地元の教育など
石破 茂 です。
統合型リゾート(IR)にカジノを併設する本来の目的は、その収益を国際会議場や展示場の利用料低減のために充てて国際競争力を確保するというものであり、カジノそのものが自己目的ではなかったはずなのですが、そのあたりの議論が不十分であったように感じています。
逮捕された秋元司議員については論じる知識を持ちませんし、今後の捜査や裁判の進展を注視する他はありませんが、統合型リゾートについての国民の理解を十分に求める努力が更に必要です。
先週23日土曜日の鳥取市青翔開智中・高等学校での「真の教育改革は地方から」というテーマでの講演は、私にとっても勉強になる有り難い機会でした。内閣府の調査によれば、小・中学校で学年が上がるごとに「地元に愛着を感じる」度合いが低下するのだそうで、高校生となれば尚更のことと思われます。「東京をはじめとする都会で勉強するのは、そこで得た知識を地元で生かすため」という教育の価値観は、昨今あまり見受けられません。
エネルギーと食料を生産し、出生率の高い地方が衰退し、政治・経済・文化の中心地ではあってもエネルギー・食料はほとんど生産せず、出生率が全国最低の東京だけが残る、というような国家は持続可能性を持たないのであり、地方の潜在力を最大限に伸ばすとともに、東京が抱える災害に対する脆弱性や歴史に例を見ない高齢化などの負荷を低減し、国の在り方を根本的に変えるのが「地方創生」だったはずなのですが、時間と共にその認識が薄れつつあるようです。
首都一極集中が進み、地方が衰退するという現象は先進成熟国家に共通の現象ではなく、明治以降、そのような国を設計し、ここまでの成功を収めたことが限界に達した今こそ、一度原点に立ち返り「地元を愛し、発展の可能性を見出し、目的意識を持って学ぶ」教育を実現することが必要です。
ほとんどの都道府県立高校の入試で地元に関する出題はなされておらず、当然それを学ぶ機会もあまりないと思われますが、学習指導要領はあくまで「その範囲を逸脱しなければよい」という性格のものであり、地域によって独自の教育を施すことは十分に可能なはずです。
地方創生のみならず、歴史を将来の糧とするためにも地方との繋がりは重要です。戦艦武蔵の最後の艦長を務め、レイテ沖海戦で艦と運命を共にした猪口敏平海軍少将、神風特攻隊の命名者で特攻隊の先任参謀であった猪口力平海軍大佐の兄弟(鳥取市賀露町出身)や、ただ一人で戦時国際法を論じて戦犯裁判を戦い、自分が罪をすべて負って部下を守り抜いた東海軍管区司令官の岡田資陸軍中将(鳥取市江崎町出身)の生き様を学ぶことは、太平洋戦争の教訓を得るにあたってとても有益です。
猪口艦長については吉村昭の「戦艦武蔵」(新潮文庫)、岡田中将については大岡昇平の「ながい旅」(新潮文庫)をお読みいただければと思います。なお藤田まこと主演の映画「明日への遺言」(アスミック・エース配給・2007年)は岡田中将の「法戦」を客観的かつ淡々と抑えた表現でリアルに描いた作品です。
報道は「来年は政局の年」と煽り、その中には必ず私の名前が登場するのですが、自分の持つ内容の薄さを少しでも克服し、政治に誠実さと真摯さを取り戻すべく、日々精進努力する他はありません。来年も皆様のご教導をお願いする次第です。何卒よろしくお願い申し上げます。
年末年始は、28日土曜日が鳥取中央農協役職員・青年部・女性部幹部との忘年懇親会「第27回ミッキー会」(午後6時・倉吉市内)。
31日大晦日は「列島縦断Live景気満開テレビ」生出演(午前7時・フジテレビ系列)、年末恒例の「どんどろけの会」行く年来る年の会(午後11時・東部事務所・鳥取市戎町)。
元旦は実践倫理宏正会鳥取会場元朝式(午前5時・鳥取卸センター)、自民党国府町支部因幡一の宮宇倍神社参拝(午前8時・同神社)、自民党国府町支部新年会(午前8時半・同神社参集殿)、という日程です。
「景気満開テレビ」出演も今年で確か10回目となります。忙しい大晦日の朝7時からテレビを観ている人もそう多くはないと思うのですが、伝統の技術を生かして世界でも高く評価されるブランド鋳物メーカーとなった「能作」の能作克治さん(富山県高岡市)、手巻き寿司で二兆円を売り上げる「マイスター工房八千代」の藤原たか子さん(兵庫県多可町)、金沢の金箔加工現場で働く女性の美肌作りの工夫を生かした商品「まかないこすめ」を開発した「ディーフィット」の立川真由美さん(新宿区神楽坂)など、全国の素晴らしい方々とお知り合いになることができ、地方創生について多くの学びを得たことには心より感謝しております。
当選前年の昭和60年より三十数年来、大晦日から元旦にかけて事務所前で「お茶配り」を行ってきたのですが、鳥取駅前でのカウントダウン行事が無くなったこともあって事務所のある商店街の人通りがほとんどなくなってしまいましたため、今年から「行く年来る年の会」として事務所内で行うこととなりました。どなたでも出入りご自由ですので、もしお通りがかりになることがあれば、是非お立ち寄りください。
今年の当欄は本日が最後となります。
皆様ご健勝にてどうかよい年をお迎えくださいませ。