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2023年4月28日 (金)

民主主義の意義など

 石破 茂 です。
 ここ数日、報道もめっきり少なくなりましたが、宮古島周辺海域での陸上自衛隊UH-60JA型ヘリコプター事故で殉職された第8師団長・坂本雄一陸将をはじめとする諸官の御霊の安らかならんことを切に祈りますとともに、未だに見つかっていない隊員諸官の早期発見を願っています。
 フライトレコーダーやボイスレコーダーも未回収であるため、原因の特定にはなお時間のかかることが想定され、軽々な評価は慎むべきですが、本来海上を飛行することが想定されていない陸自のヘリが、熊本→奄美→那覇→宮古というほとんどが洋上の長距離を飛んだのは何故だったのでしょう。熊本から那覇までは約800㎞あり、これを最高速でも295㎞/hと言われるUH-60JAで飛ぶことは、操縦士にも搭乗していた将官にも相当の負担ではなかったかと思われます。事故機は熊本空港に所在する高遊原分屯基地の所属でしたが、同基地には固定翼の連絡機LR-2(操縦士2名の他8名が搭乗可能、最高速度580㎞/h、巡航速度440㎞/h)も配備されているはずで、これを使わなかったのは何故だったのか。
 国内各地に迅速に展開する機動師団である第8師団ですから、たしかに担任区域たる南西諸島の地形等を正確に掌握する必要性があるものと思われますが、それでも熊本から奄美経由で那覇までの飛行そのものには積極的な意味は見出しがたい気もします。
 また、事故機には師団長、幕僚長以下、多くの師団幹部が搭乗していましたが、同一機にこれほど多くの最高幹部が搭乗したことの妥当性も考えなければならないでしょう。昭和18年4月、ソロモン諸島ブーゲンビル上空で、最前線視察のために山本五十六連合艦隊司令長官が搭乗していた一式陸攻の一番機が、待ち伏せしていた米軍機に撃墜されて山本長官が戦死しました。この時、二番機に搭乗していた参謀長の宇垣纏中将は撃墜されながらも生還しました(海軍甲事件)。この例を引くまでもなく、幹部が分乗するのは組織の危機管理上当然のこととされているはずですが、今回は何故それが行われなかったのか。この点についても検証の上、仮に合理性に欠くことがあったとすれば、即刻改めなければならないでしょう。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、各種の訓練も一部延期・中断されていたようですが、有事はコロナ禍終息を待ってはくれません。防衛費増額や憲法改正の議論はたしかに必要なことですが、派手で勇ましい議論の裏で、防衛体制の根幹がどこか揺らぎつつあるように危惧されます。我々国会議員は、今こそ精神論に堕することなく、阿ることなく、厳然と主権者・納税者の代表としての職務に取り組まねばならない、と痛感しております。あれこれと指摘をすれば反発や怨嗟の声が生ずるもので、これを恐れていては何も始まりません。
 その意味において、香田洋二・元海上自衛隊自衛艦隊司令官の著書「防衛省に告ぐ」(中公新書ラクレ・2023年1月)は実に示唆に富むものです。防衛政策を論ずるにあたって、是非とも多くの方にご一読いただきたい一冊だと思います。憲法については故・小室直樹博士の「日本国憲法の問題点」(集英社インターナショナル・2002年4月)を大変興味深く再読しました。故・色摩力夫大使の著書との併読をお勧め致します。

 

 今年は修学旅行がほぼコロナ禍以前の形式で再開され、国会見学に訪れた中学生に話をする機会を多くいただき、中には宿泊先のホテルで講演と質疑応答の時間を設けてくれる学校もあったのは、先週この欄に書かせていただいたとおりです。中学生に民主主義の意義や平和の構築にむけての考えを話すことが出来たのはとても有り難いことでした。
 また今週はこの他にも、大学院生や専門課程の学生、大学新入生などに講演する機会があり、特に質疑応答はとてもエキサイティングでスリリングな時間でした。いろいろな地域や世代の方々に講演をする機会は、自分の勉強のためにもとても有意義だと思っております。

