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2024年4月 5日 (金)

平林鴻三先生ご逝去など

 石破 茂 です。
 いわゆる「派閥裏金問題」に関与したとされる党所属議員に対する処分が決定されましたが、党内には不満、怨嗟、憎悪の声が満ち満ちており、世の中の評価も総じて低く、今後の先行きには不透明感が漂っています。
 党の自浄作用を示すことは必要ですが、検察の捜査で立件されなかった者を処分するからには、当該議員が何を為したのか、それがどれほどの党規約に抵触するものであったのか、過去の処分との整合性をどうとるのかを説明のつく形で示さなくてはなりませんが、強制的な捜査権限を持たない党紀委員会にそのようなことが果たして可能であったかどうかは甚だ疑問です。「これで幕引きは許されない」的な報道が多くなされ、国民の皆様にも同じ思いを持たれる方が圧倒的であることはよく承知していますが、最終的には選挙で有権者の判断を仰ぐ他はありません。
 政権復帰後、徐々に自民党の規範意識が劣化したことは否めませんし、その間4年にわたって幹事長や閣僚を務めてきた私自身にも責任がありますが、安倍政権当時、官邸や党執行部に意見をすること自体が疎んじられる雰囲気があり、また権力に阿る人々は政界のみならず、官界、経済界、メディアにも多く居たのは間違いない事実でしょう。「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」というイギリスの思想家ジョン・アクトン卿(1834~1902)の言葉は永遠の真理であり、我々はこれをよく噛み締め、常に自戒せねばなりません。

 

 4月16日告示、28日投開票で、東京第15区、島根第1区、長崎第3区で衆議院の補欠選挙が行われますが、自民党が公認候補を立てられるのは島根県だけとなる見通しです。私にとっては隣県で、参議院では鳥取・島根が合区でもあり、ここに可能な限りの力を尽くしたいと思っております。自民党の立候補予定者である元財務省中国財務局長の錦織功政(にしこり・のりまさ)氏は、人物・経歴ともに立派な人物ですが、知名度不足を早急に補わなければなりません。

 

 元鳥取県知事、元衆議院議員、元郵政大臣 平林鴻三先生が、さる3月28日に93歳で逝去されました。
 昭和49年、亡父・石破二朗の参議院転出に伴い43歳の若さで当時最年少の知事として後継となられ、3期半ばで衆議院議員に転出、5期を務められ、第二次森喜朗内閣において郵政大臣を務められました。
 石破二朗の後継知事と長男という本来兄弟のような間柄でありながら、中選挙区であった鳥取全県区で地盤と人脈が完全に重なる二人が相争う、まさに血で血を洗うような厳しい戦いが10年以上にわたって続きました。私が熱心な小選挙区論者になった背景には、自民党同士が仇敵のごとくに戦うという中選挙区にたまらない嫌気を感じていたという事情があったのですが、小選挙区に移行後は先生が比例中国ブロック、私が鳥取一区との住みわけがなされ、それまでの対立構造は無くなりました。
 ただ一度だけでしたが、二人だけで夕食を共にしながら、専ら共通の趣味であるクラシック音楽の話に興じた時のことを今も鮮明に覚えています。好きな曲目や演奏者が共通していたことも驚きでしたが、名曲にもかかわらず比較的マイナーなビゼーの交響曲に話が及んだときはとても嬉しく思ったことでした。政界引退後は一切公の場には出られることがなく、ご自宅で音楽を聴きながら県立図書館で借りてこられた本を読んでおられたとのことですが、殺伐とした政治の世界と訣別されて心豊かな晩年をお過ごしであったことと拝察します。「権力は謙抑的に使うもの」との教えを思い出しますが、もっとお会いして亡父の話や政治の在り方についてお聞きしたかったと悔やまれてなりません。今頃、先生が亡父とどのような話をしておられるのかと思うと、感慨深いものがあります。

 

 相沢英之先生(元経企庁長官)、野坂浩賢先生(元官房長官・社会党)、武部文先生(元物価問題特別委員長・社会党)、西村尚治先生(参院議員・元総務長官)、坂野重信先生(参院議員・元自治相)は既に亡く、今回平林先生が逝去されて、私が初当選した昭和61年当時の鳥取県選出の国会議員は、私の他はすべておられなくなってしまいました。党や派閥は異なっても、それぞれ人間味豊かな立派な方々でした。38年の時の流れを実感するとともに、一人残されてしまったような寂寥感を強く感じております。

