本人コメント

2017年4月21日 (金)

引き続き朝鮮半島情勢など

 石破 茂 です。
 半島情勢が緊迫しつつあるため、このテーマでのテレビ出演が増えています。毎回違う話も出来ないので、番組ごとに少しずつ表現を変えているのですが、安全保障問題を少しでもわかりやすく話すのはなかなか難しいものです。
 米国の発するメッセージは、北朝鮮に向けてというより、北朝鮮を緩衝地帯として維持しておきたい中国に対して向けられたものであることは言うまでもありません。
 北朝鮮が戦闘状態になれば、中朝同盟の一方の当事国である中国は関わり合いを持たざるを得ないでしょうし、北朝鮮難民が大量に流入して朝鮮民族独立行動などを起こされてはたまらない。北朝鮮崩壊後、米国の影響下にある統一朝鮮が誕生し、それと直接国境を接する事態になるのも避けたい。そのような思惑で中国が北朝鮮を支えている間に、時間は北朝鮮に有利に働き、とうとう事態はここまで来てしまったのだから、中国が北朝鮮の体制を変更する責任を負うべきであるし、中国がそれをやらないのなら、アメリカが実力を行使してでも体制を変更する。これはそれなりに論理の通ったものであり、北朝鮮を中国の影響下にある「よりましな体制とする」ことをも許容する可能性を含むものと考えるべきでしょう。
 このことは随分と以前からアメリカの当局者たちに対して私が申し上げてきたことではあるのですが、当時彼らはあまり芳しい反応を示しませんでした。
 日本としても、日米同盟の範囲内で圧力をかけるとともに、万が一の事態で被害が及ばないためのミサイル防衛や国民避難・保護、我が国に未だ潜伏していると思われる北朝鮮の工作員による破壊活動の未然防止、難民対策等々を怠りなく講じておくことは当然です。日豪2プラス2で来日中のオーストラリアのビショップ外相、ペイン国防相(どちらも女性)との昨朝の意見交換会でも、この点は意見が一致いたしました。

 先日発売となった拙著「日本列島創生論 地方は国家の希望なり」(新潮新書)はおかげさまで2刷となりました。お買い上げいただいた方、お読み頂いた方、誠に有り難うございます。ご指摘やご批判を頂ければ幸いです。

 週末は、22日土曜日が八頭町立八頭中学校国会見学で挨拶(午前9時・国会内)、富山県総合デザインセンター訪問(午後1時・富山県高岡市)、(株)能作創業100年記念ならびに新社屋竣工式典・工場見学・懇親会(午後1時半・同社・富山県高岡市)、ネット配信番組「みのもんたのよるバズ!」出演(午後9時・テレビ朝日。「朝ズバ!」ではなく「よるバズ!」です)。
 23日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、「ビートたけしのTVタックル」出演(正午・テレビ朝日系列・収録)、鳥取市立鳥取東中学校国会見学(午後3時・国会内)という比較的余裕のある日程で、有り難いことです。
 24日午後11時15分からのテレビ朝日系列「橋下×羽鳥の番組」にも出演予定です。
 
 毎年のことですが、4月・5月の連休前後は、国会見学のシーズンでもあります。私たちが中学生の頃はバスで京阪神方面に行くのが定番でしたが、今は飛行機で東京というのが主流のようです。世の中随分と変わったのですね。
 初当選以来、できるだけ事務所のスタッフや国会職員に任せることなく自分で挨拶するように心がけています。私自身政治家の家に育ちましたが、父親以外の国会議員を直に見ることは極めて稀でした。中学生たちが国会の仕組みや役割、日本や地域の課題などを直接議員本人から聞くことには、政治を身近に感じる観点からも意味があることと思っています。
 
 都心は風の強い日が多かった1週間でした。4月も下旬、皆様お元気でお過ごしくださいませ。
 

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2017年4月14日 (金)

朝鮮半島情勢、東浜駅など

 石破 茂 です。
 朝鮮半島情勢がにわかに緊迫の度を高めています。懲罰的・報復的抑止力が十分に機能しない、想像を絶する独裁体制の国相手なのですから、予想もしない展開となることを覚悟しなくてはなりませんし、想像力の限りを尽くしてあらゆる事態に対応できる体制を構築しておくことが政府の国民に対する責任です。
 ミサイル防衛の実効性向上、在外邦人退避、日本国内におけるテロ対応、武装難民を含むかもしれない流入難民対策等々、法律・装備・人員・運用すべての面にわたって可能な限りの手立てを尽くすことは当然です。
 あらゆる事態を想定し、心配して心配して対応を考え、結果として「ああ何もなくてよかった」と言えることが危機管理の基本であることを改めて痛感しています。

 イオンの岡田元也社長が取扱商品の値下げにあたって「デフレ脱却はイリュージョン(幻想)だった」と述べています。私は必ずしもそうは思いませんが、物価上昇それ自体を政策目標に掲げることにはある程度の違和感があることもまた事実であり、むしろ賃金の上昇を政策目標に掲げるべきではないかと思っています。社会主義国ではないので政府が命じて賃金が上がるものでもありませんし、政府・与党として経済界に賃金の上昇を要請し、それなりの成果は得ていますが、可処分所得の増大、生産性の向上のための諸政策こそが重要であると考えます。

 12日水曜日、2時間だけ地元に帰り、6月17日より運行を開始するJR西日本のクルーズトレイン「トワイライトエキスプレス瑞風」の停車駅となる山陰本線東浜駅のリニューアルオープンと旧保育園を改装したレストラン「アルマーレ(イタリア語で海浜の意)」のお披露目に参加してまいりました。
 サプライズの形で城崎方面から「瑞風」の車両が入ってきて、出席した人は大喜びでしたし、帰京の飛行機の時間が迫っていたので試食会には参加は出来ませんでしたが、イタリア製の石窯を使って新鮮な海山の幸を焼き上げるイタリアンレストランも、日本海の絶景を臨む最高のロケーションと相俟ってとても期待が出来そうに思いました。
 東浜駅は、私にとっての鉄道の原風景の一つであり、幼稚園児から高校生まで、ひと夏を過ごしたこの地域がとても賑やかだった往時が偲ばれて、感慨深いものがありました。一昨年だったか、交通新聞社から依頼されて小型時刻表に載せた雑文の末尾の文章は東浜駅での思い出を記したものです。

 先週もお知らせしましたが、8日土曜日に岐阜県飛騨市で行われた「おくひだ1号」の復活運転と日本ロストライン協議会の設立総会は期待以上に素晴らしいものでした。あいにくの空模様にもかかわらず、のべ5千人を超える参加者が集まり、10年ぶりに列車が走るという感動を共有しました。尽力されたNP0法人神岡・街づくりネットワークの鈴木進悟理事長や都竹飛騨市長をはじめとする皆様に心より敬意を表します。

