本人コメント

2017年7月21日 (金)

水産庁漁業取締船など

 石破 茂 です。
 永田町の耳目は24日に衆議院で、25日に参議院で行われる予算委員会閉会中審査と8月3日にも予想される内閣改造・党役員人事に集中しています。
 閉会中審査では、質問者の後ろには国民が居るとの認識を強く持って、質問をはぐらかしたり、相手の挑発に乗ったり難詰したりすることなく、誠心誠意の対応を期待したいですし、与党質問者は与党の姿勢そのものも問われているということを忘れてはならないでしょう。
 確かにそのような面があるにせよ、報道を「フェイクニュース」、野党の質問を「印象操作」とするあまり、こちらが同じレベルになってしまうことのないよう、心がけたいものです。

 人事については、能力と経験を公正・公平に判断して行う、という当然のことが行われればよいのではないでしょうか。議員それぞれの、党内や委員会、政府内での経験・発言・実績などは相当程度客観的に判断できるものであり、自民党内の当該分野の会議に出席も発言もせず、省庁の所管事項や政策課題も知らず、委員会での発言も全くないような人が仮にいきなり要職に就いてしまえば、国家国民にとっては勿論のこと、本人にとっても大きなマイナスにしかなりません。ポストは国家国民のためにあるのであって、政権や議員のためにあるのではありません。自民党内にはたとえ派手さはなくても、地道にその分野で努力してきた人材が多くいるのであって、是非ともそのような人々に活躍の機会を与えて頂きたいと願っております。

 17日の海の日に、水産庁漁業取締船「東光丸」「白竜丸」に乗船してまいりました。農林水産政務次官、総括政務次官(現在の副大臣相当)、大臣を務めた経験がありながら、実際に乗船したのは初めてでした。海洋の秩序維持と言えば、海上保安庁と海上自衛隊を想起しますが、我が国の広大な排他的経済水域において、漁業取締官や取締船の乗員の方々が果たしている役割やその任務の困難性を知って、自分の不明を大いに恥じたことでした。関係諸官の昼夜を分かたぬ取り組みに心から敬意を表すとともに、法令や態勢の整備に努めなくてはならないと思います。

 都議会議員選挙後しばらく中断していた憲法についての議論が近々再開される運びとなっています。近刊の「ほんとうの憲法 戦後日本憲法学批判」(篠田英朗著・筑摩書房)、「誰も知らない憲法9条」(潮匡人著・新潮新書)は斜め読みした限り、やや難解かつ従来の思考とはかなり乖離がありますが、頑張って読んでみたいと思います。
 その他では「医学の勝利が国を滅ぼす」(里見清一著・新潮新書・再掲)をもう一度読み返したく思っています。

 週末は、22日土曜日が第32回やしろ五輪まつり(午後4時・倉吉市)、やず納涼祭ふれあいコンサート(やずふれあい市場・八頭町宮谷)、若桜鉄道グルメ企画・因幡船岡駅ビール(午後7時・若桜鉄道因幡船岡駅前)、若桜町納涼花火大会(午後7時40分・若桜駅前)。
 23日日曜日は三重県医師会トップセミナー「人口減少と地方創生」で講演(午後2時・津都ホテル・三重県津市大門)、三重県医師会・三重県幹部との意見交換夕食会(午後5時・津市内)、という日程です。

 期数の若い頃は地元での夏祭りの梯子を随分としたものですが、最近はあまりそういう機会が少なくなってしまいました。疑心暗鬼と権謀術数の渦巻く永田町を離れて、懐かしい方々と共に飲み、地元の言葉で語り合うことのできる時間はこの上なく楽しいひとときです。
 若桜町のジビエ料理は日本有数の美味しさだと思うのですが、これもとても楽しみにしています。

 梅雨が明けた都心は、連日酷暑が続いています。私たちが子供の頃は「涼しい午前中に勉強しなさい!」と言われたものですが、今や午前中どころか早朝から暑い夏になってしまいました。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年7月14日 (金)

最大の課題など

 石破 茂 です。
 東京都議会議員選挙から2週間近くが経過しましたが、自民党では東京都連においても、党本部においても総括の会合が開かれないままの状態が続いており、党内で意見を述べる機会が全くありません。
 民主党政権が誕生し、我々が野に下って初めての自民党大会でゲストスピーカーの野村克也氏が「負けに不思議の負けなし」という松浦静山の言葉を引用して「試合で負けた時にきちんと総括・反省・改善をしなければ次の試合も必ず負ける。野球も選挙も同じである」と述べられたことが鮮烈に印象に残っているのですが、今回もそうあらねば次回総選挙がかなり厳しい結果となることを強く危惧しています。

 加計・森友問題は国政最大の問題ではありません。河合雅司氏が「未来の年表」の中で指摘しているように、我が国内政最大の課題は人類がいまだ経験したことのない急速な少子化と高齢化社会への対応であり、その財源の確保です。地方創生はその一環なのであって、「成功する里山ビジネス ダウンシフトという選択」(神山典士著・角川新書)からはいくつかの貴重な示唆を受けました。
 
 外交・安全保障分野の最大の課題は激変する安全保障環境の変化に対応し得る法制と能力の整備であり、「武力なき正義は無力であり、正義なき武力は暴力(圧制)である」(パスカル)という言葉を今一度よく噛みしめなくてはなりません。
 北朝鮮のICBM開発の進展が日本に突き付けているのは、米国の拡大抑止(核の傘)の信頼性に与える影響をどのように考えるかという点です。ICBMはSLBMと異なり、冷戦期の米ソでさえ一度も実験したことのない、考えてみればとても不思議な兵器なのですが、十数年前から既に北朝鮮は米軍基地が所在する岩国・佐世保・沖縄を含む西日本を射程に収めたスカッド・ノドンミサイルを相当数保有していたのであり、ICBMではなくても事態はその時から深刻であったはずです。
 その時と現在の相違は「いつ・どこから・どれだけの数を撃たれるかわからなくなった」という点にあり、飽和攻撃への対応も含め、今の機会に明確な解を出す必要があります。「差し掛けられた傘 米国の核抑止力と日本の安全保障」(佐藤行雄元国連大使著・時事通信社)は今までの経緯を詳細に記した好著です。

