本人コメント

2019年1月11日 (金)

年末年始など

 石破 茂 です。
 明けましておめでとうございます。旧年中は何かとお世話様になり、誠に有り難うございました。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
 平成の御代も最後の年となります。よく心してあらゆる事柄に臨んでまいります。

 年末年始は大晦日早朝の民放番組生出演から始まり、地元での番記者有志との忘年会、元旦午前零時から「どんどろけの会」メンバーとの新春事務所前挨拶、午前5時から実践倫理宏正会元朝式、午前8時から宇部神社初詣、自民党国府町支部新年祝賀会と例年通りのスケジュールをこなしました。

 熊本を中心とする震災で被害を受けられた方々に心からお見舞い申し上げます。
 最近のニュース番組において「・・・であることが関係者への取材によりわかりました」との報道が多いことに違和感を覚えているのは私だけなのでしょうか。このほとんどは「関係者」によるリークに基づくものなのでしょうが、取材源は秘匿しなければならない、という大原則に守られた「関係者」は何ら責任を負うことなく一方的に情報を流し、もう一方の当事者の立場や主張は同列には扱われない。もし仮に「関係者」が国家権力に近い側でありせば、それとメディアが一緒になって世論や心証が形成されていくのはかなり危険なことのように思われます。

 日産の一連の問題についても、基本的なところで疑問が多々あります。
 金融証券取引法の有価証券報告書虚偽記載に関する罪は「重要な事項につき虚偽の記載をし、それを提出すること」が構成要件として定められており、これは投資家保護が主な保護法益であると承知しています。では何が重要な事項であり、政府や取引所に対して提出すべき者は誰なのか、これによって侵害された法益は何なのか、日産はどのような損害を蒙ったのか。
 そして圧倒的な国家権力と対峙せねばならないが、確定判決が出るまでは推定無罪とされるはずの被疑者の人権はどうなるのか等々、基本的なことについて見解は多岐に分かれており、いまなお十分に納得できる解説に接しておりません。自分なりに努力して渉猟し理解する必要性を痛感しております。
 ルノーの連結子会社である日産の持つ技術、フランス政府が筆頭株主としてルノーに対して持つ影響力、フランスと中国との関係、アメリカの有する安全保障上の懸念、それらすべてが絡み合う複雑な構図であるようにも思われ、「強欲ゴーンの暴走」あるいは「日産社内のクーデター」的な、ある種分かりやすい絵解きや勧善懲悪的な見方は本質を見誤るものではないのでしょうか。細心な注意が必要だと感じます。

 昭和40年代から50年代にかけて、日産はトヨタと業界を二分する存在で、私が小学校から高校生くらいの頃、新聞や雑誌、テレビに大々的に打たれるコマーシャルにはその都度ワクワクしたものでした。
 日産の作品にはなかなか優れたものがあって、中でも「箱スカ(箱形のスカイライン)」「ケンメリ(ケンとメリー)スカイライン」の一連の広告はとても美しく印象的で大好きでした。
 当時から川又社長、塩路労組委員長を軸とする日産の企業体質は問題視されていましたが、いいクルマと素敵な広告があった頃の日産を懐かしく思い出します。牧歌的で夢のあった昭和のいい時代だったのかもしれません。

 韓国駆逐艦による海自哨戒機に対する射撃管制レーダー照射事案については、そもそもあの駆逐艦はあの海域で一体どのようなオペレーションを行っていたのかが事の本質であると考えております。
 韓国駆逐艦の行動は国際ルールに明白に反するものですが、「遭難した」とされる北朝鮮の「漁船」の正体は何なのか。そして、何故救難信号を韓国だけがキャッチしたとされているのか。
 かつての中国艦による同種の事案の際も、民主主義国とは異なる中国において文民統制はどのように機能しているのかが問題となりましたが、今回の一連の不可解極まる韓国側の対応についても、その視点を持って見ていかなくてはなりません。

 尾崎行雄記念財団が、2018年「咢堂ブックオブザイヤー」の中の一冊に拙著「政策至上主義」(新潮新書)を選んでくださいました。有り難いことです。
 著書や論文は未来永劫にわたって厳しい評価に晒されますので、書くことにはいささかの躊躇いもあるのですが、文章にして自分の考え方を世に明らかにするのも政治に携わる者の責務ではないかと考えております。

