「国難」など
石破 茂 です。
「日本の国難」とは、2100年5200万人、200年後には1391万人になると予想される急激な人口減少と、激変する北東アジアの安全保障環境です。この時期の解散なのですから、この二つに明確な選択肢を国民に提示しなければなりません。
日本の高度経済成長の背景となった人口ボーナス期とは全く異なる人口構造になったにも拘らず、産業構造の転換も、人口政策も後手に回ったことは、我々政治に携わる者に大きな責任があります。金融緩和と財政出動で生まれた時間的猶予の間に、産業構造の転換と、地方・女性・人生のベテランが持つ潜在力を最大限に引き出す必要があります。
「やりっぱなしの行政・頼りっぱなしの民間・全然無関心の市民」という「地方創生失敗の三位一体」は秋田市在住の漫画家・こばやしたけし氏の言葉ですが、まさしくその通りですし、「行政」を「中央」に、「民間」を「地方」に置き換えても構図はほとんど同じです。
私が防衛に政策の重点を置くようになったのは、25年前、金日成主席の80歳の生誕祝賀行事の際に北朝鮮をこの目で見てからです。
当時は拉致問題も顕在化しておらず、核もミサイルも未だ実験しておらず、我が国巡視船との銃撃戦も無く、金丸自民党副総裁がお祝いのために訪朝するような時代でしたが、徹底した反日・個人崇拝、国民に対するマインドコントロールの実態を見て心底驚愕し、この国は将来必ず日本にとって大きな脅威になると直感したものでした。
その後、有事法制の成立、ミサイル防衛システムの導入など、拒否的抑止力の向上に努めてきましたが、北朝鮮の脅威が現実のものとなった今、核抑止を含む日米同盟の実効性向上、ミサイル防衛体制の拡充、国民保護体制の整備を早急に図り、脅しに屈しない外交による平和的解決を可能としなければなりません。
民主党政権当時の岡田外相が「危機的状況や重大な局面においても非核三原則を貫くかどうかについては時の政権が判断する」と国会で答弁しているように、非核三原則のうち「持ち込ませず」については実質曖昧な状態になっているのですが、危機的な状況になってから「持ち込み」を行うことはかえって事態の悪化を招きかねませんし、仮に米国が「持ち込まない」という判断をすれば米国の決意が疑われかねず、どちらもあまり得策とは考えられません。平時における抑止力の実効性について、精緻な議論を経た結論を得ることが必要不可欠です。
ミサイル防衛については、SM-3ブロックⅡA(日米共同開発の新型迎撃ミサイル)とイージスアショアの早期配備、EMP対応も可能なブーストフェイズでの破壊能力(BPI)の具体化と法整備を急がねばなりません。
国民保護については、国家緊急事態基本法の制定を急ぐとともに、情報伝達の迅速性と正確性を向上させなければその実効の確保は望むべくもありません。
以上の二つの実現は、極めて急を要します。この選挙は「自公VS希望の政権選択選挙」「安倍VS小池」と言われるようになってきましたが、「国難突破か、しがらみのない政治か」などという抽象論を闘わせたり、「疑惑隠しの自己都合解散」「急拵えの実質第二民進党」などという応酬に終始することなく、双方が具体的な政策を提示し、国民に問う選挙でなくてはなりません。
自民党は、五年前に政権に復帰した時に国民が期待した「謙虚で、誠実で、正直な党」としてその原点に立ち返らねばなりません。これも強く訴えていきたいと思います。
地元である鳥取一区には初日と最終日に短時間しか入れない見通しですが、水月会メンバー、与党の同志が一人でも多く戻ってくるように最大限活動してまいります。
週末は、明日30日(土)が鳥取県倉吉市議会議員選挙応援、県政記者室インタビュー。
10月1日(日)が水月会秋田セミナー(午後1時半・秋田キャッスルホテル)にて講演、懇親会、という日程です。
皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。
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