本人コメント

2017年6月23日 (金)

東京都議会議員選挙など

 石破 茂 です。
 都議会議員選挙が告示となり、7月1日まで都内各地で選挙戦が展開されます。
 公認候補が全員当選した4年前の前回とは異なり、自民党に対する風当たりは相当に厳しいのですが、このような時にこそ政党や候補者の真価が問われます。地方でも都市部でも選挙の基本は同じであって、任期中どれほどキメ細かな活動をしたかが全てです。
 選挙は告示された時には既に終わっている、とは我々が先輩から戒めとして厳しく教えられてきたことですが、そうは言っても告示後に動く票によって当落が左右されることは当然あります。
 選挙期間中、選挙カーのマイクはウグイスさん任せにせずなるべく自分で持つ、地名は字名まで(都市部では○○町○丁目)まで細かく言う、街頭演説ではその演説場所のご当地ネタを必ずいくつか入れる、握手する時は相手の目線より下から相手の目を見て両手でしっかりと、選挙運動を始める時はスタッフの誰より早く開始地点に行き、夜の個人演説会の最終会場が終わったら後片付けを手伝い、帰宅前に必ず選挙事務所に立ち寄って一日の労を労う、なども候補者の心得のイロハであり、これだけでも票は随分と違ってきます。候補者が誰よりも努力し、辛くて苦しい思いをしなければ誰もついてこない、というのも先輩から教わったことです。
 
 学生時代、東京都狛江(こまえ)市に住んでいたことがあるのですが、共産党の市会議員が雨の日も風の日も毎朝市内の各駅で街頭演説をしていました。演説内容には全く賛同できなかったものの、その熱意と努力には感服したことでしたが、彼はその後全国でも数少ない共産党籍の市長となり、なんと四期も務めました。選挙は努力した者が勝つ、という当たり前の真理を決して忘れてはなりません。

 私の言い方が不十分であったのでしょうが、獣医学部の新設について、内閣として四つの条件を提示して厳しいハードルを設け、既得権を守って、実際には新設出来ないようにしたのでは全くありません。産業用動物を扱う公務員獣医や農業共済獣医が足りないのは事実ですが、それは獣医の数自体が足りないせいなのか、産業用動物獣医の処遇が低いせいなのかをまず明らかにしなくてはならないということです。仮に後者だとすれば、獣医の供給数を増やしてもあまり有効な解決策にはならないからです。

 今週週刊誌で報じられた自民党女性議員の件は、党の教育以前の、人間性の問題でしょう。上の立場の人には平身低頭、下の立場の人には厳しく当たるという人はどこにでも居るもので、何も政治の世界に限ったことではありませんが、秘書諸兄姉などのスタッフが定着しない事務所は議員そのものに問題があるのでは、ということは永田町ではよく聞く話です。
 随分昔、まだ中選挙区制の頃ですが、選挙の当落予想は衆議院公用車のドライバー諸氏のものが一番当たるという話を聞いたことがあります。議員の表と裏の顔を一番知りうる立場におられるのであり、さもありなんと思ったことでした。秘密保持を求められる世界においてそのようなことが実際にあったのか真偽のほどは不明で、一種の都市伝説的なものなのでしょうが、自分自身よく自戒しなくてはなりません。

 21日水曜日に第9条をテーマとした憲法改正推進本部の全体会合があり、約100人の衆参議員(それでも所属議員の約四分の一)が参加したのですが、久々に自民党らしい闊達な議論が交わされ、当初の一時間の予定が二時間近くに及びました。
 かつて自民党ではこれが日常の光景であり、当選期数に関わらず自分の意見を述べ、議員各々の資質もそこで明らかになりました。議論に敗れると悔しくてさらに勉強を重ね、次の機会ではより精緻な議論を展開することが楽しみでもありました。
 自衛隊出身の若い議員が「自衛隊が違憲であるという議論が存在することは自衛隊員に失礼である、という理由だけで憲法に自衛隊を書き加えるなどということをせず、もっと本質を語るべきだ」と発言したことも、総裁に近い立場とされる議員が「交戦権の否認だけはどうしても削るべきだ」と述べたことも、とても印象的でした。
 今後の議論の展開は全く不明ですし、「参議院の合区問題をテーマとすることで石破の取り込みを図る」(党幹部の発言、報道による)、などという話を聞くと歎息したくもなりますが、少しだけ明るい気持ちになりました。
 この件について、本日(6月23日)付産経新聞「正論」欄の佐瀬昌盛・防大名誉教授の論考はまさしくその通りと思いました。

 本日は夕刻に稲城市(小磯明候補)と町田市(吉原修候補)で都議会議員選挙応援演説。
 24日土曜日は中央区(石島ひでき候補・午後1時・月島勝どき東京タワーズ)、墨田区(川松真一朗候補・午後2時・錦糸町駅北口ロータリー)、足立区(ほっち易隆候補・午後3時・北千住駅西口)、豊島区(堀こうどう候補・午後4時・池袋駅西口)、大田区(鈴木あきまさ候補・午後5時半・大森駅東口ロータリー)でそれぞれ街頭演説。
 25日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、北海道立北海道更別農業高校訪問・意見交換(午前9時半・川西郡更別村)、平成28年台風災害復旧状況視察(午前11時・帯広市中島町)、賃貸住宅経営者政治連盟北海道支部役員との懇談会(午前11時40分・グランヴィリオホテル・中川郡幕別町)、自民党衆議院北海道第11区支部役員との昼食会(正午・同)、自民党衆議院北海道第11区支部(支部長・中川郁子代議士)政経セミナーにて講演(午後1時・同)という日程です。

 来週土曜日からはもう7月なのですね。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年6月16日 (金)

国会会期末、高知県の集落活動など

 石破 茂 です。
 国会会期末となり、野党は内閣不信任案や閣僚の問責決議案の提出などにより深夜早朝まで最後の抵抗を試みましたが、国民の共感は広がることなく、政府・与党のペースで事は進み、本日で事実上会期を閉じることとなりました。
 国家戦略特区の意義を国民にご理解いただくためにも、「政府・与党は国会を早期に閉じて逃げ切りを図ろうとしている」と言われないよう、更なる努力が必要です。

 しかし一方、このような状況の中で何故野党への支持が全く広がらないのかについて、野党諸氏は猛省すべきです。野党が党内抗争などやっている場合ではありませんし、委員会の質問も、論点を拡散させることなく緻密に行わなければ何の成果も挙げられません。政権担当能力のある健全な野党が存在し、政権交代の可能性が確保されることが政党政治においては必要なのであり、これが無ければ政治に緊張感など生まれません。

 ところで、獣医学部の新設を認めず、獣医の需給を市場原理に委ねないのは、医師や薬剤師と同様、その養成に(結果的、間接的に)多額の公費が投入されており、資格を有している者が過剰となって、その資格を生かした職に就けない状況が生じれば納税者の利益に反する、という理由もあるのではないか、と先日ある方から指摘を受け、一理あると思ったことでした。

 今週開催された自民党憲法改正推進本部において、保岡興治本部長が「憲法改正に当たって現行の憲法解釈は1ミリたりとも動かさない」旨発言されました。
 今から四半世紀以上前の政治改革運動の頃より、保岡本部長の政治に対する真摯な姿勢には変わらない畏敬の念を抱いています。しかしながらこのご発言については、それが現下の我が国が置かれている激変する安全保障環境にいかなる影響を与えるのかなどを明確にして頂かなくてはならないのではないかと思いました。
 安倍総裁は5月3日に発したメッセージで「憲法第9条第1項第2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方が国民的な議論に値する」と述べられただけのはずです。