 週末は札幌、倉吉、米子、薩摩川内、鹿児島での講演、座談会、選挙応援日程が入り、来週17日にはシンガポールにおいて開催される日経フォーラム「イノベーティブ・アジア」でパネルディスカッションに参加した後、講演する予定です。
 大寒に向かって寒さが厳しくなる折、皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2018年12月28日 (金)

天皇陛下記者会見など

 石破 茂 です。
 御在位中最後となる天皇誕生日に際して行われた陛下の記者会見は、陛下の大御心が真に迫って伝わる畏れ多くも感動的なものでした。
 全国民統合の象徴であらせられる陛下が伝えようとされたメッセージを、我々国民も立場の相異を越えて厳粛に受け止めなくてはなりません。御代代わりとなる来年、平和への思い、沖縄への思い、被災地に対する思いを一層強くしていかなくてはならないと、痛切に感じたことでした。

 韓国の海上自衛艦に対するレーダー照射事案について、火器管制レーダーの照射が非常に危険な行為であり、非難されるべきものであることは論を俟ちません。韓国政府による原因の究明と再発防止を求めるのは当然のことです。
 一方で、北朝鮮との関連も含め、詳細な分析も必要でしょう。韓国が矛盾に満ちた主張を繰り返す背景には一体何があるのか、韓国政権中枢ではどのような意思決定がなされているのか、以前の中国による海自機や海自艦に対するレーダー照射事案との対比において、よく考えてみる必要があります。

 今週はバラエティー番組の収録が相次ぎました。BS日テレ「深層NEWS 政界鉄ちゃん旅」、日本テレビ「行列のできる法律相談所SP」、読売テレビ「ダウンタウンDX」などですが、放映はすべて来年一月となります。お時間が合えばご覧ください。
 大晦日31日の朝7時からは毎年恒例のフジテレビ「景気満開テレビ」に生出演いたします。
 
 本年一年、皆様には本当にお世話様になりました。
 来たる年が皆様にとって良い年となりますよう心から祈念致します。

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2018年12月21日 (金)

講演と質疑など

 石破 茂 です。
 さる17日の私のパーティには、年末ご多忙の折にも関わらず多くの皆様にご参加を賜り、おかげさまで賑やかな会となりました。決して安くはない会費と貴重なお時間を拠出してくださった方々のお気持ちに背くことの無いよう、厳しい環境の中にあればこそ一層の努力精進をしなくてはならないと思いを新たにしたことでした。
 本当に有り難うございました。

 三月の党大会以来、憲法の議論はいささか停滞気味ですが、今週送られてきた「吉田茂という反省」(阿羅健一氏と杉原誠四郎氏の対談・自由社刊)は今までの憲法改正論とはいささか趣を異にするものです。
 両氏は「新しい歴史教科書をつくる会」に関わってこられた方々で、私は一面識もないのですが、添付されていた挨拶状を読んだ限りでは、結論において私の従来からの主張とほとんど乖離がないように思われます。
 日本の戦後に吉田茂元総理が果たした役割は決定的に重要であり、保守の立場からこれを批判的に論じたものはいままであまり見かけられませんでした。
 憲法第9条改正について、第1・2項をそのままにして新たに第3項で自衛隊の存在のみを書き込み、9条についての考え方は全く変わらないとする案は、従来の保守の立場からは容認しがたいものなのでしょうが、一瞥した限りではこの不満に対する一つの解決策を示しているようにも思われます。
 お正月に暇を見つけて精読してみたいと思っております。

 今週はいわゆる市民団体系の政治フォーラムや講演会に呼ばれる機会が2回ありました。講演の後での質疑応答では挙手される方が相次ぎ、長時間にわたってエキサイティングな議論が続きました。
 小泉内閣で初めて防衛庁長官に就いた時に私は「極右の軍事オタク」と酷評されたものですが、いまや「サヨクの軍事オタク」と一部で揶揄されるに至っています。私自身の主義主張は一貫して変わっていないのですが、世の中の座標軸が大きく動いているのだと思っています。「真の○○」とか「真正○○」などと自称する勢力もここ数年見られますが、何故自分をそう称し、それと異なる主張を「偽の」と断ずることが出来るのか、いささか理解に苦しみます。

 マティス米国国防長官が来年2月にも辞任するとの報道がありました。国務長官、首席補佐官、国防長官などが相次いで辞任するトランプ政権とは一体何なのでしょうか。
 就任当初「狂犬」とも言われた同長官ですが、ブッシュ(子)政権のパウエル国務長官がそうであったように、軍人出身の米国外務・国防担当閣僚は基本的に戦争を回避し、抑制的に行動してきました。後任はまだ不明ですが、来年のトランプ政権への対応は一層難しくなるように思われてなりません。

