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2020年2月28日 (金)

予算案衆議院可決など

 石破 茂 です。
 本日夕刻の衆議院本会議において令和2年度予算案が可決され、参議院に送付されました。
 予算委員会での審議をずっと聴いていたのですが、かなり粗い議論に終始してしまったように感じています。不透明な経済情勢を踏まえた予算案の内容よりも、「桜を見る会」「IR」「検事長の定年延長」について議論が集中したのですが、全くと言っていいほどに噛み合っていませんでした。「桜を見る会」の総理後援会の前夜祭については、ホテルの領収書と明細書の有無についての確認ができれば簡単に済む話なのでしょうが、それが出てこないのも不思議でなりません。

 

 IRについては、日本国民の経済的な犠牲によって海外業者が大きく潤うというものではなく、トータルで地域や日本経済全体にとってプラスになるものだ、という具体的な設計の提示が欲しかったところです。
 東京高検検事長の定年延長については、これまでの「一般の公務員とは異なり、検察官には定年延長は適用されない」としてきた政府解釈を突如として変更した理由と経緯について、国民が十分に納得出来る説明が必要です。現・東京高検検事長はおそらく有能で正義感に溢れた方なのでしょうが、それならそれで「彼は余人をもって代えがたい。現在のこの案件には彼以外対応できない」というある程度具体的な説明が必要でしょうし、そもそも正攻法で検察庁法自体の改正という方法を取らなかった理由も不分明です。
 法務省には「行政機関がその意思決定に至る過程ならびに事業の実績を合理的に跡付け、後に検証できるように事務及び事業の内容を文書にする(軽微なものは例外とする)」という文書主義に基づく文書管理規則があるのですが、何故今回は口頭による決裁が行われたのか、明快な答弁ではありませんでしたし、法務省の考えを了とした人事院の意向を示した文書に日付がないことについて「人事院事務総長が法務事務次官に文書を手交したので文書に日付は不要」とした人事院の答弁もいまだによく理解できません。まさか検事の定年延長を「軽微な事案」とするのでもないでしょうし、高官が手交すれば書類に日付は不要、と行政官が心底思っているわけでもないでしょう。今後の参議院の審議において国民が納得のいく説明がなされることを期待しています。

 

 委員会や本会議では与党が多数を占めているので、何とか審議を乗り切ることは可能ですが、自民党の議員各位は本当にこれらの事案について選挙区で有権者にきちんと説明が出来るのでしょうか。各種世論調査において、内閣支持率や自民党支持率が低落傾向にあることは故無しとしないのであって、これを軽視してはなりません。遅くとも来年の10月までには来たる総選挙において国民の審判が下るのであり、私自身、敬虔な畏れをもって臨む気持ちを持っていたいと思います。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、社会の動揺が収束する気配はありません。多くのイベントが中止・延期・規模縮小となり、インバウンドのみならず国内観光客も激減、経済へも深刻な影響が懸念されています。
 政府も関係者もそれぞれ全力を尽くしていると思いますが、我々は3.11東日本大震災・大津波・原発事故の対応の誤りを繰り返してはなりません。国民が受ける多大な心理的・経済的負担と、感染拡大のリスクとの比較衡量が要求され、何をやっても必ず大きな批判に晒される極めて困難なオペレーションですが、あくまで国民の立場・目線を最優先とし、己の立場や保身を極力排して、情報の迅速・正確な公開に努めなくてはならないと考えています。

 

 世の中に無謬などということはあり得ないのですから、クルーズ船乗客の下船の際の対応は不十分であったと率直に認めるべきでしょう。下船後も12.5日間は隔離できる環境を作り、経過を観察するべきでしたし、公共交通機関による移動を認めたことも適切ではなかったものと思います。私自身、入港時に「14日間は船内に留まって頂くべき」とテレビで発言したことを反省しております。
 検査を拒否する権限が保健所にあるというのもどこか妙な話で、検査希望者が迅速に受検できる体制を医師会との協力のもとに早急に確立せねばなりません。希望者が殺到して大混乱になる、というのは理由にはならないように思われます。
 新型コロナウイルス感染の症状は普通の風邪やインフルエンザとどこが違うのか、特効薬がない以上、安静にして免疫力を高める以外に対応策はないのですが、「罹患した時にどうするか」という情報発信も積極的に行う必要がありますし、集会やイベントの開催自粛についても明確な方針を政府として示し、開催者や会場などの損害についてある程度補償できるような方策も打ち出すべきではないでしょうか。

