長野祐也先生ご逝去など
石破 茂 です。
27日の党首討論は、前回5月の討論後に枝野立憲民主党代表が「党首討論はその歴史的使命を終えた」と述べたことに対して、安倍総理が同様の発言をする、という不可思議な展開となってしまいました。
極めて限られた時間にも関わらず、互いが延々と自説を述べあうことになっては、討論にはなりません。それを「歴史的使命を終えた」などと言ってしまうと、運用を間違えて本来の機能が発揮できていないのに、それを制度のせいにしてしまうことにもなりかねません。
党首討論は正式には「国家基本政策委員会」という名称なのですが、国家の基本政策があのような短時間で論じられるはずもないのですし、討論を仕切る委員長には議歴を重ねたベテランが就任しているのに、単なる開会と閉会の宣言役となってしまっており、議論をリードするという本来の役割を発揮できておらず、討論になりようがありません。見ている国民が、ますます政治への関心や共感を低下させるという悪循環に陥らないかと心配になります。
・党首討論の回数と時間を増やし、視聴者が見やすい時間帯に行なう
・代わりに予算委員会など各種委員会への総理の出席を減らす
・テーマを予め設定する(「外交政策」などという漠然としたものではなく「朝鮮半島情勢と日本の対応」といった具体的な国民の関心事に絞る)
・委員長が強い権限を持つ(委員長は中立・公平な立場にあって議論をリードし、互いに延々と自説を述べるようなことをさせない)
などの工夫により、党首討論は本来の役割を果たすことが出来ると考えます。与野党ともに、国民に向き合い、語り掛け、互いの足らざるところを改めるという議会本来の役割をよく認識しなくてはなりません。
九月に予定されている自民党総裁選においては、政治に向かう基本姿勢、政策、党の在り方などについての堂々たる論争、単なる言いっ放しではない真のディベートが展開されなくてはならないと思います。
この度、日本・アラブ首長国連邦(UAE)友好議員連盟の会長に就くことになりました。テロ特措法に基づきインド洋に海上自衛隊の補給部隊を派遣した際、何度か訪問したご縁によるものかと思います。
面積は北海道とほぼ同じ、人口は約450万人、日本は原油の四分の一を依存し、自動車や電気製品を輸出するという関係ですが、英・仏・米・中などに比して人的交流はなお希薄な状態が続いています。
もともと関係の深いイギリスは士官学校に王族を多く迎え入れ、フランスはソルボンヌ大学の分校とルーブル美術館の分館を設置し、ルクレール戦車とコルベット艦を輸出、最も多くの留学生を受け入れているアメリカは同国にアメリカン大学を設置しF-16戦闘機を輸出、中国は大量の労働者を派遣しています。
日本が採れる政策の選択肢の幅は狭いのですが、中東で比較的政情が安定し、親日的で、西アジアの安全保障などにおいて国益が共通するUAEとの連携強化のため、尽力してまいります。
竹下内閣において厚生政務次官を務められ、議員引退後は政治評論家として活躍された、元衆議院議員 長野祐也先生が膵臓がんのため逝去されました。享年78。
私の初当選以来、議員ご在職時も、引退されてからもとても暖かいご配慮を頂いてまいりました。当選一回生の時、海のものとも山のものともわからない私に対して物心両面にわたってお助けいただいて以来、その関係はご逝去になるまで変わることがありませんでした。
中央大学御在学中に全国学生弁論大会で三年連続優勝された、他の追随を許さない弁舌で正論を唱えられ、先見性と、弱きを助け強きを挫く気概を持たれた素晴らしい方でした。
ラジオ日本で20年近く続く「政界キーパーソンに聞く」という番組を持たれ、5月23日議員会館にお越しになり、討論させていただいたのが最後となってしまいました。随分と面変わりされ、ご病状がただごとではないことが察せられたのですが、番組冒頭の「政治評論家の長野祐也です!」という張りのあるお声はいつもと変わらず、この番組にかける先生の鬼気迫る情熱を感じました。
結局私とのこの討論が番組の最終回となってしまいました。ご生前に賜りました幾多のご厚情に深謝し、御霊の安らかならんことをひたすらお祈り申し上げます。
週末は講演や懇談のため、青森県へ参ります。
関東甲信地方は本日、平年より22日早く梅雨明けとなり、真夏の日差しが照りつけています。関東甲信が6月に梅雨明けするのは統計を取り始めた1951年以来初めてとのことで、暑くて長い夏が始まります。
皆様ご自愛の上、ご健勝にてお過ごしくださいませ。
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