 14日水曜日、日本外国特派員協会における講演後の質疑応答で、「憲法改正より、経済政策や社会保障政策など、優先する課題があるのではないか」との質問がありました。限られた期間内に政治が注げるエネルギーには自ずから限界があるのであって、その優先順位を定めることもまた政権党の重要な責務です。
 もしも「現状追認型・戦後体制固定型の加憲的憲法改正」に過ぎないのであるならば、その優先順位はそれほど高いと私には思われません。それはまた、論理整合性に無理があるのみならず、今後の防衛政策の展開に対するリスクも相当に高いと言わざるを得ません。

 「優先順位」といえば、産経新聞論説委員である河合雅司氏の最新刊「未来の年表 人口減少日本でこれから起こること」(講談社現代新書)は是非お読みいただきたい好著です。
 2020年には女性の半数が50歳を超え、2024年には全国民の3人に1人が65歳以上になり、2027年には輸血用血液が不足し、2033年には3戸に1戸が空き家になる…というのは、このままいけば間もなく確実に我が国に起こる事態であって、このことを直視し、解決策を提示しなくてはなりません。お時間の無い方は、同書末尾の「日本を救う10の処方箋」だけでもお読みくださいませ。
 河合編集委員はこの中で、
「少子化は国家を根底から揺るがす『静かなる有事』だ。その対策は『国家の固い決意』のもとに行うものであり、それがゆえに税財源で取り組むのが王道である。政府はすべての国の事業に優先して予算を確保し、財源が足りなければ無駄な支出を削減したり、国の別の事業を縮小したりしてでも行うべきだ」
「歴代政権は財源不足を理由に中途半端な対策を繰り返してきた。いつ実現するかわからない消費税増税を当て込み、『消費税率が上がらないからできない』と、やらないための言い訳材料のように語り、国債発行や保険料の上乗せという姑息な手段によって財源確保を図ろうとしている」(以上同書192ページ~193ページ)
とした上で、「社会保障循環制度」を提案しておられます。この制度についてはまだ十分に理解、咀嚼できておりませんので、更に研究したいと思っています。

 11日日曜日の高知県土佐町における集落活動センター「いしはらの里」見学、その後の高知県集落支援センター連絡協議会での講演は、私にとりましても多くの示唆を受けた貴重な体験となりました。
 「この集落はどんなに頑張っても残らないかもしれない。しかし何もしないままでいいのか。小さな集落が守れないで、何故国を守ることができるのか」との地域住民の方の言葉には、心からの感動を覚えた次第です。
 「やりっぱなしの行政、頼りっぱなしの民間、全然無関心の市民」(秋田市在住の漫画家・こばやしたけしさんの言葉)が三位一体となれば地方創生は必ず失敗するのですが、高知県各地における取組は、これと全く逆の発想と手法からなる果敢な挑戦です。
 尾崎正直知事の先見性とリーダーシップ、これに共鳴し、実行する県議・職員や市町村長・議員・職員各位、そして各集落の皆様に深く敬意を表します。

 週末は、17日土曜日が内藤兵衛兵庫県会議員県政報告会で講演(午後2時半・西脇ロイヤルホテル・兵庫県西脇市西脇)、北浜みどり兵庫県会議員後援会で講演(午後5時・ANAクラウンプラザホテル・兵庫県神戸市中央区北野町)、兵庫県知事選挙井戸敏三候補応援集会で挨拶(午後7時・兵庫県民会館・神戸市中央区下山手通)という日程です。
 18日日曜日は、体調管理、まだ目を通していない文献の読了、書類整理などに充てたいと思います。

 週半ばには涼しい日もありましたが、木曜日からは暑さの戻った都心でした。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。  

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2017年6月 9日 (金)

憲法改正試案など

 石破 茂 です。
 愛媛県今治市の国家戦略特区に指定された加計学園の獣医学部新設についての議論が続いています。
 「従来の岩盤規制にドリルで穴を開けるものであり、誰も私のドリルから逃れることは出来ない」と安倍総理がその意気込みを語る国家戦略特区なのですから、加計学園についても、その意義が世の中に広く理解されなくてはなりません。これを説明し、国民に納得していただくことが政府の責任であり、「何かやましいところがあるのではないか」などと言われることは国家戦略特区制度の今後の進展のためにもなりません。
 獣医学部・学科の新設は52年間行われてきませんでした。それにはそれなりの理由があったのでしょうが、「既得権を守る岩盤規制」であるとの批判もありました。
 さればこそ「(感染症や生物化学兵器に対する対策など)従来にはない新たなニーズが生じている」「新設を希望する法人にはこれらに対応するに足る教育内容と教授陣・教育施設が用意されている」「全国に16校ある既存の国公立・私立の獣医学部・学科ではこれらに対応できない」「獣医の需要と供給に配慮し(ペットの獣医は充足されているのに対し産業用動物の獣医は著しく不足しているが、これは産業用動物の獣医の処遇が低いことが原因と思われる)、(一部の地域のみが利益を受けるのではなく)全国的見地から必要と認められる」という4つの条件をクリアすれば、大学設置審議会においても開学が認可されるべきものでしょうし(ただ大学設置に関してはそれ以外の一般的な条件もあります)、逆もまた然りです。
 この問題は、何時までも引きずるべきものではありません。政府の明確な対応が望まれる所以です。

 自民党憲法改正推進本部の陣容が強化され、私も顧問として幹部会に出席することとなりました。改正項目を絞り込み、発議案を遅くとも年内を目途に作成する方針が保岡本部長より示されました。そうであるなら、この議論はよほど濃密かつ丁寧に進めなくてはなりませんし、党所属の全議員に発言の機会が保障されなくてはならないと思います。
 第九条の改正については、既に読売新聞(2004年)と産経新聞(2013年)から改正試案が発表されており、これらは両社の社論ともいうべきものなのでしょうから、起草された方々から意見を伺うことは極めて有益なことと思います。現行憲法第9条関係のものを見てみると、次のようにあります。

【読売新聞 憲法改正試案】
第11条(戦争の否認、大量破壊兵器の禁止)
(1) 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(2) 日本国民は、非人道的な無差別大量破壊兵器が世界から廃絶されることを希求し、自らはこのような兵器を製造及び保有せず、また、使用しない。

第12条(自衛のための軍隊、文民統制、参加強制の否定)
(1) 日本国は、自らの平和と独立を守り、その安全を保つため、自衛のための軍隊を持つことができる。
(2) 前項の軍隊の最高指揮監督権は、内閣総理大臣に属する。
(3) 国民は、第一項の軍隊に参加を強制されない。

第13条(理念)
 日本国は、地球上から、軍事的紛争、国際テロリズム、自然災害、環境破壊、特定地域での経済的欠乏及び地域的な無秩序によって生じる人類の惨禍が除去されることを希求する。

第14条(国際活動への参加)
 前条の理念に基づき、日本国は、確立された国際機構の活動、その他の国際の平和と安全の維持及び回復並びに人道的支援のための国際的な共同活動に、積極的に協力する。必要な場合には、公務員を派遣し、軍隊の一部を国会の承認を得て協力させることができる。

第15条(国際法規の遵守)
 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守する。

【産経新聞 「国民の憲法」要綱】
第15条(国際平和の希求)
 日本国は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国が締結した条約および確立された国際法規に従って、国際紛争の平和的解決に努める。