 

 今週の自民党外交調査会・国連改革検討委員会では、元国連代表部大使・元駐独大使の神余隆博・関西学院大学教授のお話を拝聴しました。ヒトラーの自決後に発足したデーニッツ政権と国家としてのドイツの連続性を、ソ連とロシアとの連続性との関係で論じた視点はとても興味深いものでした。

 

 ウクライナ侵攻においてロシア人が戦い続ける理由として、ロシア政府がこの戦争を大祖国戦争(独ソ戦)に擬えてその意義を強調していることとともに、兵士に破格の厚待遇がなされている、とジョージ・ワシントン大学の論考は指摘しています。ロシア人の給与の中央値は545ドル(約7万2000円)であるのに対し、兵士の月給は2500ドル(約33万円)、負傷した場合は3万9000ドル(約518万円)、戦死した場合は6万5000ドル(約861万円)が支払われ、帰還兵には公務員への採用、健康保険、公共交通機関の無料パス、大学教育の無償化などの恩典が与えられるのだそうです。ソ連崩壊後、産業の低迷、経済の混乱、短命化、高い失業率などに悩むロシア人男性にとって、この戦争は人生を立て直すための大きな手段となっている、との主張には深く肯かされるものがありました。

 

 明日から春の連休に入ります。選挙の有無にかかわらず、少し丁寧に地元廻りをしておきたいと思っております。
 皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

 

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2023年4月21日 (金)

民主主義のリスクなど

 石破 茂 です。
 和歌山での首相襲撃事件について、「民主主義は卑劣な暴力には決して屈しない」のはその通りなのですが、それは我々政治家の覚悟の問題でもあるのではないでしょうか。
 「誰でもいいから殺してみたかった」「有名人を襲ってみたかった」というような輩はいつの時代も存在するものです。1990(平成2)年10月に、名古屋市の陸上自衛隊・守山駐屯地において、丹羽兵助・元労働大臣が駐屯地の記念行事に出席し、暴漢に刺殺された事件がありましたが、精神病院に通院・加療中だった犯人の動機は「有名人を殺したかった」というものでした。丹羽元労相は当時当選12回、総務長官や国土庁長官も歴任された自民党の大重鎮であるにも拘らず、我々のようなまだ駆け出しの議員にも決して偉ぶることなく丁寧に言葉をかけてくださる、人格者の典型のような方であっただけに、とても驚いたことをよく覚えています。
 政治家は街中にポスターを貼り、選挙になれば自分の名前を絶叫して己の存在を誇示するものですし、自分なりの主張を明確に持っていれば当然反対者も多くなるでしょう。日常活動もろくにせず、主義主張も明確ではない政治家など、存在意義に乏しいと言わねばなりません。ですから政治家が標的になりやすいことはあらかじめ覚悟しておくべきですし、丹羽先生のような人格者でも狙われるのですから、こういった事件を根絶することは不可能に近いと思います。演説は必ず屋内でやる、入場者すべてに持ち物検査を行なう、政治家にはすべて警護官をつける、などというのはあまりに非現実的です。今後改善すべき点は改めるとしても、民主主義にはそのようなリスクが常に伴うことも認識し、覚悟すべきです。