 明日15日に久しぶりの新著となる「日本列島創生論 地方は国家の希望なり」(新潮新書)が発売になります。2年間の地方創生担当大臣在任中に感じた思いを記したものです。マスコミは「政治の師と仰ぐ田中角栄元首相の『日本列島改造論』にあやかった題名の本を出版することにより総裁選の支持拡大を狙ったもの」というような、相変わらず政局に絡めた取り上げ方しかしていませんが、大臣を退任した際、在任中に学んだことや新たになった自分の考えを明らかにし、世の批判を仰ぐのも政治に携わる者の大切な務めだと思っています。
 自著のことで誠に恐縮ですが、お目をお通し頂ければ幸いです。

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 週末から週明けにかけては、15日土曜日に自民党とちぎ未来塾第8期開講式で講演(正午・ホテルニューイタヤ・栃木県宇都宮市)、自民党愛知県連日進市支部にて講演(午後5時半・日清市民会館)、日進市支部の方々との夕食懇談会(午後6時・日進市内)。
 16日日曜日は自民党鳥取県連常任総務会(午前11時・鳥取県連)、平成29年さつき会(後援会女性部)春の懇親会(午後1時・ホテルニューオータニ鳥取)ならびに鳥取市商工会合併10周年記念講演会(午後4時・同)にて講演、どんどろけの会(勝手連的支援団体)主催「政治生活30年を祝う会」(午後6時・ホテルモナーク鳥取)。
 17日月曜日は「大竹まことゴールデンラジオ」出演(午後2時25分・文化放送)、自民党茨城県連県政懇談パーティ(午後6時・水戸プラザホテル)、という日程です。
 花冷えが続いていた都心にもようやく暖かさが戻ってきました。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

追記

 今年がJR発足30年ということもあり、最近鉄道に関する取材を多く受けますが、本文で書きました小型時刻表(交通新聞社刊)に載せた雑文は以下のとおりです。
              
 わが思い出の列車
 
 この原稿の依頼を受けた時、真っ先に頭に浮かんだのはかつて山陰線のクイーンであった「特急まつかぜ」と「特急出雲」であった。昭和40年5月号の時刻表を見ると、山陰線を走る特急は「まつかぜ」のみで(浜田・新大阪間の「特急やくも」の運行は同年10月から)、京都・博多間13時間余のロングラン、食堂車を含む堂々13両編成の颯爽たる姿はまさしく「特別な急行」であり、我々子供たちにとっての憧れの存在であった。その姿を見るだけでとても幸せな気持ちになったものだし、数年に一度、乗る機会を得た時は天にも昇る心地であった。
 山陰と東京を直通で結ぶ唯一の列車であった「出雲」は昭和47年春のダイヤ改正で急行から特急に格上げされた。九州路線からの転用ではあったものの、あの優美な20系車両が鳥取駅に滑り込んできたのを見た時、山陰線に本当にブルートレインが走ることがにわかには信じられなかった。あの時の驚きと感動を私は今も忘れない。その年高校進学で上京したものの、東京の雰囲気にどうしても馴染めず故郷が懐かしくてたまらなくなった時、東京駅の東海道線ホームに昇って発車前の「出雲」から聞こえてくる山陰・鳥取の言葉に懸命に耳を傾けたものだった。「ふるさとの訛りなつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」、啄木の歌をまさしく地で行く心境であった。
 昭和61年、衆院議員になって以来、ブルートレイン「出雲」には、平成18年3月のダイヤ改正で廃止されるまで、恐らく最低月に4往復8回、総計1000回以上は乗ったと思う。時には4晩連続で乗ることもあったが、それが少しも苦にならなかった。あの10時間余りの「自分だけの時間」にどれほど救われたことか。好きな本や必要な資料を読み、好みの酒や肴を飲みかつ食し、ウォークマンや個室寝台備え付けのVHS再生機(両者とも今は絶滅状態)で音楽や映画を楽しむひとときは私にとって至福で珠玉の時間であった。「出雲」車中での気分転換がなければ、衆院議員を続けることは出来なかったかもしれないし、今の自分もなかったかもしれない。
 時は流れ、「まつかぜ」は鳥取・益田間を結ぶ「スーパーまつかぜ」として、「出雲」は伯備線経由の「サンライズ出雲」としてその名を残して運行されているが、機能性重視のビジネス列車の性格が強い。私にとっての鉄道は単なる「移動」ではなく非日常性をその本質とする「旅」なのだが、両者とも早くて快適ではあるものの、残念ながらかつての風格や旅情はほとんど感じられない。
 抜けるような青空が拡がり、夏草が生い茂り、蝉の大合唱が聞こえる山陰線の鄙びた無人駅。通過待ちをするSL牽引の普通列車。ホームに降りて待つ私たち子供の前を轟音と共に通過する特急「まつかぜ」。過ぎ去った後にはただ蝉の鳴き声だけが聞こえている・・・あれから半世紀近く。夏が巡ってくるたびにふと思い出されるこの光景が私にとっての鉄道の原風景なのである。


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2017年4月 7日 (金)

北朝鮮ミサイル発射など

 石破 茂 です。
 初の道徳教科書の検定において、東京書籍の小学一年生用教科書にある「にちようびのさんぽみち」と題する読み物に登場する「パン屋さん」が「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つという点が足りない」との指摘を受けて「和菓子屋さん」に差し替えられたことが報じられています。なんで和菓子屋さんなら良くてパン屋さんが駄目なのか、どうにも理解が出来ません。
 検定に携わる委員や文科官僚たちがなんらかの意向を「忖度」したのか、彼ら自身もそのような考えを持っているのか不明ですが、違和感を禁じ得ません。戦時中に英語を敵性語として排除し、野球のストライクを「よし」、ボールを「駄目」と言い換えていたことを連想してしまうのは私だけでしょうか。

 東京都議会議員選挙を6月に控え、自民党としては各政策集団(派閥)に対応を指示するなど、党本部として主体的に取り組む体制のようです。まずは各派閥としてそれぞれの所属議員がいる選挙区における都議選候補者の必勝を期すのが順序というものであり、我々水月会としても4人の所属メンバーがいる選挙区での対応を考えたいと思います。
 4年前、幹事長として携わった際も党本部として可能な限り取り組み、民主党に対する大逆風もあって候補者全員当選という成果を得ましたが、今回は昨年の都知事選での敗北に加え、公明党との連携が困難との事情もあって状況が相当に異なります。選挙は追い風でない時にこそ真価が問われるのであり、任期中どれだけ地道な活動をしてきたかが重要です。

 「テロ等準備罪」の審議が昨日から始まりました。
 どうも論点がうまく噛みあっていないような気がしてならないのですが、重大テロから国民を守るとともに、その権利が不当に侵害されないために、捜査機関の恣意を排除し、「何が犯罪となり、何がならないのか」を明確にする罪刑法定主義が機能することを説明するのが最も重要であると考えますし、これこそが民主主義国家における立法府が果たすべき責任です。

