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2017年12月28日 (木)

バラエティ出演など

 石破 茂 です。
 先週末、少し時間があったので本当に久しぶりに書店を覗いてきたのですが、近刊の中に読んでみたいタイトルの本が多くあったことに驚きました。当事務所に送られてくる本だけで、雑誌の類を除いても一週間に5冊はあり、事務所の執務机は片づけても片づけてもいつも雪崩寸前状態、とても書店を覗く気にならなかったのですが、これではいけないと改めて思ったことでした。
 いかにネットが普及しても、実際に書店に行って本を購入して読んでみなければわからない知識がいかに多いことか。自分に心地よい知識や言説にばかり接していると、どうしても視野狭窄的・独善的になってしまいがちで、よく気を付けなくてはならないと自戒しております。

 ネットメディアが発達し、必要な知識や情報が簡単に手に入るようになりましたが、やはり活字媒体や地上波の力は大きいのだなと思わされます。
 活字媒体は何度も読み返せるところに大きな意義があり、理解できるまで何度も読み返すことにより思考力が養われるように思います。
 地上波の衰退が言われていますし、広告収入の推移などからその傾向は明らかなのですが、時折バラエティ番組に出演してみるとやはりその反応の大きさには驚かされます。バラエティ番組に出ることには自分自身いささか抵抗感もあるのですが、視聴率10パーセント以上というのはそれなりに大きなことで、とにかく視て、聞いてもらわなくては何も始まりません。毎日忙しい一般の方々が日ごろ接する機会の少ない分野について、10人のうち2人でも3人でもご理解いただければそれでよいのだと割り切っています。憲法然り、安全保障然り、地方創生然りです。
 その意味で、爆笑問題の太田光さんとのやりとりは私にとっても大変勉強になります。私の知っている限り、ビートたけしさんと太田光さんは本物の天才のように思われます。

 沖縄県宜野湾市普天間第二小学校への米軍ヘリ部品落下事故とそれに次ぐ飛行再開は、本土ではその後大きな話題にもならずに推移しているように感じられ、大きな危惧を覚えます。
 この根幹にあるのは日米安保条約と一体である地位協定なのであり、これを正面から論じ、より良い形に変えていくことなくして日本国の真の独立はあり得ません。憲法論議の核心もまたここにあるはずなのですが、その意識は乏しいのが実態です。
 大切なものはその価値を正確に認識し、維持するため常に努力していなくてはいつかはそれを失うのであり、気付いた時にはもう遅いのです。国家の最大の目的は独立の堅持であって、目的と手段を取り違えるのは本末転倒の議論です。

 普天間第二小学校が米軍基地に隣接していることを捉えて、同校に対して、「自作自演ではないか、何故移転しないのか」などとの批判が寄せられているそうですが、昭和30年代、多くの米軍基地を本土に置いておけば反米感情が高まる恐れがあり、当時まだ返還されていなかった沖縄が本土からの移転先として決定されたという経緯があって今の状況になっているのは、立場の相違を超えて明らかな歴史的事実です。
 勿論それだけが理由ではなく、軍事的合理性も当然配慮されていたにせよ、結果的に本土の負担が軽減され、沖縄の負担が増したというべきなのでしょう。
 批判を封じることがあってはなりませんが、同校に対する批判の多くが匿名であることには、何とも言えないやるせなさを感じます。無責任かつ思い遣りに欠ける日本人が増えて欲しくはありません。

 今年もあと3日となりました。
 大晦日は例年通り「大晦日列島縦断live!景気満開テレビ」に生出演します(午前7時・フジテレビ系列)。この番組も今年で10周年なのだそうですが、2011年以来7年連続の出演となります。各地の業績好調な企業の取り組みはどれも独創的・画期的なもので、毎回とても参考になるのですが、これをどのようにして全国に拡げていくのか、なかなか良い思案が浮かびません。
 その後選挙区に帰り元旦午前零時より、恒例の東部事務所前の元旦挨拶を行います。これを始めた32年前は「若桜街道商店街元旦初売り」という行事に参加する形で、事務所がある商店街も賑やかで活気があったのですが、今は人通りも減ってしまい寂しい限りです。でも「元旦に鳥取事務所に行けば石破に会える」と毎年のように来て下さる方もありますし、「どんどろけの会」のメンバーも多数ご参加いただいており、とても有り難いことです。

