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2020年7月31日 (金)

李登輝先生ご逝去など

 石破 茂 です。
 27日月曜日、大阪市での講演で「投票を義務化することも考えるべきでは」と発言したところ、何故かこれが多くの報道に採り上げられ、賛否多くのご意見を頂きました。
 日本国憲法には「教育・納税・勤労」の義務が定められており、投票の義務は定められていませんが「納税が義務であれば、その使い途を問う選挙に対する投票の義務が課されてもよい」との議論もあり得ると思います。
 以前にもご紹介したかと思いますが、ギリシャ哲学の権威であった故・田中美知太郎・京都大学名誉教授はその政治論集の中で「主権者とは投票行動の際、自らが為政者であればどうするかを考えて投票出来る人のことであり、単にあれもして欲しい、これもして欲しいという欲望だけで投票する人は、かつて専制君主国において唯一の主権者であった王に対して懇願しかできなかった領民と同じく『サブジェクト(臣民)』にしか過ぎない」、大意そのように論じておられたと記憶しますか、投票は「国民の義務」というより「主権者としての義務」と言うべきなのかもしれません。
 国家や地域がどうなるかは自分のあずかり知ったことではない、誰かが考え、誰かがやってくれればそれでいいのだ、というのは、田中先生のいう「主権者」像とはかけ離れます。この議論では、必ず「投票したい候補や党がないから棄権が増えるのであって、義務制を唱えるよりも先に、投票したくなる候補者や政党になることを考えるべき」との論を述べられる方が居られますが、候補者や党に批判がある場合には白票を投じるべきものでしょう。このような「お任せ民主主義」のツケは必ず社会に回ってくることになり、民主主義とはそれほどまでに厳しい制度である、ということなのだと思います。

 今日の東京の新規感染者は463人となり、全国的に拡大が止まりません。百年前のスペイン風邪の例のように、「ウイルスが変異し、致死率が上がるなどの新たな猛威を振るうようになる」ことを「第二波」というのだとすれば、今回の感染再拡大はいわば「第一波の揺り戻し」なのでしょう。新型インフルエンザ特措法を改正して今回の新型コロナにも適用できるようにした特措法ですが、検証を行い、休業の強制化と補償の確保、市町村長への権限の付与など、更なる法改正が必要であれば、早急に作業を行い、整い次第、臨時国会を開いて審議を行わねばなりません。臨時国会の開会時期を政局と絡めて論じて、議論が妙な方向に向かってしまう愚は何としても避けるべきです。

 元台湾総統・李登輝先生が97歳でご逝去になりました。
 台北において、当選一回の自民党青年局訪台団の一員として先生に初めてお会いしたのは昭和62(1987)年の夏であったと思います。当時台湾はまだ戒厳令下にあり、李登輝先生は蒋経国総統(大統領)の下で副総統をお務めでした。「時間が一時間しかない。通訳を挟む時間がもったいないので日本語でやろう」と仰り、今後の日台関係について熱く語られた後「今月の中央公論の○○氏の論文(詳細は忘れてしまいましたが)は読んだかね」とお尋ねになり、読んでいなかった自分の不勉強を恥じたことでした。
 その後、東京や台北において何度もお話しする機会を得たのですが、その度に貴重なご示唆を賜りました。最後にお目にかかったのは江口克彦元参議院議員のお計らいで、一対一で台北のご自宅においてでした。齢90を過ぎてもなお世界政治について、今後の日台関係について長時間お話しくださいました。「哲人政治家」の名があれほど相応しい方も居られなかったと思います。御霊の安らかならんことをひたすらお祈り申し上げます。

 雑誌も含め、最近刊行されたものばかり読んでいると、時節柄もあってか気持ちが何となく殺伐としてきます。
 冒頭ご紹介した田中美知太郎先生の説は「田中美知太郎政治論集『市民と国家』」(昭和58年・サンケイ出版)に所載されていたかと思います。亡父は田中美知太郎先生の著作がことのほか好きでした。この本自体は父の死後発刊されたものですが、書店で見たときに父を思い出して迷うことなく購入いたしました。50歳近く年齢が離れていたこともあり、父を客観視することが多かったのですが、良い学者や本を数々紹介してくれたことを、今になってとても有り難く思っています。