 週末は、22日土曜日は地元で小林昌司前若桜町長の叙勲祝賀会(若桜町)、さじ地域協議会創立10周年記念大会で地方創生の講演(鳥取市旧佐治村・現佐治町)、ちんたい関係者との懇談会(倉吉市)、JA中央役職員との忘年会(同)、23日(天皇陛下御生誕の日)は滋賀県で開催されるパーティでスピーチの後に民放テレビ番組の収録、25日振替休日は長野県での年末懇親会に行って参ります。
 今上陛下御在位中の御生誕の日はこれが最後となります。この上なく有り難い陛下を頂いたことの素晴らしさをしみじみと感じます。
 
 皆様、年末ご多忙のことと存じます。どうかご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2018年12月14日 (金)

高額チケット転売規制法、ユニバーサル社会推進法など

 石破 茂 です。
 臨時国会も閉幕し、補正予算や本予算編成に向けた諸会議が続きます。
 臨時国会においては、先の通常国会で成立させられなかった、高額チケット転売規制法(特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)、ユニバーサル社会推進法(ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律)の二本の法律が議員立法として可決・成立致しました。いずれも私が議員連盟の会長を務めているものですが、実際にご尽力頂いた山下貴司議員、盛山正仁議員をはじめとする皆様に心より感謝申し上げます。
 高額チケット転売問題は数年前から課題となっていたものですが、保護法益は何か、実効性をどのように確保するのか、主務官庁はどこか、などの議論が続き、今日に至りました。「どんなにおカネを払ってもあのコンサートに行きたい!」という思いは、一種「被害者の承諾」にも似たものではないのか、などと当初は思っておりましたが、悪徳業者が儲けるだけで、アーティストにも興行主にも何の利益もなく、社会的不正や青少年の非行の温床にもなってしまっているのが現状で、法施行後に大きな効果が現れることを期待しています。
 ユニバーサル社会の実現は、当選4回の時、衆議院運輸委員長を務めていた時からかかわっているのですが(当時はバリアフリーと言っていました)、国交省、厚労省、総務省、農水省、内閣府など幾多の官庁が関わっているため、「総合的で一体的」な推進が難しいという問題がありました。省庁横断的な会議体を創設し、法律の名称通り、KPIやPDCAが機能するようにしたい、というのが眼目です。実際、ユニバーサル社会の実現状況は各地域や障がいの種類によってかなりのばらつきがあり、今後予想される大災害などにおいてハンディを持った方が極めて厳しいに立場に置かれかねません。
 どちらの法律も、「法律が出来たからこれでよい」ということには当然なりません。議員連盟としても今後の実施状況を注視してまいります。 

 防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画も決定を見る運びになりました。高度化・複雑化し激変する安全保障環境、厳しい財政事情、人口急減や少子化による募集環境の悪化など、日本の課題が集約されたような面があります。シェルター整備を含む国民保護の観点やグレーゾーン事態への対応関連の整備など、なお詰めておきたかった課題はいくつか残りましたが、今後国民に向けたより丁寧な説明が何よりも重要であると考えています。

 先週、「分身ロボット」の「オリィ」「オリヒメ」を使って、頚髄損傷やALSなどで障害のある方が自宅に居ながらにして接客をするカフェを日本財団で見学してまいりました。
 報道でご存じの方も多いと思いますが、やがては自分の介護を自分の分身ロボットがしてくれるようなことも実現可能性があるとのことで、障がい者雇用や介護の世界を劇的に変える技術に深い感銘を受けました。

 週末は鳥取二区で来年の統一地方選に向けたいくつかの集会、自民党鳥取県連学生部での講演、地元経済紙の対談企画、どんどろけの会クリスマスパーティなどの日程が入っております。
 寒さが急に増してまいりました。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2018年12月 7日 (金)

