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2016年11月25日 (金)

駆けつけ警護など

 石破 茂 です。
 今週22日火曜日には外国人特派員協会で、24日木曜日には東大・早大・慶大合同授業で講演・講義の後にかなりの時間をかけて質疑応答が行われました。国内のマスコミとは当然立場の相違もあるのでしょうが、政局関連の質問などは一切なく、政策に絞った簡にして要を得た質問が続いて、とても緊張感に満ちた有意義な時間でした。国内マスコミがすべて悪いとも思いませんし、外国マスコミにも酷いものは多々あるのでしょうが、政局ネタに偏った質問ばかりされているといい加減うんざりしてしまいます。

 自衛隊に新たに付与された任務である「駆けつけ警護」について世論は否定的な意見が多いようですが、海外において同胞が(これに限るものではありませんが)危難に遭遇している時に、自衛隊が駆けつけなくて一体何処の国が駆けつけてくれるというのでしょう?
 防衛庁長官在任時、イラク・サマーワに自衛隊を派遣した際、近隣に展開している他国の部隊がゲリラやテロリストに襲われても自衛隊は助けに行けないのに(これは憲法第9条にいう「国際紛争」ではないので憲法問題では全くなく、あくまで政策判断でした)、「自衛隊が襲われたらどうか助けに来て貰いたい」と英国やオランダの国防大臣に依頼に行った時の何とも言えない気持ちは今でも鮮明に覚えていますが、他国の部隊どころか自国民すら駆けつけて警護が出来ないというのは一体どういうことなのか。
 従来、防衛法的には「自己保存」ではない「危険に自ら接近する任務遂行型」は認められないとの見解でしたが、これが国際法の慣習や常識と大きく乖離していることは明らかでした。軍隊の機能は基本的に対外的に作用するものであるが故に、従うべきは国際法や国際慣習であることは当然のことなのですが、これがほとんど理解されていないことに強い危惧を感じています。

 今週の政策集団「水月会」の定例勉強会は若狭勝衆院議員による「テロ戦争に勝ち抜くために至急とりかかるべきこととは」という講演で、テロ対策立法の必要性と緊要性を改めて痛感させられました。これを内閣提出法案としてではなく、議員立法で次の通常国会で成立させるには幾多の困難が予想されますが、なんとしても実現のために努力したいと思っております。

 今週目を通した本の中では、藻谷浩介氏と観光カリスマである山田桂一郎氏の討論集「観光立国の正体」(新潮新書)をとても面白く読みました。いつもながら実証的かつエッジの効いた主張には共感するところが多くあります。

 週末は26日土曜日が西野一北九州市議会議員政経セミナー(午後1時・リーガロイヤル小倉)、津田公治福岡県議会議員政経フォーラム(午後3時・北九州八幡ロイヤルホテル)、自民党戸畑支部講演会(午後4時半・飛幡八幡宮戸畑祇園会館)、上野照弘北九州市議会議員政経セミナー(午後6時・うえの後援会事務所)でそれぞれ講演。
 27日日曜日は北國新聞主催昼食会(正午・ANAホリディ・イン金沢スカイ)、北國新聞政経懇話会で講演(午後1時・同所)、という日程となっております。

 24日金曜日は東京都心では観測史上初の11月の積雪(降雪としては34年ぶり)となりました。日本海側に育った私には、東京に出てきた頃、ほんの少しの雪で交通機関が麻痺するなどの大混乱となる東京という街がとても不思議に映ったものでした。もうあれは44年も前のことになるのですね。
 秋らしい日々もないままにいきなり冬になってしまい、あまり体調が優れない日々が続いています。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2016年11月18日 (金)