 明日から8月というのに東京はまだ梅雨明けとなりません。この7月の日照時間は観測史上最も短かったとかで、夏の暑さが苦手な私もさすがに輝く太陽と青空が恋しくなっています。
 いくら何でも来週には梅雨明けすることと思われます。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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イシバチャンネル第百五弾

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イシバチャンネル第百四弾

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2020年7月22日 (水)

祝日と「バカンス法」など

 石破 茂 です。
 今週も東京や地方での講演が多い一週間です。今日はまだ水曜日なのですが、明日23日は「海の日」(本来は明治9年、明治大帝が灯台視察船「明治丸」でご巡幸先の東北地方から横浜港に帰着された7月20日)、明後日24日は「スポーツの日」(東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定だった本年に限って、本来の10月の第2月曜日から移動)、これに25日・26日の土日が続き、世の中は4連休となるようです。
 わが国の休日となる祝日は先進国中最多の16日あり、これは有給休暇を取りにくい日本の労働事情に配慮したものとされていますが、有給休暇を取りやすくする方が議論の本筋でしょう。「国民の祝日」と言いながらその日が何の記念日なのかを知る人もほとんど居らず、日章旗を掲げる家もごく僅かで、各地で行われる行事への参加も半ば義務的、日にちも移動が頻繁に行われる「祝日」とは一体何なのかと思ってしまいます。

 

 心身の健康を管理し、家族が団欒の数日間を共に過ごすことを可能とするためにも、欧州で広く普及している「バカンス法」的な立法が必要だと考えています。私自身、どちらかと言えば昭和型のワーカーホリック的人間で、銀行員時代、日曜日に独身寮で暇を持て余しながら「早く月曜日になって会社に行きたいな」と思っている自分に気が付いて愕然としたことがあります(終業後、午後11時ぐらいから終電まで、神田駅前の焼鳥屋さんで同僚と呑みたかっただけだったのかもしれませんが)。昭和50年代半ば、高度成長は終わっていたもののまだ日本には明るさが満ちていて、新入行員時代の比較的単純な仕事や上司・同僚・女子行員たちと過ごす時間の楽しさに満足していたのでしょうね。
 数年前、大分県安心院(あじむ)で開催されたグリーン・ツーリズムの会で講演した際、中小企業のカリスマと呼ばれる㈱武蔵野・小山昇社長のインタビュー記事を参考にしたのですが、同社長は、課長以上の社員に9日間の連続休暇を強制的に取らせる理由として、①会社のことしか知らない「会社人間」を作らない、②家族を大切にしない社員は会社の仕事も出来ない、③「俺がいなければこの会社は成り立たない」という意識過剰なモンスター社員は他の社員もダメにする、との三点を挙げておられました。自分のことを言われているようで耳が痛かったことをよく記憶していますが、時代の変わり目においては、長く刷り込まれてきた国民の意識を相当に意図的に変えていかなければならないのかもしれません。
 リーマン・ショック後、日本企業は賃金抑制、長時間労働、非正規雇用の増大、低金利政策、法人税引き下げなどにより、結果的に史上空前の利益を上げたことになっていますが、一方で国民の幸福度の実感は下がり続けています。結局、国民一人一人の幸福感を向上させるのが政治の役割であり、「誰かを犠牲にする社会は弱い」と言われる所以ではないでしょうか。

 

 今日からGo to トラベルキャンペーンが始まりました。マイクロ・ツーリズム的な視点が入らなかったのはとても残念ですが、今後も修正の余地はあるのではないかと思います。東京都民にも同じ国民として政策の効果が及ぶような展開を期待しております。やむを得ないことではありますが、先日帰郷した際、「コロナウイルスの影響で初盆なのに誰も帰ってこられない」と言っておられた方の寂しそうなお顔が印象に残っています。

 

 アメリカ合衆国とは何か、日米同盟とは何かにつき、考えさせられることの多い昨今です。米国や中国、韓国に限らず、相手国の情報を十分に得ないままに論ずることは、それが批判であろうと礼賛であろうと同じように危ういことだと思います。以前もご紹介しましたが、「日本の少子化 百年の迷走」(河井雅司著・新潮選書・2015)は、アメリカが日本をどのように見ていたか、そしてそれが今日に至るまでどのような影響を及ぼしているかがよくわかり、慄然とするものを感じます。是非ご一読ください。