 本年一年、誠に有り難うございました。来年も何卒よろしくお願い申し上げます。
 皆様良き年をお迎えくださいませ。

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2017年12月22日 (金)

自民党憲法改正推進本部の議論など

 石破 茂 です。
 一昨日、自民党憲法改正推進本部の総会において、自民党としての改憲4項目についての論点整理が了承されました。憲法改正の項目を絞り込むにあたって、二次にわたる改正草案を党所属議員・党員に対して説明し、どれを改正項目として優先的に取り上げるかというプロセスを経なかったことは誠に残念です。今の時点においても我が党の党議決定である24年草案について、説明する機会を一度も持たなかった理由は一体何であったのでしょうか。
 12月16日、自民党宮城県連政治塾において憲法改正について述べる機会があったのですが、こんな話は初めて聞いた、という反応が多かったように思われました。
 24年草案の起草委員は当時の中谷元委員長をはじめとして、私を含む22人が今も現職議員であり、21年から二年にわたり本部長であった保利耕輔先生もご健在です。現在の党所属議員に説明したり、手分けをして全国の党組織を廻る人員も時間も十分にあったはずと思うと、残念です。

 改正項目を絞り込むに当たっては、なぜ今それらが必要なのかを説明しなくてはなりません。それが時代や環境の変化によるものなのだとするならば、どのように時代や環境が変わり、なぜ今の憲法では対応できないのかを明確にしなければ、国民の理解は得られません。改正した場合、現在と何がどのように変わるのかまで具体的に示す必要はないでしょうが、最低限の方向性だけは示さねばならないと考えます。

 その点、参議院の合区解消は、再来年に選挙を控えており、緊要性・時限性のあるものなのですが、焦点となる第9条については、安全保障環境の急激な変化に対応するものなのか、それとも「自衛隊は憲法違反」とする意見を払拭することに眼目があるのかを明らかにせねばなりません。
 国際法上の概念としての交戦権と自衛権は一体のものであり、本来分けて考えることは出来ません。なのに交戦権を否認されたままで本当に自衛権行使が出来るのか。臨検・拿捕は出来るのか。それなくして経済封鎖の一翼を担うことは出来ません。
 中期防や防衛大綱の見直しが具体的なスケジュールに上る中にあって、立法府によるコントロールの実効性も担保されなくてはなりません。防衛出動の下令は国会の権能として憲法に明記することにより、立法府によるコントロールがより実効性を持つものとなります。
 
 我が国最強無比の実力集団である自衛隊と国家との関係も、自衛官の使命感や正義感にのみ委ねることは、国家組織論としては本来、妥当性を欠くものです。
 もちろん今の自衛官が政府に対して反旗を翻すことは全く考えられませんが、近代市民国家の最大の課題の一つは政治と軍事の関係にあったのであり、我が国だけが例外ということはありえません。
 自衛隊を軍と認めて初めて、政軍関係が憲法上明確に位置づけられるのであり、自衛隊は警察のように行政そのものなのでない以上、政軍関係を明確化する必要があるはずなのです。

 「『自衛隊は憲法違反である』という言説が存在すること自体が自衛官に対して失礼だ」という思いは十分に理解出来ますが、自衛隊が防衛出動時に発生した事件を一般の軍事知識に乏しい裁判所で裁くこともまた、自衛官の権利を損なうことになるのではないでしょうか。
 戦前の軍法会議に多くの問題があったことは事実ですし、この言葉に暗くてネガティブなイメージがあることも確かです。だからといってこの問題を忌避してよいはずがありません。

 再来年には今上陛下が退位され、新天皇陛下が即位されます。
 24年草案においては、現行憲法第四条で「天皇はこの憲法の定める国事に関する行為のみを行い」としているのを、現行の国事行為に加えて「(その他)国または地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う」としています。現行憲法の国事行為の限定列挙は「日本国民統合の象徴」であらせられる陛下のお立場と整合しておらず、この規定を改めることが必要なのではないかとの問題意識によるものであり、畏れ多いことであってもこれも避けて通るべきではありません。

 憲法改正、特に第9条は「ハードルが高い」と言われます。しかしハードルを乗り越える努力も行わずに最初から「どうせわからない」と決めつける姿勢が仮にあるとすれば、賛同しえません。むしろ「ハードルが高い」からこそ、国民に向けた地道な説明努力が何よりも大切なのだと思います。
 