倉知先生、杉根先生のご逝去など

 石破 茂 です。

 去る3日、元愛知県議会議長 元自民党愛知県連会長 倉知俊彦先生が逝去されました。享年87。
 昨晩のお通夜に参列し、拙い弔辞を述べてまいりました。10年近くにわたって公私ともに本当にお世話様になり、悲しくて残念でなりません。真に立派な方、という存在がこの世にはあるのだ、と心から思える方でした。今も喪失感で一杯で、かけがえのない方を喪った悲しみは今後日が経つにつれて強まるように思います。
 今月の私のパーティに出席されることを楽しみに、枕元に案内状をおいておられたと聞き、何とも言えない有り難くも悲しくて残念な思いが致しました。御霊の安らかならんことを切に希います。
 先月には、これも地元で大変にお世話になった元鳥取県会議員(倉吉市選出)杉根修先生が逝去され、先日弔問に行って参りました。革新系でありながら私をとても応援してくださり、ご自宅の応接間や書斎には私のポスターが貼ってあり、入院加療中も私のことをずっと気にかけておられたとご家族から伺いました。
 そのような方々の思いに十分にお応えできないまま今日に至っていることを本当に申し訳なく思うとともに、逆境や苦境に挫けてはならない、と思いを新たにしております。

 国会も会期延長することなく、会期を終えようとしています。多くの皆様よりご指摘、ご叱正を頂いている通り、法案審議や成立の過程において国民の理解が十分に深まっておらず、一体民主主義とは何なのかという思いが広がっていることに、与党の一員として努力不足を痛感しております。9月の総裁選挙において、党員の45%ものご支持を頂いたことの意義を十分に反映できていないとすれば、偏に私の責任です。

 小選挙区制導入に向けた議論の際、「少数意見が反映されない」「党本部や官邸の意向を気にする議員が増えてしまう」などとの反対意見が強力に展開され、小選挙区制推進派の私は「多数派が少数意見を反映しなければ次の選挙で手痛い報いを受けるのだから、反映しないなどということはありえない」「議員は有権者に対してのみ責任を負うのであり、党本部や官邸に意見するのは当然の責務である」などと述べたものですが、現実は必ずしもそうならなかったのかもしれません。
 先日、竹下亘前総務会長が盛岡市の講演で述べたとおり、自民党員の中でも半数近い非支持層があり、野党支持層や無党派層を入れれば大変危機的な状況のはずなのですが、ただでさえ弱い野党がバラバラで潰しあっている限り、自民党内に危機感も緊張感も生まれようがありません。
 国民の間に無力感や無関心、諦め感がじわじわと広がっているとすれば、そのことに慄然とするような恐怖を感じます。与党の中で果たすべき己の責務を思い起こし、自らを鼓舞し、さらに精進努力していかなくてはなりません。

 今週の水月会勉強会では、日本の防災政策の第一人者である河田恵昭 元関西大学教授・京都大学名誉教授の「防災省を創設して国難に備える」と題する、歯に衣着せぬ講演を拝聴しました。
 「日本水没」(朝日新書 2016年)など一連の著作からは多くの示唆を受けています。

 週末は、8日土曜日は年内の諸講演や年末の訪中に向けた準備に充て、9日日曜日は香川県高松市で講演する予定です。
 寒さ厳しき折、皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2018年11月30日 (金)

外国人材など

 石破 茂 です。
 27日の衆議院本会議で入国管理法の改正案が衆議院を通過、参議院に送付されました。「移民政策」や「単純労働」の定義など、最後まで議論は噛み合わず、やや残念な思いが致しましたが、参議院では衆議院で指摘された幾多の問題点についてさらに掘り下げた議論を行い、国民の理解を深めていく必要があります。

 外国人労働者を受け入れざるを得ないのは、生産年齢人口が急激に減少し、介護や建設現場などで決定的な人手不足が生じているという差し迫った事情によるものですが、少子化は既に30年も前から指摘されていたことであるにもかかわらず、その抜本的な対策を怠ってきたことが今日このような事態を招いた最大の原因です。
 今からたった20年後の2040年には人口が2000万人近くも減少し、相前後して高齢者の数がピークに達することが予想されており、これを見据えた中での外国人労働者の受け入れでなくては、単なる緊急避難的対応にしかすぎません。このような国家ビジョンが総理から提示されることを期待し、参議院における発言を注視しています。

 受け入れる外国人材に対して、日本語や日本の文化伝統、社会の決まりなどについて教えるのは日本政府の責任において行うべきものでしょう。生産年齢人口の減少はこれから多くの国において起こることであり、外国人材の奪い合いとなる事態も容易に想像されます。それを見据え、「外国人から選ばれる体制」の構築が急務です。
 「単なる労働者不足への対応であり、国の形を変えるような移民政策とは全く異なる」と言うのであれば、国の形を維持するための少子化対策を国家の最重要課題として確立しなくてはなりません。少子化対策予算の対GDP比がフランスやスウェーデンの3分の1の1・3%ではどうにもなりません。今から少子化対策に取り組み、その成果があがるのは早くても20年後であり、それまで人口は急激に減少し続けるのです。繋ぎとしての今回の法案との理解とともに、受け入れる外国人に対して、日本人と遜色ない待遇を提供することも、国家としての責任であると思っております。

