安倍元総理追悼演説など
さる25日、衆議院本会議場での野田佳彦元内閣総理大臣による故・安倍晋三元内閣総理大臣に対する追悼演説は、一点の非の打ちどころもない、実に見事なものでした。衆議院の議会史に残る、名演説であったと思います。
総理大臣という他に比べるべくもない重圧と孤独を知る者でなければ決して語れない言葉でした。野田元総理と安倍元総理は、政策も政治姿勢も異にした政治家であり、安倍元総理を美辞麗句で誉めそやすようなことはありませんでした。有権者と常に正面から向き合い、言葉で説得して理解を求める政治姿勢を身上とされる野田元総理に対し、安倍元総理は、特に第二次政権以降、政治は結果がすべてであると敢えて割り切られ、敵と味方を峻別する手法をたびたび用いられました。結果は野田政権がわずか一年で潰え、安倍政権は史上最長の在任期間を記録しました。それが国民の選択であったことに、野田氏は割り切れない思いを持っていたのかもしれません。
追悼演説の白眉は後段の部分でした。
「長く国家の舵取りに力を尽くしたあなたは、歴史の法廷に、永遠に立ち続けなければならない運命(さだめ)です。安倍晋三とはいったい何者であったのか。あなたがこの国に遺したものは何だったのか」「その『答え』は、長い時間をかけて、遠い未来の歴史の審判に委ねるしかないのかもしれません。そうであったとしても私はあなたのことを問い続けたい」「国の宰相としてあなたが遺した事績をたどり、あなたが放った強烈な光も、その先に伸びた影も、この議場に集う同僚議員たちとともに、言葉の限りを尽くして問い続けたい。問い続けなければならないのです」
野田氏の言葉は、故・安倍氏に向けられていると同時に、我々議員に対しても、国民すべてに対しても向けられたものでした。その言葉どおり、今こそ冷静に光と影を検証し、次代に繋ぐ糧としなければなりません。
ここ十年あまり、政治やジャーナリズムの言葉が粗くて、心に響かない、空疎なものになってしまったように思います。何故政治はこのようなことになってしまったのか、己を顧み、反省しなくてはなりません。
良かれと信じて導入した小選挙区制でしたが、野党の無気力と分裂状態に助けられて、自民党が自滅したごく一時期を除いて自民一強が続き、厳しい議論や有権者に対する真摯な説明の機会が失われてしまったことは否めません。人々の心を震わせて政治を動かすのはあくまで言論の力であり、我々はその修練にもっと力を尽くすべきことを改めて感じさせられた野田氏の追悼演説でした。
山際大臣の辞任に伴い、極めて異例の総理大臣の謝罪発言と、これに対する野党の「質問」、総理の「答弁」(形式上は質問でもなければ答弁でもなかったのですが)。こちらはあまり人々の心を震わせるものではなかったように思えました。
併せて己を顧み、自重自戒せねばと思います。
本日の総務会で経済対策について政府より説明があり、了承されました。
総務会の前には各省庁の幹部が総務一人一人に説明をするのが慣わしで、そこで了とした以上、総務会で否定的な発言するのはフェアではありません。経済対策それ自体はあまり目新しいものもなく、当面為すべきことを総花的に羅列した印象ですが、今求められているのは「物価上昇と賃金上昇の好循環」なのではないでしょうか。
円安やウクライナ情勢による物価上昇に対して当面の対策が必要なのは当然ですが、日本特有の「安売り競争による労働者の賃金抑制」の構造を改めない限り、経済の回復はおぼつかないように思われます。消費者がモノやサービスに対して安さを求めるのは当然の心理かもしれませんが、それが労働者の賃金を抑えてきたことをもっと正面から論じなくてはなりません。労働者(労働組合)も、雇用の安定を重視するあまり、正当な労働の対価としての賃金の上昇にかつてのような熱意を失ってしまったように見えるのは私だけなのでしょうか。
渡辺努・東大大学院教授の論考によれば、米国の大恐慌(1929年)において生じたデフレに対し、当時のルーズベルト大統領は公共事業を主体とするニューディールと共に、物価値上げを目的とする企業のカルテルを一時的に容認する政策を採ったとのことですが、傾聴に値するものではないかと考えています。
日本政府がトマホーク導入に向けて米国に対し打診している旨が本日の読売新聞朝刊一面に大きく掲載され、テレビ・ラジオでも報じられています。防衛関係でこのようなスクープが出るのはいつものことで、なんらかのリークがあったことは想像に難くありませんが、20年前にも当時の防衛庁内で同じ議論がありました。当時の北朝鮮の弾道ミサイルは液体を燃料とする固定式のもので、燃料充填に数時間を要し、移動も困難であったのでトマホークの有用性について積極的な意見が出されたのですが、米側からはほとんど等閑視されたように記憶しています。
現在は固体燃料で発射までの時間は極めて短く、その多くが輸送起立発射機(TEL)から発射されます。そのような目標に正確に命中させるために必要な前提はなにか。トマホークは基本的に亜音速で飛行する飛行機類似のものなので、発射の兆候を早期に捉えられなければ、目標に到達したときには既に発射が終わっているという事態もなしとはしません。十分な破壊力を有する弾頭についても検討が必要です。
信頼する浜田靖一大臣のことですから、これらもすべて検討したうえで最終的な判断がなされることと思いますが、議論を専門家(自衛官を含む)任せにしないことが真の文民統制に繋がるのだと思っております。
今週の都心は爽やかな秋晴れの日が続きました。来週はもう11月、皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。
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コメント
石破閣下
ポンコツモデラーのポンコツコメントです。
野田元総理は名演説だったでしょうか。皮肉に聞こえたのは性格が悪いせいでしょうか。
来年には年金の一部が支払われる身としては、価格の適正な設定が絶対だと思います。その努力を悪とは思えません。照明器具などの身の回り商品価格は、ご存じの方も多いと思いますが、一般家庭用は事業所向けより相当価格を低く設定してあります。言い換えると家庭用を低価格にするために業務用は高めに設定してあると言えます。もちろんその様な物ばかりではないですが、流通コストが掛からなければ低価格指向です。問題の一点は利益を上げることを犯罪的に糾弾するかのような政治、マスコミ、行政では無いでしょうか。企業が利益を出さなければ税収に繋がらないのに、税金は利益を出した罰金かのよう。その様な事なので3者が力を合わせて作り出した理想社会が現状なのか。何が間違っているのでしょうか。
現状の改善は大切です。しかし今活かせるものは生かさなければなりません。利益を怪訝に扱うのは、他者に優位が移ることを危ぶむ心理だと感じるのです。機会は共有されるべきだと思うのですがどうでしょうか。
相手に過度な脅威を与えない為の選択としてはトマホークは有りだと思います。乱文・乱筆お許しください。
投稿: 野村嘉則 | 2022年10月28日 (金) 21時08分
石破先生へ
表題(目次) 「円安進展の現実感」
付録資料1 10月26日水曜日の為替状況
付録資料2 タコが己の足を食うがごとく
付録資料3 ダン・タカハシのYOU-TUBUE情報10月26日
付録資料4 報道より(ウクライナ情勢)
付録資料5 地方自治体の再生リン工場設置策
付録資料6 GO TO EATEに安心できず!