 今週もまた北朝鮮によるミサイル発射がありました。北の体制は間もなく崩壊する、と20年以上も前から言われているにも関わらず依然として磐石なのは、皮肉なことに制裁を中途半端に強化するほどに指導者の権威が高まるからだ、とかねてから私は思っています。
 苦しくなるほど「党委員長様の恩寵」の価値は増し、「我々の生活が苦しいのは、米国をはじめとする諸外国が制裁を科しているからであり、制裁をやめさせるためには核とミサイルの開発が必要だ」との身勝手かつ倒錯した理屈がまかり通ることになります。制裁が中途半端なのは北朝鮮を緩衝地帯として維持したい中国の思惑と、民生用と称する物資の移動に抜け穴があるからであり、ここを突き詰めて議論しない限り解はありません。
朝鮮戦争はいまだ、国連軍(実質的には米国)・北朝鮮・中国の間で成立した休戦協定による「停戦状態」なのであって、戦争自体が終結しているわけではありませんし、米国と同盟関係を結んだ我が国も、北朝鮮から見れば明確な敵国として位置づけられているはずです。このリアルな認識を我々日本国民は持つ必要がありますし、それを説明するのが政府・与党の責任です。

 週末から週明けにかけては、8日土曜日が東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設見学(午前11時半・同所・岐阜県飛騨市神岡町)、飛騨市関係者との昼食会(午後1時・同町内)、旧神岡鉄道「おくひだ1号」走行イベント(午後2時・奥飛騨温泉口駅前)、「飛騨市ロストラインフェスティバルin神岡」で講演(午後4時・同町内・同)。
 9日日曜日は、益城復興市場屋台村訪問(午前10時20分・熊本県益城町)、原田五ヶ瀬町長・関係の方々との昼食会(正午・五ヶ瀬町町民センター・宮崎県五ヶ瀬町)、地方創生講演会にて講演(午後1時・同)、政策集団「水月会」宮崎セミナーにて講演・懇親会(午後5時・宮崎観光ホテル・宮崎県宮崎市)、宮崎経済界・宮崎大学の方々との懇談会(午後7時半・同)。
 10日月曜日は宮崎大学地域資源創成学部生との意見交換会(午前9時・宮崎大学)、産学・地域連携センター教員との意見交換会(午前10時半・同)、池ノ上学長・吉田学部長・学生との昼食懇談会(正午・同)という日程です。
 岐阜県神岡町で開催される、保存されていたディーゼルカー「おくひだ1号」が廃線である旧神岡鉄道を10年ぶりに走るという信じられないようなイベントには、鉄道ファンの一人としてワクワクするような思いで参加します。大学における地方創生への取り組みも着実に全国に拡がっており、とても嬉しく思っています。
 
 都心の桜も満開となりましたが、今週いっぱいで見ごろは終わってしまうようです。桜が散る時期には、「ささやかなこの人生」(唄 風 作詞・作曲 伊勢昭三 1976年)が一番似合うように思います。もう40年も前の作品ですが、今も旧さを感じさせない名曲です。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年3月31日 (金)

抑止力など

 石破 茂 です。
 森友事案について世の中の騒ぎは沈静化しつつあるように見えますが、スキャンダルめいた話はともかくとして、行政が適切に執行されたかについては依然として釈然としないままです。コメント欄のご投稿を拝見していると、本当にそうだなと思わされるものが多くありますが、内閣支持率がそう大きくは下落していないにも拘らず、経緯についての政府の説明に納得していない人が国民の7~8割に達しているという事実には注意が必要です。きちんと説明し、今後改めるべき点は改めると率直に言った方が国民の理解と共感が広く得られるように思います。

 国連核兵器禁止条約の制定交渉に我が国は参加しないこととなりました。この交渉に米・露・英・仏・中の核保有国(勿論すべて安保理常任理事国)が参加していないので、日本が参加しても保有国・非保有国の対立を深めることにしかならない、というのがその理由と言われています。
 一方、自民党安全保障調査会・国防部会においては「敵基地に対する反撃能力」を我が国としても保有すべく、政府において検討し、成案を早急に得るよう求める提言をまとめました。
 報復的・懲罰的抑止力(攻撃を上回る報復を受けることが予測されるため、相手方が攻撃を思いとどまる、という抑止力)を持たない我が国としては、これを米国の拡大抑止に依存し、拒否的抑止力(攻撃を加えても所期の目的が達せられないことが予想されるため攻撃を思いとどまる、という抑止力)としてのミサイル防衛システムの実効性向上に努力しているのですが、飽和攻撃(多数の弾道ミサイルの飛来など防御側の処理能力を超える攻撃)を受けた場合など、対応しきれない事態も現状では当然想定されるのであって、あくまで自衛権行使の範囲内で相手の攻撃能力を奪うことは法理論上も当然許容されるものです。

 手段としてはトマホークなどの巡航ミサイルを保有することが考えられますが、バスやトラックを買ってくるのとはわけが違うのであって、米英の運用するこのシステムを我が国が取得できるのか、策源地の位置をどのように把握するのか等々、今後の課題は山積しています。
 防衛庁長官在任時に内々検討はしたのですが、具体化には至りませんでした。あれからもう15年が過ぎましたが、己の力不足を反省するが故に、今後の努力の必要性を強く感じています。

 核兵器禁止に反対する人はほとんどいないでしょうし、私も「核のない世界」を願っています。悲惨極まる広島や長崎の原爆資料館や当時の記録映像を見れば、そう思わない人などいないはずですが、問題はそこに至るプロセスをどうするか、核兵器の持つ絶大な懲罰的・報復的抑止力に代わる実効性ある拒否的抑止力をどのように構築するか、です。殉教的思想を持つテロ国家やテロリストに報復的抑止力は機能しない可能性が高いのであり、実効性ある拒否的抑止力の構築はなおさら必要と言わねばなりません。
 コメント欄でご紹介のあったローマ法王の「我々は核抑止力を乗り越える必要がある」との言葉は確かにそのとおりなのですが、どのようにして乗り越えるのか。我々の悩みは深いものですね。
 
 韓国は前大統領逮捕という事態に至りました。韓国では大統領の任期が一期五年に限られていることも、歴代大統領のほとんどがスキャンダルで終わることと無縁ではないのでしょう。
 大統領制と議院内閣制にはそれぞれ一長一短がありますが、国民感情が激しやすい国においては議院内閣制の方がよりリスクは低いのかも知れません。北朝鮮情勢が不穏である今の時期に、韓国がこのような情勢であることと、駐韓日本大使がいまだに帰任していないことには憂慮の念を持たざるを得ません。

