本人コメント

2017年3月24日 (金)

G1サミットなど

 石破 茂 です。 
 23日木曜日に、参議院に引き続き衆議院予算委員会で籠池森友学園理事長に対する証人喚問が行われ、私も予算委員として現場で質疑を聞いておりました。
 誰が虚偽を述べているのか、証人が偽証罪にも問われる可能性のある証人喚問という場を自民党主導で設定したのですから、真実が明らかにされ、安倍総理、昭恵夫人、政府関係者が述べていることが正しいという確証を国民が持つように最大限努力するのが与党の務めでしょう。あまりにも当然のことであり、「政権の足を引っ張るのか」などと短絡的に反応するのは的外れとしか思えません。
 我々、立法府や行政府に籍を置く者は、常に納税者や消費者の立場を忘れてはなりません。今回国が負わないとした瑕疵担保責任(売買の目的物に通常の注意では発見できない欠陥がある場合に売主が負うべき賠償責任・民法561条以下)は消費者保護の観点を含むものですし、財政法は財産の共有者でもある国民や納税者の立場から「国の財産は適正な対価なくして譲渡や貸し付けをしてはならない」(第9条)と定めています。これらの趣旨からすれば、今回の一連の行政の対応は、違法ではないと思われますが、極めて異例であるようには感じます。

 21日春分の日に、久しぶりに参加したG1サミットのパネルディスカッションでは、安全保障分科会で神保謙・慶大教授、津村啓介・民進党衆院議員、小原凡司・東京財団研究員と、地方創生分科会では鈴木英敬・三重県知事、阿部守一・長野県知事、末松弥奈子・ツネイシホールディングス専務とご一緒させて頂きました。
 パネル自体はそう長い時間ではなかったのですが、核心的・本質的な議論が出来たように思います。基本的な知識を共有し、空想的ではなく現実的な議論が展開できる方々との時間はとても充実していて楽しいのですが、翻って国会は…我々は更なる努力が必要ですね。
 GIサミットの会場となったルスツリゾートは、東京ディズニーランド、ディズニーシー、ユニバーサルスタジオジャパンに次ぐリゾート施設なのだそうです。新千歳空港から車で一時間半もかかるのが難点のように思うのですが、リゾート地とは本来そういうものなのかも知れません。G1サミットは「日本版ダボス会議」を目指しているものですが、スイスのダボスがそうであるように、そう簡単には行けず帰れない地で開催し、日頃の仕事を離れて濃密な議論を行うことには大きな意義があると思います。

 今週の政策集団「水月会」勉強会は「医学の勝利が国家を滅ぼす」(新潮新書)の著者である國頭英夫・日本赤十字社医療センター化学療法科部長の「サトゥルヌス(古代ローマの農耕神。英語ではサターン。ゴヤの絵画『我が子を喰らうサトゥルヌス』は有名)」と題する講演で、とても刺激と示唆に満ちたものでした。この本は是非ご一読をお勧め致しますし、皆様のご意見をお寄せ頂ければ幸いです。
 國頭部長は本書を「里見清一」のペンネームで著しておられますが、これは山崎豊子氏の「白い巨塔」で描かれている良心的な医師・里見脩二に因むものだそうです。この小説も実に考えさせられる内容の深いものでした。

 週末は、25日土曜日が自民党石川県連珠洲支部政経セミナー(午前11時・珠洲商工会館)ならびに自民党輪島支部能登半島地震復興10周年講演会(午後2時・輪島文化会館)にて講演。
 26日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、地域交流館みほふれ愛プラザ施設見学、同竣工式にて挨拶(午前9時半・茨城県稲敷郡美浦村)、自民党兵庫県連宍粟市支部・春名哲夫県議会議員主催の講演会にて講演(午後4時・宍粟防災センター)、竜友会OB会懇親会(午後7時・鳥取市内)という日程です。
 
 東京都心は全国で一番早い桜の開花宣言となりました(標準木は靖国神社のソメイヨシノ)。満開となるのは4月1日とかで、まだとてもそんな感じではありませんが、もうしばらくするとお花見の時期となるのですね。
 まだ当選一、二回の頃、当時住んでいた九段議員宿舎近くの千鳥ヶ淵に夜桜見物に行った時のことが懐かしく思い出されます。毎年この季節になると荒井由実の「花紀行」(1975年)や麗美の「花びらの舞う坂道」(作詞・田口 俊 作曲・荒井由実 1985年)を無性に聴きたくなります。若い世代の方はご存じないかも知れませんが、とても素敵な作品です。
 来週末はもう4月、皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年3月17日 (金)

森友事案など

 石破 茂 です。
 奇怪な「森友事案(事件ではなく)」で今週も国会は混乱気味でした。火曜日の衆議院本会議における民進党議員の質問などを聞いていると、ただ感情的に絶叫するばかりで、あれでは議論は全く深まりませんし、本来の議題である物品役務相互提供協定(ACSA)には付け足し程度に触れるだけで、時間のほとんどを森友事案に費やしていたことも不見識と言わざるを得ません。
 
 本案件について、国民のほとんどは「何が何だかよく理解出来ない」というのが実感のように思われます。
 政府としては「何故今回、国は瑕疵担保責任を負わなかったのか」「ゴミの除却費用の算定をどのように行ったのか」「森友学園側が除却を適正に行ったか否かの検証はどのように行われるのか」などについてわかるように説明しなくてはならないでしょう。
 政府が「委員会ではきちんと説明している」といくら言っても、どんなに説明しても、理解が得られなくては疑問が増すばかりで、説明していないのと同じことになってしまいます。私自身、国民に対して得心のいく説明をしたいと思っているのですが、現時点でその域には達しておりません。与党議員がこんなことではいけないと自戒を込めて思っています。
 政治家の関与があったかも大事ですが、まずは一つ一つの事実の解明が優先されるべきです。政府を支える立場の与党こそがその責を負わなくてはならず、「自民党は逃げている」という印象を国民に持たれることは断じて避けなくてはなりません。
 来週23日木曜日には、衆・参の予算委員会において籠池氏の証人喚問が行われる予定です。場合によっては同氏が偽証罪にも問われる極めて効果のあるものとは思いますが、何をもってして「偽証した」と告発し得るのか、議院証言法のコンメンタールや判例の解説をよく読んでみなくてはなりません。

