敵国条項など
石破 茂 です。
1日水曜日に衆議院予算委員会では集中審議が開かれましたが、あまり緊迫した議論もなく、淡々と審議を終えました。テーマは「ウクライナ問題等」でしたが、この「等」が曲者で、これが付くことによって何をテーマとして論じてもよいことになり、議論は相当に拡散気味で内容の薄いものになってしまいました。
その中で、短時間ながらも内容が濃かったのは今回も野田佳彦元総理の議論で、安倍政権時代の経済・財政政策と外交・安全保障政策を総括する必要性について質したのですが、岸田総理は無難な答弁に終始され、個人的には、安倍政権時代の諸政策について理路整然と語っていただけたらと少し残念でした。
「アベノミクス」と称された経済政策の三本の矢の一つ、「異次元の金融緩和政策」は、これによって物価が上がることを想定し、国民の中で「それなら物価が上がる前にモノを買っておこう」という機運が高まることによって消費が拡大し、デフレが解消されるという考えに基づくものだったと思っています。しかし結局、国民の将来不安を払しょくすることができず、消費は控えられたままでした。今、コロナやウクライナ情勢を受けて金融情勢も相当に変化している中、政府としてもこの検証を行うべきではないかと思います。
外交政策についても同様です。2018年11月のシンガポールにおける日露首脳会談で、日本は従来の姿勢を大きく転換し、歯舞・色丹の二島の引き渡し、という「1956年日ソ共同宣言」を基礎とすることになったのですが、その後、ロシアは憲法を改正し、領土について一切譲らない旨を明記しました。この時点で、本来するべきではなかった日本の譲歩は、ほぼ無意味となってしまったように思われます。この検証もしておかなくては、今後の日ロ外交の基盤が脆弱なものとなりかねません。
参議院選挙が間近に迫り、「選挙まではとにかく安全運転に徹し、議論が分かれるような政策は敢えて提示しない。高い支持率と野党の体たらくぶりで、与党の勝利はほぼ確実視されている。その後、解散・総選挙を行わなければ3年間は安定政権となるので、その間に懸案を処理する方針だ」とまことしやかに語られています。しかし仮にそうだとすれば、国政選挙の持つ意味は何であり、主権者である国民は何を基準に判断すればよいのでしょう。政権選択ではない参議院選挙ではありますが、であれば尚のこと、明確な政策の選択肢を国民の前に提示し、国政選挙の機を捉えて民意を問うべきではないでしょうか。
やや旧聞に属することで恐縮ですが、先日来日したバイデン米国大統領が首脳会談において日本の国連常任理事国入りを支持する旨を発言し、共同声明にも盛り込まれました。それ自体は結構なことですが、そうであれば国連憲章第53条と107条の「第二次世界大戦中に連合国の敵国であった国(日本・ドイツなどの枢軸国)が侵略行為を行うか、その兆しを見せた場合には、国連安保理を通さなくても軍事的制裁を行うことが出来る」とする敵国条項の削除についても言明していただかなければ、整合が取れないことになります。「敵国条項は既に死文化しているのだから憲章の改正は必要ない」との考えは甘いのであり、明文として残しておくことに積極的な意義を感じる国があるからこそ残っているのです。
日本側も、本当に常任理事国入りを目指すのであれば、「国連の集団安全保障としての武力行使の参加は、自衛の必要最小限度を超えるので憲法上認められない」との憲法解釈を変更せねばならないでしょう。安全保障理事会の常任理事国として、加盟国に集団安全保障としての武力行使への参加を求めながら、自国は参加しない、などということはあり得ません。そのような自国にのみ都合の良い主張は、必ず国際社会の軽侮を招くことになります。「常任理事国として負うべき義務と責任」を正面から論じなくてはなりません。
今日の自民党外交部会では、NATOと日本の今後の関係について、鶴岡路人・慶大准教授のスピーチ後、議論が交わされました。
「ウクライナはNATO加盟国ではないので武力を行使して助けることはしない、とのバイデン大統領の主張は言い訳であり、集団的自衛権の行使に同盟の存在は必須ではない」との同准教授の考えはまさしく至当であり、これをもっと徹底して議論しなければならないと思いました。
NATOは核共有体制というもう一つの面を持っており、核弾頭の所有権と管理権、使用決定権と拒否権はアメリカが持っていても、その意思決定と政治的な責任をNATO加盟国と共有するのがニュークリア・シェアリングの本質だと思います。
沈没した知床観光船の「KAZU Ⅰ」の船体引き揚げに関して、一度失敗したことへの非難や政府の責任を問う声が上がったことには随分と違和感を覚えました。明白な過失があったわけでなく、関係者は精一杯取り組んでいたと思いますし、2回目にはきちんと所期の目的を果たしたのですから、もっと労いや称賛の言葉が寄せられるべきではなかったのでしょうか。
週末は、本日3日に鶴保庸介参院議員の総決起集会(午後7時~・和歌山県民文化会館)。
4日土曜日は第20回日本ヘルニア学会学術集会で講演(午前10時50分・パシフィコ横浜)。
5日日曜日は前衆議院議員・門博文君の捲土重来を期する会で講演(午後1時・ダイワロイネットホテル和歌山)。
6日月曜日は自民党鳥取県連街頭宣伝活動(午前8時~・鳥取市佐治町・用瀬町・河原町・福部町・岩美郡岩美町)、という日程です。
梅雨入りも間近となりました。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。
| 固定リンク
コメント
石破先生へ
表題(目次)「米国の日本の対中安全保障における「矛の役割」の終焉」
付録資料 米国、ウクライナへ、ハイマース許与へ
今週は、最近の2件の論文から、表題に示した点に関して、今後の日米安保の実相を考えていきたいと思います。
(本文)
防衛費2%目標、骨太明記を 自民・安倍氏、政府に修正要請
6/2(木) 19:58配信 時事通信
自民党の安倍晋三元首相は2日の安倍派会合で、党の安全保障提言が防衛費増額の目標として念頭に置く「5年間で国内総生産(GDP)比2%」について、経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に明記すべきだとの考えを示した。
先に公表された骨太の原案に記述がないことを踏まえ、「本来であれば書くべきだ。しっかりとしたニュアンスと期限を明示して国家意思を示すべきだ」と述べた。
安倍氏は「北大西洋条約機構(NATO)は30カ国で、正面にいるのはロシアだけだ。わが国は日本と米国のたった2カ国で、対象はロシア、中国、北朝鮮だ」と強調。日本の防衛費は不十分だとして、「2%をはるかに超えていく額が必要になる」と指摘した。
安倍氏はこの後、衆院議員会館の自室で秋葉剛男国家安全保障局長らと面会し、原案の修正を求めた。
//
(以下は、私、山口達夫の感想です。)
何か、安倍氏の焦りを感じる。
なんで、「2%をはるかに超えていく額が必要になる」という表現になったのか?