 最近必要に迫られて学生時代の法律学の教科書を読み返す機会があるのですが、40年以上を経て読み返してみると、新たな気付きがあったり、忘れていたことを思い出したりとなかなか有意義な時間です。
 憲法改正の国民投票について清宮四郎教授は「(国政)選挙と同時の国民投票では、国民が選挙に気を奪われて、憲法改正の意味をよく意識しないで投票を行うおそれがあり、問題の重要性に照らし、憲法改正問題だけに国民の注意を集中させる『特別の国民投票』の方が望ましい」と述べておられますが(憲法Ⅰ新版 法律学全集第3巻 有斐閣)、然りと思います。
 国民投票はあと1年半以内に迫った衆院選と絡めて報道されることも多いのですが、国政選挙と同時に行った場合、有効投票の過半数は得られたが、発議に賛成した勢力は3分の2を大きく割り込んだ、という一種矛盾した奇妙な事態が起こることも可能性としては十分予想されることであり、この点も併せてよく考えなくてはなりません。

 週末は、16日日曜日が「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)出演。
 17日海の日は、水産庁漁業取締船「東光丸」「白竜丸」乗船(午前8時半・晴海埠頭)、茨城県知事候補予定者「大井川かずひこ氏と語る会」にて講演(午後5時・高萩市文化会館・茨城県高萩市高萩)、という日程です。

 都心はまるで梅雨が明けたかのような酷暑の日々が続いています。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年7月 7日 (金)

議員生活32年目など

 石破 茂 です。
 都議会議員選挙は予想以上の自民党大敗となりました。前回「今回は今までとは全く異なる雰囲気を感じており、結果は開けてみなければわからない」大意そのように記しましたが、まさにその通りでした。
 一言で言えば「自民党は本当に国民の側を見て政治をしているのか」が問われたのだと思います。勿論そうでなくてはなりませんし、そのように努めている議員も大勢居るのですが、どうしてそのように有権者に思われたのかを分析し、改善しなくてはなりません。選挙区の大半が中選挙区の都議選においてこうなのですから、小選挙区の衆議院選挙においてはもっと鮮明に結果が表れます。対抗する政党など出るはずがないと過大に楽観視するのは禁物です。
 安倍総裁は「政権奪還時の原点に回帰して挙党体制で信頼回復に努める」と述べられましたが、「原点」とは自民党が野に下った時の徹底した総括と真摯な反省であったと思います。共に同じ船に乗っている者同士が責任の押し付け合いや犯人捜しなどしている場合でないことは当然ですが、同様に挙党体制というものが一切の意見や批判を許さないことと同義ではないことも当然だと思います。
  
 閣僚の失言や衆議院当選二回生の一部の言動が選挙結果に影響を及ぼしたのも事実ですが、根はもっと深いように感じられました。日々多忙な有権者は、政策の細部まで子細に比較検討する余裕を持ってはいないにせよ、政党の姿勢を敏感に見抜く目は持っています。マスコミの報道にも言いたいことは多くありますが、どんなに苦しく、悔しく、辛くても、民主主義に必要なインフラとして甘受する他はありません。

 憲法第9条改正の議論にしても、事の本質は決して難しいものではないにもかかわらず、「第二項の削除は国民の理解が得られるはずがない」といった硬直的なものの見方しかしない一部の論調には大いに疑問があります。
 「自衛隊は国の独立を守ることを任務とする『軍隊』である」「交戦権は自衛権と一体の主権国家としての権利であり、これを否定して活動することは本来ありえない」という当たり前のことを、どうして国民の理解が得られるはずがないと決めつけるのか。このように物事の本質から目を逸らしてきたことこそが、国民の精神性を蝕んできたように私には思われます。
 政治が国民に語りかける真摯さを放棄し、「どうせわかるはずがない」と勝手に思い込んでしまう姿勢が私は苦手です。国民を信じない政治家がどうして国民から信じてもらえるのか。

 今日から衆議院議員として32年目に入りました。「政治家の唯一の使命は勇気と真心を持って真実を語ることである」という渡辺美智雄先生の教えと、「たとえ聞いてくれる人がいなくとも、私は辻立ちしてでも説得する」という竹下登先生の姿勢に、少しでも近づきたいと思っています。

 週末は、8日土曜日が「ウェークアップ!ぷらす」出演(午前8時・読売テレビ系列・中継)、日本青年会議所近畿地区尼崎フォーラムにて講演・春香クリスティーン氏とのトークセッション(午後1時・尼崎市総合文化センター)、AbemaTV「みのもんたのよるバズ!」出演(午後8時・テレビ朝日スタジオ)。
 9日日曜日は足助町内視察(正午・愛知県豊田市足助町)、ジビエ加工施設「猪鹿工房」視察(午後1時同市新盛町)、古橋懐古館訪問・古橋理事長との懇談(午後2時・同市稲武町)、自民党豊田市支部稲武地区大会にて講演(午後3時・稲武中学校多目的ホール・同市桑原町)、三江弘海豊田市議会議長就任祝賀会で挨拶(午後4時半・ホテル岡田屋・同市武節町)、という日程です。
 
 九州地方などで梅雨末期の豪雨災害が発生しています。現地の皆様のご苦難に思いを致し、心よりお見舞い申し上げますとともに、全力で対応に当たっておられる自衛隊、消防、警察、自治体の各位に敬意を表します。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年6月30日 (金)

各所応援など

 石破 茂 です。
 東京都議会選挙も今日、明日の二日間を残すのみとなりました。
 昨日は千代田区と八丈島、今日は葛飾区、国分寺市、小平市、西東京市、大田区、足立区、北区を廻り、明日の最終日を迎えます。
 あらかじめ告知された街頭演説会場や箱モノでの演説会にはそれなりの数の方々に集まっていただけるのですが、選挙カーに同乗してみると、通行人や対向車の方々の反応は前回全勝した四年前と比べて相当に厳しいと言わざるを得ません。
 都民ファーストに八年前の民主党のような高い支持があるとは感じられないのですが、政策面というより自民党に対する反感のようなものが底流にあるように思われます。その意味では八年前とも四年前とも全く異なる選挙であり、開けてみなければわからないというのが正直なところですが、今更あれこれ言っても始まりません。与えられたミッションを誠心誠意こなす他はないと考えております。