  私は籠池氏なる人に会ったこともありませんので論評する立場にはありませんが、私が覚える違和感の最大の所以(ゆえん)は、彼ならびに親族の不可思議な言動ではなく、「このような人が保守を名乗るのか」という一点に尽きます。
 故・江藤淳氏は著作「保守とは何か」(文芸春秋刊・平成8年)の中で「保守主義というと、社会主義、あるいは共産主義という主義があるように、保守主義という一つのイデオロギーがあたかも存在するかのように聞こえます。しかし、保守主義にイデオロギーはありません。イデオロギーがない、これが実は保守主義の要諦なのです」と述べておられますが、そのとおりだと思います。この本は自社さ連立政権時代に書かれたものですが、今読んでも示唆に満ちています。
 イデオロギーがないが故に、保守主義は奥深くかつ内省的なものであり、反中国や反韓国を唱えることが保守なのではない、というのは先般も申し上げた通りです。

 自衛隊の日報問題も、事実の早急な解明が最優先であることは論を俟ちませんが、文民統制の名のもとに政治家や官僚たちが制服自衛官たちにあまりに高圧的な姿勢で臨むべきではありません。
 実力組織は単に権威や権力で統制は出来ないのであり、法律・装備・運用・人員について可能な限りの知識を持つとともに、自衛官や家族の皆さんの共感と信頼を得る努力を最大限にすべきです。
 私自身、在任中精一杯の努力はしましたが、足らざるところは極めて多かったと反省しております。
 しかし同時に、誰が大臣であろうとも国の独立と国民の生命・身体を守るため、全力でこれを支えるのが組織というものであって、仮に感情でこれを怠るようなことがあれば、それは国家国民に対する背信行為です。
 文民統制は統制する側もされる側も、常に強い自覚と責任を持たなくては機能しないものです。
 「警察は政府に隷属し、軍隊は国家に隷属するのであり、同じ実力組織でありながら警察に文民統制の概念が存在しないのはその故である」というような論に以前接したことがあります。この論をすべて肯定は出来ませんが、文民統制の本質を含んでいるようにも思ったことでした。

 3月11日に米子市で開催した自民党鳥取県連主催「憲法改正を考える県民集会」は島根県連のご協力も得て2000名を超える方々にお集まりを頂き、ひとまずの成功を収めることができました。開催に当たってご尽力くださった安田優子県連幹事長はじめ関係の皆様に心より感謝致します。
 自民党が本当に憲法改正を目指すのであれば、47都道府県連においてこのような会を開催し、所属国会議員がその思いを述べ、広く党員から意見を聴いて理解を広げるべきです。
 憲法について議論することは国のあり方そのものを考えることに繋がります。政治の側から積極的・能動的に動かなくては憲法改正の機運など高まることはあり得ません。それもしないままに「国民の関心が薄い」などと言うのはエクスキューズに過ぎません。

 第9条ばかりが取り沙汰されますが、第6章「司法」についても改正の必要性を強く感じます。総選挙の際に最高裁判所裁判官の国民審査が行われますが、一体どれだけの人がその名前と経歴、彼らがどのような裁判においていかなる立場を採ったのかを実際に知っているのでしょうか。圧倒的多数の人が何も知らないままに不信任の×印を付けることなく投票しているというのが実態ですが、これこそ形骸化の典型ではないでしょうか。
 自民党憲法改正草案では、国民審査の方法は憲法に定めず、法律でこれを決めることとしています。
 最高裁裁判官は内閣の任命によることとなっており(長官は天皇陛下のご認証を要する)、時の内閣の意向がどうしても反映されがちになるでしょう。三権分立をより実効あらしめる観点からも、審査の方法に加えて国会の関与についても議論し、より良いものとする点があるように思います。
 これらの憲法の議論につき、15日水曜日の水月会勉強会における門山宏哲代議士(比例南関東・千葉一区)の講演やその後の質疑はとても有意義なものでした。

 週末は、18日土曜日が「石破茂君を囲む会」にて講演、その後懇親会(午前11時・リーガロイヤルホテル大阪)。
 20日春分の日は第9回G1サミット第9部分科会A「日本の防衛政策 東シナ海・北朝鮮の脅威にどう対抗すべきか」、第10部全体会「地方創生 政府・自治体・企業の役割とは」にパネラーとして出席(午前8時~ ルスツリゾート北海道 北海道蛇田郡留寿都村)という日程です。
 党役員や閣僚在任中はG1サミットにはなかなか参加できなかったので、今回はとても久しぶりです。
 
 寒の戻りで、東京都心はとても寒い日が続きました。皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年3月10日 (金)