水月会地方セミナーなど

 石破 茂 です。

 15日火曜日に名古屋市において政策集団水月会の第1回地方セミナーを開催致しました。愛知県議会議員、市町村議会議員、経済界、同窓会三田会の皆様はじめ、多くの方々のおかげさまで盛会裏に終わりましたことに心より感謝申し上げます。
 この企画を発案頂いた後藤田正純衆院議員、地元でご尽力頂いた八木哲也衆院議員に、そしてわざわざご挨拶を頂いた愛知県連会長の藤川政人参院議員にも心より感謝致しております。
 「派閥として異例の試み」などと報じられていますが、政策集団がその考えを広く有権者に問い、議論し、政策を練磨し昇華させていくことは当然のことだと思います。
 米国大統領選挙のやり方すべてがいいとは思いませんが、共和党であれ民主党であれ、候補者達が長期にわたってその政策や政治姿勢を全米各地で述べ伝え、競っていくことには、その中で候補者の資質が見極められていくという意味でそれなりの意義があるものと考えます。短期間で勝敗が決するが故に、単なるイメージやマスコミ報道に左右されやすく、往々にして「こんな人とは思わなかった、期待外れだった、裏切られた」との反応が生ずる我が国とはそこが異なるように思います。それでも良い結果とならない場合は多々ありますし、米国新政権の行方も見通せませんが、民主主義の在るべき姿の一つではあるのでしょう。
 
 水月会の定例勉強会では所属議員がそれぞれの得手とするテーマで講演を行っています。
 今週10日木曜日には先週の八木議員に引き続き、福山守衆院議員(四国比例・当選二回)の「高齢社会と国際化」と題する講演があり、啓発されるところ大でした。官僚の説明を聞いて質疑するだけの従来の自民党のスタイルから脱却しなければ、本来の政治主導は実現できないのだろうと思っております。
 この困難な時代にあって、魔法使いでも手品師でもない政治がすべてを解決できるはずはないのですが、少なくとも「政治は自分の気持ちを分かっている」という思いを有権者に持って頂くことは最低限必要なことと思います。今週14日月曜日に、抗癌剤治療を受けながら記者活動を続けている朝日新聞記者・野上祐氏の「政治にもインフォームドコンセントを」という講演を聞いてその思いを強くしたことでした。
 
 自民党を離党した議員の復党への動きが加速しており、波紋や軋轢が広がっています。
 政治は人間の営みなので数学や物理のようにすべてに明確な解があるわけではありませんし、復党に至る事情は個々によって大きく異なります。
 地元の話で恐縮ですし、あまり触れたい話題でもないのですが、二階幹事長が前向きと伝えられている川上義博・元参院議員の復党に、私が会長を務める鳥取県連が反対するのは以下の理由によります。
 ①第43回総選挙(2003年・小泉内閣・無所属で当選、その後自民党会派入り)、第44回総選挙(2005年・小泉内閣・郵政解散・無所属で落選)、第21回参議院通常選挙(2007年・第一次安倍内閣・民主党公認で当選)、第23回参議院通常選挙(2013年・現安倍内閣・民主党公認で落選)、と四回にわたり自民党公認候補と対決し、そのうち2回自民党公認の前職・現職候補を落選させた。
 ②山口俊一議員、野田聖子議員など、郵政改革に反対して当選した議員はその後多くが復党し、閣僚や党三役として政府や自民党内で活躍しているが、川上氏は郵政選挙で落選後も復党の意思を示すことなく民主党入りし、小沢氏側近を標榜して参議院選挙に当選、その後野田佳彦内閣で総理補佐官を務めるなど、郵政造反復党組とは事情が全く異なる。
 ③復党させることで当該地域における自民党の党勢拡大に寄与するのであれば、当該自民党県連の了承のもとに復党させる余地があるが、鳥取県では現在衆参両院とも自民党候補が県民の多くの支持を得ており、川上氏の復党で、過去4回にわたって同氏と必死で戦った党員の党に対する信頼失墜・失望を招いて党勢が衰退することこそあれ、拡大することは全く見込めない。
 ④以上は9月に開催された自民党鳥取県連常任総務会において満場一致で決定されており、自民党鳥取県連の総意である。

 かつて政治改革を巡って自民党を離党し、その後復党した私はこの問題についてあまり発言したくないのですが、私自身、党の方針と反する時は無所属で立候補しており、自民党候補と対決して落選させたこともありません。
 当選4回の時、無所属から自民党に復党したのは、加藤紘一幹事長をはじめとする当時の執行部からの復党要請を受けてのことでしたが、その後半年近く鳥取県内の自民党員のお宅を訪ねてご理解を頂く努力をしたものでした(あの時のことは私にとって過去最も大きな挫折体験となっています)。
 川上元議員に個人的には何の恨みもありませんが、過去の総括も無く、自民党県連や地元の自民党員に理解を求める努力もしないままに、いきなりトップダウン頼みで復党を模索する姿勢には強い違和感を覚えます。
 自民党県連をお預かりする者として看過出来ないのみならず、このようなことが許されるなら党全体の信用にも繋がりかねないことを強く危惧します。16日に二階幹事長と面談した際、このようなことを申し上げました。