 

 このような中で、総理が打ち出された「小・中・高・特別支援校の三月からの休校要請」は、国民にかかる負荷と感染拡大防止の効果を比較衡量の上、ご自身の責任において表明されたもので、決然たるご判断だったと思いますし、昨日の水月会総会において私も「春休みの前倒し、その間のエアコン未整備校の工事実施、夏休みの短縮」という趣旨の発言を致しました。
 総理が述べられた通り、これはあくまで強制力を伴わない「要請」であり、判断は地域の実情を最も知悉した学校開設者(主に自治体)に委ねられます。小さなお子さんのおられる共働きのご家庭に対する支援など、国民が困惑している諸問題については、今後政府と自治体とが連携して考えられる限りの対策を早急に提示する必要があります。「あまりに唐突」との批判ばかりしていてもどうにもなりません。

 

 例えば、保育士資格を持っていながら現場に出ていない「潜在保育士」は約80万人おられ、「自分の子育てに支障が出る」「責任が重い」「所得が少ない」というのがその主な理由だそうです。この際、「どの地域に、どれだけ潜在保育士が居られ、現場に出られない理由は何か」を悉皆的に把握し、たとえ短時間でも現場に出て頂く施策を早急に実行すべきと考えます。また、地域コミュニティにおけるシニア世代による子どもの支援についても、システムを確立することができれば、子育て世代の負担の軽減とともにシニア世代の活躍にもつながります。
 この危機を一つの契機として、この問題に限らず、かねてからの諸懸案に総力を挙げて解決策を見出すことも意義あることです。

 

 週末は、29日土曜日がオイスカ普及拡大の集いで講話(正午・名鉄トヨタホテル・豊田市喜多町)、豊田市憲法研修会で講演(午後2時半・茶房あまの・豊田市青木町)、八木哲也衆議院議員・環境大臣政務官後援会女性局主催・ふるさと対話集会(午後4時・三区会館・豊田市喜多町)、同懇親会(午後6時・名鉄トヨタホテル)。
 3月1日日曜日は、奈義町地方創生の取り組み見学(午後2時・奈義町内)、地方創生懇談会(午後4時半・那岐山麓山の駅)、という日程です。
 岡山県東北部の鳥取県境に位置し、陸上自衛隊日本原駐屯地が所在する奈義町は人口6000人余りの小さな町ですが、一時は0.41まで下がっていた出生率を2014年には2.81にまで上昇させ、現在も高い水準を維持しています。かねてから一度訪れてみたいと思っていたので、今回の機会をとても有り難く思い、有意義な時間となることを期待しております。
 当初は文化センターで広く町民の方々を対象とした講演会を開催して頂く予定だったのですが、集会自粛のため延期となりました。29日には自民党愛知県連政治塾での講演、1日には鳥取市で親族の集まりである「盤山会」の総会・講演・懇親会も予定されていたのですが、これらも延期となりました。
 3月から5月にかけて予定されていた多くの会合が延期となり、さりとて現状では他の予定も組みにくく、かなり困惑しております。多くの皆様も同様のことと存じますが、この1、2週間が正念場、ということのようです。
 明後日から3月ですね。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

 

 

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2020年2月21日 (金)

2月22日など

 石破 茂 です。
 「ダイヤモンド・プリンセス」号は横浜港に接岸はしているものの、船籍は英国で船内は英国領と同じ扱い、運航会社は米国、という法的には極めて複雑な状態にあります。各種権限の行使について整理を一度しておかなければなりません。知見がおありの方は是非ご教示ください。
 接岸当初、私は「最大限の配慮をしたうえで、乗客と乗組員の方は14日間は船内に留まって頂かなくてはならないのではないか」と考え、テレビでもそう申し上げました。しかし、高齢の方や持病をお持ちの方が狭い客室内に長期留まれば相当に免疫力は低下していたはずで、その点にもっと配慮が必要であったと反省しております。知識が十分でないままに発言することは控えなくてはなりませんし、政府として可能な限りの対応をしているものと思いますが、不断の検証は常に必要です。
 青少年育成団体が中国へ送った支援物資の箱に「山川異域 風月同天」と記したことは素晴らしいと思います。中国全土からの入国を拒否すべき時期にも来ていると思いますが、この精神は持ち続けたいものです。

