尾崎行雄(咢堂)杯演説大会など
石破 茂 です。
「桜を見る会」について、前首相側がホテルで開かれた前夜祭にかかった経費と参加者から徴収した費用との差額を補填した、との報道がなされて以来、自民党内からも批判があがっているとの報道に接したり、いままで安倍前総理を礼賛・擁護していた政治評論家が突如として厳しい姿勢に転じて発言をしたりするのを見ていると、今更なんだかなあ…という気がしないではありません。
ホテルの領収書が存在していた、しかしそれが破棄されていた、等々はあくまで報道ベースなので、真実が何であるのか知る由もありませんし、政治家が憶測や推量で発言することは厳に慎まなくてはなりませんが、第三者の掌を返したような姿勢を見ていると、そんなに自分の立場が大事なのかと情けない思いが致します。人間とはえてしてそんなものなのかもしれませんが。
河井案里議員のように、一番事情を知る立場にある当事者が、自らの主張が正しいことを説明するのに何の問題があるのか、私にはよく理解が出来ません。「現在捜査中なので何も言えない」と常套句のように言われますが、真実を自ら積極的に明らかにすることと捜査の支障になることとは同じではないでしょうし、それは当事者のみならず自民党や政治全体の信頼回復にも資するものとなるはずです。
ここで改めて政治倫理綱領(衆議院議決 昭和60年6月25日)を持ち出すまでもありませんが、我々が野党の時は、この綱領を引用して当時の鳩山総理や小沢民主党幹事長を厳しく追及したものでした。
明日28日土曜日、第18回尾崎行雄(咢堂)杯演説大会(午後1時・杜のホールはしもと・JR横浜線・相模線・京王相模原線橋本駅北口・ミウィ橋本内)で講演するため、改めて尾崎行雄に関する資料を読み直しております。明治23年の第1回選挙から昭和27年まで連続当選25回、63年にわたる在職期間は日本議会史上最高・最長ですが、閣僚は文部大臣(第1次大隈内閣)と司法大臣(第2次大隈内閣)を務めたのみで、むしろ「憲政の神様」と呼ばれるように、議会人・政党人としての存在の偉大さは他の追随を全く許しません。
「我が国現在の選挙界を風靡する傾向は、道理に傾聴する立憲思想にあらずして、『力』に屈服する封建思想である。『道理はあっても少数ではだめだ』『金がなければだめだ』『政権を得なければだめだ』『自分の地方さえよくなればよい』『国家経済の都合はどうあろうと、無理にも早く鉄道を引いてほしい。道路・港湾を修築してほしい』『議会で横車を押し切る力のある多数党に投票せねばならぬ』これが我が選挙民多数の投票心理であるようだ」(政治読本・大正14年)
「これまでの日本の選挙では、大臣や政務官になると投票は必ず増えた。多数党でなければ何もできないから、投票しても損だと考えることも、長い物には巻かれろ式の封建思想の名残であって、多数少数は有権者が投票して決めるのだという民主政治の『いろは』さえもわきまえぬ者の戯言である」(民主政治読本・昭和22年)
等々、誠に辛辣極まりありませんが、今までこれらの言葉に接してこなかった己の不明を恥じるばかりです。
たかまつななさんの「石破茂と飲んだら楽しかった」と題する動画と記事が配信中です。ご関心のある方はどうぞご覧ください。
日曜日は高知二区の山本有二元農水相の在職30周年記念の会合にて講演の予定です(午後1時・クラウンパレス新阪急高知)。
急に寒くなった週末の都心でした。東京都のコロナ感染者も過去最大となっています。
皆様お気を付けてお過ごしくださいませ。