 週末は、19日土曜日が「細川珠生のモーニングトーク」出演(午前7時・ラジオ日本系列・収録)、第2回Japan Fisherman’s Festival 全国魚市場&魚河岸まつり(午前11時半・日比谷公園)、広島県石破茂政経懇話会で講演(午後4時・尾道市農協本所)、高山博州広島県議会副議長就任祝賀会(午後6時・尾道国際ホテル)、同役員懇親会(午後8時・尾道市内)。
 20日日曜日が東広島市長・東広島市関係者との朝食懇談会(午前8時・東広島市内)、茨城県古河市長選挙候補予定者・針谷力氏出陣式(14時・古河地区、16時・総和地区、18時・三和地区)という日程です。

 今日はこれから武蔵野市で防衛政策について講演する予定です。何だか今週も慌ただしく過ぎてしまいました。あれこれと抱え込んでしまい、仕事が雑になってしまうことを怖れています。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。 

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2016年11月15日 (火)

イシバチャンネル第六十九弾

 事務局です。イシバチャンネル第六十九弾をアップロードしました。選挙について考えます。

​イシバチャンネル第六十九弾  PART1

​​イシバチャンネル第六十九弾  PART2​
​​

 ぜひご覧ください

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イシバチャンネル第六十八弾

 事務局です。イシバチャンネル第六十八弾をアップロードしました。プラモデルについてです。


 ぜひご覧ください

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2016年11月14日 (月)

LINE LIVEの様子です。

 事務局です。
 本日収録したLINE LIVEの様子です。

 収録内容は以下よりご覧いただけます。
 LINE LIVE 石破茂(公式)

 20161114


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2016年11月11日 (金)

米大統領選など

 石破 茂 です。
 大方の予想を覆す形でドナルド・トランプ氏が次期合衆国大統領に就任することとなりました。
 昨年の今頃、ドナルド・トランプ候補の勝利を予測した人はほとんど皆無に近かったと思います。私も勿論その一人で、何を言っても所詮、後講釈になってしまいますが、トランプ候補が、ファーストレディ、上院議員、国務長官などを務め、比類ない知名度と経歴を持つヒラリー・クリントン候補に勝利するために、従来の大統領像を壊す、ポリティカル・コレクトネスなどほとんど無視した候補者像を演出してきたのかも知れない、とふと思ったことでした。
 
 合衆国内の資産格差は、上位1%が保有する金融資産が下位90%の総量よりも多く、その差が近年急速に拡大しつつある、という日本では考えられないもので、所得もまた同様の傾向にあります。トランプ支持層と言われた白人非エリート層のみならず、クリントン支持と言われたマイノリティや女性層にまで浸透した背景には、それがあるものと思われます。政界中枢も、ウォール街も、大手メディアも皆で今の状況を作り出したのではないか、その象徴的な存在としてヒラリー・クリントンが位置付けられたのでしょう。トランプ氏自身も大富豪なのですが、今の米国の格差社会を作るのに加担はしてこなかったので、広く受け入れられたのかも知れません。格差拡大は日本も他人事ではありません。
 
 10月初旬に、来日中だったトランプ氏の軍事顧問的な存在であるマイケル・フリン元DIA長官(退役陸軍中将)と長時間意見交換する機会を得たのですが、運用や情報に極めて精通し、米軍内で信望の厚い、なおかつ民主党員である同氏が、職を辞してまでトランプ氏の顧問になるからには、トランプ氏に有能な人材を集める吸引力が備わっているのかも知れません。来年1月の政権発足後に数か月をかけて編成されるスタッフや上下両院で過半数を占めた共和党議員がトランプ新大統領を良い意味でコントロールできるかどうかがカギとなります。なお、マイケル・フリン氏は新国防長官にもその名前が挙がっています。