第16条(軍の保持、最高指揮権)
 国と独立と安全を守り、国民を保護するとともに、国際平和に寄与するため、軍を保持する。
2 軍の最高指揮権は、内閣総理大臣が行使する。軍に対する政治の優位は確保されなければならない。
3 軍の構成および編成は、法津でこれ定める。

 ニュアンスの違いはあるものの、どちらも「交戦権否認の削除」「国の独立を守るための軍の保持」「条約と確立された国際法規に基づく軍の行動」「総理大臣の最高指揮権の保持」という点においては共通しています。
 起案したメンバーはおそらく従来の伝統的憲法学者ではなく、国際法や防衛に通暁した、現実を直視する方々と思われますが、まともに考えれば、おおむねこのような結論に到達するのではないでしょうか。
 読売の担当記者諸兄姉はまずこれを理解すべきでしょうし、産経新聞も同様です。

 「第3項加憲」という発想は、日本政策研究センターの伊藤哲夫代表が最近の講演の中で「あくまでも目指すのは欠落部の補充であり、3項加憲という奥の手がある」と述べられていることと軌を一にすると思われます。
 「第1項はもちろん、第2項も残します。解釈も一切変えません。自衛隊の存在だけを憲法に書き加えるのだから異論はないでしょう?」ということなのでしょうし、これなら国民も賛成するであろうとの意図かと考えますが、国際環境が激変する今こそ、第9条自体が内包する矛盾を解決すべき時であるのに、わざわざこれを憲法上固定化してしまうという考えのように思われ、私には現在のところ理解できません。

 私もかつては憲法について突き詰めて考えることはなく、漠然と第9条は改正すべきであると考えていた程度に過ぎませんでした。考えが変わったのは、佐瀬昌盛先生(元防衛大教授)や故・小室直樹博士、色摩力夫先生(元駐チリ大使)の一連の著作を読んでからのことで、事の重大性に気付かされるとともに、自分の考えの足らなかったことを深く反省したことでした。
 色摩先生は最新刊「日本の死活問題 国際法・国連・軍隊の真実」(グッドブックス刊)の中でこの問題を簡明に論じておられます。ご一読をお願い致します。

 週末は、10日土曜日が自民党鳥取県連青年局・女性局平成29年度合同大会(午後2時・倉吉シティホテル)、日本柔道整復師会鳥取大会開会式・懇親会(午後7時・ホテルモナーク鳥取)。
 11日日曜日は集落活動センター「いしはらの里」見学(12時半・高知県土佐郡土佐町)、高知県集落活動センター連絡協議会で講演・懇親会(午後3時・三翠園・高知市鷹匠町)、という日程です。
 入っている日程自体は少ないのですが、移動距離や時間が矢鱈と長いようです。

 六月も半ばとなりました。30日は1年の折り返しの行事である夏越の祓の日です。このような日本の風習は大事にしたいと思います。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年6月 2日 (金)

国家戦略特区追記など

 石破 茂 です。
 加計学園の今治市への獣医学部新設問題について、少し追記します。
 前回の本欄において、平成27年6月30日閣議決定の「日本再興戦略」改訂2015において示された4条件を転記しました。
 つまり政府としては、、
①感染症対策や生物化学兵器に対する対応などの「新たなニーズ」が明らかであること。
②それが現在存在する国公立・私立の獣医学部や獣医学科では対応が困難であること。
③特区として開設を希望し、提案する主体が「このようにして従来の獣医学科とは異なる教育を行う」というカリキュラム内容や、それを行うに相応しい教授陣などの陣容を具体的に示すこと。
④現在不足が深刻化している牛や馬、豚などの「産業用動物」の治療に従事する獣医の供給の改善に資すること。
以上4点について判断すればよいわけです。
 ①は主に厚生労働省が、②と③は文部科学省が、④は農林水産省がそれぞれの専門的知見から当事者の主張を聞いて意見を述べ、これらをもとに国家戦略特区認定に権限を有する内閣府が、その責任において判断したことなのでしょう。これらについて適正に行われたという説明を、具体的な根拠の提示と共に果たせばよいだけのことです。国家戦略特区は一部の地域のみの利益に資するのではなく、全国的にその利益が及ばなくてはならないのですから、これも当然検証されているものと考えられます。

 現時点では愛媛県今治市への設置が国家戦略特区として認められた段階にしか過ぎず、現在、文部科学省が大学設置審議会にこの開学について諮問中であり、最終的には審議会からの答申を受けて文部科学大臣が判断することになります。
 いわゆる忖度があったとか、なかったとか、前川氏が事務次官を辞めた後に政府の対応を批判するとはけしからんとか、ましてや出会い系バーに行っていたなどということは、重要ではあっても事の本質そのものではありません。竹下亘自民党国対委員長が前川氏の証人喚問について「政治の本質とかかわりがない」と述べたことはそういう意味だと私は理解しています。

 一昨日、若狭勝衆議院議員が自民党に離党届を提出し、水月会を退会致しました。検事出身らしく、正義感に富んだ、法律家としても優れた人であるだけに、とても残念です。
 テロ等準備罪の成立後も、その運用には細心の注意が必要ですし、この法律だけでテロ対策が完璧なわけではなく、今後更なる立法も必要になるのかもしれません。もっと彼の知見を自民党の中で生かしてほしかったと切に思います。
 政治家の行動や決断は、その政治信条、実現したい政策・法律、所属する党の姿勢、選挙区の事情などが複雑に絡み合っており、当然すべての方のご理解を得られるものではありません。しかし、若狭議員が私利私欲や打算を主たる行動原理として動いていないことは確かであり、今後とも政治家として、人として語らいは続けていきたいと思っております。

 週末は、6月3日土曜日が日本青年会議所中国地区鳥取ブロック協議会「鳥取をよくするシンポジウム」でパネルディスカッションと質疑応答(午前10時・夢みなとタワー・鳥取県境港市)、小里泰弘衆議院議員「地方創生を語る国政報告会」で講演とその後の懇親会(午後6時・ホテルオートリ・鹿児島県薩摩川内市)。
 6月4日日曜日は陸上自衛隊部隊新設予定地視察(午前10時40分・鹿児島県奄美市名瀬大熊)、奄美市関係者との昼食懇談会(正午・ホテルビッグマリン奄美)、政策集団水月会鹿児島セミナー第Ⅰ部にて講演(午後6時・城山観光ホテル・鹿児島市)、第2部懇親会(午後7時・同)という日程です。

 今週の都心は真夏のような天候が続きました。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年5月26日 (金)

憲法改正、与謝野先生ご逝去など

 石破 茂 です。
 昨25日金曜日の前川喜平前文部科学事務次官の会見で、加計学園の今治市への獣医学部新設問題は新たな局面を迎えているように見えますが、問題の核心は以下の通りと考えています。
 すなわち、私が国家戦略特別区域担当大臣であった平成27年6月30日に閣議決定された「日本再興戦略 改訂2015」において示された、
「①既存獣医師養成でない構想が具体化し
②ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり
③既存の大学・学部では対応が困難な場合
④近年の獣医師需要動向も考慮しつ
全国的見地から本年度内に検討を行う」
との、4条件ブラス「全国的見地」に適合する公正・公平な決定であったかどうか、それが問われるべきであり、政府はこれを明確に立証すればよいのです。4条件が満たされ、全国的見地から必要とされれば、提案主体がどこであろうと認めなくてはなりませんし、その逆もまた然りです。これは広島県と今治市を国家戦略特区として3次指定した際の同年12月15日の閣議後定例記者会見で担当大臣として申し上げていることであり、ご関心のある方はそちらをご参照くださいませ。