 海上自衛隊のいずも型ヘリコプター搭載型護衛艦の固定翼機搭載型への改修が今後の防衛力の整備と関連して話題となっています。どの国に対するどのような抑止力を企図するものか、運用構想はどのようなものになるのか、常時一隻稼動させるためには最低3隻が必要と言われる中、何隻保有するのか、水上艦における固定翼機の運用技術には極めて高度なものが要求されるが、どのように錬成するのか、この艦自体は単なるプラットフォームで脆弱なため、これを護るための潜水艦、イージス対空護衛艦(DDG)、対潜護衛艦(DD)、直衛戦闘機はどれほど必要なのか、それでなくても現在決定的に不足している水上艦艇乗組員をどのように確保するのか等々、導入に向けては国民・納税者に理解・支持される濃密な議論が必要です。国民の代表である国会議員が兵器や運用について知識がなければ、文民統制が機能するはずはありません。

 当選同期であった園田博之議員の逝去に伴って衆議院本会議場の議席が変更になり、扇形に配置されている12列の最後列に移動となりました。
 議席は基本的に当選回数順の年齢順となっており、昭和61年の初当選時、最年少の私には最前列の一番端の議席が割り当てられ、遥か後方の最後列に座っておられる錚々たる顔ぶれを見ながらあそこまで行くのに何年かかるのか、そもそもそこまで行けるのか、などと思ったものでした。あれから32年余、感慨複雑なものがあります。

 週末土日は茨城県議選の応援演説に県内数カ所を回る予定です。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2018年11月22日 (木)

民主主義フォーラムなど

 石破 茂 です。
 
 20日水曜日に特定非営利法人言論NPÒ主催による「代議制民主主義は信頼を回復できるか」と題するフォーラムで、フランスの高名な政治学者ドミニク・レニエ氏(パリ政治学院教授)と対談をする機会がありました。
 多くの人が参画し、かつ「自分が為政者であればどうするか」という主権者意識を持ち、他者から強制されるのではなく自己の意思によって投票することがなければ、民主主義は本来の機能を発揮し得ません。同時に、言論においてその自由が保障され、高い質を保ち、権力との一体性を排さなくてはなりません。
 それでなくとも新聞の購読者が減っている中、主張の異なる二紙を併読する人は稀なのであり、どちらの立場に立つにせよ、反対の意見も併せて紹介してもらいたいものです。
 「民主主義は最悪の政治制度である。今まで存在したあらゆる政治制度を除けば」というチャーチルの言葉はまさしくその通りだと改めて思います。

 先日の韓国におけるフォーラムでは、北朝鮮に対する見方が各国によって大きく異なることを再認識させられました。韓国の政府要人からは「北と南が融和することによって、韓国は初めて島国から脱して(今の分断された状況は『韓国は島国である』という捉え方をされているようです)、ユーラシア大陸の一員となれる」との思いが述べられ、アメリカのシンクタンクの研究者からは「北朝鮮は約束を履行しない国である」との強い警戒心と憤りが述べられました。「体制の保証」「安全の保障」をどのように誰がなし得るのか、実効性の担保のために国連がそれに果たすべき役割とは何か、いくつかの示唆を受けたフォーラムでした。

 北方領土に米軍基地を配置しないことは可能か、と前回指摘しましたところ、東西ドイツ統一の際にアメリカ、ロシア、フランス、英国なども関与して旧東ドイツに外国の基地を置かない旨の協定が締結されているとのご指摘を頂きました。集団的自衛権が憲法上ごく限定的にしか行使できない代わりに米軍に対する基地提供を条約上の義務として負う我が国とは事情がかなり異なるようにも思われますが、よく研究する要があるものと思います。

 週末は滋賀県、千葉県において講演、諸会合への出席という日程となっております。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2018年11月16日 (金)