 私は全く知らなかったのですが、「昨年最も読まれたWebマンガ」に選出された「四十七大戦」(泰文堂刊 一二三〈ひふみ〉作)という漫画があり、紹介して下さる方があってパラパラと読んでみました。
 帯には「都道府県擬人化 首都争奪戦バトル! 日本の首都鳥取に!?」、書き出しには「鳥取県。極東の島国日本の最果てに存在する世界でも類を見ない秘境である。不用意に足を踏み入れた者は不毛の砂漠に絡めとられ、生きては帰れないという」とあり、いくらなんでもあんまりだと思わずにはいられませんが、とにかく四十七都道府県それぞれにいる「ゆる神」様たちが首都争奪戦を繰り広げ、最後は鳥取県が日本の首都になるという奇想天外な物語のようです。相当にデフォルメされてはいるものの、各県の特色がよく描かれており、こういう地方を題材とした漫画が若い世代に多く読まれていることをとても興味深く思いました。

 週末は、日本製鋼所室蘭製作所訪問(4月1日土曜日 午前10時30分 北海道室蘭市茶津町)、ジビエ移動解体車見学(午前11時45分・中嶋神社)、自民党室蘭支部との昼食懇談会(正午・同)、自民党北海道9区支部室蘭地区政経セミナーで講演(午後1時・同・蓬莱殿エクセレントホール)。
 週明け3日月曜日は自民党沖縄第3区支部講演会にて講演(正午・ニューサンワ・沖縄県うるま市)、という日程です。北海道から沖縄まで、日本は広いですね…
 明日から4月、先週末から思いがけず寒の戻りとなっていた都心もようやく春めいてきました。
 季節の変わり目、皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年3月24日 (金)

G1サミットなど

 石破 茂 です。 
 23日木曜日に、参議院に引き続き衆議院予算委員会で籠池森友学園理事長に対する証人喚問が行われ、私も予算委員として現場で質疑を聞いておりました。
 誰が虚偽を述べているのか、証人が偽証罪にも問われる可能性のある証人喚問という場を自民党主導で設定したのですから、真実が明らかにされ、安倍総理、昭恵夫人、政府関係者が述べていることが正しいという確証を国民が持つように最大限努力するのが与党の務めでしょう。あまりにも当然のことであり、「政権の足を引っ張るのか」などと短絡的に反応するのは的外れとしか思えません。
 我々、立法府や行政府に籍を置く者は、常に納税者や消費者の立場を忘れてはなりません。今回国が負わないとした瑕疵担保責任(売買の目的物に通常の注意では発見できない欠陥がある場合に売主が負うべき賠償責任・民法561条以下)は消費者保護の観点を含むものですし、財政法は財産の共有者でもある国民や納税者の立場から「国の財産は適正な対価なくして譲渡や貸し付けをしてはならない」(第9条)と定めています。これらの趣旨からすれば、今回の一連の行政の対応は、違法ではないと思われますが、極めて異例であるようには感じます。

 21日春分の日に、久しぶりに参加したG1サミットのパネルディスカッションでは、安全保障分科会で神保謙・慶大教授、津村啓介・民進党衆院議員、小原凡司・東京財団研究員と、地方創生分科会では鈴木英敬・三重県知事、阿部守一・長野県知事、末松弥奈子・ツネイシホールディングス専務とご一緒させて頂きました。
 パネル自体はそう長い時間ではなかったのですが、核心的・本質的な議論が出来たように思います。基本的な知識を共有し、空想的ではなく現実的な議論が展開できる方々との時間はとても充実していて楽しいのですが、翻って国会は…我々は更なる努力が必要ですね。
 GIサミットの会場となったルスツリゾートは、東京ディズニーランド、ディズニーシー、ユニバーサルスタジオジャパンに次ぐリゾート施設なのだそうです。新千歳空港から車で一時間半もかかるのが難点のように思うのですが、リゾート地とは本来そういうものなのかも知れません。G1サミットは「日本版ダボス会議」を目指しているものですが、スイスのダボスがそうであるように、そう簡単には行けず帰れない地で開催し、日頃の仕事を離れて濃密な議論を行うことには大きな意義があると思います。

 今週の政策集団「水月会」勉強会は「医学の勝利が国家を滅ぼす」(新潮新書)の著者である國頭英夫・日本赤十字社医療センター化学療法科部長の「サトゥルヌス(古代ローマの農耕神。英語ではサターン。ゴヤの絵画『我が子を喰らうサトゥルヌス』は有名)」と題する講演で、とても刺激と示唆に満ちたものでした。この本は是非ご一読をお勧め致しますし、皆様のご意見をお寄せ頂ければ幸いです。
 國頭部長は本書を「里見清一」のペンネームで著しておられますが、これは山崎豊子氏の「白い巨塔」で描かれている良心的な医師・里見脩二に因むものだそうです。この小説も実に考えさせられる内容の深いものでした。

 週末は、25日土曜日が自民党石川県連珠洲支部政経セミナー(午前11時・珠洲商工会館)ならびに自民党輪島支部能登半島地震復興10周年講演会(午後2時・輪島文化会館)にて講演。
 26日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、地域交流館みほふれ愛プラザ施設見学、同竣工式にて挨拶(午前9時半・茨城県稲敷郡美浦村)、自民党兵庫県連宍粟市支部・春名哲夫県議会議員主催の講演会にて講演(午後4時・宍粟防災センター)、竜友会OB会懇親会(午後7時・鳥取市内)という日程です。
 
 東京都心は全国で一番早い桜の開花宣言となりました(標準木は靖国神社のソメイヨシノ)。満開となるのは4月1日とかで、まだとてもそんな感じではありませんが、もうしばらくするとお花見の時期となるのですね。
 まだ当選一、二回の頃、当時住んでいた九段議員宿舎近くの千鳥ヶ淵に夜桜見物に行った時のことが懐かしく思い出されます。毎年この季節になると荒井由実の「花紀行」(1975年)や麗美の「花びらの舞う坂道」(作詞・田口 俊 作曲・荒井由実 1985年)を無性に聴きたくなります。若い世代の方はご存じないかも知れませんが、とても素敵な作品です。
 来週末はもう4月、皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年3月17日 (金)

森友事案など

 石破 茂 です。
 奇怪な「森友事案(事件ではなく)」で今週も国会は混乱気味でした。火曜日の衆議院本会議における民進党議員の質問などを聞いていると、ただ感情的に絶叫するばかりで、あれでは議論は全く深まりませんし、本来の議題である物品役務相互提供協定(ACSA)には付け足し程度に触れるだけで、時間のほとんどを森友事案に費やしていたことも不見識と言わざるを得ません。
 