 

 都心は今週も不順な天候が続きました。梅雨明けは来週以降となりそうです。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

 

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2020年7月17日 (金)

マイクロツーリズムなど

 石破 茂 です。
 全国各地で豪雨災害に遭われている皆様に心よりお見舞いを申し上げます。懸命に対応に当たっておられる関係各位にも敬意を表します。

 東京を中心とする感染者の拡大が止まらない中、政府が主導し、連休前の7月22日からスタートするGo to トラベルキャンペーンは、東京発着と都民を除外して実施されることとなりました。このキャンペーンの意義は否定しませんが、今はまず何よりも、体力的、精神的、経営的に厳しい状況にある医療関係者への支援が優先されるべきではなかったかと思います。加えて、令和2年度補正予算案においてこの実施を決定した文書には、実施時期を「今回の感染症の流行収束後」と明記してあったはずで、この整合性を説明出来るようにしなくてはなりません。
 また、キャンペーンに参加する際にはPCR検査を行うこと、当面は都民の東京都内間移動を含めた近距離移動のマイクロツーリズム的な小旅行を対象とすること、厳正な感染防止対策の基準を作成し、それに則った施設や機関のみを使用するようにすること、ホテル・旅館・交通機関など関係する業界のコロナウイルス対策への助成を拡大すること、等の施策を併せて行うべきだったのではないでしょうか。
 すべての地域や関係者が満足するような政策はあり得ないのですが、不公平感を極力減らし、多くの人が得心するための努力は今後更に行うべきです。

 鳥取県東部(因幡国)の鳥取市で育った私は、県西部(伯耆国)にほとんど行ったことがなかったのですが、小学校高学年時代の社会科見学や大山登山で訪れた米子市や境港市、大山町などに新鮮な感動を覚えたものでした。自分が暮らしている都道府県でも知らないところは存外多くあるもので、その自然や歴史、文化を学ぶことはとても大切です。マイクロツーリズムには地方創生の観点からも大きな意義があります。

 日本国民がその大方において規律正しく、衛生観念も高いのは確かですが、一方で「(10万円の給付金という)あぶく銭をもらったので『夜の街』で使った」と平然と言い放つ人たちを報道で観ていると、このような意識を持つ人たちが全国にウイルスを拡散させないという保証はどこにもない、と思わざるを得ません。世界においてウイルス感染は今なお拡大の一途を辿っているのですし、日本で重症者が少ないといっても、実際に感染した人が重篤化するのは10日から2週間が経った後のことであって、今時点の数字だけを見て「医療崩壊はない」と断言できるものではありません。
 国民の生命や身体の安全を「賭け」の対象としてはならないのは当然です。「賭けに勝って」、観光関係者や地域が潤って活気づくのならこんなに目出度いことはありませんが、反対に「賭けに敗れて」コロナウイルスが各地に拡散し、発症者の宿泊した旅館・ホテルや使用した交通機関が休業に追い込まれるような事態となることも想定しておかなくてはなりません。
 本日、東京の新規感染者は過去最多を2日連続で更新する293人となったそうですが、ウイルスとの闘いはまだまだ序盤というべきなのでしょう。