とても、単なる、利権の分捕り程度の話では無く、日本の安全保障上の危機感が明確に読み取れる。
個人的には、それは、以下の記事を見れば、だんだん分かって来る。
//
米が構築「新しい戦争のかたち」 武器弾薬を提供し実際に戦うのは現地軍 台湾防衛「あいまい戦略」修正も中国抑止へ「憲法改正」は不可欠
5/30(月) 17:00配信 夕刊フジ
ジョー・バイデン米大統領は就任後初の日本訪問で、軍事的覇権拡大を進める中国共産党政権に対峙(たいじ)するため、日米同盟の強化を打ち出した。台湾有事では「軍事的に関与する」とも発言した。岸田文雄首相は26日の衆院予算委員会で、「閣僚レベルを含め一層緊密に意思疎通を図る。『核抑止』に対する信頼維持の努力を続ける」と語ったが、国民の生命と財産を守り切るには、「国民の意識改革」と「防衛費増や憲法改正」は不可欠だ。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、「現地軍が防衛戦争を戦い、米軍は後方支援に徹する」という、米国が構築した「新しい戦争のかたち」に迫った。
バイデン大統領が来日し、岸田首相との日米首脳会談や、オーストラリアとインドを加えた4カ国による戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」首脳会合など一連の外交日程を終え、帰国した。
ハイライトは首脳会談や会合よりも、日米首脳会談後の共同記者会見での「軍事介入」発言だった。この発言に、バイデン政権の対中姿勢が凝縮されている。一言で言えば、「中国の暴発を何としても抑止する」。その決意をみなぎらせたのだ。
バイデン氏は、記者の質問に答えるかたちで、中国が台湾に侵攻すれば「軍事介入する。それがわれわれの約束だ」と述べた。ただし、これが直ちに「米軍の派遣」を意味するか、といえば、そうとは言えない。
ホワイトハウスは記者団に、「われわれの政策は変わっていない。自衛のために軍事手段を提供する台湾関係法の約束を繰り返しただけだ」と背景を説明した。軍事物資の提供だけでも、軍事介入である。
米国は台湾防衛に介入するかどうかを明言しない「あいまい戦略」を採用してきた。だが、バイデン氏が台湾防衛に踏み込んだ発言をして、事務方が否定するのは3回目だ。軍事介入の可能性に触れたのは、今回が初めてである。
これをどう解釈するか。
私は「あいまい戦略をバージョンアップした」とみる。米軍派遣については明言を避けながら、事務方の修正コメントとセットで、政権のスタンスを軍事介入へ一歩前に進めたのだ。
安倍晋三元首相を含め、内外で高まっていた「あいまい戦略見直し論」に新バージョンで答えたかたちである。
中国が台湾に侵攻したとき、「米軍を派遣するかどうか」は依然として不透明だ。
私は「ウクライナ戦争の結果が大きく影響する」とみる。ウクライナをはじめとする西側諸国が勝利すれば、「核の脅しに屈せず、通常兵器で、しかも米軍やNATO(北大西洋条約機構)軍の派遣なしに勝った」前例になる。
そうなれば、米国は「台湾でも米軍の派遣なしで勝てる」と思うかもしれない。事前に準備すれば、武器弾薬と情報提供だけでOKなのだ。さらに言えば、米国は「実際に戦うのは現地軍。米国は後方支援に徹する」パターンを「新しい戦争のかたち」にする可能性がある。
■中国抑止へ憲法改正は不可欠
私は「そうなる可能性が高い」とみる。なぜなら、米国の国力が衰えた一方、米国は昨年夏、史上最長の戦争を戦ったアフガニスタンから撤退したばかりで「戦争疲れ」しているからだ。
自由と民主主義の理想を守るために、本土から遠く離れた場所で、米国青年の命を賭けるとは思えない。中国と直接対決すれば、核戦争になる恐れもある。あまりに代償が大きすぎるのだ。
そんな米国の戦略から見れば、岸田首相が日米首脳会談で、防衛費の「相当な増額」を約束したのは、当然だ。私は先週のコラムで「米国は日本の対中・前線基地化を要求する」と書いたが、まさにそういう展開になった。
クアッドも同じだ。日本はクアッドの前線基地でもある。中国を抑止するために、日本の役割強化を求める声は自由主義陣営で一段と高まるだろう。憲法改正は不可欠だ。
//
(以下は、先日の、私、山口達夫の感想です。)
「
日米安保で米国は、日本を支援するが、決して中ロを相手に、自国の兵士の血を流すことはしない。
」
そう言ったのは、ひろゆき氏である。
日本の自衛隊の関係者で、自衛隊は米軍の後方支援さえすれば良いと、現状、考えている人も多いだろうが、米国が要求するのは、その逆で、自衛隊が最前線で戦ったり、消耗戦
を強いられるのは、海自、空自も同じだということが、段々、アカラサマになってくるだろう。
自衛官の人件費、手当を、もっと増額しないと、募集がますます厳しくなる。
(記)
//
現在、自民党内では、財務省主導の財政健全派と安倍元首相主導の財政出動派の争いが起こっている。
安倍元首相が焦るのは、一面で、上記の様な、防衛力を、今までの様な、弾薬、燃料の備蓄も無く、法制局の指導でシビリアンコマンドなんて、それで負け戦になったら、どんどん、殉職者を不要にだしてしまうという、戦争ができない体制、あるいは、兵器体系からして、対中戦争ができない張り子のトラであった現状をあらため、本当の戦争ができるまでに整備をしなければならず、そのためには、GDP1~2%程度でも全然たりない現実にせまられているのだろう。
なんで、こんな話になったのかに関しては、もともと、米軍の軍事力による周辺国に対する抑止力に多くをたのみ、自衛隊は海自も空自も米海空軍の補完戦力であれば十分という考え方で、防衛力を整備してきた。
それが、米国の対外出兵の長期化により、米国内厭戦感情お多くして、結果、上記のような、「米が構築「新しい戦争のかたち」 武器弾薬を提供し実際に戦うのは現地軍」といった考え方が米国の主流になりつつある、日本にとっては、非常にヤバイ状況なのだろう。
もともと、日英安保条約5条(米軍の義務規定)とNATO条約5条には、僅かだが、致命的な相違点があった。
○日米安保条約第5条
第5条は、米国の対日防衛義務を定めており、安保条約の中核的な規定である。