 報道や伝聞でしか知りませんが、憲法改正について自民党内にどのような組織を作るかについて水面下で様々な動きがあるようです。
 自民党では平成17年11月に「新憲法草案」を、平成24年4月に「日本国憲法改正草案」を、侃侃諤諤の議論の末に取りまとめて党議決定し、政権復帰後、衆・参それぞれ2回の国政選挙においてこれを掲げて国民の審判を受けています。
 もちろん、これらは絶対ではありませんし、今後の議論や修正の余地も多分にありますが、これを弊履のごとく捨て去ろうとする姿勢が党内にあるのであれば、それには強い違和感を覚えます。
 「日本国憲法改正草案」の策定後に議席を得た自民党議員が全体の約半数にもなるのですから、まずこれをベースとして、どのような過程でこれが作成されたのかを丁寧かつ濃密に検証することが作業のスタートになるはずです。「時間が無い」「そのような作業は手間がかかる」として改正案作りに関わるメンバーを限定し、作業を簡素化して年内に案を作ろうとするのであれば、将来に禍根を残すことにもなりかねません。

 あらゆる法規範の頂点に立つ日本国憲法に真摯に向き合わないとするならば、すべてにおいてその姿勢は誠実を欠くということになると私は思います。
 天皇陛下のご生前ご譲位の議論の際も、「皇室典範の改正には手間がかかるのだから、チャチャッと特例法でやるべきだ」と、大意そのような発言をテレビでしていた方を見て愕然としたものでしたが、憲法においてもそのような発想は断じてあってはなりません。
 問われているのは自民党の真剣で断固たる姿勢ではないのでしょうか。党本部8階には所属議員全員を収容できるホールがあるのですから、そこで毎週一回でも全議員を対象とした勉強会を開催することによって自民党議員の理解は深まりますし、何よりもそのことが「自民党の本気度」を示すことになります。ただ野党を批判してばかりいても自民党自体は全く向上しません。「民進党よりはまだマシだから」ではなく「自民党が良いから」を支持理由に挙げて頂くための努力が更に必要です。

 一部報道でしか総裁の考えを窺い知ることは出来ませんが、第3項を加えるか、9条の2というかたちにするか、いずれにしても議論の焦点は
・「国民の多くがその存在を肯定している自衛隊を憲法に書き込む」という現状追認型の憲法改正とするのか(それでも現第2項との論理的整合は極めて困難と思われます)
・独立国とは何か、それを守る組織とは何か、同盟とは何かに至るまで、国の根幹を問い直す憲法改正とするのか
であるべきではないのでしょうか。
 確かに国民は政治家を信じてはいないでしょう。しかし政治家が「どうせ国民にはわからないから」という態度で国民に真剣に向き合わないのなら、政治家の側も国民を信じてはいないことになります。国民を信じていない政治家が、国民に信じてもらおうなどと甘いことを考えてはなりません。政治すべてにおいて、我々は主権者たる国民に対して常に畏れと怖れの気持ちを持つべきなのだと自戒しております。

 憲法についてはよくわからない、という方もおられると思いますが、「憲法のことがマンガで3時間でわかる本」(津田大愚著・明日香出版社・2006年)は、マンガの体裁をとりつつも、かなり深い内容を平易に解説している好著です。あまりに多くの文献を読んで頭が混乱した時に、このような本はとても有益です。

 今週移動中に目を通した本の中では「フランスはどう少子化を克服したか」(高崎順子著・新潮新書)から多くの示唆を受けました。1980年代に合計特殊出生率が1・4前後にまで低下していたフランスは、現在2・0前後にまで回復しているのですが、単に婚外子を認めたり、移民を受け入れたりしたことだけが回復の理由ではないことがよくわかります。
 日本でそのままフランスの政策を導入することは困難だとしても、検討し、採用すべきものも多くあると考えます。

 官房長官や財務大臣、自民党政調会長などを歴任された与謝野馨先生が逝去されたことは、極めて残念です。私利私欲を持たず、一貫した姿勢で財政健全化などの政策の実現に尽くされたお姿は、政治家のあるべき理想像の一つでした。
 平成20年9月、福田康夫総裁の辞意の表明を受けて急遽行われた総裁選で候補者としてご一緒し、麻生内閣でも共に閣僚を務め、その憂国の情とバランスのとれた政治姿勢に深い感銘を受けました。野党時代に離党されることなく、自民党再生のためにご尽力いただくことを望んでいたのですが、ご自身に残された時間が少ないことを悟られて政策実現に邁進されたかったのでしょう。
 東日本大震災発災直後、大連立を呼びかけるお電話を頂いたこともありました。「それならばまず政策協議から始めましょう。外交や安全保障政策について最低限の一致が無いままの、震災対応のためだけの連立などあり得ません」と政調会長を務めていた私はお答えしたのですが、それきりご連絡はありませんでした。

 総裁選の最終日は、雨の降る横浜での最後の合同街頭演説会でした。登壇を待つ街頭宣伝車の車中で「石破さん、今日は孫が聞きに来ているんだよ。少し私のことを褒めてくれないかな…」と与謝野先生は照れたように仰いました。
 総裁選を通じて先生のお人柄に敬服していた私は、さりげなく、でも心を込めて、先生を褒める言葉を自分の演説の中に織り込みました。あの時の先生のお顔が今も鮮やかに蘇ります。
 本当に立派な、素敵な方でした。御霊の安らかならんことを心よりお祈りいたします。

 先週は建築板金業者全国大会が茨城県ひたちなか市で、日本左官業組合連合会の創立80周年記念大会が東京で開催され、振興議員連盟会長として出席し、昨日は日本鳶工業連合会の全国大会の後、鳶工業議員連盟が設立され(鴨下一郎会長)、夕刻には全国建設クレーン業協会の全国総会で顧問として祝辞を述べて参りました。
 建設・建築の第一線で活躍されている業界の方々の総会のシーズンなのですね。どの業界も人手不足、後継者難、法定福利費など共通した課題を抱えており、その解決のために我々は尽力しなくてはなりません。
 額に汗して働く人々が報われる社会、というのは決して革新政党だけのスローガンなのではありません。

 週末は、27日土曜日が自民党鳥取県連総務会(午前10時・倉吉体育文化会館)、自民党鳥取県連定期大会(午前11時・同)、ボーイスカウト日本連盟平成29年度全国大会鳥取大会開会式(午後1時・とりぎん文化会館・鳥取市)、鳥取県中部1市4町議員の会勉強会で講演とその後の懇親会(午後3時・倉吉シティホテル)。
 28日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、自民党衆議院茨城県第1区田所よしのり発信大会で講演(午後2時・水戸プラザホテル)、田山東湖茨城県議会議員県政報告会で講演(午後5時半・大洗町文化センター)、という日程です。
 大洗町は井上靖の「大洗の月」という短編小説を読んで以来、一度行ってみたかった町です。最近は漫画「ガールズ&パンツァー」で有名なようですが…。

 昨日までの暑さとはうって変わって、今日の都心は肌寒い雨模様です。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年5月19日 (金)

ICBMなど

 石破 茂 です。
 連休中の安倍総裁の憲法第9条「加憲」発言に加えて、14日日曜日早朝には北朝鮮のロフテッド軌道によると思われる「新型」ミサイル発射があり、今週はいつにもまして慌ただしい日々が続きました。
 ミサイル防衛については「ロフテッド軌道」「コールド・ローンチによる発射」「装軌式TEL(テル。電話ではなく、輸送起立発射機のこと)」「SM-3ブロック2A迎撃ミサイル」等々、一般の方々には馴染のない専門用語が飛び交い、これに法律用語が加わりますので、テレビなどでなるべくご理解いただけるように話すのはかなり難しいことで、わかりやすく話すように努めるあまり正確性を欠くことがあってもなりませんし、それなりに苦労の連続です。
 着弾精度に劣るロフテッド軌道で発射したことには、ロフテッドそれ自体に意味があるのではなく、長距離を飛翔させる能力を示す意図があったのかも知れませんが、いずれにせよ技術が確実に進化しつつあることだけは事実です。