 当選が確実となった後最初の演説に登壇する際、バックに流れた音楽は、映画「エア・フォース・ワン」(1997年、主演はハリソン・フォード)のテーマ曲でした。ソ連復活を目指すテロ集団に乗っ取られた大統領専用機エア・フォース・ワンを大統領が奪い返すという実に面白い映画でしたが、ラスト近くで、大統領に向かってアフリカ系女性スタッフが「大統領、貴方は私たちの誇りです」と言う場面がとても印象的でした。
 当選スピーチの内容も、「イスラム教徒の入国は認めない!メキシコとの国境に壁を築く!同盟国には応分の負担をさせる!国民との約束は必ず果たす!」とでもいうのかと思いきや、極めて紳士的かつ穏当なものでした。いままで「当選するための候補者としてのトランプ」を演じてきたドナルド・トランプ氏が、今度は「国民や世界から尊敬される大統領としてのトランプ」を演じようとするのではないかと思います。
 
 いずれにせよ、我が国は、政治経験も軍隊経験も全くない初めての大統領と向き合うことになります。米国から言われたからもっと負担を増やすとか、今でも十分に負担しているのでもうこれ以上は払えない、などという態度で臨むのではなく、アジア・太平洋の安全保障環境と米軍の展開能力や自衛隊の能力を正確に把握した上で、日米同盟そのものをより発展的に見直すということまでを視野に入れて能動的に当たるべきです。
 自主防衛とか核保有などという荒唐無稽な議論に巻き込まれてはなりません。トランプ大統領誕生に右往左往することなく、問われているのはまさしく我が国そのものなのだという自覚が必要であり、私自身、心していかねばならないと思っています。

 6日日曜日、学習院大学学園祭で、久々にテーマを安全保障に絞った講演を行ってまいりました。多くの方が熱心に聴いて下さり、女性もかなり居られたのが印象的でした。講演後の質疑も相当にレベルの高いもので、説明し、理解を求める我々はもっとこのような機会を増やし、努力を重ねなくてはならないことを痛感しました。

 昨日より、「石破茂LINEスタンプ」が発売になりました(全40種類ワンセットで120円)。「面白い!」「こんな時に何を考えているのだ!」と反応は様々ですが、何でも新しいことを試みる時には賛否両論あるものでしょう。
 「魔除けにどうぞ」というセールストークが有効だ、という意見もあり、「石破茂を演じる」のも楽ではありません。大変な努力をして下さった平将明代議士に心より感謝申し上げます。多くの方にお買い上げいただけるととても嬉しいのですが…。

 週末は、12日土曜日が長野青年会議所11月公開例会で講演、討論会、懇親会(午後2時半・ホテル国際21・長野市県町)、「報道特集」出演(午後5時半・収録・TBS系列)。
 13日日曜日は下根弘氏顕彰碑建立記念除幕式(午前11時・鳥取市佐治町古市)、若桜町ジビエ・フェスタでトークショー(午後1時・道の駅若桜)、という日程です。
 秋らしい日々もないままに、季節は急速に冬に移りつつあるようです。
 皆様お風邪など召しませんよう、お元気でお過ごしくださいませ。

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2016年11月10日 (木)

自民党政策集団「水月会」LINEスタンプ登場

 事務局です。
 キャラクター・イシバくんが、LINEスタンプとして登場しました。
 自民党政策集団「水月会」公式ホームページの下記「LINEスタンプ」バナーから購入サイトに行けます。
 

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2016年11月 4日 (金)

在職30周年、韓国、ロシアなど

 石破 茂 です。
 1日の総務会で自民党総裁任期を現在の2期6年から3期9年に変更することが了承され、来年3月の党大会に諮ることとなりました。総務会後、マスコミの諸兄姉が私のところに殺到して「ご感想は?これに関してご発言はなさいましたか?」などといつものようにお尋ねになり、いい加減うんざりしながら対応したのですが、他に訊くことは無いのですかね?
 正式な機関で議論して決めたことなのですから、それはそれで良いのです。今回の任期延長については、次の党大会で一般党員によって判断されることになります。

 10月31日に「衆議院在職30年にあたり石破茂を囲む会」を開催させて頂きました。全国各地から2千名を超える方々にお出かけ頂き、心より感謝申し上げます。
 政治資金パーティは、企業や個人の皆様に時間的・金銭的なご負担をお願いするもので、内心とても心苦しいのですが、利益率が下がっても料理と飲み物は出来るだけお出しするように心掛けております(一応飲食の対価として会費を頂戴することになっています)。次回からは、会それ自体をさらに楽しんで頂けるような趣向を考えたいと思っております。