 和歌山の事件の容疑者の行為が決して容認されないのは当然のことですが、これとは切り離して、供託金を納めなければ公職に立候補できないのは違憲である、との主張については、今後検討すべき余地があるように思います。OECD35か国中で供託金制度が存在しているのは13か国、その中で日本の次に高額な韓国が日本の半額、その他の国は日本円で約10万円以下なのだそうです。供託金は国会議員は選挙区で300万円、比例区で600万円、都道府県知事が300万円、都道府県議会議員が60万円、市議会議員が30万円、町村会議員が15万円となっていますが、この根拠もよくわかりません。候補者の乱立や売名行為を抑止するためとのことですが、どうして各種選挙に差を設けるのか。
 日本国憲法第44条は「両議院の議員及びその選挙人の資格は法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産、または収入によって差別してはならない」と定めますが、供託金制度がその目的とする候補乱立・売名行為の抑止は、この憲法の趣旨を超える合理的な理由となるのでしょうか。個人的にはこれを否定的に解しており、人格も識見も素晴らしいが、300万円の供託金がどうしても用意できない、という人が立候補もできないというのはおかしいと思います。売名目的や、落選覚悟で立候補することにより他候補の票を減らして共倒れを狙うなど、あまり感心しない理由で立候補する人も確かにいるのですが、それは民主主義のリスクと考えるべきなのではないでしょうか。少なくとも、供託金を引き下げる取り組みは今後進めていかねばならないと思っております。

 陸上自衛隊のヘリコプター事故は、機体の位置が特定され、乗員の発見と殉職の確認作業が続いています。御霊の安らかならんことをひたすら祈ります。
 機影がレーダーから消えた地点と海没地点は約4キロ離れており、8トンの重量の機体が海流で流されたとは考えられず、その間は陸地への墜落を避けるべく、困難な状況で懸命に飛行していたということなのでしょうか。そうだとすればその時間はどれほどであったのか、二人のパイロットのどちらも手動の救難信号であるトランスポンダーを操作しなかった(できなかった)のは何故なのか、今後フライトレコーダーやボイスレコーダーの発見・解析が急がれます。
 陸・海・空自衛隊のどの事故もそうですが、事故発生時は大々的に報道がなされても、時が経つにつれて原因究明や改善の報道は少なくなります。しかし、殉職された自衛官の御霊に応えるためにも、これらもきちんとフォローしてもらいたいものです。

 先週12日水曜日、就役したばかりの水産庁漁業調査船「開洋丸」(橋本高明船長)を見学する機会を得、得るところ大なものがありました。世界第6位の排他的経済水域(EEZ)、世界第3位のEEZ海水量を有するわが国の水産資源調査体制はさらに強化していかなければなりませんし、漁業者に対して資源管理を求める際には、正確なデータが無くては説得力を持ちません。開洋丸の航海の安全と、橋本船長以下乗組員各位のさらなる活躍を祈ります。

 今般、自民党鳥取県連会長選挙が行われ、無投票で引き続きあと2年間、私が5期目を務めることとなりました。同じ者がいつまでもやるべきものではありませんが、鳥取県からあるべき自民党の姿を示すため、微力を尽くしたいと思います。

 コロナ禍で3年間中断されていた鳥取県東部の中学校の修学旅行が再開されました。どの学校もディズニーランドと共に国会見学は行程に必ず入っており、初当選以来、都合のつく限り私自身が短時間でも話をするように努めております。
 私の出身校である鳥大附属中学は、国会見学の後、墨田区の空襲資料館を見学し、夜は舞浜の宿泊先で平和学習として私が講演する機会を設けられました。政治色は一切排して、いかに平和を構築するかを話したのですが、とても難しい作業でした。何故日中戦争や敗戦必至の太平洋戦争に突入したのか。空気に左右される世論、己の組織や利害を優先する近視眼的な政治・行政・メディア財界の体制は、今でも共通する面があるように思われてなりません。

 来週からは春の大型連休に入るのですね。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2023年4月14日 (金)