 ここで我々はもう一度、ICBM(大陸間弾道弾)という兵器の持つ意味を考えてみなくてはなりません。
 人工衛星もICBMも原理は同じものですが、射程1万キロのICBMは、長距離を飛翔した後に大気圏に時速マッハ24で再突入し、その時の表面温度は摂氏7000度にもなります。これに耐えて正確な角度で弾頭を落下させるためには相当に高度な技術を必要とするのであって、未だ北朝鮮はその技術を会得していないものと思われます(ちなみに米国・旧ソ連ともに、核爆発とICBMの実験は何度も行ってきましたし、米国は今もICBMのテストを頻繁に行っていますが、両者を組み合わせた実験は一度も行われていません)。
 つまり、米国は未だ北朝鮮のICBMの脅威には直面しておらず、北朝鮮が韓国を攻撃する際にはロケット砲や地対地ミサイルなどで十二分に事足り、我が国はノドンなどのIRBM(中距離弾道弾)の射程にかなり以前から国土のほぼ全域が入っている、というのが現状です。日本、米国、韓国の三か国が緊密に連携して、という表現が常套句のように使われ、それは確かにその通りなのですが、三か国の置かれた状況は全く異なるのですから、それぞれの脅威認識の相違を念頭に置いたうえでの協議でなければ、一致した対応が困難になりかねないことを危惧しています。
 米国まで届くICBMを保有し、体制の保障などの要求をのませるのが北朝鮮の狙いだと考えられますが、これは「この子の命が惜しければ言うことを聞け」という誘拐犯の手法と何ら変わらず、絶対に認められるものではありません。

 いつも申し上げることですが、拡大抑止もミサイル防衛システムも決して万能ではありません。これらに加えて国民保護や民間防衛のシステムを構築しなければならないのですが、我が国の人口あたりの核シェルターの普及率は、スイスの100%、ノルウェーの98%、アメリカの82%、イギリスの67%、シンガポールの54%などに比べて三桁少ない0・02%というのが現状です。この数字はNPO法人日本核シェルター協会の資料によるものですが、「やりっぱなしの行政・頼りっぱなしの民間・全然無関心の市民」という地方創生が失敗する際の原則は、安全保障でも当てはまるようにも思われます。

 憲法第9条の議論がにわかに活発になりつつありますが、「集団的自衛権行使の範囲」や「専守防衛の意義」が大きな論点になるはずです。集団的自衛権についてはすでに何度も言及しているので繰り返しませんが、専守防衛についてもこの際徹底した議論が必要です。
 専守防衛とは「相手から武力攻撃を受けた時にはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限度に限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう」(防衛白書)と説明され、私自身も何度か国会でそのように答弁してきましたが、これがあらゆる防衛戦略の中で最も難しいものであることがどこまで国民に理解されているのでしょうか。
 専守防衛は基本的に国土が戦場になることを想定しているいわゆる「籠城戦」的な戦略ですが、これが成功するためには「強い国民の意思」「堅固な守りの体制」「十分な兵糧・弾薬・人員」「国土の縦深性」「味方来援の確実性」の5つの要素が必要となります(野口裕之氏の所論による)。専守防衛に徹するなら、この確保に全力を注がなければならないのであって、ただひたすらにこれを唱えていればよいというものではありません。
 「決して他国の脅威とならない」とのフレーズもよく使われますが、脅威とは意図と能力の掛け算の積なのであって、決して他国を侵略しないという国民の強い意志があればその積は零なのであり、能力向上を怠ってよいことには決してなりません。

 14日日曜日に訪問した福岡県うきは市の取り組みには、とても勇気づけられました。他の地域からうきは市に移住した方々が「本当にここはよいまちだ」と口々に言われていた姿がとても印象的で、RESAS(リーサス)システム(地域経済分析システム)を率先して活用してこられた高木典雄市長をはじめとする皆様の真摯な姿勢に心から敬意を表します。
 敬愛する岡山県真庭市の太田昇市長が再選されました。27年の合計特殊出生率が全国トップレベルの2.21に達するなど確実に成果をあげておられます。市長は「まだ緒についた段階」と言っておられますが、全国各地で着実に地方創生を実践しておられる市町村長さんにお会いできることはとても嬉しいことです。

 週末は、20日土曜日が公益社団法人オイスカ(The Organization for Industrial, Spiritual and Cultural Advancement)「名取市民の森平成29年度植樹祭 海岸林再生プロジェクト10か年計画」開会式でオイスカ活動促進議員連盟会長として挨拶、植樹(午前9時・宮城県名取市市有林)、その後徳島県市町村長との意見交換会(午後4時・徳島グランヴィリオホテル)、福山守衆議院議員地方創生フォーラムにて講演(午後5時・同)、祝賀懇親会(午後6時・同)。
 21日日曜日は自民党埼玉県衆議院第12選挙区支部大会にて講演(午後4時・熊谷流通センター組合会館)、同懇親会(午後5時半・熊谷市内)、という日程です。

 5月も後半となりました。時々爽やかな初夏の日和となり、ほんのつかの間の楽しさを感じることもあった一週間でした。
 もうすぐ梅雨入り、荒井由実の「雨の街を」(1973年)が似合う季節となりますね。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年5月12日 (金)

加憲案など


 石破 茂 です。
 5月3日の憲法記念日に、民間団体が主催する憲法改正フォーラムにおいて安倍総裁が「憲法第9条に新たに第3項を加えて自衛隊の存在を憲法上明確にしたい」旨発言し、同趣旨は当日の読売新聞朝刊にもインタビューに答える形で表明されました。
 このようなご発言は本来、3月5日に開催された自民党大会において自民党総裁として表明して頂ければもっと良かったと思いますし、一民間紙ではなく党の機関紙である「自由民主」に掲載していただければ良かったと思います。
 
 憲法改正、なかでも第9条に関する議論が遅々として進まないのは、肝心の自民党内における意思統一が十分になされていないことも大きな原因だと考えています。憲法改正が立党の原点であり党是でもある自民党においては、長い議論を経て平成17年に「新憲法改正草案」を取りまとめ、更に手を加えて野党時代の平成24年に「日本国憲法改正草案」を決定しているのであり、あくまでもこれが議論のベースとなります。
 もちろんこれは完全なものではありませんし、修正の余地も多分にあると私自身も思いますが、まずは憲法改正を発議する国会を構成する自民党の国会議員全員がこれを正確に理解し、改めるべきは改めて党議決定し、他党の理解を求め、国民投票を行う国民に説明できるまでにならなくて、憲法改正が出来るとは思えません。我が国の最高法規である憲法についての議論を疎かにする政党は、国家の将来について真摯であるとは言えません。

 かつて自民党においては、多くの課題を巡って侃侃諤々たる議論がありました。まだ米価が政府決定であった頃は幾晩も徹夜で議論したものでしたし、湾岸戦争勃発時に日本国がなすべき活動についても、小選挙区制導入を柱とする政治改革についても、賛成・反対、様々な立場から多くの議員が参加して大激論が交わされ、議論に負けないように必死で勉強し、それが党の活力であったように思います。
 今の自民党は、残念ながらその雰囲気が薄れてしまった気がします。党大会・両院議員総会に次ぐ、通常時の最高意思決定機関である総務会においてすら、「今日は石破総務が発言しなかったので早く終わってよかった」(総務会メンバーの発言。5月10日付毎日新聞報道による)というように、議論そのものを敬遠する空気が広がっている気がします。

