イシバチャンネル第百十八弾
イシバチャンネル第百十八弾「オリンピックと横浜市長選を振り返る」をアップロードしました
是非ご覧ください
石破 茂 です。
横浜市長選挙は立憲民主党や社民党の推す元横浜市立大学教授の山中竹春氏が当選し、前国務大臣の小此木八郎氏は大差で敗れるという結果となりました。
知名度も低く、政治的実績も無く、手腕も未知数の山中氏が当選したのは、偏に「候補者中唯一のコロナ専門家」という謳い文句と、コロナ感染急拡大に対する政府の対応への不満が大きな相乗効果をあげ、候補の人柄や能力・識見はほとんど等閑視されたことによるものと思います。「誰も市長選に出ないのなら自民党神奈川県連会長の自分が責任を取って出る他はない」「統合リゾート(IR)には『カジノで負けた人の負担で街づくりを推進することは望まない』との市民の声が多いことを考えれば反対せざるを得ないが、中止によって不足する街づくりの財源を作るための具体的な方策を示さなければならない」という小此木氏の、自らの損得を度外視した決断が、ほとんど評価されなかったことはとても残念なことでした。
今まで自民党は、野党に対する有権者の評価の低さに助けられてきたのですが、実際にどうであるかはともかく、「代わり得る」と目される勢力が出てくれば今の優位は脆くも崩れ去る、ということが明らかになりました。
「野党が駄目だから自民党、という消極的支持では駄目で、自民党がいいから、という積極的な支持を得なければならない」と政権奪還時から言い続けてきたのですが、あまりの野党の無気力ぶりに助けられているうちに、自民党の実力も、有権者に対する怖れの気持ちもじわじわと低下し続けてきたのは間違いありません。
「菅政権に痛手」「自民党内で次の総選挙が菅総理で戦えるのかとの声高まる」的な報道が開票日以来とても多くなっているのですが、選挙の本質であったはずの「横浜市が今後どうなるのか」という視点が欠けていることに、政治家の孤独と民主主義の恐ろしさを改めて感じています。
この選挙の応援を通じて感じたのは、東京都議会議員選挙と同じく、有権者の政治に対するむき出しの怒りでもなく、もちろん熱狂的な激励でもない、冷ややかな視線でした。一方、投票率は横浜市長選挙としては平成に入ってから二番目に高いものでした。これは、有権者の「政治を変えるのだ」という強い意志の表れだったに相違なく、政治家や政党のその場しのぎに映る対応は、見事に見透かされていると言えるでしょう。甘い楽観的な希望的観測は絶対に禁物です。
総選挙や自民党総裁選挙について、多くのご意見やご指摘を全国各地の自民党支部組織や党員、一般の有権者から頂戴しております。有り難うございます。今は己の立場や利害得失を一切捨てて、沈思黙考、熟慮を重ねなければなりません。
皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。
石破 茂 です。
横浜市長選挙は明後日22日が投開票日となります。17日火曜日に続き、明日21日も小此木候補の応援に入る予定でおります。
私が応援に行くことについてご意見・ご批判も多く頂いていますが、私が幹事長在任中に筆頭副幹事長として支えてくれた友人が困難な状況にある時、陣営からの応援要請を断るという選択を私は致しません。
横浜市長選挙の争点はIR(統合型リゾート)誘致の是非だけではありませんし、現時点において多くの有力候補者がIR誘致に否定的な立場を打ち出しており、現場の雰囲気からも既に主たる争点ではなくなっているように感じられます。
「人口が増え続け、日本一の市として発展を続ける、誰もが住みたい憧れの街・横浜」というのなら、何も今回四選を目指している現職を替える必要はないのでしょうし、「高齢・多選がよくない」というのならば、市政与党として責任をもって現市長の路線を踏襲する人を決定し、一致して推挙すべきだったのでしょう。
しかし、スイスの再保険会社スイス・リー社やドイツのミュンヘン保険会社がまとめた「自然災害リスクの高い都市ランキング」では、東京・横浜は世界主要都市の中でリスクが第1位と評価されており(数年前の数字ですが、実態はそれほど変わっていないはずです)、防災体制の強化が横浜市政の喫緊・最重要の課題であることは論を俟ちません。
コロナ禍で自宅にいる人が増えたために、空き巣や侵入強盗などが激減し、犯罪数全体は減っているものの、家庭内暴力や殺人はあまり減ってはいませんし、強制わいせつなどはむしろ増えています。先日の小田急線車内における傷害事件のように「幸せそうな女性を殺したかった」などという、荒んだ、許されない凶悪犯罪も起きています。