北朝鮮ミサイル発射など

 石破 茂 です。
 今般の北朝鮮のミサイル発射については、突然「新たな段階に入った」ものではありません。北朝鮮を中国と西側の緩衝地帯と位置づけ、当面の現状維持をよしとしている間に、時間は北朝鮮に有利に働き、今日の状況となりました。
 ロフテッド軌道で発射された場合の高速落下、多数集中発射、潜水艦からの発射、米国本土までの到達(在日米軍でもハワイでもグアムでも本質は変わりません)、それらの技術は着々と進歩しつつありますが、どのように、いつまでに、これらに対応するのかは一にかかって政治の責任です。
 すべてを国会の場で議論できるものではありませんが、巡航ミサイル、弾道ミサイル、新たな迎撃システムなどの導入の可否について徹底的な議論を行い、結論を得なくてはなりません。防衛力の造成には多大の時間と費用が掛かるのであり、乗用車やトラックを買うようなわけにはいかないことも十分に留意が必要です。
 かつて小泉内閣で、鴻池防災相(当時)が「日本がミサイル攻撃を受けたら、北朝鮮を火の海にする」というような意味の発言を委員会で行った際、当時防衛庁長官であった私は「他に手段が無い場合、策源地攻撃は法理的に否定されないが、自衛隊には現状そのような能力は与えられていない。基地の所在もわからず、空中給油能力も十分ではないままに作戦を命ずることはできない。今後、自衛隊に策源地攻撃能力を与えるかどうかは政治の判断である」との旨を答弁し、あれから15年が経ちました。
 7日火曜日に日本プレスセンターで行われた安全保障についてのパネルディスカッションに杉山外務事務次官、黒江防衛事務次官らと共にパネラーとして参加したのですが、なお課題の多いことを痛感させられたことでした。

 韓国の憲法裁判所による朴槿恵大統領の罷免は、我が国のみならずアジア・太平洋地域の平和と安全に多大な影響を与えます。60日以内に行われる大統領選挙では非保守系の候補者が当選する可能性が極めて高いと見られており、親北朝鮮政権の誕生が懸念されます。この点に関しても我が国において、中国が強く反対するTHAADミサイルの韓国配備を含む、北東アジア地域全体のミサイル防衛の実効性向上につき、精緻な議論をしていかなくてはなりません。

 私はテレビを見る時間がほとんど無いのですが、世の中は森友学園の話題で持ちきりのようです。本件は国の独立や平和には関係のない事案であり、この案件で国政が混乱することも、政府・与党が疑惑を持たれることも避けなくてはなりません。国民に「逃げの姿勢」と受けとられることのないよう、野党に指摘されるまでもなく、徹底解明する責務を有していると考えます。

 週末は、11日土曜日が自民党鳥取県連憲法改正推進本部主催「憲法改正を考える県民大会」での基調講演(午後1時半・米子産業体育館)。
 12日日曜日が第7期岡山市民大学in福山で講演。
 両日とも前後に関係者や地域の方々との会食・懇談会等が予定されています。

 党本部の指示により、各都道府県連に憲法改正推進本部が設置されましたので、鳥取県連としては広く県民に対して憲法改正の必要性をご説明し、それぞれのご意見を聞いて世論を喚起したいと思っております。地道な努力なくして憲法改正など到底出来るものではありません。
 国家主権が無い占領下において作られたものであるために、独立を守る組織たる「軍隊」についてのみならず、「国家」に関わる規定が決定的に欠けていることについてはよくご理解を頂きたく、更に努力を重ねたいと思っています。当日は東日本大震災・大津波・原発事故から6年、会は黙祷から始めます。

 先月27日に衆院で予算が通過しましたため、今週は気分的に少し余裕も出来ましたが、月曜日に高知県で全国の地方創生に携わる大学関係者の会で講演、水曜日に静岡県で地元金融機関主催の講演会など移動の多い一週間でした。
 各地に出向く度に、自分の知らない地域、知らない方々や物事があまりに多いことに気付かされます。

 先週末いわき市に向かう途中に臨時停車した水戸の偕楽園では梅が満開でした。もう桜の季節となるのですね。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。
 

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2017年3月 3日 (金)

水産講演、ユニバーサル社会形成推進法など

 石破 茂 です。 
 大阪府豊中市の「森友学園」の国有地格安払い下げの件は、何とも言えない奇怪な雰囲気を感じます。国民の財産である国有地が、鑑定価格からゴミ除却費用とされる8億3千2百億円も割り引かれて1億3千4百万円で売却されることなど、一体どこで誰がいかなる権限に基づいて決めたのか。ゴミ除却にかかる費用はどのように算定され、十分にそれが行われなかったとすれば、この不当な利得はどうなるのか。学園が我が国に支払った額は僅か2百万円とも指摘されており、素朴に考えてもわからないことだらけです。

 国家権力が教育現場に過度に介入すべきでないことは当然ですが、学校教育法に「学校」として位置付けられ、教育基本法において政治的中立性が定められている幼稚園において、あまりに偏った教育を施すべきではないことは当然でしょう(「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治活動をしてはならない」教育基本法第14条第2項)。園児たちに対する教育を映像で見る限り、たいへんな違和感を覚えます。
 現政権を支持しているからよいのだという考えも一部にはあるのかも知れませんが、反対の立場に立つ教育が行われたとしたらこれを認めることには到底ならないでしょう。教育内容についての指導の権限が都道府県に降りているとしても、政府・文科省からも大阪府を通じて是正を指導するなどは考えられないのだろうかと思います。野党に言われるまでもなく、政府・与党としてこの問題の真相を明らかにするのは国民に対する責務です。

 私はかなり以前から、「保守」はイデオロギーではなく「雰囲気」であるという江藤淳氏的な考えに共感しているのですが、「保守」があたかも共産主義風に変質しつつあることには強い違和感を覚えます。中国や韓国をただ罵倒することが保守なのだとは思いません。
 保守論壇誌「諸君!」(文芸春秋・現在休刊中)や「正論」には、福田恒存氏らを中心とする静かで深みのある論説が多く載せられていたのですが、いつからか声高で強烈な主張を中心とする論説が中心となり、読む楽しみが減ってしまいました。かつて三島由紀夫は「反共に明け暮れていると段々と相手に似通ってきてしまう」と語っていたそうですが、確かにそのような面があります。
 このような時、すべての国民とすべての国々の人々に、深い慈愛のお心を持って接してこられた天皇陛下のご存在が、この上なく有り難く思われてなりません。ベトナム残留日本兵の家族のことを今回のベトナムご訪問の前にお知りになり、特に面会を希望されたというお心にはただただ恐懼するばかりです。