付録資料7 ウクライナ議員団記者会見
現状、財務省の為替介入により、なんとか、150円/ドルの線を防波堤として、ネックラインを形成できているが、一部専門家の観方では、いずれ、この防衛線も突破される可能性が高いという指摘がある。
この論調の要点を、今回、分かりやすく説明した文書をご紹介致します。
(本文) 円安で手詰まり状態の日本経済 利上げしても企業倒産・住宅ローン破産激増の危機的状況 10/26(水) 19:15配信 マネーポストWEB
日本経済に暗い影を落とす円安が止まらない。10月20日にはついに1ドル150円台を突破し、1990年8月以来、約32年ぶりの円安水準を更新。どこまで円安が進むのか、もはや誰も予測できない状況だ。この超円安は今後も続くとみられている。第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が語る。
「過去の経験則から、1ドル100~130円の間が望ましいといわれていますが、現在はこの水準を遥かに超えている。日本がどう対応しても、アメリカのインフレが落ちつかないとドル高が収まらないので、どうにもならない」
アメリカやヨーロッパ諸国は物価上昇を抑えるために金利を上げているが、日銀は頑なにゼロ金利政策をとり続けている。経済評論家の加谷珪一氏が語る。
「日本も同じように利上げすれば、これほどの円安にはなりません。ユーロもドルに対して下がっていますが、円ほど安くなっていないのは金利を上げているから。しかし、日本の場合は景気の悪い状態が20年も続いているため、ここで金利を上げると利子負担で倒産が続出する。住宅ローンを変動金利で借りている人が多いため、住宅ローン破産者が激増する可能性もある。日本経済は手詰まりに近い状況なのです」
利上げはさらなる危機をもたらす。
「日本政府が1000兆円の債務を抱えている状況で、2~3%の金利水準になると政府の利払いは年間20兆~30兆円にのぼる。消費税収を上回り、政府は予算を組めなくなってしまう」(加谷氏)
この状況を踏まえて、加谷氏は最悪のシナリオを描く。
「日銀が金利を上げない以上、理論的には円安が際限なく続く可能性が高い。一部の専門家は1ドル180~200円までいくと分析しています。日本はエネルギーも資源も輸入に頼っているため、単純に支出が倍になる。景気はさらに後退し、富が海外に流出、日本経済は厳しい状況に追い込まれます」
経済が落ち込む日本とは対照的に、経済成長著しいのが東南アジア諸国だ。シンガポールの2021年の1人当たりGDPは日本の約2倍。タイ、ベトナム、インドネシアなどの東南アジア諸国も右肩上がりで日本に迫っている。
「東南アジア諸国は、豊富な労働力や外資の参入によって急成長しています。タイやベトナムの国民1人当たりGDPは20年後には日本にかなり近づくでしょう。ジャカルタやバンコクの都市部で暮らす住民は、すでに日本人とほぼ同じ生活水準と見てよいほどです」(同前)
この円安下では、日本での爆買いが可能になる。日本国内の不動産は東南アジアの富裕層に続々と買われていると永濱氏は言う。
「急激な円安の影響で日本の土地は“お買い得”。彼らは金融リテラシーが高く、円が高くなれば売り抜ける人もいるはずです。外国人による不動産購入はこの円安でヒートアップしている」
東南アジアは「人件費が安い」というのも、もはや幻想だ。加谷氏が指摘する。
「手に職を持つ日本人が東南アジアで就職するケースが増えています。例えば同じフレンチのシェフをしていても、海外ではいきなり給料が倍になることもある。貴重な日本の人材が海外に流出してしまうことを私は危惧しています。日本の労働力が東南アジアに取られてしまうことは、日本経済の大問題です」
※週刊ポスト2022年11月4日号
//
米国が利下げに転じるのは、23年末ごろ、それまで、円安の状況は、本格改善される余地はないかもしれない。
日銀総裁の交代後も、数年以上、現状の緩和策を維持しなければならず、その数年間の間に、増税により、財政規律を抜本改善して、赤字国債総額の緩和処置を実施できなければ、
むしろ、それが、数年では無く、数十年になる可能性さえある様にかんじています。
それほど、異次元緩和で、国債を日銀が買い漁った影響は、将来に響くのでしょうね。
(記)
付録資料1 10月26日水曜日の為替状況
ドル買い実需が阻む円安打開 1ドル=150円定着も
10/26(水) 19:22配信 産経新聞
外国為替市場で歴史的な円安ドル高基調が続く。最大の円売り材料とされる日米の金利差拡大は、背景にある米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが米国の物価や雇用統計次第で近く鈍化する可能性も出てきた。だが、日本企業が貿易で用いるドル買いの実需を減らすには、製造業の国内回帰など産業構造の転換が欠かせず、円安局面を根本的に打開するのは難しい。
26日の東京外国為替市場の円相場は、午後5時現在で前日比1円84銭円高ドル安の1ドル=147円08~11銭。FRBの金融引き締め鈍化に対する期待感からドルを売って円を買う動きが優勢となり、一時146円台後半まで円高が進んだ。
急激な円安を抑止するため政府と日本銀行が実施の有無を公表しない「覆面介入」を続けているとみられることも、市場の警戒感を強めている。財務省の神田真人財務官は26日、「介入の有無は公表しないという方針を(米国も)尊重してくれている」と説明した。
ただ、急激な円安の揺り戻しは限定的とみられる。今年度上期(4~9月)の貿易赤字は11・7兆円と過去最大を記録し、根強いドル買いの実需があるからだ。過去の円高対策で海外に拠点を移した製造業が国内回帰を決断するのは容易ではなく、輸入削減に向けたエネルギーや食料の自給率アップも時間がかかる。
みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「円相場が150円前後の水準で定着するリスクは消えない。年内に再び為替介入させられる可能性がある」と指摘している。
(米沢文)
//
さすがに、現状、150円/ドル近辺が、堤防になっており、これを大きく超えることは、暫く、なさそうだ。
しかし、実需の円安要因は、貿易赤字の定着により、中長期の円安要因になる可能性があるため、米国の利下げが、仮に数年延期になると、かなり、ヤバイ状況になるかもしれない。
(記)
付録資料2 タコが己の足を食うがごとく
経済対策、国費25.1兆円 光熱費総額4万5千円軽減
10/26(水) 15:25配信 共同通信
政府、与党は26日、総合経済対策の全容を固めた。国費の一般会計歳出を25兆1千億円、自治体や企業の支出も含めた事業規模は67兆1千億円程度で最終調整に入った。ガソリン価格を抑える補助金を来年も継続し、高騰する電気・都市ガス料金の激変緩和策を新たに導入。標準的な世帯の光熱費・ガソリン代負担を来年1月から9月ごろまでの累計で4万5千円軽減できると見込む。
28日に閣議決定する。経済対策分の追加歳出を計上する2022年度第2次補正予算案を臨時国会に提出し、年内成立を目指す。財源の一部は22年度税収の上振れ分などで確保するが、大半を赤字国債発行による借金で賄う。
//
赤字国債の増刷とその日銀買いは、必然的に、円安要因になる。
(記)
付録資料3 ダン・タカハシのYOU-TUBUE情報10月26日
○ 本日、短~中期スタンスで、ドル円がドル安―円高の兆候が出てきた。
○ しかし、長期予想では、23年中に、160円/ドルを突破する想定は変えていない。
従って、含み損が、破綻しない程度に、ドルを長期にもっておく行為は否定しない。
ミスター円の榊原英輔氏は、170円/ドルまで、長期トレンドでは行くという発言をしている。
○ 一番賢いやり方は、現状、ドルを売って円を買い、ある程度円高が進行したところで、再び、ドル買い円売りに回帰するやり方だ。
その機会は、確実に来る。
//
投資に時間が持てない人や、レバレッジを余り賭けない人は、ドル買いの長期投資で良い様ですね。
(記)
付録資料4 報道より(ウクライナ情勢)
ロシア軍の核、生物、化学兵器防護部隊のチーフ、イゴール・キリロフ中将は、「ロシア軍は核汚染地域内で行動することを警告されている」と月曜日のインタビューで述べている。
//
既に、戦術核を使う寸前まで、ロシア側の姿勢は、変化している様ですね。
(記)
付録資料5 地方自治体の再生リン工場設置策
テレビ東京、WBS、10月26日水曜日22時
・ 農産品の野菜の作物の卸売り価格が高騰している。
・ ウクライナ戦争で、ロシア産やベラルーシ産の化学肥料、特にリンが輸入規制され、世界市場で価格高騰、日本国内で5月以来、倍近くに価格高騰し、野菜の販売価格高騰の一因になっている。
・ 国内、下水処理場の汚泥から、リンの代替品として、再生リンを生産するプラントが近年国内で広がりつつある。
・ 長期的設備投資が、食料安全保障の観点から、必要とされてきたが、喫緊の食料品の
価格上昇が、物価上昇の要因となり、政府も、至急の対策を意識し始めた。
//
道路等、建設系公共事業よりも優先度が高い様に感じました。
(記)
付録資料6 GO TO EATEに安心できず!
テレビ東京、WBS、10月26日水曜日22時
・飲食店経営の問題点
1. コロナ対策
2. 食材等の原価高騰
3. 従業員平均給与の高騰
1年前に比較して、フード系従業員の平均賃金は5%急騰している。
また、社会保険料の上昇も負担増
付録資料7 ウクライナ議員団、記者会見
ウクライナ議員団“戦後の復興”日本に支援求める 10/26(水) 22:26配信
日テレNEWS
来日中のウクライナの議員団が26日、都内で会見し、ウクライナの戦後の復興への支援を日本に求めました。
会見したウクライナ議会の議員団は、ロシア侵攻後の日本や欧米諸国からの支援に感謝を表明し、ロシアへの制裁の強化にもさらなる協力を求めました。その上で議員団は戦後の復興への支援も求めました。
日本・ウクライナ友好議員連盟 ヤロスラフ・ジェレズニャク氏「ウクライナ人は日本人を(苦しい状況下で助けてくれる)真の友だと思っている。街をより良く再建したいのです。日本が戦争や災害から復興したのと同じように」
議員団はこう述べて、ウクライナの街の復興には東日本大震災などからの復興に努めてきた日本の力が必要だと述べました。
Q「日本政府に期待するのは、財政的支援、または政治的支援?」
日本・ウクライナ友好議員連盟 ハリーナ・ミハイリューク氏「政治的、そして財政的支援の両方を求めているほか、人道的支援ももちろん期待している」
一方で、ロシア軍が占拠し安全管理が危ぶまれているウクライナ南部のザポリージャ原発について、原発事故を経験した日本に知識や情報面で協力してほしいと期待を寄せました。
ウクライナでは、ロシアのインフラへの攻撃で電力不足が深刻になっていますが、冬を前に寒さをしのぐための発電機が早急に必要だと訴えました。
//
冷静、理性的な若い官僚達といった感じで、恐らく、非常に教育水準が高そうな感じを受ける人達だった。
(記)
投稿: 山口達夫 | 2022年10月28日 (金) 22時02分
石破先生へ
表題(目次)「イージスアショア代替艦と12式延伸型に対する批判記事」
付録資料 10月28日TBSニュースより
イージスアショア代替艦と12式延伸型に対する批判記事を御紹介致します。