陸自ヘリ墜落事故とJアラートなど

 石破 茂 です。
 陸上自衛隊のヘリコプター墜落事故で、搭乗者の発見が第一であるのは当然のこととして、事故原因の究明のためにはいわゆる「ブラックボックス」の回収が急がれるはずです。「ブラックボックス」はボイスレコーダー(CVR)とフライトレコーダー(FDR)を総称したもので、航空法の適用を受けない自衛隊機にも搭載されており、数千Gの強い衝撃にも、1100度の高熱にも、6000メートルの水圧にも耐え、30日間以上その位置を知らせるビーコン(超音波信号)を発信し続ける性能を有すると言われています。今に至るもこれが発見されていないとのことで、確かに現地は水深が約100メートル、潮の流れも速いのですが、回収不可能なほどのものではないでしょう。ビーコンが発信されていないとすれば、故障や電池切れが原因なのかもしれませんが、離陸前に行うはずの機器の点検にはCVRやFDRは入っていないのでしょうか。
 航空機が海に墜落した時、最近のCVRやFDRは機体と分離されて水面に浮かび、信号を発信するものと聞いていましたので、今回何故それが発見されないのか不思議に思っておりましたが、報道によれば陸上自衛隊のヘリコプターに搭載されているFDRは海上自衛隊や航空自衛隊のそれとは異なり、衝撃時に自動的に機体と分離され海上に浮いて位置を知らせる機能は付いておらず、むしろ分離されないように機内に内蔵されているとのことです。陸自機は通常、海上を飛ばないので、そのような機能を必要としない、ということのようですが、これも今後検証が必要でしょう。

 

 昨14日、北朝鮮から発射されたミサイルが北海道に弾着するとのJアラートが発出され、その後、弾着の可能性がないとして「訂正」されましたが、これも一体どういうことだったのでしょうか。「最悪の事態を想定して、見逃し三振よりも空振り三振をすべきだと考えた」というのは一見もっともなように聞こえますが、要は防衛省のミサイル探知・迎撃システムと、Jアラートを発出する消防庁のシステムとの連接が適切ではない、ということなのではないでしょうか。
 もし北海道に落下する可能性があったのなら、ミサイル防衛任務イージス艦や、北海道所在の空自パトリオット部隊が迎撃態勢に入っていたはずですが、果たしてそのようになっていたのでしょうか。国民には避難を呼びかけながら、自衛隊は対応していなかったというのなら、これは一体何なのでしょう。いずれにせよ、このようなことが続けば、ミサイル防衛システムそのものに対する国民の信頼が大きく揺らぎます。
 判断を誤ったりミスを犯したりしたとき、美しい言葉や精神論でこれを糊塗してしまえば、また同様の誤りが続き、最終的には安全保障態勢そのものがいい加減になります。防衛予算を増やしておカネを積むだけで安全が確保されるわけではありません。

 

 12日水曜日の衆議院憲法審査会では、自民党や維新の多くの委員から「憲法第9条第1項と第2項はそのままに、第3項に自衛隊の存在を明記すべき」「専守防衛も平和主義も全く変わらない」との論が多く聞かれましたが、本当にそれでよいと考えているのか、空恐ろしい思いすら抱きました。「必要最小限度」に拘泥せず、「自衛権」を国際法と同じ水準に捉えなおさない限り、自衛隊が我が国の独立と平和を守るために行う任務には不合理な制限が伴い続けますし、「専守防衛」論には軍事的合理性はほとんど見出せません。「かつてない危機」を強調しているのにもかかわらず、このような議論がいまだに続けられることに対する違和感は、一層強くなるばかりです。

 

 鳥取県知事・県議会議員選挙も終わり、知事選は平井伸治現知事が9割以上の得票率で5選を果たし、県議選は定数35の内、自民党が公認と推薦を合わせて19議席を確保して1議席増となりました。鳥取市選挙区では知事と同姓同名の候補が最下位ながらも当選し、市長や参議院議員を務めた無所属新人候補が落選するという意外な結果となりました。直前になって立候補を表明した知事と同姓同名の候補は、無投票阻止を目的として立候補したのだそうで、選挙公報に「立候補の目的は果たされたので、どうか私に投票しないで他の候補に投票して欲しい」と記載し、SNS発信以外の選挙運動はほとんど行わない、という誠にユニークな選挙戦を展開したのですが、この候補が3613票を獲得した結果をよく分析してみる必要があります。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というのはどの選挙にも共通する真理です。

 

 週末日曜日は、鳥取市で農業についての講演を行う予定ですが、農政に限定した講演は本当に久しぶりで、よく頭を整理して臨まねばなりません。
 皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