 今度改正を行えば「日本国民が自主的に選んだ憲法」という位置づけが確定します。私はその立場には立ちませんが、根強くある「押し付け論」「無効論」は今後一切意味を持たなくなることにも注意が必要です。

 あらゆる法体系の頂点にある憲法について論じることは、我が国の在り方そのものを論じるということです。
 であればこそ、本来党所属の全議員が参加して徹底した学習を行い、侃々諤々の議論を闘わせ、地方組織においても丁寧に説明して理解を得るというのが、本来あるべき姿だと思っています。
 報道によれば「石破さんがそう(筋論を)唱えるのなら、まず他党を説得してから言ってほしい」と某ベテラン議員が語ったとのことですが、まず問われるべきは我が党の姿勢なのではないでしょうか。我が党が決然たる姿勢を示すことによってこそ、その本気度が国民にも(他党にも)伝わるのだと私は信じています。

 ほとんど私自身が見る機会はないのですが、民放のワイドショーは日馬富士の事件でもちきりのようです。貴乃花親方についても「まるでガキのようだ」などと決めつけて揶揄する論調まで見られますが、力士として、横綱として、どのような相撲を取ってきたのか、それがそもそも天覧試合を発祥とする国技である相撲道に対する姿勢に直結するのではないでしょうか。
 平成13年夏場所、貴乃花関が最後に優勝賜杯を手にした一番で、当時の小泉総理は「感動した!」との名台詞を発せられましたが、貴乃花関の相撲には「とにかく勝ちさえすればよい」などという価値観は微塵も感じられませんでした。牢固とした因習に敢然と立ち向かう姿には、貴乃花の相撲観が強く反映されているように思われてなりません。

 週末は、24日(日)午後・元鳥取県森林組合連合会 代表理事会長 森下洋一氏 叙勲受章祝賀会(ブランナールみささ)、午後6時・テレビ朝日系列「TVタックル年末スペシャル」放映(収録)、という日程です。
 今年もあと10日となってしまいました。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年12月15日 (金)

米軍ヘリ部品落下事故など

 石破 茂 です。

 沖縄県宜野湾市普天間第二小学校での米軍ヘリコプターからの部品落下事故は、一歩間違えば重大な犠牲が生じかねなかったもので、極めて深刻に受け止めなくてはなりません。今回は沖縄県警が異例の普天間基地への立ち入り調査を行うなど、それなりの対応がなされていますが、地位協定の見直しに正面から立ち向かう必要性があるものと考えています。  
 日米安保条約とセットである地位協定の見直しの困難性は十分に承知しており、さればこそ日本政府としても可能な限りの運用の改善に極力努めてきてはいるのですが、日米安保体制の根幹を揺るがすような取り返しのつかない事態が生じてからでは遅いと思われます。
 「対等な地位協定とは何か」について、政府内に居た時に何度か国会答弁でも言及したのですが、事柄の性質と防衛大臣という立場上(本件は外務省所管)婉曲に言わざるを得なかったため、議論を進展させられなかったことを残念に思っています。
 今回の事故について、だからこそ辺野古への移設を急がねばならない、というのはその通りですが、報道を見る限りにおいて、沖縄と本土の温度差を強く感じます。これは沖縄に限ったことではなく、基地所在地域のみならず日本全体の問題なのであり、我々には世論喚起に更に努めていく責任があります。

 今週はいくつかのBS番組で宮家邦彦氏、西岡力氏、武貞秀士氏らと久し振りに議論する機会があり、いくつもの有益な示唆を得ることが出来ました。勿論見解を全く一にするものではありませんが、「懲罰的抑止力」「拒否的抑止力」「拡大抑止」などという基本的な概念を共有していると、議論が噛みあってとても有意義です。

 各地で講演をする際に、予めその地域に伝わる神話や民話も調べていくように心掛けているのですが、全国あちらこちらに本当に興味深い話があることに気付かされます。今週も必要があって「国母」と言われる木花咲耶姫(このはなさくやひめ)伝説について調べたのですが、これが実に深くて、悲しくて、美しい。その他最近では市川市の手児奈(てこな)伝説、郡山市の春姫伝説(筋立てがシェークスピアのロミオとジュリエットによく似ています)、佐久市の駒姫伝説などに魅かれました。古事記や日本書紀を改めてきちんと読み直してみるとさぞ楽しいのだろうと思うのですが、時間的に無理なのでしょう、残念。
 