末尾に、私の、個人的感想を付けました。
(本文)
防衛費の大幅増額「特需」で膨らむ防衛省の野望と与党の確執
10/27(木) 15:00配信 谷田 邦一
財務省は2022年9月5日、2023年度予算の概算要求総額が110兆484億円になったと発表した。国債費や地方交付税交付金を除いた一般歳出は65兆9939億円で過去最大となる。中でも注目を集めるのは防衛費。項目に金額の上限記載がない「事項要求」が急増するなど、防衛省の概算要求額は不透明化している。この前例のない防衛省の概算要求について検証する。
「事項要求」急増の背景
2023年度予算の概算要求について、防衛省内であいさつする浜田靖一防衛相(2022年8月31日、時事)
2023年度の防衛費の概算要求は、確定分だけで5兆5947億円。過去最大となったが、防衛省は戦争の様相が大きく変化したことを踏まえ、防衛力の強化策として7項目を掲げた。
たとえば、中国が進める防衛戦略「A2AD(接近阻止・領域拒否)」に対処するための「スタンド・オフ防衛能力」、航空機やミサイルなど、多様な経空脅威を排除するための「総合ミサイル防衛能力」、ウクライナ戦争で有効性が裏付けられた軍用ドローンなどの「無人アセット防衛能力」などだ。
昨年度までの要求と大きく様相を異にするのは、多くの項目が金額の上限の記載のない「事項要求」となったことだ。100項目近い未確定の事項要求が確定分に上乗せされ、最終的には「6兆円台半ばをめざす」(政府高官)との皮算用もささやかれる。
広げた大風呂敷の中身をめぐり、防衛省は今後、年末にかけて財務省や与党と丁々発止の予算交渉を重ねる。防衛省にとって追い風となっているのは、岸田首相が「5年以内の防衛力の抜本的強化」の方針を掲げ、防衛費の「相当な増額」を明言していることだ。この防衛費の「特需」を受けて、防衛省、国防関係議員、防衛産業などのさまざまな思惑が交錯。「費用対効果」を無視した過大な要求も見受けられる他、一部の防衛装備では、国防関係議員と故・安倍晋三元首相シンパとの確執もささやかれる。
そうした中、防衛問題の専門家たちが懸念するのは、金額の多寡ではなく、果たして予算交渉のプロセスで的確な判断が下されるのか否かだ。
論争の的となりそうな2つの事業
論争性が高い2つの事業を見てみよう。1つはスタンド・オフ防衛能力の目玉である「12式地対艦誘導弾(SSM)」の能力向上型。もう1つは、総合ミサイル防衛能力の目玉となる「イージス・システム搭載艦」だ。このどちらも見逃すことのできない問題を抱えている。
12式SSMの能力向上型は、現在の200キロ近い国産巡航ミサイルの射程を5倍以上の1000キロ超に延伸し、地上からだけでなく、艦艇や戦闘機からも発射できるようにするもの。発射地点にもよるが、射程が1000キロに伸びれば、中国の沿岸部や北朝鮮の内陸部などが圏内に入る。中国とのミサイルギャップを穴埋めしようという狙いなのだろうが、そもそも日中のギャップがどのくらいあるのかを知らないと正しい議論はできない。
米国防総省が2021年に公表した「中国に関する年次報告」によると、中国が保有する地上発射型の中距離ミサイル(500~5500キロ)は、弾道ミサイルが約1900発、巡航ミサイルが約300発、合わせると2000発を超す。第1列島線の内側に米軍などを寄せ付けないA2AD戦略の要となる武器で、核弾頭を搭載できるものが少なくない。ちなみに米国と日本は保有ゼロ。ミサイルの撃ち合いになれば、日本側は圧倒的な劣勢に立たされる。
一般的に射程の延伸には技術的に高いハードルが伴う。ミサイルの信頼性は攻撃目標を探知して誘導し、確実に打撃するターゲティング能力の高さで評価される。12式の一世代前のSSM(88式地対艦誘導弾)は、自前の探索評定レーダーだけでは、水平線の向こうを航行する敵の艦艇を探知することができない。「単独なら沿岸から40~50キロ先が限界」(陸自幹部)とされ、その弱点を補うために、海自の哨戒機が攻撃目標に近づいて相手の位置情報を収集し、そのデータを衛星通信経由で発射部隊に伝達する仕掛けになっている。
12式は飛行中に目標情報をGPS(全地球測位システム)で随時更新しながら誘導するなどの改良が施されたが、1000キロも先の内陸部にある攻撃目標を確実にヒットさせる能力の開発は、まだこれから。ちなみに米国の巡航ミサイル・トマホークは完成の最終段階で、ミサイル本体に装着された「デジタル式情景照合装置」と呼ばれる電子光学センサーによって、自ら目標を識別・探知できる能力を備えている。それらを支えるのは米軍の分厚い宇宙インフラ群だが、日本にはない。日本の防衛産業が総力を結集したとしても、トマホーク並みの能力を備えるのは至難の業だろう。
防衛省は一体どうやって1000キロ先の目標を正確に命中させるつもりなのか。哨戒機や早期警戒機は敵対国の領域には侵入できない。ただ飛ばすだけでは、軍事目標以外に当たる危険が生じる。野党や一部のメディアはこうした能力開発を「憲法に反する敵基地攻撃能力だ」と批判するが、そもそも中国や北朝鮮への抑止力としても心細いというのが実態だ。
膨れ上がる建造費
もう1つの懸念は、海上自衛隊のイージス・システム搭載艦である。同艦の建造は陸上配備型の迎撃システム、イージス・アショアの断念に伴う、いわば代替策。北朝鮮のミサイル迎撃に目的を絞り、平時から24時間、365日、常時監視する役割を担うとされる。2020年に2隻の建造が閣議決定された。明らかになっている構想では、基準排水量が約2万トン、全長210メートル以下、全幅40メートル以下。海自の最新のイージス艦「まや」と比べると、排水量で2倍以上、全長も40メートル大きい。
すでに米国企業と購入契約が結ばれているイージス・アショア用の陸上配備型の大型のレーダー「SPY7」の活用方法に困り、船に載せようと発想したことから計画がゆがみ始めた。「レーダーの消費電力が極めて高い」(海自幹部)ことに加え、長期間、日本海に停留してミサイル警戒にあたらせるため、乗員の居住空間にゆとりをもたせる必要があるとして、船体が巨大化した。
当初は北朝鮮のミサイル迎撃に特化した洋上プラットホームという位置付けだったのが、その後、しだいに欲張って12式SSM能力向上型を積んだり、中露の極超音速兵器に対処したりする役割をも期待されている。かくして建造費はうなぎのぼりに増え、イージス・アショアの導入費の約4000億円を上回るのではと危ぐされる始末だ。
SPY7艦を巡る対立の構図
コストよりもさらに致命的な問題は、果たして米海軍のシステムとの互換性が確保できるのかどうかだ。SPY7はもともと将来の極超音速ミサイルなどの米本土攻撃に備え、ロッキード・マーチン社が開発し、アラスカ州に設置した長距離識別レーダー(LRDR)の次世代技術をベースにしている。艦艇への搭載は想定していなかった。他方、米海軍は現在、イージス艦の防空レーダーとして使っている米レイセオン社のSPY1を順次、同社が開発した次世代型のSPY6へと更新する過渡期にある。
米海軍はSPY6をイージス艦のみならず、空母や揚陸艦にも搭載する計画だ。それによって、敵のミサイルなどの位置情報を複数の艦艇や航空機のネットワークで共有し、確実に撃破する共同交戦能力(CEC)システムを運用する構想を持っている。海自が保有する 8隻のイージス艦にも、将来はSPY6が積まれるのは確実で、SPY7を積んだイージス・システム搭載艦だけが別規格の艦艇となってしまう。
レイセオン社によると、SPY7との直接の連接は、現在のところ計画されていない。日本が独自に建造するイージス・システム搭載艦と米海軍のシステムとの連接は一体、どうなるのか。問題に詳しい軍事専門家は「日本政府が自前でロッキード社や米軍当局と交渉し、互いが連接できるようにシステムを改造するしかない」と言う。そのためにかかる莫大な開発経費は、もちろん日本側の負担になるだろう。
さらに言えば、自衛機能が乏しいSPY7艦をどうやって護衛するのかという運用上の問題も小さくない。陸上にイージス・アショアを設置することで、虎の子のイージス艦を日本海でのミサイル監視から解放して南西諸島防衛に専従させるというのが、そもそもの原点だったはず。このままでは本末転倒になってしまう。
実は、こうした事情を自民党の国防関係議員の一部や海自側のOBたちはよく知っている。意見は多少割れてはいるが、おおむねSPY7艦は不評で、単に巨大なだけの「令和の戦艦大和」と揶揄(やゆ)する声も聞こえる。防衛省内からさえも、「予算交渉の駆け引きの材料になる公算が高い」(同省幹部)といった投げやりな見方がささやかれている。一方、SPY7艦を支持するのは、旧安倍派の一部議員など安倍元首相の流れくむ議員たちで、「反対派」との対立が続いている。
来年度の概算要求には他にも問題点があるが、少なくともこの2つの大型事業は早々に厳格な検証が必要だ。まず求められるのは、国会のみならず国民も十分に判断できるようなデータや情報の公開だろう。「令和の大軍拡」が後世、取り返しのつかない大失敗のそしりを受けないためにも、最善の選択に向けた賢明な議論を重ねてもらいたい。
【Profile】
谷田 邦一:ジャーナリスト、シンクタンク研究員。元朝日新聞編集委員。
//
(以下は、不肖、私、山口達夫の感想です。)
著者が朝日新聞系の解説者であることから、「軍事関係の研究も製造も辞めちまえ」といった純平和主義的思想が根底にありそうだが、イージスアショア代替艦の半分は、ごもっともなことだとおもったのが率直な感想です。
1. 12式射程延伸型に関して
著者は、中国側の弾道弾や巡行ミサイルとのミサイルギャップを言っている。
1900発の弾道弾と300発の巡航ミサイルを言っているが、その中国側の数的優利さが何故必要とされてきているか、の問題を無視している。
非核弾頭で、米軍の航空基地と空自の航空基地を制圧して、初期の制空権を確保する必要がある。
中国側が現在展開している弾道弾の内容の内、少なくとも半数以上は、半数命中圏が、数百m以上の旧式であり、これを使って、日本国内、韓国国内、の米軍、空自、韓国空軍の戦闘機全てを制圧するためには、一カ所の航空基地につき、当初50~60発程度は少なくとも必要だろう。
中国側の弾道弾で展開しているもの全ての、故障していない、稼働率というものを考えれば、少なくとも、70%位には落ちるのではないか?
それに一端制圧した航空基地でも、色々な復旧システムがあり、また、自衛隊や韓国軍の地対空誘導弾(SAM)部隊が健在ならば、航空機による対地攻撃を躊躇せざるを得ず、1つの航空基地に対して、何回も弾道弾攻撃を掛ける必要が生じる場合がある。
そして、完全に日本や韓国の航空基地の航空機本体も含め制圧した後でも、自衛隊や韓国軍のSAM部隊が健在で航空機による地上攻撃が躊躇されるなら、その後の戦果拡張のための軍事インフラや民間交通・エネルギーインフラ、の制圧にも、弾道弾をしようしなくては、ならなくなる。
そして、日本と韓国の国土をボロボロにした後でも、今度は、米軍主力の反攻艦隊や航空戦力との戦いにも、弾道弾を使用しなくてはならなくなる。
その様な現状で、仮に1500発以上の隠蔽されて目標が定かでない12式の延伸型が、中国側の民間交通インフラやエネルギ-インフラに対する脅威となった場合を想定すると、
少なくとも、日本側と中国側は、交戦時、米軍来援前に既に、相互確証破壊的な状況になっているはずであり、これが、抑止力の胆だ!