 

 先月29日、去年より15日遅く東京の桜の開花が発表されましたが、昨日、今日と東京都心は冷たい雨となりました。本日が満開で、週末から来週にかけてが見頃となるようです。いつかゆっくりと花見が出来ることを願っているのですが、今年も実現しそうにはありません。
 皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

 

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コメント

石破様おはようございます。裏金事件は裁きがくだされ一件落着したので、もう後ろのものは忘れて前に向かって歩むべきだと思います。まずは補欠選挙頑張って下さい。これからが石破様の正念場ではないかと思われます。国民のために信頼回復のために良き仕事をして再び巻き返してください。石破様期待しています。

投稿: hitomugi | 2024年4月 6日 (土) 06時54分

 そもそも、有権者が政治資金パーティー券を購入するということは、代金に会場費や飲食代などが一部含まれるものの事実上の政治献金であり、それが自民党派閥主催のパーティーならば、券を購入する個人あるいは企業団体は熱心な自民党支持者で、しがらみもあったりするのでしょう。
 ですから、自民党にとってはとても有り難い存在であるはずなので、私は今回の問題では「パーティー券を買ってくれる人に対して感謝の気持ちはなかったのかな?」と不思議に思いました。だからこそ報告書に不記載を続け、裏金ではなく還付金だ、などという言葉が出てくるのではないかと。
 つまりは、有権者の心情などは二の次で、自分達の論理や自己保身が第一になっているので、それが今回の処分やその他の言動にも現れていると思います。
 岸田総理が「最終的には国民の皆さん、そして党員の皆さんにご判断頂く立場にある・・」と言及したので、これは自らの内閣のもとで、いずれどこかのタイミング(来年もあり)で解散を行うと宣言したに等しいと思います。支持率の低下はむしろ「私を引きずり落とそうとするなら解散するよ」という、ある意味最強なカードを手にしているわけで、これは「今は」解散を考えていない、という言葉とも符合します。
 総選挙の際は、その時の政権に対する印象の一方で、野党は政権を担う覚悟があるのか、立憲と維新は合わないようだが大丈夫なのか、国民は企業内労組の手先に過ぎないのではないか、そもそも維新は表向き野党だが実態は自民党の裏部隊ではないのか、なども見られるでしょう。また、立憲民主党は「裏金政治を続けるのかどうかだ」などとピント外れのことを言っていると自民党が批判されても支持率は上がらないのではないでしょうか。
 ちなみに、来たる補欠選挙の結果では現在の民意の分析がなされるでしょうが、私は投票率は低いだろうなと思っています。黙って見ているのも卑怯かなと思って本欄に意見投稿しておりますが、今後しばらくは控えたいと思います。
 

投稿: コジュケイ | 2024年4月 6日 (土) 07時46分

石破先生へ
お疲れ様です。
私は自民党の政治資金等/裏金問題については、冷めた視点で見ており、その点では石破先生とは見解が異なります。
安倍派の裏金問題がいつから始まったのかは、確実なのは森政権発足後の2000年頃だったのではないかと思います。小泉総理誕生で、森派の議員数と支持団体が増え、第一次安倍政権、続く福田政権で森派から町村派へ、急速に派閥が大きくなり、政治資金集めがあまり上手でない新人議員や、全くお金を集めることができない比例議員が集まれば、森元総理や町村派、そして第二次安倍政権の力で派閥としての集金力を高めるのは、ごくごく当然のことでしょう。
自民党の派閥ごとに、どんな政治資金集めをしているかについては、そう大きな違いはないと思いますが、茂木派(旧竹下派)や宏池会は、ある程度集金力がある人を派閥に入会させているので、安倍派のように大きく集めて再分配するようなシステムは続けなかったのだろうと推測します。
先生が仰る、「自民党の規範意識が劣化した」という点はあたらないかと私は考えます。劣化というよりも、鈍化してしまったのではないかと。
政治とカネについて、ギリギリのところでしっかりと自分範囲で収める努力をしていた派閥と、長年に渡りごっちゃんシステムで、見つからなければ何でも許されるというナニワの金融道思考でいた派閥との差が露見しただけと感じておりますが、いかがでございましょうか。