この条文は、日米両国が、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に対し、「共通の危険に『対処する』よう行動する」としており、我が国の施政の下にある領域内にある米軍に対する攻撃を含め、我が国の施政の下にある領域に対する武力攻撃が発生した場合には、両国が共同して日本防衛に当たる旨規定している。
○ NATO条約5条。 「欧州又は北米における一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなす。 締約国は,武力攻撃が行われたときは,国連憲章の認める個別的又は集団的自衛権を行使して,北大西洋地域の安全を回復し及び維 持するために必要と認める行動(『兵力の使用を含む。』)する。
つまり、日米安保条約には、交戦義務規定が無く、条約の文面上、軍事支援の内容が、米軍の派遣を強制する物でなく、日本に対して武器供与や中国に対する経済制裁だけでも、なんら条約の主旨を誤ることではない。
条約制定時には、周辺国に比べて、米軍の軍事力が通常戦力も核戦力も非常に優越していたから、軍事力行使ないしその抑止力だけで、日本の安全保障にとって十分だった。
それが、状況が変わったということだ。
安倍元首相は、少なくとも、中国側の中距離弾道弾の攻撃に抗する位の、通常戦力を自国で保持する必要を、米国側の態度から類推しているのだろう。
※ 安倍元首相が焦る理由は、それだけではない。緩和終了で、国債頼みの財政出動が不可能になる。
前回資料で、ご理解頂けたと思うが、日銀の緩和政策は、長くて来年4月に終了すると言われている。
その後、現在の財政規模を維持するだけでも困難なうえに、安全保障上の反撃能力保有が、口頭無形になりかねないからだ。
個人的には、増税規模が消費税+7~8%くらいは必要に思える。
当然、所得水準は現状のままであり、物価は、高止まりのままの可能性がある。
株安円高か株安円安かは、分からないが、かなり厳しい社会状況になり、世論の増税反対の声に押されて、自民党内でも対中宥和派を中心に造反行為を考えるものも出てくる可能性があり、その様な厳しい状況が予想されるため、せめて、現状における党の指針に、明確に、「防衛費GDP比2%以上」を明確化しておかないと、野党の売国奴分子との結託で、安全保障環境を完全な骨抜き化しようとする動きが出てくる懸念があるのであろう。
現状、国内で増税に反対する機運が高い様にも感じるためである。
(記)
付録資料 米国、ウクライナへ、ハイマース許与へ
米国→ウクライナに供与、シン・ロケット砲「ハイマース」の実力…戦況のゲームチェンジャーとなるか 6/2(木) 14:45配信 日刊ゲンダイDIGITAL
米国がウクライナに新たな兵器を投入する。バイデン米政権が供与を決めたのは、高機動ロケット砲システム「ハイマース」(HIMARS=写真)。1日に発表した約7億ドルの追加軍事支援に盛り込んだ。“シン・ロケット砲”は戦況を一変させるゲームチェンジャーとなるのか。
「ハイマース」は、ウクライナ軍が供与を求めていた「自走式多連装ロケットシステム」(MLRS)の小型版。軍用トラックの荷台にロケットランチャーを搭載している。
■在日米軍も自衛隊との共同訓練で使用
「ハイマースは射程300キロの長距離ロケットを搭載・発射可能ですが、米国はロシア領土内に届く長距離ミサイルは供与せず、プーチン政権を刺激しないように配慮しました。MLRSよりも軽量のため、輸送機で空輸可能で、前線に緊急展開しやすいのが特徴です。日本国内でも在日米軍が中台紛争への軍事介入を念頭に、自衛隊との共同訓練で使っています。対艦攻撃も可能ですが、基本は建造物や敵陣地を狙った対地攻撃。米国が供与したM777榴弾砲よりも射程距離が約2倍長いため、ウクライナ軍はロシア軍の砲弾の届かない安全地帯から、相手の砲兵部隊や陣地を効果的に攻撃できます」(軍事ジャーナリスト・世良光弘氏)
ウクライナ東部制圧に向け攻勢を強めるロシア軍に、ウクライナ軍は苦戦中だ。激戦の続くルガンスク州セベロドネツクはロシア軍が7割を掌握。同州知事は「市内の重要な社会基盤はほぼ100%破壊された」と伝えている。
ウクライナ軍は今月から反転攻勢に出る構えだが、「ハイマース」は戦況を変えられるのか。
「米国が供与するのは長距離砲ではないため、ロシア軍の補給路であるクリミア大橋を打ち落とすなど、戦況をガラッと変えるのは難しいでしょう。ウクライナ軍が優勢に持ち込むには、少なくとも3ケタに近い数のハイマースが必要だと考えられます。ただ、セベロドネツクなど要衝都市の攻防戦において、ロシア軍の拠点を叩くことは十分可能です。10両、20両だけでは足りないとはいえ、ロシア軍との火力差を埋められるのは確かです」(世良光弘氏)
戦場は「重装備VS重装備」の様相を呈している。ますます終わりが見えなくなってきた。
//
米国の対台湾、対日、対韓、対中ロを対象とした軍事支援の実態像は、米軍の戦闘では無く、この様な形を主な力点にしてくる可能性を見るべきだろう。
(記)
投稿: 山口達夫 | 2022年6月 3日 (金) 17時09分
石破先生へ
表題(目次)近い将来の「大増税」を想定せざる得ない、金融プロの指摘
付録資料 ひろゆき氏の日米安保に関する公言
東短リサーチの加藤出氏の記事を今週は、ご紹介致します。小声で言います。「日本国債持ってるのは危険ですよ。」
(本文)
異次元緩和“空中分解”の最悪シナリオ 8年前に黒田日銀に警鐘を鳴らしたエコノミストが危惧 5/30(月) 6:30配信 日刊ゲンダイDIGITAL
東短リサーチ チーフエコノミストの加藤出氏(C)日刊ゲンダイ
「円安は日本経済にとってプラス」。1ドル=130円という超円安に突入し、日銀・黒田総裁が9年間繰り返してきたこの言葉を信じる人は、もはや誰もいないのではないか。アベノミクスの異次元緩和が始まって1年後の2014年に「日銀、『出口』なし!」を著し、「日銀はルビコン川を渡ってしまった」と警告していたエコノミストをあらためて訪ねた。
岸田首相の「資産所得倍増プラン」はアベノミクスの二番煎じ?