対艦攻撃の際に終末誘導で、GPS誘導が使いにくいのは分かるが、それは、数で押して、
1500以上配備して、その殆どを対艦攻撃に運用すれば、中国海軍の艦隊は沈黙するだろうし、制海権と制空権を完全に掌握できない対日侵攻は、確実に挫折できる可能性が強い。
インフラに対する抑止力なんて、弾頭の工夫で、数百発で十分だろうし、個人的に、中国側の弾道弾を直接潰すのは、不可能だし、やる意味が殆ど無いと思う。
それに、仮に、現状の12式の射程延伸型が、トマホークより技術的に劣ったとしても、次の改良型をより研究開発して、トマホークの8割五分程度に仕上げれば、後は、数で押して防衛力を高めれば、中国の脅威は下火になり、より完全な対中平和外交ができる様になるとも思える。
現状の軍事バランスの不均衡が、平和への害毒なのだという認識だ。
核を含む弾道弾を2000発近く向けられて、平然とできるのは、平和では無く隷属だ!
2. イージスアショア代替艦に関して
当該文書を読んで、飽くまで個人的考え方だが、「故安倍派議員による意見でこの船を作ることが、国策になっているのら」その様な方々は、議論から排斥してもらうのが筋の様に感じる。
理由は、余りに、仮想敵の意志決定機構や軍事的実力を軽く見過ぎているきらいが強いからだ。
故安倍元首相は、F35A型の大量導入を日米貿易不均衡の改善策としたという説以外に、私、個人は、中国に対する先制核使用の運搬手段として考えていたフシがあると思える。
理由は、その航続距離(空自の公表では、「空自のF35Aの航続距離は、ギリギリ北九州の航空基地から北京に届かない」とされるが、中国側は、「空自の運用でF35Aで北京に核爆弾を降らせることができる」と間違いなく想定しているだろう)、電子戦能力、空戦能力で、大陸内部に核爆弾を撃てる実力があるものと考えるからだ。
おそらく、首相就任当初、中国側から核攻撃を匂わすブラフをホットラインで散々受けて、冷や汗と怒りを得た期間が相当あり、それで、少し、中国側を黙らせるために、先行して運搬手段を持とうと言う意図があったのだろう。
また、そうでもしないと、対等の外交関係を対中で得られないとも考えたのだろう。
しかし、F35Aの導入が始まったころ、米軍太平洋軍元司令のハリス氏の下院報告で、
中国側の弾道弾戦力の「数と精度の飛躍的向上」が表明され、直ぐに、米軍でさえも、対中有事の初動で、米軍の航空戦力と艦隊のグアム、ハワイ以遠への撤退が決められた。
その時点で、本当は、すでに反撃力を持つ方向で検討すべきところを、日本の防衛政策は、
北朝鮮の30年前に実戦化したノドンを意味の無いダシに使った無為のミサイル防衛やら、先制核攻撃をする前に、航空基地は全て、弾道弾で潰すつもりの中国側の戦略になんらかみ合わない、F35Aの大量導入を本当に貿易不均衡の問題だけで継続するハメになった。
その余韻で、いまだに、故安倍元首相の大失敗だったミサイル防衛や護衛艦増強策に唯々、乗り、利権上の為に国税を浪費する様は、盗賊に等しいとさえ思える。
(記)
付録資料 10月28日TBSニュースより
防衛省は、12式射程延伸型地対艦誘導弾の運用開始が早くて26年度になるため、それまでの繋ぎのため、米国のトマホーク型巡行ミサイルの導入に着手しました。
護衛艦のVSL改修で運用予定です。トマホークの射程は、1300kmとなります。
//
(以下は私、山口達夫の感想)
防衛産業の利権におもねず、米国製の「反撃力」導入の方向は、関係者の慧眼を感じます。
中国海軍艦隊と海自艦隊の力相撲で、一番劣っていたのが、巡航ミサイル搭載艦が海自艦隊に皆無だった点です。
個人的には、「反撃力」の主要対象の1つに、中国海軍主要艦艇と思っている立場で、このやり方は、最も好ましい。
決して、少数配備の象徴的な形では無く、海自の現存護衛艦の主要艦艇に、配備が可能なMAXまで配備する方向が望まれると思います。
(記)
投稿: 山口達夫 | 2022年10月28日 (金) 22時04分
敵ながら素晴らし。い演説でした
投稿: 平岡哲夫 | 2022年10月29日 (土) 00時20分
とにかく見ずらい。こんなの読めないよ。石破ファンとしては非常に悔しい。高齢者もいるのだから文字は大きく、構成はわかりやすくしてもらいたいものです。応援してるのですから!
投稿: 竹内正彦 | 2022年10月29日 (土) 05時19分
人間の値打ちは死んだ後に正しく評価されます
生きている内は悪口を多く並べられます、ソンナものです人間の社会は、自分の道を真っ直ぐ進んで下さい、石破茂先生は、思った通りで良いと思います、将来の日本を宜しくお願いします🥺
投稿: 高埜寿一 | 2022年10月29日 (土) 13時34分
石破さん!昨今の議員の皆さんは兎に角『素直さ』に欠けています!勿論時と場合によります!何でもかんでも素直にと言っているのではありません!過ち、間違いは誰にでも有ります、積極的な行動をするほどミスはどうしても多くなります。その時は素直に陳謝し仕切り直す素直さが必要です!
投稿: 林柾夫 | 2022年10月29日 (土) 13時37分
石破先生へ
表題(目次)「帝国データーバンクより、円安・資源高による倒産増加」
付録資料1 黒田総裁の後任人事
付録資料2 物価懸念
帝国データーバンクによると、令和4年度上半期で、円安・資源高による倒産件数が増加している様です。
今週は、こちらの記事を取り上げてみたいと、思います。
(本文)
「物価高倒産」が過去最多 原材料高と円安進行の二重苦 4年度上半期
10/17(月) 17:41配信 産経新聞
ウクライナ危機に伴う原材料価格の上昇に歴史的な円安が重なり、物価高を理由とした企業倒産が急増している。帝国データバンクによると、物価高による倒産は今年度上半期(今年4~9月)に159件発生し、年度ベースで過去最多だった令和3年度(136件)を既に上回った。原材料やエネルギーの輸入コストが膨らむ中、価格転嫁が容易でない中小・零細企業を中心に物価高が経営体力を奪っている。
帝国データによると、今年度上半期の159件は、平成30年の調査開始以降で上半期として最多だった令和3年度上半期(75件)の2倍超。物価高による倒産は月間でも増えており、今年7~9月は単月での最多を3カ月連続で更新した。
今年度上半期の159件を規模別にみると、約7割が中小・零細企業だった。帝国データの担当者は「中小・零細企業の多くは、新型コロナウイルス禍で経営体力を消耗する状態がなお続いている」とした上で、「電気代の上昇や円安の進行も加わり、物価高の影響が徐々に本格化している様相だ」との見方を示す。
足元では円安進行に歯止めがかかっておらず、円相場は対ドルで約32年ぶりの水準に下落。円安は輸入品の調達コスト上昇につながり、物価高を通じて消費者心理にもマイナスとなる。
産業界では急激な円安への警戒感が強まっている。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は13日の記者会見で「円安でメリットを感じている人がいるんですか。製造業でもほとんどないと思う。メリットを感じている人の声が聞こえてこない」と述べた。
また日本商工会議所は12日、政府が月内にまとめる総合経済対策に向けて、エネルギー価格高騰への対策や、企業がコスト上昇分を価格転嫁できる環境の整備などを要望した。
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■業種別
小売業除く6業種で増加、建設業は年度上半期として14年ぶりの2ケタ増
業種別にみると、小売業を除く6業種で前年同期を上回った。建設業(前年同期512件→622件、21.5%増)では、年度上半期としては2008年度以来14年ぶりの2ケタ増を記録。特に、空調工事や給排水工事など一般管工事を中心とした設備工事(同96件→153件)の増加が、全体を押し上げた。運輸・通信業(同133件→168件、26.3%増)では、燃料費高騰やドライバー不足の影響を受け、道路貨物運送(同86件→113件)で増加が目立った。サービス業(同685件→811件、18.4%増)は、2009年度以来13年ぶりの前年同期比2ケタ増。特に、経営コンサルタントなど専門サービス(同103件→136件)や、病院など医療業(同47件→60件)などで増加が目立った。
一方、小売業(前年同期693件→559件、19.3%減)は、3年連続で前年同期比減となった。
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■規模別
負債1~10億円規模の中規模倒産が増加
負債規模別にみると、負債「5000万円未満」の倒産は1786件(前年同期1777件、0.5%増)、構成比は57.2%を占めた。また、「5億円未満」や「10億円未満」でも前年同期比2ケタ増となるなど、1~10億円規模の中規模倒産の増加が目立った。
資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産は2078件(前年同期1934件、7.4%増)、構成比は66.5%を占めた。
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■地域別
9地域中7地域で前年同期比増加、四国は年度半期ベースで過去最少
地域別にみると、9地域中7地域で前年同期を上回った。関東(前年同期1092件→1167件、6.9%増)は、建設業(同185件→222件)や卸売業(同154件→185件)の増加が、全体の件数を押し上げた。東北(同107件→147件、37.4%増)は、山形(同20件→19件)以外の全県で増加し、年度上半期としては過去20年で初の前年同期比30%超を記録。また、近畿(同750件→789件、5.2%増)は、京都(同97件→141件)の増加が目立った。
一方、北陸(前年同期104件→99件、4.8%減)、四国(同69件→42件、39.1%減)の2地域では前年同期を下回った。特に、四国では香川(同20件→8件)など全県で減少したこともあり、年度半期ベースで過去最少となった。
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注目の倒産動向
■「トラック運送業界」倒産動向
燃油高騰も「価格転嫁厳しく」 トラック運送の倒産が急増 2022年4-9月は99件発生 前年同期から1.5倍、過去5年で最多ペース
