当かな…。

 9月も半ば近くになりましたが、残暑厳しい日々が続きます。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2016年9月 5日 (月)

イシバチャンネル第六十七弾

 事務局です。イシバチャンネル第六十七弾をアップロードしました。選挙について考えます。

 ぜひご覧ください

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2016年9月 2日 (金)

城崎温泉、養父市特区など

 石破 茂 です。

 シン・ゴジラ関連で取材を多く受けていて痛感したのは、
・外国勢力(国または国に準ずる組織)による我が国に対する急迫不正の武力攻撃から国家の独立(国家主権)を守るのが軍隊で、使用される権限は自衛権
・国内での侵害行為から国民の生命・財産・公の秩序を守るのが警察で、使用される権限は警察権
という基本的な相違に対する理解は、私が思っていた以上に少ない、ということでした。
 自衛隊が国内における警察権的な任務も合わせて付与されているせいもあると思いますが、「軍隊(自衛隊):自衛権」と「警察(海保を含む):警察権」の峻別は最も重要で、最初からこれを混同すると議論の基礎を間違えることになると思っています。
 
 たしかに、小学校から大学まで、憲法の基本的原理である「国民主権」はいやというほど教わりますが(もっとも、田中美知太郎先生は名著「市民と国家」の中で、日本に本来の意味での「国民主権」は存在していないと喝破しておられますが)、「国家主権」や「国の独立」についての詳細は全くといってよいほどに教わっていません。
 憲法制定時に占領下にあった日本は独立もしておらず国家主権も回復していなかったのですから、憲法に国の独立や国家主権、そしてそれを守る軍隊(自衛隊)の記述が無いのは極めて当然のことであり、書かれていないことを教えるわけにもいかなかった、ということだったかと思います。

 さればこそ、サンフランシスコ条約が発効し、日本が国家主権を回復して独立を果たした直後に「自主憲法の制定」を党是とする自由民主党が結党されたのです。
 国家の独立とそれを任務とする組織を憲法にきちんと書くことは、イデオロギーや政治体制とは全く無関係です。制憲議会において共産党の野坂参三議員が「せめて個別的自衛権は認めるべきではないか」と吉田茂総理を質したのは実に象徴的と言うべきでしょう。
 なお、このとき吉田総理は「個別的自衛権を認めること自体が有害である」と答弁しています。当時の日本政府としては個別的自衛権も認められない、との立場だったのであり、保安隊を創設した時点で憲法解釈は明らかに変更されたと考えるのが至当です。
 「集団的自衛権行使を認めた憲法解釈は立憲主義に反し許されない」とする方々は、個別的自衛権なら良いとお考えのようですが、それまで否定していた個別的自衛権を認めたのも立憲主義に反していたのでこれも許されない、との論を展開しなければ論理的には徹底しない、ということは以前も述べたようにも思います。

 このような議論を揶揄する向きもおられますし、私の説明不足や不徳の致すところも大かと思いますが、憲法改正で「軍」を保有することや緊急事態条項を明記することの是非を、曖昧な理解や知識で感情的に議論すべきではないことだけは確かです。
 「文民統制」を謳うからには、統制する側、すなわち政治が法律・装備・人員・運用について出来る限りの正確な知識を持っていなくてはなりません。アメリカの例に見られるように、むしろ軍人の方が抑制的である、というのはとても示唆的です。
 なお、これらについては故・小室直樹博士の「国民のための戦争と平和の法」(色摩力夫氏との共著・総合法令刊)、色摩力夫氏の「国家権力の解剖」(小室博士解説・総合法令刊)をご参照になることをお勧めいたします。小室博士の著作では「日本人のための宗教原論」(徳間書店)、「日本国民に告ぐ」(ワック出版)からも多くのことを学びました。勿論私もまだ完全に理解してはおりませんが、マスコミに多く採り上げられることはなくとも、碩学という方は本当に居られるものですね。

 先週末に訪問した兵庫県豊岡市の城崎温泉や養父市の国家戦略特区を活用した新しい農業の取り組みからも多くの示唆を受けました。
 「これからは農林水産業と観光が成長分野である」と信じ、私も随分と各地を見て回っていますが、画期的な取り組みが全国に広がりつつあることを実感します。これらを見て「自分の地域でもやってみよう」と思うか「カリスマ的なリーダーがいるからこそ出来ることで、どうせ自分の地域では出来っこない」と思うかは、やがて圧倒的な差となって現れてきます。成功している取り組みの普遍化のためにどのような手立てを講ずるのかは行政にも果たすべき役割が多くあるはずです。

 お誘いくださる方があって、8月は2回コンサートを聴く機会に恵まれました。70年代アイドルばかりではなく、高校・大学時代はクラシックも随分と聴いたものでした。交響曲ではモーツァルトの39番、ベートーヴェンの7番、ブラームスの2番、シューベルトの「未完成」「ザ・グレート」、ドヴォルザークの8番、メンデルスゾーンの3番、ビゼーの1番、チャイコフスキーの5番、マーラーの5番が好きでした。
 いささか通俗的ですが、こんな楽しみもあったのだ、ということを久々に再認識し、少し嬉しく思ったことでした。

 週末は3日土曜日が太田いすみ市長との昼食懇談会(正午)、日本青年会議所第49回千葉ブロック大会 勝浦いすみ大会で講演・鳥塚いすみ鉄道社長との対談(午後1時半・岬ふれあい会館・千葉県いすみ市岬町)、いすみ鉄道乗車、木戸泉酒造見学、海の直売所見学(千葉県いすみ市)。
 4日日曜日はラジオ日本「長野すけなりの政界キーパーソンに聞く」(午前8時45分・収録)、水月会夏季研修会(午後4時・神奈川県小田原市)という日程です。

 残暑厳しい中にも、少しだけ秋の気配が感じられるようになりました。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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