 都議会議員選挙の結果にもよるのでしょうが、選挙後は憲法改正に関する議論が再開されます。今回は詳述する暇(いとま)がありませんが、幹事長時代に森本敏元防衛大臣、西修教授との鼎談を収録した「国防軍とは何か」(幻冬舎ルネッサンス新書)が発刊されています。本のテーマの性格上あまり売れませんでしたが、防衛実務や憲法に精通された方々との議論はとても有意義なものでした。御一読いただければ幸いです。
 
 週末は7月1日土曜日が「激論!クロスファイア」出演(午前10時・BS朝日・収録)、加藤こうじ都議会議員候補応援(午前10時・三鷹市下連雀3-45-15、選挙事務所前から各所選挙カー移動)、鈴木隆道候補応援街頭演説(午前12時・中目黒駅前)、宮本光明富山県議会議員後援会時局講演会にて講演、その後の懇親会(午後4時・八尾コミュニティセンター・富山市八尾町)。
 7月2日日曜日は「長野すけなりの政界キーパーソンに聞く」出演(午前8時45分・ラジオ日本系列・収録)、年に一度の大規模集会である「どうする日本2017(中部会場)」(午前10時・JA鳥取中央本所)、鳥取県隊友会定時総会(午後12時45分・鳥取市内)、鳥取県看護連盟定期総会(午後1時10分・同)、「どうする日本2017(東部会場)」(午後1時半・とりぎん文化会館梨花ホール)、JA鳥取県中央会・JA鳥取いなば・JA鳥取中央幹部との懇談会(午後3時半・鳥取市内)、という日程です。
 明日から7月、早いものです。今年は西日本・東日本の梅雨明けが早いとも予想されています。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年6月23日 (金)

東京都議会議員選挙など

 石破 茂 です。
 都議会議員選挙が告示となり、7月1日まで都内各地で選挙戦が展開されます。
 公認候補が全員当選した4年前の前回とは異なり、自民党に対する風当たりは相当に厳しいのですが、このような時にこそ政党や候補者の真価が問われます。地方でも都市部でも選挙の基本は同じであって、任期中どれほどキメ細かな活動をしたかが全てです。
 選挙は告示された時には既に終わっている、とは我々が先輩から戒めとして厳しく教えられてきたことですが、そうは言っても告示後に動く票によって当落が左右されることは当然あります。
 選挙期間中、選挙カーのマイクはウグイスさん任せにせずなるべく自分で持つ、地名は字名まで(都市部では○○町○丁目)まで細かく言う、街頭演説ではその演説場所のご当地ネタを必ずいくつか入れる、握手する時は相手の目線より下から相手の目を見て両手でしっかりと、選挙運動を始める時はスタッフの誰より早く開始地点に行き、夜の個人演説会の最終会場が終わったら後片付けを手伝い、帰宅前に必ず選挙事務所に立ち寄って一日の労を労う、なども候補者の心得のイロハであり、これだけでも票は随分と違ってきます。候補者が誰よりも努力し、辛くて苦しい思いをしなければ誰もついてこない、というのも先輩から教わったことです。
 
 学生時代、東京都狛江(こまえ)市に住んでいたことがあるのですが、共産党の市会議員が雨の日も風の日も毎朝市内の各駅で街頭演説をしていました。演説内容には全く賛同できなかったものの、その熱意と努力には感服したことでしたが、彼はその後全国でも数少ない共産党籍の市長となり、なんと四期も務めました。選挙は努力した者が勝つ、という当たり前の真理を決して忘れてはなりません。

 私の言い方が不十分であったのでしょうが、獣医学部の新設について、内閣として四つの条件を提示して厳しいハードルを設け、既得権を守って、実際には新設出来ないようにしたのでは全くありません。産業用動物を扱う公務員獣医や農業共済獣医が足りないのは事実ですが、それは獣医の数自体が足りないせいなのか、産業用動物獣医の処遇が低いせいなのかをまず明らかにしなくてはならないということです。仮に後者だとすれば、獣医の供給数を増やしてもあまり有効な解決策にはならないからです。

 今週週刊誌で報じられた自民党女性議員の件は、党の教育以前の、人間性の問題でしょう。上の立場の人には平身低頭、下の立場の人には厳しく当たるという人はどこにでも居るもので、何も政治の世界に限ったことではありませんが、秘書諸兄姉などのスタッフが定着しない事務所は議員そのものに問題があるのでは、ということは永田町ではよく聞く話です。
 随分昔、まだ中選挙区制の頃ですが、選挙の当落予想は衆議院公用車のドライバー諸氏のものが一番当たるという話を聞いたことがあります。議員の表と裏の顔を一番知りうる立場におられるのであり、さもありなんと思ったことでした。秘密保持を求められる世界においてそのようなことが実際にあったのか真偽のほどは不明で、一種の都市伝説的なものなのでしょうが、自分自身よく自戒しなくてはなりません。

 21日水曜日に第9条をテーマとした憲法改正推進本部の全体会合があり、約100人の衆参議員(それでも所属議員の約四分の一)が参加したのですが、久々に自民党らしい闊達な議論が交わされ、当初の一時間の予定が二時間近くに及びました。
 かつて自民党ではこれが日常の光景であり、当選期数に関わらず自分の意見を述べ、議員各々の資質もそこで明らかになりました。議論に敗れると悔しくてさらに勉強を重ね、次の機会ではより精緻な議論を展開することが楽しみでもありました。
 自衛隊出身の若い議員が「自衛隊が違憲であるという議論が存在することは自衛隊員に失礼である、という理由だけで憲法に自衛隊を書き加えるなどということをせず、もっと本質を語るべきだ」と発言したことも、総裁に近い立場とされる議員が「交戦権の否認だけはどうしても削るべきだ」と述べたことも、とても印象的でした。
 今後の議論の展開は全く不明ですし、「参議院の合区問題をテーマとすることで石破の取り込みを図る」(党幹部の発言、報道による)、などという話を聞くと歎息したくもなりますが、少しだけ明るい気持ちになりました。
 この件について、本日(6月23日)付産経新聞「正論」欄の佐瀬昌盛・防大名誉教授の論考はまさしくその通りと思いました。