 昨年、安倍総理が要請した中国国家主席の国賓としての訪日は、コロナウイルスの対応により当面延期するのが得策、と先日申し上げたところ、予想はしておりましたが、随分とご批判を頂戴いたしました。
 外交は国民の理解と支持を得て行うべきものと思っておりますが、同時に国民の熱狂的な支持を背景に行うこともまた危険である、とも考えております。「断固たる対応」「毅然とした態度」的な格好の良い表現は極力使わないようにしておりますし、常にプラスとマイナスとの比較衡量で判断するように心掛けているのですが、これが中国に対して弱腰である、媚びている、阿っている、果ては反日左翼である…と連想ゲーム的に繋がって「失望した」「見損なった」「がっかりした」等々の反応になるようです。
 外交・安全保障の分野は、日本国と相手国双方の法律、条約、軍備、運用、歴史、経済、文化、宗教などを可能な限り精緻に分析した上で語らねばならないものと考えますし、そのための努力をしたいと願っています。我々が護るべきものは、国體を礎とする日本国の独立と平和、国民の生命・身体・財産、国際社会の平和と安定なのですが、自分の知識が今なお随分と不足していることに大きな不安と焦りを感じております。
 尖閣諸島をはじめとする領土を守り抜くためには、自衛権を基礎とする法律、柔軟な対応を可能とする部隊、それに伴う運用構想と十分な装備及び訓練が必要であり、グレーゾーン対応とはこのことです。
 国家主権の要素である領土(領域)を他国に自由に使わせるような(条約上の)「義務」を負う国家(日米安保条約における日本)は、完全な独立主権国家とは言い難いのであって、集団的自衛権論議の根幹はここにこそあります。平和安全法制で限定的に行使可能となった集団的自衛権の態様も包含した安全保障基本法を制定し、集団的自衛権行使を原則的に国際法と同様に認め、かつその行使の要件について厳格に制限する。これは日米同盟の信頼性と持続可能性の強化、アジア太平洋地域の集団安全保障体制の構築のためには必要不可欠なものです。
 これらは本来、イデオロギーや保守・リベラルのような政治的な立場とは何の関係も無いことなのですが、そうであるが故に右の立場からも左の立場からも関心を持たれず、理解されにくいのかもしれません。発言の仕方にも、常に十分な注意が必要であることを再認識させられています。

 今週は以前から読みたいと思っていた「日本列島回復論」(井上岳一著・新潮選書・2019年)に目を通しつつありますが、啓発されるところ大なるものがあります。
 週末は久しぶりに地元へ帰り、挨拶回りや青年部の会合などに充てたいと思います。
 梅雨がなかなか明けず、都心も梅雨寒の不順な天候が続きました。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2020年7月10日 (金)

在職35年目など

 石破 茂 です。
 九州をはじめとする各地の豪雨災害で、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災者にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、現地で対応に当たっておられる自治体関係者、自衛隊、警察、消防をはじめとする方々に敬意と感謝の意を捧げます。防災省創設の必要性を一層痛感させられます。防災省と感染症に対応するCDCの創設は、「遅きに失した」ということがあっては決してなりません。

 この7日で在職35年目を迎えました。昭和61年7月6日、中曽根総理の「死んだふり解散」による衆参同日選挙が行われ、翌7日開票となったのですが、29歳であった私は鳥取全県区の定数4名中最下位、56,534票で辛うじて初議席を得ました。あの時の感激を終生忘れることがありませんし、次点に終わるかもしれない、と本当に覚悟した「疑似落選体験」はその後の大きな糧となりました。上位で楽に当選していたら、選挙の恐ろしさを知らないままに、その後もっと苦しい選挙を強いられていたに違いありません。
 初の選挙で助けてくださった方々のうち、多くの方が故人となられました。いつの選挙も支援してくださる方は本当に有り難いものですが、あの34年前の選挙での支援者の方々は最も鮮烈に印象に残っており、今もそのお顔と一緒に闘った時々の場面が瞼に浮かびます。
 34年間、紆余曲折、多事多難、有為転変、毀誉褒貶等々の言葉が当てはまる、順風満帆とは真逆の年月でした。
 自民党だけで46人いた同期生も、今なお国会に議席を有しているのは逢沢一郎氏、渡海紀三朗氏、三原朝彦氏、村上誠一郎氏、中山成彬氏(希望の党)そして私の6人だけとなり、既に他界された方も十数名に上ります。
 政治改革・選挙制度改革の嵐の中で、同期当選の半数以上が自民党を離党したのですが、その後は落選や政界引退、逝去、自民党復党等々、それぞれが様々な苦難の道を歩むこととなりました。勿論、私よりも遥かに人格・識見豊かで、立派な方の多い同期生の中で、文字通り浅学菲才で離党経験のある私が長く在任し、多くの閣僚や党役員を務めることが出来たのは、本当に出来過ぎの政治家人生であったと思っています。もって瞑すべしということなのかもしれませんが、日本国と次代のため、有権者の信任があれば、今しばらく任にありたいと願っています。

