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2019年2月22日 (金)

予算委員会質疑など

 石破 茂 です。
 小泉内閣や福田内閣などで閣僚を務めていた時、予算委員会での一般的質疑において答弁を要求された際は、前の質疑者の質疑中には委員会室に入っているように厳しく指示されたものでした(ごくたまに、前の質疑が予定時間より早く終わることがあるため)。
 自分に対する質問のある質疑が始まる時間に居ないなどということは全く許されることではなく、至極当然のことですが、今は一体どうなっているのでしょう。
 政府が提出する予算案や法律案は、政府側から国会に対して審議をお願いし、可決・成立を期すものなので、特に野党に対してはひたすら丁寧に、低姿勢で臨むものであったのが、近年はその雰囲気が薄れて、対決型になってしまったように感じます。
 野党に対して喧嘩腰で臨むのは、すなわちその支持者である有権者に対してもそうであるということです。それぞれのスタイルがあるのでしょうが、自分の主張が正しいと確信していても、それをわかって頂くための努力は誠心誠意するべきものだと教わってきた私には、この国会が今までとはと相当に異なったものであるように思われます。地方自治体の自衛官募集や「悪夢の民主党政権」を巡るやり取りには、ただただ嘆息を禁じ得ませんでした。
 理由は不明ながら、我々ベテラン議員には質問の機会が回ってこないため、朝から夕方までずっと座っているのですが、自分のことを棚に上げて敢えて言えば、聴いていると質問者や答弁者の見識や力量がよく見えます。報道は派手な質問や閣僚の失態ばかりを採り上げますが、今週の質疑の中では公明党の岡本三成議員(比例北関東)の質問がポイントを的確に捉え、本質論を論じる聴きごたえのある見事なものでした。

 今週もほとんど予算委員会の質疑に出席しており、委員会終了後も予定が毎晩複数入っておりましたため、本欄を落ち着いて書く余裕が全くありません。事情ご賢察のうえ、ご寛容くださいませ。
 週末は、23日土曜日が福井県へ、24日日曜日が米子市、境港市から北海道空知管内、25日月曜日は空知管内から留萌管内へと参ります。
 統一地方選挙や参議院選挙が近づき、どうしても移動の多い日程になりがちです。来週はもう三月に入るのですね。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2019年2月15日 (金)

北方領土など

 石破 茂 です。
 2月7日の「北方領土の日」における政府側の挨拶から「不法占拠」という表現が消え、翌8日、「北方領土は日本固有の領土か」との野党議員の質問主意書に対して「ロシアとの今後の交渉に支障をきたす恐れがあることから、お答えすることは差し控えたい」との政府答弁書が閣議決定されたことには強い違和感を覚えます。「北方領土はソ連に不法占拠された日本固有の領土である」というのがすべての原点であり、ここを曖昧にしてしまうのは国民の国家観や歴史観を危うくする危険極まりないことです。
 日ソ中立条約にある「相互不可侵・戦時中立」を、同条約がまだ有効であった1945年8月9日にソ連が一方的に踏みにじって日本に侵攻したことが北方領土問題の根源であり(ソ連側からの破棄通告は同年4月5日、条約の期限満了は1946年4月25日、同条約は期限満了の1年前に破棄通告をすれば延長されない、とされた)、これを不法な行為と言わずして何というのか。
 1952年のサンフランシスコ条約によって日本は千島列島を放棄したのですが(これに北方領土は含まれない、とするのが我が国の立場)、ソ連はその6年前の1946年1月2日に北方領土を併合しています。
 仮にソ連の言うように北方領土が日本が放棄した千島列島に含まれるとしても、1946年時点でそれは全く確定していない状態だったのであって、日本の領土でなくなったのではありません。そもそもソ連はサンフランシスコ条約の署名を拒否したのであり、同条約第25条が「非署名国には何の条約の利益も与えない」としていることから考えても、同条約によってソ連の併合行為が事後的に承認されたことには全くなりません。
 これが歴史的な事実であり、国際法的にも正当な主張であるはずです。ソ連の継承国であるロシアに対して「お願いして北方領土を返還してもらう、経済で協力すれば領土が返ってくる」などという考えが万が一にもどこかにあるとすれば、それは完全に間違っていると言わざるを得ませんし、ロシアの感情を害さない、などということを配慮する必要は全くありません。ロシアはそのように甘い国では全くない。
 高齢化された旧島民(国後・択捉を当然含みます)の方々の思いを最大限に尊重するのは国家として当然のことですが、これと国家主権は別の問題です。平和条約を締結すれば、当事国間の一切の問題はすべて確定されるのであって、その後の領土問題の進展など望むべくもありません(なお、両国の戦争状態は1956年の日ソ共同宣言によって終了しており、平和条約を結ばなければ終了しない、とするのは誤りです)。歴史や国際法を正しく教えない国家は、いつの日か必ずその報いを受けます。
 「ロシアについての希望的観測、交渉力の欠如、任期中の成果を焦る政治家の功名心、これが対露政策の三悪である」とこの分野に精通されたある元外交官が断じておられますが、そのようにならないようにすることが国政を国民から負託された国会議員の務めと信じます。