国内物流の主力を担うトラック運送業界で、今年度に入り倒産が多発している。トラックやバンを使用して荷物を運送し、運賃を受取る「トラック運送(一般貨物自動車運送)」会社の倒産は、2022年4-9月で99件発生した。前年同期(65件)から約1.5倍と急増しており、4-9月期では過去5年で最多。燃料価格が大幅に上昇した14年度以来、8年ぶりの高水準で推移しているほか、SEHIRO(4月破産、負債約18億6000万円)など大型倒産も発生した。
トラック運送ではかねてからドライバー不足といった課題を抱える一方、ウクライナ侵攻以後の燃料コスト上昇と進まない運賃への価格転嫁など、折り重なる負担増に苦しむ。トラックの燃料となる軽油価格は今年に入り一時150円を超え、1年間で約20円上昇するなど急騰。一方で、収入となる成約運賃指数は近年ほぼ横ばい状態で推移しており、軽油価格の高騰に運賃上昇が追い付いていない。下請関係が多層に連なる同業界では「価格転嫁を認めてもらえない」といった訴えも相次いでおり、燃料コストが上昇したことで運賃交渉をしたものの不調に終わり、収益性の悪化に伴い倒産を余儀なくされた運送会社も複数発生した。
こうした業界の構造的な問題に加え、ドライバーの時間外労働を年間960時間に規制する「2024年問題」がトラック運送業界に迫る。多くのトラック運送会社が「今まで運べていたものが運べなくなる」ことで売上減少が想定されるほか、委託ドライバーを使用する会社ではインボイス制度対応による税負担の増加など課題は多く残る。対応できない中小零細のトラック運送業者ではM&Aによる再編や優勝劣敗が加速度的に今後進んでいく可能性がある。
■コロナ融資後倒産
2022年4-9月は202件、前年同期から倍増 コロナ融資損失総額は推計276億円
「コロナ融資後倒産」は、2022年4-9月において202件(前年同期79件、155.7%増)発生した。建設業のほか飲食店、運輸業、食品卸といった分野で多く発生した。実際の融資額が判明した約140社のコロナ融資借入額平均は約6024万円だった。コロナ融資損失総額は推計276億5016万円にのぼり、国民一人当たり230円の負担が既に発生している計算になる。
■円安倒産
4-9月としては5年ぶり高水準 円安倒産は14件、前年同期から7倍
円安による輸入コストの上昇などが直接・間接要因となって倒産した「円安倒産」は、2022年4-9月において14件(前年同期2件、600.0%増)発生した。4-9月としては2017年の21件以来5年ぶりの高水準となる。業種別では、食料品や繊維製品、機械部品の製造や卸売といった産業が中心で、いずれも急激に進んだ最近の円安が倒産要因として挙げられた。
今後の見通し
■倒産は「増加局面」へ 4-9月期では3年ぶり増加、1社当たり負債額も8年ぶり高水準
2022年度上半期(4~9月)の企業倒産は3123件となり、歴史的な低水準となった前年同期(2938件)を上回り、年度上半期としては3年ぶりの増加に転じた。2022年9月の倒産も583件発生し、前月(493件)、前年同月(512件)をそれぞれ上回り、5カ月連続の前年同月比増加。企業倒産は長らく続いた減少基調から増加基調へと転じている。
負債総額は1兆7657億9500万円(前年同期5784億7000万円)に急増し、5年ぶりの1兆円台となった。6月に民事再生法を申請した自動車部品大手のマレリホールディングス(埼玉、負債約1兆1856億2600万円)による影響が大きい一方で、この事例を除いた負債総額でも、前年同期を上回った点を注視する必要がある。倒産1社あたりの負債額平均(トリム幅上下1%)は約8000万円で、前年同期(7300万円/社)から増加。2014年度上半期以来8年ぶりに8000万円台へ到達した。大型倒産の発生は抑制されているものの、コロナ関連融資などを背景に膨らんだ借入金が押し上げる形で、倒産企業の負債額が足元でじりじりと増加している。
■「ゼロゼロ融資」終了、迫る返済 中小企業の1割超が今後の返済「厳しい・できない」
コロナ禍で中小企業の資金繰りを支えた「実質無利子・無担保融資(いわゆるゼロゼロ融資)」の新規受付が終了した。民間金融機関の受付は既に終了していたが、政府系金融機関の受付も9月末をもって終了。コロナ禍という非常時の企業支援として、ゼロゼロ融資をはじめ応急止血的な資本注入を用いた危機対応は、売上高が急減した中小企業の資金繰り緩和に貢献し、企業倒産の発生を大きく抑制した点でかつての「中小企業金融円滑化法」と重なる部分がある。
こうしたなか、今後は「ゼロゼロ融資」の返済、なかでもゼロゼロ融資によって生じた中小企業の過剰債務問題について、その出口戦略策定が喫緊の課題となる。コロナ関連融資を借りたものの返済できずに倒産した「コロナ融資後倒産」は、22年4-9月で前年同期の約3倍となる202件が発生。また、コロナ関連融資を借り入れている企業約6000社のうち、約8割が返済に支障がない一方、1割超の企業では返済が難しい・返済できないなど『返済に不安』と回答したことが帝国データバンクのアンケート調査で判明している。長期化したコロナ禍に加え、円安やウクライナ危機など経営の足かせになる新たな事態が中小企業を襲うなか、円滑化法が実質終了となった翌年の19年度同様、返済原資が残っていない、今後の支払い負担に耐えきれないといった企業の「息切れ倒産」が続出しかねない懸念が残る。
■私的整理の要件緩和へ、「法的整理回避」の動きに注視 中短期的には倒産増続く
こうしたなか、岸田首相は9月30日の閣議で、「物価高・円安対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」を3本柱とする30兆円規模の総合経済対策を策定するよう関係閣僚に指示した。なかでも、新たに検討される「私的整理円滑化法案」は、全債権者の同意を必要としない迅速な手続きを優先した債務整理方針とされており、過剰債務を抱えた企業の財務正常化や、経営内容が極度に悪化する前に予防的な対応を促す効果が期待される。課題はあるものの、実現すれば最終手段たる法的整理が回避される動きが一時的に強まる可能性はある。
現状の倒産件数はリーマン・ショック時ほどの絶対数はなく、金融機関の支援スタンスもリスケ対応を含め柔軟に行われている。ただ、「円安」「物価高」「人手不足」の三重苦で、企業を取り巻く収益環境は一段と厳しさを増している。中短期的な企業倒産は、コロナ禍でギリギリの経営を強いられてきた中小・零細企業を中心に、悪化する一方の経営環境に見切りやあきらめをつけた「息切れ倒産」が押し上げる形で、増加傾向が続くものとみられる。なかでも、既に大幅な倒産増加が目立つ建設・運輸・サービスの3業界の動向には注意が必要だ。
//
(以下は、私、山口達夫の感想)
一時的な、急激な状況変化による倒産はなるべく回避できる様な施策が望まれると思う。
しかし、例えば、円安基調とか、物価上昇傾向といった、今後、当分、恒常的な環境化しそうな環境変化に伴い、業態の維持が困難になった業種は、法的処置を含み、市場から、順次退場していくことは、人材のより高収益職域への移動を促す意味で、回避すべき事態ではないと思う。
収益性が高い職域が、より、賑やかになっていくのは、経済原理的に、適合していると言えるだろう。
倒産の増加による、廃業率の増加という事態には、起業がより順調に出てくる環境を作為できる様に、銀行等金融機関の働きを、後押する施策が望まれる。
(記)
付録資料1 黒田総裁の後任人事
日銀総裁人事、政策の予見性や政府との連携を重視=岸田首相
10/17(月) 10:43配信 ロイター
岸田文雄首相は17日の衆院予算委員会で、黒田東彦日銀総裁の後任人事について「来年4月の時点で最もふさわしい人物を選ぶ」と述べた。
[東京 17日 ロイター] - 岸田文雄首相は17日の衆院予算委員会で、黒田東彦日銀総裁の後任人事について「来年4月の時点で最もふさわしい人物を選ぶ」と述べた。人選に当たっては、政策の予見性、政府と日銀の連携といった点を重視していくという。
伊藤達也議員(自由民主党)の質問に答えた。伊藤議員は政府・日銀が緊密に連携して、安定した金融政策を堅持して行っていくことを市場に「ぶれずにしっかり伝えていくことがきわめて重要だ」と述べた。
岸田首相は、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきだと指摘。その上で、黒田総裁も中央銀行の政策効果を円滑に発揮していく上で市場の理解を得ていくことが非常に重要と発言しているほか、金融政策の有効性を確保していくためには一貫性・予見可能性の高い政策対応を継続していくことが重要と言っているとし、「経済・物価・金融情勢を踏まえながら、物価目標の持続的・安定的な実現に向けて努力してもらうことを政府としても期待している」と述べた。
黒田日銀総裁は予算委で、国際商品市況や円安といったコストプッシュ要因がはく落することで来年度以降の消費者物価上昇率は2%を下回る水準に縮小していくとの見通しを示した。その上で、経済を支え、賃金上昇を伴う形での物価目標の持続的・安定的な達成に向け、金融緩和の継続が適当だと語った。
(和田崇彦 編集:田中志保)
//
誰が黒田総裁の後任に付いても、簡単に、金利を上げることは不可能。
政府・財務省が、財政規律を回復する政策を数年かけて、達成するまで、危なくて、金利なんかあげられない。
(記)
付録資料2 物価懸念
テレビ東京、WBS、10月28日金曜日 物価、日銀見通し等
・7月日銀物価見通し
22年度 2.3%
23年度 1.4%
24年度 1.3%
・10月28日 日銀物価見通し
22年度 2.9%
23年度 1.6%
24年度 1.6%
・ 日銀は、来年度春闘における賃金上昇を3%程度と想定
・ ただ問題なのが、現状の企業物価指数が、今後消費者物価指数に添加していく過程で、さらに、どんどん物価上昇する懸念がある点。(東探リサーチ、加藤出氏)
・ 21年1月 消費者物価指数>企業物価指数
・ 22年9月 企業物価指数 9.7%
消費者物価指数 3.0%
:究極的には、消費者物価指数は、10%前後に収束するのではないか?
//
仮に、来年の春闘で3%の賃金上昇が確立し、物価が日銀見通しどおりに1.6%に収まれば、景気の好循環になるが、日銀の物価下落の想定の元になっている「資源価格下落」が、
ウクライナ戦争の状況とさらに戦後の状況が不透明なのに、言い切ってよいものか、個人的に多大な疑問がある。
基本的なことだが、物価上昇を抑える手段は緩和をやめ、国債発行額を少なくして、財政規律を向上して、最終的に金利を上げることであり、当然、現状の日本の状況は、よほど、大々的な増税路線をとらないと、不可能だ!