 本日は夕刻に稲城市(小磯明候補)と町田市(吉原修候補)で都議会議員選挙応援演説。
 24日土曜日は中央区(石島ひでき候補・午後1時・月島勝どき東京タワーズ)、墨田区(川松真一朗候補・午後2時・錦糸町駅北口ロータリー)、足立区(ほっち易隆候補・午後3時・北千住駅西口)、豊島区(堀こうどう候補・午後4時・池袋駅西口)、大田区(鈴木あきまさ候補・午後5時半・大森駅東口ロータリー)でそれぞれ街頭演説。
 25日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、北海道立北海道更別農業高校訪問・意見交換(午前9時半・川西郡更別村)、平成28年台風災害復旧状況視察(午前11時・帯広市中島町)、賃貸住宅経営者政治連盟北海道支部役員との懇談会(午前11時40分・グランヴィリオホテル・中川郡幕別町)、自民党衆議院北海道第11区支部役員との昼食会(正午・同)、自民党衆議院北海道第11区支部(支部長・中川郁子代議士)政経セミナーにて講演(午後1時・同)という日程です。

 来週土曜日からはもう7月なのですね。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年6月16日 (金)

国会会期末、高知県の集落活動など

 石破 茂 です。
 国会会期末となり、野党は内閣不信任案や閣僚の問責決議案の提出などにより深夜早朝まで最後の抵抗を試みましたが、国民の共感は広がることなく、政府・与党のペースで事は進み、本日で事実上会期を閉じることとなりました。
 国家戦略特区の意義を国民にご理解いただくためにも、「政府・与党は国会を早期に閉じて逃げ切りを図ろうとしている」と言われないよう、更なる努力が必要です。

 しかし一方、このような状況の中で何故野党への支持が全く広がらないのかについて、野党諸氏は猛省すべきです。野党が党内抗争などやっている場合ではありませんし、委員会の質問も、論点を拡散させることなく緻密に行わなければ何の成果も挙げられません。政権担当能力のある健全な野党が存在し、政権交代の可能性が確保されることが政党政治においては必要なのであり、これが無ければ政治に緊張感など生まれません。

 ところで、獣医学部の新設を認めず、獣医の需給を市場原理に委ねないのは、医師や薬剤師と同様、その養成に(結果的、間接的に)多額の公費が投入されており、資格を有している者が過剰となって、その資格を生かした職に就けない状況が生じれば納税者の利益に反する、という理由もあるのではないか、と先日ある方から指摘を受け、一理あると思ったことでした。

 今週開催された自民党憲法改正推進本部において、保岡興治本部長が「憲法改正に当たって現行の憲法解釈は1ミリたりとも動かさない」旨発言されました。
 今から四半世紀以上前の政治改革運動の頃より、保岡本部長の政治に対する真摯な姿勢には変わらない畏敬の念を抱いています。しかしながらこのご発言については、それが現下の我が国が置かれている激変する安全保障環境にいかなる影響を与えるのかなどを明確にして頂かなくてはならないのではないかと思いました。
 安倍総裁は5月3日に発したメッセージで「憲法第9条第1項第2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方が国民的な議論に値する」と述べられただけのはずです。

 14日水曜日、日本外国特派員協会における講演後の質疑応答で、「憲法改正より、経済政策や社会保障政策など、優先する課題があるのではないか」との質問がありました。限られた期間内に政治が注げるエネルギーには自ずから限界があるのであって、その優先順位を定めることもまた政権党の重要な責務です。
 もしも「現状追認型・戦後体制固定型の加憲的憲法改正」に過ぎないのであるならば、その優先順位はそれほど高いと私には思われません。それはまた、論理整合性に無理があるのみならず、今後の防衛政策の展開に対するリスクも相当に高いと言わざるを得ません。

 「優先順位」といえば、産経新聞論説委員である河合雅司氏の最新刊「未来の年表 人口減少日本でこれから起こること」(講談社現代新書)は是非お読みいただきたい好著です。
 2020年には女性の半数が50歳を超え、2024年には全国民の3人に1人が65歳以上になり、2027年には輸血用血液が不足し、2033年には3戸に1戸が空き家になる…というのは、このままいけば間もなく確実に我が国に起こる事態であって、このことを直視し、解決策を提示しなくてはなりません。お時間の無い方は、同書末尾の「日本を救う10の処方箋」だけでもお読みくださいませ。
 河合編集委員はこの中で、
「少子化は国家を根底から揺るがす『静かなる有事』だ。その対策は『国家の固い決意』のもとに行うものであり、それがゆえに税財源で取り組むのが王道である。政府はすべての国の事業に優先して予算を確保し、財源が足りなければ無駄な支出を削減したり、国の別の事業を縮小したりしてでも行うべきだ」
「歴代政権は財源不足を理由に中途半端な対策を繰り返してきた。いつ実現するかわからない消費税増税を当て込み、『消費税率が上がらないからできない』と、やらないための言い訳材料のように語り、国債発行や保険料の上乗せという姑息な手段によって財源確保を図ろうとしている」(以上同書192ページ~193ページ)
とした上で、「社会保障循環制度」を提案しておられます。この制度についてはまだ十分に理解、咀嚼できておりませんので、更に研究したいと思っています。

 11日日曜日の高知県土佐町における集落活動センター「いしはらの里」見学、その後の高知県集落支援センター連絡協議会での講演は、私にとりましても多くの示唆を受けた貴重な体験となりました。
 「この集落はどんなに頑張っても残らないかもしれない。しかし何もしないままでいいのか。小さな集落が守れないで、何故国を守ることができるのか」との地域住民の方の言葉には、心からの感動を覚えた次第です。
 「やりっぱなしの行政、頼りっぱなしの民間、全然無関心の市民」(秋田市在住の漫画家・こばやしたけしさんの言葉)が三位一体となれば地方創生は必ず失敗するのですが、高知県各地における取組は、これと全く逆の発想と手法からなる果敢な挑戦です。
 尾崎正直知事の先見性とリーダーシップ、これに共鳴し、実行する県議・職員や市町村長・議員・職員各位、そして各集落の皆様に深く敬意を表します。