 2月10日の自民党大会における総裁演説で安倍総裁は「自衛官募集に協力的でない自治体があるが、そのような自治体からでも災害派遣の要請があれば自衛隊は出動する」と大意述べられた上で、憲法第9条改正の必要性を力説されました。
 防衛庁・防衛省に副長官・長官・大臣として4年近く居たとき、自治体の当該年齢に該当する方のリストをご提供いただくなどの全面的な協力はどうすれば得られるかについて随分と検討したものですが、これを憲法や災害派遣と絡めて議論したことはありませんし、憲法に明記されていないので協力しないという自治体を私は寡聞にして知りません。お気持ちはわかるものの、論理としては相当に飛躍があるように思います。

 北方領土にしても、憲法にしても、感情を優先するあまり論理や国際法を軽視してはなりません。
 本日の自民党憲法改正推進本部で講演された野田将晴氏(私立勇志国際高校校長・元熊本県議・とても正義感の強い方とお見受けしました)は「今はとにかく半歩前進することが大事だ」と述べられたので、「半歩の残りは何だとお考えか?」とお尋ねすると「理想は第二項を削除することである」と率直にお答えになりました。
 これまた総裁が再三述べておられるように「憲法は国の理想を表すもの」なのですから、その追求は常に真摯であらねばならず、論理的整合性を捨象した情緒論は厳に戒めるべきものと考えます。

 元警察庁キャリア官僚の幕連(まく・れん。立場上実名は出せないのでしょうね。実名を明かせば誠に見上げたものですが)氏の著書「官邸ポリス」(講談社)の帯には「92%は現実である」と書かれていましたが、書きぶりが実にリアルで、いかにもありそうな内容でした。官僚が政治を操るのは政治の側にも責任が多々あるとはいえ、嘆息・慨歎の極みです。

 2月4日の誕生日ならびに2月14日のお心遣いをくださった方々に厚くお礼申し上げます。
 今週は予算審議の予算委員会出席にほとんどの時間を費やしました。
 週末は、明日16日に大阪府、明後日17日は静岡県に参ります。
 立春を過ぎてもまだ寒さが続いております。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2019年2月 8日 (金)

毎月勤労統計調査不正問題など

 石破 茂 です。
 毎月勤労統計の問題は、この先どうなるのか見通しが立たないのですが、官僚の側に数字をよく見せかけるための偽装や忖度があったとはどうにも考えられません。
 そうであるだけに、統計を担当していた厚労省の前政策統括官が予算委員会審議の直前に官房付に異動する、参考人としては呼ばない、あるいは調査を担当した厚労省特別監察委員会の樋口美雄委員長(とても立派な方です)の予算委員会への出席を要請しながら「『労働政策研究・研修機構』の理事長として呼んでいるのであって監察委員長としての答弁は出来ない」とする、などの対応は、形式論理としては正しくても、かえってあらぬ邪推を招きかねないのではないかと危惧します。
 様々な事情もあるのでしょうが、疑念が早急に払拭され、本来あるべき充実した審議が行われることを国民は望んでいるはずです。今日の審議から厚労省・前政策統括官を国会に参考人として出席させることで与野党が合意しましたが、当然というべきでしょう。