(記)
投稿: 山口達夫 | 2022年10月29日 (土) 17時18分
自民党って感じ悪いですね。日本の国が破滅するまで自民党はこのままだと思うようになりました。 自民党が悪いのではなく、日本人にふさわしい政党がこの程度ということなのでしょう。
投稿: 水の月 | 2022年10月29日 (土) 22時33分
石破先生へ
表題(目次)衛星コンステレーション構想関連
防衛3文書に上がっている、衛星コンステレーション構想に関して、個人的感想を取り上げてみました。
(本文)
ミサイル情報収集へ衛星50基の打ち上げ検討 防衛省23年度以降に
10/30(日) 6:00配信 朝日新聞デジタル
ミサイル防衛のため、多数の小型人工衛星を一体的に運用して情報収集する「衛星コンステレーション」について、防衛省が約50基の打ち上げを検討していることがわかった。迎撃が難しい「極超音速ミサイル」の探知や追尾の研究実証に生かし、「敵基地攻撃能力」を保有した際、攻撃対象の情報収集に利用することも視野に入れる。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。衛星コンステレーションは、多数の小型衛星を低高度の周回軌道に打ち上げ、一体的に運用する。特定の地点を高い頻度で観察できるため、相手部隊の動向把握につながる。政府関係者は「敵基地攻撃能力を持つことになれば、攻撃対象の情報収集にも役立つだろう」と話す。
音速の5倍(マッハ5)以上の速度で軌道を変えながら飛ぶ極超音速ミサイルを探知・追尾するための研究実証も計画している。
防衛省は、衛星コンステレーションの整備について、政府が年内に改定する安全保障関連3文書の一つ次期中期防衛力整備計画(2023~27年度)への明記をめざしている。この期間中に衛星を順次打ち上げ、運用は民間委託も検討。すでに進めている民間の衛星画像の取得や、米国の情報とも合わせて情報収集体制を強化したい考えだ。
朝日新聞社
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中露の「キラー衛星」に対抗、日本上空の監視衛星2基態勢へ…宇宙防衛を強化
2022/10/30 05:00
防衛省は、日本上空の宇宙空間の警戒を強化するため、監視衛星を2基態勢で運用する方針を固めた。2基目の衛星には、中国やロシアの「衛星攻撃衛星(キラー衛星)」の活動を妨害する機能の付与を検討している。複数の政府関係者が明らかにした。
監視衛星態勢の構築と拡充は、宇宙分野の防衛力強化策の柱の一つとして、年末までに改定する「防衛計画の大綱」(防衛大綱)や「中期防衛力整備計画」(中期防)に明記する。
衛星には、光学望遠鏡を搭載し、高度約3万6000キロ・メートルの静止軌道でキラー衛星の動きなどの情報を収集する。来年度から地上のレーダーでの警戒が始まる予定だが、宇宙空間ではより詳細なデータが得られる。
現在、2026年度までに1基目を打ち上げることが固まっている。ただ、1基ではセンサーの角度によって警戒範囲に限界がある。日本上空を全てカバーするには複数の衛星が必要で、防衛省はまず1基目の運用を検証し、2基目の打ち上げ時期を調整する。
監視衛星の必要性は、中露がキラー衛星の開発を進めていることを受け、18年の防衛大綱や中期防で初めて打ち出された。
日本の安全保障関連の衛星としては、地上の動向を把握する「情報収集衛星」に加え、ミサイル誘導に不可欠な「測位衛星」などが運用されている。これらがキラー衛星の攻撃で無力化されると、日本の防衛に重大な影響を及ぼす。
このため、2基目の監視衛星には、キラー衛星の攻撃を阻止するため、電波妨害装置などを搭載する方向だ。防衛省が来年度から具体的な設計に着手する。
キラー衛星への攻撃について、浜田防衛相は「自衛のための必要最小限度の措置でなければならない。個別具体的な状況を踏まえて判断する」(27日の衆院安全保障委員会)と述べ、法的には可能だとの認識を示している。
◆ キラー衛星 =宇宙空間で他国の衛星を攻撃する軍事衛星。標的の衛星に接近し、ロボットアームで捕獲したり、電磁波を照射したりして機能を喪失させる。中国は2010年以降、衛星同士を近づける実験を繰り返している。ロシアも関連技術を開発しているとされる。
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中国
中華人民共和国は、2003年から弾道ミサイルを転用したASATの実験を進めていたと見られており、このASATは2007年1月11日の人工衛星破壊実験により、その存在が公式に認められることとなった。
この実験で使用されたASATは中距離弾道ミサイル 東風21号 (DF21) をベースとした固体ロケット開拓者1号 (KT-1) で、弾頭には運動エネルギー弾頭を用いたと見られている。実験では四川省の西昌宇宙センター付近から打ち上げられ、高度約850~860kmの軌道に存在した同国の老朽化した気象衛星(風雲一号C型)に命中、これを破壊した。
スペースデブリの危険性が認知されるようになって以降20年以上この種の破壊実験は行われていなかったが、この実験により多数のデブリが発生した。これにより、国際宇宙ステーションなどの有人宇宙開発の新たな懸念となる可能性があるとして欧米諸国を中心とする各国から抗議がなされた。これに対して2008年2月、中国とロシアは共同でジュネーブ軍縮会議に「宇宙空間における兵器配置、宇宙空間の物体に対する武力行使または武力行使の威嚇を防止する条約」草案を提出し、衛星攻撃兵器の実験を自粛する方向に転じた。
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軌道高度は、地上から200km~1000kmの範囲と、3万6000km付近の2つに大きく分かれる。前者は「低軌道」と呼ばれて、国際宇宙ステーション(ISS)などに使われる軌道で、後者は「静止軌道」と呼ばれて、気象衛星や放送衛星などに使われる軌道なのだ。
//
早期警戒衛星(そうきけいかいえいせい)は、偵察衛星に分類される軍事衛星である。その主な任務は、弾道ミサイル発射の探知にある。アメリカ合衆国のDSP衛星や、旧ソビエト連邦およびロシアのコスモス衛星の一部がこれにあたる。
ミサイルの発射探知は主に、その発射炎を赤外線カメラによって探知することにより行う。一般の写真偵察衛星が低い軌道を周回するのに対して、早期警戒衛星は地球上の広い範囲を常時監視するという任務上、静止軌道ないしはモルニヤ軌道といった高い軌道を採用することが多い。
本来は、冷戦時代にアメリカ合衆国およびソビエト連邦が互いの大陸間弾道ミサイル発射を警戒し、有事にあたってその攻撃に即応し反撃するために考えられたものである。冷戦が終わったのちに起きた湾岸戦争に際しては、イラクのスカッドミサイル発射などを捉らえ、パトリオット部隊などに警報を発することで、弾道ミサイルの迎撃における有用性を示した。
//
準天頂衛星システム
日本で受信可能な特定地域上にのみ留まる3機の衛星によって米国のGPSを補完及び補強するために、計画が進められている、準天頂衛星システム (quasi-zenith satellite system; QZSS) と呼ばれるものがある。2010年に1機目が打ち上げられ、2013年には運用状態となった。
また、日本のものに限らず、軌道上の準天頂衛星と地上の管制制御ステーション群、そして受信局を含めた全体を指して「準天頂衛星システム」とも呼ばれる。
長所と短所
長所
天頂付近さえ開けていれば衛星からの信号が受信できる。このことは高層建築物の多い都市部で求められる要素である
短所
常に衛星による便益を受けるには3機以上の準天頂衛星が必要とされる
上の条件で必要とされる複数の準天頂衛星はまったく軌道面が異なるため、複数衛星の同時打ち上げはできない。また、軌道上予備の配置もやや課題を伴う
衛星が常に動いているために、指向性が強く求められるサービスでは、受信局が衛星を追尾する必要がある。無指向性のサービスであれば問題にならない
軌道高度が高いために、低軌道衛星やGPS衛星に比べて大きな電力を扱う大きな衛星を、打ち上げ能力の大きなロケットを用いて打ち上げなくてはならない
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(以下は、不肖、私、山口達夫の意見です。)
○ 2007年の衛星破壊実験により、中国軍は、ASAT技術を使った、低軌道域の衛星を物理攻撃で破壊する技術を既に、得たと考えるべきだと思います。
ジュネーブ条約でスペースデブリ発生問題から、以後の実験は中断していますが、このASAT技術を使った部隊編成等を全て放棄したと考えるのは、非常に危険です。
個人的には、むしろ、この技術に対して中国側が殆ど手つかずの状況であるとするのは、欺瞞情報をこちらが敵から得ている範疇の状況に過ぎないとしか思えません。
そして、現状まで、もし本当に、それほどこの種の技術に対して、無関心でいることがあったとすれば、中国側が対日侵略コストを殆ど見積もっていなかったためともとれるでしょう。
そして、日本側が本気で、反撃力に示される、対中軍事戦略システムを得ようとした場合、それに対する中国側の対策は、すでにあるASAT技術による部隊規模をさらに拡大するだけで、日本の将来コンステレーション構想の低軌道衛星を片っ端から物理攻撃で潰していくことが、有事想定で、十分考えられます。
さすがに、対日、対米貿易を維持しようとする平時にはその様な行為は無いでしょうが、台湾有事や周辺事態から日本本土有事に至る状況では、将来的には、この低軌道を使ったコンステレーション構想は、あたかも、F35Aを使った、防空、制空、対中戦略運用が中国の弾道弾により砂上の楼閣の様な有様になってしまった様に、すでに、中国側の対日侵略戦略の手の内に入っている様です。