 東京都知事選挙、都議会議員補欠選挙は、既にご承知のとおりの結果となりました。水月会メンバーである伊藤達也議員の地元の調布・狛江市、平将明議員の地元の大田区を含む4つの都議補選も、すべて自民党が議席を獲得しましたが、仔細に見ると決して自民党自体が信任されたとは言い難い結果のように思われます。
 今年の自民党大会は「諸般の事情により」中止が決定されました。新型コロナウイルスに対応するためなのかもしれませんが、本日(7月10日)以降、集会の制限が5000人以内(屋内で開催の場合には定員の半分以下)と大幅に緩和されることもあり、なにか違うやり方をできないものかと考えてしまいます。
 自由、民主を旨とする政党として、昨年は参議院選挙があり、年内総選挙も取り沙汰される中、様々な思いを持つ党員に対して説明する機会は、きちんと設けるべきものでしょう。本来、自民党は国民や党員に正面から向き合う政党であるはずです。工夫の余地がないものか、考えてみたいと思います。

 自民党外交調査会・外交部会は、習近平中国国家主席の国賓としての来日について「中止を要請せざるを得ない」との表現で政府に見解を提出したとのことです。たしかに、尖閣海域の日本領海への中国公船の侵入や、香港に対する中国の一連の動き等は、日本国として看過しえないものです。しかし一方、昨年6月に日本国内閣総理大臣が国賓としての来日を要請した事実がある以上、それを翻すことが今後の日中関係にどのような影響を及ぼすのかについて熟慮が必要です。面子を重んじる中国が「日本は前言を翻す非礼な国」として一方的に喧伝することも十分に考えられます。
 皇室の政治利用と受け取られるようなことは徹底して避け、対外的報道にも細心の注意を払いながら外交儀礼をきちんと果たした上で、日本国の主張を堂々と述べることこそが国益に適うのではないでしょうか。当面、現段階においては、コロナウイルスの対応で延期、とするのが、国益重視の判断ではないか、と考えております。

 今週も講演や取材の多い一週間で、まともに本を読む時間のない日々が続きました。単行本や雑誌のご恵贈もあり、有り難い限りですが、とてもすべては読み切れず、申し訳なく思っております。学生時代などの比較的時間の余裕があるときにもっと勉強しておけばよかった、と後悔しきりの毎日です。今週は「韓国とキリスト教 いかにして国家的宗教となりえたか」(浅見雅一・安廷苑著 中公新書 2012)を興味深く読みました。

 梅雨の末期、不安定な天候が続きます。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2020年7月 7日 (火)

イシバチャンネル第百三弾

事務局です。イシバチャンネル第百三弾をアップロードしました。

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2020年7月 3日 (金)

「つるの屋」の思い出など

 石破 茂 です。
 今週は講演、東京都議会議員補欠選挙の応援街頭演説、雑誌の対談、テレビ出演等々、矢鱈と慌ただしい一週間でした。
 ここしばらく、聴衆の方々を対象とした講演や演説はしていなかったので、久し振りに登壇してみるとしばらくは元のカンが戻らず当惑してしまいました。政治家の原点はやはり街頭演説であることを再認識したことでした。
 東京都知事選挙は四年前とは様変わりで、静かなままに5日の投票日を迎えそうです。史上最多の22人が立候補しており、改めて選挙公報を読んでみたのですが、バラエティに富んだ、なかなか興味深いものでした。主義主張、人格識見には随分と幅があるものだと思わされますし、これが民主主義の妙味というものでしょう。

 東京の主要課題は、震災・水害・噴火等々の災害と、急速な高齢化に対する介護・医療体制の維持確保であり、コロナはもともとあった課題を顕在化させたものだと私は思っているのですが、そのようなことを強く訴える候補者があまり見かけられないのをとても不思議に感じています。明後日は投票日、東京都の有権者の皆様は、棄権なさることなく投票にお出かけくださいませ。