 東京高検検事長の定年延長にはやはり釈然としないものがあります。解釈変更を行政府が行うのは当然だ、集団的自衛権でもそうだったのではないかとの意見が一部にあるようですが、それは違うと思います。
 「集団的自衛権行使不可」は憲法上の要請ではなくあくまで政策判断だったというのが私の考えですが、従来の「必要最小限度論」に立ったうえで「必要最小限度」の範囲が変わった、と解することも可能です。ただし、時の内閣の恣意的判断で解釈が変わってしまえば法的安定性を著しく損なうため、「安全保障基本法」的な法律を制定する必要がある、というのが政権復帰時の自民党の考え方でした(現政権における平和安全法制)。
 翻って、日本国憲法における「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」の三大原則が改正不可であるように、検察庁法における「検察官同一体の原則」は国家訴追主義とも関連するもので、そもそも解釈変更の余地はないのではないか。仮に一般法である国家公務員法に拠るとしても、東京高検検事長の定年を延長する「特別の理由」とは何か、政府には説明する義務があると考えます。
 今回の解釈の変更の合議については人事院内の決済も取らず、文書に日付も付されていないという杜撰ぶりで、行政の常識とも大きく乖離しています。政府内でよく調整をしなければ、国会の議論が混乱するばかりです。
 なお、最近の政府答弁で「いずれにせよ」「まさしく」「まさに」という言葉が多用されていますが、これらの言葉が使われるときは論理の飛躍や混濁がある場合があり、やや気になっています。

 さる11日、野球評論家の野村克也氏が急逝されました。平成22年、自民党が下野して最初の党大会には東京都知事にも経団連会長にも出席をお断りされてしまったのですが、来賓として野村氏にご出席頂き、メインスピーチをお願い致しました。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という野村氏定番のスピーチはあの頃の自民党に最も相応しいもので、党大会を企画立案した政調会長として深く感謝したことでした。御霊の安らかならんことを心よりお祈り申し上げます。

 週末は、22日土曜日が名古屋での結婚披露宴に出席(午後4時・名古屋市内)、「オールねこ感謝祭」出演(BSテレ東・19時~・収録)。
 23日日曜日は大阪府地方議員との懇談会で講演(午後5時・大阪市内)、鹿田松男大阪府議後援会新年会(午後6時半・同)という日程です。
 2が重なる2月22日は「猫と一緒に暮らせる幸せに感謝し、猫と共にこの喜びをかみしめる記念日」なのだそうです(「にゃんにゃんにゃん」の語呂合わせ。1987年に愛猫家の学者や文化人で構成される「ネコの日実行委員会」が制定)。世の中様々な団体や記念日があるものですね。BSテレ東の番組はどのような構成になっているのか、全く予想が不可能ですが、恐らく相当に面白おかしいものになっていると思われます。新型コロナウイルスの問題が顕在化する前の収録ですので、どうかご寛容くださいませ。
 新型コロナウイルスの影響で、全国各地で各種の集会が延期・中止されています。そのため今週末出席を予定していたいくつかの日程が無くなりましたため、空白時間のある週末となりました。この時間は外出を控え、溜まってしまった書類の整理や、読まないままに山と積まれている文献の通読、来週の講演やテレビ出演の準備などに充てたいと思っております。
 来週は2月も最終週となります。全国各地で梅が開花し、桜も異様に早い開花が予想されています。異常気象は台風や猛暑だけではありませんので、早めに今後の対応を考えておかなければなりません。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2020年2月14日 (金)

「7:3の構え」など

 石破 茂 です。
 かつて自民党の国会対策には、国会を運営するに当たって、野党に7割の配慮をするという「7:3の構え」という教えがありました。予算案にせよ法律案にせよ、国権の最高機関である国会に審議をお願いし、早期成立を図る環境を作るのはあくまで政府・与党の側なのだから、可能な限り辞を低くし、平身低頭の姿勢に徹するよう教えられたものでした。
 その後、内閣の一員となり、予算や自分が所管する法案をお願いする立場に立ったとき、この教えの意味が本当に理解できたように記憶しています。野党からどんなに罵詈雑言を浴びせられようとも、予算や法案が国民のためのものであることを信じる限り、いかなることも耐え忍ぶのだ、その姿勢はやがて野党や国民にも伝わるに違いない、と自分に言い聞かせたものでした。
 対決モードに終始している国会審議を見ていると、この教えが風化しかかっているように思えてなりません。国会法により議員は「質疑する権利」を有し、これに対して閣僚は「説明する義務」を負うのであって、両者の立場は明確に異なるものなのです。
 私は立派な人間では勿論ありませんが、ことを為すに当たってはあくまで謙虚で謙抑的でありたいと願います。国会見学に来た子供たちに民主主義や議会政治の価値をいくら教えても、もし実際に見た議会の姿がそれとあまりに乖離していれば、失望と虚無感を芽生えさせることになりかねませんし、それがやがて民主主義そのものの崩壊に繋がってゆく可能性を心から怖れています。