 本案件について、国民のほとんどは「何が何だかよく理解出来ない」というのが実感のように思われます。
 政府としては「何故今回、国は瑕疵担保責任を負わなかったのか」「ゴミの除却費用の算定をどのように行ったのか」「森友学園側が除却を適正に行ったか否かの検証はどのように行われるのか」などについてわかるように説明しなくてはならないでしょう。
 政府が「委員会ではきちんと説明している」といくら言っても、どんなに説明しても、理解が得られなくては疑問が増すばかりで、説明していないのと同じことになってしまいます。私自身、国民に対して得心のいく説明をしたいと思っているのですが、現時点でその域には達しておりません。与党議員がこんなことではいけないと自戒を込めて思っています。
 政治家の関与があったかも大事ですが、まずは一つ一つの事実の解明が優先されるべきです。政府を支える立場の与党こそがその責を負わなくてはならず、「自民党は逃げている」という印象を国民に持たれることは断じて避けなくてはなりません。
 来週23日木曜日には、衆・参の予算委員会において籠池氏の証人喚問が行われる予定です。場合によっては同氏が偽証罪にも問われる極めて効果のあるものとは思いますが、何をもってして「偽証した」と告発し得るのか、議院証言法のコンメンタールや判例の解説をよく読んでみなくてはなりません。

  私は籠池氏なる人に会ったこともありませんので論評する立場にはありませんが、私が覚える違和感の最大の所以(ゆえん)は、彼ならびに親族の不可思議な言動ではなく、「このような人が保守を名乗るのか」という一点に尽きます。
 故・江藤淳氏は著作「保守とは何か」(文芸春秋刊・平成8年)の中で「保守主義というと、社会主義、あるいは共産主義という主義があるように、保守主義という一つのイデオロギーがあたかも存在するかのように聞こえます。しかし、保守主義にイデオロギーはありません。イデオロギーがない、これが実は保守主義の要諦なのです」と述べておられますが、そのとおりだと思います。この本は自社さ連立政権時代に書かれたものですが、今読んでも示唆に満ちています。
 イデオロギーがないが故に、保守主義は奥深くかつ内省的なものであり、反中国や反韓国を唱えることが保守なのではない、というのは先般も申し上げた通りです。

 自衛隊の日報問題も、事実の早急な解明が最優先であることは論を俟ちませんが、文民統制の名のもとに政治家や官僚たちが制服自衛官たちにあまりに高圧的な姿勢で臨むべきではありません。
 実力組織は単に権威や権力で統制は出来ないのであり、法律・装備・運用・人員について可能な限りの知識を持つとともに、自衛官や家族の皆さんの共感と信頼を得る努力を最大限にすべきです。
 私自身、在任中精一杯の努力はしましたが、足らざるところは極めて多かったと反省しております。
 しかし同時に、誰が大臣であろうとも国の独立と国民の生命・身体を守るため、全力でこれを支えるのが組織というものであって、仮に感情でこれを怠るようなことがあれば、それは国家国民に対する背信行為です。
 文民統制は統制する側もされる側も、常に強い自覚と責任を持たなくては機能しないものです。
 「警察は政府に隷属し、軍隊は国家に隷属するのであり、同じ実力組織でありながら警察に文民統制の概念が存在しないのはその故である」というような論に以前接したことがあります。この論をすべて肯定は出来ませんが、文民統制の本質を含んでいるようにも思ったことでした。

 3月11日に米子市で開催した自民党鳥取県連主催「憲法改正を考える県民集会」は島根県連のご協力も得て2000名を超える方々にお集まりを頂き、ひとまずの成功を収めることができました。開催に当たってご尽力くださった安田優子県連幹事長はじめ関係の皆様に心より感謝致します。
 自民党が本当に憲法改正を目指すのであれば、47都道府県連においてこのような会を開催し、所属国会議員がその思いを述べ、広く党員から意見を聴いて理解を広げるべきです。
 憲法について議論することは国のあり方そのものを考えることに繋がります。政治の側から積極的・能動的に動かなくては憲法改正の機運など高まることはあり得ません。それもしないままに「国民の関心が薄い」などと言うのはエクスキューズに過ぎません。

 第9条ばかりが取り沙汰されますが、第6章「司法」についても改正の必要性を強く感じます。総選挙の際に最高裁判所裁判官の国民審査が行われますが、一体どれだけの人がその名前と経歴、彼らがどのような裁判においていかなる立場を採ったのかを実際に知っているのでしょうか。圧倒的多数の人が何も知らないままに不信任の×印を付けることなく投票しているというのが実態ですが、これこそ形骸化の典型ではないでしょうか。
 自民党憲法改正草案では、国民審査の方法は憲法に定めず、法律でこれを決めることとしています。
 最高裁裁判官は内閣の任命によることとなっており(長官は天皇陛下のご認証を要する)、時の内閣の意向がどうしても反映されがちになるでしょう。三権分立をより実効あらしめる観点からも、審査の方法に加えて国会の関与についても議論し、より良いものとする点があるように思います。
 これらの憲法の議論につき、15日水曜日の水月会勉強会における門山宏哲代議士(比例南関東・千葉一区)の講演やその後の質疑はとても有意義なものでした。

 週末は、18日土曜日が「石破茂君を囲む会」にて講演、その後懇親会(午前11時・リーガロイヤルホテル大阪)。
 20日春分の日は第9回G1サミット第9部分科会A「日本の防衛政策 東シナ海・北朝鮮の脅威にどう対抗すべきか」、第10部全体会「地方創生 政府・自治体・企業の役割とは」にパネラーとして出席(午前8時~ ルスツリゾート北海道 北海道蛇田郡留寿都村)という日程です。
 党役員や閣僚在任中はG1サミットにはなかなか参加できなかったので、今回はとても久しぶりです。
 
 寒の戻りで、東京都心はとても寒い日が続きました。皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2017年3月10日 (金)

北朝鮮ミサイル発射など

 石破 茂 です。
 今般の北朝鮮のミサイル発射については、突然「新たな段階に入った」ものではありません。北朝鮮を中国と西側の緩衝地帯と位置づけ、当面の現状維持をよしとしている間に、時間は北朝鮮に有利に働き、今日の状況となりました。
 ロフテッド軌道で発射された場合の高速落下、多数集中発射、潜水艦からの発射、米国本土までの到達(在日米軍でもハワイでもグアムでも本質は変わりません)、それらの技術は着々と進歩しつつありますが、どのように、いつまでに、これらに対応するのかは一にかかって政治の責任です。
 すべてを国会の場で議論できるものではありませんが、巡航ミサイル、弾道ミサイル、新たな迎撃システムなどの導入の可否について徹底的な議論を行い、結論を得なくてはなりません。防衛力の造成には多大の時間と費用が掛かるのであり、乗用車やトラックを買うようなわけにはいかないことも十分に留意が必要です。
 かつて小泉内閣で、鴻池防災相(当時)が「日本がミサイル攻撃を受けたら、北朝鮮を火の海にする」というような意味の発言を委員会で行った際、当時防衛庁長官であった私は「他に手段が無い場合、策源地攻撃は法理的に否定されないが、自衛隊には現状そのような能力は与えられていない。基地の所在もわからず、空中給油能力も十分ではないままに作戦を命ずることはできない。今後、自衛隊に策源地攻撃能力を与えるかどうかは政治の判断である」との旨を答弁し、あれから15年が経ちました。
 7日火曜日に日本プレスセンターで行われた安全保障についてのパネルディスカッションに杉山外務事務次官、黒江防衛事務次官らと共にパネラーとして参加したのですが、なお課題の多いことを痛感させられたことでした。