園田先生ご逝去など

 石破 茂 です。
 
 さる11月11日、第一次世界大戦終結100周年の催しがパリで開催され、マクロン・フランス大統領とトランプ米国大統領のやり取りが大きく報道されました。
 日本ではあまり議論にはなりませんでしたが、第一次大戦と日本との関わりやその後の展開は今後の論考に値するテーマであると思います。欧州における大戦に日本は直接的な利害を有さなかったにもかかわらず、日英同盟を根拠として参戦し、中国や南洋のドイツの権益を手中に収め、産業も軽工業から重工業へと転換、好景気が到来し、「成金」と言われる富裕層が多く生まれたことは中学や高校の教科書でひととおり習ったことですが、日英同盟や国際連盟については集団的自衛権との関連でもう一度きちんと検証する必要性があります。

 一部報道に、日ロ平和条約締結に関して、二島返還先行論が検討されており、歯舞・色丹に米軍基地を置かない旨を首相がプーチン大統領に伝えたとありました。
 真偽のほどは全く不明であり、軽々に論評すべきではありませんが、通常平和条約とは領土問題が一切解決したことを内容の根幹とするのであり、「先行論」「棚上げ論」自体が概念的に矛盾しているように思います。
 我が国の領土に米軍基地を配備しないとロシアに約束することは、その軍事的有用性とは別に、日米安保条約に正面から抵触することになりかねない部分もあるようにも思われます。日米安保体制の非対称的双務性とは何か、という根源的な問題がこの根底にはあるのであり、「落としどころはどこか」というような次元ではないように私には思われてなりません。

 先週ご紹介した小林美希氏の著書「中年フリーター」は、日本の雇用の在り方、女性の働き方について新たな視点から問題を提起する一冊と思います。最近は国政選挙から足が遠のいている中年フリーターの「どうせ自民党が勝つに決まっている出来レース。選挙に行くより仕事を入れて稼いだ方がいい。何の期待もしていない」という言葉は胸に刺さりました。
 我々が推進した小選挙区制は意思決定の明確化と迅速性で優れた点を持ちますが、少数意見の反映が妨げられている点は否めません。仮に、投票率が50パーセント、得票率が50パーセントで議席を得た場合、それは有権者総数の25パーセントの意思しか体現出来ていないということであり、この点は強く留意しなくてはなりません。
 投票は主権者の権利であると同時に義務でもあると思うのですが、皆様はどのようにお考えでしょうか。
 「入れたい人がいない」のならば白票を入れて頂ければよいのではないか、と私は考えるのです。民主主義が有効に機能する条件は、多くの人が参画することと、正確なジョア法が提供されることの二つなのであり、それらを欠くと民主主義を使った独裁制になる危険性が高まります。
 その実効性をどのように確保するか、オーストラリア、ベルギー、スイス、ブラジルなど投票義務制を採用している多くの国の事例につき一度調べてみたことがあるのですが、詳しくご存じの方はご教示くださいませ。

 私の地元・鳥取市では現在、市議会議員選挙が行われていますが、立候補者は定数の三名オーバーにしかすぎず、投票率も五割を割ることが懸念されています。
 政治に参画しようとする者が少なく、有権者も関心が薄いことに民主主義の危機を感じます。

 昭和61年同期当選の園田博之議員が逝去されました。
 享年76歳、残念でなりません。自民党だけで47人いた同期当選組は参議院に転出された方も併せて7名となってしまいました。
 園田議員は自民党離党後、新党さきがけで細川内閣や村山内閣の誕生に尽力、一度自民党に復党、その後たちあがれ日本、日本維新の会、次世代の党などで要職を歴任され、最後は自民党に復党されました。
 谷垣総裁時代、自民党の再生にあたって園田議員の卓越した構想力や調整力に大きな期待を寄せていたのですが、与謝野代議士と行動を共にされて離党されたのはとても残念なことでした。
 閣僚になれる機会が何度もあったにもかかわらず、何故かそれに就かれることもなく、しかし独特の存在感を持ったとても魅力的な方でした。若いころ、何度か酒場で飲んでおられる場面に遭遇する機会があったのですが、女性にも、スタッフにも圧倒的な人気があったのは飾らない、分け隔てのないお人柄によるものであったと思います。
 できればもっと色々なお話をしたかったのですが、それも叶わぬこととなってしまいました。御霊の安らかならんことを切に祈ります。

 週末は、昨年に引き続いてソウルにおける国際フォーラムに参加し、講演やパネルディスカッションを行います。テーマは「地方創生と日韓協力」であり、当面の北朝鮮問題や徴用工問題に触れる予定はありませんが、日韓関係についての知見を深める機会になることを願っております。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2018年11月 9日 (金)