 先月28日火曜日、水産経済新聞社主催によるセミナーで今後の日本の水産業について講演してまいりました。長く議員を務めていますが、水産政策に絞った講演は初めてで、とても勉強になりました。
 世界第6位の排他的経済水域を有し(海水の体積では世界第3位)、寒流と暖流が交わる豊かな漁場を持つ我が国において何故水産業が衰退し続けるのか。水産業が成長産業と位置付けられる米国、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーなどとはどこがどのように違うのか。
 以前もご紹介した羽田空港内で日本初の鮮魚加工センター「羽田市場」を運営するCSN地方創生ネットワークの野本良平代表が語っている「魚が一番売れる日曜日に漁師と卸売市場が休んでいるのは消費者やマーケットを見ていないと言わざるを得ない」「年末年始や大型連休などの一年で一番稼げる時期に休むということ自体、感覚に大きなズレがある」「これからの漁業は『どれだけたくさん獲るか』ではなく『獲った一匹をいかに高く売るか』である」という言葉に本質があるように思います。
 これは農業においても同じことで、農業生産額が世界第7位である日本の農産物輸出額が、何故オランダ、ドイツ、フランス、イタリア(土地利用型農業のアメリカやカナダなどではなく)よりも遥かに低いのか。それらの各国はEU経済圏なので、日本であれば「移出」にあたるものが「輸出」にカウントされるからだ、との論にはそれなりの説得力もありますが、いずれにせよ子細な検討が必要です。

 本日の自民党内閣部会において、私が会長を務める自民党ユニバーサル社会推進議員連盟が今国会に議員立法として提出を予定している「ユニバーサル社会形成推進に関する法律案」の骨子が了承され、今後公明党、野党各党との協議に入ります。
 当選4回の時、衆議院運輸常任委員長や筆頭理事として駅や空港などの公共交通機関にエスカレーターやエレベーター等の設置を推進する「移動等円滑化法」(バリアフリー法)の策定に関わった時からの繋がりですが、当時「車椅子に乗って、羽田空港から京浜急行を使って品川プリンスホテルまで行く」という体験を実際にしてみて、障害を持たれた方々のご苦労を全く実感していなかった自分を大いに恥じたことでした。
 ユニバーサル社会とは「障害の有無、年齢等に関わらず国民一人一人が対等な社会の構成員として自立し、相互に人格と個性を尊重し合いながら支え合う社会」と定義されます。障害を持たれた方のみならず、すべての人は何らの不自由を感じることなく活動できる権利を有しており、それに応えるのが行政の義務なのですが、日本はまだそれに程遠いのが実情です。
 議連事務局長として法案作成に尽力して下さっている盛山正仁衆院議員(兵庫県第一区・近畿比例)に心より感謝しております。

 週末は、4日土曜日がいわき青年会議所3月例会で「人口減少社会と地方創生」をテーマとする講演と理事長との対談(午後4時・いわき文化センター)、自民党鳥取県連党大会参加者との懇談夕食会(午後8時・東京都内)。
 5日日曜日は第84回自民党定期党大会・懇親会(午前10時・グランドプリンスホテル高輪)、という日程です。

 2月中はずっと体調が悪くて辛い日々が続き、多くの方にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。ようやく少し回復してきましたので、気分を入れ替えて臨みたいと思います。
 3月に入り、今日はお雛祭りとはいうものの、都心は風の冷たい日々が続いています。
 皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年2月24日 (金)

予算委員会質疑など


 石破 茂 です。
 衆議院での予算審議は、地方公聴会・中央公聴会も終えて来週月曜日には委員会での採決後本会議で可決されて予算案は参議院に送付される見通しです。
 噛み合わない議論や、小学校の学級会の如き野党と政府側の感情的な応酬にうんざりする中で、中央公聴会における公述人の意見陳述はなかなか聞きごたえのあるものでした。中でもBNPパリバ証券投資調査本部長の中空真奈女史の陳述は、実務に通暁した人ならではのもので、高橋洋一陳述人との対称もとても印象的でした。ネットでご覧になれますので一見の価値ありと思いますが、議員と政府側のやり取りもこのように中身の濃いものであればどんなに良いことかと思いました。

 最近、閣僚答弁に原稿棒読みのものが目立つようになったことはとても残念です。確かに失敗も無く安全ではありますが、官僚たちが書く霞が関文学的な答弁案は、正確を期すあまりに面白くもなんともなく、そのまま聞いただけでは何が言いたいのかよくわからないように作成されています。
 これを事前に丹念に読み込んで咀嚼し、自分の言葉に置き換えて原稿を見ないで答弁してこそ初めて相手側に伝わるのであり、その技術向上に政府・与党全体として更に努めるべきものと思います。
 もっともこれはこれで答弁する側にとっては大変な負担です。質問が出揃うのは往々にして前日夜遅く、官僚たちが徹夜で答弁資料を作成してそれが出来上がるのが午前4時過ぎ、これが議員宿舎などに居る大臣の手元に届くのが午前5時、午前7時からの答弁打ち合わせで直すべきところを指示して、原稿が最終的に完成するのは午前9時の委員会開会直前というのが通例ですから、国会開会中は大臣たちは全く時間的・心理的余裕がありません。せめて質問通告がもう少し早ければもっときちんとした答弁が出来、充実した審議になるのに、と思うのですが、なかなかうまくいかないものです。

 先日の北朝鮮のミサイル発射の折、訪米中でトランプ氏の別荘に滞在していた総理大臣の緊急会見の横にトランプ大統領が立ち、日本政府を断固支持する旨の発言をしたのですが、「日本を支持する」という部分は原文では「stand behind Japan」であって、日本語訳とは微妙にニュアンスが異なります。「日本がまず第一義的に対応し、米国はこれを背後で支える」。behindという言葉使いはそのような含意ではないでしょうか。
 日米安保条約もその書き方はNATO条約などとは微妙に異なっています(NATO条約では米国の対応につき「will assist」となっているが日米安保条約では「would act」など。この点はかつて外務委員会で当時の田中真紀子外相に質問したのですが、当然ながら全くまともな答弁は返ってきませんでした)。
 安全保障についてもっとまともで真剣な議論をしなくてはならないことを、今日の毎日新聞佐藤千矢子論説委員のコラムを読んで痛感したことでした。