 イージス・アショアの「停止」後の安全保障政策について、自民党内の議論が始まりましたが、抑止の本質についてもう一度一から考え直す必要性を痛感しています。憲法論、法律論、日米安保体制、拡大抑止論、装備体系と運用構想等々、すべてを正確かつ整合的に理解しなければ判断を誤るのであり、限られた中にあって可能な限りの労力と時間を費やさなければなりません。

 東京におけるコロナウイルス感染者が再び大きく増加していることは、検査の拡大によるものだけではないようです。正確な数字と科学的な分析による報道が乏しいように感じられ、対応にも大きな懸念を感じています。「接触機会の増大」と「感染機会の減少」の両立をどのように果たしていくか、医療崩壊を起こさない体制は確保されているのか、政治的な思惑を一切排し、的確な情報の発信が求められると考えます。

 今週も、総選挙、自民党総裁選挙など、いつどうなるとも知れない話題の多い一週間でした。一週間どころか数日で状況が一変してしまうようなことに、多くの時間や紙幅を割くことにどのような意味があるのでしょう。誰と誰が会食した、人事について意見を交換した、というだけのニュースに接する度、深い論説や思考への飢餓感すら覚えます。人事を巡って展開される権力闘争が政治の重要な部分であることは承知しておりますが、それだけが政治ではないはずです。

 中国の香港に対する対応は、平成元年の天安門事件と二重写しになります。
 共産党一党独裁体制の維持が最大の目標である中国の価値観は、我々とは大きく異なるものであることを前提としなければなりません。私は「中国も経済的に豊かになれば、やがて人権を重視した民主主義に移行していくだろう」というような見通しを持ったことは一度もありません。天安門事件において、「中国共産党の軍隊」たる(決して「国民の軍隊」ではない)人民解放軍が、一党独裁体制に異を唱える学生たちに銃を向けたことは、むしろ彼らの論理からは当然であり、我々とは全く異なる価値観を持っている体制であることをよく認識しなければなりません。
 天安門事件後、日本が他国に先駆けて経済制裁を緩和したことは、経済にとっては良かったのでしょうが、これが天安門事件に対する免罪符を中国に与え、国内における民主化勢力を孤立化・弱体化させたこともまた事実です(阿南友亮「中国はなぜ軍拡を続けるのか」新潮選書・2017年)。「愛国教育」を受けた中国の若い世代が、権力に擦り寄ることによって自らの社会的・経済的地位の向上を実現させることに意義を見出しているとすれば、この傾向は更に強まるものと思わざるを得ません。権力に阿諛追従し、己の利益を図るのは人間の性のひとつではあるのでしょうが、香港の人々の苦難について日本人が我がこととして捉えることの困難性を認識しつつ、それでも彼らに思いを寄せることが重要と考えております。

 テレビや雑誌などの「わが青春の思い出」的な企画で何度かご紹介したことがある東京都港区三田の大衆割烹「つるの屋」店主・渡辺孝さんが逝去され(享年60)、50余年の歴史に幕を閉じることになりました。あまりに早いご逝去を悼むとともに、年に数回ではありましたが、三田に行く楽しみがなくなってしまったことが残念でなりません。
 慶応大学在学中、ほとんど毎週の土曜日にはここに通い、法律論を闘わせ、人生を語り、恋愛話に花を咲かせて終電まで呑んでいたものでした。今から思えば気恥ずかしく、青臭い書生論ばかり語っていたように思いますが、かけがえのない思い出です。
 入居していたビルの建て替えに伴って近隣に移転し、コロナ禍で遅れていた新装開店も間近に控えて、私の来店を楽しみにしておられたとの話を伺って、胸が塞がれる思いが致しました。「つるの屋」はもうないのだ、と思うと、たまらなく悲しく寂しい思いが致します。

 東京は週末も梅雨空となりそうです。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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都議会議員補欠選挙・鈴木あきまさ候補の応援にお伺いしました。

 事務局です。

 昨日(7/2)、都議会議員補欠選挙・鈴木あきまさ候補の応援にお伺いしました。

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2020年7月 2日 (木)

都議会議員補欠選挙・林あきひろ候補の応援にお伺いしました。

 事務局です。

先日(6/30)、都議会議員補欠選挙・林あきひろ候補の応援にお伺いしました。

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