◇ ◇ ◇
──「日銀、『出口』なし!」を出版されてから8年。まさにその通りになってきました。
あの本は、出口がない状態に陥る可能性が高いゆえに、そうならないよう気を付けないと、という趣旨だったのですが、実際その方向に来てしまいました。金融緩和策で日本経済の問題を解決することはできないということです。金融緩和策には痛み止めという効果はある。痛みを和らげている間に、構造改革に進むことができればいいのですが、痛み止め策が効いてくると、得てして、このままでいいか、ということになりがちで、そういう形でずっと来てしまっている。
──黒田総裁は今も「円安は日本経済にとってプラス」という主張を変えません。
金融緩和策を始めて今10年目に入っているわけですが、それは日本経済の改革が進んでいないことの表れでもあります。例えばデジタル化など、新しい時代に適応する経済へと変革が進んでいたのであれば、通貨安に依存する必要性はなくなっているはずです。
──弊害の方が目立ってきた。
黒田総裁の緩和策の主要な問題のひとつは、低金利により、財政規律がより一層緩んだこと。緩和が始まる前より、明らかに国債増発に対する警戒心が緩んでいます。昨夏ぐらいから、海外では大半の国が、ポストコロナを意識した財政運営に転換してきています。コロナの非常事態ということで、補助金を散布してきたわけですが、例えば英国では昨秋、ジョンソン首相が、このままでは健康保険制度を維持できないとして今年からの増税を表明した。ドイツも先日、財務大臣が、来年から国の借金にブレーキをかける制度を再導入すると言っています。米国も空前のばらまきをやったのですが、昨年の途中から財政支出策は必ず財源とセットで議論すると変わってきています。ところが日本だけは、金利が低いこともあり、そういう議論が出てこない。日銀の政策が非常に効いています。
■黒田総裁は今の円安を最後のチャンスと思っている
──円安が物価高を加速させている。黒田発言と消費者の体感にズレがあるのに、なぜか黒田総裁は意に介さない。
もうここまで来ると、黒田総裁としては方向性を変えられないということでしょう。来年4月8日の任期まであと1年。むしろ今起きている円安を最後のチャンスと思っているのでしょう。
──しかし、どう考えても日本経済が良くなる感じはしませんが。
この状況に既視感があって、19年のスウェーデンと似てる面があるんです。当時スウェーデンもマイナス金利政策をやっていて、通貨が下落していくことで輸出産業がにぎわい、インフレ率が上がっていくことを目指していた。ところが、国民の不満がだんだん高まっていきましてね。「おかしいんじゃないか」という声が広がった。これは極めて当然で、行き過ぎた通貨高を止める話と、さらなる通貨安にするのは、国民からするとやはり違う。通貨安が進むということは、国民の購買力が低下していくことになり、生活は苦しくなる。しかもスウェーデンは、世界有数のデジタル先進国。企業も通貨安をあまり喜ばない状態になっていて、通貨安に依存しない経済に変わっていた。結局、中央銀行が批判に耐えられなくなり、19年12月にマイナス金利を解除した。日本の状況はそれと似てきています。
初夏から物価高が本格化、国民の不満に耐えられるのか
逃げ切るつもり?
──黒田総裁である限り、物価高は止まりませんね。
日銀自身も展望リポートで言っていますが、08年にもエネルギー価格と食品価格の上昇があり、その頃のペースに比べると、今回は結構上がっているように感じていても、特に食品はまだ遅い。まだ途中なんです。初夏ごろから食品価格の上昇は、本格化してくると思います。イオンや西友がプライベートブランドの値段を6月までは上げませんと言っていますが、7月以降は値上げを始めたりすると、それをきっかけに、いろんな食品価格がより上がっていくこともあり得る。政府・日銀は最低でも参院選までは金融政策を触らない考えだと思いますが、初夏以降、より本格化していくであろう食品価格の上昇に対して、国民の不満が高まってきた時に耐えられるのかが注目されます。
──日銀が政策を変えないなら、最悪シナリオとして、どういうことが起こり得るのでしょうか。
もはやソフトランディングが難しいので、仮に円安・物価上昇に対する国民の不満が高まり、政府にこれはまずいぞ、という意識が出てきたら、空中分解のように急に緩和が修正される恐れはあります。米FRBのようなマーケットに事前に予告して織り込ませるという丁寧な手法ではなく、寝耳に水みたいな感じで10年国債の金利の誘導をやめますというような発表になるかもしれません。なぜなら、予告すれば、金利が上がるんだなということになって、マーケットは保有する国債をできるだけ日銀に売って、少しでも自分たちの損失を減らさなきゃと思うわけです。日銀は今、10年金利を0.25%で抑え込むという無制限の「指し値オペ」を毎日やっていますので、政策変更を予告して膨大な国債を打ち込まれたら、それを買わなければならない。そこで、マーケットに予告しないで急にやめる可能性があるわけです。そういう意味では短期的な問題は、この政策が維持できなくなった時にマーケットで混乱が起き得るということです。
──それは恐ろしい。
一方で、なんとか黒田さんが来年4月8日まで逃げ切ったとしても、今度は次の総裁が正常化の重い十字架を背負わされる。政策が来年まで継続できたらできたで、より将来の出口政策が難しくなっていきます。
──本当は早く手を打たないとまずいんじゃないですか?