 総理は「平均賃金は下がっていても総雇用者所得は増えており、経済の実態としてはそちらの方がわかりやすい」「実質賃金よりも名目賃金が指標として重要である」と再三強調しておられます。
 総雇用者所得とは毎月の現金給与総額に総労働者数を乗じたものですから、雇用者数が増えれば増加します。給与が上がっていなくても雇用が増えているのだから、経済が好調だ、ということは言えるでしょう。失業率が低いのはよいことですし、新たな雇用が創出されたのも事実です。
 ですからそれはそれで正しいのですが、国民一人一人の実感としては景気回復と相当の乖離があることも認めなくてはなりません。
 「連合の調査によれば」というフレーズも、連合が野党の支持団体であることを踏まえた上で時々発せられていることと思いますが、その組織率は17・4%にしか過ぎず、またその多くは雇用が比較的安定している大企業労働者です。総雇用者所得や平均値、どちらにせよ国民の実感と乖離が生じるのはある意味当然のことであって、大企業、中堅企業、中小企業、零細企業・事業者ごとに名目・実質賃金の推移を明らかにすることが必要ではないでしょうか。
 所謂アベノミクスに裨益した層がどこにどれほどおられるのか、裨益していない層はどこにどれほどおられて今後どのようにして対応するのか、労働分配率は大企業と中小企業とでは大きく異なっているのではないか、大都市や大企業の成長の果実がやがて地方や中小企業まで波及するとのトリクルダウン理論を採っているのかそうでないのか(総理は2014年にテレビで「シャンパンタワーのように上のグラスから下へと伝わっていく動きがまさにアベノミクスの考え方なんです」と発言されたはずですが、昨年の総裁選においては「トリクルダウンと言ったことは一度もない」と述べておられました)、等々、今後は事実と正確な数字に基づいた精緻な検証がなされることを期待しています。

 戦局が悪化した昭和19年、先帝陛下(昭和天皇)は小磯内閣の米内海軍大臣に対し「日米の戦力比はどのようになっているか」とご下問になり、海相は井上成美次官に回答の作成を命ずるのですが、次官に呼ばれた海軍省軍需局長は「いつものようにメイキングするのですね」と平然と答えたと言われています(「不可視の視点」・保坂正康)が、事実とすれば、なんとも恐ろしいことです。

 一昨日の北方領土の日の政府主催の式典の雰囲気は、従来とは微妙に異なっていたと報ぜられています。この件については回を改めて論じますが、「隣国によって一平方メートルの領土を奪われながら放置する国は、その他の領土も奪われ、ついには領土全てを失い、国家として存立することをやめてしまうであろう」というイェーリングの著書「権利のための闘争」の中にある言葉を叩きこまれてきた私には、思うところが多々あります。

 18歳未満人口1000人当たり児童虐待相談対応件数の全国比較を見ると、最多の大阪府が8.52件、最小の鳥取県が0.94件で約9倍の開きがあります。あくまで相談対応件数なので、虐待の実態とは乖離があるのでしょうが、地域差の原因を分析してみる意味は大いにあるものと考えます。

 最近の日本語の使い方でどうにも気になることが二つあります。
 一つ目。最近「本日お伺いして親しくご挨拶するべきところ、やむを得ない用務のため欠席の失礼をお許しください」など、「親しく」という言葉の使い方が間違っているとしか思えないスピーチやメッセージが多いように思います。「親しく」というのは本来、高貴な方が自らなさることを指すときに使うもので、自分が高貴な者であると自認しているのならともかく、このような使い方は明らかに間違っているとしか思えません。
 選挙のスピーチでも「今日は私、○○が皆さんのところに親しくご挨拶に参りました」とか、挙句「本日は○○候補のために石破先生が皆さんに親しく応援に来られました」などと言う方がおられて、これで票が減らなければよいが、とその都度内心ひやひやするのですが、さりとて言いづらくて困惑してしまいます。
 二つ目。「○○のため、全力を尽くします」というフレーズをよく耳にするのですが、そうあちらこちらに「全力」を尽くせるものではなく、「精一杯の努力を致します」と言う方が正しいと思います。細かいことに拘り過ぎなのかもしれませんが…。