一見、多数の衛星を打ち上げ、水も漏らさぬ安定性に見える、コンステレーション構想ですが、低軌道の場合、24時間監視するためには非常に多くの衛星の監視を複合する必要があり、個人的な見方として、50基の内、1割、5基の撃破で、ほぼ完全に盲人状況になる様な予感がします。24時間監視できなければ、意味が無く、潰す方は、衛星の位置により、どの時間帯が盲人化したか、明確に分かるからです。
監視衛星に電波妨害によるキラー衛星対処を行うとされていますが、これでは、有事に想定される中国側のASATによる、物理攻撃には、全く無力です。
有事に、戦略の施策の優劣で、国民の犠牲者が数百万単位で、全然変わって来るのは、日米だけでは無く、中国側にとっても、その機微は重大であり、その様な状況で、ジュネーブ条約を馬鹿正直に守って、日本の低軌道衛星を手段があるのに攻撃しないなんて、余程、気が狂った政治家の感覚としか思えません。
平時の運用は、それは意味のある話かもしれませんが、有事を検討外にする様なのは、
安全保障の意味を完全に逸脱しています。・
//
対策は、低軌道による複数監視を変更して、準天頂衛星の技術を使った、ASATの届かない静止軌道に近い高空に早期警戒衛星を3基くらい打ち上げて、常時監視を行う体制を作ることだと思います。
予算がこちらの方が割高だと思いますが、空自の戦闘機の更新を一部中止してでも、そこは予算を捻出して欲しいと思います。
(記)
投稿: 山口達夫 | 2022年10月30日 (日) 17時36分
【反日の毎日新聞は、やはり反日の毎日だった】
それを念押しする毎日新聞の記事を反日の立民議員が採り上げ、外務省に文句を言ったらしい。毎日は、のちに誤報と認め記事を削除したらしい。
Yahoo!に記事があった。
『毎日新聞は2022年10月28日までに、在ウクライナ日本大使館にウクライナ語を理解できる人物がいないと問題視した記事を取り消し、根幹部分に誤りがあったと謝罪した。
報道を受け、読者からは外務省の人材配置のずさんさを批判する声が相次ぎ、野党から国会で追及されるまでの騒動になっていた。しかし、外務省は「事実と異なる」と否定している。
・・・・・中略・・・・
記事は注目を集め、SNSでは「外務省のとんでもない怠業と醜態」「ひどい。これでは日本人を守れない」と外務省への批判が渦巻いた。一方、大使館の元関係者や国際政治学者からは真偽をめぐり疑問視する声もあった。
J-CASTニュースが28日、外務省報道課に事実確認すると、26日の衆院外務委員会で答弁したと話す。
この日は立憲民主党の青山大人衆院議員が、「(大使館に)ロシア語やウクライナ語を理解できる人間が一人もいなかったと。ある日ね。そんなことが外に漏れ出て報道されている」「こういうことになっちゃうと国民の皆さんは『外務省何やってんだよ』となる」と追及し、外務省に見解を質していた。
中込正志欧州局長は「在ウクライナ日本大使館でウクライナ語を専門とする外務省職員がいないという報道は事実と異なる」と一蹴。ロシアのウクライナ侵攻以降も一貫して、それぞれの言語を専門にする職員を配置していると答えた。
発端となった毎日新聞の記事は28日までに削除された。同紙編集部は「筆者の入手したメールは『日本大使館の全員がウクライナ語ができるわけではない』とすべきもので、『ウクライナ語ができる人間が一人もいない』という表現は間違いでした」と事実誤認があったと認め、「お詫びし、正確を期すため、筆者の申し出により記事を削除します」と謝罪した。』
反日同士だから立民議員は記事の内容に沿って外務省を国会で攻めたわけである。しかし、外務省はきっちり反論したうえで事実を述べた。毎日は事実ではないと認めたうえで削除したと述べている。そして一連の報道について謝罪している。立民議員ははしごを外された形になっているように見えるのである。しかし、その後の発言はないらしい。当然のように起きるはずの毎日に騙されたとか、外務省に向けてごめんなさいと云うような話もない。ただのピエロだ。ウクライナ駐在日本大使館を心配しているのであれば、何か発言するべきことがあるはずだが何も言いたくないらしい。反日の材料が崩れたことによる。
毎日新聞の誤報と云うよりでっち上げだ。事実について調査をしたこともなく妄想で記事を書いたようだ。
反日記事は取材費がゼロで済むのだ。妄想だけが頼りである。
この話は、国内にいる反日勢力のある日の出来事だ。それ以上でもそれ以下でもない。ただの日常だ。
注意を怠らないようにしないといけない。毎日新聞は海外向け電子版で我が国の普通の家庭では母子相姦が流行しているという記事を連載していた過去がある。しかも、一切訂正もせずに責任者であった記者は、のちのこの反日主義的功績ゆえに毎日新聞社の社長になった。反日活動が高評価されたとしか思えないのだ。現在この男は毎日新聞の相談役に就任している。反日主義は社内で出世する為のアイテムである。今回の記事を書いた記者も社長まで上り詰めるかもわからないが、連載しないと効力がない。
投稿: 旗 | 2022年10月30日 (日) 23時04分
【財務省の岸田と呼ばれるのは理由がある】
Yahoo!にその理由の一端を示す記事があった。
『10月26日に開かれた「政府税制調査会」(首相の諮問機関)では、参加した複数の委員から「消費税率アップの議論をすべきだ」との意見が相次いだ。
「未来永劫、10%のままで日本の財政がもつとは思えない」
「今後の高齢化の進展に合わせて、遅れることなく、消費税率の引き上げについて考えていく必要がある」』
本当にこういう声が上がったのか? どこにそういう声を挙げる愚か者がいたのか詳細がないので不明だ。
しかし、記事ではそれに反対する内容が続く。
『10月28日、安倍晋三内閣で内閣官房参与を務めた、京大大学院の藤井聡教授が自身のTwitterにこう書きこんだ。
《岸田内閣は30兆円規模の経済対策をまとめると同時に政府税調を使って消費税引き上げるべきだとの主張を開始.これでは日本復活どころか後進国化/植民地化がさらにさらに加速するのは確実.これでは日本の政治の中枢が今、恐るべき愚者達に占拠されているとしか思えません》
同じく10月28日、Twitterでは、岸田首相の約1年前の発言が拡散した。2021年9月18日、自民党総裁選の候補者討論会での発言だ。
「(消費税は)10年程度は上げることを考えていない」
「すぐに増税で財政を埋めることは考えていない」
この発言がTwitterで拡散すると、岸田首相を批判する声が巻き起こった。
《まだ一年しか経っていないが》
《1年でコロッと変わったわけだ》
《なんだよ岸田、サイテーだな》
《コロコロ考えが変わるのは危険》』
総裁選が終わってすぐに財務省に取り囲まれ、1年を経たずして消費税増税を簡単に気軽に口にするようになっていたわけだ。まさに、【財務省の岸田】である。
官僚は、民主的手続きで選ばれた人ではない。採用試験だけで政府からの給料で雇われているだけの立場の人だ。選挙で選ばれた岸田がいつの間にか官僚の言いなりになってしまっていることに気が付いていないということだ。官僚は腐敗する。権力者になろとして人を騙すのだ。そして責任は取らない。人でなしだ。岸田が頼りないのは、その辺りの事実を簡単に忘れるからだ。その上、宏池会は池田隼人が作った。池田隼人は大蔵省の官僚出身であるのは知られた事実だ。だから、財務省は宏池会の岸田なら簡単に言いなりにできると思っているのだろう。宏池会は財務省閥のような性格もあるのではないか?
財務省から見ればいいようにこき使える政治家の一人という認識だろうな。
岸田を早く政府から放り出せ!
投稿: 旗 | 2022年10月30日 (日) 23時30分
【韓国では、もしかすると、ハロウイーンが間違って伝えられているのだろうか?】
もともとケルト人の世界で始まった祭りという。宗教的な色彩はなかったらしい。キリスト教徒間でも取り上げることはないとする地域もある。仮想パーテイやカボチャの彫り物を並べて遊ぶというようなイベントのようだ。ただ韓国にはウリスト教というキリスト教とは似て非なる異様な宗教が跋扈しているようなので、このハロウイーンがどのように解釈され、伝わっているのか不明だ。しかし、狭い路地におしくら饅頭をするように殺到するモノではないと思う。150人を超える死者は人災である。警備上の整理とか、多数の人々を誘導するような措置もとられておらず、なすがままに漠然と展開するままにしていたことが今回の悲劇の原因だろうと推測する。
問題は先週の金曜日の段階で韓国国内でのコロナ新規感染者が3万人を軽く超えていたということだ。動画を見れば、この超過密の人の群れにマスクをする人々の姿は皆無に近かった。
明日以降の急激な感染大爆発が起きるのではないかと思いますね。韓国人の入国禁止を直ちに発動した方がよろしいような気がしている。コロナ感染者が落ち着いてきたのに突然3万人の大台を韓国がはじき出した。これは、危険ではないか!!
超過密の人災で150人以上の死者も重大な事故であるが、超過密の環境でのコロナ感染拡大も同じぐらい危険である。メデアにそれについての記事が見当たらないことも不安である。誰がその事実について報道をするのか? 感染者数が表に出るまで待たねばならない。しかし、韓国人の入国禁止は待ったなしだ。
狭い路地でおしくら饅頭をすれば悲劇になる。韓国人は何か大きな誤解をしているようだ。
投稿: 旗 | 2022年10月31日 (月) 00時14分
>2027年、日本がウクライナのようになる――。これは決して、脅しではありません。私が本気で心配している「迫りつつある危機」です。総理や国会議員、周囲の人々にも必死にそれを伝えています。
えっ、日本が侵略されるの? 日本で戦争が始まるの?