 20年以上前の政治改革論議の際、「小選挙区にして党中央に権限が集中すれば、議員たちは党幹部の顔色を窺い、発言しなくなる」との指摘を受けて必死に反論したものですが、小選挙区制を採用している国すべてがそうなのではありません。

 「仮に自民党内がまとまっても、それだけでは衆・参両院それぞれにおいて総議員の3分の2の賛成は得られない。政治は現実であり、結果を得ることこそが大事なのだから、最も多数の賛成が得られる案として、現行憲法第9条第1項と第2項をそのまま残し、自衛隊の存在のみを3項に加えてはどうか」という考え方であるとせば、第3項として「日本国の独立を守り、地域ならびに国際社会の平和の維持に寄与するため、陸・海・空自衛隊を保持する」と規定するのが最も現実的な案のようにも思われますが、そうであったとしても第1項、第2項との論理的整合性をどう確保するかに解を出さなくてはなりません。

日本国憲法第9条第1項
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
*国権の発動たる戦争:最後通牒を発し宣戦布告を行うことによって開始される正規の戦争のこと。国連憲章は自衛権の行使と集団安全保障による以外の一切の武力行使を禁じているので、今日的な意味は乏しい。
*武力による威嚇又は武力の行使:最後通牒も宣戦布告も伴わないが、事実上行われる戦争のこと。
*国際紛争を解決する手段としては:侵略のための武力行使は認められないが、自衛のための武力行使は認められる、との意味。

同第2項
「前項(第1項)の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」
*陸海空軍その他の戦力:自衛のための必要最小限度を超えるもの。
*国の交戦権:「戦争をする権利」ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称(例えば人を殺傷し物を破壊しても殺人罪・傷害罪・器物損壊罪に問われない、正規の交戦者は捕虜となる資格を持つ、など)。自衛のための必要最小限度の範囲内のものは認められる。

 政府見解を注意書きしましたが、これを外して文言のみを素直に読めば、第1項で自衛のための武力行使は認められているものの(このような書き方は他国の憲法にも例がみられます)、第2項において実力としての軍は保有しないのだから、他国から侵略を受けた際は国民一人一人が、捕虜としての待遇も受けられず、惨殺される覚悟で戦う他はない、ということになります。
 憲法前文で「日本国民は…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してわれらの安全と生存を保持しようと決意した」ことになっているのですから、信頼が裏切られたらそうなる他はないということなのですが、それではいくら何でも酷かろう、ということで衆議院憲法改正特別委員長であった芦田均が「前項の目的を達するため」という「芦田修正」を加え、第66条に文民条項も付け加えて、将来的に実力組織(陸海空軍)を保有する余地を持たせた、というのが歴史的経緯として伝えられています。
 しかし、吉田茂総理はこれに全く言及せず、安倍総理も「政府として芦田修正の立場は採らない」旨明言し、自衛権は国家固有の権利であるとしています。
 吉田総理は、将来的に全面改正をすることを念頭に、中途半端な文言を付け加えるような対応を忌避したのではないかと推測されますが、その立場を維持する限り、第2項をそのままにして第3項に自衛隊の存在を明文化すれば論理的整合性を欠くことになり、今の矛盾を憲法で固定化してしまうことにもなりかねません。

 いつも申し上げることですが、日本国憲法が作られた時、連合国の占領下にあった日本国は国家主権を持たず、独立国家ではありませんでした。従って「国の独立を守る」ことを主たる任務とする軍隊の存在が規定されていなかったことは極めて自明のことなのであり、サンフランシスコ条約発効により独立を果たし、国家主権を回復したからには、「軍」の存在を明確に規定するために、論理的整合性をもたせて前文や第9条の改正を行うことは理の当然です。これは右とか左とかいった立場の相違などとは全く関係がないはずです。
 このような経緯を丁寧に説明して、それでもなお理解が得られなければどうしようもありませんが、最初から「どうせわかるはずがない、できるはずがない」と決めてかかってはならないのではないでしょうか。

 天皇陛下のご譲位についても、この19日にも閣議決定がなされると報道されています。世論調査によって国民の7割近くが「今上陛下ご一代限りではなく、恒久的な制度とすべきだ」と考えていることとどのように整合しているのか、これを明らかにする責任が自民党にはあるはずですが、本日午後2時より急遽開催された自民党の会議において、政府は私の問いに答える形で、衆参正副議長による議論の取りまとめにおいて示された「このような法形式をとることにより…これが先例となって、将来の天皇の退位の際の考慮事情としても機能し得る」との文言が生きていることを言明しました。この趣旨を来週23日の総務会で確認するとともに、法案審議における議論も注視していきたいと思います。

 9日火曜日に開催した政策集団水月会の講演とパーティは、当日同時刻に衆議院法務委員長解任決議案を取り扱う本会議が開催されるなどの突発事態のために綱渡り的な運営になったものの、おかげさまで2200名様ものご参加を頂いて、なんとか無事に終えることができました。誠に有り難うございました。相変わらず報道は政局的な見方しかしてくれませんが、時節柄致し方ないのでしょうね。

 週末は13日土曜日が「石﨑とおる衆議院議員パパママこども会」(午前11時・新潟ジョイアミーア)、自民党衆議院新潟4区支部「党勢拡大 地方創生を語る会」にて講演・懇親会(午後1時・ホテルオークラ新潟)、帆苅謙治新潟県議会議員在職30周年記念講演会で講演・祝賀会(午後3時・ANAクラウンプラザ新潟)。
 14日日曜日は道の駅うきは視察(午後2時・福岡県うきは市)、うきはビジネスカフェ視察(午後3時・同)、日本青年会議所九州地区福岡ブロック協議会第45回大会で講演(午後4時20分・うきは市文化会館)、という日程です。

 今週は、まるで夏のような天候の日々となりました。皆様ご自愛の上、お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年4月28日 (金)

言論の自由など

 石破 茂 です。
 経産政務官の辞任・離党に続き、復興大臣の失言・辞任という事態で今週も国会は変則的な運営となりました。
 私自身、閣僚や党役員の時、少なくとも二回、失言・撤回・陳謝という失態を演じており、偉そうに他人様のことを批判できる立場にはおりませんが、同じことを言っても一般人とそれなりの責任ある立場にある者は受け止められ方が全く異なるのであり、マスコミを批判してもどうなるものでもありません。
 全体ではなく片言隻句こそが批判の対象となるのであって、それを十分承知の上で、どこを切り取られて報道されてもいいように注意しなければならないということなのだと思います。どれほど悪意に満ちた報道であっても、報道があってこその民主主義なのだと割り切る他はありません。
 本来は「健全な」報道があってこそ、と言いたくもなりますが、「健全」とは何か、明確な解はありません。立法・司法・行政間のように相互牽制に基づくチェック機能が働かない第四の権力であるマスコミ各位には、それだけの見識と矜持を期待したいものです。