 週末は、17日土曜日が内藤兵衛兵庫県会議員県政報告会で講演(午後2時半・西脇ロイヤルホテル・兵庫県西脇市西脇)、北浜みどり兵庫県会議員後援会で講演(午後5時・ANAクラウンプラザホテル・兵庫県神戸市中央区北野町)、兵庫県知事選挙井戸敏三候補応援集会で挨拶(午後7時・兵庫県民会館・神戸市中央区下山手通)という日程です。
 18日日曜日は、体調管理、まだ目を通していない文献の読了、書類整理などに充てたいと思います。

 週半ばには涼しい日もありましたが、木曜日からは暑さの戻った都心でした。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。  

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2017年6月 9日 (金)

憲法改正試案など

 石破 茂 です。
 愛媛県今治市の国家戦略特区に指定された加計学園の獣医学部新設についての議論が続いています。
 「従来の岩盤規制にドリルで穴を開けるものであり、誰も私のドリルから逃れることは出来ない」と安倍総理がその意気込みを語る国家戦略特区なのですから、加計学園についても、その意義が世の中に広く理解されなくてはなりません。これを説明し、国民に納得していただくことが政府の責任であり、「何かやましいところがあるのではないか」などと言われることは国家戦略特区制度の今後の進展のためにもなりません。
 獣医学部・学科の新設は52年間行われてきませんでした。それにはそれなりの理由があったのでしょうが、「既得権を守る岩盤規制」であるとの批判もありました。
 さればこそ「(感染症や生物化学兵器に対する対策など)従来にはない新たなニーズが生じている」「新設を希望する法人にはこれらに対応するに足る教育内容と教授陣・教育施設が用意されている」「全国に16校ある既存の国公立・私立の獣医学部・学科ではこれらに対応できない」「獣医の需要と供給に配慮し(ペットの獣医は充足されているのに対し産業用動物の獣医は著しく不足しているが、これは産業用動物の獣医の処遇が低いことが原因と思われる)、(一部の地域のみが利益を受けるのではなく)全国的見地から必要と認められる」という4つの条件をクリアすれば、大学設置審議会においても開学が認可されるべきものでしょうし(ただ大学設置に関してはそれ以外の一般的な条件もあります)、逆もまた然りです。
 この問題は、何時までも引きずるべきものではありません。政府の明確な対応が望まれる所以です。

 自民党憲法改正推進本部の陣容が強化され、私も顧問として幹部会に出席することとなりました。改正項目を絞り込み、発議案を遅くとも年内を目途に作成する方針が保岡本部長より示されました。そうであるなら、この議論はよほど濃密かつ丁寧に進めなくてはなりませんし、党所属の全議員に発言の機会が保障されなくてはならないと思います。
 第九条の改正については、既に読売新聞(2004年)と産経新聞(2013年)から改正試案が発表されており、これらは両社の社論ともいうべきものなのでしょうから、起草された方々から意見を伺うことは極めて有益なことと思います。現行憲法第9条関係のものを見てみると、次のようにあります。

【読売新聞 憲法改正試案】
第11条(戦争の否認、大量破壊兵器の禁止)
(1) 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(2) 日本国民は、非人道的な無差別大量破壊兵器が世界から廃絶されることを希求し、自らはこのような兵器を製造及び保有せず、また、使用しない。

第12条(自衛のための軍隊、文民統制、参加強制の否定)
(1) 日本国は、自らの平和と独立を守り、その安全を保つため、自衛のための軍隊を持つことができる。
(2) 前項の軍隊の最高指揮監督権は、内閣総理大臣に属する。
(3) 国民は、第一項の軍隊に参加を強制されない。

第13条(理念)
 日本国は、地球上から、軍事的紛争、国際テロリズム、自然災害、環境破壊、特定地域での経済的欠乏及び地域的な無秩序によって生じる人類の惨禍が除去されることを希求する。

第14条(国際活動への参加)
 前条の理念に基づき、日本国は、確立された国際機構の活動、その他の国際の平和と安全の維持及び回復並びに人道的支援のための国際的な共同活動に、積極的に協力する。必要な場合には、公務員を派遣し、軍隊の一部を国会の承認を得て協力させることができる。

第15条(国際法規の遵守)
 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守する。

【産経新聞 「国民の憲法」要綱】
第15条(国際平和の希求)
 日本国は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国が締結した条約および確立された国際法規に従って、国際紛争の平和的解決に努める。

第16条(軍の保持、最高指揮権)
 国と独立と安全を守り、国民を保護するとともに、国際平和に寄与するため、軍を保持する。
2 軍の最高指揮権は、内閣総理大臣が行使する。軍に対する政治の優位は確保されなければならない。
3 軍の構成および編成は、法津でこれ定める。

 ニュアンスの違いはあるものの、どちらも「交戦権否認の削除」「国の独立を守るための軍の保持」「条約と確立された国際法規に基づく軍の行動」「総理大臣の最高指揮権の保持」という点においては共通しています。
 起案したメンバーはおそらく従来の伝統的憲法学者ではなく、国際法や防衛に通暁した、現実を直視する方々と思われますが、まともに考えれば、おおむねこのような結論に到達するのではないでしょうか。
 読売の担当記者諸兄姉はまずこれを理解すべきでしょうし、産経新聞も同様です。

 「第3項加憲」という発想は、日本政策研究センターの伊藤哲夫代表が最近の講演の中で「あくまでも目指すのは欠落部の補充であり、3項加憲という奥の手がある」と述べられていることと軌を一にすると思われます。
 「第1項はもちろん、第2項も残します。解釈も一切変えません。自衛隊の存在だけを憲法に書き加えるのだから異論はないでしょう?」ということなのでしょうし、これなら国民も賛成するであろうとの意図かと考えますが、国際環境が激変する今こそ、第9条自体が内包する矛盾を解決すべき時であるのに、わざわざこれを憲法上固定化してしまうという考えのように思われ、私には現在のところ理解できません。

 私もかつては憲法について突き詰めて考えることはなく、漠然と第9条は改正すべきであると考えていた程度に過ぎませんでした。考えが変わったのは、佐瀬昌盛先生(元防衛大教授)や故・小室直樹博士、色摩力夫先生(元駐チリ大使)の一連の著作を読んでからのことで、事の重大性に気付かされるとともに、自分の考えの足らなかったことを深く反省したことでした。
 色摩先生は最新刊「日本の死活問題 国際法・国連・軍隊の真実」(グッドブックス刊)の中でこの問題を簡明に論じておられます。ご一読をお願い致します。