此はある自衛官とおぼしき方からの某サイトでの投稿です。
私からのレスです。
此、有る投稿欄での自衛官とおぼしき方からの投稿です。
以下私からのレスです。
月並みな常套句が並んだ国防論の典型だ。日本がウクライナになるから,防備をしろ,自分の国は自分で守れ.守らなければウクライナの二の舞になる。
中国、ロシア、北朝鮮が虎視眈々と狙っている。
残念ながら,どれ程の防衛力を持って,どれ程の防備をすればどう守れるかという説明が全くないのがこの手の国防論の常道だ。
昨今の戦争は,陸軍が上陸して戦車で砲撃して侵略するなどという戦争は起きない。つまりウクライナは全く例外だ。この戦争は全く参考にならないことをしっかり理解すべきだ。
中国が日本に攻撃しようとするなら、1000発のミサイルを同時に撃ち込んで一夜で全ての国家機能を破壊し尽くしてしまうだろう。
残念ながら、その飽和攻撃に対抗できる手段はない。
核抑止も効かない。核で攻撃しても,せいぜい数キロから数十キロメートルの範囲を破壊できるに過ぎないからだ。
広大な中国に意味はないのだ
核が抑止力として機能するのは、対等な相互確証破壊を持ち得たときのみです。
日米安保条約で日本が守られると言っても、日本を守るための核攻撃の報復をアメリカ本土への攻撃で受けるかもしれないと危惧したら、米軍は,核攻撃で日本を守るでしょうか、
そこに日米安保の弱点があり、核抑止の限界があります。
どういう戦争のどういう攻撃に,どんなふうに守るのか,守ることが出来るのか。それを語ってください。
投稿: かも | 2022年10月31日 (月) 00時20分
【韓国で起きたハロウイン大量死亡事故について考えてみる】
この特定された地域は韓国を代表する繁華街という話なのだそうだが、幅員わずか4mほど、長さが350mも続く路地のような狭い場所で、主催者もない、ほぼ自然のなすが儘に人が集まり誰もコントロールができないまま人が密集して起きた事故である。約10万人がその狭い路地、しかもごみのポイ捨てとかがあって滑りやすくなっていた小汚い道である。制服警官の姿はなかったという証言もある。あとでわかったことだが警官は約200名ほど動員されていたという話になっているようだが出回っている動画にその姿を見ることがない。
主催者のないイベントなので責任追及される先は行政ということのなるのかもわからないが、韓国国内の法整備が不明なので損害賠償責任まで追及できるのかどうかはわからない。そこで気になるのは日本人犠牲者2名のことである。彼女たちは旅行者なので、もしかすると旅行保険に加入しているかもわからない。そうであれば、約款上の補填が適用されることになるだろう。どこから見てもまごうことなき旅行中の死亡事故だ。韓国人であっても韓国国内両保険の加入者であれば同じだと思うが、韓国人は保険に加入するという判断が皆無に近い人々であると聞いたことがあるので、泣き寝入りになる人が多いのではないだろうか? 2014年の旅客船沈没事故の犠牲者も旅行保険加入者が少なかったために、補償目的があって、政府相手にその賠償責任追及へと発展したきっかけになっていたらしい。
このことから、今回のこの事故も政府に責任追及が向かうと思われているようだ。警官の姿がなかったという話が出てきたのは、その狼煙のような話である。
これは大きく膨らむだろうと思いますね。
それはともかく、主催者のないイベントを放置していていいのかという問題である。昨今の状況というのは人が大量に集まるだけで病気の蔓延が容易に起きる事実がある。予防するというのはほぼ不可能だ。そしてこの雑踏密集事故のように過密状態が一定時間持続すれば、大量に集まった人の体重だけで、事故死を招くという危険もある。
人混みを避ける人も増えてきているのであるが、人混みに群れに行く人も絶えることがないのは事実である。
この人の流れを制限するという問題は、自由の制限と捉えらると政治問題のように利用されてしまう。安全安心の確保という声もまた必要な気もするのであるが、それは政治家が言えば何か裏があるかのように痛くもない腹を探ろうとする馬鹿が湧いて出て来るだろう。しかし、安全安心が目的なのだとする場合、誰がそれを言えばいいのだろうかと考えると、難しい問題になってしまう。
現状の警察は、この場合頼りにならない。明石歩道橋事件というのがある。無能な警官が組織として無能であったということが実証され、脚光を浴びた事件だ。そして、今年、奈良で起きた安倍氏暗殺事件というのもある。警察はいつも頼りにならない処で注目を集める。
人が密集するところでの警戒は必要な処置である。頼りになるような警察を育てることにするのか、こういう方面に特化した、また別な組織を作った方がいいのか悩むことになるような気がする。医療従事者のような知識もこれから先の世界において、必要になってくると思うからだ。
我が国では宗教団体の犯行で有名になった反社会的なテロ事件とかも心配である。幸い、ここ数年は落ち着いているようだ。組織的な集団による政治テロは今のところない。こういうのはこの先もないと断言するのは不可能だ。
結局のところ、憲法の改正を待たねば、何もできないのかもわからない。戒厳令を出す根拠は我が国にないからだ。
政治家が動かないとできない問題ばかりである。憲法改正は待ったなしだ。
投稿: 旗 | 2022年11月 1日 (火) 01時52分
石破先生
今晩は!!。
昨日10月31日の夜より冷え込み、本日11月1日は久しぶりに朝より冷たい秋雨の一日でありました。冷たい雨に一気に庭木の紅葉・黄葉が進んだようであります。もうすでに晩秋と云うより「冬近し」の時季となりました。
このような中、先生に於かれまして国会の各委員会や講演に臨まれさぞ多忙なる事と拝察し、大変お疲れ様であります。
小生は先生と同郷、鳥取県出身の「国の将来を憂う」者であります。
さて、本日はランダムに思いつく拙論を述べて見たいと存じます。
石破先生も述べられておりましたが、過日の衆議院本会議場に於いて野田元総理による安倍元総理への追悼演説は、久しく見られない程の名演説でありました。
ユウチューブ動画にもアップされて居り、小生も何度もなぞるように見る事が出来ました。
以前より野田元総理は「演説は巧みである」との前評判ながら、情に流される事なく、立場の違いがあっても一国のリーダーとして国の行方と国民の将来を想い、「士」が「士」の心情を思いや「誠」が感じられる、憲政史上に残る「名演説」であったものと思います。
菅元総理の国葬儀に於ける「追悼の言葉」も、現役の頃は「安倍に菅あり、菅に菅無し」との長期政権に於ける信頼関係の内容を述べ、大変な評判となりましたがそれに劣らず、否、それ以上の内容であったものと思いました。
野田元総理は現役の頃は「どじょう」と揶揄される事が多かったものの、現在野党立憲民主党内では非主流との事であり、野党第一党としては勿体ない政治家のようであります。与党自民党のみならず、若返りと云っても緊張感のある国会運営を行う為にも、見識のある政治家は重用すべきであると想います。
次にウクライナ情勢とロシアプーチン政権の事を述べて見たいと存にます。
ウクライナ戦争はウクライナ南部4州における、ウクライナの猛反攻によりロシア側の戦線の不利もありプーチンは総司令官を解任の上、情報戦に於いて「ウクライナは汚い爆弾使用を計画している」と流し、暗に自国ロシアによる「放射性物質を含む爆弾の使用」を相手側ウクライナであるとの攪乱情報を流して居るようであります。誰が考えても自国ウクライナに、放射性物質を含む爆弾を使用し、国土汚染の拡散を行う筈も無く、近く国際原子力委員会(IAEA)はウクライナに査察と監視にため入ると伝えられております。
近代のみならず、古より戦争には実際の戦闘のみならず、相手の司令機能を攪乱するための「情報戦は必須の行為」であります。
然しながら、ロシアの行為は余りにも卑劣極まるものであります。
又ロシア国内に於いては、若者を兵員としての過酷な動員がロシア国民に非難され、若者を含む多くの国民の国外への流出がつづいて居るとも伝えられて居ります。その為プーチン大統領は一時、動員を延期したとも伝えられて居り、ロシア国内の情勢も混乱を極めているようであります。
以上の事柄より泥沼化している現状より「脱却する、させる事」は戦争当事国のみならず国際社会にとっても何よりも喫緊の課題であります。
ロシアへも、NATOの中心的存在であるアメリカに対しても、停戦に向けた接触を早急に行うべきであります。
その仲介役はトルコのエルドワン大統領のみならず、核使用の脅威も叫ばれている折柄、被爆国でもありその悲惨さ、悲劇を知り尽くしていて、尚且つ戦後復興を成し遂げた我が国日本こそが名乗りを上げるべきではと想います。ウクライナとロシアの彼我に誠の思いを致し、更に国際社会の平和希求への願いを実現すべきであります。
今や戦争による人類の世界的危機に際しては、自国の利益のみを考慮しているような時代ではなく、何処かの国の誰かが名乗りを上げる時ではないでしょうか?勿論国際社会からのコンセンサスを得る為にも、国連による強力な支援のもとに行えればとも想います。
次に、久しぶりに政府のコロナ禍対策に言及して見たいと存じます。
この冬は新型コロナと通常インフルエンザの同時流行では?と懸念されているようであります。
小生の家にも第5回目のワクチン接種券が10月25日に着き、早速従来通りかかりつけ医に出向き、ワクチン接種の予約を行いました。
その時の説明では、今回の当院では「新型コロナBa1」対応株であると説明され、もしかすれば12月中旬頃「新型コロナBa5」対応のワクチンも入荷するかも知れません。しかし、「今回Ba1のワクチンを打てば、接種券は一回限りであり12月に再度打つ事は出来ません」と説明され、「どちらを選ぶかは個人の自由選択である」と説明を受けました。已むを得ずBa1の対応株の予約を行い帰りましたが、他府県の知人は「5回目はBa5対応のワクチンを打つ事が出来た」との事であり、市の「コロナワクチン接種コールセンター」へ問い合わせたところ、「当方は集団接種会場でのワクチン対応のみの問い合わせでありBa1のみです。Ba5対応ワクチン接種を希望であれば、大病院であれば行って居るところもあるようであり、ご自身で問い合わせて下さい」との余りにもつっけんどんな対応でありました。
大変怒りに思い、今度は厚労省のコロナワクチン接種対応窓口に直接問い合わせを行いました。その内容は「政府の従来では5ヶ月接種期間を空けると云いうものが、3ヶ月となり順次対応しているもののBa1対応とBa5対応ワクチンが自治体によって混在しているようである」との説明でありました。
その為、更に今度は市の厚生業務課に問い合わせをおこないましたが、「確かに行政単位によってワクチンの種類はバラバラであり、どのタイプが個人病院へ行くかは決まって居りません。しかし、何れのタイプでも重症化を防ぐ効果はあります」との説明でありました。
コロナ禍のワクチンを打つ回数も5回目ともなれば、少しでも最新の新型コロナ株対応のワクチンを打ちたいと思う事は誰しも同じ心情であり、そこを早めに打つか?或は入荷の確定のないタイプが入るまで待つか?は個人の選択(自己責任)にゆだねられる」とは、副反応の事もあり、無責任なワクチン行政ではないかと思うばかりであります。
折しも、横ばいであった感染者数が東京を始め大都市を中心にここ数日増加傾向を見せて居り、不気味であります。
この辺りの厚労省の指導はもう少し、国民の希望するように不安を与える事無く、自治体ごとの違いがなく平等に行って頂きたいものであります。
長々と詳しい説明でありました事を、ご容赦くださいませ。
投稿: 桑本栄太郎 | 2022年11月 1日 (火) 20時17分