 同様に、誤解や曲解に基づく批判にはきちんと反論すべきであって、黙殺や泣き寝入りはすべきではありませんが、ためにする批判や誹謗中傷、罵詈雑言に対しては対応すればするほど相手の術中に嵌るという面もあります。ゆえに「言論の自由」とはとても困難なテーマですが、報道が権力に迎合することこそが最も恐ろしい結果を招くのだと思っております。国際NGO「国境なき記者団」によれば我が国の報道の自由度は対象180ヶ国中72位、G7の中では最下位なのだそうで、評価の基準についての議論はあるものの、権力側も、報道の側も、これを真摯に受け止める必要がありそうです。

 内閣や党の支持率がそう大きく下がらないのは、その実績もさることながら、北朝鮮の動向などを強く意識した国民の大多数が「やはり野党にこの国の安全を任せるわけにはいかない」と感じていることも一因でしょう。
 民主党政権時代の安全保障体制は、鳩山・菅政権では総理ご自身が門外漢でしたし、野田政権では総理の見識は前二者に比べれば遥かに優れてはいたものの、一川・田中両防衛大臣は目も当てられない有り様でした。閣僚をはじめとする枢要ポストの人選は、当選年次や年齢のみならず、その分野の政策や担当省庁の内情に通暁した人を起用するのも国家・国民のためというものでしょう。

 明日から連休期間に入りますが、28日は自民党長崎県連長崎市第8選挙区支部での講演(午後6時半・ホテルニュー長崎)。
 29日土曜日は「激論!クロスファイア」出演(午前10時・BS朝日・収録)、ユースデモクラシー「デジタル憲法フォーラム」にて講演と質疑。
 30日日曜日は鳥取県調理師連合会「惣和会」発会式(正午・倉吉シティホテル)、自民党三朝町支部総会にて講演(午後1時半・プランナールみささ)。
 3日憲法記念日はテレビ大阪「わざわざ言うテレビ」収録(午後5時・都内)、「プライムニュース」出演(午後8時・BSフジ)。
 7日日曜日は宮城県気仙沼市の漁業に関するヒアリング、「日本と気仙沼の水産を考える会」で講演、その後のレセプション(午後3時半~・南三陸ホテル観洋)、水産実務指導者との懇談会(午後7時半・気仙沼市内)、という日程です。
 
 5月3日憲法記念日の「プライムニュース」では憲法について共産党の小池晃書記局長と討論の予定です。小池議員とは委員会やテレビで何度か議論したことはありますが、このような形で討論するのは初めてです。
 防衛庁長官や防衛大臣在任中、共産党の質問に対しては最も時間を割き、機関誌「前衛」や「しんぶん赤旗」などを丹念に読みました。共産党は我々とは思想や立場が全く異なりますが、理論的には一貫し、精緻なものがあるのでいつも手強い相手でした。良い機会なので、きちんと準備して臨みたいと思っています。

 閣僚でもなく、党三役でもなく、海外出張の予定もない連休は何年振りでしょう。読みたかった本や論文を読み、ここのところ不調が続いた体調管理にも努めたいと思っています。
 この時期の議員の海外出張は物見遊山的と批判されますが、閣僚の時も党三役の時もすべて機中泊、一日の会議や会談が10件近くという超過密スケジュールでした。真面目に務めている議員が多い中、一部の者のためにすべてがそう見られてしまうのは残念なことです。
 まだ当選一・二回生の頃、挨拶廻りや地区の会合に出かける前の早朝に自分で運転して、初夏の山陰海岸の景色を楽しんでいた頃が懐かしく思い出されます。
 
 お休みの方、この期間もお仕事の方、どうか皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年4月21日 (金)

引き続き朝鮮半島情勢など

 石破 茂 です。
 半島情勢が緊迫しつつあるため、このテーマでのテレビ出演が増えています。毎回違う話も出来ないので、番組ごとに少しずつ表現を変えているのですが、安全保障問題を少しでもわかりやすく話すのはなかなか難しいものです。
 米国の発するメッセージは、北朝鮮に向けてというより、北朝鮮を緩衝地帯として維持しておきたい中国に対して向けられたものであることは言うまでもありません。
 北朝鮮が戦闘状態になれば、中朝同盟の一方の当事国である中国は関わり合いを持たざるを得ないでしょうし、北朝鮮難民が大量に流入して朝鮮民族独立行動などを起こされてはたまらない。北朝鮮崩壊後、米国の影響下にある統一朝鮮が誕生し、それと直接国境を接する事態になるのも避けたい。そのような思惑で中国が北朝鮮を支えている間に、時間は北朝鮮に有利に働き、とうとう事態はここまで来てしまったのだから、中国が北朝鮮の体制を変更する責任を負うべきであるし、中国がそれをやらないのなら、アメリカが実力を行使してでも体制を変更する。これはそれなりに論理の通ったものであり、北朝鮮を中国の影響下にある「よりましな体制とする」ことをも許容する可能性を含むものと考えるべきでしょう。
 このことは随分と以前からアメリカの当局者たちに対して私が申し上げてきたことではあるのですが、当時彼らはあまり芳しい反応を示しませんでした。
 日本としても、日米同盟の範囲内で圧力をかけるとともに、万が一の事態で被害が及ばないためのミサイル防衛や国民避難・保護、我が国に未だ潜伏していると思われる北朝鮮の工作員による破壊活動の未然防止、難民対策等々を怠りなく講じておくことは当然です。日豪2プラス2で来日中のオーストラリアのビショップ外相、ペイン国防相(どちらも女性)との昨朝の意見交換会でも、この点は意見が一致いたしました。

 先日発売となった拙著「日本列島創生論 地方は国家の希望なり」(新潮新書)はおかげさまで2刷となりました。お買い上げいただいた方、お読み頂いた方、誠に有り難うございます。ご指摘やご批判を頂ければ幸いです。

 週末は、22日土曜日が八頭町立八頭中学校国会見学で挨拶(午前9時・国会内)、富山県総合デザインセンター訪問(午後1時・富山県高岡市)、(株)能作創業100年記念ならびに新社屋竣工式典・工場見学・懇親会(午後1時半・同社・富山県高岡市)、ネット配信番組「みのもんたのよるバズ!」出演(午後9時・テレビ朝日。「朝ズバ!」ではなく「よるバズ!」です)。
 23日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、「ビートたけしのTVタックル」出演(正午・テレビ朝日系列・収録)、鳥取市立鳥取東中学校国会見学(午後3時・国会内)という比較的余裕のある日程で、有り難いことです。
 24日午後11時15分からのテレビ朝日系列「橋下×羽鳥の番組」にも出演予定です。
 
 毎年のことですが、4月・5月の連休前後は、国会見学のシーズンでもあります。私たちが中学生の頃はバスで京阪神方面に行くのが定番でしたが、今は飛行機で東京というのが主流のようです。世の中随分と変わったのですね。
 初当選以来、できるだけ事務所のスタッフや国会職員に任せることなく自分で挨拶するように心がけています。私自身政治家の家に育ちましたが、父親以外の国会議員を直に見ることは極めて稀でした。中学生たちが国会の仕組みや役割、日本や地域の課題などを直接議員本人から聞くことには、政治を身近に感じる観点からも意味があることと思っています。
 
 都心は風の強い日が多かった1週間でした。4月も下旬、皆様お元気でお過ごしくださいませ。
 

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2017年4月14日 (金)

朝鮮半島情勢、東浜駅など

 石破 茂 です。
 朝鮮半島情勢がにわかに緊迫の度を高めています。懲罰的・報復的抑止力が十分に機能しない、想像を絶する独裁体制の国相手なのですから、予想もしない展開となることを覚悟しなくてはなりませんし、想像力の限りを尽くしてあらゆる事態に対応できる体制を構築しておくことが政府の国民に対する責任です。
 ミサイル防衛の実効性向上、在外邦人退避、日本国内におけるテロ対応、武装難民を含むかもしれない流入難民対策等々、法律・装備・人員・運用すべての面にわたって可能な限りの手立てを尽くすことは当然です。
 あらゆる事態を想定し、心配して心配して対応を考え、結果として「ああ何もなくてよかった」と言えることが危機管理の基本であることを改めて痛感しています。