 週末は、10日土曜日が自民党鳥取県連青年局・女性局平成29年度合同大会(午後2時・倉吉シティホテル)、日本柔道整復師会鳥取大会開会式・懇親会(午後7時・ホテルモナーク鳥取)。
 11日日曜日は集落活動センター「いしはらの里」見学(12時半・高知県土佐郡土佐町)、高知県集落活動センター連絡協議会で講演・懇親会(午後3時・三翠園・高知市鷹匠町)、という日程です。
 入っている日程自体は少ないのですが、移動距離や時間が矢鱈と長いようです。

 六月も半ばとなりました。30日は1年の折り返しの行事である夏越の祓の日です。このような日本の風習は大事にしたいと思います。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年6月 2日 (金)

国家戦略特区追記など

 石破 茂 です。
 加計学園の今治市への獣医学部新設問題について、少し追記します。
 前回の本欄において、平成27年6月30日閣議決定の「日本再興戦略」改訂2015において示された4条件を転記しました。
 つまり政府としては、、
①感染症対策や生物化学兵器に対する対応などの「新たなニーズ」が明らかであること。
②それが現在存在する国公立・私立の獣医学部や獣医学科では対応が困難であること。
③特区として開設を希望し、提案する主体が「このようにして従来の獣医学科とは異なる教育を行う」というカリキュラム内容や、それを行うに相応しい教授陣などの陣容を具体的に示すこと。
④現在不足が深刻化している牛や馬、豚などの「産業用動物」の治療に従事する獣医の供給の改善に資すること。
以上4点について判断すればよいわけです。
 ①は主に厚生労働省が、②と③は文部科学省が、④は農林水産省がそれぞれの専門的知見から当事者の主張を聞いて意見を述べ、これらをもとに国家戦略特区認定に権限を有する内閣府が、その責任において判断したことなのでしょう。これらについて適正に行われたという説明を、具体的な根拠の提示と共に果たせばよいだけのことです。国家戦略特区は一部の地域のみの利益に資するのではなく、全国的にその利益が及ばなくてはならないのですから、これも当然検証されているものと考えられます。

 現時点では愛媛県今治市への設置が国家戦略特区として認められた段階にしか過ぎず、現在、文部科学省が大学設置審議会にこの開学について諮問中であり、最終的には審議会からの答申を受けて文部科学大臣が判断することになります。
 いわゆる忖度があったとか、なかったとか、前川氏が事務次官を辞めた後に政府の対応を批判するとはけしからんとか、ましてや出会い系バーに行っていたなどということは、重要ではあっても事の本質そのものではありません。竹下亘自民党国対委員長が前川氏の証人喚問について「政治の本質とかかわりがない」と述べたことはそういう意味だと私は理解しています。

 一昨日、若狭勝衆議院議員が自民党に離党届を提出し、水月会を退会致しました。検事出身らしく、正義感に富んだ、法律家としても優れた人であるだけに、とても残念です。
 テロ等準備罪の成立後も、その運用には細心の注意が必要ですし、この法律だけでテロ対策が完璧なわけではなく、今後更なる立法も必要になるのかもしれません。もっと彼の知見を自民党の中で生かしてほしかったと切に思います。
 政治家の行動や決断は、その政治信条、実現したい政策・法律、所属する党の姿勢、選挙区の事情などが複雑に絡み合っており、当然すべての方のご理解を得られるものではありません。しかし、若狭議員が私利私欲や打算を主たる行動原理として動いていないことは確かであり、今後とも政治家として、人として語らいは続けていきたいと思っております。

 週末は、6月3日土曜日が日本青年会議所中国地区鳥取ブロック協議会「鳥取をよくするシンポジウム」でパネルディスカッションと質疑応答(午前10時・夢みなとタワー・鳥取県境港市)、小里泰弘衆議院議員「地方創生を語る国政報告会」で講演とその後の懇親会(午後6時・ホテルオートリ・鹿児島県薩摩川内市)。
 6月4日日曜日は陸上自衛隊部隊新設予定地視察(午前10時40分・鹿児島県奄美市名瀬大熊)、奄美市関係者との昼食懇談会(正午・ホテルビッグマリン奄美)、政策集団水月会鹿児島セミナー第Ⅰ部にて講演(午後6時・城山観光ホテル・鹿児島市)、第2部懇親会(午後7時・同)という日程です。

 今週の都心は真夏のような天候が続きました。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年5月26日 (金)

憲法改正、与謝野先生ご逝去など

 石破 茂 です。
 昨25日金曜日の前川喜平前文部科学事務次官の会見で、加計学園の今治市への獣医学部新設問題は新たな局面を迎えているように見えますが、問題の核心は以下の通りと考えています。
 すなわち、私が国家戦略特別区域担当大臣であった平成27年6月30日に閣議決定された「日本再興戦略 改訂2015」において示された、
「①既存獣医師養成でない構想が具体化し
②ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり
③既存の大学・学部では対応が困難な場合
④近年の獣医師需要動向も考慮しつ
全国的見地から本年度内に検討を行う」
との、4条件ブラス「全国的見地」に適合する公正・公平な決定であったかどうか、それが問われるべきであり、政府はこれを明確に立証すればよいのです。4条件が満たされ、全国的見地から必要とされれば、提案主体がどこであろうと認めなくてはなりませんし、その逆もまた然りです。これは広島県と今治市を国家戦略特区として3次指定した際の同年12月15日の閣議後定例記者会見で担当大臣として申し上げていることであり、ご関心のある方はそちらをご参照くださいませ。

 報道や伝聞でしか知りませんが、憲法改正について自民党内にどのような組織を作るかについて水面下で様々な動きがあるようです。
 自民党では平成17年11月に「新憲法草案」を、平成24年4月に「日本国憲法改正草案」を、侃侃諤諤の議論の末に取りまとめて党議決定し、政権復帰後、衆・参それぞれ2回の国政選挙においてこれを掲げて国民の審判を受けています。
 もちろん、これらは絶対ではありませんし、今後の議論や修正の余地も多分にありますが、これを弊履のごとく捨て去ろうとする姿勢が党内にあるのであれば、それには強い違和感を覚えます。
 「日本国憲法改正草案」の策定後に議席を得た自民党議員が全体の約半数にもなるのですから、まずこれをベースとして、どのような過程でこれが作成されたのかを丁寧かつ濃密に検証することが作業のスタートになるはずです。「時間が無い」「そのような作業は手間がかかる」として改正案作りに関わるメンバーを限定し、作業を簡素化して年内に案を作ろうとするのであれば、将来に禍根を残すことにもなりかねません。