 本日の自民党憲法調査会は、上田健介近畿大学法科大学院教授の「参政権の保障を巡る諸問題 投票価値の平等から両院制まで」と題する講演と引き続いての質疑でした。
 参議院の一票の価値を論ずるには参議院の在り方そのものに踏み込んだ議論が必要であるという同教授の所論は全くその通りで、これをスルーして結論を得ることは出来ないと思っています。
 二院制の妙味はその持つ役割が異なることにこそあるのであって、二院が酷似した選挙制度と役割を有していては、妙味どころか弊害の方が目立ちます。議院内閣制を採る以上、権力を持つ政府とこれをチェックするべき議会の関係は曖昧となり、政府のポスト目当てに権力に隷属する議員が出ることを完全に否定できません。
 首班指名に優越性を持つ衆議院はともかく、参議院は権力とは一線を画したインディペンデントな院として見識の高い議論をすべきですし、地方代表の持つ意味を強調するなら地方に関することについては主に参議院で議論をするような工夫も出来るはずです。合区解消のみならず、衆・参でのねじれが生じ、政権が不安定になることを避けるためにも、この議論に結論を出すことが必要です。

 今日は「プレミアム・フライデー」とやらで、15時には仕事を終えるようにとのお達しです。
 趣旨はわからないでもありませんが、果たしてうまくいくのでしょうか。かつて銀行に勤めていた時も「早帰り日」や「定時退行日」なるものがあったのですが、一部行員はその恩恵に浴しても、管理職などはかえって帰りが遅くなるという事態が発生したことをよく覚えています。世の中はとかく不公平に出来ていて、仕事が集中する人にはさらに集中するという負の側面を無視してはなりません…などと言うのは能率的に仕事がこなせず、「断る勇気」を持たない私の僻みなのかも知れませんが。

 週末は、25日土曜日が金沢市自民党国政報告会で講演(午前9時半・内山公民館、午前11時・医王山農村環境改善センター)。
 26日日曜日がKAB熊本朝日放送フォーラム2017 「地方創生と熊本 熊本県復興・再生に向けての活路を探せ」でパネルディスカッション(12時半・熊本テルサ・テルサホール、テクノ仮設団地見学(午後3時45分)、阿蘇大橋崩落現場視察(午後4時45分)、熊本県知事など行政関係者・自民党熊本県連との夕食懇談会(午後7時・熊本市内)。
 27日月曜日は被災地の視察や御船町議会での講演後に帰京の予定です。

 風邪が完全に治りきらないままに無理を重ねたためか、昨日あたりから体調が再び極めて悪くなりました。治癒力も確かに落ちているのでしょうね。
 不安定な天候が続きます。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年2月17日 (金)

日米首脳会談など

 石破 茂 です。
 日米首脳会談は互いに信頼関係を構築したという意味で、スタートとして有意義なものであったと思います。イラク・イランなど7か国からの入国拒否について何か言うべきであった、とのご意見もありますが、そもそも難民や移民の受け入れについて欧州とは異なる姿勢を採る我が国がそのようなことを言う立場にもありません。
 尖閣が日米安保条約第5条の対象となることが文書に明記されたことは一定の前進と評価すべきですが、かねてから申し上げている通り、某国からの武力攻撃に対しても、ましてや海上民兵による武力によらない占拠に対しても、いきなり米軍が出てくることなどあり得ません。海保、警察、海自、陸自等がいかなる権限でどのように対処するのか、法制・装備・運用の側面から精密に詰めて、平素から政治サイドも含めた訓練をしておくのは日本政府の責任であって、「尖閣が日米安保第5条の適用となることが明記された。よかった、よかった」などといって思考停止になってしまうことが断じてあってはなりません。
 本来これは一昨年の安全保障法制論議において「グレーゾーン事態」として議論し、結論を得るべきことであったにも拘らず、「警察と軍の(権限争いの)百年戦争にこれ以上突っ込んだら大変なことになる」(検証 危機の25年 勝俣秀通著 並木書房刊)とのよくわからない理由で先送りになってしまったものです。
 このような思考停止、先送りのツケは必ず我が国の独立と平和を脅かす形で廻ってきます。警察権の行使から自衛権の行使への移行は信号が赤から青に変わるような単純な話ではありません。領域警備の法制整備について自民党で党議決定していたのですから、議員でいる限り、決して諦めることなく実現に向けて最大限の努力をすることが私の責務と心得ます。

 衆議院予算委員会は、今週も防衛大臣・法務大臣に対する質疑が続きました。
 「法的に『戦闘行為』とは国家若しくは国家に準ずる組織の間において、国際紛争の一環として行われる武力を用いた争いのことであり、そうではない主体の間において行われるものは『武器を用いた衝突』であって『戦闘行為』ではない」という、イラク特別措置法において行われた議論と全く同じものなのですが、どうしてまた蒸し返されるのか、理解が出来ません。
 これは言葉の定義の問題であって、その認識に齟齬があるとどこまで行っても議論は噛み合いません。
 それぞれの用語の定義は以下の通りです。
【戦闘行為】 国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し、または物を破壊する行為。
【国際的な武力紛争】 国または国に準ずる組織の間において生ずる一国の国内問題に止まらない武力を用いた争い。
【一環として】 人を殺傷しまたは物を破壊する行為がこのような「国際的な武力紛争」の一部を構成していること。