横浜市自体の人口は増加傾向にあるものの、次の世代を生み育ててくれる20代・30代の世代は概ね20年後には2割程度の減少が予想されており、医療・介護体制の逼迫と人口の急減に対する施策は今のうちに講じておかなければ間違いなく手遅れとなります。
国家公安委員長、防災担当大臣を務めていた小此木候補は、そのことに気付いたからこそ敢えて国務大臣・衆議院議員を辞してまでこの選挙に臨む決意をしたのだと私は信じ、最終日にも有権者に誠心誠意訴えたいのです。
アフガニスタンを巡る情勢を見るにつけ、9・11同時多発テロ以降、アメリカとその同盟国がとってきた行動とは一体何であったのか、深く考えざるを得ません。
我が国は小泉政権下においてテロ特措法を制定し、アフガニスタンで活動している武装テロ組織に武器・弾薬・燃料・麻薬原料等が海路で渡ることを阻止すべく活動している多国籍軍の艦船に燃料を補給するため、海上自衛隊の補給艦や護衛艦を派遣してこれを支援してきましたが、タリバン政権の復活を目の当たりにすると、虚しさに近いものが感じられます。かつてアメリカがベトナム戦争において、政権が腐敗・堕落した南ベトナムを最終的に見限った事例と重なるようにも思われます。
アフガニスタンにおいて、民主主義と人権尊重思想の定着を目指してアメリカに協力してきた現地の人々がカブールの空港に殺到する様を見るにつけ、可哀想でなりませんが、民主主義も人権も、自らの手によって勝ち取ったものでなければ長続きはしないということなのでしょう。
敗戦後、国家の独立も、民主主義も戦って勝ち得たものではない日本は、決して他国のことと傍観してはいられません。
昨年の今頃、圧倒的な数で現総裁を選出し、それを支えてきた、あるいは支える立場に今もある方々が、感染急拡大の最中に、次の総裁選挙に名乗りをあげると表明されることには個人的に違和感を覚えます。
衆議院議員の任期が迫り、国民の厳正な審判を目前に控えて、我々与党議員の為すべきことは何なのか、よく考えなくてはなりません。
柏市における妊娠中のコロナウイルスに感染していた女性が入院できず自宅で出産し、赤ちゃんが亡くなってしまったというような不幸極まりない事態はなぜ避けられなかったのでしょうか。現在妊娠中の女性のみならず、多くの国民が強い不安に駆られている病床不足に対して、責任を押し付け合っているような場合ではありません。
大切なのは重症化しない、死に至らないための医療体制の機動性・弾力性の確保である、と昨年の2月3日、横浜港にダイヤモンド・プリンセス号が入港したその日から同じことを言い続けているのですが、行政当局も、メディアも、コロナ患者用の病床がどれほど増えているかをほとんど報道しないのは何故なのでしょう。
恐らくはその増加数は感染者・重傷者の伸びに全く追いついてはいないはずなのですが、一体それはいかなる理由によるものなのか。医療に携わる人すべてが「医は仁術」と考えているとまでは言いませんが、苦しんでいる人のために働きたいと思っているからこそ医療を志した人も多くいるはずです。感染症は患者数が大きく上下するために、その受け入れに多くの経営上のリスクがあることは当然承知していますが、そうであればまさにそれは公的補償をもって対応すべきものです。
今般の大雨で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
都心には酷暑の日々が戻ってきました。皆様、ご自愛の上、ご健勝にてお過ごしくださいませ。
事務局です。
本日8月17日、横浜市長選挙・おこのぎ八郎候補の応援で横浜市におじゃまします。
お近くの方はぜひお出かけくださいませ。
10:00 東急 青葉台駅
12:00 東急 たまプラーザ駅
14:00 京急 六浦駅から栄区内遊説
16:45 横浜市営地下鉄 センター北駅
18:30 東急 綱島駅
石破 茂 です。
新型コロナの感染者の数が激増し、医療逼迫・医療崩壊が懸念されることから、入院者を制限する方針が打ち出されました。
ウイルスが感染力を強めれば、強毒性は一般的には弱まるはずなのですが、この点についての分析はほとんど行われず、相変らず感染者の増加だけが大きく報じられていることに大きな違和感を覚えます。酷暑となって換気の頻度が低下し、体力や免疫力も低下しているのですから、感染・発症する人が増えるのも理由のあることなのでしょう。