 あらゆる法規範の頂点に立つ日本国憲法に真摯に向き合わないとするならば、すべてにおいてその姿勢は誠実を欠くということになると私は思います。
 天皇陛下のご生前ご譲位の議論の際も、「皇室典範の改正には手間がかかるのだから、チャチャッと特例法でやるべきだ」と、大意そのような発言をテレビでしていた方を見て愕然としたものでしたが、憲法においてもそのような発想は断じてあってはなりません。
 問われているのは自民党の真剣で断固たる姿勢ではないのでしょうか。党本部8階には所属議員全員を収容できるホールがあるのですから、そこで毎週一回でも全議員を対象とした勉強会を開催することによって自民党議員の理解は深まりますし、何よりもそのことが「自民党の本気度」を示すことになります。ただ野党を批判してばかりいても自民党自体は全く向上しません。「民進党よりはまだマシだから」ではなく「自民党が良いから」を支持理由に挙げて頂くための努力が更に必要です。

 一部報道でしか総裁の考えを窺い知ることは出来ませんが、第3項を加えるか、9条の2というかたちにするか、いずれにしても議論の焦点は
・「国民の多くがその存在を肯定している自衛隊を憲法に書き込む」という現状追認型の憲法改正とするのか(それでも現第2項との論理的整合は極めて困難と思われます)
・独立国とは何か、それを守る組織とは何か、同盟とは何かに至るまで、国の根幹を問い直す憲法改正とするのか
であるべきではないのでしょうか。
 確かに国民は政治家を信じてはいないでしょう。しかし政治家が「どうせ国民にはわからないから」という態度で国民に真剣に向き合わないのなら、政治家の側も国民を信じてはいないことになります。国民を信じていない政治家が、国民に信じてもらおうなどと甘いことを考えてはなりません。政治すべてにおいて、我々は主権者たる国民に対して常に畏れと怖れの気持ちを持つべきなのだと自戒しております。

 憲法についてはよくわからない、という方もおられると思いますが、「憲法のことがマンガで3時間でわかる本」(津田大愚著・明日香出版社・2006年)は、マンガの体裁をとりつつも、かなり深い内容を平易に解説している好著です。あまりに多くの文献を読んで頭が混乱した時に、このような本はとても有益です。

 今週移動中に目を通した本の中では「フランスはどう少子化を克服したか」(高崎順子著・新潮新書)から多くの示唆を受けました。1980年代に合計特殊出生率が1・4前後にまで低下していたフランスは、現在2・0前後にまで回復しているのですが、単に婚外子を認めたり、移民を受け入れたりしたことだけが回復の理由ではないことがよくわかります。
 日本でそのままフランスの政策を導入することは困難だとしても、検討し、採用すべきものも多くあると考えます。

 官房長官や財務大臣、自民党政調会長などを歴任された与謝野馨先生が逝去されたことは、極めて残念です。私利私欲を持たず、一貫した姿勢で財政健全化などの政策の実現に尽くされたお姿は、政治家のあるべき理想像の一つでした。
 平成20年9月、福田康夫総裁の辞意の表明を受けて急遽行われた総裁選で候補者としてご一緒し、麻生内閣でも共に閣僚を務め、その憂国の情とバランスのとれた政治姿勢に深い感銘を受けました。野党時代に離党されることなく、自民党再生のためにご尽力いただくことを望んでいたのですが、ご自身に残された時間が少ないことを悟られて政策実現に邁進されたかったのでしょう。
 東日本大震災発災直後、大連立を呼びかけるお電話を頂いたこともありました。「それならばまず政策協議から始めましょう。外交や安全保障政策について最低限の一致が無いままの、震災対応のためだけの連立などあり得ません」と政調会長を務めていた私はお答えしたのですが、それきりご連絡はありませんでした。

 総裁選の最終日は、雨の降る横浜での最後の合同街頭演説会でした。登壇を待つ街頭宣伝車の車中で「石破さん、今日は孫が聞きに来ているんだよ。少し私のことを褒めてくれないかな…」と与謝野先生は照れたように仰いました。
 総裁選を通じて先生のお人柄に敬服していた私は、さりげなく、でも心を込めて、先生を褒める言葉を自分の演説の中に織り込みました。あの時の先生のお顔が今も鮮やかに蘇ります。
 本当に立派な、素敵な方でした。御霊の安らかならんことを心よりお祈りいたします。

 先週は建築板金業者全国大会が茨城県ひたちなか市で、日本左官業組合連合会の創立80周年記念大会が東京で開催され、振興議員連盟会長として出席し、昨日は日本鳶工業連合会の全国大会の後、鳶工業議員連盟が設立され(鴨下一郎会長)、夕刻には全国建設クレーン業協会の全国総会で顧問として祝辞を述べて参りました。
 建設・建築の第一線で活躍されている業界の方々の総会のシーズンなのですね。どの業界も人手不足、後継者難、法定福利費など共通した課題を抱えており、その解決のために我々は尽力しなくてはなりません。
 額に汗して働く人々が報われる社会、というのは決して革新政党だけのスローガンなのではありません。

 週末は、27日土曜日が自民党鳥取県連総務会(午前10時・倉吉体育文化会館)、自民党鳥取県連定期大会(午前11時・同)、ボーイスカウト日本連盟平成29年度全国大会鳥取大会開会式(午後1時・とりぎん文化会館・鳥取市)、鳥取県中部1市4町議員の会勉強会で講演とその後の懇親会(午後3時・倉吉シティホテル)。
 28日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、自民党衆議院茨城県第1区田所よしのり発信大会で講演(午後2時・水戸プラザホテル)、田山東湖茨城県議会議員県政報告会で講演(午後5時半・大洗町文化センター)、という日程です。
 大洗町は井上靖の「大洗の月」という短編小説を読んで以来、一度行ってみたかった町です。最近は漫画「ガールズ&パンツァー」で有名なようですが…。

 昨日までの暑さとはうって変わって、今日の都心は肌寒い雨模様です。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年5月19日 (金)