 仮に暴力団同士が繁華街において機関銃で撃ちあい、新聞やテレビが「武力闘争」「市街戦」と報じたとしても、それが「国際紛争」とは評価されないのと同じことですし、機関銃が更に破壊力の大きな武器に代わっても本質は何も変わりません。
 要は衝突の「主体」が誰であるかに着目した概念なのであって、それが日本国憲法第9条によって禁ぜられている「国際紛争」(国または国に準ずる組織の間で行われる領土などを巡る武力を用いた争い)の主体、すなわち国または国に準ずる組織(「国」とは一定の排他性を有する領域、帰属意識を共有する人々、確立した統治形態の3要素を有するものをいう)でない限り、互いの衝突は法的に「戦闘行為」とは評価されないのです。
 なお、これは「危険か否か」とは何の関係もありません。「戦闘」が行われていなくても「危険である」状況は当然にあり得るのであって、任務遂行や隊員の安全確保に支障が生ずるような事態となれば、活動の休止や撤収も行うこととなります。
 …と書いてみても、何が何だか、さっぱりわからないという方も多いことと思います。これが日本の防衛法制が「ガラス細工」のように精密だが「増築を重ねた温泉旅館」のようにわけがわからず理解困難と言われる所以でもあることも十分に承知しています。そうであるからこそ、説明には誠心誠意、あらゆる工夫を尽くさなくてはなりません。
 2004年の党首討論において小泉総理が「自衛隊の行く地域は非戦闘地域である」と発言され、防衛庁長官としてフォローに追われた日々のことを思い出しました。

 マレーシアにおける金正男氏の殺害は、北朝鮮(というより金正恩独裁体制)の持つ恐ろしさをまざまざと見せつけるものでした。
 「ロイヤルファミリー」の一員である金正男氏が韓国にでも亡命されて大打撃となる前に殺害した、保護していた中国が警護をつけなかったのは同氏の利用価値を見限ったからだ、という説もありますが、体制維持の邪魔になるものは悉く抹消するという方針は確固たるものであり、その対象はすべてに及ぶということなのです。
 国際社会、とりわけ関係各国が「緩衝地帯としての北朝鮮」という位置づけをしている間に着々と力をつけつつある北朝鮮に対する認識を改める必要性を感じます。

 週末は18日土曜日が協同組合鳥取卸センター創立50周年記念式典・記念講演で講演・祝賀会(午前10時・鳥取卸センター組合会館)、因幡地区郵便局長会懇親会(午後1時・鳥取市内)、自民党鳥取県連街頭演説会(午後1時~ 鳥取駅前)、平成29年度日本自動車販売連合会鳥取県支部通常総会(午後4時・鳥取市内)、自民党倉吉市社支部講演会にて講演(午後6時・JA鳥取中央)。
 19日日曜日は自民党鳥取県連国会議員合同新春懇談会(午前10時・米子ワシントンホテルプラザ、午後1時半・倉吉シティホテル、午後4時半・ホテルニューオータニ鳥取)、国会議員と鳥取佳友俱楽部理事との懇談会(午後6時半・鳥取市内)という日程です。

 先週4日土曜日の誕生日や、14日の恒例行事には、多くのお心遣いを頂き、誠に有り難うございました。厚く御礼申し上げます。
 今月もはや半ばとなりました。地元鳥取市は34年ぶりの大雪となりました。私が子供の頃はあのような雪はそう珍しくもなく、スキーに行ったり、かまくらを作ったりと雪国らしい冬の日を楽しんだものでしたが、今の立場では様々な被害対策を講じなくてはなりません。
 2月もはや後半、春も間近です。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年2月10日 (金)

百地章教授のご見解など

 石破 茂 です。
 
 8日水曜日の水月会勉強会は、元日本大学教授の百地章氏をお招きして、天皇陛下のご生前ご譲位についてのお考えをお聞きしました。天皇陛下や皇室に対する篤い尊崇の念や深い考察に基づく同教授の見解に賛同するところが多く、とても勉強になりました。
 同教授は、昨年のNHKの天皇陛下がご譲位の意思を示されたとしたスクープ報道の際には、よもや皇室典範を改正しなくてはならないような譲位などを望まれるはずもなく、ご公務が出来ないのであれば摂政を置くべきだと考えて「敢えて譲位に反対する」との論を発表されたのですが、8月8日の陛下の「おことば」を聞いてその考えが変わったと率直に述べられました。
 その上で、新たに「退位制」を採用するためには皇室典範第4条を改正し、第2項に「前項に拘らず、天皇は退位することができる」旨の条文を書き加える必要があるし、それが筋かもしれない、と述べながらも、たとえ「超高齢化社会の到来」を前に例外的な「退位」を認めるとしても、果たして遠い将来にまで拘束力を持たせてしまってよいのか躊躇せざるを得ず、皇室典範の改正となればもう少し時間をかけて慎重に対処すべきであり、今回は特別措置法で対処すべきとの考えを示されました。
 この「皇室典範に関する特別措置法」の書き方次第ですが、ここに「今上陛下一代限り」にするか否かについてはさらに議論の余地があるものと考えます。突き詰めれば論点はこの一点に絞られるのであり、これはどちらが正しいとか間違っているという問題ではなく、「国民統合の象徴」としての天皇陛下の在り方をそれぞれがどう考えるかに帰着するものと思います。

 コメント欄にも多くのご意見をお寄せいただきましたし、いくつかのご考察、ご意見からは、私の意図が上手く伝えられていない部分があることにも気付かされました。自分の考えを述べ、それに対する批判に謙虚に耳を傾け、過ちを正しながらより精緻なものに昇華させていく。議論とはすべからくそういうものだと思います。いつも深い示唆を与えて下さる方々にも心より感謝致しております。

 今週は予算委員会にずっと座っていたのですが、法相、防衛相に対する厳しい質疑が続きました。
 両大臣とも高い資質を持った方ですので(別にお世辞ではなく、今までのお付き合いを通じてそのように思っています)、サポート体制を更に高めていかなくてはなりません。大臣を守るという意味ではなく、国民に伝えるべきことが正確に伝わるような努力を政府・与党全体としてもっとしなくてはならないと思っています。