 韓国の憲法裁判所による朴槿恵大統領の罷免は、我が国のみならずアジア・太平洋地域の平和と安全に多大な影響を与えます。60日以内に行われる大統領選挙では非保守系の候補者が当選する可能性が極めて高いと見られており、親北朝鮮政権の誕生が懸念されます。この点に関しても我が国において、中国が強く反対するTHAADミサイルの韓国配備を含む、北東アジア地域全体のミサイル防衛の実効性向上につき、精緻な議論をしていかなくてはなりません。

 私はテレビを見る時間がほとんど無いのですが、世の中は森友学園の話題で持ちきりのようです。本件は国の独立や平和には関係のない事案であり、この案件で国政が混乱することも、政府・与党が疑惑を持たれることも避けなくてはなりません。国民に「逃げの姿勢」と受けとられることのないよう、野党に指摘されるまでもなく、徹底解明する責務を有していると考えます。

 週末は、11日土曜日が自民党鳥取県連憲法改正推進本部主催「憲法改正を考える県民大会」での基調講演(午後1時半・米子産業体育館)。
 12日日曜日が第7期岡山市民大学in福山で講演。
 両日とも前後に関係者や地域の方々との会食・懇談会等が予定されています。

 党本部の指示により、各都道府県連に憲法改正推進本部が設置されましたので、鳥取県連としては広く県民に対して憲法改正の必要性をご説明し、それぞれのご意見を聞いて世論を喚起したいと思っております。地道な努力なくして憲法改正など到底出来るものではありません。
 国家主権が無い占領下において作られたものであるために、独立を守る組織たる「軍隊」についてのみならず、「国家」に関わる規定が決定的に欠けていることについてはよくご理解を頂きたく、更に努力を重ねたいと思っています。当日は東日本大震災・大津波・原発事故から6年、会は黙祷から始めます。

 先月27日に衆院で予算が通過しましたため、今週は気分的に少し余裕も出来ましたが、月曜日に高知県で全国の地方創生に携わる大学関係者の会で講演、水曜日に静岡県で地元金融機関主催の講演会など移動の多い一週間でした。
 各地に出向く度に、自分の知らない地域、知らない方々や物事があまりに多いことに気付かされます。

 先週末いわき市に向かう途中に臨時停車した水戸の偕楽園では梅が満開でした。もう桜の季節となるのですね。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。
 

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2017年3月 3日 (金)

水産講演、ユニバーサル社会形成推進法など

 石破 茂 です。 
 大阪府豊中市の「森友学園」の国有地格安払い下げの件は、何とも言えない奇怪な雰囲気を感じます。国民の財産である国有地が、鑑定価格からゴミ除却費用とされる8億3千2百億円も割り引かれて1億3千4百万円で売却されることなど、一体どこで誰がいかなる権限に基づいて決めたのか。ゴミ除却にかかる費用はどのように算定され、十分にそれが行われなかったとすれば、この不当な利得はどうなるのか。学園が我が国に支払った額は僅か2百万円とも指摘されており、素朴に考えてもわからないことだらけです。

 国家権力が教育現場に過度に介入すべきでないことは当然ですが、学校教育法に「学校」として位置付けられ、教育基本法において政治的中立性が定められている幼稚園において、あまりに偏った教育を施すべきではないことは当然でしょう(「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治活動をしてはならない」教育基本法第14条第2項)。園児たちに対する教育を映像で見る限り、たいへんな違和感を覚えます。
 現政権を支持しているからよいのだという考えも一部にはあるのかも知れませんが、反対の立場に立つ教育が行われたとしたらこれを認めることには到底ならないでしょう。教育内容についての指導の権限が都道府県に降りているとしても、政府・文科省からも大阪府を通じて是正を指導するなどは考えられないのだろうかと思います。野党に言われるまでもなく、政府・与党としてこの問題の真相を明らかにするのは国民に対する責務です。

 私はかなり以前から、「保守」はイデオロギーではなく「雰囲気」であるという江藤淳氏的な考えに共感しているのですが、「保守」があたかも共産主義風に変質しつつあることには強い違和感を覚えます。中国や韓国をただ罵倒することが保守なのだとは思いません。
 保守論壇誌「諸君!」(文芸春秋・現在休刊中)や「正論」には、福田恒存氏らを中心とする静かで深みのある論説が多く載せられていたのですが、いつからか声高で強烈な主張を中心とする論説が中心となり、読む楽しみが減ってしまいました。かつて三島由紀夫は「反共に明け暮れていると段々と相手に似通ってきてしまう」と語っていたそうですが、確かにそのような面があります。
 このような時、すべての国民とすべての国々の人々に、深い慈愛のお心を持って接してこられた天皇陛下のご存在が、この上なく有り難く思われてなりません。ベトナム残留日本兵の家族のことを今回のベトナムご訪問の前にお知りになり、特に面会を希望されたというお心にはただただ恐懼するばかりです。

 先月28日火曜日、水産経済新聞社主催によるセミナーで今後の日本の水産業について講演してまいりました。長く議員を務めていますが、水産政策に絞った講演は初めてで、とても勉強になりました。
 世界第6位の排他的経済水域を有し(海水の体積では世界第3位)、寒流と暖流が交わる豊かな漁場を持つ我が国において何故水産業が衰退し続けるのか。水産業が成長産業と位置付けられる米国、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーなどとはどこがどのように違うのか。
 以前もご紹介した羽田空港内で日本初の鮮魚加工センター「羽田市場」を運営するCSN地方創生ネットワークの野本良平代表が語っている「魚が一番売れる日曜日に漁師と卸売市場が休んでいるのは消費者やマーケットを見ていないと言わざるを得ない」「年末年始や大型連休などの一年で一番稼げる時期に休むということ自体、感覚に大きなズレがある」「これからの漁業は『どれだけたくさん獲るか』ではなく『獲った一匹をいかに高く売るか』である」という言葉に本質があるように思います。
 これは農業においても同じことで、農業生産額が世界第7位である日本の農産物輸出額が、何故オランダ、ドイツ、フランス、イタリア(土地利用型農業のアメリカやカナダなどではなく)よりも遥かに低いのか。それらの各国はEU経済圏なので、日本であれば「移出」にあたるものが「輸出」にカウントされるからだ、との論にはそれなりの説得力もありますが、いずれにせよ子細な検討が必要です。