そもそもこの政策が10年目に入っていること自体が大きな過ちと言えます。大規模緩和全体をやめることは非常に困難で、これだけ国債の発行額が増えてしまうと、美しい形での出口政策は、もうあり得ない。微修正はあっても、今FRBが進めているような、短期金利を上げていって、量的引き締めで、というような自発的な出口政策はもうできません。あるとすれば、悪い円安が止まらないので、金利を大幅に上げざるを得ないという、危機を止めるための出口政策でしょう。
──アベノミクスの功罪をどう考えますか。
最初は日本経済を明るくした。きっかけづくりとしては良かった面はあったと思います。しかし痛み止め策は得てして改革を遅らせてしまう。他の先進国及びアジアの新興国を見渡しても、日本経済全般に変化が遅いですよね。経済の新陳代謝が低下した状態にある。強大な痛み止め策ゆえに、近年の日本では会社は潰れにくく、その結果、日本の失業率は世界屈指の低さです。だが、低収益の企業がたくさんあり、給料も上がらないという停滞した状況に陥っています。北欧では給料が目覚ましく伸びているように、成長産業への前向きな転職を可能とする社会人の再教育制度などのセーフティーネットに財政資金を使うのは意義があります。しかし、砂漠に水をまくようなお金の使い方をすると、人口減少社会ゆえに将来世代が背負わされる1人あたりの政府債務はどんどん膨らんでいきます。
■将来世代のための政策運営を他国はやっている
──失われた20年が、30年になりました。
100年後の経済を議論するのは難しいですが、昨年亡くなられた経済学者の池尾和人先生も、せめて目先数十年ぐらいの国家のことを考えながら政策をやっていきましょうよ、とおっしゃっていました。自分たちの子供、孫の若い頃ぐらいまではイメージした政策運営というのを考えていかないと。他の国はやってるんです。昨夏ぐらいからの、財政を徐々に正常化させようという海外諸国の議論も、将来世代のための議論なのです。
(聞き手=小塚かおる/日刊ゲンダイ)
▽加藤出(かとう・いずる) 1965年、山形県生まれ。88年、横浜国立大卒。東京短資に入社し、短期金融市場のブローカーとエコノミストを兼務。2002年から東短リサーチチーフエコノミスト。13年2月から同社代表取締役社長。「日銀、『出口』なし!」(朝日新書)など著書多数。
//
個人的には、為替の問題より、財政規律の問題の方がでかいと思います。
「円安に堪えかねて」という言い方をすると、反対に、一時的にしろ、異次元の円安になりそうだ。
日銀が緩和施策を予告なしに辞めると、金利が急騰しますよね。
これは、外国人投資家の日本国債の投げ売りから日本撤退を意味するでしょうし、当然、円は暴落する。
政府としては、借換債金利等の問題で、財政が急激に悪化するでしょう。
日銀が国債を買わなくなるということは、現状、政府は、デフォルト回避のためにも、大増税と、国債新規発行の抑止を、本気で考えなければ、ならなくなる。
もう、放漫な財政運営で、国民に無理な給付を出せなくなるだけじゃ無くて、今後の社会保障費も、圧縮せざるを得なくなる。
黒田総裁が辞める、来年4月まで引っ張ても、其の後が地獄の様な状況になるのは、すでに、明らかというものだろう。
こういう状況で、金融や経済に詳しい人ほど、消費抑制、節約の必要性を感じるのだろうね。
自民党の積極財政派は、安全保障関連防衛費のGDP2%を人質にとって、積極財政を進行しようとしているが、個人的には異論がある。
敵基地攻撃能力や反撃力、自衛官の人件費や弾薬・燃料等の本当に必要な基本的問題で、GDPは2%にいくだろう。だが、それを理由に、新型戦闘機開発だとか護衛艦の新造、弾道弾迎撃などに、予算を取ったり、いまだに、公共事業費の増発で、建設業雇用枠を確保するなどという主張には大反対だ。その悪行は、立憲等のいう農業の個別保証や無償教育に絡む利権となんら変わらない愚策でしかない。
緩和後の財政をソフトランディングすべき議論が必要で、敵基地攻撃・反撃力は異例中の異例として扱うべき問題だと思います。
もちろん、財源は、5兆円以上増税すべきです。
そもそも、安保論議を選挙後にするのなら、増税でなんら問題は、無いハズです。
(記)
付録資料 ひろゆき氏の日米安保に関する公言
ロシアは、対日戦争で、北方領土併合を条約として日本に認めさせることができるとか、或いは、北海道を取るとか、経済、内政面での、具体的なメリットがあります。
中国は、対日戦争で、沖縄、九州、或いは西日本を取るとか、米国の影響を第二列島線外にできるとか、経済、内政面での、具体的なメリットがあります。
北朝鮮は、対日戦争で、韓国を取ったり、金銭面を通じた、経済、内政面での具体的なメリットがあります。
一方、米国には、日米安保条約で中露北と戦っても、少し、日本からお金を貰えるだけで、全く、経済、内政面での、具体的な大きなメリットはありません。
むしろ、米国では、海外の米軍基地が多すぎるから減らせという意見があったり、ましてや、なんのメリットもない対日防衛に、米国青年の血を流すことに対する違和感の方が大きいという事実関係もあります。
だから、米国としては、日本が、中国と交戦状態にならないために、外交上あらゆる手段を使ったり、平時における前方展開で、日本に米軍を置くなど、対中国であらゆるいやがらせを行いますが、いざ、米国人の血が流れる状況になると、よほどのことが無い限り、戦線を縮小して講和をしようとするでしょう。
これは、日本が、「分割統治」になってもでしょう。
でも、日米安保は、無いよりあった方がいいに決まってます。
それは、物騒な地域で、自転車に鍵付きキーをすることに似ています。
悪い人種の中国は、鍵のついていない、フィリピンやベトナムの自転車を優先的に奪うでしょう。
台湾の自転車は、中国のお気に入りで、日本より多少厳重な鍵が付いていても、その気になれば奪います。
日本の自転車は、たまたま、何かの理由で、他の自転車より、魅力的に感じた場合、米軍という鍵がついていても、その気になれば、鍵を壊して奪う実力も、あるし、多分奪うでしょう。
つまり、米軍は、保安上の鍵程度のもので、悪漢の中国に、躊躇させることはできるが、その気になれば、堂々と、取られてしまうものです。
自転車の鍵くらいしか、現在の米軍の影響力はありませんから!