昨年の二月以来、「相手が新種のウイルスである以上、感染者が増えるのはやむを得ない」「限られた医療資源はいかにすれば重症化し、死に至ることを防ぐかに集中すべき」「その間に新型ウイルスへの対処法を進化させ、これを普遍化し、免疫力を低下させず、ワクチンの普及によって集団免疫を獲得するまでの時間を稼ぐことが重要」「これを機に、医療体制の機動性や弾力性を確保し、公的インフラに相応しい法体系の整備は急務」と訴え続けてきたことに今も全く変わりはありません。党の公約に位置づけられるかどうかはわかりませんが、次期総選挙においてはこの点を強く訴えて信任を得たいものと思っております。
重症者、感染者の数と年代は報じられますが、基礎疾患との関連報道がほとんどないのは不思議なことです。当然ながら個人情報保護に抵触しない形で、ある程度の時間差があっても、新型コロナを正確に予防するための情報は、もっと適切に発信されるべきものです。
情報の発信に際して細心の注意をすべきことは今回の件でも明らかですが、それがどのように報ぜられ、国民にどのように受け止められるか、もう一度よく考えてみる必要があります。政府の広報部門は大手広告代理店の知恵を取り入れているのかもしれませんが、本質的な部分が等閑視されているように思います。
新型コロナやオリンピックの報道に食傷気味となったのかどうかはわかりませんが、テレビ局の方によれば、安全保障問題に関する世の中の関心が高まりつつあるのだそうです。この問題に流行り廃りがあっていいとは全く思いませんが、聴く耳を持って頂けるのは有り難いことです。
ともすれば「米中が激突する台湾有事が起こればどうなるか」というわかりやすいテーマになりがちですが、そのような事態がいきなり起こる蓋然性は低いと考えるべきです。習近平中国国家主席は、2014年のロシアのクリミア侵攻に強い関心を持ち、徹底的にこれを研究していると言われますが、正規軍が正面から攻撃してくるような戦いよりも、明々白々な武力攻撃に至らない手法によるハイブリッド戦の展開など、あらゆるケースを想定しているのでしょうし、日本の法制・装備・運用の弱点も知悉し尽くしていると見なければなりません。
いわゆる「グレーゾーン事態」こそ生起する可能性が高いにもかかわらず、政府は「不断の検討を行う」としたまま、新たな決定がない現状は極めて深刻ですし、平和安全法制の議論において、これを政府・与党内で説得しきれなかった自分の責任は重いことを痛感しています。
尖閣諸島付近でのグレーゾーン事態と台湾有事は、時間差をおいて一体のものとして起こることを想定しておかねばなりません。この点に関し、岩田清文元陸上幕僚長、織田邦男元空将の一連の指摘には教えられる点が多くあります。
自民党青年局から、次の総裁選挙は党員・党友がすべて参加するフルスペック(すべてを満たす)の形にすべきだとの提案が執行部に対してなされるそうで、至極当然で真っ当なことと思います。ただ、報道によれば「都議選をはじめ各級選挙で敗北し、国民目線に立った党運営を求める声が上がったため」だそうですが、そのような党運営を行うのはいつの時期でも当然のことで、「選挙で敗北したから」「このままでは次期の選挙が厳しいから」などという自民党本位の理由を挙げること自体、あまり釈然とは致しません。自民党はあくまで常に国民のために存在しているのであって、議員のためにあるのではありません。
日本の人口が12年連続して減少していることが総務省から発表になりました。コロナ禍はいずれ収束(「終息」ではない)を見るものですが、このままでは人口は今後さらに加速度的に減少していくのであって、長期的に見ればこちらの方がより恐ろしいと言うべきです。この点、ハンガリーはありとあらゆる政策を総動員して少子化に歯止めがかかりつつあるようです。週末によく勉強してみたいと思います。
本日の鳥取市は39・2度の日本最高気温となったようですが、先日用務で帰郷した際の列車の窓から見えた海水浴場には、人影が全くなくてとても寂しい思いが致しました。今の子供たちや若い人たちは、あの楽しい夏の海の思い出を作ることが出来ないのだなと思うと、とても気の毒に思うとともに、来年の夏こそコロナ禍の収束を達成しなくてはならないと痛感します。
酷暑の日々、皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。