 本日の自民党内閣部会において、私が会長を務める自民党ユニバーサル社会推進議員連盟が今国会に議員立法として提出を予定している「ユニバーサル社会形成推進に関する法律案」の骨子が了承され、今後公明党、野党各党との協議に入ります。
 当選4回の時、衆議院運輸常任委員長や筆頭理事として駅や空港などの公共交通機関にエスカレーターやエレベーター等の設置を推進する「移動等円滑化法」(バリアフリー法)の策定に関わった時からの繋がりですが、当時「車椅子に乗って、羽田空港から京浜急行を使って品川プリンスホテルまで行く」という体験を実際にしてみて、障害を持たれた方々のご苦労を全く実感していなかった自分を大いに恥じたことでした。
 ユニバーサル社会とは「障害の有無、年齢等に関わらず国民一人一人が対等な社会の構成員として自立し、相互に人格と個性を尊重し合いながら支え合う社会」と定義されます。障害を持たれた方のみならず、すべての人は何らの不自由を感じることなく活動できる権利を有しており、それに応えるのが行政の義務なのですが、日本はまだそれに程遠いのが実情です。
 議連事務局長として法案作成に尽力して下さっている盛山正仁衆院議員(兵庫県第一区・近畿比例)に心より感謝しております。

 週末は、4日土曜日がいわき青年会議所3月例会で「人口減少社会と地方創生」をテーマとする講演と理事長との対談(午後4時・いわき文化センター)、自民党鳥取県連党大会参加者との懇談夕食会(午後8時・東京都内)。
 5日日曜日は第84回自民党定期党大会・懇親会(午前10時・グランドプリンスホテル高輪)、という日程です。

 2月中はずっと体調が悪くて辛い日々が続き、多くの方にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。ようやく少し回復してきましたので、気分を入れ替えて臨みたいと思います。
 3月に入り、今日はお雛祭りとはいうものの、都心は風の冷たい日々が続いています。
 皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年2月24日 (金)

予算委員会質疑など


 石破 茂 です。
 衆議院での予算審議は、地方公聴会・中央公聴会も終えて来週月曜日には委員会での採決後本会議で可決されて予算案は参議院に送付される見通しです。
 噛み合わない議論や、小学校の学級会の如き野党と政府側の感情的な応酬にうんざりする中で、中央公聴会における公述人の意見陳述はなかなか聞きごたえのあるものでした。中でもBNPパリバ証券投資調査本部長の中空真奈女史の陳述は、実務に通暁した人ならではのもので、高橋洋一陳述人との対称もとても印象的でした。ネットでご覧になれますので一見の価値ありと思いますが、議員と政府側のやり取りもこのように中身の濃いものであればどんなに良いことかと思いました。

 最近、閣僚答弁に原稿棒読みのものが目立つようになったことはとても残念です。確かに失敗も無く安全ではありますが、官僚たちが書く霞が関文学的な答弁案は、正確を期すあまりに面白くもなんともなく、そのまま聞いただけでは何が言いたいのかよくわからないように作成されています。
 これを事前に丹念に読み込んで咀嚼し、自分の言葉に置き換えて原稿を見ないで答弁してこそ初めて相手側に伝わるのであり、その技術向上に政府・与党全体として更に努めるべきものと思います。
 もっともこれはこれで答弁する側にとっては大変な負担です。質問が出揃うのは往々にして前日夜遅く、官僚たちが徹夜で答弁資料を作成してそれが出来上がるのが午前4時過ぎ、これが議員宿舎などに居る大臣の手元に届くのが午前5時、午前7時からの答弁打ち合わせで直すべきところを指示して、原稿が最終的に完成するのは午前9時の委員会開会直前というのが通例ですから、国会開会中は大臣たちは全く時間的・心理的余裕がありません。せめて質問通告がもう少し早ければもっときちんとした答弁が出来、充実した審議になるのに、と思うのですが、なかなかうまくいかないものです。

 先日の北朝鮮のミサイル発射の折、訪米中でトランプ氏の別荘に滞在していた総理大臣の緊急会見の横にトランプ大統領が立ち、日本政府を断固支持する旨の発言をしたのですが、「日本を支持する」という部分は原文では「stand behind Japan」であって、日本語訳とは微妙にニュアンスが異なります。「日本がまず第一義的に対応し、米国はこれを背後で支える」。behindという言葉使いはそのような含意ではないでしょうか。
 日米安保条約もその書き方はNATO条約などとは微妙に異なっています(NATO条約では米国の対応につき「will assist」となっているが日米安保条約では「would act」など。この点はかつて外務委員会で当時の田中真紀子外相に質問したのですが、当然ながら全くまともな答弁は返ってきませんでした)。
 安全保障についてもっとまともで真剣な議論をしなくてはならないことを、今日の毎日新聞佐藤千矢子論説委員のコラムを読んで痛感したことでした。

 本日の自民党憲法調査会は、上田健介近畿大学法科大学院教授の「参政権の保障を巡る諸問題 投票価値の平等から両院制まで」と題する講演と引き続いての質疑でした。
 参議院の一票の価値を論ずるには参議院の在り方そのものに踏み込んだ議論が必要であるという同教授の所論は全くその通りで、これをスルーして結論を得ることは出来ないと思っています。
 二院制の妙味はその持つ役割が異なることにこそあるのであって、二院が酷似した選挙制度と役割を有していては、妙味どころか弊害の方が目立ちます。議院内閣制を採る以上、権力を持つ政府とこれをチェックするべき議会の関係は曖昧となり、政府のポスト目当てに権力に隷属する議員が出ることを完全に否定できません。
 首班指名に優越性を持つ衆議院はともかく、参議院は権力とは一線を画したインディペンデントな院として見識の高い議論をすべきですし、地方代表の持つ意味を強調するなら地方に関することについては主に参議院で議論をするような工夫も出来るはずです。合区解消のみならず、衆・参でのねじれが生じ、政権が不安定になることを避けるためにも、この議論に結論を出すことが必要です。

 今日は「プレミアム・フライデー」とやらで、15時には仕事を終えるようにとのお達しです。
 趣旨はわからないでもありませんが、果たしてうまくいくのでしょうか。かつて銀行に勤めていた時も「早帰り日」や「定時退行日」なるものがあったのですが、一部行員はその恩恵に浴しても、管理職などはかえって帰りが遅くなるという事態が発生したことをよく覚えています。世の中はとかく不公平に出来ていて、仕事が集中する人にはさらに集中するという負の側面を無視してはなりません…などと言うのは能率的に仕事がこなせず、「断る勇気」を持たない私の僻みなのかも知れませんが。