//
(以下は私、山口達夫の感想です。)
だから、血税を入れてでも、防衛費は増額しないといけないんだ。
ましてや、夢想的な専守防衛論的な手段に拘ることも、非常な愚策としか言えない。
(記)
投稿: 山口達夫 | 2022年6月 3日 (金) 17時10分
石破閣下
ポンコツモデラーのポンコツコメントです。
敵国条項が今日でも適応されるのは日本だけです。ドイツやイタリアには軍隊指揮権はありません。あるのは国境警備隊などの警察軍ぐらいです。イタリア軍などはものによっては軍隊と認めていない向きさえあります。ドイツ連邦軍はあくまでもNATO供出部隊で、軍隊指揮権はドイツに無いことが忘れ去られています。他人が指揮する軍隊に金は出せないとメルケルは言ったとか言わなかったとか。
自らの軍隊を持たないドイツとイタリアは戦争を準備は出来ない。その一方でヒョットすると軍隊指揮権を持つ日本が戦争を準備できるかもしれない。可能性としては唯一日本だけが警戒を要するので、アメリカ軍を日本国内に置いて占領警戒を怠ることことが出来ない。中国やロシアを警戒してアメリカ軍があるのではなくて、そもそも日本に対する警戒を緩めることが出来ないので、米ソ対決の冷戦終了後も国内の基地や部隊がドイツの様に削減されることは有りませんでした。
これらの事柄を考える時に、ウクライナでの戦争行為は辻褄が合わないと思うのです。戦争を準備していると見なせば自由に攻撃できるのは相手が限られているはずなのに、それは適応外で戦争では無いと言えるのでしょうからナチスをプーチンが持ち出してどこに問題があると言えばその通りなのです。もはやどこの国であっても、能力有る無しに関係なく戦争は自由自在と成ってしまいました。国連とその憲章は戦争を防止するのではなく、やりたい放題し放題を保証する機関と規約だったのです。
こんな馬鹿げた事がこれからも続くのでしょうか。戦後の虚構はこれで終わったのです。日本は決然と自らの意思を表明し行動すべき時です。戦争は国家の犯罪であり人種差別は人類への犯罪なのです。これらはほぼ同義語なのです。人種差別の最たるものが戦争であることを考えれば納得していただけると思います。戦争をする国が人種差別撤廃を説くなど笑止千万。醜い争いを収めることが出来なければ、人でもなく神でもなく自然がわれらを淘汰してしまうでしょう。乱文・乱筆お許しください。
投稿: 野村嘉則 | 2022年6月 3日 (金) 20時49分
私は2019年の秋、まだコロナ禍以前ですが、北海道・札沼線の列車に乗りました。1日1本の列車が終点の新十津川駅に到着しようとする時、駅舎の前で列車に向かって赤いハッピを来て歓迎の踊りをする地元の幼稚園児たち(だと思います)を目にしました。その時、車内から「わー、かわいい!」という声があがりました。
その札沼線の非電化区間は、翌2020年4月のコロナ禍の中、廃止予定日を前倒して急遽運行が休止され、そのまま廃止となりましたが、この理由が、鉄道ファンらが大挙して現地を訪れ、道内に感染を拡げる恐れがあるから、というものでした。
現地へ行ったことがあるか、または北海道の広大さを知っている人は滑稽な理屈であることは容易にわかることですから、このようなことができるのは、JR北海道や地元自治体に対して圧力をかけることができる連中の仕業に違いない、と今も疑っております。
岸田首相が、来年のG7サミットを広島で開催することを発表した時点で、自民党の世論調査報告を受けて、参院選の勝利を確信したと私は思っています。しかし、党内の力学を見れば、ただ勝つだけでは駄目で、勝ち方が問題でしょうね。
一方、野党、特に旧民主党系は連合との関係がしばしば取り沙汰されますが、今や労働組合が労働者の代表とは言えない実態があるので、どう考えても選挙は厳しいでしょう。
私は、あの日の子供たちの光景を終生忘れることはありませんし、同時にそういう人々の思いを知らずに、残酷なことをやった権力者を許すことはありません。お天道様は見ているのです。
投稿: コジュケイ | 2022年6月 4日 (土) 08時16分
毎回、毎回、先生のお話しは良く調べて学習の跡が見えて感心してます
石破茂先生、この国ではいつから口先ばかりで
嘘、説明回避、誤魔化し、法律違反の知らん顔など、コンナ事が罷り通るようになったのでしょうか、子供にテレビで国会中継が見せられない時が多くなりました、困りました、改革をお願いします
投稿: 高埜寿一 | 2022年6月 4日 (土) 14時00分
石破先生
今晩は!!。
当地京都は昨日の夕方より雨模様となり、本日6日は一日中雨降り模様の梅雨入り前のような気候となりました。
先生に於かれましては、国会の予算委員会への出席やその合間を縫っての講演、更に自民党鳥取県連会長として参議院選挙に向けての地元鳥取県回りなど、八面六臂のご活躍の様子ですね?大変お疲れ様であります。
小生は先生と同郷、鳥取県出身の「国の将来を憂う」者であります。
さて本日は先ず過日、5月31日に出演されました「日経ニュースプラス9」の映像を具に拝聴しまして、先生の我が国の「拡大抑止力」についての考えを忌憚なく語られ、とても分かりやすく参考となる提言ばかりでありました。特に現在NATO諸国のドイツ、イタリヤ、ベルギー、オランダ、トルコなどでの核兵器のアメリカの核弾頭ミサイル供与の「ニュークリア・シェアリング」の実際をお報せ頂き、大変参考になりました。