投稿: 正木公二 | 2024年4月 7日 (日) 22時31分

【やはりストレスを持たないことが長く生きることなのだろう。】

その過酷な状況を自ら選んだわけではないまま石破さん相手に選挙戦を行うしかなかったようだ。これはもうストレスが溜まっていくしかない。やがて、選挙の仕様を変える方法で自らの健康回復を図られたのではないだろうか? まあ、推測である。享年93歳というのが判断をする材料になるだろう。最近、私と年齢の変わらない著名人の訃報があって、その人の生前を知ることもないが現役を続けていた漫画家がいた。なんと68歳でお亡くなりになったという話だ。出版社から過酷な督促を受ける日々を40年間耐えていた人なのは有名である。その出版社はその漫画家がいなければすぐに倒産していたようなところだが、今や世界中に有名になった漫画の版元の地位もある。黙っていても世界中から金が入って来る。68才で亡くなった作者には遺族に著作権が相続されて安泰と出版社は勝手に思うだろう。ストレスで追い詰めた40年以上の生活に向けた反省はないのだ。

何があったのか詳細は今も不明であるが、鳥山明氏はジャンプの発行元である集英社によって命を削られたのではないか。

各種メデアはどこもそれを採り上げることがない。なぜこれが問題なのかと言えば、似たような状況の「ワンピース」の尾田栄一郎氏のことが心配だと思う。過酷なストレスは寿命を縮めますね。93歳でお亡くなりになった人は人生のいずれかの時点で、方針を変えられたのだろう。ストレスから逃げることは状況次第で悪いことのように批判されることもある。しかし、90歳以上生きる生活は人生を楽しくしさせるだろう。


気温の上昇は三叉神経痛にはストレスなのだが、気持ちの問題でもある。これで死ぬことがないという事実。まあ、それぐらいしかない。

投稿: 旗 | 2024年4月 8日 (月) 04時24分

石破先生

今晩は!!。
あれ程寒暖差が激しく、足踏みとなって居りました桜の開花も漸く満開を迎え、彼方此方よりお花見状況が伝えられて居ります。
石破先生に於かれましては、令和6年度の本予算が決定したとは云え、お隣島根県の補欠選挙へも党中央が「がたがた状態」であり、てこ入れに走り回って居られる事ではと存じます。
小生は先生と同郷、鳥取県出身の「国の将来を想う者」であります。
本日もこの一週間の出来事などより、拙論を述べて見たいと存じます。

さて、去る4月4日に与党自民党は党紀員会を開き、所謂派閥の政治資金規正法違反事件に関係した、安倍派、二階派議員他の39名に対する処分を決定しました。
世耕氏、塩谷氏は「離党勧告」を、下村博文氏、西村康稔氏には1年間の党員資格停止を、高木毅氏には半年間の党員資格停止を、松野、武田氏、萩生田氏は1年間の役職停止を、その他の議員は政治資金収支報告書への不記載の金額によって、役職停止か戒告処分を総数39名に対して行いました。

然し、与党自民党内からは不満が噴出して居り喧々諤々の騒乱状態とも、相互不信とも伝えられて居ります。肝心な岸田総理自身への処分はなく、岸田総理は「検察の判断によって良しとされている」との言い分であります。
その為であろうか?国民の81%が納得して居らず、政権のみならず自民党支持層まで大幅な影響が出ているようであります。
政治資金規正法違反と云う「立派の法律違反」をおこしながら、各派閥の長やそれらを取りしきる与党自民党総裁が何ら処分はないとは?民間企業であれば、当然関係者は即刻首であります。

国会議員は「公僕」でありながら自分達で処分内容を決定し、「裏金」問題を幕引きしようとは、国民は全てを見て居りとても納得出来るはずがありません!!。
岸田政権は即刻総辞職を行い、総選挙を行い国民に信を問うべきであります。

折角、民間企業に於いてかなりのベアが決定していながらも、今日の新聞では、実質賃金は大幅な目減りであると云います。
物価上昇がつづき、賃金の上昇分まで呑み込んで仕舞っているようであります!!。当に上記のような事から国民は今や「怒り沸騰状態」であります。

何時も大変僭越な事ながら、国民より時期総理へと一番人気に目されて居られます石破先生の出馬が無ければ、この国は瓦解してしまいそうであります。

投稿: 桑本栄太郎 | 2024年4月 8日 (月) 19時43分

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