 週末は、25日土曜日が金沢市自民党国政報告会で講演(午前9時半・内山公民館、午前11時・医王山農村環境改善センター)。
 26日日曜日がKAB熊本朝日放送フォーラム2017 「地方創生と熊本 熊本県復興・再生に向けての活路を探せ」でパネルディスカッション(12時半・熊本テルサ・テルサホール、テクノ仮設団地見学(午後3時45分)、阿蘇大橋崩落現場視察(午後4時45分)、熊本県知事など行政関係者・自民党熊本県連との夕食懇談会(午後7時・熊本市内)。
 27日月曜日は被災地の視察や御船町議会での講演後に帰京の予定です。

 風邪が完全に治りきらないままに無理を重ねたためか、昨日あたりから体調が再び極めて悪くなりました。治癒力も確かに落ちているのでしょうね。
 不安定な天候が続きます。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2017年2月17日 (金)

日米首脳会談など

 石破 茂 です。
 日米首脳会談は互いに信頼関係を構築したという意味で、スタートとして有意義なものであったと思います。イラク・イランなど7か国からの入国拒否について何か言うべきであった、とのご意見もありますが、そもそも難民や移民の受け入れについて欧州とは異なる姿勢を採る我が国がそのようなことを言う立場にもありません。
 尖閣が日米安保条約第5条の対象となることが文書に明記されたことは一定の前進と評価すべきですが、かねてから申し上げている通り、某国からの武力攻撃に対しても、ましてや海上民兵による武力によらない占拠に対しても、いきなり米軍が出てくることなどあり得ません。海保、警察、海自、陸自等がいかなる権限でどのように対処するのか、法制・装備・運用の側面から精密に詰めて、平素から政治サイドも含めた訓練をしておくのは日本政府の責任であって、「尖閣が日米安保第5条の適用となることが明記された。よかった、よかった」などといって思考停止になってしまうことが断じてあってはなりません。
 本来これは一昨年の安全保障法制論議において「グレーゾーン事態」として議論し、結論を得るべきことであったにも拘らず、「警察と軍の(権限争いの)百年戦争にこれ以上突っ込んだら大変なことになる」(検証 危機の25年 勝俣秀通著 並木書房刊)とのよくわからない理由で先送りになってしまったものです。
 このような思考停止、先送りのツケは必ず我が国の独立と平和を脅かす形で廻ってきます。警察権の行使から自衛権の行使への移行は信号が赤から青に変わるような単純な話ではありません。領域警備の法制整備について自民党で党議決定していたのですから、議員でいる限り、決して諦めることなく実現に向けて最大限の努力をすることが私の責務と心得ます。

 衆議院予算委員会は、今週も防衛大臣・法務大臣に対する質疑が続きました。
 「法的に『戦闘行為』とは国家若しくは国家に準ずる組織の間において、国際紛争の一環として行われる武力を用いた争いのことであり、そうではない主体の間において行われるものは『武器を用いた衝突』であって『戦闘行為』ではない」という、イラク特別措置法において行われた議論と全く同じものなのですが、どうしてまた蒸し返されるのか、理解が出来ません。
 これは言葉の定義の問題であって、その認識に齟齬があるとどこまで行っても議論は噛み合いません。
 それぞれの用語の定義は以下の通りです。
【戦闘行為】 国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し、または物を破壊する行為。
【国際的な武力紛争】 国または国に準ずる組織の間において生ずる一国の国内問題に止まらない武力を用いた争い。
【一環として】 人を殺傷しまたは物を破壊する行為がこのような「国際的な武力紛争」の一部を構成していること。

 仮に暴力団同士が繁華街において機関銃で撃ちあい、新聞やテレビが「武力闘争」「市街戦」と報じたとしても、それが「国際紛争」とは評価されないのと同じことですし、機関銃が更に破壊力の大きな武器に代わっても本質は何も変わりません。
 要は衝突の「主体」が誰であるかに着目した概念なのであって、それが日本国憲法第9条によって禁ぜられている「国際紛争」(国または国に準ずる組織の間で行われる領土などを巡る武力を用いた争い)の主体、すなわち国または国に準ずる組織(「国」とは一定の排他性を有する領域、帰属意識を共有する人々、確立した統治形態の3要素を有するものをいう)でない限り、互いの衝突は法的に「戦闘行為」とは評価されないのです。
 なお、これは「危険か否か」とは何の関係もありません。「戦闘」が行われていなくても「危険である」状況は当然にあり得るのであって、任務遂行や隊員の安全確保に支障が生ずるような事態となれば、活動の休止や撤収も行うこととなります。
 …と書いてみても、何が何だか、さっぱりわからないという方も多いことと思います。これが日本の防衛法制が「ガラス細工」のように精密だが「増築を重ねた温泉旅館」のようにわけがわからず理解困難と言われる所以でもあることも十分に承知しています。そうであるからこそ、説明には誠心誠意、あらゆる工夫を尽くさなくてはなりません。
 2004年の党首討論において小泉総理が「自衛隊の行く地域は非戦闘地域である」と発言され、防衛庁長官としてフォローに追われた日々のことを思い出しました。

 マレーシアにおける金正男氏の殺害は、北朝鮮(というより金正恩独裁体制)の持つ恐ろしさをまざまざと見せつけるものでした。
 「ロイヤルファミリー」の一員である金正男氏が韓国にでも亡命されて大打撃となる前に殺害した、保護していた中国が警護をつけなかったのは同氏の利用価値を見限ったからだ、という説もありますが、体制維持の邪魔になるものは悉く抹消するという方針は確固たるものであり、その対象はすべてに及ぶということなのです。
 国際社会、とりわけ関係各国が「緩衝地帯としての北朝鮮」という位置づけをしている間に着々と力をつけつつある北朝鮮に対する認識を改める必要性を感じます。

 週末は18日土曜日が協同組合鳥取卸センター創立50周年記念式典・記念講演で講演・祝賀会(午前10時・鳥取卸センター組合会館)、因幡地区郵便局長会懇親会(午後1時・鳥取市内)、自民党鳥取県連街頭演説会(午後1時~ 鳥取駅前)、平成29年度日本自動車販売連合会鳥取県支部通常総会(午後4時・鳥取市内)、自民党倉吉市社支部講演会にて講演(午後6時・JA鳥取中央)。
 19日日曜日は自民党鳥取県連国会議員合同新春懇談会(午前10時・米子ワシントンホテルプラザ、午後1時半・倉吉シティホテル、午後4時半・ホテルニューオータニ鳥取)、国会議員と鳥取佳友俱楽部理事との懇談会(午後6時半・鳥取市内)という日程です。

 先週4日土曜日の誕生日や、14日の恒例行事には、多くのお心遣いを頂き、誠に有り難うございました。厚く御礼申し上げます。
 今月もはや半ばとなりました。地元鳥取市は34年ぶりの大雪となりました。私が子供の頃はあのような雪はそう珍しくもなく、スキーに行ったり、かまくらを作ったりと雪国らしい冬の日を楽しんだものでしたが、今の立場では様々な被害対策を講じなくてはなりません。
 2月もはや後半、春も間近です。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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