 歴史教科書から坂本龍馬や吉田松陰などの偉人を削除することの是非について議論があるようです。単なる暗記力だけを問う歴史教育は改めなくてはなりませんし、今回の「高大連携歴史教育研究会」(政府に設けられた公的なものではありません)の提案もその趣旨のようですが、歴史を学ぶことの意義や楽しさについて、さらに深い議論を期待しています。
 
 週末は、16日土曜日に自民党宮城県第1区支部懇談会、地方政治学校「宮城未来塾」で憲法改正の実現について講演(午前11時20分・TKPガーデンシティ仙台)、鳥取市建築連合会懇談会(午後6時半・ホテルウェルネス因幡路)、どんどろけの会クリスマスパーティ(午後7時・ホテルニューオータニ鳥取)。
 17日日曜日は鳥取県自治体代表者会議・地方分権推進連盟30年度予算に関する意見交換会(午前9時・ホテルニューオータニ鳥取)、中部大志会例会・忘年会(午前11時半・倉吉市内)、という日程です。

 今年もあと二週間となりました。年末年始ご多忙の折、皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年12月 9日 (土)

ライブエンタメ議連など

 石破 茂 です。 
 7日木曜日、私が会長を務める自民党ライブ・エンタテイメント議員連盟総会において、チケットの高額転売を規制する「特定興行入場券の転売に関する法律案(仮称)」の概要が承認され、次期通常国会において議員立法として成立させるべく、今後の作業を加速させることとなりました。いわゆる「ダフ屋」的な行為は近年のインターネット社会の進展に伴いその手口が巧妙となっていますが、対応する適当な法律がないため、今回の動きとなったものです。
 当初私は、たとえ高額であってもどうしても入手したい人が購入する場合、刑法総論にいう「被害者の承諾」との関係はどうなるのだろうかなどと漠然と考えていたのですが、買い占めにより行きたい人が行けなくなる、アーティストや興行主に入るべき収入が入らず、反社会的団体などの資金源となる、実際の興行において大量の空席が生ずる、などの社会的害悪に着目して、規制の目的を「特定興行入場券の不正転売を禁止するとともに、その防止等に関する施策を講ずることにより、興行に係る入場券の適正な流通を確保し、もって興行の振興に資する」こととしたところです。
 当日は、武田鉄矢さん、サカナクションの山口一郎さん、東京オリパラ競技大会組織委員会スポーツ局長の室伏広治さんにもお越しいただき、いつもの自民党の議連とはまた違った雰囲気でした。「三年B組金八先生」で生徒役だった三原じゅん子参院議員と金八先生役の武田さんとの再会など、芸能誌・スポーツ紙的な話題にもなったようです。
 実際の作業を取り仕切ってくれている山下貴司衆院議員の尽力に心から感謝しています。

 同じく木曜日に日本テレビ系で放映された「出川哲郎のアイアムスタディ」で、出川さんとミサイル防衛や日本の安全保障について語ったのですが、予想外に多くの反響を頂きました。
 バラエティ番組に出演することには少しく躊躇いがあるのですが、出川さんの独特の素敵なキャラクターもあって、一般の方のご理解を多少なりとも頂けたようにも思います。政治報道はどうしても政策よりも政局に偏りがちで、事の本質がなかなか伝わらない中、バラエティ番組出演は政策を分かりやすくお伝えするための一手段と割り切る他はないようです。

 週末は、9日土曜日が鳥取県トラック協会の陳情・意見交換の会(午前11時半・鳥取県西部トラック事業協同組合・米子市流通町)、平成29年度日本看護連盟中四国ブロック看護管理者・看護教育者看護政策セミナーにて講演(午後1時半・米子ワシントンホテル)という日程です。
 今年も余すところあと三週間余りとなりました。
 皆様ご多忙の年末、ご自愛の上ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年12月 7日 (木)

ライブ・エンタテインメント議員連盟総会の様子です。

 事務局です。
 本日(12/7)開催された、ライブ・エンタテインメント議員連盟総会の様子です。

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(武田鉄矢さん、サカナクション・山口一郎さん、室伏 広治さん)
 