この事は再度後に述べるとしまして、昨日北朝鮮により4ケ所より「同時に2発ずつ計4発」の弾道弾ミサイルが発射されたとニュースにて伝えられました。その事に対して本日は、米韓合同による弾道弾ミサイル4発が「対処を示すべく」お返しのように発射されたとも伝えられました。
ウクライナ情勢の緊張のある中、北朝鮮による同時複数の弾道弾ミサイル発射実験は、我が国日本に一気に緊張が走りました。発射実験を重ねる度毎に、性能と正確さが向上して来て居り、飽和攻撃の可能性にまで現実味が出来たからであります。
このような情勢の中、安倍元総理は過日岸田総理とアメリカバイデン大統領の訪日会談の中で、岸田総理が延べた「力による現状変更は許されず、我が国は防衛費を相当増額する」との発言に対して、「何年掛けて現在の防衛費を幾らにと期間と実際の防衛費の伸びを示すべきだ」と安倍派の講演会に於いて述べたと伝えられ居ります。
石破先生の「日経ニュースプラス9」の中でも詳細を述べられて居ましたように、NATO加盟国の核兵器を持たないドイツ、イタリヤ、ベルギー、オランダ、トルコなどアメリカの核兵器の供与を受けている「ニュークリア・アシェアリング」に於いても、「自国のみの意思では核兵器を使用出来ず、アメリカの許可が要る事、自国が核兵器使用の必要性を認めなくてもアメリカが必要とすればアメリカは供与した国の許可なく使用出来る事」など、少しも供与を受けた国は主体性のある意思決定が出来ない事などが挙げられて居ります。
しかし、これらのニュークリア、シェアリングを行って居る国々はアメリカの人工衛星を使用しての世界各国のミサイル実験などの情報を逐一与えられて居り、しかも絶えず使用条件整備の会議と演習を行って居ると伝えられて居ります。
翻って我が国日本には、在日米軍基地が三沢、横田、厚木、岩国、沖縄と数か所もあり、自衛隊とは防衛に於いて『相互片務性と云う世界にも類を見ない特殊条件の中』で、非核三原則と云う法律もありどの様に役割を担う事が出来るか?の諸条件の詰めも出来ているのでしょうか?
安倍元総理の言うように闇雲に防衛費増額の期間と実額の伸びを示す事より、こう言っている間にも『何が出来、何が出来ないか』の条件整備を早急に行い、対処を一つずつ詰めて行き「窮迫不正の時に間に合うように」すべきであります。
次に過日岸田政権の「骨太方針」が示され、人への投資、個人資産を、投資へ向けて行う事により景気刺激策、などが掲げられましたが新自由主義による新資本主義とは、どうも何をどのようにしたいのか?がはっきり致しません。
国民の34%は貯蓄を投資に回すほど余裕はないと答え、総理就任前には収入格差を求め投資所得への税増を述べ、一人当たり5千円の給付も引っ込め、ウクライナ情勢による世界的な事情も相まって、この4月よりは諸物価の値上げラッシュも続き、給与所得の増額も望めず
ません。年金は減額続きとなり、今日の新聞では21年度の出生率は80万人強と10年前の160万人から半分近い減少であります。
何もかも不安要素ばかりの見通しであります。
然し不思議な事に岸田政権の支持率は68%ともあり、国民も又何をどのように受け止めているのでしょうか?25年もデフレが続き、国民は最早政治に諦めているのでは?と思える程であります。
投稿: 桑本栄太郎 | 2022年6月 6日 (月) 22時15分
石破先生
今晩は!!。
本日、先ほど小生の投稿に単純な誤りがあり、お詫びの上訂正させて頂きます。
「昨日北朝鮮の4ケ所より2発ずつ4発」と述べましたが、正しくは「北朝鮮の4ケ所より2発ずつ8発」であります。
宜しくお願い申し上げます。
投稿: 桑本栄太郎 | 2022年6月 6日 (月) 23時20分
【記念日が多い方が負けているような戦況】
現状の行方がどうなっているのか?
と云えば、1週間ほど経過しないとよく解らないようだ。ウクライナ東部の2州をめぐる攻防戦は山場を迎えているのは確かなようで、ロシア軍の側から見れば、6月12日が「ロシアの日」ということもあって、この日までに何か誇るべき戦果をアピールすることが目的になっているらしい。
ロシアの日とは何かと云えば、1990年6月12日にロシア共和国議会が旧ソ連に対して、主権宣言を採択した(何度考えても、この意味が解らないのであるがロシア人は独特の理解があるらしい)とされる日であり、その1年後の同じ日に、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国大統領の初の選挙が行われ、ボリス・エリツィン・同共和国最高会議議長が圧勝した日でもある。共和制の採択のもとで行われた最初の民主的な選挙があった。(最初の大統領であるゴルバチョフ氏は選挙で大統領になった人ではないことに注意を払う必要がある)この2つの慶事が成った日をロシアは祝日にして重要な日としているようだ。だから、6月12日までに何か誇るべき戦果が欲しいのだと思われますね。先月は対独大勝利記念日5月9日が注目された。
ついでに、その先について言えば11月4日が国民団結の日と呼ばれる祝日がある。これは1612年に起きたロシアとポーランドの戦争にかかわる日なので、NATO軍がロシアと戦火を交えることがない限り注目を呼ぶ日に見られることはないと思う。ということは、事情がどうであれ、6月12日までが大変なのだろう。
先月の5月9日は大したこともなく期待するほどの戦果も上げることもできずにパレードもしょぼいものだったので、6月12日に寄せる期待は大きいかもわかりませんね。まあ、こういうことは簡単に外れてしまうものだ。
各種メデアのニュースを見ればどっちが優勢なのかよく解らない。来週の後半になれば6月12日の正確な状況が判明するのではないか?