 週末9日土曜日は千葉県、10日日曜日は自民党定期党大会に出席の後広島県へ、11日建国記念日は埼玉県へ参ります。
 また寒気が戻ってきたようです。三連休の方も、休みと関係なくお仕事をなさる方も、どうかご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2019年2月 7日 (木)

イシバチャンネル第九十二弾

事務局です。イシバチャンネル第九十二弾をアップロードしました。「人前で話すには」 です。

是非ご覧ください

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2019年2月 1日 (金)

イシバチャンネル第九十一弾

事務局です。イシバチャンネル第九十一弾をアップロードしました。「2018年の振り返りと2019年の抱負」 です。(撮影日:2018年12月27日)

ぜひご覧ください

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イシバチャンネル第九十弾

事務局です。イシバチャンネル第九十弾をアップロードしました。「出入国管理及び難民認定法改正案について」 です。


ぜひご覧ください

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国の統計など

 石破 茂 です。
 
統計を表す英語Statisticsの語源はState(国家)と同源のラテン語であることを不勉強ながら今回初めて知りました。
 厚労省の毎月勤労統計問題は決して矮小化することなく、場合によっては関連法の改正も含めて改善策を早急に立案し、実現することが日本国にとって急務です。
 猪瀬直樹氏の著作「昭和16年夏の敗戦」にあるように、統計を軽視し、国策を誤り、多くの犠牲を生ぜしめ国土が灰塵と帰したことに対する深い反省から、吉田茂総理はマルクス経済学者の大内兵衛に命じて統計法の基礎を作らせたと伝えられています。
 今回の問題の背景には、各省庁がバラバラに統計を行い、人員を大幅に削減してきたことがあります。2004年の「骨太の方針」において「農林水産統計などに偏った要員配置等を含めて、既存の統計を抜本的に見直す。一方、真に必要な分野を重点的に整備し、統計精度を充実させる」と定められたことを受け、農水・厚労・国交・文科等の統計要員が大幅に削減され、内閣府・警察庁・総務省などが増員されたのですが、「真に必要な分野」とは一体何であったのか、要員の削減によって現場の負担が増して精度が低下することはなかったのか、単なるスキャンダル追及に堕することなく、これらの点について徹底した検証をすることこそ国会の使命です。
 賃金や労働時間を全数調査しなければならないにも拘らず、勝手に2004年からサンプル調査に切り替え、全体を把握するための補正作業を行わず、このミスに気付いた後、2018年からのものだけを発表したため、2018年に突如として賃金が急上昇したように見える結果となったのは実に不可解です。
 日本の統計要員はカナダの十分の一、フランスの六分の一、米英の三分の一とも報ぜられていますが、これも今回の事案が明らかになるまで知りませんでした。「統計を疎かにする国は滅びる」。己の不勉強を恥じております。