米中間選挙など

 石破 茂 です。
 アメリカ中間選挙は事前の予想通り、上院では共和党勝利、下院では民主党が多数を奪還という結果となりました。今後次の大統領選挙までの2年間は、予算案や多くの法案の審議や成立が停滞することになるのでしょうし、再選を狙うトランプ大統領は「悪いのは民主党だ!」とばかりに強硬姿勢をさらに鮮明にして、大統領令を頻繁に発することになるのかもしれません。
 今までの歴代大統領とは異なり、同盟国に対して強い姿勢で臨み、現状の如何ではなく今後の損得を重視し、アメリカ全体の帳尻を合わせることをそのスタイルとするトランプ氏は、今後「日本の自動車業界が現在どれだけアメリカ人の雇用を作り出しているかではなく、これからどれだけ増やすかが問題だ」「農産品や自動車で貿易赤字が改善しないならば、日本はもっと米国製の防衛装備を買うべきだ」「北朝鮮の核が維持されても、ICBMの脅威がなくなることでアメリカの安全性は向上する」などという主張をすることが予想されます。
 問われているのは憲法、防衛や経済・エネルギー、財政、社会保障など、日本自身の自主独立性と持続可能性なのであり、トランプ政権への対応はそれらすべてを見直す、厳しくもよい機会としなくてはなりません。

 外国人人材の受け入れについて、法案の成立に万全を期すということは当然のことながら、「移民」という言葉の持つネガティブなイメージを回避するあまり、我が国が直面する未曽有の急激な人口減にどう対応するのかという本質論が今一つ見えてこないような気がしてなりません。
 この構図は「軍」「戦力」「交戦権」という言葉を回避するあまり、「自衛隊を明記するだけで、実態は一ミリも変わらない憲法改正」というものと近似しているように思えます。
 日本の人口急減も、安全保障環境の激変も、国家的危機とも言うべき事態なのに、危機感や本質的な議論が決定的に足りないことに焦燥感を覚えるとともに、自身の発信力の不足、更なる努力の必要性を痛感するばかりです。

 今週水月会の勉強会でこの問題のスペシャリストである毛受敏浩氏の講演を聞き、教えられることが多々ありました。「このまま日本の国力が衰退すればやがて日本に見切りをつけ、海外への移民を目指す日本人が続出する事態も予想される」との指摘は胸に刺さるものがあり、同氏の著書「限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択」(朝日新書)を週末に読んでみたいと思っております。

 補正予算案の参議院における審議もさしたる混乱もなく淡々と進み、参議院本会議において成立を見ました。予算委員会において一部閣僚の言動や答弁能力を追及することに意味がないとは言いませんが、国民はそればかりを見させられてうんざりしているように思われます。予算委員会においてはもっと国家の重大事を質してほしいと願わずにはいられません。

 雇用政策について小林美希氏の新著「ルポ 中年フリーター 『働けない働き盛り』の貧困」(NHK出版新書)は示唆に富むものでした。高齢者の貧困と並んで、この層をどうするかは今後大きな社会的課題となるに違いありません。現場の視点に立脚した同氏の著書や論説にはいつも教えられることばかりです。

 11日日曜日は、四万十市・高知市における山本有二元農水相の国政報告会に参加の予定です。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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2018年11月 2日 (金)

消費税率と社会保障など

 石破 茂 です。
 今夕の衆議院本会議において補正予算案が全会派賛成で可決、参議院に送付されました。
 これに先立つ予算委員会の審議も緊張感に乏しいまま淡々と進み、政府・与党にとっては幸いなことながら、いささか拍子抜けの感は否めません。
 政府側にしてみれば、野党がバラバラで、各党から質問者が多く立って一人当たりの質問時間が短くなり、論点が拡散するほど楽なことはありません。参議院とは異なり衆議院は「往復方式(質疑時間は質問と答弁を合わせた時間)」であるため、長い答弁を行えば、ただでさえ短い質疑時間が終わってしまいます。これは一にかかって野党の責任なのですが、国民の間にフラストレーションや政治全体に対する不信感が高まるのではないかと怖れます。

 あまりにも基本的なことを今更申し上げて恐縮なのですが、日本国憲法は憲法改正の原案を内閣が提出することを否定していません。国民に対して発議するのは国会であっても、発議の対象となる憲法改正の原案の提出権は、国会法に定められた衆議院では20人、参議院では10人の賛成議員だけではなく、内閣にも認められているとするのが通説的見解で、憲法第72条の定める内閣が国会に提出する「議案」には憲法改正案も含まれると解されています(清宮四郎「憲法Ⅰ 法律学全集 有斐閣」、佐藤功「憲法(下) ポケット注釈全書 有斐閣」)。