 イオンの岡田元也社長が取扱商品の値下げにあたって「デフレ脱却はイリュージョン(幻想)だった」と述べています。私は必ずしもそうは思いませんが、物価上昇それ自体を政策目標に掲げることにはある程度の違和感があることもまた事実であり、むしろ賃金の上昇を政策目標に掲げるべきではないかと思っています。社会主義国ではないので政府が命じて賃金が上がるものでもありませんし、政府・与党として経済界に賃金の上昇を要請し、それなりの成果は得ていますが、可処分所得の増大、生産性の向上のための諸政策こそが重要であると考えます。

 12日水曜日、2時間だけ地元に帰り、6月17日より運行を開始するJR西日本のクルーズトレイン「トワイライトエキスプレス瑞風」の停車駅となる山陰本線東浜駅のリニューアルオープンと旧保育園を改装したレストラン「アルマーレ(イタリア語で海浜の意)」のお披露目に参加してまいりました。
 サプライズの形で城崎方面から「瑞風」の車両が入ってきて、出席した人は大喜びでしたし、帰京の飛行機の時間が迫っていたので試食会には参加は出来ませんでしたが、イタリア製の石窯を使って新鮮な海山の幸を焼き上げるイタリアンレストランも、日本海の絶景を臨む最高のロケーションと相俟ってとても期待が出来そうに思いました。
 東浜駅は、私にとっての鉄道の原風景の一つであり、幼稚園児から高校生まで、ひと夏を過ごしたこの地域がとても賑やかだった往時が偲ばれて、感慨深いものがありました。一昨年だったか、交通新聞社から依頼されて小型時刻表に載せた雑文の末尾の文章は東浜駅での思い出を記したものです。

 先週もお知らせしましたが、8日土曜日に岐阜県飛騨市で行われた「おくひだ1号」の復活運転と日本ロストライン協議会の設立総会は期待以上に素晴らしいものでした。あいにくの空模様にもかかわらず、のべ5千人を超える参加者が集まり、10年ぶりに列車が走るという感動を共有しました。尽力されたNP0法人神岡・街づくりネットワークの鈴木進悟理事長や都竹飛騨市長をはじめとする皆様に心より敬意を表します。

 明日15日に久しぶりの新著となる「日本列島創生論 地方は国家の希望なり」(新潮新書)が発売になります。2年間の地方創生担当大臣在任中に感じた思いを記したものです。マスコミは「政治の師と仰ぐ田中角栄元首相の『日本列島改造論』にあやかった題名の本を出版することにより総裁選の支持拡大を狙ったもの」というような、相変わらず政局に絡めた取り上げ方しかしていませんが、大臣を退任した際、在任中に学んだことや新たになった自分の考えを明らかにし、世の批判を仰ぐのも政治に携わる者の大切な務めだと思っています。
 自著のことで誠に恐縮ですが、お目をお通し頂ければ幸いです。

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 週末から週明けにかけては、15日土曜日に自民党とちぎ未来塾第8期開講式で講演(正午・ホテルニューイタヤ・栃木県宇都宮市)、自民党愛知県連日進市支部にて講演(午後5時半・日清市民会館)、日進市支部の方々との夕食懇談会(午後6時・日進市内)。
 16日日曜日は自民党鳥取県連常任総務会(午前11時・鳥取県連)、平成29年さつき会(後援会女性部)春の懇親会(午後1時・ホテルニューオータニ鳥取)ならびに鳥取市商工会合併10周年記念講演会(午後4時・同)にて講演、どんどろけの会(勝手連的支援団体)主催「政治生活30年を祝う会」(午後6時・ホテルモナーク鳥取)。
 17日月曜日は「大竹まことゴールデンラジオ」出演(午後2時25分・文化放送)、自民党茨城県連県政懇談パーティ(午後6時・水戸プラザホテル)、という日程です。
 花冷えが続いていた都心にもようやく暖かさが戻ってきました。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

追記

 今年がJR発足30年ということもあり、最近鉄道に関する取材を多く受けますが、本文で書きました小型時刻表(交通新聞社刊)に載せた雑文は以下のとおりです。
              
 わが思い出の列車
 
 この原稿の依頼を受けた時、真っ先に頭に浮かんだのはかつて山陰線のクイーンであった「特急まつかぜ」と「特急出雲」であった。昭和40年5月号の時刻表を見ると、山陰線を走る特急は「まつかぜ」のみで(浜田・新大阪間の「特急やくも」の運行は同年10月から)、京都・博多間13時間余のロングラン、食堂車を含む堂々13両編成の颯爽たる姿はまさしく「特別な急行」であり、我々子供たちにとっての憧れの存在であった。その姿を見るだけでとても幸せな気持ちになったものだし、数年に一度、乗る機会を得た時は天にも昇る心地であった。
 山陰と東京を直通で結ぶ唯一の列車であった「出雲」は昭和47年春のダイヤ改正で急行から特急に格上げされた。九州路線からの転用ではあったものの、あの優美な20系車両が鳥取駅に滑り込んできたのを見た時、山陰線に本当にブルートレインが走ることがにわかには信じられなかった。あの時の驚きと感動を私は今も忘れない。その年高校進学で上京したものの、東京の雰囲気にどうしても馴染めず故郷が懐かしくてたまらなくなった時、東京駅の東海道線ホームに昇って発車前の「出雲」から聞こえてくる山陰・鳥取の言葉に懸命に耳を傾けたものだった。「ふるさとの訛りなつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」、啄木の歌をまさしく地で行く心境であった。
 昭和61年、衆院議員になって以来、ブルートレイン「出雲」には、平成18年3月のダイヤ改正で廃止されるまで、恐らく最低月に4往復8回、総計1000回以上は乗ったと思う。時には4晩連続で乗ることもあったが、それが少しも苦にならなかった。あの10時間余りの「自分だけの時間」にどれほど救われたことか。好きな本や必要な資料を読み、好みの酒や肴を飲みかつ食し、ウォークマンや個室寝台備え付けのVHS再生機(両者とも今は絶滅状態)で音楽や映画を楽しむひとときは私にとって至福で珠玉の時間であった。「出雲」車中での気分転換がなければ、衆院議員を続けることは出来なかったかもしれないし、今の自分もなかったかもしれない。
 時は流れ、「まつかぜ」は鳥取・益田間を結ぶ「スーパーまつかぜ」として、「出雲」は伯備線経由の「サンライズ出雲」としてその名を残して運行されているが、機能性重視のビジネス列車の性格が強い。私にとっての鉄道は単なる「移動」ではなく非日常性をその本質とする「旅」なのだが、両者とも早くて快適ではあるものの、残念ながらかつての風格や旅情はほとんど感じられない。
 抜けるような青空が拡がり、夏草が生い茂り、蝉の大合唱が聞こえる山陰線の鄙びた無人駅。通過待ちをするSL牽引の普通列車。ホームに降りて待つ私たち子供の前を轟音と共に通過する特急「まつかぜ」。過ぎ去った後にはただ蝉の鳴き声だけが聞こえている・・・あれから半世紀近く。夏が巡ってくるたびにふと思い出されるこの光景が私にとっての鉄道の原風景なのである。


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