 今週の自民党憲法改正推進本部で議題の一つとなった憲法改正国民投票の際のメディアによる広報活動、特にテレビCMの取り扱いについては、私は全面的に容認することなく、賛成派も反対派も同じように取り扱うべきだとの立場です。広告料が欲しいテレビ、権力の支援を必要とする財界、意図する憲法改正を実現したい権力が一体となれば、有権者に対して圧倒的な影響力を行使することが可能となります。大手広告代理店と契約して人気番組の前後のCM枠を確保し、人気タレントを起用すればその効果は絶大です。
 そもそも15秒から最長で30秒という短時間のテレビCMで憲法の当該条項を改正する意味が正確に伝わるとはとても思えません。憲法改正はあくまで理性で判断すべきものであり、感性や情緒に訴えれば本質が見失われてしまう危険が大きい。テレビ、特に地上波の持つ依然として強い影響力を年末年始にいくつかの番組に出演してみて痛感させられました。
 私は一貫して、憲法第9条第2項を改正し、「必要最小限度なので戦力ではなく、したがって陸・海・空軍ではない。必要最小限度なので交戦権には当たらない」などという世界に全く通用しない天動説的な誤魔化しをやめるべき、との立場です。確かにこれは感性による訴えに馴染むものではありませんが、むしろ論理を超越して感性に訴える手法は、国民を愚弄し、政治の責任を放棄するものだとの思いを禁じ得ません。
 発議するのは国会なのですから、その構成員である国会議員がそれぞれの地区で「憲法改正国民投票管理委員会」(仮称)が開催する公開討論会に参加し(衆参共に発議内容に一方の立場の議員がいない選挙区は他選挙区や比例区の議員が参加する)、これをテレビやインターネットで紹介することは技術的に可能なのではないでしょうか。発議する国会の構成員たる国会議員が憲法について語れないなどということがあってよいはずがありません。
 最大の難点は、互いを平等に扱うルールを確立し、司会進行役に人を得なければ失敗することは明らかなことで、ここは頭の痛いところですが、もう少し考えてみたいと思います。
 権力・財界・メディアが一体となったとき、民主主義などあっという間に崩壊してしまうことの恐ろしさは歴史が証明するところです。

 国会閉会中、JR各社の新幹線に乗る機会が多かったのですが、JR東海の新幹線内の車内放送は何故日本語と英語だけなのか、とても気になります。他社は中国語や韓国語の案内も併せて行っており、インバウンドが急増する中にあって最も来日客が多い台湾・中国・韓国の英語を解さない人に対してもっと親切であってもよいのではないでしょうか。放送時間が長くなる、耳障りである、というのなら電光表示で簡潔に案内すればよいのではないかと思うのです。
 駅の改札口でも、自動改札を利用できないパスしか持っていない外国人が、一つしかない有人改札口に列をなして混乱している場面も何度か見かけましたが、これも早急に改善すべきです。
 外国の交通機関で日本語の案内がないことは事実ですが、だからといって日本もそれでよいということにはなりません。訪日客が日本を好きになってくれることも日本の主張の正しさを世界に広める国家戦略の一つなのではないでしょうか。
 1月20日の毎日新聞朝刊の「時代の風」に、藻谷浩介氏が昨年の訪日外国人を人口比で分析し(香港が3人に1人、台湾が5人に1人、韓国が7人に1人、オーストラリアが45人に1人、タイが61人に1人、中国が169人に1人、アメリカが214人に1人来日)、「精神的に鎖国した日本人が増えていないか。外国の事情を肌で知ろうともせず、空想の世界観の中で『日本は』『日本人は』と言い募る。他者に匿名で罵詈雑言を浴びせることは、相手が誰であるかを問わず大人として恥ずかしい行為だ、という認識がない。目先の儲けや人気取りのために他者への恐怖や敵愾心を煽る輩に対抗するには、感情抜きに事実を事実として確認し、その上で冷静に考える習慣を持つ人間を増やすしかない」と論じておられますが、まさしく然りと思います。

 千葉県野田市の児童、心愛(みあ)ちゃん虐待死事件は、昨年の結愛(ゆうあ)ちゃん事件の教訓が全く生きていないことを証明する結果となりました。政府としても新年度予算で児童相談所の体制を大幅に強化するなどの対策を講じようとしているのですが、全国的に緊急に実態を調査するなどの対応が必要です。
 貧困・未熟な親・地域社会からの孤立・ステップファミリーなど虐待の背景はいくつか指摘されていますが、一番の要因は地域社会からの孤立である、と先日米子市で対談した毎日新聞の野沢編集委員が述べておられました。
 結愛ちゃんといい、心愛ちゃんといい、「愛」の字を名前に付けるからには、生まれたときに親にもそれなりの願いがあったのでしょう。なんとも胸が塞がれる思いです。

 いささか長文となり失礼致しました。週末は自民党鳥取県連会長として県内各地で開催される自民党や公明党の諸会合に出席の予定です。
 今日から2月、まだまだ寒さが続きます。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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