 安倍総理は衆議院本会議での稲田議員に対する答弁において「内閣総理大臣として答えるのは差し控えたい」としながらも、「自民党総裁として敢えて申し上げれば」と持論を展開されましたが、内容については語られませんでした。
 自民党の憲法改正推進本部の会議においても、様々な質問に答弁する人がおらず(したがって「意見の開陳」ではあって「議論」とはなりえませんでした)、国会においてもその立場に立つ人が居ないままに、何が何だかよくわからないという状態が国民の間でこのまま続くとすれば、決して好ましくはありません。
 憲法改正原案を内閣提出とすべきだと主張するつもりはありませんが、憲法改正原案はあくまで国会が提出する、ということを所与のものとしてきたことの妥当性を自らに問い直してみたいと思います。

 消費税率の引き上げの議論において、これを可能とする個人所得の増加などの経済環境整備と併せて、社会保障、特に医療と介護の改革をセットで論じなくては意味がありません。軽減税率やポイント制導入の是非よりもこちらの方が事の本質です。
 高齢者数がピークとなる2040年前後にはその費用が今の1・7倍にもなると予想される日本の医療を他の先進国と比較してみると、その特徴として人口当たりの病床数が格段に多いことが挙げられます。
 人口1000人当たりの日本の病床数は13・4床(2012年)ですが、これはアメリカの4倍以上、スウェーデンの5倍以上と言われています。これに対して病床100床あたりの医師数はスウェーデンの148・7人に対し日本は9分の1の17・1人、ドイツやフランスに比べても3分の1程度、看護職員もスウェーデンの5分の1、ドイツやフランスの約2分の1、平均的な在院日数は3倍から4倍とも言われています。
 他方、65歳以上の寝たきり高齢者の比率は、日本を100として、イギリスが30、アメリカとデンマークが20、スウェーデンが10とされています。

 人口当たりの病床数が多いこと自体は国民にとって良いことには違いないのですが、そもそも入院を前提とすべき医療のみに限定されるべきではないのか、ということは近年問題とされ、政府の方向性としても急性期とそうでないものとの峻別をすすめようとしてきていますが、適切な医療とはいかにあるべきか、いわゆる「寝たきり」にならなくてもすむ人が寝たきりになってしまってはいないか、結果として医療費や介護費の増加が止まらないという状況になってはいないか。漸進的に改革は行われていますが、国民的議論となっているとは言えません。
 私が衆議院の社会労働委員会(今の厚生労働委員会)や自民党の関係部会において社会保障問題に取り組んでいたのは随分と昔のことなので、いささかピントがずれていたり、数字が古かったりするのかもしれませんが、もう一度体系的に学んでみたいと思っております。

 韓国最高裁が日本企業に対して元徴用工への賠償を命令する判決を下したことに対し、我が国としては日本の、国際法的に当然の主張を貫いて外交交渉を続けるとともに、これが不調に終わった場合、日韓基本条約と同時に締結された日韓請求権協定(請求権の解釈などを巡って対立した際の規定。外交交渉で解決できなかった場合、一方の政府から要請があった場合に日韓と第三国の委員計三名の仲裁委員会を設置し、両国はその決定に従う)に基づいて解決の道を探るか、国際司法裁判所に提訴するか(韓国側の同意が必要なため困難)、どちらかの道を選択することになります。
 韓国最高裁の判決は理解不可能なものですが、朴槿恵政権時代に封印されていた問題が前政権を全面否定する今の文在寅政権になって表面化したということなのでしょう。国内のナショナリズムを制御するのはどの国にとっても難しいことを改めて痛感させられます。

 本日は衆議院本会議における補正予算の採決後、札幌まで参ります。
 3日土曜日は札幌での講演とパネルディスカッション、帰京後、慶応大学在学中によく通った港区三田の大衆割烹「つるのや」の開店50周年祝賀会に発起人代表として参加します。
 在学中、土曜日に法律サークルの自主ゼミが終わった後は必ずここで終電近くまで飲んでいたものです。あの頃は本当に楽しかったな・・・・
 4日日曜日は知人の結婚披露宴に出席の予定です。

 カレンダーももうあと二枚となってしまいました。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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