 

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2023年4月 7日 (金)

ひろゆき氏との対談など

 石破 茂 です。
 統一地方選挙の道府県知事、政令指定都市の市長、道府県議会議員等の選挙もあと二日を残すのみとなりました。この間、鳥取県内の他、六府県のお手伝いに廻り、最終日は鳥取県内の接戦中の重点区を中心に廻る予定です。
 もう39年も前のことになりますが、衆議院初出馬に向けて準備中の1984年(昭和59年)の晩秋、初めての集会を当時自民党幹事長代理であった渡辺美智雄先生を弁士にお迎えして開催する計画を立て、県内各地にポスターも貼ったのですが、どうしても人を集める目途が立たず、やむなく中止にしたことがありました。山陰の寒い霙模様の中、半分泣きそうになりながら自分でポスターを剝がして回ったのを一生忘れることはありません。応援依頼があった時は出来るだけお断りせず、十分な下調べをして伺うように心掛けてはいるつもりですが、それはこの時の体験があるからだと思います。今回も様々な候補者がおられますが、お客様の多寡を問わず、少なくとも足を運んでくださったり、足を止めて聞いてくださった方の心に残るような話を何か一つだけでも出来たらよいなと思っております。

 国会では防衛費増額の財源を巡る議論が始まりましたが、今一つ嚙み合っておらず、国民の理解が深まらないままになることを危惧します。
 衆議院本会議では、維新の議員が本質を突いた質問をしていたのですが、これに対する政府の答弁は「専守防衛は見直さない」「核共有の議論を行うつもりはない」「米軍との統合的な指揮命令体系の構築は考えていない」という従来通りのもので、それがどのような軍事合理性を持つのか、どのように日本の独立と平和に寄与するのかについての説明が全くないのはとても残念なことでした。私も予算委員会で同旨の質問をしたのですが、このような根本的な問いに正面から答えてこそ、国民の理解に資するのではないかと思っております。
 かつて鳥取県の片山善博知事が「県議会は(議員も執行部も原稿を読むだけの)学芸会」と揶揄して物議を醸したことがありました。とかく官僚の作成する答弁は本質を逸らし、敢えてすれ違いの議論をして無難に終わらせ、結局何を言いたいのか判然としないものに仕上げがちで、近年はこれを大臣が読むだけの答弁が多くなったように感じていますが、この性を乗り越えるだけの見識と気概が政治家には求められるのであり、己に対する自戒を込めてそれを痛感しております。

 過日収録したひろゆき氏との対談がネットに上がっていますが(「ReHaQs・リハックス」)、様々なコメントを拝見して、世の中にはいろいろな見方があるものだと思わされます。ほぼノーカットで約一時間話せるのはとても有り難いことでした。「論破王」との異名をとるひろゆき氏ですが、トリッキーな質問や議論のための議論がなく、忖度のない率直な問いかけはむしろ気持ちの良いものでした。ご関心がおありの方はどうかご覧くださいませ。

 陸上自衛隊のUH-60JAヘリコプターの乗員の無事を心より祈ります。自衛隊のヘリコプター運航は、安全確保に細心の注意を払っていることをよく承知しておりますが、何故このようなことが起こったのか。2017年10月に航空自衛隊・浜松救難隊の同型機が墜落しており、この原因はパイロットが空間識失調を起こしたことであったと結論付けられていますが、この際の教訓はどれほど陸や海で共有されたのか。陸上自衛隊の航空機は海上を飛ぶことには慣れておらず、それが影響したということは考えられないか。UH-60型機はベストセラーとして世界中で使用されており、例えば米軍でも2015年(フロリダ)、2017年(ハワイ)にやはり空間識失調による墜落事故がありました。こういった世界の事例もどれほど研究されていたのか。好天で視界も良好な中、有視界飛行で空間識失調には陥りにくいと思われますが、現場に過度の負担がかかってはいないかも含めて、よく検証する必要があります。

 早いもので、四月も中旬に入ります。皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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