 閣僚の発言には常に細心の注意が必要です。重要法案などを抱えて疲労が極限に達している時など、特に気を付けなくてはなりません。自分では気がつかなくとも、聞いている方々に喜んでもらおうと思うあまりに発言して、それを聞いた人の百人に一人でも違う捉え方をすればどうなるか、万全の心配りが求められます。そうすると平板なつまらないスピーチになってしまいがちですが、それもやむを得ません。以上自分の反省から。
 それにしても、本件についてのコメント欄を見ていると、そんな捉え方もあるのかと考えさせられますね…。

 韓国の大統領職には何故あのように政権後半になると決まってスキャンダルが起こるのか、どうにもよくわかりません。1987年に盧泰愚政権において民主化宣言がなされ、民主主義が導入されて既に30年が経っており、未だ定着していないとも思えませんが、民主化以前も含めて歴代10人の大統領のうち8人が暗殺、自殺、投獄、亡命などの末路を辿っており、これは半島国家の民族性という言葉で片付けられるものでもないようです。隣国の政治風土についても深く考察する必要性を感じています。

 外交は内閣の専権事項であり、我々には交渉の内容を窺い知ることも出来ませんが、中学生の頃読んだ司馬遼太郎の「坂の上の雲」の中に、
「ロシヤ人は、民族としてはお人よしだが、それが国家を運営するとなると、ふつう考えられないようなうそつきになるというのは、ヨーロッパの国際政界での常識であった」
と書かれていたことをよく覚えています(第2巻215頁)。
 日露戦争の前、日露協商論の伊藤博文と日英同盟論の桂内閣の対立を描いたこのくだりは、同書の中でも最も面白い部分のひとつで、他にも
「ロシヤと手をにぎれば小娘が手も足もしばられて手ごめにされるようなものであり、しかも結婚の約束となると蹴倒されてにげられてしまう」
「『ロシヤ国家の本能は、略奪である』とヨーロッパでいわれていたように、その略奪本能を武力の弱い日本が、外交のテーブルの上で懇願してかれ自身の自制心によって抑制してもらうというのは不可能であった」
などといった記述がみられます(引用はすべて原文のまま)。
 私は司馬史観の絶対的な信奉者ではありませんが、考えさせられること、深く頷かされることは多々あります。 オホーツク海の聖域化がロシアの核戦略上決定的に重要であることはこの地域の安全保障を考える上での常識であり、ソ連以来不変のものと思われます(中国が南シナ海に執念を燃やす理由も恐らく同様です)。だからこそ、オホーツク海に面していない歯舞・色丹の2島返還という話になるのかも知れませんし、政府はすべてを勘案して交渉に臨んでいることと思いますが、何が日本の国益に資するものなのか、私たちはよく考えなくてはなりません。

 日経BP社より、内閣府地方創生人材(シティマネージャー)第1期生として地方に派遣された諸兄姉が書いた「未来につなげる地方創生」という本が発売されています。
 従来中央政府から地方自治体に派遣されるのは道府県や、県庁所在地など比較的大きな市の部課長として2年ほど赴任するのがほとんどであり、本当に人材を必要としている人口5万人以下の小規模の自治体には派遣されていませんでした。
 このような市町村を対象として始めた地方創生人材派遣制度で赴任した第1期生は私にとっても同志・戦友のような方々で、その苦闘の記録には大きな意義があるものと思います。よろしければ御一読下さい。

 週末は5日土曜日が、JAいなば国府支店と船岡支店のJAまつり、JAいなば青壮年部・女性部との意見交換会(15時・JAいなば本所)、日刊建設工業新聞新春インタビュー受け、とっとりジビエフェアで挨拶(19時・ホテルニューオータニ鳥取)。
 6日日曜日は学習院大学国際政治研究会2016年度講演会で講演(演題「日本の安全保障政策」、午前10時半・学習院大学西2号館201号教室)、高野光二郎参議院議員の国政報告会で講演・懇親会(午後4時・クラウンパレス新阪急高知)という日程です。

 11月に入り、今年も残り少なくなりました。寒さに向かいます折、どうかご健勝にてお過ごしくださいませ。

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