 今週は朝から夕方まで、ほとんどの時間予算委員会で審議を聴いておりましたため、雑駁な記述になってしまいましたことをお詫びいたします。

 週末は、本日10日金曜日は、予算委員会が開かれておりませんため長崎県に出張し、長崎県西海市や長崎市内での研修会で講演しております。
 11日土曜日(建国記念の日)は聖神社建国紀元祭(午前10時・聖神社)、盤山会(親族の集まり)総会(午前11時半・鳥取市内)、「時事放談」収録(午後10時・TBS)。
 12日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、自民党大阪府連青年局との昼食懇談会(正午・天王寺都ホテル・大阪市阿倍野区)、自民党大阪府連青年局講演会(午後1時・同)、という日程です。
 以前からお読みいただいている方はご存知のことと思いますが、紀元祭で斉唱する「紀元節の歌」はとても清々しく、温かい気持ちにさせられる佳曲です。

 先週からずっと風邪が治らず相当辛い一週間でしたが、ようやく回復しつつあるようです。
 解熱剤や咳止めなど薬による対症療法にばかり頼ることなく、休みが一日でも取れればもっと早く治るのでしょうが、なかなかそうもいきません。皆様、ご自愛の上ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年2月 3日 (金)

明日で還暦など

 石破 茂 です。
 1月31日に、天皇陛下のご譲位についての私の考えを掲載させて頂きました。ご覧いただいた皆様、ご意見をお寄せいただきました皆様、誠に有り難うございました。
 自民党内における議論は役員会の限定されたメンバーで粛々淡々と進んでいくのかも知れませんが、昨年8月8日の天皇陛下の「おことば」を熟読するほど、また旧皇室典範や現行皇室典範、様々な立場からの多くの論説を読めば読むほど、この問題の持つ重要性と緊要性に気付かされます。
 陛下の「おことば」があったときは大きく報道がなされましたが、その後の国民的な議論が静かな状態で推移しているのは、「全国民の代表者」である私たちの理解や国民への語りかけが足りないせいかと思っています。今週東京の何か所かで行った講演の中でこの問題に触れた時、それぞれの方のご意見はともかくとして、確かな反応がありました。
 畏れ多いことであり、国民的な議論にもなじみにくいのは承知していますが、「大切なものの価値」を再認識することが今極めて重要なことと考えております。平和がそうであるように、その有り難みや大切さを認識しなくなった時、消えてなくなってしまうように思うのです。

 衆議院予算委員会も大きな混乱も無く進んでいますが、テロ等準備罪については法案提出に向けて政府・与党としてさらに周到な準備が必要なことを痛感しています。
 本日の山下貴司議員の質疑も充実したものでしたが、「重大犯罪を目的とする集団が、これを謀り合意する」ことの違法性につき、私としてもう少し深く学びたいと思いますし、これだけで十分足りるのかについても議論が必要です。検察官出身の若狭議員や山下議員はじめ、皆さんの見識に学びたいと思います。

 トランプ新政権が始動し、本日マティス国防長官が来日します。
 尖閣に日米安保が適用されることが確認されるのではないかなどと楽観的な予想が多いのですが、日米安保はあくまで「日本の施政下にある地域」に適用されるのであって、「主権下にある地域」ではありませんし、某国が軍事的(非軍事を装う場合も含む)に侵攻してきた際に、いきなり米国が対処するはずもなく、どのような権限と能力で対応するのか、よく詰めておかなくてはならないのは当然のことです。どこかの時点で自衛権の行使に切り替わるとするなら、防衛出動はどのように下令されるのか等々、論点は多いのです。
 米国の雇用は今後どうなるのか。米国内の雇用の喪失は、新興国に奪われたというよりも、AIやロボットをはじめとする新技術によるものだとする議論がダボス会議では多く出たようですが、これらの状況もよく見ておかなくてはなりません。

 今週の水月会定例勉強会は、前法務政務官で茨城1区選出の田所嘉徳(よしのり)衆議院議員による法務行政全般についての講演で、とても興味深く聞きました。期数の若い議員でも、皆さん内容が濃く、引き込まれるお話を聞かせて下さるので毎回とても楽しみです。冒頭に初代法務卿の江藤新平の話があり、不覚にもまだ読んでいない、彼の波乱激動の人生を描いた司馬遼太郎の「歳月」を読んでみたいと思ったことでした。

 明日で還暦を迎えます。お祝いのメッセージをお送りくださった皆様に心より厚く御礼申し上げます。
 一種複雑な感慨がありますが、多くの皆様のおかげさまでここまで生かされてきたことに素直に感謝したいと思っています。有り難うございました。

 週末は4日が公明党鳥取県本部新春の集い(午前11時・鳥取市内)、智頭町智頭宿第18回雪まつり(午後1時・智頭町内)、4日と5日の他の時間は弔問やお別れの会などの日程が入っております。
 長く議員を務めさせて頂いている間、本当にお世話になった方とのお別れが多くなってしまいました。しんとした気持ちにさせられているこの週末です。
 皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年1月31日 (火)

天皇陛下のご生前ご譲位について

 石破 茂 です。
 自由民主党本部においては、天皇陛下のご生前ご譲位につき、高村正彦副総裁を座長、茂木敏充政務調査会長を座長代理として、役員会のメンバーで議論し、そのほかの議員で意見のある者は、自分の発言に責任を持つという意味で本日(1月31日)までに書面を以て提出し、その内容を公表することは提出議員の判断に任せる、との指示がありました。
 この問題は日本国の国体そのものに関わる重大問題であり、天皇陛下のご地位が「国民の総意に基づく」ものである以上、政局や党利党略を一切排した上で国会議員が広く国民に対し意見を述べ、またその考えを聞き、静かな環境の下で深い議論を集中して行い、各党の考えをまとめて最終的に衆参両院において全会一致をもって議決することが望ましいものと考えます。
 わが党の中にも多くの意見があり、私と全く違う意見を持つ議員もおられます。それを聞いて自分の考えの誤りに気付くことも、その反対の場合もあることは当然であり、議論とはそのようなものであると考えます。
 そのような考えのもと、本日、私の考えを提出いたしました。内容についての全責任は私にあります。
 どうか皆様のお考えを賜り、考え得る限り最善の方途が講ぜられ、日本国ならびに天皇陛下とご皇室が子々孫々まで引き継がれることを切に願っております。