ICBMなど

 石破 茂 です。
 連休中の安倍総裁の憲法第9条「加憲」発言に加えて、14日日曜日早朝には北朝鮮のロフテッド軌道によると思われる「新型」ミサイル発射があり、今週はいつにもまして慌ただしい日々が続きました。
 ミサイル防衛については「ロフテッド軌道」「コールド・ローンチによる発射」「装軌式TEL(テル。電話ではなく、輸送起立発射機のこと)」「SM-3ブロック2A迎撃ミサイル」等々、一般の方々には馴染のない専門用語が飛び交い、これに法律用語が加わりますので、テレビなどでなるべくご理解いただけるように話すのはかなり難しいことで、わかりやすく話すように努めるあまり正確性を欠くことがあってもなりませんし、それなりに苦労の連続です。
 着弾精度に劣るロフテッド軌道で発射したことには、ロフテッドそれ自体に意味があるのではなく、長距離を飛翔させる能力を示す意図があったのかも知れませんが、いずれにせよ技術が確実に進化しつつあることだけは事実です。

 ここで我々はもう一度、ICBM(大陸間弾道弾)という兵器の持つ意味を考えてみなくてはなりません。
 人工衛星もICBMも原理は同じものですが、射程1万キロのICBMは、長距離を飛翔した後に大気圏に時速マッハ24で再突入し、その時の表面温度は摂氏7000度にもなります。これに耐えて正確な角度で弾頭を落下させるためには相当に高度な技術を必要とするのであって、未だ北朝鮮はその技術を会得していないものと思われます(ちなみに米国・旧ソ連ともに、核爆発とICBMの実験は何度も行ってきましたし、米国は今もICBMのテストを頻繁に行っていますが、両者を組み合わせた実験は一度も行われていません)。
 つまり、米国は未だ北朝鮮のICBMの脅威には直面しておらず、北朝鮮が韓国を攻撃する際にはロケット砲や地対地ミサイルなどで十二分に事足り、我が国はノドンなどのIRBM(中距離弾道弾)の射程にかなり以前から国土のほぼ全域が入っている、というのが現状です。日本、米国、韓国の三か国が緊密に連携して、という表現が常套句のように使われ、それは確かにその通りなのですが、三か国の置かれた状況は全く異なるのですから、それぞれの脅威認識の相違を念頭に置いたうえでの協議でなければ、一致した対応が困難になりかねないことを危惧しています。
 米国まで届くICBMを保有し、体制の保障などの要求をのませるのが北朝鮮の狙いだと考えられますが、これは「この子の命が惜しければ言うことを聞け」という誘拐犯の手法と何ら変わらず、絶対に認められるものではありません。

 いつも申し上げることですが、拡大抑止もミサイル防衛システムも決して万能ではありません。これらに加えて国民保護や民間防衛のシステムを構築しなければならないのですが、我が国の人口あたりの核シェルターの普及率は、スイスの100%、ノルウェーの98%、アメリカの82%、イギリスの67%、シンガポールの54%などに比べて三桁少ない0・02%というのが現状です。この数字はNPO法人日本核シェルター協会の資料によるものですが、「やりっぱなしの行政・頼りっぱなしの民間・全然無関心の市民」という地方創生が失敗する際の原則は、安全保障でも当てはまるようにも思われます。

 憲法第9条の議論がにわかに活発になりつつありますが、「集団的自衛権行使の範囲」や「専守防衛の意義」が大きな論点になるはずです。集団的自衛権についてはすでに何度も言及しているので繰り返しませんが、専守防衛についてもこの際徹底した議論が必要です。
 専守防衛とは「相手から武力攻撃を受けた時にはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限度に限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう」(防衛白書)と説明され、私自身も何度か国会でそのように答弁してきましたが、これがあらゆる防衛戦略の中で最も難しいものであることがどこまで国民に理解されているのでしょうか。
 専守防衛は基本的に国土が戦場になることを想定しているいわゆる「籠城戦」的な戦略ですが、これが成功するためには「強い国民の意思」「堅固な守りの体制」「十分な兵糧・弾薬・人員」「国土の縦深性」「味方来援の確実性」の5つの要素が必要となります(野口裕之氏の所論による)。専守防衛に徹するなら、この確保に全力を注がなければならないのであって、ただひたすらにこれを唱えていればよいというものではありません。
 「決して他国の脅威とならない」とのフレーズもよく使われますが、脅威とは意図と能力の掛け算の積なのであって、決して他国を侵略しないという国民の強い意志があればその積は零なのであり、能力向上を怠ってよいことには決してなりません。

 14日日曜日に訪問した福岡県うきは市の取り組みには、とても勇気づけられました。他の地域からうきは市に移住した方々が「本当にここはよいまちだ」と口々に言われていた姿がとても印象的で、RESAS(リーサス)システム(地域経済分析システム)を率先して活用してこられた高木典雄市長をはじめとする皆様の真摯な姿勢に心から敬意を表します。
 敬愛する岡山県真庭市の太田昇市長が再選されました。27年の合計特殊出生率が全国トップレベルの2.21に達するなど確実に成果をあげておられます。市長は「まだ緒についた段階」と言っておられますが、全国各地で着実に地方創生を実践しておられる市町村長さんにお会いできることはとても嬉しいことです。

 週末は、20日土曜日が公益社団法人オイスカ(The Organization for Industrial, Spiritual and Cultural Advancement)「名取市民の森平成29年度植樹祭 海岸林再生プロジェクト10か年計画」開会式でオイスカ活動促進議員連盟会長として挨拶、植樹(午前9時・宮城県名取市市有林)、その後徳島県市町村長との意見交換会(午後4時・徳島グランヴィリオホテル)、福山守衆議院議員地方創生フォーラムにて講演(午後5時・同)、祝賀懇親会(午後6時・同)。
 21日日曜日は自民党埼玉県衆議院第12選挙区支部大会にて講演(午後4時・熊谷流通センター組合会館)、同懇親会(午後5時半・熊谷市内)、という日程です。

 5月も後半となりました。時々爽やかな初夏の日和となり、ほんのつかの間の楽しさを感じることもあった一週間でした。
 もうすぐ梅雨入り、荒井由実の「雨の街を」(1973年)が似合う季節となりますね。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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