 総理は今国会の予算委員会においても憲法第9条の改正に再三言及され、「自衛隊は憲法違反」と言う学者がいること、それを紹介する教科書もあることを改正の理由としておられますが、いわゆるリベラル派の学者からだけではなく、保守派の学者の一部からも「自衛隊違憲論」が主張されているのは、「いわゆる芦田修正論に立たない限り合憲とは考えられない」との理由であり、これは思想や政治信条ではなく論理の問題だと考えられます。
 予算委員会で総理は「仮に自衛隊を明記する(だけの)改正案が国民投票で否決されても自衛隊の合憲性に全く影響はない」とも断言されました。それはその通りなのですが、だとするとそれだけを理由に提出する改正案の正当性が問われてしまわないでしょうか。
 まずは、「憲法改正の4項目のイメージ案」を党内において正式にどのような扱いにするのかを、早急に明確にすべきです。民主主義の本質的な価値が「手続きの正統性」と「少数意見の尊重」にある以上、これらを重視した対応が求められます。

 東京高検検事長の定年延長についても、何故一般法である国家公務員法が特別法である検察庁法に優先するのか、検察官同一体の大原則を超越できる理由とは何か、仮に国家公務員法が優先するとしたとしても、この場合、上級庁である高等検察庁の検事長の定年を延長すべき特別の具体的な理由とは何であるのか、納得できる説明が必要です。審議をほとんど全て聞いている国会議員がよくわからないのに、国民に解って頂くのは至難と言わざるを得ず、事柄が国民を起訴するという強大な権限を有する検事に関わるものであれば、尚更説明が求められます。

 公文書管理も担当する北村誠吾地方創生担当大臣に対する厳しい質疑が続いています。内閣府の大臣は多くの担務を抱えており、国民の財産である公文書の管理も極めて重要ですが、北村大臣のメインの仕事は地方創生であるはずです。地方に対する深い思いを持ち、地元の信頼も厚く、人柄も立派な同大臣は地方創生担当大臣として最も適任の方であるだけに、技術的な知見を必要とする分野は可能な限り専門分野に通暁した事務方がサポートして、地方創生の仕事にもっと注力できる状況が早く作られることを心より願います。

 さる2月11日、山形県米沢市において、当選同期であった遠藤武彦元農相のご葬儀があり、相前後して農林水産政務次官、副大臣(総括政務次官)、農林水産大臣を務めた者として弔辞を述べて参りました。年齢が離れていたこともあり、極めて近しいという間柄ではありませんでしたが、独特で強烈な存在感をお持ちの方で、遺された言葉にはとても重みがありました。
「政治とは何か、支配か、権力か。違う、奉仕だ。
 現代民主主義の政治は、限りのない奉仕だ。全体への奉仕、国家への奉仕、国際社会への奉仕。奉仕とは対価・代償を求めない人間の働きだ。
 普段にはなかなかそんなことは出来ない。出来ないから代わりにやってくれる人を選ぶ。それが政治家だ。
 政治家はその生きざまにおいて、人間としての完成を目指すものだと思う。だから政治家になったら、命も暮らしも捨てる覚悟がいる。
 政治とは絶えざる奉仕であり、究極には他人のために死ねるかということであろう」(月刊誌「赤蜻蛉」連載「エンタケの永田町だより」より。原文ママ)
 「群れず、与せず、混じわらず」を信条とし、誰からも「エンタケさん」と呼ばれて親しまれ、希代の政治家であり、求道者でもあった遠藤武彦先生の御霊の安らかならんことを希います。