「天皇陛下のご生前ご譲位について」をダウンロード

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2017年1月27日 (金)

鳥取の大雪など

 石破 茂 です。
 
 天皇陛下ならびに皇族の方々は、我々一般国民が享受する基本的人権が大きく制約されています。表現の自由も、思想信条の自由も、結婚すら思い通りにはできませんし、もちろん選挙権も被選挙権もお持ちになりません。これは一体何によって正当化されるのか。学説は主に3つに分かれます。即ち、
A説:明治憲法下のような「皇族と臣民」との区別は存在せず、天皇・皇族も「国民」であるが、天皇の職務・行為の世襲制からくる最小限の特別扱いであるとする。
B説:天皇はあらゆる政治的対立を超越した存在であるから、享有主体(人権を持てる対象)である「国民」には含まれない、皇族は国民に含まれるが、天皇との距離に応じた特別扱いが認められるとする。
C説:皇位の世襲制を重くみて、天皇および皇族ともに「門地」によって国民から区別された特別の存在であり基本的人権の享有主体ではないとする。

 この中ではC説が有力説と言われており、「世襲制なのだから、人間ではあるが基本的人権は持たない」「日本人ではあるが『国民』ではない」ということになるようです。当ブログにお寄せいただいたご意見のように、このような議論自体ナンセンスなのですが、これは物凄く残酷なことといわねばなりません。ましてや「戦争や大災害などいかなる事態になっても最優先に保護される特権を有するのだから、このような制限は当然あるべきだ」などという意見に私は全く与しません。
 しかし、有り難く、畏れ多いことに天皇陛下は8月のおことばの中で「国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛を持ってなし得たことは、幸せなことでした」と仰せになっておられます。この大御心に私は少しでもお応えしたいと思っています。

 自民党として、この議論は役員会メンバーに最長議歴をお持ちの野田毅衆院議員を加えたメンバーで行い、その他の議員で意見のある者は書面をもって1月末までに提出せよ、という方針で臨むことが決まりました。
 「静かな議論」とは「閉ざされた場で少数の限定メンバーで行う」ことのみを意味するとは思いませんし、多くの議員には、多忙な1月末の僅か数日で書面に自分の考えを纏める時間的余裕も無いように思いますが、決まったことには従うのが党所属国会議員というものでしょう。
 この議論が国民の間であまり行われないのは、畏れ多いという気持ちもさることながら、天皇陛下や皇室の方々の、我々の想像をはるかに超えたご活動をいつのまにか当たり前のように思ってきた、一種の甘えがあるのではないだろうかと危惧します。平和や安全もそうであるように、大切なものはその価値を認識し、常に努力しなければ維持できませんし、失ってから気付いてももう遅いのです。
 仮に国民がそうであるならば、「全国民の代表者」として議席をお預かりしている国会議員がそれぞれの地域で語らなくてはなりません。
 私の力が足りないせいか、不徳の致すところか、恐らくその両方なのでしょうが、このような議論は党内で広い支持を得ているわけではありません。しかし少なくとも私は、自らの考えを訴えて参る決意です。
 
 本日夕刻の衆議院本会議において、平成28年度補正予算が可決し、参議院に送付されました。
 昨日、今日と予算委員会での質疑を一委員として聴いていたのですが、野党の質問の水準は以前と比べてかなり上がりつつあるように思えました(勿論すべてがそうではありませんが)。
 与党が絶対多数であり、衆参の「捻じれ」もないため、紛糾したり、審議が中断したりする場面はありませんでしたが、これで彼らのディベートの技術が上がってくると相当に手ごわくなるような気がしたのは事実です。政府・与党として緩みや驕りの無いよう、本予算審議も心して臨まねばなりません。

 今週読んだ本の中では、三浦瑠麗氏の「トランプ時代の新世界秩序」(潮出版社刊)から多くの示唆を受けました。三浦女史の所論は、保守の立場にありながらも現場をよく把握した上での、斬新で洞察力に富んだもので、いつも大いに啓発されます。「トランプ大統領はニクソンにも似たゲームチェンジャーであると思う」との指摘はその通りなのかも知れません。1971(昭和46)年の米中国交回復、変動相場制への移行といった「ニクソン・ショック」の際の驚きを改めて思い出しました。御一読をお勧めいたします。

 週末は、28日土曜日が「石破代議士と語る会」(午後4時半・倉吉市内)、中部大志会新年総会(午後6時・三朝町内)。
 29日日曜日が「ビートたけしのTVタックル」出演(午前11時55分・テレビ朝日系列・収録)、中私都親交会での講演・懇親会(午前10時・八頭町内)、という日程です。
 TVタックルのたけしさんの発言には、いつも諧謔を装った中にさりげなく真理が含まれており、やはりこの人は天才だなとつくづく思わされます。

 今週の鳥取は久しぶりの大雪でした。私が子供の頃は7~80センチの積雪は当たり前だったように思うのですが、最近では珍しくなりました。大雪で小学校が休校になり、バスが学校に来て、鳥取砂丘へのスキー遠足に切り替わったこともありました。
 しかし、今般の大雪はとてもそんなのんびりとしたものではなく、地震の後遺症とも併せていろいろな被害が各地に出てしまいました。地元選出の国会議員として、一日も早く正常な生活を送れるよう、できる限りのことをしていきたいと思っております。
 皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

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