大義も正義もない戦争に駆り出されて、苦しい戦いを強いられているロシア軍兵士が優勢なわけがない。ロシア軍は敗走するのではないかと思いますね。戦後処理問題を今から始めておいた方がよさそうだ。
我が国に関して言えば、北方領土問題を実力で奪うチャンスを何もせずに無駄にしてしまった。残念なことだ。岸田文雄は本当に役に立たない人である。参院選挙はこれで惨敗だ。
投稿: 旗 | 2022年6月 7日 (火) 02時10分
石破さん
昨今のウクライナ情勢、どう見ても、NATOの代理戦争の様相を帯びてきましたね。
短距離といえ、精密誘導ミサイルを無制限に供与されたら、ロシアと言えども」、撤退するしかないでしょう。
それでロシアを追い出せるとお考えでしょうか。
当事者は当然にして、断固追い出すと戦います。でもそれは、ことロシアに限っては間違いです。
プーチンは、自らの非を認めて撤退して降伏するなどありえないからです。なんといっても6000発ともいわれる核があります。
核を使わなくとも、大規模なミサイル攻撃を開始するでしょう。
新たな攻撃とは、第3国に対するそれではなく、ウクライナへの徹底攻撃がまず始まるでしょう。キエフの政府機関を全滅させ、大統領を狙った大規模な攻撃、更には戦術核も有りうるでしょう。
仲介し、ロシアに名誉ある撤退を調停するのは今しかありません。
それができるのは、日本しかないのです。その機会を逃せば、さらなる戦争の拡大がもたらされ、長期化だけでなく、例えようもない拡大が起きるでしょう。
国連を名目にして、日本が画策して、まず日本が経済制裁を一旦休止して、現状ラインを固定して東部2州の独立を認めさせ。停戦ラインを設定して、ウロともに兵を引かせるのです。
欧米の武器供与を停止し、国連の停戦監視団を送り込んで、停戦を監視し、安全な退出回廊を背一定しウクライナ国民の自由な非難を認めさせる。
穀物輸出も、ロシアにも、ウクライナにも認める。
今、緊急にしなければならないことはいくらでもあります。
日本はまずアメリカを説得して、日本が仲裁に立ち上がることを認めさせ、停戦をウクライナに働きかけることです。
このまま、ロシアを追い出して、ウクライナが勝利することはあり得ないからです。
それができるのは、日本だけです。武器は要りません。ゼレンスキーを納得させ、プーチンを鎮めるだけでいいからです。
それが日本の存在意義です。
岸田総理にその覚悟はないでしょう。
それを説得し、特使を派遣するのが、第一歩です。
投稿: かも | 2022年6月 7日 (火) 07時37分
【スポーツ番組でテレビが敗れた日】
何のことかと云えば井上尚弥選手のボクシングの試合のことだ。アマゾンが独占配信した。この事実は大きいものがある。勝つとわかっているような『試合を生で配信できなかったテレビ』ということだ。2Rで勝負がつくような試合を独占するには大変だろうとは思うが、スポンサーの協力なくしては手を出すこともできないという事情もある。アマゾンも時間を稼ぐために日本国内チャンピオンの試合を2つ用意して、少ないラウンドで終わる世界チャンピオン戦にそなえ、試合後の記者会見番組まで用意した。裏方の事情が忍ばれる構成ではないかと思いますね。ファイトマネーとかの事情もあるのかもわからないが、ネット動画が果たした役割はテレビを超えた歴史的な快挙になったのではないか。テレビの時代が終わったと言えるかもわからない。
まあ、これから10年ほど経過して、こういう時代を迎えるきっかけはどこにあったのかとなれば真っ先にこのイベントが採り上げられるだろう。我が国にあっては、この試合がそれだったと言われることになると思う。テレビはこういう試合に活躍する媒体と思っていたのだが、時代の波から消えていったのだ。
ネット動画の世界では新しいオリジナルの番組から忘れかけていた昔の番組も見ることもできるので重宝している。テレビは天気予報とかの必要な処にのみ活躍するだけの媒体になるだろう。音楽番組は生でなくてもいいのかもわからない。特に、あかしろ歌合戦等は不要だとおもいますね。録画で充分だ。
巨大な放送局も不要である。受信料などと云うものも英国では廃止しているじゃないか。我が国も続けばいい。NHKは国民をバカにし過ぎた。そのツケを払ってもらうことだ。その額は大きくなっている。つぶれてしまえと思っている人々を量産した。手遅れだ。
投稿: 旗 | 2022年6月 8日 (水) 22時54分
【動画を見ていると自分の傾向が似てしまう件について】
アマゾンの動画で言えば警察ドラマの『ボッシュ』だ。これはシリーズとしては、8の時点でロス市警を退職して探偵業に進むのがシリーズ1として制作が進んでいる回まで視聴が進んだ。この元刑事が、どこまでやるのか興味がある。話の進め方に極端な飛躍がないところが好感を持つ。もう一つがBBCの制作になるのだと思うが、『刑事モース』と云うのがあるこれもアマゾン配信のものを見ている。ちなみに『ボッシュ』の方はアマゾンオリジナルなのだそうだ。
BBCの制作の方の『刑事モース』は舞台設定がオックスフォードであり、だいたい1960年代の世界はこうあったというスタイルが採用されている。人口15万ほどのオックスフォードが毎週のように殺人事件が起きる地域だとは知らなかったので驚いた。調べてみてそういう事件のほとんどは架空のものだと知ったのであるが『ボッシュ』が舞台のロスアンゼルスより物騒な街と云うのは無理がある。しかも、1960年代だ。製作者の感覚はどこか異様である。刑事ものなら許される範囲なのかどうかわからないが、英国の殺人事件件数は我が国の約6倍なので、こういうこともあるのかどうか・・・・? よく解らない。『ボッシュ』の方のロスアンゼルスは銃器を使った殺人がよく起きているようなので現実に近い設定なのかもわからない。とても危険だということがドラマからでも推測できる。とはいっても普通に生活している人々がドラマで動いているわけなので危険に対する認識は謎だ。
細部に至る構成が緻密である点は共通している。それは使われる小道具にもみられるようだ。1960年代の腕時計は見てすぐわかるようになっていた。そういう処は見逃さない人が結構いると思う。ドラマを構成するという作業が難しい点である。まだ途中である。先が楽しみだ。
投稿: 旗 | 2022年6月 8日 (水) 23時38分