 週末は、2月15日土曜日が鳥取県自民党国会議員新春の集い(午前10時・ホテルニューオータニ鳥取、午後1時半・倉吉シティホテル、午後4時半・米子ワシントンホテルプラザ)。
 16日日曜日は第39回全日本畳事業協同組合中国ブロック会議で講演(午後1時・ホテルニューオータニ鳥取)、中部大志会総会・新年祝賀会(午後4時半・打吹回廊)、という地元中心の日程となっております。
 二月も中旬となりました。故・村岡兼造先生のご葬儀に伺った秋田県由利本荘市も、米沢市も小雪模様の寒い日でしたが、これが本来の冬の日本海側の天気です。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2020年2月 7日 (金)

コロナウイルス対応など

 石破 茂 です。
 当然のことながら予算委員会はなるべく離席せず、質疑を聴くようにしておりますが、かつての予算委員会とは随分と様変わりしたように思われます。かつて自民党予算委員は、理事は勿論のこと、委員もほとんどが大臣経験者という重厚な構成で、当選期数の若い議員は差し替えで座る以外、まず予算委員会には所属出来なかったものですが、良し悪しは別として今は期数の若い議員の姿が目立ちます。閣僚経験者が質疑に立つ機会も少なくなっているようです。
 野党がこの有り様である現状においては、与党、とりわけ自民党の中から政府をチェックする姿勢を示すことが重要です。政府も無謬でない以上、答弁の内容や論理構成で改善すべき点は糺していかなくてはならないのであり、あらゆる答弁に「よし!」とか「そのとおり!」などという与党席からの合いの手が入ることには少しく違和感を覚えます。
 発言の機会のないままに予算委員会に座っているのはやや負担ではありますが、質問者の質問や、総理・閣僚の答弁を聞いていて、自分ならどのように問い、どのように答えるかを考えるのはとても勉強になります。かつて安全保障委員会の理事を務めていた時、当時の久間章生防衛庁長官の隙の無い、緩急をよく弁えた答弁からは多くのことを学び、貴重な糧を得ました。

 我が国は現在、中国からの入国者について湖北省からの方の入国拒否としていますが、同省の他にも、感染が蔓延しつつある地域へ拡大することも早急に検討すべきです。併せて医師不足や対応機材の不足が深刻となっている中国への支援はさらに積極的に行わなければなりません。狭隘な嫌中論より、その方がよほど国益に適うものと考えております。また前回、憲法改正の緊急事態条項との通底性を指摘しましたが、この機に乗じて緊急事態条項の議論を俎上に載せるべきものでもありません。それではかえって議論の真っ当な進捗を遅らせることになるものと考えております。

 トランプ大統領の弾劾審議は上院で「無罪」が確定し、秋の大統領制に向けて攻勢を強めると報ぜられています。他国の政治に言及すべきではありませんが、最側近であったボルトン氏の証言を共和党が拒否するなど、どうにも釈然としないものが残ります。トランプ大統領が下院で一般教書演説原稿をペロシ議長に渡した際、握手を求めた議長を大統領が無視し、演説が終わった直後に今度は議長が原稿を破り捨てる、という映像は実に異様なものでした。アメリカ国内の対立と分断、人心の荒みは一体誰が引き起こしたものなのか、そしてこれでアメリカは何処へ向かっていくのか、世界はどうなるのか、強い不安を感じた光景でした。

 今日の予算委員会の一般質疑は「桜を見る会」に関する公文書管理についての北村誠吾担当大臣の答弁で紛糾し、結局休憩のまま散会になってしまいました。北村大臣は人格の優れた気骨のある方で、私はかねてより敬愛しており、ご自身が大臣として対応していた時のことでもない「桜を見る会」関連で追及されているのを見ると同情を禁じ得ません。

 今週は予算委員会の審議出席にほとんどの時間を費やしましたため、記述が簡略かつ粗雑になってしまいました。ご容赦くださいませ。
 先週末の日程が少しハードだったせいか、少し体調を崩してしまい、週末は9日日曜日の元自民党総務会長・村岡兼造先生のご葬儀に参列する日程(午後1時・秋田県由利本荘市)のみと致しました。慶應義塾の大先輩であり、運輸・建設関係に強かった先生には、私がまだ若かった頃、地元の案件でわざわざ鳥取までお越し頂き、現地を視察後、陳情を受けて頂いたこともありました。このようなご恩は大切にしなければならない、といつも自分に言い聞かせております。
 立春も過ぎましたが、都心は今季一番の寒さとなりました。地元鳥取市でも昨6日、今年初の6センチのまとまった積雪となったそうです。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。


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