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保護猫カフェ「ネコ・リパブリック」にお伺いしました。

 事務局です。
 朝日新聞出版 週刊「AERA」より「ニャエラ」の取材で、保護猫カフェ ネコ・リパブリックへお伺いした時の様子です。

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2017年12月 6日 (水)

12/7「出川哲朗のアイ・アム・スタディー」が放映されます。

 事務局です。
 明日(12/7)、先日収録した番組が放映されます。
 
 19:00~ 日本テレビ「出川哲朗のアイ・アム・スタディー」

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2017年12月 5日 (火)

イシバチャンネル第八十弾「「北朝鮮対応」 など

 事務局です。イシバチャンネル第八十弾をアップロードしました。「北朝鮮対応」 などです。

ぜひご覧ください

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2017年12月 1日 (金)

韓国・仁川でのフォーラムなど

 石破 茂 です。
 今週衆参両院において開催された予算委員会は、野党側の質問内容の重複や論点の拡散などが目立ち、質問と答弁との擦れ違いもあって消化不良のままに終わってしまったように思われました。
 質問に臨むにあたっては、予め一貫したストーリーを組み立て、議論のあらゆる展開を想定して精密に構成と内容を練り上げておかなくてはならないのですが、どうにもそのような姿勢が多くの野党側の質問者に感じられず、これが通常国会でも延々と続くのかと思うと暗澹たる思いが致します。
 政府・与党側にせよ、野党側にせよ、有権者には政治家の真剣な姿勢の有無が見抜かれていることを思い、一層自重自戒しなければならないと痛感しています。

 27日に韓国・仁川で開催された「次世代のグローバルガバナンスと北東アジア協力」と題するフォーラムは、なかなか興味深いものでした。韓国からは国会議長をはじめとする国会議員、ロシアからは国会副議長、中国からは清華大学教授が参加し、それぞれの立場の違いが垣間見えたようにも思いました。
 私はスピーチの中で、「日韓は『対立の管理』から『協力の開拓』の関係を目指すべき」と述べたのですが、韓国側の虚を突かれたような反応が印象的でした。領土問題や歴史認識で両国の立場は大きく異なっており、譲れないものは決して妥協してはなりませんが、置かれた現状が相当に似通っている安全保障問題や人口急減、首都一極集中、外国人労働者問題など、互いに話し合い、解決を目指すべきテーマは多くあるのであって、文在寅大統領の提唱する「ツー・トラック方式」がそれを志向しているものであればいいと思います。国内世論に配意するあまりの日韓の冷えた関係が何処を利する結果となるのか、考えてみる必要があります。

 今回の北朝鮮によるミサイル発射についても、その意図を巡って様々な議論がありますが、ああまたか、と反応を鈍化させることは禁物で、ミサイルと核の小型化の技術が着実に進展しつつあることをよく認識しなくてはなりません。北朝鮮とアメリカがICBMの廃棄、核拡散の凍結、体制の保障などで合意し、現状が固定されるという状況を回避するために何をすべきなのか、まさしく時間との戦いです。
 その意味で「米中戦争前夜 新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ」(グレアム・アリソン著・ダイヤモンド社刊)は興味深い論考です。
 著者はレーガン政権からオバマ政権まで、40年近くにわたって米国国防長官の顧問を務めたハーバードケネディスクールの初代学長ですが、年末年始に精読してみたいと思います。

 毎年この時期に述べている気も致しますが、12月となりクリスマスも近づくと、いつも0・ヘンリーの不朽の名作「賢者の贈り物」を読み返したくなります。
 さる11月26日、立正大学熊谷キャンパスで講演をした際にお目にかかった斎藤昇学長はアメリカ文学の研究家なのですが、同学長からご著書「ユーモア・ウイット・ペーソス 短編小説の名手0・ヘンリー」〈NHK出版〉をご恵贈いただきました。文庫本末尾の解説とはまた違った深い味わいがあり、短編集や傑作選(いずれも新潮文庫)と併せて読んでごらんになることをお勧めいたします。
 
 週末は、3日日曜日に長野県佐久市における講演会「国政の動きと佐久市の将来展望」(午後3時・佐久平交流センター)、参加者の方々との懇談夕食会(午後5時半・佐久市内)という日程です。
 本年もあとひと月たらず、皆様ご多忙のことと存じますが、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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